西日本皮膚科
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51 巻 , 5 号
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図説
綜説
  • 立石 晴代, 巽 祐子, 田中 靖, 猪原 慎一
    1989 年 51 巻 5 号 p. 871-876
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    腫瘍プロモーターである12-0-テトラデカノイルホルボール-13-アセテート(TPA)は表皮細胞の増殖や分化に著明な作用を及ぼす。このTPAはプロテイン·キナーゼC(PKC)を直接的に活性化する。よつてPKCが表皮細胞の増殖, 分化に重要な役割を担つている可能性が強い。本綜説ではPKCの表皮細胞の増殖, 分化における役割を, マウス表皮細胞を用いた実験結果と, 尋常性乾癬の病巣部表皮におけるPKCの検索成績に基づき, PKCのダウン·レギュレーション, PKCの多様性といつた点について述べた。さらにPKCの作用点, PKCと癌遺伝子, 増殖因子との関連性といつた将来への展望についても考察を加えた。
症例
  • 藤澤 裕志, 川名 智子, 市川 雅子, 上野 賢一
    1989 年 51 巻 5 号 p. 877-880
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    59才男子。冬期に圧痛のある灰白色, 直径8mm大の小結節がほぼ対称的に両側耳介輪部に出現した。左側の皮疹を部分切除したところ, 角質増生をともなう表皮肥厚, 毛細血管の拡張と増生, 炎症細胞の浸潤, collagen線維の変性を認め, chondrodermatitis nodular is chronica helicis(CNCH)と診断した。一方, 右側の皮疹は初診約4週後から縮小しはじめ直径3mm大の時に全摘した。残存していた左側の皮疹も消退傾向を示し, 約8週の経過で完全に消失し, 約2年経過した現在も再発をみない。自験例の皮疹の配置と自然消退はまれであり, それらにつき文献的検討をした。
  • 高橋 雅弘, 幸田 弘, 渕 曠二
    1989 年 51 巻 5 号 p. 881-884
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    表皮と連絡を持ち, かつ嚢腫壁に乾癬性の変化が見られた表皮嚢腫の1例を報告した。乾癬病巣は, 皮膚においては嚢腫の被覆部のみに限局し, 他の部位にはまつたく見られなかつた。
  • 多田 讓治, 池田 光徳, 福代 新治
    1989 年 51 巻 5 号 p. 885-889
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    牛乳の摂取により, 口腔内違和感, 悪心, 嘔吐, 呼吸困難, 全身の蕁麻疹をきたした牛乳アレルギーの43才男子例を報告した。症状発現の抑制には, 抗ヒスタミン作用とchemical mediator遊離抑制作用とをあわせ持つketotifenが著効を示した。患者は乳幼児期には牛乳アレルギーの既往はなく, 小学生頃より牛乳摂取後に悪心, 嘔吐, 蕁麻疹をきたすようになり, 当科初診時まで乳製品は一切口にしていない。皮内テストでは, 牛乳, チーズ, 牛乳蛋白であるα-lactalbumin, bovine serum albuminに陽性であり, IgE(RIST)値は低値であつたが, 牛乳, α-lactalbumin, β-lactoglobulinに対する特異IgE抗体は高値ないしやや高値を示した。数種の抗ヒスタミン剤あるいはtranilastを投与しながら牛乳摂取を試み, それらの症状発現の抑制の程度を検討したが十分ではなかつた。この間に, IgE(RIST)値, 牛乳でのIgE(RAST)値は徐々に上昇した。内服をketotifenに変更したところ症状の発現は劇的に抑制され, 以後4年間に内服量を徐々に減量しても乳製品は普通に食べることができ, また, IgE(RIST)値, 牛乳に対する特異IgE値も徐々に減少してきている。
  • 柴山 律子, 須永 知子, 芹川 宏二, 鈴木 秀美, 下田 祥由
    1989 年 51 巻 5 号 p. 890-893
