西日本皮膚科
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56 巻 , 4 号
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図説
綜説
症例
  • —心理社会的, 精神医学的背景を中心として—
    倉石 紀子, 山口 全一, 森嶋 隆文
    1994 年 56 巻 4 号 p. 680-687
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    Erythema ab igneの3例(69歳の女性, 57歳の男性, 44歳の男性)を経験した。皮膚症状では多形皮膚萎縮症, 水疱形成を伴った症例もあった。発症原因はいずれも赤外線暖房器具(ストーブ, こたつ)であった。自験3症例ともその発症誘因に心理社会的, 精神医学的背景(強迫神経症, 脳動脈硬化性精神障害, 性格神経症)が認められた。本症は自験例および文献的考察によりその発症誘因に心理社会的, 精神医学的背景のある皮膚疾患のひとつに属すると考えられた。本症は皮膚癌の発症母地としても注目されているので, その発症誘因に心理社会的, 精神医学的背景のある場合には, 早期にその誘因に対する確実な診断, 治療, 生活指導を行うことが重要である。また本症例の経験から精神医学的要因のある皮膚疾患の診察では皮膚科医にも精神医学的知識が必要になり, さらにその皮膚疾患に対しては皮膚科医が中心となって医療チームを編成して診断, 治療, 生活指導などを行うことが重要であると思われた。
  • 村田 久仁男, 大槻 典男, 高橋 秀房, 安原 修一郎
    1994 年 56 巻 4 号 p. 688-693
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    症例は37歳の男性。四肢の腫脹, 浮腫性紅斑·緊満性水疱·紫斑などの皮疹, 右上肢·両下肢の異常感覚·不全麻痺·筋力低下·筋萎縮などの末梢神経症状, 咳嗽, 発熱, 体重減少などが認められた。紅斑の組織像は真皮への著明な好酸球浸潤を示したが, 血管炎の像は認められなかった。検査成績として末梢血および骨髄における著明な好酸球増多, γ-グロブリン増加, IgE高値, リウマチ因子陽性, 赤沈の高度亢進, CRP陽性, 筋電図での神経原性変化などが認められた。ステロイドの全身投与で四肢の腫脹, 皮疹, 発熱, 好酸球増多などは消失したが, 神経症状の改善は認められなかった。
  • —Provost型と思われた1例—
    野田 徳朗, 青山 裕美, 鹿野 由紀子, 前田 学, 森 俊二
    1994 年 56 巻 4 号 p. 694-698
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    症例は65歳の女性。1982年より乾燥症状がありその5年後には顔面に紅斑, 膝, 足関節に環状紅斑が出現したため当科受診し, シェーグレン症候群と診断された。次第に発熱, 関節痛, 全身倦怠感をともない, 紅斑の悪化, 紫斑の出現をきたした。副腎皮質ホルモン大量投与により寛解を得たが, 漸減とともに, 全身症状, 皮疹の再発をみた。1989年腎炎, 貧血, リンパ球減少, 全身性浮腫をきたし, 1990年には胃潰瘍穿孔をおこした。胃全摘術を行ったが, 術後経過は不良で死亡の転帰をとった。
  • 松本 茂, 大川 幸三, 池田 政身, 小玉 肇
    1994 年 56 巻 4 号 p. 699-704
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    症例1(32歳の男性)はwide-spread discoid lupus erythematosusの皮疹を呈し, 症例2(53歳の女性)の皮疹はlupus erythematosus(LE)ともlichen planus(LP)とも確定しがたかった。両症例とも抗核抗体陽性, RNase感受性ENA抗体高値であった。病理組織学的, 免疫組織化学的には両症例ともLPの像を呈した。このように臨床症状と血清学的所見はLEであるが, 組織学的にはLPの所見を示す症例は, 基本的には予後の良い皮膚型LEであると考え, lichen planus-like lupus erythematosusと診断した。症例1は少量のステロイドとエトレチナート内服の併用が奏効した。
  • 下村 洋, 影下 登志郎, 小野 友道, 木藤 正人
    1994 年 56 巻 4 号 p. 705-708
