カルボキシメチルセルロースナトリウムから成る創傷被覆材Hydrocel(治験名称)を採皮創40例, II度熱傷創20例, 計60例を対象として, その被覆効果について安全性·有効性·有用性の観点から医療用具GCPに沿った臨床試験を実施した。採皮創は原則として2週間, 熱傷創は原則として3週間の観察期間を限度とした。粘(密)着性は採皮創群の40例全例, 熱傷創群の20例中19例が「普通」以上, 創面損傷は採皮創群40例中39例, 熱傷創群全例が「なし」, 吸収能力は採皮創群40例中34例, 熱傷創群20例中16例が「良好」の評価であった。止血持続効果は採皮創群40例中34例が「有効」, 表皮形成効果は採皮創群40例中37例, 熱傷創群20例中15例が「良好」以上, 鎮痛効果は採皮創群40例中39例, 熱傷創群20例中19例が「有効」以上の評価であった。また, 有用性判定では採皮創群40例全例, 熱傷創群20例中19例が「有用」以上であった。副作用は60例中両群各1例ずつの計2例にみられたものの, いずれもトップドレッシングに起因する自家感作性皮膚炎であり, 本品との因果関係は否定された。以上, 採皮創およびII度熱傷創に使用した成績から, 本品は安全性が高く, 材質的に粘(密)着性, 吸収能力に優れ, 交換時の創面損傷が少なく, 止血持続効果, 表皮形成効果, 鎮痛効果に有効な創部改善度を認めたことから, 良好な湿潤環境条件を容易に整えうる有用な創傷被覆材であると考えられた。
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