西日本皮膚科
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55 巻, 2 号
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図説
綜説
症例
  • —末梢血像と臨床病型解離例におけるリンパ節所見の意義—
    山村 文衛, 城野 昌義, 平井 俊二, 大石 空, 山本 伸二, 小野 友道
    1993 年 55 巻 2 号 p. 219-225
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    38歳男子の成人T細胞白血病(ATL)症例を報告した。本例は当初血液像, 末梢血リンパ球(PBL)表面マーカー, 骨髄像の所見および系統的リンパ節腫大, 内臓諸臓器の腫瘍病変を欠くことより慢性型ATLと診断した。しかし, α-インターフェロン(IFN-α)を投与後急激にATLの肺浸潤を来たし, 複合化学療法(VEPA療法)に変更, 肺症状は速やかに改善したが, それ以後治療に抵抗性となり, 治療開始10ヵ月後に死亡した。本例は, その後の臨床経過からはむしろ急性型と診断され, 末梢血像と臨床病型とに不一致がみられた。本例の特異な所見として, リンパ節のT細胞領域のみがCD25陽性の大型腫瘍細胞で占められており, 急性の経過を予測し得る重要な所見であったと考えられた。
  • 崎濱 秀樹, 辛島 正志, 名嘉真 武国, 中野 俊二, 津田 眞五, 笹井 陽一郎
    1993 年 55 巻 2 号 p. 226-231
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    慢性型成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)に悪性黒色腫, 腎細胞癌, 転移性肺腫瘍を合併した福岡県在住の79歳男性例を報告した。右足底に濃淡のある45×50mmの黒褐色腫瘤が存在し, 数個の右鼠径リンパ節も触知した。病理組織学的に悪性黒色腫(level IV, stage III)と診断した後にcryosurgery, 免疫化学療法を施行した。その結果原発巣は消失したが, 右鼠径リンパ節転移巣に対しては縮小効果は得られなかった。さらに末梢血液中での白血球数増多(13,000/mm3), flower cellの存在, 抗HTLV-1抗体陽性, HTLV-1 proviral DNA陽性, 骨髄穿刺にてATL細胞8.8%などの所見がみられたため, 慢性型ATLLと診断した。また全身検索にて左腎中部∼上極および後腹膜に150×95×100mmの巨大腎腫瘍があり, 生検にて腎細胞癌(clear cell carcinoma)と診断した。さらに胸部単純X線, 胸部CT scanにて転移性肺腫瘍が疑われ, 喀痰細胞診を施行したが, 異型細胞は陰性であった。慢性型ATLL, 腎細胞癌, 転移性肺腫瘍は患者のquality of lifeを考えて経過観察とした。重複癌の発症機序は不明であるが, 慢性型ATLL患者においてはその発症に注意する必要がある。
  • 野上 玲子, 前川 嘉洋
    1993 年 55 巻 2 号 p. 232-236
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    帯状疱疹の合併症としてはまれな脳炎を併発した症例を報告した。症例は78歳男子で, 疼痛に引き続き右三叉神経第3枝領域(頬部, 下口唇, 頸部, 耳介, 外耳道, 頬粘膜, 舌, 下歯槽粘膜)の帯状疱疹を発症し, 下歯槽骨の壊死を来し, さらに皮疹出現6日目に意識障害を主症状とする脳炎を合併した。脳炎は抗ウイルス剤による治療で後遺症を残さずに軽快した。入院経過中, 慢性リンパ性白血病(CLL; IgM-κ B cell)と診断され, 免疫不全に伴い帯状疱疹の重篤化, 脳炎の合併を来したものと考えた。
  • 森 理, 蜂須賀 裕志, 笹井 陽一郎
    1993 年 55 巻 2 号 p. 237-242
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    68歳男子に生じた悪性関節リウマチによると思われる両下腿, 足背の皮膚および筋肉の壊死を報告した。患者は15年前より糖尿病, 5年前より慢性関節リウマチで加療中であった。初診の約3週間前より四肢の腫脹, 全身の関節痛が出現し, 5日前から39℃の発熱, 四肢の紫斑, 水疱も併発した。入院後, 両下腿, 足背は急激に壊死に陥った。入院時検査では低補体価, 血中免疫複合体陽性, リウマトイド因子高値を認め, 悪性関節リウマチと診断した。組織学的に血管の閉塞像は一ヵ所のみ認められたが, 典型的な壊死性血管炎の像は得られなかった。Débridementを施行したが筋肉, 骨膜壊死が進行し, 両下腿を切断した。入院後48日目に悪性関節リウマチによると思われる肺疾患が増悪し, 呼吸不全にて死亡した。両下腿潰瘍, 壊死部における細菌, 真菌培養は常に陰性であった。
