西日本皮膚科
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52 巻 , 3 号
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図説
綜説
症例
  • 加藤 直子, 橋都 浩哉, 柴田 稔, 門田 悟, 宮沢 一裕
    1990 年 52 巻 3 号 p. 457-461
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    糖尿病, 慢性アルコール性肝障害, 鉄欠乏性貧血などの基礎疾患を有する56歳の男子に発症した, 壊死性筋膜炎と考えられる1例を報告した。手術, 外傷などの既往がなく, 左下肢の疼痛が出現し, その7日後に多発性に紅斑, 紫斑, 水疱が認められた。組織学的に, 表皮下の水疱と, 真皮から皮下脂肪組織にかけての小血管内腔のフィブリンによる閉塞および細胞浸潤が認められた。水疱内容物の培養からStreptococcus pneumoniaeおよびStaphylococcus aureusが同定され, 動脈血の培養からEnterobacter cloacaeが同定された。抗生物質の全身療法にもかかわらず, 皮疹は短期間に急速に拡大し, 臍を越えて左胸部, 背部および上肢におよぶ壊死性病変を形成し, 左半身の著しい腫脹を示した。早期の診断, 皮疹部の外科的切除を成し得ず, 患者は敗血症性ショックから播種性血管内凝固症候群を併発して死亡した。本邦では報告の少ない本疾患について, 若干の文献的考察を加えた。
  • 真崎 治行, 大坪 東彦, 幸田 弘
    1990 年 52 巻 3 号 p. 462-466
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    非定型的臨床像を呈した限局性皮膚型スポロトリコーシスの2例を報告した。症例1は54歳, 農夫で, 頭頂部に脂漏性湿疹様の紅斑局面を認めた。病巣から, Sporothrix schenckiiCandida guilliermondiiが分離されたが, 後者は腐生したものと考えた。被髪頭部のスポロトリコーシスは本邦で自験例を含めて9例であつた。症例2は1歳10ヵ月, 女子で, 鼻尖部に単純性疱疹様皮疹を認めた。過去に報告された限局性皮膚型スポロトリコーシスの非定型例を検討したところ, 紅斑, 丘疹, 膿疱のような浅在性病変が多くを占めていた。そこでわれわれはその臨床像を次の8型に分類した: 紅斑型, 丘疹·膿疱型, 浸潤性局面型, 結節·腫瘤型, 潰瘍型, 瘻孔型, 疣状型, 混合型。
  • 藤本 亘, 妹尾 明美, 佐藤 仁吾
    1990 年 52 巻 3 号 p. 467-472
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    1歳男児。外傷の既往なく, 初診の3ヵ月前(生後9ヵ月時), 左前腕に紅斑が出現, 漸次拡大し皮下硬結を伴う潰瘍を生じた。現症: 左前腕内側に直径18×8mmの潰瘍があり, 周囲に軽度隆起する紅斑, 皮下硬結を伴う。生検組織学的所見は真皮中層から皮下脂肪組織への好中球, リンパ球を主とする細胞浸潤で, 浸潤部位の膠原線維, 脂肪細胞の壊死が認められた。入院3ヵ月後, 壊死組織片に多数の抗酸菌を認め, これを培養により分離し, 菌学的にMycobacterium marinumと同定した。温熱療法やisoniazid内服に抵抗し, 潰瘍は直径50×40mmまで拡大したのち, 1年2ヵ月で瘢痕治癒した。Mycobacterium marinumによる皮膚感染症としては最若年例であり, 辺縁穿掘性の巨大な潰瘍を形成した点が特異であつた。
  • 中村 佐和子, 三原 基之, 島雄 周平, 布 清文, 鮫嶋 憲治
    1990 年 52 巻 3 号 p. 473-477
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    10歳男子の左下腿に生じた悪性黒色腫を報告した。病変は左膝蓋下部の紅色腫瘤で, 病理組織検査の結果, amelanotic typeの結節型悪性黒色腫と診断した。広範囲腫瘍切除術, 左浅鼠径リンパ節廓清術を施行し, リンパ節の1個に転移を認めた。術後, DAV化学療法5クール, ベスタチン1日30mg内服にて加療し現在までのところ再発をみていない。思春期以前に発症する悪性黒色腫の頻度は低く, 前駆症として巨大色素性母斑などが知られているが, 自験例は前駆症を有さず, また, amelanotic typeであり, まれな症例と思われた。
  • 袋 秀平, 入交 敏勝, 梅田 整, 小原 一則, 儘田 康子, 中山 坦子, 勝俣 道夫
