西日本皮膚科
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48 巻 , 6 号
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図説
綜説
症例
  • 島本 順子, 稲田 修一, 功野 泰三, 川瀬 規子, 池田 早苗
    1986 年 48 巻 6 号 p. 1050-1053
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    45才男子。口腔粘膜に糜爛があり, 鼠径部から大腿部にかけて疣贅状丘疹が集簇していた。一部の丘疹の表面には小膿疱や糜爛形成が認められた。丘疹は組織学的に表皮内好酸球性膿瘍を呈し, 蛍光抗体直接法にて表皮細胞間にIgGの沈着, 間接法にて抗表皮細胞間抗体128倍以上の陽性を示し, pemphigus vegetans of Hallopeauと診断した。
  • 中山 管一郎, 末永 義則, 上野 輝夫, 青野 誠一郎
    1986 年 48 巻 6 号 p. 1054-1059
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    D-Penicillamineにより誘発されたherpetiform pemphigus様皮膚病変の1例について報告し, 若干の文献的考察を加えた。症例: 41才女子。初診11ヵ月前よりRA治療のためD-penicillamine 100∼200mg/dayを内服しており, 投与9ヵ月後右頬部に水疱が発生, 四肢, 体幹に拡大, リンデロン4錠を併用されたが難治であつた。初診時体幹, 四肢に, 辺縁に小水疱が配列する環状の浮腫性紅斑と糜爛が多発し, 口腔粘膜, 舌に粘膜疹を認めた。検査成績で抗核抗体, 抗ENA抗体陽性。病理組織学的には海綿状態を主体とし, 表皮内水疱の形成があつた。ただ標本中1個の水疱において, 多数の好中球, 好酸球を含むほか, 基底層上部に軽度の棘融解がみられた。蛍光抗体直接法で表皮細胞間にIgGの沈着が証明された。間接法で核に一致しIgG陽性, その干渉作用により天疱瘡抗体は検出されなかつた。治療はD-penicillamineを中止し, プレドニン40mg投与にて軽快, 現在15mg内服で再発はない。
  • 渡辺 雅久, 大神 太郎, 入船 弘子, 山下 和徳, 野中 薫雄, 吉田 彦太郎, 西本 勝太郎
    1986 年 48 巻 6 号 p. 1060-1064
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    79才女子。高血圧症のためメチクランを内服し約半年後に露出部に紅斑が出現, 数ヵ月後には色素沈着および脱色素斑を生じ白斑黒皮症の状態となつた。原因薬剤の検索ではメチクランの内服照射試験でUVA照射24時間後に紅斑が出現した。また, 病歴上, 内服の既往のなかつたトリクロルメチアジドに対しても内服照射試験において交差反応が認められた。薬剤内服後のUVAに対する紅斑反応はメチクランでは5週間, トリクロルメチアジドでは1週間持続した。本症の光線過敏ではphotoallergicな機序が推定され, メチクランまたはサイアザイド系薬剤の再投与でpersistent light reactorへ移行する可能性も考えられ長期間のfollow upが必要と思われた。
  • 山口 孝子, 三原 基之, 竹中 緑
    1986 年 48 巻 6 号 p. 1065-1067
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    62才, 肥満した女子の右膝関節上内側に生じたBaker嚢腫の1例を報告した。嚢腫は膝窩部深部で腫大し, 周囲を屈筋群と厚い皮下脂肪織に取り囲まれて存在し, 比較的急速に増大する硬い皮下腫瘤として触れたため, 臨床的に肉腫が疑われた。
  • 平野 京子, 額田 純子
    1986 年 48 巻 6 号 p. 1068-1071