  • 佐藤 伸一, 五十嵐 敦之, 竹原 和彦, 尹 浩信, 原田 栄, 下妻 道郎, 紫芝 敬子
    1993 年 55 巻 2 号 p. 243-247
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    抗nRNP抗体陽性の膠原病例は混合性結合組織病(MCTD)を含む多様な病態および経過をとることが知られている。今回われわれは慢性関節リウマチ(RA)と診断されていたMCTDの2例を報告した。症例1は関節痛で初発し, RA因子陽性のためRAと診断されたが, 手指の変形を伴わない関節痛が長期に持続していたため, 抗核抗体を測定したところ抗nRNP抗体陽性と判明した。手指には軽度腫脹がみられ, 胸部X線上肺線維症が認められた。プレドニン®10mg/日内服にて関節痛は著明に軽減した。症例2も関節痛で初発し, RA因子陽性のためRAと診断されたが, レイノー現象が出現してきたため抗核抗体を測定したところ, 抗nRNP抗体陽性と判明した。手指には軽度腫脹がみられたが, 内臓病変の合併は認められなかった。両者ともRAをはじめとする古典的膠原病の診断基準のいずれをも満たさず, 症例1はMCTD, 症例2はMCTD不全型と診断した。抗nRNP抗体陽性52例の初発症状を解析したところ, 関節痛で初発するものが19.2%を占めた。したがって, 抗nRNP抗体陽性例において, 関節炎で初発しRA因子が陽性である場合, 発病初期にはRAと診断される危険性があると考えられた。
  • 工藤 芳子, 板見 智, 高安 進, 松本 克彦, 内田 雄三
    1993 年 55 巻 2 号 p. 248-252
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    下咽頭から下部食道に機能障害を伴い, ステロイド抵抗性であった皮膚筋炎の一例を報告した。数年間の皮疹先行後に, 近位筋脱力, 嚥下困難が出現し, ほぼ全身に鮮紅色から暗赤色の紅斑, 手指関節突起部に角化性局面, 爪上皮の角化性変化を認めた。組織学的には表皮基底層の液状変性と真皮上層の細胞浸潤, 筋線維の萎縮を認めた。食道内圧測定で上部食道·上部食道括約筋群の機能障害, 食道造影にて輪状咽頭筋群の機能障害, 24時間pH測定にて頻回の胃からの逆流が証明され, 下部食道にまで病変が及んでいるものと考えた。プレドニン®60mg/日にて治療開始したが嚥下困難と筋力の回復が遅延し, 経過中にLDHの再上昇と心病変の併発を認めたため, イムラン®50mg/日を併用しその後の経過は順調である。LDH高値が持続しているが, 現在までのところ内臓悪性腫瘍の合併は無い。
  • 丸尾 圭志, 前川 嘉洋, 野上 玲子
    1993 年 55 巻 2 号 p. 253-256
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    50歳の女子。初診の約1ヵ月前より顔面·四肢·背部の紅斑性丘疹と四肢の筋力低下が生じ, 皮膚筋炎の診断のもとプレドニゾロンにより治療を開始した。皮疹·筋症状は徐々に改善したが, プレドニゾロン減量中に呼吸器症状が出現した。ステロイドのパルス療法を施行したが, 著効なく呼吸器症状出現8日後に死亡した。本症例は, 経過中CPK·LDHなどの酵素が正常であったにもかかわらず, その転帰はきわめて不良であった。皮膚筋炎では, その経過中に間質性肺炎を併発する可能性があり, しかも, CPK·LDH値などは必ずしも皮膚筋炎の活動性を反映するものではないということを強調した。
  • 石井 義輝, 寺師 浩人, 高崎 修旨, 板見 智, 倉田 荘太郎, 高安 進
    1993 年 55 巻 2 号 p. 257-261
