西日本皮膚科
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48 巻 , 5 号
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図説
綜説
  • 西尾 一方
    1986 年 48 巻 5 号 p. 839-852
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    成人T細胞白血病(ATL)は, 1976年本邦成人に発生するT細胞性白血病の特殊型として提唱された。その特徴は, 強い白血化傾向, 末梢血中の異型細胞の出現, 発症における多発地帯の存在などである。患者の半数に特異性皮膚病変がみられるので, 皮膚科医にとつてATLに関する知識は不可欠である。産業医科大学病院を受診した患者および組織標本などの資料を検討しえた他施設の症例について, 特異性病変を中心に臨床と病理を記述した。アンケート調査により, 全国80医療機関から皮膚浸潤を伴うATL 153例を集計し, 疫学的ならびに統計的解析を試みた。性差なく50才代に多かつた。九州·沖縄は多発地域とみなされた。またこれらを対象に, 皮膚症状や組織分類をまとめた。ATLの本態や病因に関しては, 最近各方面から精力的な研究がなされている。ATL細胞は末梢性T細胞由来で, inducer/helper細胞の性格をもつ。しかしin vitro実験ではB細胞分化に対してsuppressor活性を示す。また病因ウイルスATLVはHTLV-1と同一のレトロウイルスに属することが証明された。ATL細胞およびHTLV-1に関する免疫学的, 分子生物学的研究の新しい知見について解説した。
症例
  • 西尾 一方, 占部 篤道, 山元 修, 武 信昭
    1986 年 48 巻 5 号 p. 853-858
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    4才女児。生後6ヵ月頃右側腹部に皮下結節が発生, 3才時にその表面皮膚に水疱様病変の出現をみた古典型限局性リンパ管腫の1例について, 酵素組織化学的ならびに透過電顕的に検討を加えた。これら結果を総合的に判定すると, 病変の主要構成々分である真皮上層の拡張した管腔は, 内容に赤血球を充満したものも空虚なものも, ともに毛細リンパ管に近い所見を示した。また本症の成因には, 皮下の病変が重要な役割を果すと考えられた。
  • 武下 泰三, 今山 修平
    1986 年 48 巻 5 号 p. 859-863
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    1才4ヵ月女児のeccrine angiomatous hamartomaの1例を報告した。生下時より存在する右大腿前面の有毛性黒褐色皮疹を主訴として来院, 皮疹を摩擦することにより, 病変部に一致した発汗を認めた。組織所見では, 真皮中層から下層にかけて, 汗腺の増生とそれに近接してcapillary typeの血管腫構造を認めた。電顕所見では, 増生した汗腺分泌部は, 正常に比べ著変はみられなかつた。増生した血管は, venous capillaryまたはpostcapillary venuleの型を示しており, また新生血管と考えられる所見もみられた。このことより, 本疾患の本態が血管腫ではないかと推測した。
  • 道永 麻里, 児島 孝行, 渡辺 富美子, 小林 まさ子, 村野 俊一
    1986 年 48 巻 5 号 p. 864-869
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    43才主婦。身長141cm。体重31kg。両眼白内障手術の既往があり, 細い四肢と円筒状の躯幹をもち, 両足趾の外反を示すWerner症候群で, 家族歴では兄弟6人中, 姉, 妹が同症で乳癌に罹患し, 姉は死亡している。長姉の娘も同症と診断されている。初診の2年ほど前, 左内果下方に黒色斑が出現, 徐々に隆起し, 1983年2月9日当科初診した。左内果下方に4.5×3.2cmの半球状肉芽腫様腫瘤を認めた。入院後諸検査で, 糖尿病, 高血圧症, 高脂血症, 原発性卵巣機能不全, 軽度動脈硬化, 骨粗鬆症の診断が得られた。3月2日, 腫瘍広汎切除術および左鼠径リンパ節郭清術を施行した。組織学的に, 結節型悪性黒色腫, pT3N1, Stage IIと診断した。術後, 化学療法(DTIC, ACNU, vincristine)3クール施行し, 経過良好であつたが1984年1月末再発し, その後, 肝臓, 左大腿部皮膚への転移がみられ, 種々の治療を行うも, 肝不全となり, 1985年1月12日死亡した。剖検にて, 肝をはじめ, 肺, 脾, 後腹膜リンパ節など広範囲に転移が認められた。本邦で悪性腫瘍を伴つたWerner症候群は, 自験例を含めて21例の報告があるが, そのうち悪性黒色腫が8例と, 約1/3を占めている。
