西日本皮膚科
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51 巻 , 3 号
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図説
綜説
症例
  • 尾崎 元昭, 米田 耕造, 太田 敬二, 太田 深雪
    1989 年 51 巻 3 号 p. 441-446
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    反復して生じるらい性結節性紅斑(ENL)のために, 数年にわたりスイート病として治療されてきた48才のらい腫らいの男子例を報告した。患者は沖縄県出身で, 全身に浸潤性ないし結節性の紅斑の発生を繰りかえしていた。発熱·関節痛·リンパ節腫脹を伴つた。皮疹部の組織液塗抹検査で抗酸菌陽性(菌指数5), 生検で抗酸菌を含む泡状組織球から成る肉芽腫と多核球の浸潤を認め, らい腫らい(LL)·ENLと診断した。一見正常な前腕皮膚も菌陽性で, 同様の肉芽腫を認めた。らい特有の皮膚症状なく, 末梢神経の肥厚を触れず, 末梢神経障害は軽微であつた。診断確定後, 外来にてリファンピシン·INH·DDSの併用療法を1年行い, その後DDSを継続している。ENLはサリドマイドの服用で鎮静化した。新患発生が減少しているだけに, らいには注意をはらう必要があると考える。
  •  
    春木 智江, 丸山 友裕, 高橋 省三, 諸橋 正昭
    1989 年 51 巻 3 号 p. 447-450
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    10才女児の右大腿に生じたlichen purpuricusの1例を報告した。丘疹が集簇する豌豆大∼母指頭大の暗赤色局面が列序性に多発し, 組織学的には, 表皮基底層への軽度のリンパ球遊走を除き, ほぼ定型像を呈した。Rumpel-Leede試験は正常。ブルマを長時間着用しており, 局所的な静脈内圧上昇を生じていたと考えられた。また, 左下大臼歯の齲歯が皮疹に先行し, 齲歯に続発した外歯齲が左下顎部に存在した。歯科的に根治的治療を行つたところ, 皮疹は徐々に軽快傾向を示した。これらのことから, 静脈内圧の上昇していた局所に, 外歯瘻による病巣感染が関与して本症が発症した可能性が考えられた。
  •  
    西本 勝太郎, 計盛 幸子, 本間 喜蔵
    1989 年 51 巻 3 号 p. 451-454
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    過去10年間に経験した9例の白癬性毛瘡について臨床的および真菌学的所見を報告した。全例trichophyton rubrumが原因菌であり, 検索のなされた8例において他部位, とくに足の白癬を合併していた。本症の発病において自家接種の頻度の高いこと, 他部の白癬病巣の検索の重要性を指摘した。
  • —本邦報告例の集計—
    麻生 和雄, 橋本 秀樹, 小幡 仁子, 山科 潮
    1989 年 51 巻 3 号 p. 455-463
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    母斑性基底細胞癌症候群(nevoid basal cell carcinoma syndrome, NBCS)の5症例(50才男子, 52才女子, 40才女子, 47才女子, 17才女子, 内3症例は家族例)を報告, 初診以来6年の経過を述べた。NBCSの本邦例はこれまで137症例(男子70, 女子67), 家族例は37家系の58症例である。症候別に主徴候では多発性顎嚢胞が83.2%と最も多く, 次いで掌蹠pit(50.4%)以下NBCS腫瘍と大脳鎌石灰化(48.2%), 両眼隔離46.6%, トルコ鞍bridging44.5%, 肋骨異常41.6%であつた。幼小児期のmedulloblastomaが3症例, NBCSの癌化, 転移死亡例3症例がある。
  • 加藤 晴久, 古川 雅祥, 寺尾 淳子, 吉岡 啓子, 濱田 稔夫, 藤本 幹夫
    1989 年 51 巻 3 号 p. 464-467
