西日本皮膚科
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58 巻 , 5 号
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図説
症例
  • 河野 通浩, 佐藤 俊樹, 窪田 卓, 岡田 理, 富田 靖
    1996 年 58 巻 5 号 p. 753-755
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
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    83歳の男性に生じたスパルフロキサシン(スパラ®, 以下SPFX)による光線過敏型薬疹とダンリッチ®による播種性紅斑丘疹型薬疹を合併した1例を報告した。ダンリッチ®による薬疹の頻度は低いこと, しかもSPFXとの合併例であったことから本症例は極めてまれな症例と考えた。
  • 駒井 礼子, 津田 眞五, 川浪 東洋, 宮里 稔, 笹井 陽一郎
    1996 年 58 巻 5 号 p. 756-759
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    70歳の男性。Myelodysplastic syndromeの経過観察中に高熱とともに左下肢に浮腫性の暗赤色有痛性結節を再発性に生じた。病理組織学的に真皮上層の浮腫と好中球を主体とする細胞浸潤が認められた。好中球の中には骨髄で観察されたと同じ核分葉異常を呈するpseudo-Pelger-Huët’s anomalyがみられた。組織, 滲出液の細菌·真菌培養は陰性。結節は潰瘍形成したのち瘢痕治癒した。また健常人に比較して血中G-CSF濃度の有意の上昇がみられ皮膚病変の活動性との関連性が示唆された。自験例の皮疹はSweet症候群や壊疽性膿皮症に類似しておりCaughmanらがより包括的な疾患概念として提唱したいわゆるneutrophilic dermatosisに合致する症例と考えられた。
  • —11年間の経過—
    松井 紀予, 中川 俊文, 沼原 利彦, 高岩 堯
    1996 年 58 巻 5 号 p. 760-763
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    68歳の男性。55歳頃よりSweet病の再発を繰り返している。皮疹は顔面, 頚部, 四肢といった典型部位にはほとんど出現せず, 背部の同部位に11年間に9回の再発をみている。毎回DDS 150∼75mg/日内服により7日以内で消褪した。経過中, 好中球増多, 血沈の亢進, CRP高値が認められ前駆症状と思われるものは5回にみられた。病理組織学的に真皮浅層から中層に好中球, リンパ球の密な細胞浸潤が認められた。これまでの全身の検査で悪性腫瘍は認められていない。自験例で背部に限局して皮疹が出現した理由や長期にわたって再発を繰り返している誘因は明らかではなく今後も経過観察する必要があると思われた。
  • 岡原 佳代, 堀内 賢二, 岩本 俊之, 矢村 宗久
    1996 年 58 巻 5 号 p. 764-766
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    Episodic angioedema associated with eosinophilia(EA)の2例を経験した。症例1は28歳の女性。両下腿から足背, 両手背の浮腫, 体重増加(4kg), 微熱が認められ, 白血球数15100/mm3(好酸球69%)。症例2は26歳の女性。両下腿から足背の浮腫, 体重増加(2kg), 蕁麻疹が認められ, 白血球数20000/mm3(好酸球61%)。2症例ともに心肺所見は認められず全身状態は良好。抗アレルギー剤投与のみで約1ヵ月後には浮腫は軽快, 好酸球数も正常化し現在まで再発もない。2症例の病初期において血清major basic protein(MBP)高値, 血清eosinophil cationic protein(ECP)高値が認められ本症でみられる血管浮腫の病態にMBP, ECPが関与していることが示唆された。
  • —CD34陽性細胞の検討—
