西日本皮膚科
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44 巻 , 4 号
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図説
症例
  • 堀 真, 大神 太郎, 山城 一純, 鳥山 史, 広瀬 寮二, 吉田 彦太郎
    1982 年 44 巻 4 号 p. 543-551
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    症例は68才女子である。生下時より存在した左側頭部の脱毛斑部に2個の腫瘤が発生した。肉眼的に黄橙色をしめした腫瘤は組織学的検索の結果, 脂腺癌であり, 黒青色腫瘤は表在性基底細胞上皮腫, 脱毛斑は脂腺母斑であることがあきらかとなつた。3年後, 左側頸部のリンパ節腫脹がみられ, 生検の結果, 脂腺癌の転移であることが確認された。その後, 両肺野にも多数の転移巣が形成され, 呼吸困難におちいり死亡した。脂腺母斑上に発生した脂腺癌の報告はきわめてまれであり, 著者らの検索したかぎりでは, 本邦第2例目と思われる。本症例では, 従来, 脂腺癌の組織学的特徴とされていた表皮との連続性がないこと, 未分化細胞群が好酸性であることの2点においてことなり, これらの点について検討を加えた結果, (1)脂腺母斑を構成する脂腺は表皮直下に存在するため, 同部に発生した脂腺癌は容易に表皮と連続性をもつと考えられ, (2)好塩基性の細胞は, 電顕的にも豊富なリボソームを有しており, 腫瘍細胞の旺盛な生命力をしめすものであり, 好塩基性である必要はないと推察した。
  • 中條 秀子, 鈴木 久美子, 平野 京子
    1982 年 44 巻 4 号 p. 552-554
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    52才女子, サンダル加工業。約18年前より左手掌に小丘疹が生じ, 漸次増大し指状突起となつたため来院した。腫瘍は表面平滑, 弾性硬, 正常皮膚色を呈す。組織所見は, 腫瘍体部では角質増殖を示し, 表皮細胞は扁平萎縮しているが, 腫瘍基底部ではむしろ表皮肥厚を呈している。腫瘍はほとんどが膠原線維より成り, その走行は, 腫瘍の中心部では表面に対して平行に走り, 一部波状を呈し, 辺縁では線維は細く表皮と垂直に走つている部分が多い。線維間には毛細血管の増殖, 拡張を認め, アルシャンブルー染色でメタクロマジーをわずかに認める。腫瘍基底部では弾力線維を認めた。誘因としては, 本症例では, 患者はサンダル加工に従事し, 左手掌でサンダルの踵を長時間強く押さえるため, 持続性の外力が加わり, それが誘因となつたと思われる。治療は外科的切除を施行した。現在まで再発をみない。
  • 辻 トヨコ, 一木 幹生, 津田 真五, 加治 英雅
    1982 年 44 巻 4 号 p. 555-560
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    38才女子。昭和52年より左足背にgranuloma annulareの定型疹を, 同側の下腿前面には穿孔を有しnecrobiosis lipoidica様外観を呈する浸潤性局面を生じてきた。臨床検査成績では糖負荷試験で糖尿病型を, ツ反で強陽性を示した以外は正常範囲内であつた。病理組織学的には足背は膠原線維の変性とそれを取りまく組織球, リンパ球, 類上皮細胞の浸潤を認め, 血管の変化は軽度であり, Sudan III染色にて変性部分と細胞浸潤との移行部分に脂質の沈着を認め, PAS陽性物質もみられた。直接螢光抗体法にて変性部分にfibrinogenを認めた。下腿ではperforating granulomaの像を呈し, necrobiosisが比較的多発した以外は足背と同様の病理組織学的所見を示した。足背の皮疹は生検後, 一部扁平化してきたが, 下腿の皮疹は変化なかつた。
  • 石津 謙治, 中村 浩二, 土岐 尚親
    1982 年 44 巻 4 号 p. 561-564
