ビタミンD依存性クル病II型は, ビタミンD
3に対する細胞内特異レセプター異常の結果発症するといわれ, 臨床症状として高頻度に禿頭を合併する。一方, 外毛根鞘細胞にビタミンD
3特異レセプターが存在することも報告されている。以上の事実は, 正常の毛髪の成長にビタミンD
3の関与を示唆している。われわれは今回, ビタミンD
3の毛髪に対する効果を知るため, 活性型ビタミンD
3: 1,25(OH)
2D
3の培養ヒト毛包細胞の増殖, 分化(colony formation, colony growth, cornified envelope形成, cell morphology)に与える影響を検討した。その結果, 1,25(OH)
2D
3は0.1∼10nMの濃度において, 濃度依存性に培養ヒト毛包細胞の増殖を抑制する一方, 分化を促進した。1,25(OH)
2D
3はin vitroにおいて, ヒト毛包細胞の増殖, 分化を調節していることが判明した。
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