  • 玉城 英子, 谷口 信吉, 小川 豊
    1986 年 48 巻 5 号 p. 870-875
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    下垂体腫瘍を合併し, 骨侵襲を伴つたカポシ肉腫(KS)の1例を報告した。本症例は, いわゆる古典的KSであり, 検査では, とくに免疫学的異常を思わせる所見はなかつたが, 内分泌検査において, 成長ホルモン, 甲状腺刺激ホルモン, 17-OHCSなどに著明な分泌能の低下を認め, それらが何らかの形で免疫能に作用し, 本症発症の1誘因になつているのではないかと考えている。また, 最近脚光をあびているAIDSのKSについても述べ, なぜAIDSに数ある悪性腫瘍のなかでKSが多発するのかについて, サイトメガロウイルスが大きく関与しているのではないかと推察した。
  • 本多 朋仁, 黒田 真臣, 藤井 義久, 瀬口 俊一郎, 新海 浤, 高安 進, 松島 凛太郎
    1986 年 48 巻 5 号 p. 876-878
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    76才男子。頭頂部に急速に増大する腫瘤が出現, 頭部CTスキャンで頭蓋内浸潤を認めた。病理組織像では, 転移性扁平上皮癌が疑われたが, 胸部X線写真上腫瘍の存在が確認できず, 剖検の結果心臓に接した部位に肺低分化型扁平上皮癌を認めた1例を文献的考察を加え報告した。
  • 西村 正幸, 林 紀孝, 利谷 昭治, 旭 正一
    1986 年 48 巻 5 号 p. 879-882
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    34才女子。約6年前左右対称性に小指球部全体に浮腫性紅斑を生じた。約4年前より間歇的に全身倦怠感や関節痛があり, 露出部に鱗屑を伴つた紅斑や小丘疹が生じ, 頭部の脱毛がめだつてきた。皮膚症状および諸検査所見にもとづき, 本症例をsubacute cutaneous lupus erythematosusと診断した。小指球部に限局した浮腫性紅斑は血管炎によるもので, 本症の初発皮膚症状と考えられた。
  • 平本 力, 山根 康弘, 北島 康雄, 矢尾板 英夫
    1986 年 48 巻 5 号 p. 883-886
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    兄(9才), 妹(7才), 母系祖父(63才)からなる円形脱毛症の1家系例を報告した。兄妹はいずれも全身の脱毛を示す汎発性脱毛症で, 祖父は再燃寛解を繰り返す多発性円形脱毛症である。本家系例は, 円形脱毛症に遺伝的要因があることを示唆すると思われる。3例に, RAテスト, LEテスト, LE細胞現象, 抗核抗体, 抗平滑筋抗体, 抗胃壁細胞抗体, マイクロゾームテスト, サイロイドテストを検査したが, いずれも陰性であつた。3例にHLA A2, Bw60(40)のhaplotypeがみられ, Hordinskyら(Arch Dermatol 120: 464, 1984)が報告した家族性円形脱毛症にみられたhaplotypeに一致すると考えられ, 興味深い。
  • 若林 淑子, 柴田 明彦, 森嶋 隆文
    1986 年 48 巻 5 号 p. 887-891
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    臨床的にも, 病理組織学的にも色素性痒疹に酷似した病変をみた, 29才女子例を報告した。自験例で特異なことはこれまで4回にわたりおこなつた減量のための断食ごとに発症し, 断食開始から皮疹出現までの期間がしだいに短縮したこと, 患者が皮膚病変の経過を予測しえたことである。以上の事実から, 自験例は心身症としての色素性痒疹例と位置づけられるものと考えられた。
