アトピー性皮膚炎患者92例を対象にケトチフェン(ザジテン
®)の有効性と同時に末梢血好酸球数, 血清中IFN-
γ, IL-4, CD23, IgE, IgG
4とダニ, ハウスダスト, 卵白, 大豆, 牛乳の各特異IgE抗体におよぼす影響を検討した。最終全般改善度では中等度改善以上は72.8%, 軽度改善以上は92.4%であった。重症度別最終全般改善度は中等度改善以上では軽症は100%, 中等症は70.3%, 重症は50%であった。アトピー素因別の最終全般改善度は中等度改善以上ではアトピー素因「あり」群は73.4%, 「なし」群は71.4%であった。副作用は5例(5.2%)にみられ眠気が4例, 眠気と倦怠感が1例であった。有用度は有用以上71.7%, やや有用以上94.6%と高い有用度を示した。末梢血好酸球数は前値が6%以上群ではケトチフェン投与により有意に減少し, 本剤の好酸球減少作用を認めたが, 6%未満群では有意な変動はみられなかった。血清IgE, 特異IgE抗体(ダニ, ハウスダスト, 卵白, 大豆, 牛乳), IgG
4値は投与前後で有意な変動はなかった。血清IFN-
γ, CD23, IL-4に関しては, ほとんどの症例で検出限界値以下であった。今回の測定方法ではこれらのサイトカインに対するケトチフェンの効果は不明であった。
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