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    全身に2個のdysplastic nevusを含む177個の色素斑があり, 結節型悪性黒色腫の発症をみた39歳男子例を報告した。青年期より躯幹を中心として黒褐色調の色素斑が増加, 34歳頃に右下腿に小豆大の褐色斑が出現し, 拡大·隆起してきた。局部の腫瘤を近医にて切除したところClark’s level IVの結節型悪性黒色腫であったため, 当科入院し, 拡大切除·所属リンパ節郭清術を施行した(術後診断はStage III(T2N1M0))。術後1年9ヵ月, 現在まで化学療法·免疫療法を施行しながら経過観察中であるが再発·遠隔転移は認めていない。また, 比較的大型の躯幹の色素斑2個は組織学的にjunctional type, compound typeのdysplastic nevusであった。家族歴を有しないことからKraemerらの分類type Cと診断した。Dysplastic nevusは家族性黒色腫に随伴する皮疹として報告され, 現在では悪性黒色腫の前駆病変ないしリスクファクターとしてとらえられている。しかし, 白色人種に比べ悪性黒色腫, dysplastic nevusともに発症頻度の遙かに低い我が国ではまだ両者の合併例の報告は散発的に見られるに過ぎない。日本人におけるdysplastic nevusの意義については今後の症例の集積, 経過観察が必要である。
  • 清水 和宏, 一ノ瀬 弥久, 鳥山 史
    1993 年 55 巻 2 号 p. 262-265
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    16歳女子の右臀部に発生したnerve sheath myxomaの1例を報告した。腫瘤は常色, 弾性硬で真皮にも同様の結節を触れた。Café-au-lait斑は存在しない。割面では分葉構造がみられ, 組織学的にも真皮に粘液性小葉の集簇を認める。各小葉では紡錘型細胞の浮遊を認めるが細胞の異型性は乏しい。免疫組織染色にて腫瘍細胞はS100蛋白弱陽性, epithelial membrane antigen陰性の所見を示し, Schwann cell起源の可能性が強く示唆された。
  • 佐藤 英嗣, 東 清吾, 山口 潤, 熊切 正信
    1993 年 55 巻 2 号 p. 266-269
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    53歳男子の頭部に発症したtubular apocrine adenomaの1例を経験した。4年前に気づいた左側頭部の暗赤色, ドーム状, 17×15×11mmの肉様硬の腫瘤を切除し, 組織学的に検索した。病巣は1ヵ所で表皮と連続した境界明瞭な一塊を成す腫瘍巣である。腫瘍巣には大小の管腔構造と嚢腫形成がある。大部分の管腔壁は2層の細胞で構成され, 外層は立方形ないし扁平, 内層は円柱状の細胞で, 断頭分泌の所見が認められた。また, 嚢腫内容はPAS陽性, ジアスターゼ抵抗性, ムチカルミン染色は陰性であった。一方免疫組織学的には管腔面に面した部分がCEA陽性, S100蛋白陽性であった。
  • 岡 恵子, キョン チンファイ, 斎藤 文雄, 野本 雅弘, 勝俣 道夫, 野崎 清恵, 佐々部 正孝, 柳原 誠
    1993 年 55 巻 2 号 p. 270-274
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    両下腿に生じた自覚症状のないアミロイド苔癬の37歳男子例を報告した。病理組織学的にHE染色所見はアミロイド苔癬として典型的であったが, コンゴー赤染色は光顕, 偏光顕微鏡検査で陰性, ダイロン染色は光顕が弱陽性, 偏光顕微鏡検査は陰性とアミロイド物質の性質に一致しなかった。ところが同じコンゴー赤染色とダイロン染色標本を螢光顕微鏡で観察すると, 沈着物質が橙色の螢光を発した。酵素抗体法による抗アミロイドPコンポーネント抗体, 抗ケラチン抗体の検索でも陽性所見を認め, 電顕所見もアミロイド線維に一致した。以上の結果より沈着物質はアミロイド物質と診断した。入浴時のナイロンタオルの使用を中止し, ステロイド剤の外用治療で皮疹は軽快した。本症の中には螢光顕微鏡検査により初めて診断が可能になる症例もあると考えられた。
  • 古江 増隆, 石橋 康正
    1993 年 55 巻 2 号 p. 275-277
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    通導散®の内服が奏効した難治性アトピー性皮膚炎の1例を報告した。臨床症状の軽快とともに, 血清LDH値, IgE値, 各種RAST値も低下した。通導散も難治性のアトピー性皮膚炎に対する補助療法として併用に値する薬剤であろうと考えた。
研究
  • 谷川 英子, 蜂須賀 裕志, 笹井 陽一郎, 因 正信, 新宮 正久
    1993 年 55 巻 2 号 p. 278-280
