西日本皮膚科
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59 巻 , 5 号
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図説
症例
  • 田口 りか, 大竹 直樹, 三好 逸男, 中野 律子, 神崎 保
    1997 年 59 巻 5 号 p. 671-674
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
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    57歳の女性。化膿性右股関節炎のため手術施行後5日目から滲出性の紅斑を呈した。病歴より薬疹を疑わせたが, 使用歴のある薬剤の貼布試験および薬剤リンパ球刺激試験は, いずれも陰性であった。滲出性紅斑の一部が線状になり境界が鮮明であったため, 手術の際に使用した消毒薬の接触皮膚炎を疑った。皮膚貼布試験によりエタノールによる即時型アレルギーと遅延型アレルギーを呈していたことが判明した。エタノールによる即時型アレルギーは稀ではないが, 遅延型アレルギーは稀であり両アレルギーが同一患者に発生したという報告はなく, ここに報告する。
  • 花川 博義, 大槻 典男, 藤井 浩之, 多々見 良三, 大門 正一郎
    1997 年 59 巻 5 号 p. 675-677
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    68歳の男性。6ヵ月前, 経皮的血管拡張術を施行後, 足趾の紫紅色斑と痛みを自覚したが, 約1ヵ月で軽快した。今回は冠動脈造影の翌日に足趾の紫紅色斑が増悪した。12日後, 発熱, 下肢筋肉痛, 躯幹·四肢に網状皮斑と一部に出血性壊死性皮疹がみられ, 腎機能低下をきたした。左大腿からの病理組織像は, 表皮顆粒層から有棘層の核消失と胞体の空胞化, 真皮·脂肪織境界部の小動脈に紡錘形の裂隙を有する好酸性物質の塞栓像を認めた。腎生検でも血管に同様の所見がみられ, コレステロール結晶の塞栓によるblue toe syndromeと診断した。躯幹·四肢の広範囲に網状皮斑が認められたことより, コレステロール結晶の流出が, 腕頭動脈より中枢の上行大動脈で生じたと考えられた。治療としてLDLアフェレーシスを施行された。足趾の紫紅色斑, 網状皮斑は消退し, 全身状態, 腎機能も徐々に改善した。
  • 沢田 泰之, 副島 清美, 山本 俊幸, 横関 博雄, 西岡 清, 片山 一朗
    1997 年 59 巻 5 号 p. 678-682
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    51歳の男性。初診6日前に咽頭痛出現, 3日前に四肢, 躯幹に紫斑が生じ, 顔面にも拡大したため, 東京医科歯科大学皮膚科受診となった。既往歴では47歳時に修正大血管転位症, 肺動脈狭窄症, 僧帽弁三尖弁閉鎖不全症に対する弁置換術およびHCV感染症あり。初診時に下腿, 前腕に血疱, 潰瘍を形成する鳩卵大までの紫斑が播種状に認められ, 顔面, 躯幹にも粟粒大の紫斑が多数認められた。紫斑部の組織像では真皮上層から下層まで広汎な細小血管にleukocytoclastic vasculitisが認められた。扁桃マッサージ試験により紫斑の新生が認められたため, 扁桃腺炎に由来する皮膚アレルギー性血管炎と診断し, 種々の抗生物質を使用したが, 4年後の現在も紫斑は持続し, 腎機能障害は進行中である。顔面に紫斑が生じた要因は皮膚アレルギー性血管炎の病勢と心疾患による顔面の静脈圧の上昇と考えたが, HCV感染症による紫斑の分布域の拡大も否定できなかった。文献的考察では下肢以外に紫斑が認められた例で統計学的に有意に腎障害発生が多かった。
  • 野柳 俊明, 片桐 一元, 佐藤 俊宏, 高安 進, 新海 浤
    1997 年 59 巻 5 号 p. 683-687
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