  • 高橋 収, 田中 伸二, 小国 隆, 中西 秀樹
    1986 年 48 巻 5 号 p. 892-896
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    フラジオマイシン(FRM)含有軟膏の大量使用が原因と考えられた両側感音難聴の2例を報告した。症例1は53才男子。たきびの火が着衣に引火し, 体表面積の70%(III度55%)の熱傷を受け, FRM含有軟膏を外用して総計38.5kgを使用した。外用開始約4ヵ月後より耳鳴の訴えがあり, 聴力検査で高音障害型の両側感音難聴を指摘された。症例2は18才男子。ガソリンの爆発で, 体表面積の70%のIII度熱傷を受け, 受傷後4週目頃より, FRM含有軟膏を外用し総計48kgを使用した。外用開始, 約5ヵ月後より耳鳴を訴え, 聴力検査で高音障害型の両側感音難聴を指摘された。2症例とも難聴は外用剤中止後も徐々に進行し, 約1年でほぼ全聾状態となつた。
  • 洲脇 正雄
    1986 年 48 巻 5 号 p. 897-901
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    たばこ皮膚炎の2例を報告した。1例は一次刺激性皮膚炎と考えられ, 他の1例はアレルギー性接触皮膚炎であつた。症例1は50才農婦で葉たばこの芽カギ作業を行つた後, 顔面, 両手背にそう痒のある紅斑および丘疹が出現した。新鮮なたばこの葉によるパッチテストが陽性であつた。症例2は70才農夫で50年来葉たばこの生産に従事しているが, 最近になつてたばこの刈り入れ時期になると露出部に強いそう痒性紅斑をきたすようになつた。皮疹は刈り入れ作業が終了すると軽快, 消失した。葉たばこの新鮮葉および乾燥葉によるパッチテストが陽性で, 乾燥葉の蒸留水およびエーテル抽出液もまた陽性を示し, さらにエーテル抽出液の方がより強い反応を呈し, 反応は1週間持続した。同じ抽出液による対照22名でのパッチテストはすべて陰性であつた。症例2は未加工の葉たばこの葉に対する真のアレルギーが確認されたことで, 非常にまれであると考えた。
  • 坂梨 洋, 坂梨 美奈子, 吉永 愛子
    1986 年 48 巻 5 号 p. 902-905
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    頭虱の駆除目的で, 頭部に水銀軟膏を塗擦し, その後発熱を伴い中毒疹様発疹の見られた姉妹の2症例を報告した。
  • 久保 容二郎
    1986 年 48 巻 5 号 p. 906-909
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    漢方外用薬「紫雲膏」に含まれるゴマ油による接触皮膚炎の1例を報告した。患者は35才女子で, 左前腕の熱傷に市販の紫雲膏を使用し10日目頃より熱傷部およびその周囲に紅斑と小水疱が出現した。貼付試験の結果, 紫雲膏はas isから1%にまで陽性反応を呈した。その構成成分の検討では, ゴマ油にたいして明らかな陽性が認められた。
  • 田中 敬子, 川口 俊夫, 安岐 敏行, 板垣 哲朗
    1986 年 48 巻 5 号 p. 910-914
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    山陰地方で第1例と思われるクロモミコーシスを報告した。松江市在住の84才男子。約40年前より左上腕に紅斑があり徐々に拡大した。最近, 一部が隆起してきた。今までに同部の治療を受けたことはない。明らかな外傷の既往はない。昭和60年3月5日初診。左上腕外側に41×30mmの浸潤性, 落屑性紅斑があり, 左手背にも15×12mmの紅斑を認めた。所属リンパ節は触知しなかつた。白血球数5,800/mm3, 好酸球6%, ツベルクリン反応陽性, DNCB感作成立。鱗屑のKOH法でsclerotic cellを認め, 培養でFonsecaea pedrosoiを分離した。皮膚生検では, 表皮, 膿瘍, 巨細胞内にsclerotic cellを認めた。表皮の偽癌性増殖は見られなかつた。3月12日より5FC 8g/dayの内服を開始し, Erhitzenを用いた局所温熱療法を併用した。4週間後に局麻下に紅斑部を切除した。切除標本内にはsclerotic cellを認めなかつた。5FCは4g/dayに減量して投与継続した。総量932gであつた。副作用は見られなかつた。術後9ヵ月再発は認められなかつた。中国地方における黒色真菌感染症の報告例を集計し, 山陰地方に少ない理由として気候的因子について検討を加えた。
