西日本皮膚科
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48 巻 , 2 号
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図説
綜説
  • 佐藤 健二, 喜多野 征夫, 小塚 雄民, 吉川 邦彦, 三牧 孝至, 杉田 隆博, 安部 治郎, 中村 昌弘, 須沢 八千代, 湯浅 武之 ...
    1986 年 48 巻 2 号 p. 217-221
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    神経症状を伴う色素性乾皮症(XP)に対するリハビリテーション指針を検討した。XPの神経症状の特徴は進行性筋ジストロフィーと類似しているので, これに対するリハビリテーションを参考にして考察し, 1)現時点では疾患そのものの根本的治療は不可能であり, 疾患の進行に伴つて機能障害も重症化すること, 2)したがつて, XPのリハビリテーションの目標レベルは障害の程度により変化させること, 3)子供が多いので, 可能な限り遊びの要素を取り入れたリハビリテーションを作ることなどを考慮した。症状の進行程度によりリハビリテーションの内容を, 症状未出現, 補助歩行可能, 補助歩行不可能の三段階に分けた。第一段階は, 可能な限り早期から多種多様の経験を積ませることにより, 諸機能のよりよい発達と症状出現の遅延をめざす。第二段階は, 出現している症状の進行の度合いを基準にしてその症状の改善あるいは進行の遅延を目指すことである。対象となる主要な症状は, 歩行障害, 構音障害, 難聴, 肥満である。第三段階は, 今後の症状の進行にともなつての検討課題とした。この他にXP患者のリハビリを効果的に行わせるための条件も検討した。
症例
  • 宮岡 達也, 八島 豊, 今山 修平
    1986 年 48 巻 2 号 p. 222-227
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    22才女子の単純性先天性表皮水疱症の1例を報告した。生後2, 3ヵ月より軽微な外力により手, 足に小水疱を生じやすく夏期に増悪していた。3年前より著明なそう痒を伴つて小水疱が躯幹, 四肢にも生じるようになつた。皮疹は中心部に色素沈着を残して治癒し, 辺縁に小水疱が環状に配列しているため, あたかもDuhring疱疹状皮膚炎のごとき臨床像を示したが, 瘢痕, 稗粒腫および爪の変形は認めなかつた。組織学的には, 基底細胞層の裂隙の形成があり, 電顕的には, 表皮基底細胞の基底膜と真皮結合織への鋸歯状の突起を残しその上から基底細胞が断裂しているような像を示した。真皮の結合織との接着にかかわる半デスモゾーム, anchoring fibrils, 基底板はよく保たれていた。しばしば指摘されているtonofilamentのclumpingは基底細胞の崩壊のすすんだものにのみ認められた。
  • —Eccrine Poro-Ductoma—
    麻生 和雄, 山口 千賀子, 安斎 眞一, 穂積 豊
    1986 年 48 巻 2 号 p. 228-235
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    左足背および右頬部のエクリン汗器官腫瘍の2症例について報告した。両腫瘍とも病理組織学的には, eccrine poroma, clear cell hidradenomaあるいは, acrospiromaを思わせるものであつた。症例1の腫瘍を電顕的に検索し, 腫瘍細胞原形質中の細胞内管腔, 管腔周囲線維帯ケラトヒアリン, ライソゾーム, および細胞間管腔形成を認めた。その所見は, 腫瘍が, acrosyringiumとともに, その近傍真皮内汗管を, 1単位として発生したことを示唆するものであり, eccrine poro-ductomaとして報告した。
  • 仁位 泰樹, 入来 敦, 今山 修平, 旭 正一
    1986 年 48 巻 2 号 p. 236-239
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    3才8ヵ月女児。生下時より躯幹, 四肢に散在する紅斑, 皮下結節を認め, 低身長, 円形顔貌, 肥満, 両第5指の短縮といつた身体的特徴を有している。組織学的に結節は真皮内の異所性骨化であつた。血清Ca, Pは正常範囲内であつたが, parathyroid hormoneが高値を示していた。母親にも低身長, 両第4, 5指の短縮があり, 本症をAlbright’s hereditary osteodystrophyと診断した。
  • 角田 孝彦, 小川 俊一
    1986 年 48 巻 2 号 p. 240-243