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    62歳の男性。平成4年10月に大分医科大学皮膚科を受診した。ほぼ全身の皮膚硬化と色素沈着より進行性全身性硬化症(PSS)と診断された。6ヵ月後に発熱, 嚥下困難のため入院した。両上眼瞼のヘリオトロープ疹様紫褐色斑, 筋力低下と筋生検所見よりPSSと皮膚筋炎のoverlap症候群と診断。安静により筋炎は次第に改善したが, 肺炎に続発したARDSと同時に血小板および赤血球減少を生じ, ステロイドパルス療法などを施行し, 一時小康を得たが, 急性腎不全で死亡した。溶血性貧血, 血小板減少, 急性腎不全の3兆候をみとめ, 溶血性尿毒症症候群(HUS)と診断された。HUSは血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)とごく近縁の疾患と考えられ, 基礎疾患に膠原病もあげられる。自験例ではHUSの発症に肺炎もしくはARDSが契機になったと考えられた。
  • 半仁田 優子, 宮里 肇
    1997 年 59 巻 5 号 p. 688-691
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
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    40歳の女性の左側頭部に生じたerosive pustular dermatosis of the scalpの1例を報告した。既往歴に18歳のころ頭部外傷を受け, 20歳で大きな瘢痕性脱毛となり治癒したという。初診の約1年前に瘢痕性脱毛の辺縁から糜爛, 膿疱が出現し徐々に拡大していった。初診時は左側頭部全体に潮紅が認められ, 膿疱, 糜爛が多発していた。病理組織学的には真皮の小円形細胞浸潤を伴う非特異的慢性炎症の所見が認められた。治療は抗生剤内服, 外用, ステロイド内服, 抗真菌剤内服は無効であり, ステロイド外用が著効を示した。
  • —沖縄地方におけるDown症の皮膚病変の臨床的観察—
    廖 明清, 新垣 肇, 野中 薫雄
    1997 年 59 巻 5 号 p. 692-695
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
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    Down症に合併した蛇行性穿孔性弾性線維症(EPS)の1例を経験し, また沖縄県のDown症患者に対してEPSの発生頻度を調査するとともに皮膚病変を臨床的に観察した。今回, 沖縄県精神薄弱者受護協会14施設と関連病院3施設の協力を得てDown症159例を調査した。調査したDown症159例の中にEPSを合併した症例はみられなかった。しかし毛包炎(38%), 足白癬(43%), 爪白癬(40%)などの感染症が高頻度にみられ, 寺門らやCarterらの報告に比較すると乾皮症(6%), 汗管腫(10%), アトピー性皮膚炎(2%)の症例は少なかった。
  • 萱場 光治, 三砂 範幸, 成澤 寛, 杉原 甫
    1997 年 59 巻 5 号 p. 696-700
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    65歳の男性。初診の10年前に下顎部, 前胸部に自覚症状のない軟らかい腫瘤の出現に気づいていたが, その後, 上腕, 後頚部にも同様の腫瘤を認め徐々に増大してきた。病理組織像では被膜を有さない成熟した脂肪細胞の増殖がみられた。内分泌学的異常を認めず, その特異な臨床像よりbenign symmetrical lipomatosisと診断した。脂肪細胞培養の結果, 患者の病変部脂肪細胞は高い増殖能を示した。
  • 松島 弘典, 山崎 研志, 籏持 淳, 新海 浤
    1997 年 59 巻 5 号 p. 701-704
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    43歳の男性。18年前より8年間, 尋常性乾癬の治療に限界線療法を施行された。9年前より両側II∼IV指背に慢性放射線皮膚炎を生じ, 3年前には同部位より有棘細胞癌, Bowen病が出現した。その後, 経過観察中に右III指背に径3mmの黒色丘疹が出現したため切除された。病理組織学的に基底細胞上皮腫と診断した。以上より自験例を放射線重複癌と診断した。
  • —その治療を中心に—
    田中 敬子, 城野 昌義, 小野 友道
    1997 年 59 巻 5 号 p. 705-708