    1990 年 52 巻 3 号 p. 478-483
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    67才女子の右頬部に生じたMerkel cell tumorの1例を報告した。生検では他にmalignant lymphoma, metastatic carcinomaなどが考えられた。光顕的に明らかなtrabecular patternは認められなかつたが, 電顕で腫瘍細胞の細胞質内に有芯顆粒が認められた。また, 過去の報告例を検討し, 本邦における本腫瘍の特徴について考察を加えた。
  •  
    倉田 幸夫
    1990 年 52 巻 3 号 p. 484-487
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    組織学的に多数の裂隙形成および異常角化細胞がみられたseborrheic keratosisの1例を報告した。55歳女子。臨床的には右上腕内側に生じた9×7mm, 境界鮮明な角化性鱗屑をつけた小結節で, 組織学的に腫瘍は上方に向かつて増殖し, 顕著な過角化と表皮肥厚を示した。増殖細胞は異型性のない基底細胞様細胞と有棘細胞様細胞からなり, 腫瘍巣の主に中·上層に多数の裂隙形成および異常角化細胞がみられ, 一部で胞体が空胞化した変性細胞が融合して裂隙·小腔を形成していた。少数のsquamous eddiesも散在性にみられたが, 典型的なacantholytic cellは認められなかつた。真皮上層では多数のメラノファージと軽度の炎症性細胞浸潤が認められた。以上の所見から, 自験例はirritated seborrheic keratosisの一亜型と考えられた。
  •  
    倉田 幸夫, 扇谷 利二
    1990 年 52 巻 3 号 p. 488-490
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    脂漏性角化症から発生したBowen病の1例を報告した。79歳女子。2年前, 右下腹部に皮疹が出現し, 6ヵ月前に一部に糜爛を生じた。右下腹部に30×22mm, 軽度扁平隆起し, 境界鮮明, 不整形, 淡褐色∼黒褐色の局面があり, 一部に5×4mmの糜爛がみられた。組織学的に糜爛はBowen病, 周囲の病変は脂漏性角化症の表皮肥厚型に一致した。臨床経過および組織学的所見より, Bowen病は脂漏性角化症から発生したものと推測された。
  •  
    儘田 晃, 山本 俊幸, 山口 潤, 近藤 靖児, 梅田 整
    1990 年 52 巻 3 号 p. 491-494
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    43歳女子。前額部に生下時より存在する15×7mm大, 表面疣状の黄褐色局面がある。その上端部に径3mm大赤色調丘疹を伴う。病理組織学的には, 脂腺組織の発達に伴う表皮肥厚と角質増殖があり, 赤色丘疹部では小型で均一な大きさの細胞が管腔構造を伴つて増殖している。脂腺母斑とそこに続発したPinkus型のエクリン汗孔腫と診断した。当教室で1959年から1989年まで病理組織学的に確認された脂腺母斑は本症例を含めて81個であり, それらに生じた二次性腫瘍は基底細胞腫6個, 乳頭状汗管嚢胞腺腫2個, 外毛根鞘腫1個, エクリン汗孔腫1個(本症例), 未分化癌1個であつた。
  • 森田 昌士, 柴山 律子, 碇 優子, 徳橋 至, 橋爪 鈴男, 下田 祥由
    1990 年 52 巻 3 号 p. 495-499
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    56歳女子。昭和59年12月より左前腕に鶏卵大の環状紅斑, 手掌大の環状局面, 右肘頭部に指頭大の紅斑性結節が出現した。臨床検査成績では糖負荷試験で糖尿病型を呈し, ツ反で強陽性を示した以外に異常はなかつた。病理組織学的には, 膠原線維の変性と, その周囲にリンパ球, 組織球, 類上皮細胞の浸潤を認めた。PAS染色およびpH2.5アルシアンブルー染色にて, 変性部分に陽性所見を認めた。直接蛍光抗体法にて, 表皮真皮境界部および一部の血管壁にIgM, C1qの沈着を, 変性部分にフィブリノーゲンの沈着を認めた。環状肉芽腫と診断し治療を開始した。食事療法にて糖尿病は軽快するも, 皮疹は軽度扁平化するのみにとどまつた。一方, 同時期に殿部, 右大腿に帯状疱疹を併発した。
  • 蒲沢 ゆき, 久野 芳範, 神崎 保, 二村 健一, 湯口 幹典
    1990 年 52 巻 3 号 p. 500-502