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    陰茎結核疹に結節性結核性静脈炎を合併した1症例を報告した。本症例は33才男子で, 陰茎亀頭部, 包皮部に再発性の赤色丘疹, 潰瘍, 瘢痕, 右足底, 第5趾腹側に痂皮性潰瘍を伴う皮下硬結の臨床症状を呈した。病理組織学的には, 典型的な結核性肉芽腫の像を示さなかつたが, ツベルクリン皮内反応は強陽性で, 抗結核剤投与により皮疹の消退, 新生の抑制がみられた。以上より陰茎結核疹の経過中に結節性結核性静脈炎を合併したものと診断した。さらに, 結核疹の成因, 抗結核剤の作用機序に関して若干の文献的考察を加えた。
  • —本邦散発例のHBsAg Subtypeに関する検討—
    高路 修, 功野 泰三, 沼田 恒実, 木村 勇
    1982 年 44 巻 4 号 p. 565-569
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    Gianotti病の1例を報告した。自験例は1才女児で, 典型的な扁平紅色丘疹を顔面, 四肢ならびに躯幹にも認め, 表在リンパ節腫大と肝腫大, 血清HBsAg陽性所見などより, Gianotti病と診断した。HBsAg subtypeはadrであつた。また本邦における自験例を含めた散発例についてHBsAg subtypeに関しての若干の検討を加え, 従来, 本症ではaywが多いとされていたが, それは多症例を有する1流行例によるもので, われわれの調べた範囲の散発例ではadw, adrが92%を占めているという結果を得た。
  • 長野 博章, 城野 昌義, 武藤 公一郎, 影下 登志郎
    1982 年 44 巻 4 号 p. 570-575
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    薬剤性toxic epidermal necrolysis(TEN)と思われる2例について報告した。症例1は52才女子で入院後74日目に重篤な肝障害, 肺炎のため死亡した。症例2は67才男子で肝障害を伴つていたが, 約2ヵ月の加療の後軽快した。本論文において著者らは, TENの誘発薬剤の検討, TENと肝障害の関連, また病初期における副腎皮質ホルモンの大量投与について論じた。
  • 野崎 昭, 楠 俊雄, 原田 誠一
    1982 年 44 巻 4 号 p. 576-580
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    症例1: 42才女子。昭和52年, 当科でchromomycosisの診断をうけ, 5-FC 7gを10日間内服したところ全身にそう痒性紅斑が生じ, 内服中止により消失。再び内服をはじめたところ同様の皮疹が生じた。Patch test, scratch patch test陰性。内服試験で激しい全身症状を伴うそう痒性紅斑の再現をみ, コルチコステロイド剤内服により消失。症例2: 22才男子。昭和55年, 内科で肺真菌症の疑診をうけ, 5-FC 10gを20日間内服したところ露光部位にそう痒性紅斑が生じた。検査未施行。症例3: 65才女子。昭和55年, 当科でchromomycosisの診断をうけ, 5-FC 8gを90日間内服したところ, 病巣は平坦となつたが露光部位にそう痒性紅斑が生じた。5-FC内服の継続で上記紅斑性皮疹は増悪し, 内服中止により軽快治癒。約半年後にchromomycosisの病巣が再燃したため5-FC 内服を再開したところ, 再び露光部位に紅斑が生じた。Patch test, scratch patch test陰性。内服試験で日光浴を行つたときにのみそう痒性紅斑の再現をみた。原因薬剤は5-FCであることはほぼ確実であるが, 日光過敏型薬疹の発生については5-FCにcontaminatorとして存在する5-FUが関与している可能性も考えられたので文献的考察も加えて報告した。
研究
  • 第1報 ポルフィリン代謝に影響をおよぼす飼料中Griseofulvin濃度の検討
    下山 時生
    1982 年 44 巻 4 号 p. 581-589
