西日本皮膚科
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58 巻 , 4 号
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図説
綜説
症例
  • 古賀 哲也, 渋江 賢一, 清水 昭彦, 有吉 瑞葉, 利谷 昭治
    1996 年 58 巻 4 号 p. 567-569
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
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    73歳の男性に生じたアスタット®液外用後の全身性散布疹を伴ったアレルギー性接触皮膚炎の1例を報告した。アスタット®液を足白癬のため1週間外用後に躯幹に痒みを伴った紅斑が出現し, その後徐々に全身に拡大するとともにアスタット®液外用部位である両足の発赤, 腫脹が著明になった。同薬剤によるパッチテスト, リンパ球幼若化試験はいずれも陽性であった。末梢血好酸球は9.9%と増加していた。患者末梢血単核球の同薬剤刺激によるサイトカイン産生の検索を行い, 散布疹の発現におけるサイトカインの関与について検討した。
  • 草場 泰典, 小池 俊一, 山田 義貴, 出来尾 哲, 青木 誠, 吉村 安郎
    1996 年 58 巻 4 号 p. 570-573
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    58歳の女性。3年前から両下腿にそう痒を伴った紅色皮疹が出没するようになった。臨床症状および病理組織学的所見より多形滲出性紅斑と診断した。当院歯科口腔外科にて左上顎部第1大臼歯の内歯瘻を指摘され同部の抜歯術を施行されたところ一過性の増悪がみられた後, 両下腿の皮疹は速やかに消退した。抜歯前は末梢血球数, 血沈値, CRP, ASO値などは正常であったが抜歯後, 皮疹の増悪時に一致して一過性に異常値を示した。これらのことより自験例は内歯瘻が誘因となったものと思われた。難治の多形滲出性紅斑の症例では病巣感染がある可能性を考えるべきと思われた。
  • 宮田 聡子, 矢口 厚, 橋本 明彦, 浅井 俊弥, 勝岡 憲生
    1996 年 58 巻 4 号 p. 574-577
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    オメプラゾールが原因と考えられたTEN型薬疹の1症例を報告した。巨大胃潰瘍に対してオメプラゾールを処方され, 内服開始後25日目より腹部に紅斑と表皮の剥離が出現した。ただちにステロイドによる治療を開始するも反応せず, 敗血症を併発して死亡した。また我々は当科における過去10年間のTEN型薬疹の症例を集計し, その予後について検討した。
  • 木下 忠嗣, 小野 友道
    1996 年 58 巻 4 号 p. 578-580
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    25歳の男性。全身に紅斑を伴う無菌性膿疱が多発し病理組織学的に表皮内の膿疱および血管炎の像が認められ, 膿疱性血管炎と診断した。発熱などの全身症状を伴っていた。コルチコステロイドの全身投与により皮疹を含めた臨床症状は改善し再発の兆候はなかった。なおMRSA(methicillin resistant S. aureus)による急性腸炎の併発も認められたが, MINO(minocycline hydrochloride)の投与により軽快した。臨床経過よりMRSA腸炎が膿疱性血管炎の発症に何らかの関連があると考えられた。
  • 田中 達朗, 大坪 東彦, 成澤 寛, 幸田 弘
    1996 年 58 巻 4 号 p. 581-583
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    13年間ステロイド服薬中の尋常性天疱瘡患者(37歳の女性)から生まれた新生児天疱瘡の症例を報告した。新生児は1,914gの低出生体重児で奇形をはじめ一般状態に異常はなかったが, 生後5日目に手足に小水疱が出現した。水疱出現時, 抗上皮細胞間抗体は30倍と陽性を示したため新生児天疱瘡の診断で経過観察していたが水疱はステロイド外用のみで2週間で消退した。抗体価は1年後10倍, 2年半後も偽陽性と減少はしているものの陰性化していないことから, 新生児の水疱は母親の抗体によって一過性に生じたものではなく真の天疱瘡による可能性も考えられた。