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    78歳の女性のpemphigoid nodularisの1例を報告した。74歳頃に全身にそう痒感を伴う水疱が出現した。治療により水疱は消失したがそう痒感の持続と痒疹様皮疹が多発してきた。皮疹部の生検組織にて表皮·真皮境界部にIgG·IgA·C3の線状沈着を認め, 血中に抗BMZ(表皮基底膜部)抗体を検出し, pemphigoid nodularisと診断した。全身を精査したが内臓悪性腫瘍の存在を疑わせる所見はなかった。難治性であったがサラゾスルファピリジンの投与が有効であった。
  • 葉 著寿, 大石 空, 石原 剛, 小野 友道
    1994 年 56 巻 4 号 p. 709-711
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    症例は18歳の女子高生。以前より幻覚·多幸感を得る目的でカセットボンベやライターのガスを吸入していた。受傷当日も, カセットボンベガスを吸入し, その後意識朦朧状態となりタバコに火をつけようとして爆発, II度40%の熱傷を受傷した。家庭用カセットコンロは手軽で便利なため普及している。このコンロ用ガスはブタンを主成分としており, ブタンガスには幻覚を引き起こす作用がある。このためボンベガスを吸入する若者が最近増加している可能性がある。今後はガス吸入の危険性ばかりでなく, それによる火災および熱傷の危険性についても啓蒙が必要である。
  • 木村 京子, 大滝 倫子
    1994 年 56 巻 4 号 p. 712-715
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    柑皮症は高カロチン食の過食によることが多いが, 過剰なカロチン摂取がなくても糖尿病, ネフローゼ症候群, 甲状腺機能異常, 神経性食欲低下症などの疾患で高カロチン血症をきたすことがある。これらの疾患ではしばしば高脂血症をきたすために, 2次的に, 脂溶性であるカロチンが増加すると考えられていた。今回, カロチン過食のない高カロチン血症の女性9例を検討した。高脂血症は1例に認められるのみで, 7例に甲状腺機能異常, 4例に神経性食欲低下症, 5例に無月経を認めた。カロチン代謝に甲状腺ホルモン, 女性ホルモンが関与している可能性が考えられた。
  • 古賀 哲也, 今山 修平, 堀 嘉昭
    1994 年 56 巻 4 号 p. 716-718
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    37歳の女性に生じたPL顆粒®内服後の固定薬疹について以下の検討を行った。同薬剤によるパッチテストは陰性であったが, リンパ球幼若化試験は陽性であった。組織学的に表皮は壊死に陥り, 一部再生された表皮にリンパ球の浸潤と基底層の液状変性および核が濃縮し細胞質が好酸性に染まるdyskeratotic cellがみられた。また真皮上層にはリンパ球浸潤とともにmelanophageがみられた。患者末梢血単核球を同薬剤と共に72時間培養した培養上清中には, IFN-γ活性がみとめられた。以上より本症例では患者末梢血に存在する薬剤特異的T細胞から産生されたIFN-γが皮膚病変の発現に関与している可能性が示唆された。
  • 竹中 基, 吉田 彦太郎, 西本 勝太郎
    1994 年 56 巻 4 号 p. 719-723
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    57歳の女性。数年前から糖尿病で食餌療法を行っていた。平成3年10月, 船上で作業中にたこつぼの針金で右第2指を受傷した。放置していたところ, 約1ヵ月後に右前腕屈側肘窩やや下方に紅色結節が出現し, 末梢に向かい同様の皮疹が多発してきた。初診時, 右第2指から肘関節にかけて帯状に暗紫紅色調の大小の結節が多発, 一見スポロトリコーシスを思わせる症状を呈していた。ツベルクリン反応は強陽性。組織学的には, 乾酪壊死を伴わない非特異的肉芽腫を認めた。小川培地による生検組織の培養において, 27℃, 37℃ともに黄灰色のコロニー形成を認め, Mycobacterium chelonae subsp. chelonaeと同定された。リファンピシン, エタンブトールの内服にて約4ヵ月で治癒しその後は1年以上再発を認めていない。
  • —右半身不全麻痺を有する糖尿病患者の麻痺側上肢に結節が多発した1例—
    弥富 祐子, 安田 佳世, 小玉 肇
    1994 年 56 巻 4 号 p. 724-728