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    Griseofulvin(GF)をそれぞれ0.1%, 0.5%, 1.0%の異つた濃度に混入してD-D系マウスを飼育し, その肝, 血液ポルフィリン体を測定し, 血液, 肝切片の赤色螢光を螢光顕微鏡にて観察した。正常マウスに比較して, 0.5%, 1.0% GF群では全例肝腫大をきたし, 肝コプロポルフィリン, プロトポルフィリン, 血液コプロポルフィリン, プロトポルフィリンいずれも著増していた。またプロトポルフィリンの増加がコプロポルフィリンに比べて著しく, 肝ポルフィリン体の増加が血液よりも著明であつた。0.5%, 1.0%群を比較すると肝腫大は1.0% GF群が著しく, また血液プロトポルフィリンは飼育期間が短い個体では1.0% GF群に高度の代謝異常をきたした例がみられた。0.1% GF群では肝腫大はほとんど認められず, 短期飼育群と長期飼育群の間にも差異を認めなかつた。血中ポルフィリン体は正常群に比較して異常を認めなかつたが, 肝ポルフィリン体は34匹中3匹のみに異常値を示しており, 他の31匹は正常値と差異を認めなかつた。肝切片の螢光顕微鏡所見は0.5%, 1.0% GF群においては検討した全例に赤色螢光を認めたが0.1%群では1匹のみ網状赤色螢光が観察された。以上のことよりD-D系マウスにおいては0.5%以上のGF濃度においては著しいポルフィリン体量増加がおこる。一方, 0.1% GF濃度においては投与された動物の一部にprotoporphyriaを生じ, 0.1%濃度が低濃度実験として, またGFに加えて他の化学物質の影響などを検討するのに適した濃度であると考えた。
  • 早川 律子, 松永 佳世子, 大岩 久美子, 小林 美恵, 吉田 真理
    1982 年 44 巻 4 号 p. 590-594
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    コルチコステロイド含有軟膏(「ス」軟)7製品, コルチコステロイド含有クリーム(「ス」クリーム)9製品, コルチコステロイド含有ゲル(「ス」ゲル)3製品, 非ステロイド抗炎症剤含有軟膏(非「ス」軟)2製品, 非ステロイド抗炎症剤含有クリーム(非「ス」クリーム)2製品の合計23製品, およびホリスタースティア, トリイアレルゲンのうちから外用剤に配合されている可能性の高いアレルゲン27種と基剤2種を114例の皮膚疾患患者にclosed patch testを施行した。Closed patch testの結果製品の(+)以上(本邦基準)陽性率は48時間判定, 72時間判定の順に, 「ス」軟1.5%, 0.8%, 「ス」クリーム1.8%, 2.0%, 「ス」ゲル9.2%, 15.1%, 非「ス」軟6.2%, 5.4%, 非「ス」クリーム6.6%, 10.6%あつた。アレルゲンの陽性率(ICDRG基準)は上位5位まで, ネオマイシン13.8%, アクリノール5.4%, レゾルシン3.4%, ラノリンアルコール3.3%, P. G. 3.3%, ホルマリン3.3%, メントール3.3%であつた。
  • 玉井 秀夫, 大場 健吉, 伊藤 幸治
    1982 年 44 巻 4 号 p. 595-601
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    近年, わが国における酵素配合衣料用合成洗剤の普及は著しいものがあり, その有効性が優れていることから, 今後も大きな伸びが予測されている。そこで, 著者らはわが国で市販されている酵素配合洗剤のヒト皮膚に対する安全性について, とくに消費者が実際に使用する条件に即した消費者レベルでの安全性に着目し, 種々の試験を実施した。すなわち, 手荒れ性(表皮落屑性変化), 皮膚一次刺激性, 更には連続塗布試験による経皮的アレルギー誘発性の有無について検討した。この中で, アレルギー誘発性試験ではアレルギー誘発の有無を評価する方法として, 従来から行われている閉鎖貼布試験(クローズドパッチテスト), 掻皮試験(プリックテスト)に加え, 評価精度を高めるために, 被験者の血清中の抗原(アルカラーゼ)特異的抗体(specific-IgE)の生成の有無をRAST(radioallergosorbent test)法により評価した。以上の試験の結果, 酵素配合洗剤のヒト皮膚に対する安全性は酵素を含まない市販洗剤と同等であり, 経皮的アレルギー誘発性も認められなかつた。
  • —特に副腎皮質機能抑制を中心にして—
    Betamethasone Dipropionate外用剤の全身的影響研究班
    1982 年 44 巻 4 号 p. 602-610