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    約30年来, 医治を受けずに放置されていた広汎な皮膚疣状結核の56才男子例を報告した。本例は臨床および組織所見より黒色分芽菌症を疑つたが, 病理組織の培養よりヒト型結核菌を検出し, 同時に痂皮より黒色真菌をも検出した。INAH3ヵ月の投与にて, 疣状皮疹は消退し黒色調色素沈着と一部軽度の瘢痕を残して著明に軽快した。結核菌と同時に検出された黒色真菌は, Alysidium属のAlysidium resinaeと同定した。A. resinaeは本邦ではいまだ記載がないので, その生物学的性状, 病原性についても併せて述べた。
  • 鈴木 薫, 武田 行正, 清 佳浩
    1986 年 48 巻 6 号 p. 1072-1074
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    水稲や野菜栽培用に最近開発され, 普及しつつある珪酸加里肥料による化学熱傷を報告した。症例は60才女子で, 約2時間半の施肥中に左側ゴム長靴内に肥料が入り左足関節部に40×38mmの壊死性病変を生じた。実験的には, 水中で41℃, 120分間加温した珪酸加里粒子をモルモットの背部に120分間貼付し, 壊死性病変を生じさせ得た。病変形成には加温による珪酸加里粒子中の化学組成の変化が考えられた。
  • 久保 容二郎
    1986 年 48 巻 6 号 p. 1075-1078
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    12才男児。口囲の湿疹様皮膚炎にビスダーム軟膏配合剤を約1ヵ月間塗布し, そう痒感を伴う丘疹の多発と浮腫性紅斑が出現した。貼付試験の結果, ビスダーム軟膏に陽性, その構成成分では主剤のamcinonideに陽性を認めた。同時に他の25種類のステロイド剤による貼付試験を施行したがすべて陰性で, amcinonideと類似構造をもつステロイド剤との交差反応は認められなかつた。
  • 前川 嘉洋, 市村 信一, 松永 若利
    1986 年 48 巻 6 号 p. 1079-1081
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    25才女子。腹水を有するネフローゼ症候群に対しコルチコイドで治療中, 線状皮膚萎縮をきたし, その萎縮部に漏出液の貯留をみた。本症はコルチコイドが真皮線維芽細胞に作用し, その機能異常を引き起すとともに, 機械的伸展などが加わり, 既存の膠原線維, 弾性線維が一定の方向に断裂され発症するものと考えられた。貯留液の性状については検索し得なかつたが, 腹水をはじめ全身の浮腫により, 断裂した組織内に漏出液が貯留したものと思われる。
研究
  • 野上 玲子, 前川 嘉洋
    1986 年 48 巻 6 号 p. 1082-1087
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    昭和51年∼60年に観察した11例について臨床症状および自己抗体(とくに抗Scl-70抗体, 抗セントロメア抗体)を検索した。抗Scl-70抗体陽性群(11例中7例)では, リウマチ因子, 抗DNA抗体などの自己抗体の共存がみられた。厚生省強皮症調査研究班のscore値を用いて重症度との関連をみたところ, 平均値では陽性, 陰性群間に有意差がなかつたが, 抗Scl-70抗体陽性群中にscore 6の症例および経時的にscore値の増加をみる例があるほか, 舌小帯短縮が多く認められた。抗セントロメア抗体陽性例は典型的CREST症候群の所見を呈し, 抗Scl-70抗体などの自己抗体は陰性であつた。以上よりこれらの自己抗体の検索は今後の経過観察上有用な指標と考える。
  • 中西 秀樹, 長江 浩朗, 原田 伸, 武田 克之
    1986 年 48 巻 6 号 p. 1088-1093