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    ノルウェー症癬を併発したリンパ腫型の成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)の56歳の男性例を報告した。著しい細胞性免疫低下および疥癬の遷延化と院内感染の危険が危惧される中で, ATLLは急速に増悪した。疥癬の治療に専念することでATLLの治療を遅らせる危険性もあったが, 疥癬虫の撲滅を待って化学療法を開始し, 良好な経過が得られた。感染症を合併したATLL症例の治療方針決定には常に困難さが付きまとう。
  • 田口 りか, 吉福 士郎, 福丸 聖太, 瀬戸山 充, 神崎 保, 米良 修二
    1997 年 59 巻 5 号 p. 709-712
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
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    74歳の男の患者が全身のそう痒および四肢の疣贅状の皮疹を主訴に来院した。半年前から全身のそう痒と疣贅状皮疹の出現, 拡大, 増悪があり, 初診時, 顔面と後頚部, 腋窩に黒褐色の色素沈着を伴う乳頭状の皮膚を示し, 悪性黒色表皮腫と診断した。躯幹には, 多数の脂漏性角化症様皮疹があり手背, 下肢, 足背には大豆大までのそう痒を伴う疣贅状皮疹を認めた。全身検索を施行し, 病期分類Stage IVの胃癌が発見されLeser-Trélat徴候を伴った黒色表皮腫と診断した。皮疹およびそう痒は胃切除術施行後, 次第に軽減している。本症例は, 主に四肢に現れた疣贅状皮疹が脂漏性角化症か尋常性疣贅か診断が困難であった。
  • 武内 出穂, 永田 祥子, 福丸 聖太, 山口 圭子, 具志 亮, 大竹 直樹, 瀬戸山 充, 神崎 保
    1997 年 59 巻 5 号 p. 713-715
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    症例は49歳の男性。1953年, 5歳時に右大腿部に熱傷を負った。1977年頃から同部位の瘢痕上に潰瘍が出現し, 軽快増悪を繰り返すようになった。1984年に鹿児島大学医学部附属病院皮膚科で有棘細胞癌と診断され, 腫瘍切除術を受けた。廓清された総腸骨動脈近傍のリンパ節に2個の転移が認められた。その後, 再発や転移を認めなかったが, 1995年に同部位に肉芽様病変が再発し, 当科で再び有棘細胞癌と診断された。全く同一部位であり, 11年前の有棘細胞癌の再発と考えられた。
  • 和泉 智子, 山田 孝宏, 北島 康雄, 杉山 陽子, 雄山 瑞栄, 井上 稲子, 大谷 道廣, 松岡 正典, 和泉 眞蔵
    1997 年 59 巻 5 号 p. 716-719
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    特発性血小板減少性紫斑病に対しプレドニゾロンで治療中の69歳の女性に生じたらい腫らいの1例を報告した。1994年11月末から両足, 前腕の痺れ·疼痛を感じ, 1995年11月頃から口囲を中心に多発性皮内∼皮下結節が出現した。皮膚組織の塗抹標本の抗酸菌染色, 病理組織学的所見, 臨床像, PCR法により, らい腫らいと診断した。Diaminodiphenylsulfone(DDS), rifampisin(RFP)と近年らいの治療薬として注目されているlevofloxacin(LVFX)を使用し, 1週間後から急激な皮疹の消退傾向を示した。しかし, 完全な消退は得られず中止しclofazimineを投与し経過観察中である。
  • 清水 隆弘, 武藤 正彦, 森脇 由紀, 古元 礼子, 麻上 千鳥, 西山 和光
    1997 年 59 巻 5 号 p. 720-722
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    73歳の男性の右手背に生じた皮膚固定型スポロトリコーシスの1例を報告した。右手背に鶏卵大の紅色局面があり2ヵ所に指頭大の潰瘍を伴っていた。病理組織学的にPAS陽性の菌要素が認められ, 分離された菌の真菌学的所見から皮膚固定型スポロトリコーシスと診断した。イトラコナゾール(100mg/day)投与で一時軽快したが自己中止し再燃した。イトラコナゾール再投与は無効, ヨウ化カリウム(1g/day)4週間で瘢痕治癒し, 再発を認めない。