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    疣贅組織からのhuman papillomavirus(HPV)-DNAの抽出は, これまで比較的煩雑な方法を用いて行われていた。今回われわれはアルカリプラスミド抽出法を用いて疣贅組織よりHPV-DNAの抽出を試みた。得られたHPV-DNAについて制限酵素切断後, アガロースゲル電気泳動を行い, 泳動パターンよりDNAの型分類を行った。本方法は簡便であり, 得られたHPV-DNAの純度も高く, 個々の解析に応用が可能と考える。
  • 松田 幸枝
    1993 年 55 巻 2 号 p. 281-286
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    ヒト悪性黒色腫細胞YU GEN 8に対する薬剤の増殖抑制効果判定のためのMTT(3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5,-diphenyl tetrazolium bromide)assayの至適条件は, 最終細胞密度30×104個/ml, MTT溶液(5mg/ml)量20μlであった。この条件下でマウスの悪性黒色腫細胞のメラニン合成を阻害することが知られているBu-3818EおよびBu-3819EはYU GEN 8細胞の増殖を抑制しなかった。一方, マウスの悪性黒色腫細胞の増殖を抑制することが知られているBu-3862TはYU GEN 8細胞の増殖を用量依存性に抑制した。これらの結果より, メラニン合成阻害はヒト悪性黒色腫細胞の細胞増殖に影響しないこと, Bu-3862Tはマウスと同様にヒト悪性黒色腫細胞の増殖を抑制することが示唆された。
  • —紅斑, 即時型黒化, 遅延型黒化による検討—
    野田 俊明, 川田 暁, 比留間 政太郎, 石橋 明
    1993 年 55 巻 2 号 p. 287-291
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    サンスクリーン剤の紫外線防御効果を従来のsun protection factor(SPF)の測定に加え, 遅延型黒化(delayed tanning, DT), 即時型黒化(immediate pigment darkening, IPD)の防御効果により検討した。被験試料: ECRAN TOTAL UVA-UVB-IR(RoC S. A., France)。実験方法: 健康成人男子10名を対象とし, 被験部位は背部, 塗布面積50cm2, 塗布量2mg/cm2とした。光源にはsolar simulator WXL-50 C-5-UV(WACOM, Japan)を用い, 照射波長域はUVA+B, 照射率は34.8mW/cm2とした。結果: 試料非塗布部位のminimal erythema dose(MED), minimal delayed tanning dose(MDTD), minimal immediate pigment darkening dose(MIPDD)は, それぞれ132.8KJ/m2, 146.7KJ/m2, 16.7KJ/m2であった。試料塗布部位のMED, MDTDは最大照射量でも測定できなかったが, MIPDDは1422.8KJ/m2であった。試料塗布部位のMED, MDTDをその最大照射量で計算したprotection factor(PF)値は, それぞれ15以上, 12以上と算定され優れた効果を示した。IPDより計算したPF値は85.3であったがさらに検討が必要と思われた。
講座
統計
  • 村田 久仁男, 稲沖 真, 大槻 典男
    1993 年 55 巻 2 号 p. 301-307
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    1992年2月から5月までの4ヵ月間に舞鶴共済病院皮膚科を受診した麻疹患者24例の臨床的事項について検討した。
    1) 患者は13∼29歳(平均18.7歳), 男11例, 女13例で, 麻疹ワクチン既接種者が6例あった。
    2) 臨床症状については, 発熱が100%, 咳嗽が96%, コプリック斑が79%, 出血性発疹が13%に認められた。ワクチン既接種者のほとんどは軽症であった。
    3) 口腔粘膜細胞診では多核上皮巨細胞が67%に認められ, 風疹や伝染性紅斑との鑑別に有用であった。
    4) 麻疹ウイルス抗体価については, ペア血清におけるHI抗体価の有意の上昇が95%, IgM抗体が95%に認められた。
    5) 一般臨床検査成績では, 発症初期に白血球, リンパ球および血小板の減少, 好中球の核左方移動がみられた。発症1週前後には異型リンパ球の多数出現が83%に, LDHの上昇が79%にみられた。