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    最近2年間に経験した眼瞼部の悪性腫瘍9例(基底細胞癌4例, 脂腺癌5例)の形成外科的治療について報告した。腫瘍発生部位は上眼瞼, 内眼角部, 外眼角部, 眼瞼全周囲の各2例と下眼瞼1例であり, 眼瞼全周囲のうち1例は耳前部および頸部リンパ節転移をきたした。発生部位により再建法をかえ, 上眼瞼再建には下眼瞼(switch flap), 下眼瞼再建には頬部皮弁(rotation flap), 内眼角再建には前額正中皮弁, 外眼角再建には側頭皮弁, 眼瞼全周囲には額皮弁を利用し, 口腔粘膜移植あるいは鼻中隔の軟骨·粘膜複合移植を裏打ちとして用いた(うち眼球摘出術と眼窩内容除去術を施行した各1例を含む)。いずれも観察期間が短いので予後の検討は十分でないが, 現在まで脂腺癌の1例を除き腫瘍の再発はなく経過良好である。
  • 宮澤 仁, 加藤 一郎, 斉藤 隆三
    1986 年 48 巻 6 号 p. 1094-1100
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2012/03/15
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    昭和46年より昭和59年12月末の間に当科を受診し病理組織学的に確定診断した結節性動脈周囲炎皮膚型(PNC)10症例を集計検討し, つぎのような結果を得た。
    1) 男女比1:4
    2) 発症年令は10才代∼50才代でとくに好発年令はない。
    3) 誘因は認めない。
    4) 皮膚症状は結節10例, 網状皮斑6例, 潰瘍2例, 紫斑1例である。
    5) 皮膚外症状は関節痛4例, 筋肉痛3例, 微熱4例を認め, いずれも一過性で病勢に相関して出現する傾向にあり, 前三者は結節出現部位に限局する。
    6) 一般臨床検査成績は, ほぼ病勢に相関して炎症反応陽性をみるが, その他はいずれも一過性で特徴的所見に乏しい。
    7) 経過観察期間は, 5ヵ月∼12年10ヵ月で平均5年2ヵ月。古典的PNへの移行は認めない。
    8) 全体の経過として1∼2年のうちに長期寛解へいたる場合と, 増悪を繰り返しながら慢性に経過する場合がみられるが, その差異は不明である。
    9) 増悪因子は疲労, 寒冷, 月経が認められた。
講座
治療
  • 戸倉 新樹, 玉森 嗣育, 山内 卓, 池田 泰子, 徳永 忠司, 滝川 雅浩, 山田 瑞穂, 堀口 大輔, 浦野 聖子
    1986 年 48 巻 6 号 p. 1108-1112
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    帯状疱疹患者20人に対しアシクロビルを投与し, その有用性, とくに疼痛および帯状疱疹後神経痛に対する治療効果について検討した。一般的に行われている投与方法, すなわち約5mg/kgを1日2∼3回, 6∼7日間投与した群では, 有用率90%と優れた治療成績を示した。また5∼10mg/kgを1日1回, 2∼3日間投与した群では, 有用率71%と前者の投与方法より劣つてはいるものの比較的高い有用性を示し, 外来診療上, 試みられてよい方法と考えられた。疼痛に関しては, 20例中18例が観察期間中に疼痛の消失がみられ, 強い帯状疱疹後神経痛は全例に認められなかつた。全症例とも副作用はなく, 臨床検査値においても実施しえた8例において異常変動は認めなかつた。皮膚病変の改善という点だけでなく, 帯状疱疹後神経痛の予防という面からも, アシクロビル投与は試みられてよい治療方法と考えられた。
  • 田中 敬子, 安岐 敏行, 服部 協子, 島雄 周平
    1986 年 48 巻 6 号 p. 1113-1118
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    従来の西洋医学的治療に抵抗する尋常乾癬患者13例に, 慢性炎症を抑制する清熱剤の温清飲を投与した。5例には駆お血剤である桂枝茯苓丸を併用した。長期間観察した結果, 改善率·有用率ともに61.5%(8例), 不変が38.5%(5例)であつた。体重, 60∼69kg, 肥満度-11%以下, 罹患年数10年未満, 他科疾患を合併する患者について有用率が高かつた。温清飲によると思われる副作用は見られなかつた。ステロイド外用剤の離脱や減量, あるいは, より弱いステロイド外用剤への切り替えなどの効果があつた。乾癬の治療のひとつとして有用性が高く, 今後, 試みるべき薬剤と思われる。