研究
  • 深井 和吉, 石井 正光, 小林 裕美, 茶之木 美也子, 濱田 稔夫, 村垣 泰光, 大島 章
    1986 年 48 巻 5 号 p. 915-919
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    胎盤より抽出して得た, I型, III型コラーゲンを用い, 抗I, III型コラーゲンポリクローナル抗体, および抗III型コラーゲンモノクローナル抗体を作製した。蛍光抗体間接法により, 正常ヒト皮膚における分布を検索したところ, ポリクローナルおよびモノクローナル抗体のどちらの検索においても, I型のみならず, III型コラーゲンも真皮全層に分布しており, その分布様式は, I型コラーゲンとほぼ同じであることが判明した。これまでIII型コラーゲンは真皮乳頭層にのみ分布し, 真皮網状層にはほとんど存在しないとされてきたが, III型コラーゲンのヘリックス部分に対する抗III型コラーゲンモノクローナル抗体を用いても, 真皮全層に瀰漫性に反応した事実より, 正常ヒト皮膚においても他臓器におけると同様, I型およびIII型コラーゲンが近密に共存していると考えられた。
  • 小林 裕美, 石井 正光, 茶之木 美也子, 深井 和吉, 濱田 稔夫, 村垣 泰光, 大島 章
    1986 年 48 巻 5 号 p. 920-923
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    ヒト胎盤より抽出したIV型コラーゲンを家兎に免疫して得た抗ヒトIV型コラーゲン抗体を用い, 2才から85才までの16人の計36ヵ所より採取した健常皮膚の凍結切片について間接蛍光抗体法による検索を行つた。その結果, 表皮真皮境界部, 血管および付属器周囲の基底膜のみならず, 表皮真皮境界部では基底膜直下に, 血管および付属器では基底膜周辺に顆粒状および細線維状の蛍光が認められた。すなわち, IV型コラーゲンの基底膜外における分布が明らかとなつた。この所見は, IV型コラーゲンの真皮における働きや正常および病的状態における基底膜の動態, 代謝を考える上で重要であると考えられる。
  • 茶之木 美也子, 石井 正光, 深井 和吉, 小林 裕美, 濱田 稔夫, 村垣 泰光, 大島 章
    1986 年 48 巻 5 号 p. 924-928
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    α1(V)〕2 α2(V)コラーゲンに対する抗体を用いて, 2才から85才までの16人, 計36ヵ所の露出部および非露出部の正常皮膚について, 間接蛍光抗体法を行いその分布を免疫組織化学的に検索した。ヒト胎盤をペプシン処理後, NaClによる分別沈殿法によりV型コラーゲンを分別抽出し, DEAE-セルロースクロマトグラフィーにて精製して得たタンパクをウサギに免疫してV型コラーゲンに対する抗体を作成した。抗原となるタンパクは, SDS-PAGE (sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide gel electrophoresis) で〔α1(V)〕2 α2(V)コラーゲンであり, α3(V)鎖は含まれていないことを確認した。またその抗原は, ELISA法(enzyme-linked immunosorbent assay)およびimmunoblotting法により他種コラーゲン, ラミニン, フィブロネクチンと交叉反応しないことを確認した。このようにして作成した抗体を用い間接蛍光抗体法を行つたところ, すべての検体で真皮全層にわたつて瀰漫性に反応した。また, 表皮真皮境界部や, 血管周囲また付属器周囲の基底膜には反応が認められなかつたが, 真皮上層と血管周囲, 毛包周囲, エクリン腺周囲において他の部位よりも強い蛍光が基底膜のすぐ近くまで, 帯状または瀰漫性に認められた。これは, 皮膚における〔α1(V)〕2 α2(V)コラーゲンの分布を示す興味深い所見である。
