1992年2月から5月までの4ヵ月間に舞鶴共済病院皮膚科を受診した麻疹患者24例の臨床的事項について検討した。
1) 患者は13∼29歳(平均18.7歳), 男11例, 女13例で, 麻疹ワクチン既接種者が6例あった。
2) 臨床症状については, 発熱が100%, 咳嗽が96%, コプリック斑が79%, 出血性発疹が13%に認められた。ワクチン既接種者のほとんどは軽症であった。
3) 口腔粘膜細胞診では多核上皮巨細胞が67%に認められ, 風疹や伝染性紅斑との鑑別に有用であった。
4) 麻疹ウイルス抗体価については, ペア血清におけるHI抗体価の有意の上昇が95%, IgM抗体が95%に認められた。
5) 一般臨床検査成績では, 発症初期に白血球, リンパ球および血小板の減少, 好中球の核左方移動がみられた。発症1週前後には異型リンパ球の多数出現が83%に, LDHの上昇が79%にみられた。
6) 合併症として中耳炎, 単純性疱疹, 脳炎が各1例あった。肝機能障害としてGOTおよびGPTの上昇が63%にみられたが, 軽度の例が多かった。
7) 妊婦例が1例あった。妊娠経過·分娩とも良好で母児ともに異常はなかった。
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