  • 大西 祐子, 橋本 公二
    1996 年 58 巻 4 号 p. 584-587
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    水疱性類天疱瘡の患者にステロイド内服療法を行わずミノサイクリン療法を試み著効を示した3症例を報告した。症例1は61歳の女性で抗基底膜抗体を確認の上, 外来でミノサイクリンと極少量のニコチン酸アミドの内服を開始した。内服17日目には新生水疱は認められなくなりそう痒感も軽快し内服4ヵ月で上皮化した。1年1ヵ月で内服を中止したがその後皮疹の再燃をみていない。症例2は86歳の女性で口腔粘膜病変を伴っていた。外来初診時, 外来で皮膚生検をすると同時にミノサイクリンと極少量のニコチン酸アミドの内服を開始した。1週間後の外来受診時には皮疹は軽快傾向を示し2週間後には上皮化していた。2ヵ月半で内服を中止したがその後皮疹の再燃をみていない。症例3は88歳の男性で皮膚生検し同日ミノサイクリンとニコチン酸アミドの併用療法を開始した。内服開始後, 水疱の新生は認められず8日目に皮疹は上皮化した。以上のごとくミノサイクリン単独療法あるいはミノサイクリン·ニコチン酸アミド併用療法は水疱性類天疱瘡患者に有効で, かつ重篤な副作用を認めず今後, 治療の第一選択として試みるべきものと考えられた。
  • 石川 武人, 村田 雅子, 西岡 和恵, 石川 千鶴子
    1996 年 58 巻 4 号 p. 588-592
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    42歳の女性の結節性類天疱瘡の1例を報告した。初診の11年前に体幹, 四肢に結節性痒疹様皮疹が多発。約1ヵ月前両大腿, 右足趾に環状の浮腫性紅斑と緊満性小水疱が出現した。背部の結節性痒疹様の丘疹および大腿部の水疱の両者において表皮真皮境界部にIgG, C3の線状沈着が認められ, 血中抗基底膜抗体も証明された。全身の精査で悪性腫瘍の合併は認められなかった。プレドニゾロン(以下PSL)とシクロスポリンA(以下CYA)の併用が有効であった。
  • 白崎 文朗, 山岸 雄二, 大槻 典男
    1996 年 58 巻 4 号 p. 593-597
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    全身性強皮症に伴うnodular sclerodermaの1例を報告した。症例は53歳の女性。初診の4年前から手指の浮腫性腫脹, 関節痛, その後レイノー現象, 指尖潰瘍が出現。1年前, 体幹に痒みの強い隆起性局面および結節に気付いた。初診時, 前腕伸側の軽度の皮膚硬化, 後爪郭の点状出血もみられ, 抗核抗体(homogeneous, nucleolar), 抗RNP抗体, 抗Sm, 抗体抗SS-A抗体, 抗サイログロブリン抗体が陽性であった。一方, 体幹には大豆大程度の硬い結節の他に鶏卵大から手挙大の隆起性硬化局面が合計4個認められた。これらの局面はこれまでの報告例に比べてかなり大きく, また環状や馬蹄型を呈していたが病理組織学的にnodular sclerodermaに一致していた。
  • 服部 協子, 葉狩 良孝, 三原 基之, 乗本 道子
    1996 年 58 巻 4 号 p. 598-600
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    76歳の女性。口腔粘膜全体に粗大網状の黒褐色色素斑, 舌に灰褐色色素斑, 全手指足趾に爪甲色素線条と指尖から指腹にかけての淡褐色斑が認められた。口唇粘膜の病理組織学的所見では粘膜上皮内のpigment blockade melanocyteと基底細胞層のメラニン色素の増加が認められたが, 基底層メラノサイト数の増加は認められなかった。自験例ではPeutz-Jeghers症候群やAddison病を示唆する所見はなく, その特徴的な皮膚症状からLaugier-Hunziker症候群と診断した。
  • 日比 泰淳, 小野 博紀, 日置 千広