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    0.064% Betamethasone dipropionate(BD)軟膏, クリームを種々の皮膚疾患患者46人に3∼6週間単純塗布で外用し, 血清コルチゾール値, 血糖値, 末梢循環好酸球数を測定した。血清コルチゾール値はBD軟膏, クリームを1日10g外用した場合, ほとんど低下しなかつた。1日10∼20gの外用で, BD軟膏を塗布した場合は低下傾向が認められたが, BDクリームの場合はほとんど低下しなかつた。1日20g以上の外用では著明に低下した。このBD軟膏, クリーム外用による血清コルチゾール値の低下は一時的で, 治療中あるいは治療中止1週間後には正常に回復した。末梢循環好酸球数は1日10g以下の外用でも減少したが, 外用量が多くなるにつれて著明に減少した。血糖値はBD軟膏, クリーム外用後上昇しなかつた。一般皮膚科治療は外来治療が主体であり, 1日外用量は10g以下が大部分と考えられる。そこで外来治療範囲でのBD軟膏, クリーム単純塗布による全身的影響とくに副腎皮質機能抑制は生じないか, 生じても軽度と推測された。
  • —酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン, 酪酸ヒドロコルチゾンならびに吉草酸ベタメタゾンの比較—
    石原 勝, 伊藤 正俊, 神保 有光
    1982 年 44 巻 4 号 p. 611-617
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    BBP(酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン)軟膏と同基剤, HB(酪酸ヒドロコルチゾン)軟膏A(BBP軟膏基剤)およびBB軟膏B(市販品), BV(吉草酸ベタメタゾン)軟膏A(BBP軟膏基剤)およびBV軟膏B(市販品)の6試料を20名の男性志願者の前腕屈側に, 朝単純塗擦, 就寝前密封, これを6週間反復した。基剤外用部との有意差検定上5試料による皮膚異常所見のうち皮膚萎縮がもつとも早期に認められ, 潮紅がこれに次いだ。基剤を除く5試料間には, 皮膚萎縮度および潮紅, 毛細血管拡張作用の点で有意差をまつたくみなかつた。外用中止後皮膚萎縮度は比較的すみやかに軽快, 2週後にはBV軟膏Aを除き基剤との間に有意差をみなくなり, 5週後にほぼ旧値に復した。また外用中止3週後には皮膚潮紅, 毛細血管拡張が全例において正常化した。
  • —新合成コルチコステロイドHydrocortisone 17-Butyrate 21-Propionate外用剤—
    伊藤 正俊, 水野 惇子
    1982 年 44 巻 4 号 p. 618-624
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    尋常乾癬病巣にフィンチャンバー法を利用し, HBP (hydrocortisone 17-butyrate 21-propionate)軟膏基剤, 0.05% HBP軟膏, 0.1% HBP軟膏, 0.2% HBP軟膏, 0.12%BV(吉草酸ベタメタゾン)軟膏, 0.1% HB(酪酸ヒドロコルチゾン)軟膏の6種の試験材料を48時間ずつ2回計96時間密封し, それぞれの全般改善度および効力順位ならびに潮紅の軽快度を比較検討し, 至適濃度の検討を行い下記の成績を得た。
    1) 31尋常乾癬症例が被験対象となつた。
    2) 6試料中, HBPの軟膏基剤が他の5試料より有意に劣つた(P<0.01)。
    3) HBP軟膏間には有意差をみなかつたが, 0.1% HBP軟膏, 0.2% HBP軟膏は0.12% BV軟膏, 0.1% HB軟膏よりも優れた。
    4) 以上, 本試験は96時間の密封に関する検討成績ではあるが, 尋常乾癬を対象とした場合, HBP軟膏の至適濃度が0.1%であることを推測させた。
講座
  • —母斑(含血管腫)患児診療時の考え方(1)—
    山本 一哉
    1982 年 44 巻 4 号 p. 641-643