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    顕症梅毒の1例を報告し, 当教室における顕症梅毒について統計的考察を加えた。21才男子。陰部潰瘍を主訴として来院。ソープランドにおいて数回感染機会があつた。陰茎冠状溝に無痛性の潰瘍を2個認める。梅毒血清反応ではガラス板法16倍, TPHA 40倍, FTA-ABS陽性。組織所見では真皮の毛細血管増生, 血管内腔拡大を認め, 血管周囲にリンパ球様細胞の浸潤を認めた。電顕所見では, 真皮結合織中にスピロヘータとおもわれる糸くずようのものを認めた。バイシリン内服により, ほぼ2週間で色素沈着を残すのみとなつた。昭和53年∼63年3月までの当教室における梅毒患者の全症例数は45例であつた。そのうち顕症梅毒は29例, 潜伏梅毒は16例であつた。年令別症例数では10才∼70才代と幅広く広範囲に分布した。全体的な流れのなかでは昭和58年以降に急激な増加を認めた。
  • 駒田 信二, 新海 浤
    1989 年 51 巻 5 号 p. 894-897
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    32才男子。最終感染機会より約90日後に亀頭に多発性の無痛性硬結発生し, 4ヵ月後掌蹠, 躯幹に皮疹, 口腔粘膜疹出現, 同時に胃部不快感も伴つた顕症梅毒を経験した。胃内視鏡では胃角部に地図状の潰瘍が存在した。組織学的には亀頭, 胃粘膜部ともに形質細胞を主体とした密な細胞浸潤と血管内皮細胞の肥厚を認めた。第二期梅毒疹と診断し, バイシリン120万単位にて加療, 皮疹, 胃部症状ともに2週後に軽快した。陰茎の多発性皮疹は感染後約90日を経て発症したが, 多発した一期疹と二期丘疹性梅毒疹の合併と考えた。また, 胃の症状については, 顕症梅毒を伴うこと, 組織学的に梅毒に矛盾しないこと, 抗潰瘍薬に抵抗し, 駆梅療法に反応したことから胃梅毒と診断した。
  • —ヘアーブラシ法による検討を含めて—
    張 豁たい, 加藤 卓朗, 大滝 倫子
    1989 年 51 巻 5 号 p. 898-901
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    症例1は5才姉。とくに誘因なく, 頭頂部にそう痒を伴う落屑性局面を生じ, ステロイド軟膏の外用で悪化した。初診時, 頭頂, 後頭, 左側頭部に境界鮮明な不整形の脱毛巣があり, 鱗屑と痂皮が付着し, 浸潤をともなう小豆大の扁平な紅色小結節が多発していた。トリコフィチン反応(ト反)は陽性であつた。病毛の直接鏡検で, 小胞子菌性寄生を認め, Microsporum canisを分離した。ケルスス禿瘡と診断し, グリセオフルビン内服で治癒した。症例2は3才弟。姉の発症6週後に, 頭頂部に落屑性脱毛局面を生じた。初診時頭頂部に細かい鱗屑を付着した鶏卵大の不完全脱毛巣があつた。ト反は陰性であつた。同様に小胞子菌性寄生を認め, M. canisを分離した。頭部浅在性白癬と診断し, グリセオフルビン内服で治癒した。ヘアーブラシ法による検索では, 両例ともに全部のスパイクから菌が生えた。また洗髪の前後では, 洗髪後に菌量の減少をみた。両親は病巣はなかつたが, 頭髪よりともに同菌を検出した。とくに治療しなかつたが, 4週後には陰性化し, 発病しなかつた。さらに初診の診察後の医師の頭髪より, 同菌を検出したが, 翌日には陰性化した。以上よりM. canis感染症では家族などの病巣のない頭髪より菌が分離されるが, 成人では治療の必要がないこと, 頭部白癬患者は空中に菌を散布しており, 直接の接触がなくても, 他人の頭髪に付着すること, 感染予防に頭部白癬患者の洗髪もある程度有用であることなどがわかつた。
  •  
    寺師 浩人, 板見 智, 高崎 修旨, 高安 進
    1989 年 51 巻 5 号 p. 902-905
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    18才女子。6年前, 左足底内側から足背にかけて軽度圧痛のある皮下腫瘤が数個出現した。臨床的, 組織学的に比較的まれな多発性グロームス腫瘍と診断した。HE染色, 抗S100蛋白染色, 第VIII因子関連抗原染色, NSE染色, デスミン染色, 鍍銀染色, エラスチカ·ワンギーソン染色などの組織学的検索により, 従来言われているようにグロームス細胞が血管平滑筋細胞由来であることを強く示唆する所見を得た。
  • 堀内 保宏, 音山 和宣, 伊藤 篤
    1989 年 51 巻 5 号 p. 906-908
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    頭頸部, 上肢に腫瘤の再発を繰り返し, 病理組織学的にmalignant pilomatricomaと診断された39才男子の一例を報告した。病理組織はいずれもshadow cellとbasophilic cellとからなる石灰化上皮腫の基本構造が見られるもののbasophilic cellに細胞の異型性と核分裂像がみられmalignant pilomatricomaと考えた。