    山谷 朋子, 窪田 泰夫, 大倉 光裕, 馬場 タカ子, 溝口 昌子
    1996 年 58 巻 5 号 p. 767-770
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    症例1: 74歳の女性。躯幹, 四肢に周囲に紅暈伴い中央に光沢ある硬化性局面が多発。抗核抗体(-)。抗ボレリア抗体(-)。症例2: 12歳の女児。躯幹, 四肢に表面褐色調の萎縮性硬化局面が多発。抗核抗体×80。抗ボレリア抗体(-)。両症例において真皮膠原線維膨化, 均質化, 血管及び付属器周囲, 膠原線維間に小円形細胞浸潤が認められた。正常皮膚と皮膚硬化病変の組織にCD34染色施行し比較したところ病変部真皮においてCD34陽性細胞の著明な減少が認められた。
  • 山田 夏恵, 川口 博史, 佐々木 哲雄, 中嶋 弘
    1996 年 58 巻 5 号 p. 771-774
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    54歳の男性。49歳頃に両下腿の浮腫が始まり徐々に悪化し足関節の運動時痛が出現した。臨床的には下腿下部に境界明瞭な色素沈着を伴う皮膚硬化を呈した。臨床検査成績では非特異的炎症所見以外には異常なく, リンパ管シンチグラフィー, 静脈造影でも異常所見は認められなかった。病理組織学的に皮下脂肪織の著明な線維化が認められた。Lipodermatosclerosisと診断し弾性ストッキング着用, 柴苓湯®内服, ステロイド局注にて加療し, 臨床症状はやや軽快傾向にある。
  • 安井 喜美, 平田 靖彦, 小玉 肇
    1996 年 58 巻 5 号 p. 775-777
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    47歳の女性。全身広範囲に拡大する乾皮症と紅斑および灰褐色色素沈着を呈した。当初筋炎症状を伴わない皮膚筋炎あるいは斑状類乾癬を想起させたが, 乾燥症状が出現しシルマーテストと抗核抗体が陽性であり口唇唾液腺生検所見からもSjögren症候群と診断した。抗SS-A, 抗SS-B抗体は共に陰性であった。紅斑部には病理組織学的に液状変性が認められ色素斑は組織学的色素失調によるものであった。紅斑に対してPUVA療法が有効であった。これらの皮疹はSjögren症候群に関連するものと考えた。
  • —教室例241例のOrganoid Nevusにおける続発性腫瘍の検酸を含めて—
    馬場 由佳理, 井上 靖, 鈴木 正, 土田 哲也, 池田 重雄
    1996 年 58 巻 5 号 p. 778-781
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    46歳の男性。頸部に存在したorganoid nevus上に3種類の小腫瘤が発生。各々の小腫瘤は病理組織学的にisolated epidemolytic acanthoma, trichilemmal horn, seborrheic keratosisと診断した。当科で過去22年間に経験したorganoid nevus241例を検討したところ続発性腫瘍を発生したものが27例であった。その内訳はbasal cell epithelioma(BCE)が11例, syringocystoadenoma papilliferum(SAP)が9例, その他は毛包脂腺系腫瘍が多かった。また今までに同一病変内に2種類の続発性腫瘍が認められたorganoid nevusは5例経験しているが, 今回報告症例の様に3種類の続発性腫瘍が認められたものは当科では初めての経験であった。
  • 松井 珠乃, 小野 友道, 森 誠一, 木藤 正人
    1996 年 58 巻 5 号 p. 782-783
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    生後2ヵ月の女児の恥骨上部皮膚に生じたadnexal polyp of neonatal skinの1例を報告した。本病変は生後3日目頃に気づかれた1mm大の紅色調のポリープ様小腫瘤であり, 病理組織学的には中心部が毛包様構造をとっていた。汗腺, 脂腺などは認められなかった。
