西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
62 巻 , 5 号
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図説
綜説
症例
  • 肥後 順子, 守屋 千賀子, 石原 秀治, 木藤 正人, 三渕 浩
    2000 年 62 巻 5 号 p. 581-584
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
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    生後16日の女児,正期産児。生後15日に39℃ 台の発熱あり,当院小児科受診。翌日も発熱が続き全身に発疹を生じたため小児科入院となり,同日皮膚科に紹介された。入院時38℃ の発熱。全身に米粒大までの丘疹·紅斑を認め一部融合傾向がみられた。また体幹部の紅斑上には一部小膿疱が散在,臍部は湿潤し膿性浸出液が認められた。なお全身状態は良好であった。検査所見では血小板減少とCRP弱陽性を示し,体幹部膿疱の細胞診では好中球優位(88.2%)であった。現症と検査所見より新生児TSS様発疹症を疑い,臍部より細菌培養を行ったところTSST-1産生MRSAが検出された。発症時期は生後15日目と非典型的だったが本症と診断した。入院時より投与されたCEZには感受性がなかったが,経過は良好で3日目に解熱,発疹も5日目には消退し,その後手掌の膜状落屑が認められた。今回,我々の症例に文献的考察を加え報告する。
  • 長門 文子, 田辺 恵美子, 末石 眞, 西村 元伸, 松村 竜太郎
    2000 年 62 巻 5 号 p. 585-590
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
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    成人Still病の3例を報告した(症例1:29歳男性,症例2:37歳男性,症例3:33歳女性)。39℃ 以上の弛張熱,出没を繰り返す淡紅色斑,関節痛,咽頭痛を伴い,抗核抗体,リウマチ因子は陰性だった。3例中2例は白血球増多,正常上限4倍以上のフェリチン高値を認めた。症例2は心嚢水,胸水の貯留を伴っていた。3例とも,皮疹は,そう痒を伴わない示指頭大までの小紅斑で,発熱とともに四肢を中心に出没を繰り返した。組織学的に,真皮上層の浮腫,毛細血管拡張,血管周囲性および膠原線維間にリンパ球を中心にわずかに好中球を含む軽度の細胞浸潤を認めた。いずれもステロイド療法が有効であったが,症例1はパルス療法を要した。
  • 鈴木 やよい, 中嶋 賢, 森田 明理, 辻 卓夫
    2000 年 62 巻 5 号 p. 591-593
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
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    60歳,女性。7年前にシェーグレン症候群と診断された。翌年より両下腿の点状紫斑が出現し,約1年前には右下腿内側に潰瘍が出現した。皮膚潰瘍治療薬外用にて潰瘍は改善せず次第に増大したため,安静および治療目的で当科入院となった。潰瘍近傍の紫斑部の病理組織所見では,皮下脂肪織における脂肪細胞の変性,壊死による膜嚢胞性病変が認められた。本症例での膜嚢胞性病変を伴う脂肪織炎の発症機序についての文献的考察を含めて報告した
  • 今福 信一, 桐生 美麿, 古江 増隆, 安元 慎一郎
    2000 年 62 巻 5 号 p. 594-597
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
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    症例は35歳の女性。生下時より右側胸部に青色斑が数個存在し,以後少しずつ増数したが自覚症状はなかった。初診時右側胸部に48×22mmの範囲に境界不明瞭で濃淡のある青黒色色素斑が認められ,その中に直径1~5mmの青色調の丘疹が散在していた。切除標本の病理組織所見は,真皮中層,特に付属器周囲に色素を有する細胞が密に集簇した部分が数ヵ所みられ,agminated blue neviと診断した。Blue nevusは通常単発性であるが,限局した部分に集簇して多発する稀な症例があり,agminated blue neviを含めて様々な名称での報告がある。これらの報告例を本例を含めて検討したところ,1)生下時または幼少期から,2)主に胸部から肩に存在し,3)大きさは不変,またはわずかに増大する程度で,4)病理組織学的にcommon typeで,5)毛嚢周囲に真皮メラノサイトとメラノファージが限局していることが多いという特徴を有していた。