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    43歳女子。33歳からリウマチ様関節炎を発症した。その後35歳時に左眼リウマチ性強膜炎を発症し視力予後も悪く, 疼痛強度のため38歳時に左眼の眼球摘出術を受けた。さらに, 38歳時に右眼にリウマチ性ぶどう膜炎を発症, 以後プレドニソロン内服による維持療法を受けている。42歳時に両足関節に膿疱が出現し, 穿掘性難治性潰瘍となつたが潰瘍部における細菌および真菌培養は陰性であつた。Disodium cromoglycateの外用治療を行い潰瘍は3ヵ月で治癒した。壊疽性膿皮症の合併症としてリウマチ様関節炎は比較的珍しく, また眼病変を伴うものは大変少ない。強膜炎の組織像と皮膚の病変部の組織像は類似しており同一の起源を持つと考えられた。本症例ではdisodium cromoglycateの外用療法は効果があるとの感触を得た。
  •  
    河原 謙一, 中川 重光, 上田 恵一
    1990 年 52 巻 3 号 p. 503-508
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    29歳男子。10年間の喫煙歴がある。約1ヵ月前より生じた右第2, 3指の有痛性潰瘍を主訴として受診した。潰瘍出現前に遊走性血栓性静脈炎に罹患している。指尖容積脈波とサーモグラフィーは四肢末端の血流低下を示し, 血管造影では末梢動脈の閉塞像が認められたため, ビュルガー病と診断した。治療は禁煙を厳守させ, プロスタグランディンの点滴静注にて治療したところ, 1週間後には安静時疼痛は消失し, 5週間後には潰瘍の著明な縮小をみた。その後プロスタグランディンの内服を開始し, 潰瘍はその4週間後に瘢痕治癒した。
  • 市川 弘城, 藤原 作平, 板見 智, 高安 進, 伊藤 宏士
    1990 年 52 巻 3 号 p. 509-513
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    31歳男子。2年前より食パン, ライ麦パン, サンドイッチなどを摂取した20分∼2時間後に顔面, 頸部に膨疹を生じるようになつた。食後運動負荷により膨疹は略々全身に生じ, 呼吸困難や意識喪失をきたしたこともあつた。小麦粉による蕁麻疹と考え, 小麦粉蛋白グルテンを多く含む麩を試験摂取したところ, 皮疹の再現を見, 運動負荷により症状悪化した。小麦粉, グルテン抽出液による皮内テストは陽性であつた。しかし, グルテンは単一物質ではなく, 大部分は不溶性蛋白であるので, 抗原物質を特定することは困難と考え, 小麦粉可溶性蛋白の主成分であるアミラーゼ·インヒビター(AI)を用いて皮内テストを行つた。その結果, AI中最も量的に多い0.28AIを始め, テストを行つた3つのAI分画に対して皮内反応陽性を呈した。以上の結果から, 従来知られているグルテン中の可溶性物質のほかに, AIが抗原性を持つことが明らかとなつた。
  • 山下 直子, 古城 八寿子
    1990 年 52 巻 3 号 p. 514-517
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    透析室職員11名中9名に生じた健康サンダル皮膚炎を検討した。発生部位はサンダルの隆起部と磁石に一致していた。皮膚炎発生者9名中6名は磁石, 1名はゴムによるパッチテストが陽性であつた。磁石に強陽性であつた2名, ゴムに強陽性であつた1名は使用中止後も皮膚炎を繰り返し, アレルギー性機序が示唆された。一方他の6名はサンダル中止後急速に軽快し, パッチテストも弱陽性∼陽性であり, 一次性刺激による皮膚炎と考えられた。
研究
  • —ケラトアカントーマの毛鞘ケラチンと病理組織学的毛包構造: 表皮細胞性のSCCとhistogenesisの相違と病理組織学的鑑別について—
    麻生 和雄, 下浦 孝子, 青木 武彦, 穂積 豊
    1990 年 52 巻 3 号 p. 518-526
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    著者らは最近経験したケラトアカントーマ(KA)3腫瘍からケラチンを抽出, 二次元電気泳動法で, 3腫瘍いずれからも毛鞘ケラチン(Mollケラチンカタログ, No. 6, No. 16, No. 17)を検出した。表皮ケラチン(MollカタログNo. 1)は3腫瘍中1腫瘍にわずかに検出されるにすぎなかつた。その結果はKAがcell biologicalにも毛鞘(毛包性)腫瘍であることを明らかにしたものである。教室過去13年間のKA17症例を毛鞘腫瘍としての毛包構造の存在を病理組織学的に再検索し, 1)anagen角化細胞, 2)squamouse eddy, 3)trichilemmal keratinization(TK)および4)澄明細胞の存在を有意義に認めた。その中でクレター角化部に向かつてTK化し, また腫瘍巣中に小渦巻構造を形成, 中心部にTK化する澄明細胞をほぼ全腫瘍において認めた。KAでは病理組織学的に腫瘍のlipped marginあるいはそれをこえて異型細胞浸潤像がみられsquamous cell carcinomaとの鑑別は困難なことがある。従来のKAのSCC鑑別criteriaに, 毛包構造の検索はKAをSCCと病理組織学的に鑑別する重要なcriteriaとなりうると考えられた。