  • —ケラチン発現の免疫組織化学的検討—
    末永 裕美, 小川 夏樹, 大西 誉光, 渡辺 晋一
    1996 年 58 巻 5 号 p. 784-786
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    75歳の男性。主訴は3年ほど前より徐々に増大する左膝蓋部の赤褐色調結節。病理組織学的に表皮内に限局する腫瘍胞巣が認められ, 胞巣内には管腔様構造を伴っていた。本症例に対し各種抗ケラチンモノクローナル抗体と抗インボルクリン抗体を用いて免疫組織化学染色を行いケラチン発現パターンを検討した。その結果大部分の腫瘍細胞は真皮内汗管の外側細胞と同様の染色態度を示し腫瘍巣内の管腔細胞は汗管の管腔細胞と染色性が一致していた。このことより本腫瘍は真皮内汗管の外側細胞への分化を示し, 一部は汗管の内側細胞へ分化し管腔形成したものと考えられた。
  • —Tenascin及びProliferating Cell Nuclear Antigen(PCNA)の局在について—
    吉川 由美子, 水谷 仁, 清水 正之
    1996 年 58 巻 5 号 p. 787-789
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    61歳の男性の鼻背部に生じたmorphea-like basal cell epithelioma(MBCE)の1例を報告した。患者は鼻背部の正常皮膚色の無症候性皮疹を主訴として来院し生検によりMBCEと診断された。腫瘍辺縁から0.5∼1.0cm離し骨膜直上で切除し遊離全層植皮にて再建した。手術後の再発は認められていない。手術標本を用いて杭tenascin抗体, 及び抗proliferating cell nuclear antigen(PCNA)抗体による免疫組織化学的特殊染色を施行した。その結果tenascin及びPCNAの発現の分布はほぼ一致し, 腫瘍中心部ではあまり発現が認められず腫瘍巣の辺縁部の浸潤性発育傾向の強い部分に明らかに強い発現が認められた。即ち腫瘍の正常組織への浸潤には組織の破壊及び再修復, 再構築が行われていること, 及び腫瘍増生の高い部位でその傾向が強いことが示唆された。
  • 望月 良子, 成澤 寛, 幸田 弘
    1996 年 58 巻 5 号 p. 790-793
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    一部に萎縮局面を有した隆起性皮膚線維肉腫の2例について報告した。2例とも紅色の陥凹病変が先行し, その10年以上も後に腫瘤の出現が認められたもので病理組織学的には典型的なstoriform patternを呈していた。陥凹部の真皮は極めて薄く, その真皮内での幼若な線維芽細胞の増殖, 大型の異常血管を有する皮下脂肪織など正常の構造とは異なる所見がみられた。DFSPの発生機序はさまざまに報告されているが自験例は真皮の形成異常による萎縮局面を母地に生じたDFSPと考えた。
  • 平岩 厚郎, 松本 義也, 高井 和子
    1996 年 58 巻 5 号 p. 794-796
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    前額部の皮下腫瘤を主訴に来院し臨床的には脂肪腫を疑わせたが原発巣摘出後12年後に生じた乳癌の皮膚転移であった, いわゆるdelayed cutaneous metastasisの53歳の女性の1例を経験したので報告した。あわせて原発巣発見後10年以上経て生じた転移性皮膚癌について文献的考察を加えた。
  • 中村 徳志, 石原 剛, 井上 雄二, 城野 昌義, 小野 友道
    1996 年 58 巻 5 号 p. 797-799
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    68歳のHTLV-I抗体陽性で高血糖を有する男性。以前からあった左第5趾の角化性病変が剥脱し糜爛面を露呈した。その後同部より排膿し左足全体の発赤·腫脹をきたした。角化性病変部より多数の疥癬虫体·虫卵が検出され, また細菌培養にてProteus vulgarisの他2種のガス産生菌が検出された。本患者はHTLV-Iキャリアーでかつ糖尿病を併発し, これらを基盤にノルウェー疥癬, さらに二次感染としてのガス壊疽を発症したと考えられた。ガス壊疽に対してデブリードマンおよび抗生剤の全身投与, またノルウェー疥癬に対しては0.5%γ-BHC軟膏の全身塗布を行いそれぞれ症状は軽快した。