  • 草場 亜矢子, 濱田 学, 山元 修, 末永 義則, 旭 正一
    2000 年 62 巻 5 号 p. 598-601
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
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    81歳の女性。1981年,某医にて臀部右側の軟部悪性腫瘍の広範切除を施行され,その後同部に再発し切除された。1996年,頭部の血管肉腫の診断でIL-2動注療法,電子線照射を施行し略治状態で経過観察中に,右第1指基部の皮下腫瘤および病的骨折が出現した。病理組織学的には皮下にびまん性に核異型のある線維芽細胞様細胞や組織球様細胞の増殖が認められ,一部では紡錘形細胞の花むしろ様配列が見られた。病理組織像から悪性線維性組織球腫と診断した。本腫瘍と血管肉腫の合併例は稀と思われた。
  • 込山 悦子, 久道 勝也, 植木 理恵, 比留間 政太郎, 坪井 良治, 小川 秀興
    2000 年 62 巻 5 号 p. 602-605
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
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    エクリンらせん腫の4例を経験した。症例1:53歳,男。右側胸部の直径約1.5cmの皮下結節。症例2:59歳,男。左側頚部の直径約1cmの小結節。症例3:33歳,男。左鼻孔下方の直径約1cmの毛細血管拡張を伴った結節。症例4:81歳,男。右頬部の直径約5mmの皮下結節。病理組織学的には,いずれも管腔構造を有する真皮から皮下組織に及ぶ腫瘍で,2種類の腫瘍細胞から成っていた。1990年以降の本邦報告例49例を,統計学的に解析した。
  • 後藤 由美子, 中房 淳司, 佐藤 公昭, 成澤 寛, 片上 秀喜
    2000 年 62 巻 5 号 p. 606-609
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
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    73歳,女性。初診の約30年前にたき火をしていて腰臀部から両大腿部に熱傷を負い,瘢痕上皮化した。約10年前から両大腿部の瘢痕に潰瘍が生じ次第に拡大してきたが放置していた。初診時左大腿部に35×15 cmおよび右大腿部に15×10 cmの易出血性潰瘍局面を認め熱傷瘢痕癌(SCC)と診断した。また,意識障害を伴う高Ca血症がみられ血清PTHrP(副甲状腺関連蛋白, parathyroid hormone related peptide)も高値を示した。加えて,白血球増多も認められたが,術後高Ca血症と共に改善した。本邦の皮膚科領域での高Ca血症を伴ったSCCの報告は少なく,文献的に考察を加えた。
  • 宮田 義久, 小野 博紀, 安立 あゆみ, 富田 靖, 原 一夫
    2000 年 62 巻 5 号 p. 610-613
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
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    42歳,男性。頭部に11個以上多発するtrichilemmal cyst(TC)と,巨大な角質増殖性病変を伴うproliferating trichilemmal cyst(PTC)を認めた。頚部,体幹,上肢などにも同様の多発性皮内腫瘤が臨床的に認められた。本邦ではこのようなTCの多発例は極めて稀なものと思われる。また,角質増殖性病変の像を呈するPTCの報告例は本邦では認められない。自験例のPTCでは表皮と連続した開放性嚢腫という形態をとっており,これは外傷によりTCの腫瘍壁が破れたことが契機になり, TCがPTCに移行したと推測された。
  • 伊豆 邦夫, 山元 修, 末永 義則, 旭 正一
    2000 年 62 巻 5 号 p. 614-619