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    母斑(含血管腫)が小児皮膚疾患の中で占める割合はきわめて大きいものである。しかも母斑を持つ患児を抱えた両親, とくに母親は精神的にかなり問題がある状態にあることが多いと思われる。日常の外来で涙を流して診療を受けるという母親は, その子が母斑患児であるという場合が大部分である。このように情緒不安定な母親が付添つている母斑を持つ患児を診療する場合には, 湿疹·皮膚炎などの患児に対する時とはやや異つた配慮がなされてよいものと考えられる。今回はまず, そのような場合に必要な事項として, 診療歴を聴取する際の注意および両親との面談の重要性を述べた。
治療
  • Pandel臨床研究班
    1982 年 44 巻 4 号 p. 644-656
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    国産第1号の外用合成コルチコステロイドであるhydrocortisone 17-butyrate 21-propionate(HBP)を0.1%含有する外用剤Pandel軟膏(Pan-O)およびPandelクリーム(Pan-C)の臨床効果の位置づけを検討する一環として, Pan-Oについては, Pan-Oの基剤にhydrocortisone 17-butyrateを0.1%含有させたもの(HB-O)およびbetamethasone 17-valerateを0.12%含有させたもの(BV-O)を対照薬剤とするblind性重視の比較試験を, Pan-Cについては, ロコイドクリームおよびリンデロンVクリームを対照薬剤とするwell controlledの製品間比較試験を, いずれも尋常乾癬の入院患者を対象に多施設共同研究として行つた。効果判定に関しては182例, 副作用に関しては183例の解析対象例について検討し, 以下の成績を得た。
    1) Pan-OとHB-Oの比較成績では, 試験開始1週後, 2週後, 3週後の全般改善度および全般改善度の優劣比較, 有用性の判定, 有用性の比較のいずれも, Pan-OがHB-Oより有意に優れた。
    2) Pan-OとBV-Oの比較成績では, 試験開始3週後の全般改善度および試験開始2週後の全般改善度の優劣比較でPan-OがBV-Oより有意に優れた。
    3) Pan-CとロコイドクリームまたはリンデロンVクリームとの比較成績では, 各評価においていずれも有意差は認められなかつた。
  • —リンデロンV軟膏およびロコイド軟膏との二重盲検法による左右比較試験成績—
    HBP外用剤臨床研究班
    1982 年 44 巻 4 号 p. 657-666
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    国産初の新合成コルチコステロイドであるhydrocortisone 17-butyrate 21-propionate(HBP)を0.1%含有するHBP軟膏の有用性を, 二重盲検法に準じ, 多施設共同研究により, 乾癬入院患者90例を対象に, リンデロンV軟膏およびロコイド軟膏を対照薬剤として検討した。その結果, 1日2∼3回単純塗擦では, 最終観察日における全般改善度およびその優劣比較, 有用性の判定, 有用性の比較のいずれにおいてもHBP軟膏はリンデロンV軟膏およびロコイド軟膏より有意に優れ, 副作用発現率はいずれも3.3%であつた。一方, 夜間密封療法(昼間1回単純塗擦)では, 最終観察日における全般改善度および有用性の比較においてHBP軟膏がロコイド軟膏より有意に優れ, 副作用発現率はいずれも10.0%であつた。以上より, HBP軟膏がリンデロンV軟膏およびロコイド軟膏より優れた臨床効果を有することが確認された。
  • —局所および全身的影響の検討—
    HBP外用剤長期投与試験研究班
    1982 年 44 巻 4 号 p. 667-676