  • 分山 英子, 一ノ瀬 弥久, 片山 一朗, 西本 勝太郎
    1997 年 59 巻 5 号 p. 723-726
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    急性骨髄性白血病の13歳の男児の化学療法中に点滴静注のシーネ固定部位に発症した原発性皮膚アスペルギルス症の1例を報告した。右手掌の点滴のシーネ固定部位に急速に拡大した紅斑を伴う拇指頭大の灰黒色壊死を認め, そのKOH標本では二分岐性の太い菌糸が多数認められた。病巣から得られた試料の培養ではAspergillus flavusA. terreusが分離された。イトラコナゾールの内服とフルコナゾールの点滴およびアンホテリシンBのwet dressingで治療した。皮疹は白血球数の回復に一致して軽快した。
  • 久保田 由美子, 古賀 哲也, 利谷 昭治
    1997 年 59 巻 5 号 p. 727-730
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    54歳の男性。1996年4月16日に歯科処置後, アンピシリン(ペントレックス®)1T, フルルビプロフェン(フロベン®)2T, ピロキシカム(バキソ®)2capを内服翌日, 38度の発熱と全身の紅斑が出現した。近医内科に入院し, ヒドロコルチゾン(サクシゾン®)の投与を受け一旦軽快した皮疹が再燃したため4月24日に福岡大学病院皮膚科転院となった。入院後プレドニゾロン20mg/日投与で解熱し, 皮疹も軽快した。薬剤によるリンパ球幼若化試験ではアンピシリンとフルルビプロフェンに陽性, パッチテストでは3剤に陽性であった。3剤による患者末梢血単核球からのIFN-γ産生も認められ, 3薬剤が原因であることが確認された。
研究
  • 山田 晴義, 多島 新吾, 西川 武二
    1997 年 59 巻 5 号 p. 731-733
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    培養ヒト皮膚線維芽細胞を用い, 胃潰瘍治療剤プラウノトール(ケルナック®)がコラーゲン合成にどのように影響を与えるか検討した。Confluentの状態に培養した線維芽細胞を0.15μM, 1.5μMのプラウノトールで処理し, 最後の24時間[2, 3-3H]プロリンで蛋白を標識し, コラーゲン合成活性を測定した。その結果, プラウノトールは単独で, 線維芽細胞のコラーゲン合成を約40%抑制した。一方, プラウノトールはプロスタグランジン発現促進作用を有することが知られているので, インドメタシンでこれを抑制しその影響を検討した。その結果, インドメタシン存在下では, インドメタシン非存在下と同様にプラウノトールのコラーゲン合成を約25%抑制した。このことはプラウノトールの潰瘍治癒促進作用が, 線維芽細胞に直接作用するためではなく, またプロスタグランジンも介さない別の作用機序によるものと考えられた。
  • 下島 博之, 森嶋 隆文, 森嶋 智津子, 原 弘之, 落合 豊子, 西山 千秋
    1997 年 59 巻 5 号 p. 734-738
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    左第1指爪甲部の紅色∼黒褐色結節性病変と色素斑(Hutchinson徴候)の2相性病変からなる爪甲下黒色腫の67歳の男性例を報告した。病変部は乾燥性にみえたが, 患部を覆っていたガーゼが湿っていることに着目し, 痂皮中·ガーゼ滲出液中5-S-CD値を測定したところ, その値はそれぞれ36.2ng/mg, 42.0ng/PCAmlで黒色腫の可能性が示唆され, 滲出液のスタンプ蛍光法で黒色腫と術前に確定診断しえた。上述の術前診断法が可能である根拠を未染標本の蛍光法と同一切片のHMB-45免疫染色を用いて検討した。その結果, 蛍光を発しHMB-45陽性の黒色腫細胞や胞巣のupward invasion像が顕著で, 表皮内や表皮下に滲出液の貯留がみられ, 浮遊する黒色腫細胞は蛍光を発しHMB-45陽性であることから, 痂皮中5-S-CD値測定と滲出液のスタンプ蛍光法による術前診断が可能であることが証明された。
講座
統計
  • 王 黎曼, 峰下 哲, 王 建中, 丁 素先, 李 維雲, 陳 笑琴, 邊 天羽, 姜 学義, 楊 高雲, 馮 高章, 李 露露, 宮下 英 ...