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    多発性骨髄腫は全身の骨髄で腫瘍性形質細胞が増殖する疾患であるが,稀に髄外腫瘤形成を示す。今回我々は,下肢に本邦報告例では最大級の皮膚転移巣を生じたIgG-λ型多発性骨髄腫の症例を経験した。患者は57歳女性で広島にて被曝歴があった。化学療法および血漿交換療法が施行されたが,皮膚転移を生じてから約8ヵ月で死に至った。1982年以降,本邦で報告された骨髄腫の皮膚転移例は50症例あった。本邦における多発性骨髄腫の皮膚転移症例はIgD型の報告が欧米に比べて多かった。多発性骨髄腫の皮膚浸潤や予後と蛋白型とは相関関係はないと報告されているが,我々が調べた50症例においてIgD型多発性骨髄腫は比較的早期に皮膚転移を生じる傾向があった。蛋白型別による予後に明らかな差は認められなかった。
  • 田尻 美保, 山元 修, 末永 義則, 旭 正一, 吉永 健太郎, 林 みき
    2000 年 62 巻 5 号 p. 620-625
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
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    最近interleukin-2(IL-2)の血管肉腫に対する抗腫瘍効果が注目されているが, IL-2療法を施行し,その効果について免疫組織化学的に検討した83歳の女性のStewart-Treves症候群の1例を報告した。初診の18年前,右乳癌にて定型的乳房切断術を施行され,術後放射線治療を受けた。その後右上肢に慢性リンパ浮腫の状態が続いていた。3ヵ月前,右上腕に淡紅色局面が出現,徐々に増大し水疱様となった。Stewart-Treves症候群の診断にて1997年8月入院後IL-2を1日量70万~140万国内標準単位にて連日28日間静注および局注施行後局所切除術を行った。術後IL-2療法を再開したが,右前腕に初発時と同様な結節が出現した。一時退院し,外来にてIL-2療法を続行した。結節は増大し,疼痛も伴う様になってきたため,1998年2月再入院した。その後も腫瘍は進行し,肺転移も出現した。初発から11ヵ月後の1998年5月永眠された。免疫組織化学的にはNK細胞の浸潤は認められず,治療前に比べてCD 8陽性細胞の増加およびMAC 387陽性細胞の減少が目立つという結果が得られた。同様の報告は過去にもあり,IL-2療法後のNK細胞およびCD 8陽性細胞の動態については今後の検討が必要と思われた。また本症例では治療後CD 20陽性細胞の増加がみられたが過去にこのような報告例は無く,興味深い所見と思われた。
  • 栗林 典代, 藪並 英夫, 遠藤 秀治, 新海 浤
    2000 年 62 巻 5 号 p. 626-628
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    57歳の男性。1988年頃より左下腿に鱗屑を伴うくるみ大の紅斑が出現し全身に拡大した。その後,紅斑は出現·消退を繰り返し,1997年より同部が隆起し紅色腫瘤形成するようになった。1998年6月,当科受診。病理組織では表皮内に比較的クロマチンに濃染し胞体が明るい中型から小型の異型単核細胞の著明な浸潤を認めた。免疫染色にて異型単核細胞はCD 3+, CD 20-, CD 4-, CD 8-, Ki-1-を呈した。遺伝子解析にてT細胞受容体β鎖の再構成を認めた。以上より播種性pagetoid reticulosis(Ketron-Goodman type)と診断した。
  • 陳 文雅, 分山 英子, 西本 勝太郎
    2000 年 62 巻 5 号 p. 629-631
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    2歳の男児。約2週間前より頭部を掻破しているのに家族が気づき,当科受診。初診時後頭部に直径2.5cmの不完全脱毛斑1個を認め,脱毛斑の中に多数のblack dotを認めた。脱毛のKOH直接鏡検で毛内性大胞子性寄生の像を認め,サブロー·ブドウ糖平板培地上では4週間で直径1.5cmと発育の遅い,帯灰黄褐色の蝋様のコロニーとなる真菌を得た、スライドカルチャーでは屈曲し,不規則に分岐する菌糸と介在性及び末端性厚膜胞子を認め,Trichophyton glabrumと同定。塩酸テルビナフィン30mg/日で治療開始したが,3週間目以降患者が来院せず治療中止した。治療中止後74日目の来院時,病変部は軽度の粃糠様鱗屑を認めるのみ,KOH鏡検で少量の円形胞子を認めたが,ブラッシングによる培養は陰性。塩酸テルビナフィンは角層に対する親和性が高く,高い殺真菌作用をもつため,グリセオフルビンよりも短い治療期間での有効性が期待され,自験例も含めての症例の蓄積が求められる。自験例も現在経過観察中であり,今後も臨床経過を観察する予定である。
  • 織間 咲千子, 宮本 由香里, 大塚 勤, 原 典昭, 馬場 安紀子, 山蔭 明生, 山崎 雙次, 田邉 昭子, 梁取 明彦, 清水 健
    2000 年 62 巻 5 号 p. 632-635