    6) 合併症として中耳炎, 単純性疱疹, 脳炎が各1例あった。肝機能障害としてGOTおよびGPTの上昇が63%にみられたが, 軽度の例が多かった。
    7) 妊婦例が1例あった。妊娠経過·分娩とも良好で母児ともに異常はなかった。
治療
  • 亀山 孝一郎, 酒井 智恵, 近藤 滋夫, 米元 康蔵
    1993 年 55 巻 2 号 p. 319-322
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    メラニン産生の際に重要な役割を果たすチロジナーゼの抑制因子であるアゼライン酸を20%含有する外用剤を作製し, 肝斑, 老人性色素斑などのメラニン色素増加疾患20例に1日2回外用を行った。臨床効果の判定には色彩色差計を用いた。20例中14例に2週ないし2ヵ月で効果が現われた。副作用としては皮膚のひりつき感, 発赤が2例で認められたが, 使用中止によりこれらの副作用は色素沈着を残さず消退した。これらの所見よりアゼライン酸はメラニン色素増加疾患に有用であると考えた。
  • —黄連解毒湯と桔梗石膏の内服療法—
    東 一紀, 天野 隆文, 大川 司, 藤岡 彰
    1993 年 55 巻 2 号 p. 323-326
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    22歳女子のアトピー性皮膚炎の治療抵抗性の顔面の紅斑に, 黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ; EK-15)と桔梗石膏(キキョウセッコウ; K324)を追加投与して, 3週後に顔面の紅斑は改善した。自験例の顔面の紅斑に対する本漢方療法の作用機序は, 処方とその構成生薬または成分の, 抗炎症作用, 抗アレルギー作用および抗菌作用と推測される。
  • 足白癬治療法研究班
    1993 年 55 巻 2 号 p. 327-336
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    炎症症状あるいは湿疹性変化を伴う趾間型足白癬に対して, イミダゾール系抗真菌外用剤を単独で使用した場合と, 抗真菌剤外用前に2週間ステロイド外用剤あるいは抗真菌剤とステロイド外用剤の配合剤を用いた場合の3種類の治療方法について有用性を比較検討した。その結果, 抗真菌剤単独投与よりもステロイド外用剤あるいは配合剤を用いた方が早期にそう痒, 発赤, 浸軟などの改善がみられ, とくに, 配合剤使用において早期改善が著明であった。湿疹性変化が強い足白癬に対しては, 抗真菌剤の外用でかえって症状の悪化をみる場合も多く, 短期間, ステロイド外用剤あるいは配合剤を用いることは治療期間の短縮につながるものであり, 有用と思われた。
  • 倉田 佳子, 麻上 千鳥
    1993 年 55 巻 2 号 p. 337-341
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    尋常性ざ瘡18例, 膿疱性ざ瘡2例の計20例に対し, いわゆるニキビ用に開発されたコラージュ液体石鹸Aを使用し, その治療補助効果, 安全性ならびに有用性について検討した。従来行っている治療に加え, 本石鹸を4週間以上洗顔に使用させたところ, 脂漏, 脂性の程度など, 各臨床症状において高い改善率が得られた。尋常性ざ瘡に対する本石鹸の治療補助効果は, 20例中19例(95.0%)に認められ, 皮疹部位に対する悪影響は全例認められなかった。また, 他の治療を併用しない石鹸単独使用群7例においても, 同様に良好な成績が得られた。以上の結果, コラージュ液体石鹸Aは臨床症状を悪化させることなく, 治療の補助的な役割を持つ有用性の高い石鹸と考えられる。
  • 岡山地区アゼプチン臨床研究班
    1993 年 55 巻 2 号 p. 342-347
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    そう痒性皮膚疾患(アトピー性皮膚炎, その他の湿疹·皮膚炎, 痒疹, 蕁麻疹, 皮膚そう痒症)353例(男子181例, 女子172例, 平均年齢46.0歳)を対象として塩酸アゼラスチン(アゼプチン®)の臨床効果, 安全性, 有用性について検討した。その有用度において, ‹きわめて有用›と‹有用›を合わせると, アトピー性皮膚炎では69.5%, その他の湿疹·皮膚炎では86.9%, 痒疹では73.0%, 蕁麻疹では83.8%, 皮膚そう痒症では74.1%であった。各症状に対してはとくにそう痒に有効であった。副作用は14例(4.0%)にみられたが, ほとんどが眠気で, 重篤な副作用は認められなかった。以上の結果から, 本剤はそう痒性皮膚疾患の治療において有用性の高い薬剤と考えられる。