  • 高田 一郎, 久本 和夫, 麻上 千鳥
    1989 年 51 巻 5 号 p. 909-912
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    64才女の下口唇有棘細胞癌に放射線温熱療法を施行した。照射終了時腫瘍は肉眼的に消褪した。照射終了5週後, 念のため辺縁より1cm離して切除した。腫瘍巣の消褪を初診時および照射後3および5週目に病理組織学的に検討した。
  •  
    久保田 由美子, 中山 樹一郎, 谷崎 泰象, 堀 嘉昭
    1989 年 51 巻 5 号 p. 913-919
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    38才女子。昭和60年5月に右鼻背部の腫脹が出現し, Wegener肉芽腫症が疑われた。その2年後, 再び右鼻背部から眼瞼にかけて浮腫性腫脹をきたし, 組織所見から, non-Hodgkin lymphoma, diffuse large cell type(T-cell type)と診断された。放射線療法とCHOP-Bleo療法の後, 原発巣はほぼ完全に消退したが, 引き続いて両下肢に, くるみ大から鶏卵大の結節性紅斑様の皮疹が出現した。個疹は治療に反応せず, 自発的な退縮と腫脹を繰り返し, 組織学的に, 血管周囲性に炎症所見を伴うlymphoma cellの皮膚浸潤が認められた。これらの皮疹に対し局所温熱と放射線の併用療法を施行したところ, 良好な結果を得た。
研究
  • 岡崎 美知治, 出盛 允啓, 緒方 克己, 菊池 一郎, 黒木 康雅, 田尻 明彦, 川名 修徳, 井上 勝平, 成田 博実, 多田 茂, ...
    1989 年 51 巻 5 号 p. 920-926
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    宮崎県高千穂町土呂久地区における慢性砒素中毒症公害認定患者144名について, 15年以上にわたつて行われてきた検診結果に基づき, 皮膚症状を中心に分析, 検討した。1)男女比は71対73であるが, すでに55名(男32名, 女23名)が死亡している。2)色素沈着·脱失, 掌蹠の角化症, 躯幹部角化症の併発は144名中81名にみられ, これらの症状は加令とともに高度になる傾向を示した。3)表皮内癌の併発は144名中45名(31.3%)にみられた。4)皮膚浸潤癌は基底細胞癌1例のみであつた。5)死亡患者55名の死因は心疾患21名, 悪性新生物18名, 脳血管障害7名, その他9名であつた。6)悪性新生物による死亡患者18名の内訳は肺癌10名, 尿路癌2名, 乳癌, 癌性胸膜炎, 喉頭癌, 脈管肉腫, 悪性リンパ腫, 盲腸癌各1名であつた。
  • —Anaphylactoid Purpuraの免疫学的背景—
    加藤 一郎, 浅井 俊弥, 増澤 幹男, 川名 誠司, 太田 美津子, 斉藤 隆三
    1989 年 51 巻 5 号 p. 927-932
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    当科を受診したアナフィラキシー性紫斑(anaphylactoid purpura, 以下APと略す)の患者のうち, 免疫学的に検討した症例についてまとめた。検討は蛍光抗体直接法(direct immunofluorescence technique, 以下IFと略す)を用いた免疫組織学的側面, およびIgG, IgAのクラス別循環免疫複合体(circulating immune complex, 以下CICと略す)の測定を中心に行つた。その結果APについて以下のような結論を得た。1) 免疫組織学的に真皮乳頭層の細小血管壁にIgA, C3の沈着率が高い。2) IgG containing CIC(以下IgG CICと略す)は正常なるも, IgA containing CIC(以下IgA CICと略す)は高値。3) IgA CICは病初期に高値なるも, 経過と共に低下する例が多い。4) 免疫組織学的なIgAの検出の有無と, IgA CICの測定値の間には相関を認めない。
  • —水痘·帯状疱疹ウイルスによる免疫能賦活の可能性について—
    出盛 允啓, 緒方 克己, 井上 勝平
    1989 年 51 巻 5 号 p. 933-941