    1997 年 59 巻 5 号 p. 745-748
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    ベーチェット病(B病)は中近東, 日本, 中国および韓国などシルクロードとその周辺諸国に多いことが疫学的に明らかにされている。1991年∼1996年日本の65例および中国の138例のB病患者について臨床資料を収集し比較検討した。性別では両国とも女性が多く, 病型別にみると日本では完全型が多く, 中国では不完全型が多く, 平均年齢は日本より中国の方が若く, 発症年齢は20∼30代, 日本では30代が多く, 病歴は日本の方が長かった(32.8年)。各症状の発現頻度は両国とも口腔内アフタが全例で認められたが, ほかの主症状は日本では皮膚症状(81.5%), 外陰部潰瘍(72.3%), 眼症状(69.2%), 中国では外陰部潰瘍(87.7%), 皮膚症状(44.2%), 眼症状(34.8%)の順になっていた。針反応は日本(47.7%)より中国での陽性率が高かった。各臨床症状の出現はHLA抗原に関しては眼症状の出現にはHLA * B51およびDQ 3抗原に, 外陰部潰瘍の出現にはHLA * B51抗原の関与が認められた。今回の調査結果により日本および中国両国はB病の多発国で, HLA * B51抗原が高頻度にみられたが, その発症年齢別, 性別, 型別, 罹病歴および各症状の出現頻度に相違が認められたことから本疾患の発症因子として遺伝子だけではなく, 地理的条件, 気候, 環境, 生活歴および既往歴などの諸素因も深くかかわるものと考えられる。
  • —Do not resuscitateが必要か—
    荒木 嘉浩, 小野 友道, 渡辺 宣子, 岡元 和文
    1997 年 59 巻 5 号 p. 749-751
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    熱傷治療における問題点を医療経済学的見地から検討した。対象は, 1992年から1994年までの3年間に熊本大学医学部附属病院で治療した重症熱傷患者26名であった。それぞれの患者の年齢, 入院日数, 受傷機転, 転帰, 保険の種類, 熱傷面積, burn index, 治療に要した総額および保険点数, 査定額(率)などを調査し, それらの関係について検討した。26名の患者の治療に要した総額は約2億500万円で, そのうち査定額(率)は約681万円(3.3%)と厳しかった。査定されているものは, 新鮮凍結血漿やアルブミンなどの血液製剤が主であった。熱傷の重症度を表すburn indexと1日の平均治療費の関係を調べると両者の間には, 正の相関(r=0.85)がみられ, その一方でburn indexが増すにつれ救命率の低下がみられた。熱傷患者の治療費は高額で査定が厳しく, また重症度が増すにつれて1日当たり多額の治療費を要するものの救命し得ていない例が多い。
治療
  • 中山 樹一郎, 堀 嘉昭
    1997 年 59 巻 5 号 p. 752-757
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    成人型アトピー性皮膚炎患者の顔面·頚部の難治性紅斑に対して抗アレルギー剤, ビタミンCの内服, 非ステロイド剤の外用にヒスタグロビン®の皮下注射を併用しその臨床効果を検討した。ヒスタグロビン®の1回1バイアル, 1∼2週に1回皮下注射を3∼4回施行後では中等度改善が10例中4例, そのうち4例に1回2バイアルの皮下注射をさらに5∼7回施行後では3例の顔面病変に1ランク上の改善がみられた。治療開始時より1回2バイアルの皮下注射を行った3例では4回注射後に2例が中等度改善, 9∼11回後には3例とも中等度ないし著明改善がみられた。脱ステロイド療法による反跳現象はみられなかった。以上より成人型アトピー性皮膚炎患者の顔面·頚部の難治性紅斑に対する本療法は有用と考えられた。
  • —とくに症状消失までの期間および再発予防効果について—
    橋本 秀樹, 近藤 慈夫, 三橋 善比古, 青木 武彦, 吉川 賢一, 今泉 勤, 安孫子 孝宏, 安齋 眞一, 片桐 美之, 石沢 俊幸, ...