  • 井上 靖, 福代 良一, 池田 重雄, 宇田川 俊一, 遠藤 一博
    1996 年 58 巻 5 号 p. 800-806
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    21歳の男性。平成4年6月頃白血病を発病, 平成6年8月から当院第1内科においてALL(L1)の診断の下に化学療法を受けていた。同年9月21日, 急激に全身各所に播種状に紅斑·丘疹性皮疹が出現した。皮疹は有痛性で比較的急速に増えたようにみえ, 後で多くは自潰·結痂, ついで潰瘍化した。同年11月5日, 3個の皮疹を生検, 一部を培養した。病理組織学的に真皮から皮下にかけて血管内および血管周囲組織内に有隔壁の菌糸が無数に認められた。生検組織片からの培養は陽性で菌学的にFusarium solaniと同定された。ミコナゾール(フロリード®), ついでアムホテリシンB(ファンギゾン®)を使用したが, 皮疹にはほとんど効果がなかった。患者はフザリウム感染の診断確定後1ヵ月足らずで死亡した。剖検によって側頭筋, 喉頭筋, 心, 肺, 腎, 膵, 骨盤腔などに膿瘍(菌糸多数)の存在が確認された。
  • 河村 園美, 荻山 幸子, 小野 博紀
    1996 年 58 巻 5 号 p. 807-809
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    皮弁のうっ血改善にヒルの使用が有効であった1例を報告した。69歳の男性, 踵部の黒色色素斑にて受診した。臨床像より悪性黒色腫を疑い広範囲腫瘍切除術を施行後, 内側足底動脈を茎とする内側足底筋膜皮弁にて再建した。術後, 著明な皮弁のうっ血が生じ放置すれば壊死する恐れがあったので皮弁に乱切を加えたところ一時的に皮弁の色調の改善をみた。そこで持続的な瀉血が必要と考え抗凝固作用を有する物質を産生する医療用ヒルの使用(1日2匹, 計4日間)を試みた。ヒル脱落後からも約10時間, ヒルの吸啜部位より持続的な出血が得られ皮弁の生着は良好であった。
研究
  • 中山 樹一郎, 寺尾 浩, 松尾 真二郎, 利谷 昭人, 堀 嘉昭
    1996 年 58 巻 5 号 p. 810-814
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    典型的なアトピー性皮膚炎患者9名の血漿中および病変部(紅斑, 痒疹)のロイコトリエンB4値を測定し両者間の相関性, 病理組織像とくに炎症性細胞浸潤の有無との関連性を検討した。結果は5名の患者が両者とも高値, 3名の患者が両者とも低値, 他の1名は両者の値が解離していた。皮膚病変部のロイコトリエンB4値が高値を示した症例の病理組織像ではいずれも真皮乳頭層あるいは血管周囲性に小円形細胞の密な浸潤がみられた。免疫組織化学染色にてこれらの浸潤細胞は主にTリンパ球であることがわかり肥満細胞, 好酸球, マクロファージ, 好中球などはわずかに認められたのみであった。当科初診時血漿中ロイコトリエンB4値を測定した計92名のアトピー性皮膚炎患者で100pg/ml以上を呈した患者は39名, 内13名について塩酸アゼラスチン長期内服療法後のロイコトリエンB4値を測定した。その結果治療4週後には臨床症状の改善とともに明らかな減少傾向がみられた。以上よりアトピー性皮膚炎患者の皮膚病変部のロイコトリエンB4値は血漿中の値とほぼ正の相関を示しアトピー性皮膚炎の病態形成にロイコトリエンB4が重要な役割を演じていることが強く示唆された。
  • 中村 徳志, 石原 剛, 小野 友道
    1996 年 58 巻 5 号 p. 815-819
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル 認証あり