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    73歳の男性。1993年5月に骨髄異形成症候群を指摘された。1996年12月より左肘部,右手指に,紅色皮疹が出現し,近医にてスウィート病の診断で,プレドニゾロン20~30mg/日の投与を受け,1998年3月には間質性肺炎のためステロイドパルス療法を施行された。1999年9月13日初診時,背部,両大腿,下腿の計15ヵ所に直径数cmまでの紅色結節が多発し,一部潰瘍化を認めた。皮膚生検組織像で真皮下層から皮下脂肪織にかけて菌糸の増殖を認め,真菌培養でAspergillus fumigatusが分離·同定された。イトラコナゾール内服,アンホテンシンBの局注を施行したが血中β-Dグルカンの上昇が認められた。経過中,アスペルギルス菌塊による右上肢の急性動脈閉塞症にて緊急手術を施行。その後心不全,肺炎を併発,心エコーにて僧帽弁に疣状増殖があり,僧帽弁閉鎖不全症が認められ,全身性アスペルギルス症へと進行し死亡した。
  • 上田 素子, 森 聖, 三田 哲郎, 岩瀬 優子, 安江 隆
    2000 年 62 巻 5 号 p. 636-638
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    4歳の女児。肺炎の診断にて近医で,4日間cefuzonam(コスモシン®)の点滴をうけ,引き続いて8日間cefixime(セフスパン®)を内服したところ,全身に紅斑·水疱,粘膜にびらんが出現し,当科初診となった。Stevens-Johnson症候群と診断し,ステロイド剤,γ-globulin製剤による治療を行い,3週後には色素斑を残して上皮化した。Cefuzonamはリンパ球刺激試験(DLST)陽性,貼付試験は陰性であったが,その部位の皮膚生検像ではアレルギー性皮膚炎の像を呈し,原因薬剤と考えた。Cefiximeはcefuzonamと構造式が極めて類似している薬剤であるため,原因薬剤を判定するのに苦慮した1例であった。
  • 長田 智子, 青木 武雄, 野中 薫雄
    2000 年 62 巻 5 号 p. 639-641
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    67歳の男性。テルビナフィン(ラミシール®)により多形紅斑型薬疹が誘発された。内服開始から発症までの期間は約2週間であった。臨床的には,主に体幹から大腿にかけて大豆大から鶏卵大までの大きさの浮腫性紅斑が散在性に認められた。病理組織学的には真皮上層の血管周囲性にリンパ球の浸潤を認めた。原因薬剤の中止とプレドニゾロン20 mg/dayの内服4日間で皮疹は速やかに消退した。パッチテスト,スクラッチテストは陰性であったが,テルビナフィンの皮内テストでは1%,0.1%,0.01%の溶液を用いて検査したところ,それぞれ,21×18 mmの紅斑を伴う14×12 mmの膨疹,7×6 mmの紅斑,6×4 mmの紅斑が認められたため陽性とした。一方,健常人対照3人は,全て陰性であった。以上の所見よりテルビナフィンによる薬疹と診断した
  • 栗林 典代, 永山 博敏, 遠藤 秀治, 新海 浤
    2000 年 62 巻 5 号 p. 642-643
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    30歳の男性。市販の鎮痛薬ニューカイテキZ®を内服後に口唇·手指·陰茎に紅斑が出現。固定薬疹と考え,患者の同意を得て内服テストを施行した。成分の一つであるアリルイソプロピルアセチル尿素で皮疹が再燃。薬疹カードを手渡したが,数ヵ月後近医で同成分を含むトーワサール®顆粒を処方され内服した。前回よりも紅斑が重症化し,口腔粘膜疹も出現し,潰瘍化。ステロイド内服にて2週間後に略治。再投与により重症化した固定薬疹の1例を報告した。
  • 前川 和代, 青木 武雄, 花城 可雅, 野中 薫雄
    2000 年 62 巻 5 号 p. 644-647
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    症例は2歳3ヵ月の女児。生後36時間で細菌性髄膜炎に罹患後,脳死に近い状態となり人工呼吸器管理下にあった。時折肺炎を併発していた。経口栄養剤をエレンタール®Pからエンシュアリキッド® に変更した数分後に血圧低下,気管支攣縮を起こしショック状態に陥った。症状改善後に行ったエンシュアリキッド®のスクラッチテスト原液では12×10/36×30(mm),同剤100倍希釈液におけるプリックテストでは8×6/24×23(mm),1000倍希釈では発赤が20×20(mm)であった。 IgE-RAST検査では,エンシュアリキッド®のタンパク質の構成成分であるカゼインに50IU/ml以上(クラス4)と強陽性を示した。以上より,我々は本症例をエンシュアリキッド®に含まれるカゼインによるアナフィラキシーショックと診断した。本症例におけるアナフィラキシーショック発現の原因として,長期間·頻回にわたる細菌感染,抗生物質の使用が疑われた。本邦におけるエンシュアリキッド®のアナフィラキシーショックの報告は本症例を含め2例であり,非常に稀と思われた。