  • 大島 良夫, 西野 健一, 米倉 義雄
    1986 年 48 巻 6 号 p. 1119-1122
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    赤ズワイガニの甲羅を粉砕, 精製してえたキチン粉末から, 10×10cm大のキチン膜を加工し, 扁平母斑15例, 瘢痕3例, 刺青1例, 肝斑1例の治療として行つた皮膚剥削術後の創面に被覆し, 鎮痛効果, 密着性, 乾燥性など優れた創面保護効果をえた。副作用がなく, 使用法が容易なことから, 皮膚剥削術後の創面被覆材として最適と考えた。
  • MS-アンチゲン中部地区研究班
    1986 年 48 巻 6 号 p. 1123-1129
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    中部地区13施設による共同研究班を組織して, 慢性痒疹とくに多形慢性痒疹に対するMS-アンチゲンの臨床効果とその安全性について検討を行つた。対象となつたのは, 本研究参加施設の皮膚科を受診した慢性痒疹患者計71例であり, そのうちの35例が多形慢性痒疹であつた。MS-アンチゲンは原則として, 週2回筋注, 計15回注射を1クールとした。対象症例のこれまでの経過, 治験開始時の臨床症状の程度, 治療効果, 副作用などの点から総合的に判定された本剤の有用度は, 慢性痒疹全体では, きわめて有用が65例中18例(28%), 有用以上が65例中39例(60%)であつたが, 多形慢性痒疹に限ると, 前者が34例中14例(41%)で, 後者が34例中26例(76%)ときわめて高かつた。多形慢性痒疹31例において, 本剤の投与により30例(97%)で止痒効果が認められ, 28例(90%)で皮疹の存在範囲が50%またはそれ以下となり, 21例(68%)では皮疹が消失し, 18例(58%)でほとんど痒みが消失した。また, 本剤による治療にて, その2/3の症例で投与されていた抗ヒスタミン剤の中止または減量が可能となつた。副作用としては, 本剤によることを疑わせる症状が6例(8.5%)で認められたが, 重篤なものは認められなかつた。また, 治療前後に臨床検査が施行された38例でも, 明らかに本剤によると思われる異常は認められなかつた。本剤による治療と患者の末梢血中の好酸球百分率やIgE値の変動との間には一定の関係はみられなかつた。以上より, 現時点ではとくに有効な治療法がなく, 長期にわたる治療が必要なことが多い多形慢性痒疹に対して, 副作用の少ない本剤はきわめて有用な治療剤と思われた。しかし今回の治療方法では, 効果発現までに3∼4週を要することが問題であり, 今後, 本剤の投与方法, 投与量, 併用療法などを考えてみる必要があろう。
  • 池田 重雄, 石原 和之
    1986 年 48 巻 6 号 p. 1130-1138
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    各種皮膚悪性腫瘍に対する遺伝子組換えヒトインターフェロンγ(S-6810)の臨床第二相試験を全国19施設で実施した。全身投与(点滴静注)は14例に行われ, 菌状息肉症3例中CR, PR各1例の有効例が得られた。局所投与は85例で行われ, 転移性皮膚悪性黒色腫で52.9%(9/17), 菌状息肉症63.6%(7/11), 皮膚悪性リンパ腫42.9%(3/7), 有棘細胞癌38.5%(5/13), 基底細胞癌100%(6/6), Bowen病78.6%(11/14), Paget病55.6%(5/9), 局所投与全体では56.5%(48/85)の奏効率が得られた。おもな副作用は発熱, 悪寒·戦慄, 倦怠感, 食欲不振, 嘔気·嘔吐, 白血球減少, 血清トランスアミナーゼの上昇であり, 従来のα型, β型インターフェロンによる副作用とかわりはなかつた。いずれも可逆的で減量あるいは中止により軽快した。全般に局所投与による副作用は全身投与に比べ軽微であつた。
世界の皮膚科学者
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