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    Bowen病を合併した78才女子の背部に生じた, Recklinghausen病を伴わない限局性神経線維腫の症例を報告した。60才頃より背部中央から左側背部に半米粒大から大豆大の26個の半球状小結節を生じ, 左Th9-10のdermatomeに一致して, 列序性に配列, うち2個は正中線よりわずかに右にあり, この2個は正中線を越えた左側の皮神経に発生した。Dermatomeのcrossed overlap現象と考えられた。Bowen病は8年前から右腸骨稜上部に生じ, 両者は偶然合併したと思われる。
  • 今岡 千治, 地土井 襄璽, 大畑 力, 出来尾 哲, 山根 洋右
    1986 年 48 巻 2 号 p. 244-247
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    5才女児にみられたマダニ咬着の1例を報告した。右耳介後部に咬着した虫体を, 周囲の皮膚とともに摘除することにより治療した。摘除後当分の間, 局所および全身状態を観察したが, 伝染病に感染しているとは思われなかつた。虫体の特徴から, 本症例はタネガタマダニによるものであり, この種のマダニによるものとしては, 西日本地区における第6例目と考えられた。マダニについてその分類および疫学について述べた。
  • 高瀬 孝子, 馬場 徹, 上野 賢一, 長谷川 篤彦
    1986 年 48 巻 2 号 p. 248-251
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    69才農婦の左前腕屈側に生じた固定型スポロトリコーシスについて述べた。生検材料のPAS染色組織標本において星芒体, 大小の遊離胞子, その分芽像, 食細胞内胞子など, 多数の菌要素が認められた。ヨードカリの内服と局所温熱療法の併用約3ヵ月で病変は瘢痕治癒した。多数の菌要素の存在について文献的考察を加えた。
  • 水谷 仁, 清水 正之
    1986 年 48 巻 2 号 p. 252-256
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    爪部にのみ皮疹が認められ, 他部位での乾癬皮疹を欠く乾癬性関節炎の2例を報告した。爪乾癬および乾癬性関節炎は典型的皮疹を欠く時診断は容易ではない。しかし, 爪乾癬においては爪の点状陥凹, 横溝形成, 後爪廓よりの膿様物質の排出が, 乾癬性関節炎においては末節部の特有の変形およびレ線上の多くの特異所見を有している。両者ともに単独では診断根拠とすべき所見が得られないとき, 両者間にみられる高い合併率を基に爪乾癬の診断には乾癬性関節炎が, 乾癬性関節炎の診断には爪乾癬の所見が診断根拠となり得ることを示した。
  • 乃木田 俊辰, 大山 勝郎, 前川 嘉洋
    1986 年 48 巻 2 号 p. 257-261
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    患者は39才女子。7年前よりsystemic lupus erythematosus(SLE)にて治療中, 肝機能障害のため某医にて入院中に, チオラによると思われるtoxic epidermal necrolysis(TEN)型薬疹を併発し, 全身痙攣発作, 意識障害に陥つた。その後ステロイド剤の大量投与により, 意識障害は軽快した。精神症状は約30日間続いたが, 後遺症を残さずに第270病日に退院した。SLEの患者では, 中枢神経障害が臨床的に出現する以前より, 中枢神経に病変が進行している可能性があり, 早期に頭部CT, 脳スキャンなどの検査を考慮すべきであると思われた。
  • 宿輪 哲生, 貞森 道子, 西本 勝太郎
    1986 年 48 巻 2 号 p. 262-266
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    54才女子のacquired total lipodystrophyと思われる症例を報告した。ほぼ全身に皮下脂肪の脱落がみられ, インスリン抵抗性糖尿病, 高脂血症を合併していた。組織学的に皮下脂肪織の萎縮が認められたが, それは個々の脂肪細胞のサイズの減少であることが確かめられた。
研究
  • —白癬·スポロトリコーシス·クロモミコーシスにおける蛋白抗原の臨床的検討—
    真菌抗原研究班
    1986 年 48 巻 2 号 p. 267-277
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    全国10施設の大学病院皮膚科外来において, 白癬·スポロトリコーシス·クロモミコーシスを対象として, 新しく作つたペプチド抗原と, 従来の皮内反応抗原による皮内反応を比較し, 多数例の解析によつてその有用性を検討した。
    1) 白癬では, Trichophyton mentagrophytes, T. rubrumから作製した抗原は, いずれも75%前後の高い陽性率を示した。菌株特異性は少なかつた。
    2) Trichophytinの陽性率は25%でかなり低かつたが, この陽性率の差は, 濃度の再検討により相当程度に調整可能と思われる。
    3) 症例による反応のつよさのばらつきが非常に大きく, 紅斑径が40mmをこえるような強陽性例が5%あつた。