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    右半身不全麻痺と糖尿病を有する60歳無職の男性。右手背に自覚症状のない結節が生じ, 自潰排膿しさらに20個の類似の結節が右上肢に列序性に多発した。外傷の既往はない。生検にて真皮深層の肉芽腫性炎症像を認め, 病変部からSporothrix schenkiiが培養され, リンパ管型のスポロトリコーシスと診断した。空腹時血糖は156mg/dlで, 好中球機能と末梢血CD4/8比の軽度低下を認めた。サーモグラフィーにて患側上肢の皮膚温の低下が見られた。糖尿病の合併, 好中球機能と細胞性免疫の低下, 及び不全麻痺に基づく皮膚温の低下が皮疹の多発に関連すると考えた。ヨードカリ1.5g/日の内服と局所温熱療法を併用し皮疹は治癒した。
  • —抗ケラチン抗体を用いた免疫組織化学的解析—
    佐藤 伸一, 堤 正彦, 北原 比呂人, 島田 真路, 岩田 充, 大塚 藤男, 渡辺 晋一
    1994 年 56 巻 4 号 p. 729-733
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    Clear cell hidradenoma(以下CCH)の2例を報告した。症例1は32歳の女性で, 約6年前に生じた右後頭部のうずらの卵大腫瘤を主訴に, 症例2は46歳の男性で, 4年前に左前頭部の23×20mmの腫瘤を主訴に当科受診した。病理組織学的には2例ともほぼ同様で, 腫瘍は真皮深層から皮下脂肪組織にかけて存在し, 中央に大きな嚢腫様構造を伴っていた。腫瘍はclear cellとepidermoid cellで構成され, 腫瘍巣内には大小の管腔構造も認められた。この2症例について各種モノクローナル抗ケラチン抗体を用いて, 免疫組織化学的に解析した。CCHは正常の表皮内導管から分泌部にかけて存在するケラチンを幅広く有しており, CCHのclear cellは正常のエクリン汗器官の分泌部と, CCHのepidermoid cellは正常エクリン汗器官の表皮内および真皮内導管と, そしてCCHの管腔形成部は正常エクリン汗器官の表皮内および真皮内導管, 分泌部と密接に関連していると考えられた。
  • 石井 明子, 中山 秀夫, 池上 博泰, 森永 正二郎
    1994 年 56 巻 4 号 p. 734-739
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    30歳のロシア人男性の類上皮肉腫を逆行性橈骨動脈皮弁法にて治療した。8年前に左手関節屈側に潰瘍が出現し, 手術を4回受けたが再発を繰り返していた。病理組織学的に, 真皮内にエオジン好染の豊かな胞体を持ち, 核に異型性を示す腫瘍細胞が増殖し, 大部分が類円形で, 上皮様の胞巣を形成していた。電顕的には切れ込みの目立つ核と豊富な細胞質を持つ腫瘍細胞が多く, 胞体内に中間径フィラメントを認めた。免疫組織化学的にEMA, vimentin, keratinに対する抗体を用いた染色にて腫瘍細胞は陽性であった。本症の治療にあたっては, 発病初期の正確な病理診断と最初から十分な広範囲切除が必要と思われた。
  • 稲生 祐平, 宮里 稔, 笹井 陽一郎
    1994 年 56 巻 4 号 p. 740-743
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    Adenoid cystic carcinomaの皮膚転移例を報告した。症例は51歳の女性で, 1960年左涙嚢にadenoid cystic carcinomaを生じ, 広汎な切除術をうけた。その後, 再発, 切除を繰り返していたが1990年に至り, 左鼻唇溝部に紅色結節を2個生じた。病理組織学的には, 立方形ないし多角形の細胞が節状あるいは腺管状に配列し, 一部には充実性胞巣が認められた。管腔内には, PAS陽性(ジアスターゼ抵抗性), alcian blue陽性の物質が認められた。以上からadenoid cystic carcinomaの皮膚転移と診断した。涙嚢原発の本腫瘍の皮膚転移例はこれまで本邦において報告をみない。
研究
  • 益雪 浩一, 安田 幸雄, 石倉 直敬, 塚田 貞夫
    1994 年 56 巻 4 号 p. 744-748