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    細胞性免疫能検査のひとつとして遅延型過敏(DTH)反応が実地診療において有用性があるかを検討する目的でATLと帯状疱疹患者にPPD, candida, SK-SDの3種抗原とmitogenであるPHAの計4種を使用して皮内テストを施行した。ATL予後判定には従来から汎用されているPPDよりもPHA, candidaを用いたDTH反応の方が有用であることが判明した。各DTH反応の大きさとATL患者の生存期間の相関の強さは(PHA+candida)/2>PHA>candida>>SK·SD>PPDの順に大きかつた。ATL死亡27例中で日和見感染症(カンジダ症, 単純ヘルペス, 帯状疱疹)が認められなかつたのは6例(22%)にすぎず, そのDTH反応は弱く, うち5例は入院2ヵ月以内の早期に死亡した。この6例は日和見感染症が発症する期間すらなく短期間で死亡したと推察した。ATL, 帯状疱疹群とも健常者群に比して4種類のDTH反応はすべてが著明に低下していた。しかも低下レベルは同程度であつた。老年者(50∼69才)ATLの14例中5例(36%), 死亡ATL患者27例中8例(30%)に帯状疱疹が発症した。高令者帯状疱疹は加令による免疫能低下が原因で発症したものが多く, 帯状疱疹発症の結果としてDTH反応が低下したのではないと推察した。帯状疱疹顕症時に低下していたDTH反応は免疫能に強い影響を与えるような基礎疾患の認められない症例においては経時的に上昇し, しかも長期間にわたつて高値を維持するが, ATLではDTH反応の上昇が見られなかつた。上述のデータから, 宿主の免疫能に予備能力があるなら水痘·帯状疱疹ウイルスは低下している宿主の免疫能を帯状疱疹顕症化によつて賦活している可能性があると推察した。
  • 田中 克己, 津田 眞五, 宮里 稔, 井料 香代子, 名嘉真 武国, 笹井 陽一郎
    1989 年 51 巻 5 号 p. 942-946
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    好酸球の活性酸素産生能におよぼすketotifenの影響を, luminol依存性chemiluminescence(CL)を用いて検討した。モルモット腹腔細胞より, 高純度の正比重好酸球をNycodenzを用いた比重遠心分離法にて採取し, opsonized zymosan(OZ), latex beads(LB), phorbol 12-myristate 13-acetate(PMA)刺激で生じる好酸球のCL value(cpm/cell)を測定した。各stimulantsの添加濃度を変えて観察したところ, OZでは10mg/ml, LBでは80μg/ml, PMAでは10ng/mlがCL valueの最高値を示す最少濃度であつた。さらに, ketotifenが好酸球のCLに対し最も強い抑制効果を示す最少濃度は100μg/mlであつたため, この濃度で各stimulantsに対するCLの抑制率をみたところ, OZ 49±2%(p<0.01), LB 25±1%(p<0.05), PMA 39±2%(p<0.01)であつた。一方, H1-brockerであるclemastineを用いて, 同一条件で観察した場合, 生理的な低濃度においても好酸球のCLを100%抑制した。これらのことから, ketotifenの好酸球CL抑制効果は, 自身の持つH1-brocker作用によるものであることが推測された。
講座
統計
  • —症例報告と当科の扁平苔癬および扁平苔癬型薬疹の統計的観察—
    大津山 實, 丸山 友裕, 高橋 省三, 諸橋 正昭
    1989 年 51 巻 5 号 p. 958-962
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    口腔粘膜と手指および足趾の爪に生じた扁平苔癬型薬疹の一例を報告した。患者は躁鬱病のためテグレトールなどの投薬を受け, 投与後約3ヵ月で口腔粘膜と手指の全爪に, やや遅れて足趾の爪に皮疹を生じた。テグレトールの使用を中止したところ, 約3ヵ月で皮疹の軽快がみられた。また, 当科における扁平苔癬および扁平苔癬型薬疹を統計的に観察し, 次の結論を得た。(1)扁平苔癬型薬疹は増加傾向にある, (2)扁平苔癬は男女ほぼ同数で50才代にピークがあり, 扁平苔癬型薬疹は男子に多く, 60才代にピークがある, (3)扁平苔癬は口唇や口腔粘膜に多く発生する。
治療
  • —吉草酸ベタメタゾン軟膏との左右比較試験成績—
    TV-02軟膏研究会
    1989 年 51 巻 5 号 p. 963-969