    4) 即時型反応が高率(85%)にみられた。
    5) ケルスス禿瘡は, 一般の表在性白癬と同程度のつよさの反応を示した。
    6) Microsporum canisによる白癬では, M. canisから作製したペプチド抗原が陽性反応を示したが, 他の白癬菌の抗原もかなり反応し, 菌株による特異性はそれほど高くなかつた。
    7) スポロトリコーシスでは, ペプチド抗原と従来のsporotrichinは, いずれも陽性反応を示したが, 陽性反応の弱い例が一部にみられた。
    8) スポロトリコーシスの場合も, 過半数の症例が即時型反応を示した。
    9) クロモミコーシスでは, Fonsecaea pendrosoi, Phialophora dermatitidisの2株から抗原を作製したが, 5例中3例が陰性で, 診断的有用性は低いと思われた。
  • 鈴木 真理子, 佐藤 静生, 田崎 理子, 沢村 大輔, 野村 和夫, 橋本 功, 帷子 康雄
    1986 年 48 巻 2 号 p. 278-283
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    再発性アフタ, Behçet病に対するcepharanthinの奏効機序をさぐる目的で, 正常人5名の多核白血球の活性酸素産生能におよぼす本剤の効果をin vitroで検討した。その結果, 活性酸素のうちO2-の産生(cytochrome C法により測定)は, phorbol myristate acetate(PMA)刺激の場合, 本剤5μg/ml添加で83%, 10μg/mlで98.7%抑制され, またluminol依存性化学発光量は1μg/mlで29%, 5μg/mlで95%抑制された。一方, xanthine-xanthine oxidaseによるO2-生成は, 50μg/ml添加までまつたく影響しなかつたこととあわせて, cepharanthinはDDS(4-4-diamino-diphenyl sulphone)やcolchicinとは異なつた機序で多核白血球の活性酸素産生を抑制すると考えられ, これら薬剤の併用投与は, その活性酸素産生能の亢進しているBehçet病に対して意義のあるものと推察された。さらに本剤は, 多核球によるauto-oxidative damageが関与するとされる種々の病態に対してもその効果を臨床的に検討する価値があると考えられた。
  • 実験的接触皮膚炎におけるフィブロネクチンの分布
    長田 浩行, 中川 昌次郎, 武井 洋二, 岡 大介, 植木 宏明
    1986 年 48 巻 2 号 p. 284-288
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    近交系JY1モルモット皮膚にDNCBを塗布し, 種々の接触皮膚炎を惹起し, 経時的に抗モルモットfibronectin(FN)抗体を用いた蛍光抗体法によりFNの分布を観察した。5%DNCB塗布による一次刺激性接触皮膚炎では3時間後, すでに表皮内へFNの沈着がみられ, 6∼24時間ではさらに著明になつた。FNは角層を除く表皮細胞の細胞膜, 胞体に一致してみられ, 表皮真皮間の裂隙形成部では, 水疱底の真皮上層にも著しいFNの特異蛍光をみとめた。3日後には再生表皮が形成されたが, それにはFNはみられず, その上層にある変性した表皮細胞に観察された。5%DNCBで感作した7日後に, 0.2%DNCBを塗布して惹起したアレルギー性接触皮膚炎では, 3∼6時間はFNはみられず, 9時間後に表皮細胞の細胞膜, 胞体に一致してFNが観察されたが, 24時間からは表皮内より消失した。さらにアレルギー性接触皮膚炎の部位に0.2%DNCBを再度塗布したretest反応では, 3時間後より表皮細胞の細胞膜と胞体に一致してFNをみとめ, 24時間では表皮の上層1/2に限局してFNが観察され, 3日後には表皮内より消失した。また, いずれの皮膚炎においても塗布3日後より, 真皮乳頭層のFNの網目状分布が増加する傾向がみられた。これらの結果から, 表皮内にみられたFNは, 炎症に伴い血漿性FNが表皮内へ侵入して沈着し, 変性表皮の除去, 表皮の再生に関与している可能性が示唆された。
  • 大塚 俊夫
    1986 年 48 巻 2 号 p. 289-293
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    子豚の分層植皮片採取部位の治癒過程における局所線溶の変動を表皮形成が完了するまでの7日間経時的に観察した成績を報告した。分層植皮片採取部位の局所線溶は, 採取後6∼24時間に減弱し, 3∼5日後には亢進, 6∼7日後に復元して正常活性を呈した。この間に表皮形成は完了しており, 局所線溶の変動は組織の修復に必要な生体の合目的反応の一つと推測した。
  • 桐生 博愛, 江口 一彦, 末永 義則
    1986 年 48 巻 2 号 p. 294-299