    1996 年 58 巻 4 号 p. 601-603
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    右鼻翼に生じた基底細胞上皮腫切除後の外鼻広範囲欠損に対し内·外頚動脈の分岐を栄養血管とする頭皮茎前額皮弁法を用いて外鼻の再建を行い良好な結果が得られたので報告し, 手技について述べるとともに臨床的適応について考察した。
  •  
    本田 栄, 柿添 栄一, 小池 俊一, 地土井 襄璽, 出来尾 哲, 椎名 浩昭, 三上 順子
    1996 年 58 巻 4 号 p. 604-607
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    65歳の男性。前立腺癌術後4年目に外陰部Paget病を, さらにその1年後に肝細胞癌を生じた1例を報告した。三重複癌であるとの観点から前立腺癌の治療に用いられたリン酸エストラムスチンナトリウムにより後二者の癌が誘発された可能性について考察を加えた。
  • 山口 都美子, 片桐 一元, 佐藤 俊宏, 寺師 浩人, 高安 進, 森 宣, 門前 芳夫
    1996 年 58 巻 4 号 p. 608-611
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    70歳の女性の頭部に発症した悪性血管内皮細胞腫に対し, rIL-2の動注·局注·静注と放射線·化学療法の併用療法を施行した。rIL-2を局注後, 結節部分を骨膜を一部含めて切除し, 紅斑部に対して側頭動脈より40万IU/dayのrIL-2を投与した。総量7360万IU使用。途中新たに結節の出現が認められたため5-FUの動注および3クールのCYVADIC療法を施行した。結節は一旦消失したが再び隆起したため6Mev電子線2門照射70.2GY+30GY施行し紅斑·結節共に消退した。現在まで3年2ヵ月間再発は認められない。経過中に測定したエンドセリン, 第8因子関連抗原の値は放射線療法を行うまでは概ね病勢を反映した。
  • 吉田 雄一, 桐生 美麿, 永井 祥之介
    1996 年 58 巻 4 号 p. 612-614
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    47歳の女性。出生時に右胸部に小腫瘤が存在, その後徐々に増大した。初診時, 右胸部に11×9×2.5cm大の懸垂性の腫瘤と腫瘤付近の胸部にcafé-au-lait spot様の小色素斑が1個認められた。腫瘤を全切し, 病理組織学的に神経線維腫と診断した。過去に単発性でこれほど巨大な神経線維腫の報告例はなくvon Recklinghausen病(以下R病と略す)であることを疑ったが家系内に同症はなく, また他のR病の症候も認めず診断基準を満たさなかった。さらに神経線維腫症分類のtype2からtype8にも該当しなかった。R病のいわゆるモザイクにもあてはまらず, 現在提唱されている診断基準では自験例を巨大単発性神経線維腫と診断せざるをえない。
  • 佐々木 道生, 沼原 利彦, 佐々木 和江, 西本 正賢, 高岩 堯
    1996 年 58 巻 4 号 p. 615-618
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    77歳の女性。30歳頃肋膜炎, 70歳頃腸結核を疑わせる既往。7ヵ月前より右乳房下に手拳大腫瘤。半年後発赤, 腫脹, 疼痛, 膿性滲出液出現し試切後潰瘍化し難治。潰瘍廓清手術時に肋間筋に及ぶ瘻孔確認。潰瘍辺縁の病理組織学的所見(結核性肉芽腫), ツ反陽性, 滲出液からの結核菌培養陽性, 胸部X線像で潰瘍真下の右中肺野索状陰影より皮膚腺病と診断。RFP300mg/日, INH400mg/日を10ヵ月間内服を行い瘢痕治癒した。1975年より1994年までの報告例につき年齢と発症部位につき考察した。
研究
  • 桑名 隆一郎, 森岡 雅史, 伊達 あけみ, 澤村 豊, 安芸 修躬, 荒瀬 誠治
    1996 年 58 巻 4 号 p. 619-624