    術後血腫予防のためのドレナージは手術操作の基本原則である。しかし顔面, 四肢などの小手術時に生じる小死腔あるいはティシューエキスパンダー挿入後の出血に対して既存のドレナージでは十分でない場合がある。この様な場合我々は翼状針および陰圧採血管を利用した簡便な吸引ドレーンを用いて効果的な結果を得ている。今回その方法を紹介するとともに15症例に使用した結果についてその利点および欠点を述べる。
講座
統計
  • 加藤 哲子, 西田 徹, 三橋 善比古, 近藤 慈夫, 三浦 真喜子
    1996 年 58 巻 5 号 p. 825-828
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    山形市内の某中学校においてアトピー性皮膚炎(AD)の調査を行った。AD有病率(point prevalence)を知るために定期健康診断時にADの有無を診察によって調査した。また調査時点までのAD罹患率(cumulative incidence)を知るためにアンケート調査を行った。その結果, 中学生480人の平均AD有病率は9.2%, 平均AD罹患率は53.6%であった。またAD既往群と非AD既往群で比較すると前者のアレルギー性鼻炎およびアレルギー性結膜炎の罹患率が有意に高値であった。親子ともアトピー性疾患に罹患している例について両親の罹患における父親と母親の比率を検討したところ, AD, 喘息, アレルギー性鼻炎, アレルギー結膜炎ともに母親が父親より高く, 後二者においては有意に高値であった。母親の出産年齢および子供の出生時体重についても調査したが子供のAD群と非AD群との間に差はみられなかった。
治療
  • 萱島 研一, 吉井 章, 影下 登志郎, 小野 友道, 野上 玲子, 林原 利郎, 木藤 正人, 工藤 昌一郎, 古城 八寿子, 山田 雅信 ...
    1996 年 58 巻 5 号 p. 829-839
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    アレルギー性疾患では末梢血好酸球およびIgE値の関与が報告されており, 最近ではアトピー性皮膚炎患者の血清ECP濃度やMBP濃度との関連も注目されている。そこで今回我々は抗アレルギー剤のketotifenをアトピー性皮膚炎患者33名に8週間投与し皮膚症状, 血清MBP値, 末梢血好酸球数, IgE値への影響を検討した。その結果, 皮膚症状は有意な改善がみられ, 末梢血好酸球数は投与前10.29±1.39%から投与後6.65±0.71%と有意(P<0.01)な減少を示した。血清IgE値は投与前後で有意な変動を示さなかった。アトピー性皮膚炎患者の血清MBP値は平均749.1±423.1ng/mlで正常人の平均390.6±191.5ng/mlに比し有意(P<0.05)に高値を示した。なお血清MBP値の投与前·後の推移は投与前785.57±92.39ng/mlから投与後671.57±61.46ng/mlと有意は変動を示さなかったが, 「軽度改善」以上の症例では投与前808.94±105.17ng/mlから投与後663.83±62.48ng/mlと有意(P<0.05)な減少を示した。したがって血清MBP値はアトピー性皮膚炎の診断および薬効評価の指標のひとつになりえる可能性が示唆された。
  • 竹原 和彦, 菊池 かな子, 藤本 学
    1996 年 58 巻 5 号 p. 840-842
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    強皮症におけるレイノー現象に対するヒデルギン錠の臨床的有用性を検討する目的で3施設(東京大学医学部付属病院皮膚科, 東京大学医学部付属病院分院皮膚科, 金沢大学医学部付属病院皮膚科)における使用成績を集計, 解析した。ヒデルギン錠2 mg/日を計26例の強皮症患者に対して投与したところ有効12例, やや有効5例の成績が得られ有効以上が46.2%, やや有効以上が65.4%であった。副作用は26例中3例(11.5%), 顔面のほてり1例(3.8%), 頭痛1例(3.8%), 頭重感1例(3.8%)であり, これらは本剤の組成であるヒデルギンによる薬理作用と考えられたが重篤なものはみられなかった。以上より本薬剤は強皮症におけるレイノー現象に対して有用な治療薬剤であると考えられた。