研究
  • 片山 一朗, 濱崎 洋一郎, 有馬 優子, 天満 美輪, 前田 亜紀, 野村 昌代, 武石 恵美子, 山本 雅一
    2000 年 62 巻 5 号 p. 648-654
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    シェーグレン症候群患者15名,膠原病患者9名,対照皮膚疾患患者14名において更年期症状と原疾患との関連性を検討した。非閉経群では膠原病疾患,皮膚疾患患者共にその更年期症状数は3前後であったが,シェーグレン症候群患者では7と倍以上の陽性数であり,統計的にも有意差が見られた。閉経群ではシェーグレン症候群で8.5とやや高い傾向が見られたが他群との有意差は見られなかった。更年期症状のうち,顔が火照る,足が冷える,汗をかきやすい,手足が痺れるなどの自律神経系ないし循環障害に基づく症状は非閉経シェーグレン症候群患者では80%近くに見られた。閉経群でもこれらの症状は高頻度に見られたが皮膚疾患群での陽性頻度と差は見られず,シェーグレン症候群で閉経前より更年期症状に類似した症状が見られるものと考えられた。閉経前のシェーグレン症候群患者では凍瘡(約80%)と眼の乾燥感(約50%)が多く見られたことより,更年期症状を主訴とする非閉経患者ではこれらの症状はシェーグレン症候群の存在を考える上で重要と考えられた。皮膚温の測定では冷水誘発前に健常人コントロールより3℃以上皮膚温の低下が見られた患者は閉経前,後いずれにおいてもシェーグレン症候群において多く,対照では一例も見られなかった事より皮膚温の測定は更年期症状を訴える患者におけるシェーグレン症候群患者のスクリーニングに有用であると考えられた。冷水負荷後の皮膚温回復時間はシェーグレン症候群,膠原病患者いずれも15分程度とその遷延化が見られた。
講座
統計
  • 山城 一純
    2000 年 62 巻 5 号 p. 662-667
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    沖縄本島の南部に位置する宜野湾市の一皮膚科診療所における1993年1月から1995年12月に至る3年間の白癬患者統計,白癬菌培養成績について述べた。3年間における白癬患者の新患総数は1734名で外来新患者総数18671名に対する平均割合は9.3%であった。病型別分類では足白癬1206例(61.2%),体部白癬283例(14.4%),爪白癬267例(13.5%),陰股部白癬126例(6.4%),手白癬37例(1.9%),頭部白癬25例(1.3%),顔面白癬25例(1.3%)の順であった。全分離白癬菌株数は806株,その内訳はTrichophyton rubrum 420株(52.1%), Trichophyton mentagrophytes 278株(34.4%), Microsporum canis 74株(9.2%), Epidermophyton floccosum 17株(2.1%), Microsporum gypseum 13株(1.6%),その他Trichophyton violaceumが3株, Microsporum ferrugineum疑いが1株であった。Trichophyton rubrumTrichophyton mentagrophytesの比は全白癬で1.5,足白癬では0.8であった。調査を行った3年間の各月の平均気温,平均湿度と白癬患者の月別頻度とを比較してみると湿度の高い4月から7月の間に増加傾向を示した。
治療
  • 林 伸和, 福中 秀典, 湧川 基史, 中村 晃一郎, 玉置 邦彦
    2000 年 62 巻 5 号 p. 668-671
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎患者の頚部の色素沈着は,露出部であるが故に患者の苦痛も多いにも関わらず,これまで良い治療法がなかった。我々は,当科を受診した成人のアトピー性皮膚炎患者において,頚部のさざ波様色素沈着のある患者を選び,患者の同意の下,10%ハイドロキノン含有0.3%吉草酸酢酸プレドニゾロン軟膏を外用し,その有効性と副作用を調べた。結果は14例中10例(71%)の症例で有効であった。有効性は,患者の年齢や軟膏使用量,色素沈着の重症度などに関係なかったが,有効例では,アトピー性皮膚炎の罹患歴が短かった。有効な症例はアトピー性皮膚炎の罹患歴が20年未満の患者が主で,20年以上の罹患歴の長い患者では無効例が多かった。外用により特に副作用と考えられるものは認めなかった。10%ハイドロキノン含有0.3%吉草酸酢酸プレドニゾロン軟膏は,アトピー性皮膚炎患者の頚部の色素沈着に対する有効な一つの治療法であると考えられた。