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    熱傷創治癒後にみられる男性須毛部の瘢痕は, 肥厚が高度で長期化しやすい。この原因を探る目的で, 男性8例, 女性2例の須毛部における肥厚性瘢痕を病理組織学的に検討した。男性の毛包は一般的に女性に比べその数が多く, 毛径も太い傾向を示す通り, 男性例では毛包の破壊像に加え, 単核球よりなる炎症性細胞の浸潤, 異物巨細胞などの特異的な所見が認められた。以上より, 遷延化した肥厚性瘢痕の主要な局所的要因の一つとして, 破壊された毛包や真皮内に露出した毛に対する異物反応の関与が示唆された。
  • —当科23例の集計と病理組織学的および免疫組織化学的検討—
    藤田 裕介, 勝岡 憲生, 荒井 亮, 岩崎 雅
    1994 年 56 巻 4 号 p. 749-757
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    1982年から1991年までの10年間に北里大学病院皮膚科を受診した色素性痒疹の患者23例の集計を行った。さらに臨床経過を4段階に分類し, これらに対比した病理組織像, 免疫組織化学的所見を中心に検討をくわえた。最も炎症が激しい浮腫性小紅斑の時期の組織像は, 表皮細胞間, 細胞内浮腫が著明でdyskeratotic cellを認めることもあった。表皮内, 真皮上層のリンパ球の浸潤が著明で, 免疫組織染色でこれらのリンパ球表面マーカーは表皮ではCD8, 真皮ではCD4陽性細胞が優勢であった。また表皮変性部周囲でCD2陽性細胞, 表皮内および真皮浸潤リンパ球にHLA-DR陽性細胞を多数認めた。また自験例23例と280例をこえる報告例について年齢, 性別, 罹患部位, 誘因または増悪因子, 検査所見, 治療などについて比較検討したが, 両者に大きな差異はなかった。1)24歳以下の発症例が自験例では87.0%, 報告例では68.7%であった。2)男女比は自験例では1:2.3, 報告例でも1:2.3であった。3)罹患部位はともに胸部, 背部, 項部に多くみられた。4)誘因, 増悪因子として衣類の刺激, 汗, 月経, 妊娠がみられた。5)検査所見で特異的なものはなかったが, 自験例では10例が低値ながらも抗核抗体が陽性であった。6)治療はミノサイクリン, DDSが有効であった。
講座
統計
  • 小野 公義
    1994 年 56 巻 4 号 p. 763-768
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    兵庫県皮膚科医会の実施する皮膚病サーベイランスのうち, 1987年より92年までの6年間の帯状疱疹(以下, HZ)10, 963例の統計をまとめた。(1)この6年間でHZがしだいに増加しているが, それは50代, 60代のHZがとくに増加しているためと考えられた。(2)季節的には毎年夏多く冬少なく, どの年齢層でも同じ傾向を示した。(3)男女比は1:1.3で女性に多く, とくに50代女性が50代男性に比べて多かった。(4)年齢分布は50代, 60代が多く, ついで10代に多い2峰性となった。0∼9歳の子どもの占める率は8.1%であった。(5)病院·大学と診療所の2群に医療機関を分けて, 患者の年齢分布をみると, 前者は60代に著しく大きなピークがあり, 後者は10代と50代の同高の2つのピークを持つ2峰性を示し, この2群では患者の年齢分布が大きく異なっていた。0∼9歳の子どもの占める率も, 前者は5.4%, 後者は9.3%で, 診療所に子どもの患者が多い。(6)若年層のHZは軽症のために, 病院·大学を訪れることは少ない。そのため, 病院·大学の統計では, 患者が高齢側に片より, 加齢とともにHZは増加するという結論に走りやすいと思われる。サーベイランスによる本論文の統計では, この従来の説を支持できなかった。ありふれた病気の疫学は, 診療所, 病院, 大学の患者をまとめて統計にとるサーベイランス方式による統計が, より実態にせまれると考えた。
  • 岡田 理, 高橋 伸也
    1994 年 56 巻 4 号 p. 769-774
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    1987年1月∼1991年12月の5年間に秋田大学医学部附属病院皮膚科を受診した白癬新患患者につき疫学的および菌学的調査を行い, 前回(1979∼83年)および前々回(1972∼76年)の調査と比較して以下の成績を得た。1)患者総数は, この5年間で691人(延例数にして864例)で, 男性376人, 女性315人で男女比は1.2:1であった。3回の調査で, 女性の割合が徐々に増加していた。年齢別では男女共50歳代が最も多かった。