  •  
    赤須 玲子, 内田 玲, 辻 和男, 細谷 律子
    1990 年 52 巻 3 号 p. 527-532
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    円形脱毛症患者に光電式plethysmographを改良した装置を用いて, 自律神経機能の一表現ともいわれているmicrovibrationを観察した。自己回帰モデルによる解析を行つた結果, 4つの型(正常型, 交感神経緊張型, 副交感神経緊張型, 全自律神経緊張型)が認められ, 本症患者は健常人に比し正常型以外の自律神経失調型(とくに交感神経緊張型)を示す割合が有意に高かつた。このことは本症において, その準備性, 素因, 遷延化の原因に何らかの自律神経的要因が働いている可能性を示唆するものであると思われる。
  • —手技とコツについて—
    島田 義昌
    1990 年 52 巻 3 号 p. 533-539
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    帯状疱疹の皮膚局所注入療法(以下, 局注法と略す。)の手技とコツにつき, 著者の経験をまとめたので報告する。1)強力な消炎鎮痛剤やステロイド剤でも痛みがとれない時, 局注法を追加すると, 除痛できることが多い。2)患部に少量のキシロカインを注射して, 注射痛を訴える部位に局注すると, 除痛効果が高い。3)キシロカインの注射痛には, 皮膚の浅部で訴える浅注射痛と, 深部で訴える深注射痛がある。深注射痛部は, 数は少ないが局注効果が高い。これは, 圧痛点, 皮神経起始部, その他で見つけやすいので, その探し方と局住手技について述べた。浅注射痛部は範囲が広いので, どこに局注すればよいか考察したが, さらに検討の余地がある。4)キシロカインを注射した後, ビタミンB1またはステロイドを追加局注するとよい。5)局住法が有効な時は, 局注直後から痛みがとれるので, これを確認して局注を終了する。6)局注法で痛みがとれない時は, 鎮痛剤を変えてみる。痛みがとれた時は, 鎮痛剤をすぐには変えないで, 徐々に減量する。7)局注効果が弱いのはどんな時か, またどんな時に治療法を変えるべきかについても考察した。
  • 永井 隆, 荒瀬 誠治, 武田 克之
    1990 年 52 巻 3 号 p. 540-544
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    外用合成グルココルチコイド剤difluprednate(DFBA)は体内に入ると, 真皮でまずDFBに代謝され, 続いてDF, HFB, DF20H, HF, HF20Hの順に代謝される。今回DFBAとその体内代謝物, および臨床効果がstrongest, strong, weakとみなされているclobetasol propionate(CP), betamethasone valerate(BV), hydrocortisone butyrate(HB)の培養ヒト線維芽細胞DNA合成への影響を比較検討した。DFBAおよびすべての代謝物は0.1, 1, 10μg/mlでDNA合成を濃度依存性に抑制した。各々の濃度DNA合成抑制曲線より50%DNA合成抑制濃度をもとめ, DNA合成抑制活性を比べたところCP>DFBA>BV>DFB>HB>DF>HFB>DF20H>HF>HF20Hの順で弱くなりHFB, DF20H, HF, HF20Hの活性はDFBAの10%以下であつた。現在ではDFBAとDFBが皮膚で局所作用を担つており, それ以下の代謝物が全身への影響に直接関与していると考えられている。今回の結果より外用DFBAは局所作用が強く, 全身作用が比較的弱い薬剤であると考えた。またDFBAの真皮での最初の代謝物DFBも比較的高い活性を持つていることより, 外用DFB剤が開発されるならより使用しやすいであろうと考えた。
  • —皮膚透過性と角質への吸着性について—
    有可 正, 羽瀬 豊治, 横尾 守
    1990 年 52 巻 3 号 p. 545-549