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    0.1% Hydrocortisone 17-butyrate 21-propionate(HBPと略す)軟膏およびクリームを長期投与した時の臨床的有用性を調べるため, アトピー皮膚炎および尋常乾癬患者を対象として1日2または3回の単純塗擦により長期および大量投与を行い, これらの症例について, 臨床的評価, 一般臨床検査および血漿コルチゾール値の測定を実施した。試験はアトピー皮膚炎8例(軟膏6例, クリーム2例), 尋常乾癬10例(軟膏6例, クリーム4例)の計18例において実施され, 外用期間は8∼16週間であつた。これらの症例の体表面積に対する薬剤の塗布面積の比率は, 試験開始時5∼100%, 終了時0∼100%であり, 薬剤使用量は, 試験開始時1日3∼100g, 終了時1日4∼40gで, 1症例あたりの総使用量は225∼7,900gであつた。副作用は, 局所的副作用としてざ瘡様発疹が3例にみられたが, 全身的副作用は1例もみられなかつた。一般臨床検査値については, 異常な変動は認められなかつた。血漿コルチゾール値についても, 異常な変動は認められなかつた。以上の結果から, HBPは臨床効果が優れ全身的な影響も少なく, 長期連用が可能な臨床的有用性の高い薬剤であるといえる。
  • Clobetasol 17-Propionate外用剤難治性皮膚疾患研究班
    1982 年 44 巻 4 号 p. 677-689
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    0.05% Clobetasol 17-propionate(CP)クリーム·軟膏を用い, 難治性慢性皮膚疾患を中心とした15疾患(557例)について臨床的有用性の検討を行つた。
    1. 比較的短期間に効果のみられる虫さされ, 薬疹·中毒疹, ジベルばら色粃糠疹に対する有効率は, CPクリームでは95.7%(67/70), CP軟膏では100%(61/61)であつた。
    2. 難治性慢性の11疾患(慢性円板状エリテマトーデス, 扁平苔癬, 紅皮症, ケロイド, 肥厚性瘢痕, サルコイドーシス, 環状肉芽腫, アミロイド苔癬, 天疱瘡群, ジューリング疱疹状皮膚炎·類天疱瘡, 悪性リンパ腫)に対する有効率は, CPクリームでは82.4%(140/170), CP軟膏では85.3%(168/197)であつた。
    3. 円形脱毛症に対する有効率は, CPクリームでは75.8%(25/33), CP軟膏では73.1%(19/26)であつた。
    4. コルチコステロイド, 抗癌剤などの全身投与を認めた天疱瘡群, ジューリング疱疹状皮膚炎·類天疱瘡, 悪性リンパ腫については, 併用群とCP外用剤単独群の有効率に差はなかつた。
    5. 副作用は77例(103件), 13.8%の発現をみた。これらの副作用の大半は軽度のものであり, 治療を中止した症例はCPクリームで2例, CP軟膏で1例の3例であつた。
  • —アルキサ軟膏との比較検討—
    ISP臨床研究班
    1982 年 44 巻 4 号 p. 690-697
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネートを含有する粉末剤(ISP)の皮膚糜爛, 潰瘍に対する治療効果を検討するために同成分を主薬とするアルキサ軟膏(AL)を対照薬として, 5施設にてハーフサイドテストおよび対比較により臨床治療試験を行つた。対象は25症例であつて潰瘍21例, 糜爛4例であり, その原因はきわめて多種多様であつた。臨床症状に対する効果は統計学的に両剤間に有意差を認めず, 有用性の判定においても, 有意差は認められなかつたが, ISPは網状植皮部および中間層採皮部に対してきわめて有用と判定されたものが2例あり, ALにはきわめて有用と判定された例はなかつた。ISPは粉末剤であるため局所を乾燥させる作用があり, 局所の表皮再生能力の強い病巣では過度の湿潤を抑え表皮の再建に有利な環境を作るが, 局所に表皮再生能力がなく植皮を必要とするような広範囲な潰瘍に対しては他の外用薬同様, あまり効果が認められなかつた。ISPの局所に対する副作用はほとんどなく, 今回の治療に際しても25例中3例に必ずしもISPによるとは思われない軽度の刺激作用を認めるのみで, 刺激の頻度はALと同程度であつた。しかしながら, 他の外用剤と同様に本剤使用に際しても常に刺激作用の有無を観察しつつ慎重に治療にあたるべきである。以上よりISPは粉末形態の外用剤であるが, 皮膚の糜爛, 潰瘍の治療剤として有効であるので, 治療に際して選択すべき治療剤の一つであると考えられる。
世界の皮膚科学者
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