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    桑白皮よりエタノール, エーテルにて抽出した桑白皮エキスの実験的および臨床的育毛効果について検討した。実験的育毛効果: 全体毛が休止期にはいった生後22週齢のニュージーランドホワイト種ウサギに本剤を外用したところ外用部位のみに発毛が認められ, 本剤の毛周期変換作用が示唆された。臨床的育毛効果: 本剤を男性型脱毛症患者55例に外用したところ60%(33/55)に新生毛が認められた。以上より桑白皮エキスは休止期毛を成長期毛に変換する毛周期変換作用を有し, 男性型脱毛症の治療に有用と思われた。
  • 江上 賀子, 増野 年彦, 今山 修平, 堀 嘉昭
    1996 年 58 巻 4 号 p. 625-628
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    Keratoacanthoma(KA)とsquamous cell carcinoma(SCC)は時に鑑別に苦慮することがある。近年, 細胞増殖活性や癌抑制遺伝子の発現の有無が固定された標本によっても可能となった。そこで, 今回我々は癌抑制遺伝子にはp53抗体, 細胞増殖活性にはproliferating cell nuclear antigen(PCNA)抗体及びKi-67抗体を用いてKAとSCCの免疫組織化学染色を行い, 両者の鑑別に有用であるかどうかを検討した。その結果PCNA, Ki-67染色においてはSCCでは腫瘍細胞巣の全体に亘って陽性像を呈するdiffuse patternと辺縁のみに陽性を呈するperipheral patternのいずれの像もみられたが, KAではperipheral patternのみがみられた。p53染色でもSCCのみがdiffuse patternを呈した。以上よりdiffuse patternを示すものはSCCであることが示唆された。またp53の陽性率は非露光部より露光部の方が高く, 癌化の要因として露光部ではp53の関与が強いと思われた。
  • 庄司 昭伸
    1996 年 58 巻 4 号 p. 629-634
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    抗真菌外用剤terbinafine液の皮膚刺激性をクローズド·パッチテストおよび光パッチテストにより健常成人ボランティア(24名)の協力を得て検討した。クローズド·パッチテストは本邦基準による判定を行い対照薬のエコナゾール液とほぼ同程度の刺激性が認められたもののprimary sensitizationは認められなかった。また光パッチテストはICDRG基準による判定を行い光刺激性およびprimary photosensitizationは認められなかった。以上の結果からterbinafine液の安全性が確認され表在性皮膚真菌症に対する臨床試験を実施することは可能であると判断した。
講座
統計
  • 藤田 節也, 井奈波 良一, 岩田 弘敏, 牧野 茂徳, 吉田 英世
    1996 年 58 巻 4 号 p. 640-648
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    岐阜県における全身性強皮症(以下PSSとする)患者の実態を明らかにすることを目的とし岐阜県における全身性強皮症認定患者の「特定疾患対象患者認定申請書」に基づく調査を行った。1986年度および1990年度の2ヵ年間に強皮症, 多発性筋炎·皮膚筋炎として認定を受けた患者の中からPSS患者の申請書を選別し, これをもとに記載事項を集計した。PSS患者は1986年度で男性13名, 女性89名, 計102名であり, 一方1990年度の患者数は男性18名, 女性179名, 計197名と4年後にはほぼ倍増していた。男女比はほぼ1:7∼10で女性に多く, 年代別では両年度および男女とも40歳代, 50歳代, 60歳代に多かった。国保加入者数をもとにした強皮症の受給者率は人口10万対で1986年度では4.9であったが1990年度では11.7と2倍以上であった。主要臨床所見においては1990年度では1986年度に比べて「色素異常」がみられた症例の割合が少なかったことが特徴的であった。初発症状は両年度とも「レイノー現象」が男女とも多くみられた。抗核抗体の陽性率については68.9∼83.3%が陽性で, 1990年度に陽性率が高かった。新規受給者を対象にした場合の特徴および申請に至るまでの状況としては発病から申請までに5年以上の年数を経ているものが少なくないこと, その原因として発病から診断までにかなりの時間がかかっていることなどが考えられた。