2)疾患別では足白癬496例(57.4%), 手白癬38例(4.4%), 爪白癬140例(16.2%), 体部白癬103例(11.9%), 股部白癬72例(8.3%), 頭部浅在性白癬9例, ケルスス禿瘡4例, 白癬菌性毛瘡2例であった。3)培養陽性株数は502株でTrichophyton rubrum 328株(65.3%), Trichophyton mentagrophytes 156株(31.1%), Microsporum canis 11株(2.2%), Trichophyton violaceum, Trichophyton verrucosum, Epidermophyton floccosum各々2株, Trichophyton tonsurans 1株であった。4)ケルスス禿瘡を除くと, 各疾患においていずれもT. rubrumが原因菌の第1位を占めていた。5)過去2回と今回の調査で分離菌の変遷をみるとM. canisが引続き増加傾向にあり, E. floccosumは前回に比べ大幅に減少していた。6)今回の調査でT. rubrumT. mentagrophytesの比率は白癬全体では2.10, 足白癬では1.28であった。いずれも前回の調査と比べて上昇していた。
  • 弥富 美奈子, 幸田 弘
    1994 年 56 巻 4 号 p. 775-779
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和56年より平成4年まで当科を受診したケラトアカントーマ(KA)の患者は28例で平均年齢は69.8歳, 男性70.1歳, 女性69.6歳であった。好発部位は頭頸部(26例)であり, 1例を除き他は露光部に発生した。臨床型は28例中27例が定型単発型で, 1例がkeratoacanthoma centrifugum marginatum(KCM)であった。経過と治療では28例中切除したものが20例, 未治療で自然消退したものが7例で, 発症より自然消退までの期間は平均17週であった。また最終診断でKAとした28例中初診時に異なる臨床診断を下していた症例が9例(32.2%)含まれていた。
治療
  • 浅井 寿子, 浅谷 雅文, 田沼 弘之, 阿部 美知子
    1994 年 56 巻 4 号 p. 780-783
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル フリー
    57歳の男性。大工。相模原市在住。平成4年5月頃に左前腕に潰瘍が出現し, 次第に拡大したため当科を受診。左前腕屈側に39×18mm大の楕円形の浅い潰瘍が存在し, その周囲と手背に米粒大から大豆大の結節をみとめた。病理組織学的には, 表皮は一部潰瘍化し, 真皮全層に著明な細胞浸潤がみられた。中心に膿瘍を形成し, その周囲に肉芽腫性反応をみとめた。膿瘍あるいは肉芽腫性反応部浸潤細胞間および巨細胞内にPAS陽性の胞子がみられた。治療はテルビナフィン125mg/日経口投与にて速やかに皮疹は改善し, 14週後には軽度発赤を残すのみとなり, 培養でも菌が検出されなかったので治癒と判定した。本邦においてスポロトリコーシスにテルビナフィンを使用した報告はなく, 自験例が第1例目である。本剤はスポロトリコーシスに対してきわめて有用な治療法のひとつと考えた。
  • —治療効果判定のパラメーターとして—
    花田 二郎, 堀越 貴志
    1994 年 56 巻 4 号 p. 784-788
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル フリー
    従来よりアトピー性皮膚炎の臨床的パラメーターとして, 末梢血好酸球数, IgE値などが挙げられている。さらに近年アトピー性皮膚炎患者では, 末梢血ECP濃度が上昇していると報告されている。今回われわれは, 抗アレルギー剤のひとつであるketotifenをアトピー性皮膚炎患者24名に4週∼8週間投与し皮膚症状, 血清ECP濃度, 末梢血好酸球数, IgE値の治療前後での推移を検討した。その結果, 皮膚症状は有意な改善を認めたが, 従来の報告のごとく末梢血好酸球数, 血清IgE値は治療前後で有意な低下は認められなかった。血清ECP値は治療前では平均34.3±0.75μg/l, 治療後では平均13.5±0.65μg/lであり, ketotifen投与により血清ECP濃度は有意に低下を示した(p<0.01)。したがって末梢血好酸球数, 血清IgE値, 血清ECP濃度, 三者のうちで, 血清ECP濃度は最も良く皮疹の改善度を反映していた。血清ECP濃度は皮疹の改善度, 薬剤の治療効果判定のよいパラメーターとなりうることが示唆された。
  • 名古屋大学アゼプチン研究班