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    乳癌の皮膚転移の2例を報告した。症例1は47才女子。初診の約6ヵ月前に右乳頭の陥凹と乳頭下の板状硬結に気付いた。病理組織学的に表皮直下から真皮中層にかけて, 管腔様構造, あるいは胞巣様構造をとる未熟な細胞が散在性に認められた。汗腺系悪性腫瘍を疑い単純乳房切断術を施行したが, 術後の病理組織学的所見から, 浸潤性乳管癌と診断されたため, さらに根治的乳房切断術を行つた。症例2は80才女子。約7年前より右乳房上内側部に無症候性腫瘤が出現した。間葉系悪性腫瘍を疑い生検を行つたところ, 病理組織学的に硬癌であつた。抗癌剤の動注後, 根治的乳房切断術を行つた。
研究
  •  
    麻生 和雄, 下浦 孝子, 穂積 豊
    1989 年 51 巻 3 号 p. 468-477
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2012/03/03
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    母斑性基底細胞癌症候群の母斑性基底細胞腫瘍を病理組織学的, ケラチン生化学的に検索し, 腫瘍を母斑性基底細胞様細胞の表皮·毛包からの萌芽·増殖にはじまり, 毛包分化性の種々の形態を示す腫瘍形成を経て, 毛包性基底細胞癌に至るものと推定した。腫瘍の毛包性は1)全体の構築像, 2)腫瘍細胞の毛包性—a)豊富なメラニンを含有する大小の角質嚢胞, b)parakeratotic cellよりなる小渦巻構造, c)澄明細胞の存在, および 3)腫瘍辺縁あるいは腫瘍間にみられる表皮·毛包脂腺よりの母斑性基底細胞様細胞の萌芽像より明らかであると考えた。腫瘍の毛包性を裏付けるものとして, 腫瘍から毛鞘ケラチンが検出された。
  • 植木 宏明, 津田 奈津美, 小野 雅史
    1989 年 51 巻 3 号 p. 478-483
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    円板状エリテマトーデスを中心にその皮膚症状に対して, DDSを投与して治療効果を検討したところ, 14症例中9例に多少なりとも効果を認めた。円板状エリテマトーデスでは8例中5例に有効であつた。効果発現は比較的早く, 早いものでは投与後数日で認められたものが多い。とくに浸潤を伴つた円板状紅斑に効果的であつた。投与量を減量して再燃したものもある。副腎皮質ステロイドホルモン剤で維持療法中のSLEの1例で残存した紅斑に対しても効果を認めたことは, 将来ステロイド剤の減量に役立つ可能性がある。結節性ムチン沈着型にも効果を認めた事は本剤の作用機序を考える上で興味がある。副作用には常に注意が必要であろうが, とくに円板状エリテマトーデスには選択度の高い薬剤と思われる。
講座
治療
  • —Ketotifenを対照薬とした多施設二重盲検比較試験—
    E-0659皮膚科研究会
    1989 年 51 巻 3 号 p. 492-510
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    慢性蕁麻疹を対象としてE-0659(塩酸アゼラスチン)1日2mgおよび4mgの有効性, 安全性ならびに有用性をketotifenを対照薬とする二重盲検群間比較試験により比較検討し, 以下の成績を得た。
    1) 回収総症例187例のうち, 世話人会採用例では, 最終全般改善度および有用度については171例(E-0659 1日4mg投与群: 以下A4群と記す—59例, E-0659 1日2mg投与群: A2群—54例, ketotifen 1日2mg投与群: K群—58例), 概括安全度については178例(A4群61例, A2群56例, K群61例)を解析対象とした。コントローラー採用例では, 182例(A4群61例, A2群59例, K群62例)を解析対象とした。
    2) A4群はコントローラー採用例で67.2%, 世話人会採用例で69.5%, A2群はコントローラー採用例で59.3%, 世話人会採用例で64.8%の有用率(有用以上)を示した。