  • 今福 武
    1996 年 58 巻 4 号 p. 649-653
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    長崎市の一皮膚科開業施設今福皮膚科医院における1985年1月から1994年12月に至る10年間の白癬患者統計および白癬菌培養成績について述べた。同期間における白癬患者の新患数は6, 038名で外来新患総数に対する割合は11.1%であった。病型別では足白癬が4,601例(76.2%)と最も多く次に体部白癬605例(10.0%), 爪白癬378例(6.3%), 陰股部白癬314例(5.2%), 手白癬126例(2.1%), 以下頭部白癬10例, 陰嚢白癬2例, 白癬性毛瘡2例の順であった。10年間の全分離白癬菌株数は4,019株, 内訳はTrichophyton rubrum 2,305株(57.4%), Trichophyton mentagrophytes 1,619株(40.3%), Microsporum canis 61株(1.5%)でその他にEpidermophyton floccosum, Trichophyton glabrum, Microsporum gypseum, Trichophyton violaceumがそれぞれ8, 8, 3, 2株であった。T. rubrumT. mentagrophytesの比は全白癬では1.42であったが足白癬のみでは0.92であった。長崎市の10年間の各月の平均気温と湿度を足白癬のT. rubrumT. mentagrophytesの月別分離数と対比してみるとT. mentagrophytesT. rubrumよりも湿度の変化に, より敏感に反応した。夏期にT. mentagrophytesが急増急減するのは, これがT. rubrumよりも湿度依存性が高いことによるものと推論した。
治療
  • 平井 俊二, 影下 登志郎, 小野 友道, 前川 嘉洋, 林原 利朗, 木藤 正人, 古城 八寿子
    1996 年 58 巻 4 号 p. 654-658
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    最近, 喘息, 慢性関節リウマチ, アトピー性皮膚炎など種々のアレルギー性疾患における接着分子の関与が注目されている。なかでもICAM-1は炎症部位の血管内皮に強く発現するとともに可溶性(sICAM-1)となって血清中に放出され, 症状の重症度と相関することが知られている。今回われわれはアトピー性皮膚炎患者28例を対象として塩酸アゼラスチン(アゼプチン®)の臨床効果の検討をsICAM-1をパラメーターとして行った。その結果, 著効11例(39.3%), 有効9例(32.1%), やや有効5例(17.8%), 不変2例(7.1%), 増悪1例(3.5%)であり有効以上が20例(71.4%)であった。sICAM-1は治療後減少傾向を示したが統計学的な有意差は認められなかった(p=0.059)。しかし効果別にみると著効例において治療後統計学的に有意な減少が認められた(p<0.05)。アトピー性皮膚炎における塩酸アゼラスチン(アゼプチン®)の有用性とともに, 治療効果の判定の客観的なパラメーターとしてのsICAM-1の有用性が示唆された。
  • —イトラコナゾール内服療法—
    大草 康弘, 田中 信
    1996 年 58 巻 4 号 p. 659-661
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    基礎疾患のある高齢者および入院患者に併発する皮膚カンジダ症のうち外用療法が困難であった8例に対し経口抗真菌剤イトラコナゾールの有効性および安全性を検討した。イトラコナゾールは1日50mgを2∼4週間投与した。その結果全例でカンジダの消失がみられ, また皮膚症状の著明な改善が認められた。安全性においても副作用, 臨床検査値異常は1例も認められず高齢者, 長期入院患者の皮膚カンジダ症に対するイトラコナゾールの高い有効性と安全性が証明された。
  • 坂井 博之, 松尾 忍, 飯塚 一, 水元 俊裕, 和田 隆, 岸山 和敬, 伊藤 文彦, 浅野 一弘, 山本 明美, 小池 且弥, 久保 ...