    1994 年 56 巻 4 号 p. 789-793
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル フリー
    慢性蕁麻疹の患者407例を対象として, 塩酸アゼラスチン(アゼプチン®)の臨床効果を検討した。症状別臨床効果では, 紅斑, 膨疹, そう痒ともアゼプチン®投与1週間後でかなりの改善が認められた。最終全般改善度は, 改善以上が87%と高い改善率を示した。また抗ヒスタミン剤やステロイド剤とアゼプチン®を併用した群も, 高い改善率を示した。副作用は6.1%に認められ, その大部分が眠気であった。以上より本剤は慢性蕁麻疹に非常に有効であり, 従来の抗ヒスタミン剤やステロイド剤で効果不十分な症例にも, その併用により十分な効果が期待できる事がわかった。
  • —至適用法·用量設定試験—
    Terbinafine研究班
    1994 年 56 巻 4 号 p. 794-808
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル フリー
    治療が比較的長期におよぶ爪白癬に対するterbinafine 125mg錠の有効性と安全性を検討するために, すでに手·足白癬や生毛部白癬の臨床試験に用いられた用法·用量(1日1回(125mg/日)投与(1回群)および1日2回(250mg/日)投与(2回群))に倣い, 封筒法により全国27施設において2群間の比較検討試験を実施し, 以下の成績を得た。1)総症例96例(1回群: 48例, 2回群: 48例)のうち, 解析対象例は88例(1回群: 45例, 2回群: 43例)であった。解析対象のうち, 完全採用例は75例(1回群: 41例, 2回群: 34例)であり, その他, 有効性のみ採用2例(1回群: 1例, 2回群: 1例), 安全性のみ採用11例(1回群: 3例, 2回群: 8例)であった。2)菌陰性化率(直接鏡検)は1回群: 83.3%, 2回群: 88.6%, 臨床所見判定の改善以上の改善率は, 1回群: 88.1%, 2回群: 88.6%, 総合効果判定の有効以上の有効率は1回群: 88.1%, 2回群: 88.6%であり, すべての項目に有意差は認めなかった。3)副作用(自他覚症状)発現率は, 1回群: 11.4%, 2回群: 11.9%であり, 両群間に有意差は認めなかった。内訳については両群とも, 胃部不快感, 皮疹などであったが, 中止例など高度なものは1回群の1例に対し, 2回群では4例であった。臨床検査値で明らかな薬剤による異常変動はなかった。また安全率は1回群: 84.1%, 2回群: 85.7%で有意差は認めなかった。4)有用率は1回群: 90.2%, 2回群: 88.2%で両群間に有意差は認めなかった。5)これらの結果より, 爪白癬に対するterbinafine 125mg錠の1日1回(125mg/日)投与と1日2回(250mg/日)投与では, 有効性, 安全性および有用性は同等と考えられた。しかし, 1日2回投与群に高度な副作用の発現率が高いことから, 本剤の至適用法·用量は1日1回(125mg/日)投与と判断された。
  • —Griseofulvin錠を対照薬とした二重盲検比較試験—
    Terbinafine研究班
    1994 年 56 巻 4 号 p. 809-825
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル フリー
    新規経口抗真菌剤テルビナフィン125mg錠(以下TBFと略)の1日1回1錠投与による爪白癬に対する有効性と安全性を検討するために全国33施設からなる共同研究班を組織し, グリセオフルビン(以下GRFと略)を対照薬として二重盲検試験を実施した。総症例数は129例(TBF群66例, GRF群63例)であった。本試験は実践的な試験との立場からintent-to-treatに基づく解析を行った。したがって有効性, 安全性, 有用性解析対象例は全例129例(TBF群: 66例, GRF群: 63例)で, そのうち判定不能例は有効性評価で21例(TBF群: 9例, GRF群: 12例), 安全性評価で7例(TBF群: 2例, GRF群: 5例), 有用性評価で13例(TBF群: 6例, GRF群: 7例)であった。最終真菌学的効果判定における菌陰性化率はTBF群62.1%, GRF群61.9%, 最終臨床所見判定の改善率はTBF群72.7%, GRF群65.1%, 総合効果判定の有効率はTBF群74.2%, GRF群65.1%であり, 全ての項目において両群間に有意差は認めなかった。副作用発現率はTBF群22.7%, GRF群20.6%で, 両群間に有意差は認めなかった。有用性判定は有用率でTBF群72.7%, GRF群63.5%であり両群間に有意差は認めなかった。また有用以上での同等性について検討した結果, TBF群とGRF群は同等であることが証明された。以上の成績より, TBFは爪白癬に対してGRFと同様の有効性と安全性を有し, 同等の高い有用性をもつ薬剤であると考えられた。