  • 群馬皮膚科アゼプチン臨床研究会
    1993 年 55 巻 2 号 p. 348-354
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    群馬県を中心とする大学·病院·開業医など19施設で, 塩酸アゼラスチン(アゼプチン®)のそう痒性皮膚疾患に対する臨床効果を検討した。対象疾患および症例数は, 蕁麻疹134例, 湿疹·皮膚炎群302例, 皮膚そう痒症90例, 痒疹15例の合計541例である。そう痒, 皮膚病変に対する効果は痒疹の場合を除いていずれも2週後に半数以上が改善を認めた。また, それぞれの疾患における改善率(「著明改善」, 「改善」の全体に対する割合), 有用度(「極めて有用」, 「有用」の全体に対する割合)はいずれも60%以上を示し, とくに湿疹·皮膚炎群で高かった。副作用は541例中17例, 20件認められ, うち17例中14例(82.4%)が眠気で, 重篤な副作用は無かった。さらに, 早期に治療を開始すれば, いずれの疾患群においても重症例でも軽症例と等しく効果のあることが明らかとなり, 塩酸アゼラスチンはそう痒性皮膚疾患に有用な治療薬であると考えられた。
  • —アゼプチン®とステロイド外用剤の併用療法の有用性について—
    西村 正幸, 木村 秀人, 駒田 信二, 伊藤 宏士, 高野 廣英, 宮野 辰彦, 波多野 裕敏
    1993 年 55 巻 2 号 p. 355-360
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    Strongランク以下の外用剤による治療を受ける急性湿疹, 慢性湿疹, 貨幣状湿疹, 接触皮膚炎, 脂漏性湿疹およびアトピー性皮膚炎患者を対象として, アゼプチン®の併用薬としての有用性について検討した。上記のすべての疾患において, アゼプチン®併用群の改善率は非併用群に比べて有意に高く, 効果と安全性の点から本剤の有用性が確認された。他の湿疹·皮膚炎に比べて改善率が劣るとされるアトピー性皮膚炎においても, 本剤を併用することによりstrongランク以下のステロイド外用剤で良好な治療効果が得られる場合が少なくないことが示唆された。さらにstrongランクの外用剤単独の治療より本剤を併用したmildランクの外用剤による治療のほうが改善率が高く, ステロイド外用剤による副作用軽減の見地からも本剤が有用であることが示唆された。
  • 中山 英俊, 島雄 周平
    1993 年 55 巻 2 号 p. 361-367
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    各種のそう痒性皮膚疾患220例(有効性·安全度とも採用216例, 安全度のみ採用4例)に対する塩酸アゼラスチン(アゼプチン®)の臨床効果, 安全性および有用性について検討し, 下記の結果を得た。
    1)最終全般改善度における改善率(改善以上)は湿疹·皮膚炎90.8%(アトピー性皮膚炎82.6%), 痒疹77.8%, 蕁麻疹89.8%(慢性蕁麻疹87.1%), 皮膚そう痒症85.7%で各疾患とも高い改善率を示した。
    2)副作用の発現は5.5%(12/220例)に認められたが, 眠気が主たるものであり重篤な副作用は認められなかった。
    3)有用以上の有用度は湿疹·皮膚炎88.4%(アトピー性皮膚炎73.9%), 痒疹77.8%, 蕁麻疹89.8%(慢性蕁麻疹87.1%), 皮膚そう痒症82.1%と各疾患で高い有用度を示した。
    以上の結果より本剤は有効性, 安全性ともにすぐれており, アトピー性皮膚炎, 慢性蕁麻疹などの慢性疾患を含む各種そう痒性皮膚疾患に対し, 有用度の高い抗アレルギー剤であると考えられた。
  • 北九州地区アゼプチン共同臨床研究班
    1993 年 55 巻 2 号 p. 368-373
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    蕁麻疹, 湿疹·皮膚炎, 皮膚そう痒症, 痒疹などのそう痒性皮膚疾患を対象として塩酸アゼラスチン(アゼプチン®)の臨床効果を検討した。最終全般改善度において, 改善以上の評価は蕁麻疹で85%, 湿疹·皮膚炎で80%, 皮膚そう痒症で83%, 痒疹では71%であった。副作用は44例(2.9%)に認められたが, 眠気, 倦怠感が主たるものであった。そう痒性皮膚疾患に対する塩酸アゼラスチンの高い有効性および安全性が示された。
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