    1996 年 58 巻 4 号 p. 662-667
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    アトピー性皮膚炎患者71例を対象として, オキサトミドと外用ステロイド薬の併用治療により皮膚症状の軽快を確認した症例において外用ステロイド薬の使用状況を変えることなく, 維持療法として「オキサトミド投与を継続したA群」および「オキサトミド無投与としたB群」の2群について皮膚症状の推移を観察した。その結果維持療法中に自覚症状(そう痒)が悪化した症例数は2週後にA群3/22, B群10/21であり4週後A群3/27, B群12/20で, 2週および4週後ともにB群はA群に比し有意に多かった。また他覚皮膚所見悪化の症例数は2週後には有意な差はなかったが, 4週後にA群が3/27に対しB群は9/20となりB群で有意に多かった。また治療前に低IgE値を示す群(<250IU/ml)および高IgE値を示す群(250IU/ml≤)に層別化して治療前から維持療法開始時までの皮膚症状の改善度について検討したが, 自覚症状および他覚皮膚所見のすべての項目において両群に有意な差は認められなかった。以上の結果よりアトピー性皮膚炎に対してオキサトミドと外用ステロイド薬の併用治療は皮膚症状改善後の維持療法として有用であること, また治療前低IgE値および高IgE値いずれの場合も同様に皮膚症状の改善効果をもたらし有効性をもつと考えられた。
  • 田沼 弘之, 土井 希文, 矢口 厚, 太田 幸則, 西山 茂夫, 勝岡 憲生
    1996 年 58 巻 4 号 p. 668-675
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    角質増殖型足白癬6例を対象としてフルコナゾール100mgカプセルの1日1回8週間投与による有効性, 安全性および有用性を検討するとともに, 足蹠の罹患部における皮膚角層への移行性を検討するために血漿中および皮膚角質内薬物濃度を測定した。最終総合効果, 概括安全度, 有用性は全症例を解析対象とし, その有効率(有効以上)は100%(6/6)であり, 臨床検査値の異常変動を含め副作用は全例で認められなかった。薬物移行性の検討では皮膚角層において投与1週間後よりフルコナゾールが検出され投与4週間後には定常状態に達し, その平均濃度は12.8μg/gであった。この濃度は皮膚糸状菌(Trichophyton rubrum)の新鮮臨床分離株に対する幾何平均MIC(0.972μg/ml)の13倍以上に達する高濃度であった。さらに投与終了後1週間の角質内濃度の平均は7.2μg/gであり, 投与終了後5週間においても3.0μg/gであった。血漿中濃度は投与2週間後でほぼ定常状態に達し投与終了後1週間で検出限界以下となった。以上の成績より本剤は難治性といわれる角質増殖型足白癬に対して優れた有効性·安全性を示し, その薬物動態からも角質増殖型足白癬を含む各種皮膚真菌症の治療に対して有用な薬剤であると考えられた。
  • テルビナフィン液剤研究班
    1996 年 58 巻 4 号 p. 676-683
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    テルビナフィン液剤の1日1回塗布による表在性皮膚真菌症に対する治療効果と安全性について3施設による共同研究を行った。有効率は足白癬68.6%(24/35), 体部白癬88.9%(8/9), 股部白癬100%(3/3), カンジダ性指間糜爛症100%(2/2), カンジダ性間擦疹80.0%(8/10), 癜風66.7%(2/3)であった。副作用発現症例は2例(3.2%)でいずれも軽度の刺激感であり, とくに処置を要さず消失した。これらの結果からテルビナフィン液剤は表在性皮膚真菌症に対し臨床的に用いる価値があり治療効果を期待できる薬剤のひとつであると考えられた。
  • テルビナフィン液研究班
    1996 年 58 巻 4 号 p. 684-690