    3) 最終全般改善度, 概括安全度, 有用度は世話人会採用例およびコントローラー採用例においてA4群, A2群, K群の間にいずれも有意差を認めなかつた。なお, 最終全般改善度ではコントローラー採用例で, A4群がA2群にまたA4群がK群に優る傾向(χ2検定, 軽度改善以上P<0.10)を認め, 世話人会採用例で, A4群がA2群に優る傾向(χ2検定, 軽度改善以上P<0.10)を認めた。また有用度に関しては, コントローラー採用例, 世話人会採用例のいずれにおいてもA4群がK群に優る傾向(χ2検定, やや有用以上P<0.10)を認めた。
    4) 副作用は各群とも眠気が主であり, とくに重篤なものは認められなかつた。臨床検査成績においても, とくに問題とすべき異常は認められなかつた。
    5) 本試験の結果から, E-0659は慢性蕁麻疹に対して高い有効性, 安全性を持ち, 1日4mgの投与は1日2mg投与に比し, より有用である可能性が示唆された。
  • 津田 摂子, 梯 洋子, 幸田 弘
    1989 年 51 巻 3 号 p. 511-515
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    湿疹·皮膚炎を中心とする皮膚疾患患者20例にコラージュM石鹸を使用させ, その有用性を検討し, さらに, 貼布試験により皮膚刺激性についても検討した。
    1) 乾燥, そう痒感をはじめ, 各観察症状で高い改善率がみられ, 20例全例に補助的効果が認められた。
    2) 副作用や皮疹の増悪した症例は皆無であつた。
    3) 有用性の判定では, 有用以上19例(95.0%)で, 使用感に対する患者の評価も高いものであつた。
    4) 貼布試験成績については, (+)以上の反応は, 1%水溶液で貼布除去直後に1例認められたのみであつた。
    以上のごとく, コラージュM石鹸はその皮膚刺激性も低く, 湿疹·皮膚炎患者に対し, 有用かつ使用感のよい石鹸であると考えられた。
  • 山本 修, 大城戸 宗男
    1989 年 51 巻 3 号 p. 516-520
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    脂性肌用として開発されたコラージュA脂性肌用石鹸の尋常性ざ瘡に対する治療補助効果, 安全性および有用性の検討を行い, 下記の結果を得た。
    1) 尋常性ざ瘡患者22例に対し, 治療補助効果では「補助効果が認められた」以上に評価されたものは17例(77.3%), 「補助効果がやや認められた」以上に評価されたものは20例(90.9%)であつた。
    2) 副作用については, 1例(4.5%)にそう痒感が出現したが, 本石鹸の使用を中止すると速やかに消失した。
    3) 有用性の判定では, 有用以上が18例(81.8%), やや有用以上が20例(90.9%)であつた。
    4) 本石鹸単独使用の3例については, 有用以上が2例(66.7%)であつた。
    以上の成績から, コラージュA脂性肌用石鹸は尋常性ざ瘡に対し有効かつ安全な石鹸であり, 外用剤, 内服薬の投与と併用すれば, 治療効果を高めるものと考えられた。
  • 馬嶋 眞喜子, 大井 綱郎, 松永 順, 樋口 恵理, 山下 雪子, 宮内 惠, 宮野 径彰, 河島 岳史
    1989 年 51 巻 3 号 p. 521-531
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    LOC-5軟膏およびクリームを各種皮膚炎疾患患者71例に1日3回単純塗布を行い, 改善率は80.3%(57/71)であつた。71例中42例に軟膏を投与し, その改善率は76.2%(32/42), クリーム外用29例の改善率は86.2%(25/29)であつた。凍瘡に対する本剤使用による改善率は84.8%(28/33)で, 高い有効性を示した。副作用は全例に認められず, 安全性の高い外用剤であると考えられた。本治験において症例数の多い凍瘡, 皮脂欠乏性皮膚炎, 汗疹のほか, 慢性型の皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎, 老人性そう痒症に対してもLOC-5は有効であつた。