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    1) スラントN培地の赤変は, 菌種によらず, 培地のpHが6.0∼6.1以上に上昇したときに生じた。
    2) 赤変日数の差は皮膚糸状菌をAspergillus flavus, Alternaria alternataなどの雑菌と区別する方法として有用であると思われた。
    3) スラントNにおける培地pHの上昇パターンは, 急速にpHが上昇するTrichophyton mentagrophytes型, 緩やかなpH上昇を示すT. rubrum型, いつたんpH低下を示したあとpH上昇が起るAspergillus flavus型の3型にわけることができた。
    4) pH上昇の原因は, ペプトンの分解によるアルカリ性物質のためと考えられ, Aspergillus flavusにおける初期のpH低下は, ブドウ糖分解による酸性物質の産出がペプトンの分解に先行する結果と考えられた。
  • 幸田 衞, 武井 洋二, 稲垣 安紀, 植木 宏明
    1986 年 48 巻 2 号 p. 300-303
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    130例, 234患部の陥入爪を治療した。治療成績は, 手術療法(爪甲を含めた爪一部切除術)では94.7%が完治し, 保存療法(爪甲先端の角を爪廓皮膚よりのばす)では40.8%が完治し, 抜爪では大部分が再発していた。最終的に行つた治療方法と, 重症度, 罹患期間, 抜爪歴の有無の相関を調べ, 治療適応を検討した。(1)軽症で罹患期間の短いものは保存療法をする, (2)中等症, 重症でも抜爪歴がなく, 爪甲の変形が軽度のものは保存療法を試み, 2週間程度で軽快傾向のないものは手術療法を勧める, (3)抜爪歴を有し, 爪甲の変形が強いものは早期に手術療法を施行する, という方針が得られた。抜爪や爪切りでは, ほとんど再発し, むしろ悪化する傾向があるので, 施行すべきではないと考えた。
講座
治療
  • 手塚 正
    1986 年 48 巻 2 号 p. 309-312
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    乾癬にトラニラスト(リザベン)を1日4カプセル投与して以下の成績を得た。
    1) 16才男子の汎発型乾癬にロコイド軟膏またはリドメックス軟膏を単純塗擦し, トラニラストを内服させたところ, それまでなかなか消失しにくかつた皮疹が劇的に消失した。
    2) さらに汎発型2例, 限局型4例で検討したところ, 汎発型2例全例で著効であつたが限局型では4例中, 有効1例, やや有効2例, 無効1例で, 著明な効果は認められなかつた。
    以上のことから, トラニラストは乾癬に対して新しい治療薬として期待でき, とくに汎発型乾癬には有効と思われた。
  • MD製剤研究会
    1986 年 48 巻 2 号 p. 313-325
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    新基剤membrane dressing(MD)にbeclomethasone dipropionate(BD)を0.025%配合した外用剤(BD-79)の湿潤型湿疹·皮膚炎, 苔癬化型湿疹·皮膚炎, 乾癬, 急性·亜急性痒疹に対する臨床的有用性を検討するため, 全国24施設の共同研究として市販のBDクリームを対照薬とするwell-controlled comparative studyを274症例について施行した。その結果, 湿潤型湿疹皮膚炎において対照薬より効果発現が速く, 有用性も有意に優れていることが明らかにされた。またその他の疾患ではほぼ同等の有用性を認めた。安全性に関してはいずれの疾患においてもBD-79, 対照薬は同等であつた。以上の成績によりBD-79はすぐれたコルチコステロイド外用剤であると考えられる。
  • MD製剤研究会
    1986 年 48 巻 2 号 p. 326-332
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    新しい基剤を用い, 密封効果を持たせたbeclomethasone dipropionate含有外用剤であるBD-79の, 病変部への効果ならびに皮膚への影響, さらに全身的影響を検討する目的で, 全国15施設の共同研究としてオープンスタディーによる長期投与試験を施行した。日常治療に近い形で長期に比較的大量(初回投与量:1日5g以上)に用いる方法に従つた。1ヵ月以上の治療が必要な難治例を対象としたが, 尋常乾癬9例, アトピー皮膚炎3例, 汎発性湿疹1例, 慢性痒疹1例および湿疹続発性紅皮症1例の計15症例について検討を加えることができた。臨床効果は66.7%の有効率と53.3%の有用率を示した。副作用は2例に発現したがいずれも軽度であつた。全身的影響は非常に軽いことが認められた。すなわち臨床検査の結果,薬剤が原因と思われる全身に対する影響は, 好酸球数の一時的減少を除き認められなかつた。これらの結果はbeclomethasone dipropionateについてすでに行われている全身的影響の検討結果と一致するものであり, BD-79のように密封効果を持たせた基剤の剤型の場合でも, 全身的影響は軽微であり, 局所への影響もさほど強くない, 有効性·安全性に優れた薬剤と考えられる。