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    Butenafine hydrochroride(KP-363; N-4-tert-butylbenzyl-N-1-methyl-1-naphthalene-methylamine hydrochloride)の皮膚への浸透性および貯留性を14C-KP-363を用い検討した。1%14C-KP-363 0.2ml(2mg)をモルモットの背部皮膚に6時間密封貼付した後の皮膚の各層への分布を検討したところ, KP-363は白癬の生息部位である角層を含む表皮層には50μg/g以上存在し, 貼布24時間後(貼付終了18時間後)でも表皮層には10μg/g以上の薬剤の残存が認められ, 本剤はbarrierを含む表皮層に貯留しやすいことが判明した。一方, 抗真菌剤と角質との吸着性をヒト毛髪粉末を用い検討したところ, KP-363, tolnaftate, clotrimazoleおよびbifonazoleは毛髪と強い吸着が観察された。毛髪に吸着したKP-363, tolnaftate, clotrimazoleおよびbifonazoleのT. mentagrophytesに対する抗菌力はそれぞれ4.0, 15.6, 62.5および62.5μg/g(毛髪)であり, サブロー液体培地で測定した抗菌力(0.0125, 0.05, 0.39および0.39μg/ml)に比べ減弱していた。しかし, 1%KP-363を塗布した場合に得られる角層中のKP-363濃度はT. mentagrophytesの発育を阻止するになお充分であることが明らかとなつた。
講座
統計
  • 森下 佳子, 長尾 洋, 赤木 芳文
    1990 年 52 巻 3 号 p. 555-559
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    広島市民病院皮膚科で昭和59年より同63年までにみられた帯状疱疹患者について統計的観察を行つた。患者数は849例で同期間内の外来新患総数の2.78%を占め, 年齢別では50∼60歳代を中心に分布した。基礎疾患としては高血圧症, 悪性新生物, 糖尿病が主なものであつた。基礎疾患の罹患臓器別では, 肺疾患, 膀胱前立腺疾患で皮疹が特定の部位に好発していた。汎発性帯状疱疹は6.0%の患者にみられ, 男子, 高齢者, 基礎疾患のある例が多かつた。
  • 西川 武志, 安田 秀美, 小林 仁, 大河原 章
    1990 年 52 巻 3 号 p. 560-564
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    北海道大学医学部皮膚科外来の過去10年間の膿疱性乾癬につき統計的観察を行つた。1)当教室過去10年間における乾癬患者は836人で, うち膿疱性乾癬は81例, 全身性膿疱性乾癬(Zumbusch)は14例であつた。2)全身性膿疱性乾癬は, さらに3つのsubtypeに分類された。Type 1: 膿疱のみを繰り返す。Type 2: 寛解期に乾癬の像を示す。Type 3: 前駆病変として掌蹠に膿疱を有す。3)従来から膿疱性乾癬の発症因子の1つとして強調されている感染症やステロイド内服, 強力な外用ステロイドとの関係を示す症例は少なかつた。4)治療として, エトレチナート内服がほぼ全例に有効であつた。
治療
  • 窪田 泰夫, 宇野 明彦, 赤須 玲子, 塚本 克彦, 大竹 直人, 八坂 なみ, 塚田 真奈美, 古屋 勉, 島田 真路
    1990 年 52 巻 3 号 p. 565-571
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    蕁麻疹, 湿疹·皮膚炎および皮膚そう痒症患者36例にketotifen-MR錠を投与し, その有効性, 安全性および有用性についての検討を行つた。最終全般改善度は, 「中等度改善」以上で, 蕁麻疹68.8%, 湿疹·皮膚炎92.9%, 皮膚そう痒症100%と高率であつた。2例(5.6%)に副作用が認められたが, 1例は投与継続可能であり, 1例は投与中止により速やかに消失した。総合的に判定した有用度は, 「有用」以上で, 蕁麻疹68.8%, 湿疹·皮膚炎92.9%, 皮膚そう痒症75.0%となり, ketotifen-MR錠の高い有用性が示唆された。
  • 安元 慎一郎, 堀 嘉昭
    1990 年 52 巻 3 号 p. 572-576