  • —サーモグラフィーによる検討および膠原病に伴う難治性潰瘍への応用—
    西岡 和恵, 小笠原 万里枝, 土田 幸枝, 倉田 佳子, 麻上 千鳥
    1989 年 51 巻 3 号 p. 532-539
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    レイノー現象を示すPSS 8例, SLEおよびその疑いの各1例, 計女子10例の患者群, 正常人女子10例の対照群において, 2%ニトログリセリン軟膏の末梢循環に対する作用をサーモグラフィーを用いて検討した。外用の前, 5分, 10分および20分後に両手背(手指背を含む)のサーモグラム, 右手背, 右第3指背の平均皮膚温, および右手背の温度分布ヒストグラムを得て解析した結果, (1)サーモグラムでは, 時間の経過とともに高温域の拡大が, 両群の全例で認められた。(2)平均皮膚温の経時変化では, 両群のいずれの時期でも右手背および右第3指背で有意の上昇がみられ, また両群のレベルの差では, 右第3指背において対照群が有意に高かつた。部位別の検討では, 患者群での平均皮膚温は, いずれの時期においても右第3指背の方が右手背よりも低値を示したが, 対照群では差を認めなかつた。(3)温度分布ヒストグラムでは, 患者群で2∼多峰性の分布から, 低温域の減少に伴う1峰性の分布に移行する傾向がみられた。レイノー現象を示し, 手指あるいは足部に難治性潰瘍を有するPSS 5例, SLE 1例(女子5例, 男子1例)では, 1日3回の本剤の外用により6例中4例に潰瘍の治癒ないし縮小化が認められ, 有効であつた。以上より, 本剤は末梢循環の改善をもたらし, 各種末梢循環不全に基づく疾患に有用と考えられた。
  • 和田 秀敏
    1989 年 51 巻 3 号 p. 540-542
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    従来のキチン膜(商品名ベスキチンW)の欠点を改良する目的で, ベスキチンWの裏面に目の荒いナイロンメッシュを張り合わせたものを試作した。これを分層採皮の際の採皮創30例に用い, 臨床効果, 副作用などを検討した結果, 総合評価として非常に良好が12例, 良好が16例であつた。
  • —多施設一般臨床試験の成績—
    KT-103(皮膚潰瘍)研究班
    1989 年 51 巻 3 号 p. 543-549
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    凍結乾燥豚真皮(KT-103)の難治性潰瘍に対する有効性ならびに安全性について検討するため14大学の皮膚科学教室が参加した多施設一般臨床試験を行つた。53例の難治性皮膚潰瘍の内訳は, 血行障害性潰瘍9例, 熱傷性皮膚潰瘍7例, 糖尿病性壊疽6例, 外傷·機械性皮膚潰瘍6例, 免疫·アレルギー性皮膚潰瘍15例, 褥瘡3例, その他の皮膚潰瘍7例であつた。効果判定可能症例数50例, 51潰瘍についての潰瘍面積縮小率は71.5%であつた。壊死変性物に対する改善率は82.2%であり, 良好な肉芽形成が85.7%に認められた。また疼痛を伴つた潰瘍のうち82.4%において疼痛の消失を認めた。細菌の二次感染を認めた12例中4例は感染が持続したが, 8例は陰性化した。8週間までの全般改善度は, 治癒60.8%, 著明改善以上76.5%であつた。副作用は5.9%に認められた。その内訳はそう痒感1例, 接触皮膚炎2例であつた。有用性の評価は, きわめて有用52.9%で有用以上の有用率は76.5%であつた。基礎疾患群別有用率では褥瘡(100%), 血行障害性皮膚潰瘍(87.5%)が高い有用以上の有用率を示したのに対し, 糖尿病性壊疽(66.7%)は他の疾患群に比較してやや有用度が劣つた。以上の結果より, 本剤は早期の良好肉芽形成を促進し, 幅広く各種原因による難治性皮膚潰瘍に高い有用性を示すことが明らかとなつた。
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