    1997 年 59 巻 5 号 p. 758-765
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    慢性蕁麻疹患者82例にフマル酸エメダスチン(レミカット®カプセル)2∼4mg/日を投与し, その有効性, とくに効果発現日と再発予防効果, および安全性について「じんましん日記」により調査し, 検討を行った。1. 登録症例82例の内訳は男性27例, 女性55例であり, 年齢は9∼79歳(平均45.2歳)であった。症例の約8割は, 中等症の患者であった。2. 解析対象76例のそう痒, 発斑の改善度はそれぞれ, 著明改善48.0%, 44.7%, 改善以上70.7%, 69.7%, やや改善以上90.7%, 90.8%であり, 最終全般改善度は, 著明改善44.7%, 改善以上73.7%, やや改善以上93.4%であった。安全性を考慮し総合的に判断した有用度は, 極めて有用43.4%, 有用以上73.7%, やや有用以上96.1%であった。3. 症状消失までの日数については「じんましん日記」から, そう痒, 発斑の消失率がそれぞれ, 1日後が14.7%, 13.2%, 3日後までが25.3%, 25.0%, 7日後までが40.0%, 36.8%, 14日後までが52.0%, 44.7%であった。4. 投与終了後7日までの再発の有無を調査し得た31例中, 再発なしが22例であり, 再発抑制率は71.0%であった。5. 副作用は6例(7.6%)に認められ, その内訳は眠気5例と顔面浮腫が1例であったが, 重篤なものはなかった。以上によりフマル酸エメダスチン(レミカット®カプセル)の慢性蕁麻疹に対する有用性, とくに止痒効果の速効性と高い再発抑制効果が示唆された。
  • —コラージュホワイトニングクリームの色素再生抑制—
    馬場 貴子, 原田 研, 花田 勝美
    1997 年 59 巻 5 号 p. 766-772
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    表在性色素異常症, 主として老人性色素斑に対してルビーレーザー治療を行った後, メラニン産生抑制効果を有するコラージュホワイトニングクリーム(以下COWクリームと略す)を外用し, 色素沈着の再発に対する抑制効果を検討した。すなわちレーザー治療後, 色素沈着の程度を肉眼的に観察すると共に, DemaSpectrometer®によるメラニン指数の推移を経時的に観察した。その結果, 色素沈着の再生抑制効果は, 肉眼的判定では有効以上86.7%で, レーザー治療のみ行った対照症例の20.0%と比較して優れた効果が認められた。また, メラニン指数の推移はCOWクリーム群では試験開始より試験終了12週後まで漸次低下したが, 対照群では試験途中の8週後より上昇がみられ, COWクリームによる色素沈着の再発の抑制効果が確認された。本試験に先立ち健常人における油溶性甘草エキスに対するpatch testおよびscratch patch testを行い20例全例に陰性であったが, 治療対象例の1例に刺激症状が認められた。COWクリームの使用は表在性色素異常症のレーザー治療後にみられる色素沈着の再生抑制に効果的であり, 試みるべき手段のひとつと考えられた。
  • —九州大学皮膚科における治療経験から—
    中山 樹一郎, 力久 航, 濱田 学
    1997 年 59 巻 5 号 p. 773-779
    発行日: 1997/10/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    10例の菌状息肉症に対しビオガンマ®の点滴静注を単独であるいはbath-PUVA療法などのほかの治療法との併用で行いその臨床効果および予後を調査した。入院治療では原則として1回200万単位, 週3∼5回点滴静注を少なくとも4週間行い臨床効果の有無を判定した。ビオガンマ®の単独投与は4例中2例に有効性が認められ, PUVA療法などとの併用では3例中2例に著効が得られた。外来通院治療では5例中4例は週1∼2回のビオガンマ®の点滴静注とbath-PUVA療法の併用療法を行い, 最終的に5例中3例を有効以上と判定した。副作用は発熱と一部に末梢血リンパ球数の軽度減少がみられた。予後については10例中不明の2例を除き現在も生存中である。菌状息肉症以外のCTCLあるいは皮膚を主病変とするATLに対するIFN-γ(ビオガンマ®を含む)の効果に関する同様の調査ではいずれの病型にも病初期の皮疹には確かに有効であったが急性増悪あるいは病期の急激な進行には無効と判定され予後の改善はみられなかった。今回の調査で菌状息肉症と抗HTLV-1抗体陽性のCTCLおよびATLとは臨床経過が異なるため, とくに急性増悪の発症の有無の点でIFN-γ療法の位置付けが両疾患で異なることが示唆された。
世界の皮膚科学者
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