  • 桑名 隆一郎, 森岡 雅史, 伊達 あけみ, 澤村 豊, 安芸 修躬, 荒瀬 誠治
    1996 年 58 巻 5 号 p. 843-847
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    男性型脱毛症に対してFJ30ローション(桑白皮エキスと柿葉エキスを混合したもの)およびフロジン®液を使用し, その臨床効果, 安全性および有用性を比較検討した。総症例数は111例であった。その結果, 本ローション外用群の方がフロジン®液外用群よりも優れた育毛効果を示し多くの症例で軟毛あるいは硬毛の新生がみられた。両群とも副作用は特に認められなかった。以上よりFJ30ローションは男性型脱毛に有用な外用剤と思われた。
  • Itraconazole皮膚科領域研究班
    1996 年 58 巻 5 号 p. 848-864
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    Itraconazole(I)の爪白癬に対する有効性, 安全性をgriseofulvin(G)を対照として二重盲検法により比較検討した。混濁比3段階以上改善を有効例とした有効率はI群45/53例(84.9%), G群54/59例(91.5%)でI群のG群との同等性は認められなかった。混濁比6段階以上改善及び治癒例を著効とする著効率ではI群34/53例(64.2%), G群29/59例(49.2%)であった。有効例の内訳をみると混濁比の3段階改善例がI群では4/45例(8.9%)であったのに対しG群では12/54例(22.2%)を占め, これがG群の有効率が高い一因でもあった。効果発現時期を混濁比の累積改善率が50%を越える日数(中央値)で比較するとI群83日, G群92日であった。また趾爪においてはI群85日, G群123日であり1ヵ月以上の開きがあった。安全性に関しては安全と評価された症例はI群68/84例(81.0%), G群67/83例(80.7%)で有意差は認められなかった。副作用はI群13/84例(15.5%), G群13/83例(15.7%), 臨床検査値異常はI群3/80例(3.8%), G群4/76例(5.3%)であった。なお今回認められたitraconazoleの副作用及び臨床検査値異常の内容は本剤の主として2∼8週投与による既承認表在性皮膚真菌症試験成績で報告されているものと異ならず, 長期間投与による安全性上の問題は特になかった。以上よりitracoanzoleは爪白癬治療に対して有用な薬剤と考えられた。
  • Itraconazole皮膚科領域研究班
    1996 年 58 巻 5 号 p. 865-875
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    爪カンジダ症あるいはカンジダ性爪囲爪炎を有する患者38例を対象にitraconazole 100 mgを1日1回経口投与したときの有効性, 安全性, 有用性をオープン試験により検討した。有効性に関しては爪カンジダ症に対する有効率92.9%(13/14), 菌陰性化率92.3%(12/13), カンジダ性爪囲爪炎に対する有効率91.7%(11/12), 菌陰性化率100%(10/10)であった。また症状別推移においても主な症状である爪カンジダ症の混濁比およびカンジダ性爪囲爪炎の発赤, 腫脹, 圧痛において投与開始時と比較し投与8週時には有意な改善(P<0.01)が認められた。一方, 安全性に関しては安全と評価された症例は両疾患合わせて94.1%(32/34)であり, 副作用としては悪心および歯肉出血の増悪が認められたが, いずれも投与中止後回復。また臨床検査値の異常変動は認められなかった。有効性と安全性を加味した有用性評価は爪カンジダ症に対する有用率92.9%(13/14), カンジダ性爪囲爪炎に対する有用率84.6%(11/13)であった。以上の成績よりitraconazoleは爪カンジダ症およびカンジダ性爪囲爪炎に対し高い有効性, 安全性, 有用性を有する薬剤であると考えられた。
  • 南光 弘子, 池田 美智子, 尾形 順子, 吉野 博子
    1996 年 58 巻 5 号 p. 876-886