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    活性型ビタミンD3の新しい類縁体である1α,24R-dihydroxy cholecalciferol(1α,24R-(OH)2D3, TV-02)を2μg/g含有するTV-02軟膏の有用性を, 乾癬を対象に二重盲検法に準じ, 多施設共同研究により, 吉草酸ベタメタゾン軟膏を対照薬剤として検討した。効果解析対象77症例における1日2回単純塗布の結果, 最終観察日における全般改善度およびその優劣比較のいずれにおいても, TV-02軟膏は, 吉草酸ベタメタゾンと同等の優れた臨床効果を有することが確認された。副作用は, TV-02軟膏に認められず, 吉草酸ベタメタゾン軟膏では, 3症例(副作用発生率3.4%)に認められた。また, 治癒もしくは著しく軽快した症例における再発調査の結果, 追跡調査ができた症例数が14症例と少なく, 有意な差は認められなかつたが, TV-02軟膏の方が再発までの期間が長く, また再発時の症状も軽く, 好ましい傾向がうかがわれた。以上により, TV-02軟膏の臨床的位置付けは, 代表的ステロイド外用剤である吉草酸ベタメタゾン軟膏と同等であり, 難治性疾患である乾癬の治療に対して, 副作用の少ない有用な外用剤であると考えられた。
  • TV-02軟膏研究会
    1989 年 51 巻 5 号 p. 970-979
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    活性型ビタミンD3の新しい類縁体である1α,24R-dihydroxy cholecalciferol (1α,24R-(OH)2 D3, TV-02)を含有するTV-02軟膏の乾癬に対する臨床効果を20施設共同研究により検討した。実施症例数は85例, 除外·脱落症例を除く解析対象は78例であり, その疾患名内訳は尋常性乾癬75例, 膿疱性乾癬2例, 関節症性乾癬1例であつた。その結果, 最終全般改善度は治癒15.4%, 著しく軽快26.9%, かなり軽快38.5%とかなり軽快以上の改善率は80.8%であつた。有用性については, きわめて有用21.5%, 有用57.0%, と有用以上の有用率は78.5%であつた。また, 前治療との比較については, TV-02軟膏が優れている51.6%, 同等35.5%と同等以上が87.1%であつた。副作用は解析対象85例において, 3例発生し, 副作用発生率は3.5%であつた。以上により, 本剤は乾癬に対し, 高い有用性をもつものと考えられた。
  • —トラニラスト, ケトチフェン単独投与との比較—
    林 紀孝, 市岡 敏幸, 幡本 明利, 柴田 郷子, 阿部 由利, 高野 美香, 清水 昭彦, 太田 正則, 利谷 昭治
    1989 年 51 巻 5 号 p. 980-987
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    慢性湿疹·皮膚炎群に対して, ヒスタグロビン(HG)1回3 vial注射と抗アレルギー剤トラニラストまたはケトチフェン内服併用療法を行い, 抗アレルギー剤の単独投与例群と治療効果を比較した。その結果, 1)有効率(有効以上)はHG·抗アレルギー剤併用群(A群)91.4%, 抗アレルギー剤単独群(B群)57.9%で, 統計学的に有意差を認めた。2)「改善」以上の最終判定が得られた症例群において, 「改善」以上が100%になつた時期を比較すると, A群は6週間目, B群は9週間目(判定日)であり, A群により早期の効果発現を認めた。3)ステロイド外用剤と抗ヒスタミン剤の使用量を試験開始時と試験終了時の1週間量で比較し, それぞれの減量効果をみたところ, A群の抗ヒスタミン剤, ステロイド外用剤で有意差が, B群のステロイド外用剤で傾向差が認められた。またA, B 2群間では, ステロイド外用剤の減少率に傾向差が認められた。4)抗アレルギー剤の種類別有効率については, HGとケトチフェンまたはトラニラスト併用群とケトチフェンまたはトラニラスト単独投与群の間にいずれも有意差が認められた。
  • 中川 秀己, 乃木田 俊辰, 江藤 隆史, 五十棲 健, 大河内 仁志, 小方 冬樹, 玉木 毅, 安藤 厳夫, 石橋 康正
    1989 年 51 巻 5 号 p. 988-994
