薬疹, 中毒疹を含む数種皮膚脂疾患患者151例を被験対象として, L-cysteineの薬効および安全性を追究した。
1) 汎発型薬疹, 中毒疹, ジベルバラ色粃糠疹は中等度以上の改善率も高く, 著明改善例も多く, 治癒平均日数が短いことから, ハイチオール錠の最もすぐれた適応疾患と考えられた。
2) 自家感作皮膚炎, 女子顔面再発性皮膚炎では中等度以上の改善率は劣るが, 軽度以上の改善率は高く, 抗ヒ剤のほかに的確な併用内服剤もないことから, 本剤は試みられてよい。
3) 尋常ざ瘡13例の効果は中等度が7例で, 不変·悪化は1例もなく, 単独投与で抗生剤, 消炎酵素剤, ビタミン剤の併用投与と等しく, 中等度以上の改善率が53.8%であつたことは評価されてよい。
4) 円形脱毛症は自然治癒に要した期間を基準としてL-cysteine 240mg/日と480mg/日との効果を比較し, 無毛から硬毛までの期間は, ともに短縮したが, 480mg服用群では, より短縮がめだつた。また, 投与前後で解析し, 無毛の改善, 屍毛の消失, 生毛, 硬毛の増加に有意差をみた(p<0.01)。
5) 薬疹, 中毒疹, ジベルバラ色粃糠疹, 女子顔面再発性皮膚炎および女子顔面黒皮症ならびに尋常ざ瘡などで, 本剤480mg投与群の改善率が明らかに240mg投与群の改善率を上回つた。
6) 副作用は141例のうち, 円形脱毛症の2例(1.4%)に認めたが, 程度はきわめて軽く, 内服を持続して, それぞれすぐれた効果をおさめた。
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