治療が比較的長期におよぶ爪白癬に対するterbinafine 125mg錠の有効性と安全性を検討するために, すでに手·足白癬や生毛部白癬の臨床試験に用いられた用法·用量(1日1回(125mg/日)投与(1回群)および1日2回(250mg/日)投与(2回群))に倣い, 封筒法により全国27施設において2群間の比較検討試験を実施し, 以下の成績を得た。1)総症例96例(1回群: 48例, 2回群: 48例)のうち, 解析対象例は88例(1回群: 45例, 2回群: 43例)であった。解析対象のうち, 完全採用例は75例(1回群: 41例, 2回群: 34例)であり, その他, 有効性のみ採用2例(1回群: 1例, 2回群: 1例), 安全性のみ採用11例(1回群: 3例, 2回群: 8例)であった。2)菌陰性化率(直接鏡検)は1回群: 83.3%, 2回群: 88.6%, 臨床所見判定の改善以上の改善率は, 1回群: 88.1%, 2回群: 88.6%, 総合効果判定の有効以上の有効率は1回群: 88.1%, 2回群: 88.6%であり, すべての項目に有意差は認めなかった。3)副作用(自他覚症状)発現率は, 1回群: 11.4%, 2回群: 11.9%であり, 両群間に有意差は認めなかった。内訳については両群とも, 胃部不快感, 皮疹などであったが, 中止例など高度なものは1回群の1例に対し, 2回群では4例であった。臨床検査値で明らかな薬剤による異常変動はなかった。また安全率は1回群: 84.1%, 2回群: 85.7%で有意差は認めなかった。4)有用率は1回群: 90.2%, 2回群: 88.2%で両群間に有意差は認めなかった。5)これらの結果より, 爪白癬に対するterbinafine 125mg錠の1日1回(125mg/日)投与と1日2回(250mg/日)投与では, 有効性, 安全性および有用性は同等と考えられた。しかし, 1日2回投与群に高度な副作用の発現率が高いことから, 本剤の至適用法·用量は1日1回(125mg/日)投与と判断された。
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