  • —多施設二重盲検群間比較法によるClemastine Fumarateとの比較—
    Ketotifen皮膚科研究班
    1986 年 48 巻 2 号 p. 333-343
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    慢性蕁麻疹に対するketotifenの有効性, 安全性および有用性をclemastine fumarateを対照薬として, 多施設二重盲検試験で比較検討した。
    1. 回収症例の内訳は完全採用例288例, 安全度のみ採用例8例で合計296例を解析対象症例とした。また完全採用例288例のうち, ketotifen群(以下K群と略記)151例, clemastine fumarate群(以下C群と略記)137例であつた。
    2. K群151例とC群137例の患者背景はすべての項目で有意差を認めなかつた。
    3. 最終全般改善度は中等度改善以上でK群はC群に比べて有意(p<0.05)に優れていた。
    4. 安全度は副作用の発現率でK群21.6%, C群28.0%であり, 両群間に有意差は認められなかつた。
    5. 有用度はU検定による両群間の比較で, K群はC群に比べて有意(p<0.05)に優れていた。また有用以上でK群はC群に比べて優れている傾向(p<0.10)であつたが, やや有用以上で有意(p<0.05)に優れていた。
    6. 皮膚症状の推移は1, 2週後のそう痒および2週後の発斑(膨疹·紅斑)で, K群はC群に比べて有意に症状の程度の減少が認められた。
    7. 皮膚症状の消失改善度は2週後のそう痒および発斑(膨疹·紅斑)で, K群はC群に比べて有意に優れていた。
    8. 臨床検査で治療期間中に発現した異常値はC群でGOT, GPTの上昇が1例のみに認められた。
  • 林 葉子, 肥田野 信
    1986 年 48 巻 2 号 p. 344-349
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    アレルギーの家族歴を有する4∼8才のアトピー皮膚炎患児15例に, 抗アレルギー剤ケトチフェンドライシロップを4∼6週間投与し, その有用性を検討した。全員が中等症であつたが, 66.7%に中等度以上の改善がみられ, 未治療者やアレルギー疾患の既往合併のないものに改善度が高かつた。副作用はまつたく認められず, 有用度は80%であつた。皮膚症状の軽快のほか, アレルギー検査でも改善がみられた。
  • 上出 良一, 田中 栄, 新村 眞人
    1986 年 48 巻 2 号 p. 350-355
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    小児アトピー皮膚炎の20例について8週間にわたりketotifenドライシロップを体重14kg未満は, 0.8mg/日, 14kg以上23kg未満は1.2mg/日, 23kg以上では2.0mg/日を分2で投与し, その有効性, 安全性および有用性について臨床的に検討した。各症状の改善度はそう痒90%, 丘疹80%, 紅斑90%, 湿潤·糜爛78.6%, 表皮剥離·掻破痕73.3%, 苔癬化70.0%, 落屑78.9%と全症状において70%以上の高い改善率を示した。最終全般改善度は著明改善5例(25.0%), 中等度改善9例(45.0%), 軽度改善4例(20.0%), 不変2例(10.0%)で悪化例は認められなかつた。中等度改善以上が70.0%, 軽度改善まで含めると90.0%となり, かなり高い改善度といえる。副作用は1例で眠気が発現したのみで, ほかに重篤な副作用は認められなかつた。以上よりketotifenドライシロップは従来のシロップ剤と同様, アトピー皮膚炎の治療に有用であり, さらに, この剤型は保存, 取り扱いの上で使いやすい剤型であると考えられた。
  • 中山 秀夫, 戸田 道子, 植原 八重子
    1986 年 48 巻 2 号 p. 356-359
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    マキロン軟膏は, 0.025%という低濃度の酢酸デキサメタゾン含有率であるが, 中等症が87%をしめる湿疹·皮膚炎62例に1∼2週間用いて, 有効率(有効以上)79%の効果が認められた。副作用は認められなかつた。試験の結果, 中等症までの湿疹, 皮膚炎には, この程度の強さのステロイド外用剤でも8割には有効であることが判明した。本剤で治らない2割内外の症例には, 副作用がより大ながら, 強力なステロイド外用剤が専門医の指導のもとで使用される必要があると考えられる。
世界の皮膚科学者
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