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    成人型難治性アトピー性皮膚炎に対するヒスタグロビン(HG)と抗アレルギー剤ケトチフェンとの併用効果を検討するために, HGとケトチフェン併用群(A群)とケトチフェン単独群(B群)との比較試験を行い, 以下の成績を得た。1)全般改善度では, 中等度改善以上はA群85.0%, B群65.0%, 軽度改善以上はA群95.0%, B群90.0%でA群が有意に優れていた。2)有用度では, 有用以上はA群80.0%, B群40.0%, やや有用以上はA群95.0%, B群90.0%で両群間にきわめて有意な差を認めた。3)症状別重症度では最終観察日に紅斑, 丘疹, 落屑, および苔癬化でA群が有意に優れ, 全般重症度でも有意差が認められた。4)症状別改善度では, 丘疹, 落屑, および苔癬化でA群が有意に優れていた。5)ステロイド剤の使用量では, A群, B群とも有意な減量効果が認められたが, 両群間に有意差は認められなかつた。6)副作用では, A群2例, B群6例に眠気が認められたが, ケトチフェンによるものと思われた。その他重篤な副作用は認められなかつた。以上より, HGとケトチフェン併用療法は成人型難治性アトピー性皮膚炎に対して有用性の高い治療法と考えられた。
  • —ステロイド外用剤単独とオキサトミド併用の比較試験—
    成人型アトピー性皮膚炎研究会
    1989 年 51 巻 5 号 p. 995-1002
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    成人型アトピー性皮膚炎に対する抗アレルギー剤の有用性を検討するために, ステロイド外用剤0.12%吉草酸ベタメタゾン単独群と0.1%酪酸ヒドロコルチゾンと抗アレルギー剤オキサトミド併用群の比較試験を行つた。結果は下記の通りであつた。
    1) 併用群は, 単独群に比べ有意に高い改善度, 有用性を示した。
    2) とくに, そう痒に対しては併用群が有意に高い改善を示し, また, 掻破痕や紅斑などの皮膚所見に対しても高い効果が認められた。
    3) 併用による副作用のほとんどが眠気であつた。頻度は低く程度も中等度以下であり, 併用療法を進める上で問題とはならなかつた。
    以上の結果から, 外用ステロイド剤に抗アレルギー剤オキサトミドを併用することは, そう痒や皮膚所見の改善にすぐれ, また, 外用ステロイド剤の薬効ランクや減量などその選択域を広げることを可能にするので, 有用性の高い治療法であると考えられる。
  • —補中益気湯の有用性について—
    小林 裕美, 石井 正光, 谷井 司, 幸野 健, 濱田 稔夫
    1989 年 51 巻 5 号 p. 1003-1013
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎は皮膚科外来において日常遭遇することの多い疾患であるが, これまでの西洋医学的治療のみでは十分な効果が得られないこともしばしばであつた。われわれはアトピー性皮膚炎の基本療法に漢方内服療法を用い, 西洋医学的療法との併用を試みた。漢方方剤の選択に際し, 一般にアトピー性皮膚炎の患児は色青白く痩せ型で, 感染に対して抵抗力が弱いという特徴を有することが多いことから, これを虚症としてとらえ, 体質改善の目的で補中益気湯を用いた。すなわち, アトピー性皮膚炎患者18例に対し, これまでの西洋医学的療法をそのまま継続するとともに補中益気湯エキス細粒(カネボウ薬品株式会社製: 体重40kg以上では7.5g/日, 20∼40kgでは5.0g/日, 20kg未満では2.5g/日)を, 原則として3ヵ月以上の長期間投与した。その結果, かなり有用以上の有用率は55%(18例中10例), やや有用以上では89%(18例中16例)に達し, 全例に副作用も認められなかつた。このことから, アトピー性皮膚炎における治療法の一つとしての, 補中益気湯の有用性が示唆された。
  • 城野 昌義, 大石 空, 小野 友道, 荒尾 龍喜, 野上 玲子, 前川 嘉洋, 萱島 研一, 吉井 章, 木藤 正人, 友田 哲郎, 山下 ...
    1989 年 51 巻 5 号 p. 1014-1022
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    コラージュM石鹸とコラージュD乾性肌用石鹸を, 各種炎症性皮膚疾患に試用し, 両石鹸の治療補助効果, 安全性ならびに有用性を検討した。その結果, 過剰皮脂と汚れた皮脂を洗浄するという石鹸の本来の働きに加え石鹸残留刺激性と感作能を認めず安全性を兼ね備えた石鹸であることが判つた。以上より, 炎症性皮膚疾患患者の管理において, 両石鹸は充分使用価値があると思われた。
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