  • 阿部 順一, 中野 俊二, 笹井 陽一郎
    1986 年 48 巻 5 号 p. 929-933
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    臨床的, 病理組織学的ならびに免疫組織学的に水疱性類天疱瘡と診断された6例より各時期の水疱, および発疹のみられない部位に作製した吸引水疱を生検し, 走査電顕により観察した。疱膜裏面では, 敷石状に配列する基底細胞が, また水疱底では基底膜様膜状構造が観察された。疱膜裏面の変化を経時的に観察すると, 基底細胞は変性して水疱腔内に脱落し, ついには有棘細胞が露出するのがみとめられた。しかし有棘細胞には何の変化もみられなかつた。また吸引水疱では, 表皮および真皮に著変をみとめなかつた。
  • 村木 良一, 北村 啓次郎, 徳永 信三, 籏野 倫
    1986 年 48 巻 5 号 p. 934-941
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    帯状疱疹154症例につき, (1)部位, (2)基礎疾患·誘因, (3)疼痛の経過などに注目し, 高令群(50才以上)と若年群(50才未満)に分けて臨床的に検討した。部位では両群ともに三叉神経第1枝領域に最も多いが, 高令群では第2, 10胸神経領域がこれにつぎ, 神経痛の持続もこれらの部位の例にめだつた。基礎疾患·誘因では循環器疾患, 悪性腫瘍が多く, 若年群では疲労を誘因とした例がめだつた。局所誘因としては外傷, 放射線照射などがあり, これらでは局所の小血管障害, 局所免疫の低下が発症に関与している可能性が考えられた。基礎疾患のうち, 胆嚢疾患, 妊娠などでは原疾患の知覚過敏帯, 圧痛点を含む分節に多く発症していた。疼痛については病初期の強い痛み, 持続鈍痛, 瞬時痛, 感覚異常が経過とともに出現した。病初期の強い痛みの期間には年令層による差はなく, 瞬時痛, 感覚異常では高令群に長期持続がめだつた。本症の痛みはその時期により発生機序が異なると思われた。
  • 牧野 良造
    1986 年 48 巻 5 号 p. 942-949
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    慢性蕁麻疹患者の97例にモーズレイ性格検査を行い, 以下の結果を得た。性格の一般的パターンあるいは全体像としては, 正常者群とは異質集団であつた。その特徴は, 外向性(男>女)であり, 神経症的傾向はなかつた。易怒性は女子のみに認められた。ただし, 身体的因子による内訳では, 吸入アレルゲンテスト陰性群には外向性は認められず, 同陽性群は同陰性群より神経症的傾向が強くみられた。精神·心因性疾患中, 本症は器官神経症·大腸機能異常群と同質の性格を示した。そこで, 本疾患の背景には心理学的側面があることになり, 慢性蕁麻疹には心理的因子と身体的因子がたがいに影響しあい, 重なりあう疾患, すなわち, 心身症的考察を強く必要とする疾患であると考えた。心身医学的に見た病気の分類上, 性格心身症に属する可能性を仮定してみた。
  • 中山 樹一郎, 旭 正一, 占部 治邦, 木下 幸子, 石井 信子, 服部 幸子, 中原 睦子
    1986 年 48 巻 5 号 p. 950-954
    発行日: 1986/10/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    リザベン(トラニラスト)を乾癬およびアトピー皮膚炎10例に400mg/日以上の内服投与をおこなつた。2週間以上内服した時期の肝機能を測定すると, 通常のSMAC法で測定した場合, 10例中7例がGOT, GPT高値(測定不能)を示した。この血清を別の方法(Reitman-Frankel法)で測定すると, GOT, GPTいずれも正常域で, 真の肝機能障害ではないと思われた。分析の結果, リザベンの吸光スペクトルは340nmで, SMAC法の測定波長と偶然一致しており, またGOT·GPT測定試薬系への非特異的干渉効果も加わつて, 血中のリザベンによる吸光増大をおこすものと考えられた。
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