  • 笠原 延子, 中山 秀夫
    1994 年 56 巻 4 号 p. 826-835
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル フリー
    爪白癬19例, 爪カンジダ症1例の計20例の爪真菌症にアリルアミン系の新規経口抗真菌剤であるterbinafine錠を1日1回投与し, その臨床効果を検討した。爪甲の混濁の減少および肥厚の改善に対し良好な臨床効果が得られ, 爪白癬19例における有効率は78.9%であり, その内訳は著効13例, 有効2例であった。副作用発現症例は1例(5.3%)で, 軽度の歯肉出血とふらつきが認められたが, とくに処置を要さず消失をみた。また, 本剤に起因すると考えられる臨床検査値異常変動は全例に認められなかった。以上, terbinafineは爪白癬の治療に対し, 1日1回の内服で優れた臨床効果を示し, 安全性も高く有用な薬剤であると考えられた。
  • 田村 俊哉, 松尾 忍, 飯塚 一
    1994 年 56 巻 4 号 p. 836-843
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル フリー
    テルビナフィン錠の皮膚真菌症に対する有効性, 安全性および有用性の検討を行った。爪真菌症4例(爪白癬2例, 爪カンジダ症2例), 広範囲の生毛部白癬, 白癬性毛瘡, 慢性皮膚粘膜カンジダ症(CMCC)各1例に対し, テルビナフィン125mg錠を1日1回投与した。爪白癬についてはグリセオフルビン無効例についても有効性が示され, 白癬性毛瘡においても4週間で治癒に至った。また, これまで治療に抵抗性を示していたCMCCの症例に対してもかなりの有効性を認めた。副作用は本剤によると思われる薬疹が1例に認められたが中止により軽快した。われわれの使用経験例は少数であるが, テルビナフィン錠は難治性皮膚真菌症に対し有用な薬剤であるとの印象を得た。
  • テルビナフィン研究会
    1994 年 56 巻 4 号 p. 844-861
    発行日: 1994/08/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル フリー
    新規経口抗真菌剤テルビナフィン125mg錠(以下TBF)の1日1回投与によるA群: 角質増殖型手·足白癬およびB群: 生毛部白癬に対する有効性と安全性を検討するため, 全国35施設にてグリセオフルビン(以下GRF)を対照薬とした二重盲検試験を実施した。総症例数は, A群が109例(TBF群: 55例, GRF群: 54例), B群が107例(TBF群: 54例, GRF群: 53例)であり, 本試験は実践的な試験との立場からintent-to-treatに基づき, 全例を対象として解析を行った。最終真菌学的効果判定の菌陰性化率は, A群ではTBF群: 80.0%, GRF群: 70.4%, B群ではTBF群: 66.7%, GRF群: 64.2%であった。皮膚症状判定の改善率は, A群ではTBF群: 74.5%, GRF群: 68.5%, B群ではTBF群: 77.8%, GRF群: 79.2%であった。総合効果判定の有効率は, A群ではTBF群: 78.2%, GRF群: 70.4%, B群ではTBF群: 72.2%, GRF群: 73.6%であった。安全性判定の「安全である」は, TBF群: 85.3%, GRF群: 76.6%であった。有用性判定の有用率は, A群ではTBF群: 70.9%, GRF群: 64.8%, B群ではTBF群: 70.4%, GRF群: 67.9%であった。以上, 有用以上での同等性について検討した結果A群において両薬剤が同等であることが検証された。従って, 角質増殖型手·足白癬に対してTBFはGRFと同等の有用性を持つ優れた薬剤と考えられた。またB群においては統計学的には同等性は証明されなかったものの, 有用率ではTBF群がやや勝っており, 生毛部白癬(広範囲)に対して臨床的にはほぼ同様の有用性を有するものと考えられた。
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