当科外来を受診した難治性の湿疹·皮膚炎群, 痒疹, 乾癬, および円形脱毛症の患者にアンテベート
®(一般名: 酪酸プロピオン酸ベタメサゾン)1日5∼10gの外用を最長8週間行い, その臨床効果および副腎皮質機能への影響を検討した。アンテベート
®単独あるいは抗アレルギー(抗ヒスタミン)剤との併用では最終全般改善度がかなり軽快以上で78.6%, 有用度が有用以上で71.5%であった。副腎皮質機能の指標である血漿ACTH, 尿中17-OHCS, 血清コルチゾール値の変動は認められなかった。一方経口ステロイド剤(セレスタミン
®)を併用するとベタメサゾンで1日1.0mg, 1週間の内服で明らかな副腎皮質機能の抑制がみられた。内服中止により治療前の値に復した。アンテベート
®外用によると思われる局所の副作用としては22例中1例に毛嚢炎がみられた。以上より炎症性皮膚疾患に対するアンテベート
®の1日最大10g, 最長8週間の外用では副腎皮質機能への影響なく高い臨床効果が得られることが確認された。経口ステロイド内服剤との併用では副腎皮質機能の抑制が急速に生じ, 安易な経口ステロイド剤内服の併用はすべきではないことが示唆された。
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