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    塩酸テルビナフィン外用液剤の1日1回塗布による皮膚真菌症に対する有効性, 安全性ならびに有用性を検討するため3施設による研究班を結成し臨床試験を実施した。試験実施総症例は49例で, その内訳は足白癬33例, 体部白癬5例, 股部白癬4例, カンジダ性指間糜爛症1例, カンジダ性間擦疹1例, 癜風5例であった。真菌学的効果判定と皮膚所見の結果を考慮した総合効果判定で, 有効以上は足白癬22/31例(71.0%), 体部白癬1/3例(33.3%), 股部白癬4/4例(100%), カンジダ性指間糜爛症1/1例, カンジダ性間擦疹1/1例, 癜風3/4例(75.0%)であった。副作用は2/49例(4.1%)に発現しいずれも軽度の刺激感で重篤なものは認められなかった。また有用性判定で有用以上は足白癬22/33例(68.8%), 体部白癬1/3例(33.3%), 股部白癬4/4例(100%), カンジダ性指間糜爛症1/1例, カンジダ性間擦疹1/1例, 癜風3/4例(75.0%)で塩酸テルビナフィンクリームの臨床試験成績とほぼ同様の成績が得られた。以上より塩酸テルビナフィン外用液剤は皮膚真菌症に対し有用な薬剤であると考えられた。
  • 渡辺 靖, 横山 美保子, 太垣 成実, 一柳 厚史, 小池 泰志
    1996 年 58 巻 4 号 p. 691-696
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    敏感肌用として新たに開発された身体洗浄剤「植物物語薬用ボディソープ®」および「植物物語薬用石鹸®」の皮膚刺激性と乾燥性皮膚疾患患者に対する有用性について検討した。「植物物語薬用ボディソープ®」はアミノ酸系の洗浄成分を主体とし, これに皮膚保護成分の精製スメクタイトを配合しており, また「植物物語薬用石鹸®」はラウリン酸を低減し保湿剤(グリセリン, ソルビット)を配合しており, いずれも低刺激性と使用感の良さを特徴としている。初めに両洗浄剤の皮膚刺激性をモルモットを用いた連続塗布試験で評価した。その結果これらの両洗浄剤は, それぞれ健常人において安全性が確認されている市販ボディソープ, 石鹸と比較して明らかに低刺激性であることが示された。次に両洗浄剤の乾燥性皮膚疾患患者における有用性を検討するために外来加療中のアトピー性皮膚炎(AD)を含む乾燥性の皮膚疾患患者(ボディソープ: 21名, 石鹸: 36名)を対象に, 両洗浄剤の使用による臨床症状におよぼす影響と治療補助効果について検討した。試験では各患者に対して従来の治療法に加えて植物物語薬用身体洗浄剤を使用した。その結果ボディソープでは21例中20例(95.2%), 石鹸においては36例中33例(91.7%)に治療補助効果が認められた。また臨床症状を悪化させるなどの副作用については全例に認められなかった。以上の結果より敏感肌用として新たに開発された両洗浄剤はADを含む乾燥性の皮膚疾患患者に対して有用な身体洗浄剤となることが示された。
  • 中山 樹一郎, 堀 嘉昭
    1996 年 58 巻 4 号 p. 697-705
    発行日: 1996/08/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    当科外来を受診した難治性の湿疹·皮膚炎群, 痒疹, 乾癬, および円形脱毛症の患者にアンテベート®(一般名: 酪酸プロピオン酸ベタメサゾン)1日5∼10gの外用を最長8週間行い, その臨床効果および副腎皮質機能への影響を検討した。アンテベート®単独あるいは抗アレルギー(抗ヒスタミン)剤との併用では最終全般改善度がかなり軽快以上で78.6%, 有用度が有用以上で71.5%であった。副腎皮質機能の指標である血漿ACTH, 尿中17-OHCS, 血清コルチゾール値の変動は認められなかった。一方経口ステロイド剤(セレスタミン®)を併用するとベタメサゾンで1日1.0mg, 1週間の内服で明らかな副腎皮質機能の抑制がみられた。内服中止により治療前の値に復した。アンテベート®外用によると思われる局所の副作用としては22例中1例に毛嚢炎がみられた。以上より炎症性皮膚疾患に対するアンテベート®の1日最大10g, 最長8週間の外用では副腎皮質機能への影響なく高い臨床効果が得られることが確認された。経口ステロイド内服剤との併用では副腎皮質機能の抑制が急速に生じ, 安易な経口ステロイド剤内服の併用はすべきではないことが示唆された。
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