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    爪白癬に対する経口抗真菌剤itraconazole 50mgカプセル剤の1日1回1∼2カプセル(50∼100mg)16週間以上投与での臨床成績を検討した。混濁比の平均は治験開始時8.7であったものが2週以降週を追うごとに軽減し24週時には1.6まで改善した。有効性は病爪の混濁比推移を指標に評価し7例中6例(85.7%)が著効であり全症例有効であった。安全性に関しては副作用として2例に消化器症状を認めたものの投与中止後すみやかに消失もしくは投与量の減量により再発もなく継続投与ができたことより, 比較的長期の治療が必要な爪白癬に対しても安全に使用できる薬剤であると考えられた。しかしながら基礎疾患ないし既往に消化器系の潰瘍を有する患者では長期間投与する際には注意が肝要と思われる。
  • 松本 忠彦, 田沼 弘之, 西山 茂夫
    1996 年 58 巻 5 号 p. 887-895
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    爪白癬および爪カンジダ症を対象としイトラコナゾール1日1回100mg内服期間後にfollow-up期間を設け内服終了後の爪甲病変の経過について検討した。同時に血漿中および爪甲組織中薬剤濃度を測定した。12∼16週内服例の混濁比および肥厚の程度の減少は内服終了後も継続して認められた。これらの症例の総合臨床効果は12週判定で著効4/19例(21.1%[6.1∼45.6%]), 著効+有効16/19例(84.2%[60.4∼96.6%]), 24週判定で著効14/19例(73.7%[48.8∼90.9%]), 著効+有効18/19例(94.7%[74.0∼99.9%])で内服終了後も効果が持続することが示唆された。爪甲組織中濃度は各時点および患者によって測定値のばらつきが大きかったが, 4週以内にイトラコナゾールが検出された例が3例みられ早期に爪甲に移行している可能性が示唆された。内服終了後の持続性を10∼16週内服例の爪甲組織中平均濃度の推移でみると少なくとも24週目ではある程度の量が維持されていると推測された。副作用は下痢, 薬疹が各1例, GOT, GPTの上昇が1例に発現したがいずれも軽度なものであった。血漿中濃度は内服開始2週間後には定常状態に達し内服終了後比較的早期に消失していることが確認された。
  • 米元 康蔵, 西山 茂夫, 勝岡 憲生, 川野 信子, 向井 秀樹, 荒井 亮, 種井 良二
    1996 年 58 巻 5 号 p. 896-904
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    老人性皮膚そう痒症を含む皮膚そう痒症および皮脂欠乏性皮膚炎を対象に塩酸エピナスチン錠(アレジオン錠®)を4週間投与し高齢者を中心にその有効性, 安全性, 有用性を臨床的に検討し次の成績を得た。皮膚そう痒症に対し「中等度改善」以上の改善度は23/31例(74.2%)であった。このうち65歳以上の老人性皮膚そう痒症では18/21例(85.7%)であった。安全度は「安全性に問題なし」と判断された症例は34/37例(91.9%), このうち65歳以上の老人性皮膚そう痒症では22/25例(88.0%)であった。「有用」以上の有用度は23/31例(74.2%)で, このうち65歳以上の老人性皮膚そう痒症では22/25例(88.0%)であった。また皮脂欠乏性皮膚炎に対し, 「中等度改善」以上の改善度は26/33例(78.8%)であった。安全度は「安全性に問題なし」と判断された症例は36/37例(97.3%)であった。「有用」以上の有用度は26/33例(78.8%)であった。また両疾患ともそう痒および掻破痕の程度は投与1週後で有意に軽減し本剤の優れた止痒効果が寄与したものと考えられた。副作用は4/74例(5.41%)で眠気の発現例は1例(1.35%)であった。合併症と発現した副作用との関連, および併用薬との相互作用は認められなかった。以上の結果より老人性皮膚そう痒症を含む皮膚そう痒症および皮脂欠乏性皮膚炎に対し本剤は有用な薬剤と考えられた。
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