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    皮膚·軟部組織感染症に対する, ピリドンカルボン酸系の合成経口抗菌剤シプロフロキサシンの臨床効果について検討した。対象患者は30例(男子21例, 女子9例, 年齢16∼68歳)で, 対象疾患の内訳は毛嚢炎4例, 膿疱性ざ瘡3例, せつおよびせつ腫症4例, ひょう疽1例, 爪周囲炎2例, 皮下膿瘍1例, 感染性粉瘤5例, 慢性膿皮症1例, 集簇性ざ瘡3例, 創傷感染·術後創感染3例, 表在性二次感染2例であつた。本剤を, 原則として1日400mg投与したところ, 著効12例, 有効11例, やや有効5例の結果を得, 有効以上の有効率は82.1%であつた。病巣より, P. acnes(10株), S. aureus(8株), S. epidermidis(4株)などが主に分離され, これらの菌に対する本剤のMICは, 0.1∼25μg/mlに分布し, ほとんどは0.2∼1.56μg/mlであつた。副作用は1例にめまいを認めたが, 減量することによつて継続投与可能であつた。また, 臨床検査値異常は1例に中性脂肪の上昇を認めたのみであつた。以上より, 本剤は安全性にも問題なく, 皮膚科領域の細菌感染症に対して有用な薬剤として期待できると考えた。
  • 蜂須賀 裕志, 森 理, 笹井 洋一郎, 井上 和彦
    1990 年 52 巻 3 号 p. 577-580
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    カルシウム拮抗剤の一つであるアダラートカプセル(nifedipine)を用いて凍瘡の治療効果の判定を行つた。凍瘡患者26例について, 1日2回アダラートカプセルの内容を塗布した。有効率は著効31%, 有効42%, やや有効15%, 無効12%であつた。治療前後において血圧に変動はみられなかつた。凍瘡におけるアダラート外用療法は, 安全でありかつ有用性が高いと考えられた。
  • —とくに長期観察例について—
    堀江 徹也, 堀江 康治
    1990 年 52 巻 3 号 p. 581-585
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    近年抗真菌剤は飛躍的な進歩を遂げ, きわめて多数の外用薬が繁用されているが, imidazole系薬剤が主流をなしている。しかしimidazole系薬剤の使用法は1日2∼3回を必要とするのに対し, 本剤は1日1回の塗布で既存の抗真菌剤より優れているという報告1)がある。今回本抗真菌剤を足白癬に使用し, 現在までの効果判定基準の第4週日をさらに延長し, 第8週日の効果と比較検討した。その総合的効果は第8週日は第4週日よりきわめて優れた結果を示した。
  • KP-363研究班
    1990 年 52 巻 3 号 p. 586-595
    発行日: 1990/06/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    新しく開発されたベンジルアミン系抗真菌薬KP-363(塩酸ブテナフィン)の1%クリーム剤および1%液剤の皮膚真菌症に対する有効性および安全性を検討する目的で, 全国23施設による研究班を結成し, 第二相臨床試験を実施した。皮膚所見ならびに菌検査の結果を考慮した最終総合効果判定の有効率は手·足白癬ではクリーム剤で70.4%, 液剤で70.1%, 股部白癬ではクリーム剤で80.3%, 液剤で81.8%, 体部白癬ではクリーム剤で82.6%, 液剤で80.0%, 間擦疹型皮膚カンジダ症ではクリーム剤で74.3%, 液剤で66.7%, カンジダ性指間糜爛症ではクリーム剤で72.7%, 液剤で85.7%, カンジダ性爪囲炎ではクリーム剤で55.6%, 液剤で80.0%, 癜風ではクリーム剤で78.2%, 液剤で86.2%であつた。副作用はクリーム剤で508例中16例(3.1%), 液剤で168例中2例(1.2%)に認められたが, いずれも薬剤の中止, 薬剤の変更, ステロイド剤を含む抗炎症剤の投与などにより, もしくはそのまま治験を続行するうちに軽快消失した。治療効果および副作用を考慮した有用率は, 手·足白癬では, クリーム剤で68.4%, 液剤で69.0%, 股部白癬ではクリーム剤で82.0%, 液剤で81.8%, 体部白癬ではクリーム剤で87.0%, 液剤で86.7%, 間擦疹型皮膚カンジダ症ではクリーム剤で70.3%, 液剤で66.7%, カンジダ性指間糜爛症ではクリーム剤で72.7%, 液剤で85.7%, カンジダ性爪囲炎ではクリーム剤で55.6%, 液剤で80.0%, 癜風ではクリーム剤で78.2%, 液剤で89.7%であつた。以上よりKP-363·1%クリーム剤および同液剤は皮膚真菌症に対し有用な薬剤と考えられた。
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