  • 沖縄地区褥瘡治療研究会
    2000 年 62 巻 5 号 p. 672-678
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    褥瘡患者に対するアクトシン®(一般名:ブクラデシン)軟膏の長期(16週)観察下における有効性と安全性の検討を行った。1)登録症例は97例であった。その内,安全性評価対象例数は94例,有効性評価対象例数は75例であった。2)全般改善度の改善率(「改善以上」の割合)は70.6%,完全治癒率(「治癒」の割合)は38.6%であった。また,16週まで観察できた症例を対象とすると完全治癒率は53.7%であった。3)6週以降の本剤の有効性について検討した結果,褥瘡面積は6週以降も縮小していた。また,治癒症例は6週以降も増加しており,治癒症例の44.8%が6週以降に治癒した。一方,肉芽および表皮の改善は,ほとんどの症例が6週までに「極めて良好」以上に改善していた。4)全般改善度を背景因子別に層別解析した結果,投与開始時の褥瘡面積が大きい(1000mm2以上)群において「肉芽形成の状態」,「表皮形成の状態」が不良の患者で全般改善度が悪化しており,投与開始時の肉芽,表皮の状態が治療予後に影響していた。5)安全性評価対象例94例中,副作用の認められた症例はなかった。以上の結果より,アクトシン®軟膏は長期投与が必要な褥瘡患者に対しても有用性の高い薬剤であると考えられた。
  • 計盛 幸子, 山之内 寛嗣, 松下 泰三, 田中 正和, 阿南 貞雄, 堀 真, 片山 一朗, 山本 憲嗣
    2000 年 62 巻 5 号 p. 679-685
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    皮膚そう痒症におけるレミカット®カプセル(フマル酸エメダスチン)の止痒効果発現日ならびに有効性,安全性について「かゆみ日記」による調査を中心に検討した。レミカット®カプセルは,1日2~4mg,原則として4週間投与した。解析対象となった33例のうち,経時的な改善度は「改善」以上が3日後37.5%,1週後41.2%,2週後44.8%,4週後63.6%であった。最終全般改善度は「改善」以上が69.7%,概括安全度は「ほぼ安全である」以上が93.9%,有用度は「有用」以上が60.6%であった。また,調査終了時の患者の印象では「良くなった」以上が63.6%であった。効果発現日の検討を行った28例において「かゆみ日記」などで2段階以上の改善が認められた症例の割合は,投薬後5日以内で35.7%,10日以内で57.1%であり,平均7.0日であった。1段階以上の改善は89.3%の症例で5日以内に認められ,平均2.9日後であった。以上の結果から,レミカット®カプセルは皮膚そう痒症においても速効性が期待できる有用な薬剤であると考える。
  • 池谷 敏彦, 新田 悠紀子, 杉山 博子, 松浦 正人, 田中 伸, 佐藤 紘為, 矢野 克明
    2000 年 62 巻 5 号 p. 686-691
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    高齢者のそう痒性皮膚疾患におけるフマル酸エメダスチン(レミカット®カプセル)の安全性および有効性に対する調査を中央登録方式にて実施した。登録症例は60例で,このうち,有害事象集計症例は56例,解析対象症例は55例であった。解析対象症例における疾患群別の内訳は,湿疹·皮膚炎が45例,痒疹が4例,皮膚そう痒症が6例であり,疾患名別では皮脂欠乏性湿疹が27例と全体の約半数を占めた。最終全般改善度においては,湿疹·皮膚炎で71.1%(32/45),痒疹で75.0%(3/4),皮膚そう痒症で83.3%(5/6)が改善以上と判定された。概括安全度においては,安全と判定された症例が96.4%(53/55)であった。副作用は「眠気,ふらつき」が1例,「眠気」が1例の計2例に発現したが,いずれも重篤な症状ではなく,新規の副作用は認められなかった。有用度においては,有用以上の割合が72.7%(40/55)であった。以上の結果から,フマル酸エメダスチンは,高齢者のそう痒性皮膚疾患に対して有効かつ安全な薬剤であることが確認された。
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