西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
63 巻 , 5 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
図説
綜説
症例
  • 武居 公子, 川崎 恭子, 新垣 肇, 丸野 元美, 上里 博, 野中 薫雄
    2001 年 63 巻 5 号 p. 498-501
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    49歳,男性。主訴は右足背潰瘍。1999年夏頃より右足背にそう痒があり,掻破するうちに潰瘍を形成した。前医よりエキザルベ®軟膏が処方されたが難治のため当科紹介となった。入院時,右足背から趾背部皮膚に潰瘍とびらん,紅色丘疹を認めた。パッチテストでエキザルベ®軟膏,ヒルドイド®軟膏に1/1000希釈まで陽性を示した。成分パッチテストではエキザルベ®軟膏の成分である精製ラノリン,ヒルドイド®軟膏の成分であるラノリンアルコールに製剤濃度で陽性であった。ラノリン自体の感作性は高くないが障害を受けた皮膚では感作が成立しやすくなると考えられるので外用剤の選択には注意すべきと思われた。
  • 山村 真弘, 雄山 瑞栄, 清島 真理子
    2001 年 63 巻 5 号 p. 502-504
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    29歳の初産婦にみられたpruritic urticarial papules and plaques of pregnancy(PUPPP)の1例を報告した。妊娠37週より妊娠線条に沿ってそう痒を伴う紅斑が出現した。鼠径部,腋窩にも紅斑及び紅色小丘疹が多発し,四肢には白暈を伴う紅斑がみられるようになった。組織学的には真皮乳頭層の浮腫,真皮浅層~中層の毛細血管周囲のリンパ球浸潤がみられた。蛍光抗体直接法では,真皮血管壁にC3の沈着が認められた。PUPPPと診断し,抗ヒスタミン剤内服·注射とステロイド外用剤の外用を行ったが無効であった。分娩後,そう痒および皮疹は速やかに軽快した。本症例では,血管壁のC3沈着という所見より,PUPPPの発症にIII型アレルギーの関与が示唆された。
  • 内野 ゆり, 神田 彰, 児浦 純義(生)
    2001 年 63 巻 5 号 p. 505-508
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    53歳,女性。1999年3月中旬,発熱,再発性口内炎,咽頭痛,関節痛出現。顔面と手背,下肢に境界鮮明な暗赤色,有痛性,浮腫性紅斑を認める。病理では血管周囲性に好中球を主体とする密な細胞浸潤が認められた。末梢血好中球増多,CRP上昇。針反応陽性,フィブリノーゲン高値,シアル酸高値が認められるものの,診断基準よりSweet病と診断。 Behçet病の診断は臨床症状に頼っているところが大きいが,最近の文献では,針反応がBehçet病に特異性が高いとしてあるものが多い。針反応を重視すると,今回の症例は,症状が足りなく,診断基準を満足していないものの,Sweet病にBehçet病を合併している可能性もある。Sweet病をみた場合は針反応にも注目すべきである。
  • 林 士弘, 佐藤 惠実子, 幸田 太, 段 虹, 古江 増隆
    2001 年 63 巻 5 号 p. 509-513
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    13歳の女子。初診の8日前に微熱,関節痛,さらに腎部,四肢に紅斑,丘疹,紫斑が出現したため当科を受診した。血液検査にてHBsAg(+), HBeAg(+), HBeAb(-), IgM-HBc抗体(+)であり,HBV DNAが検出された。皮疹部の免疫組織化学的検査で血管壁にC1qとC3の沈着が認められた。以上より急性B型肝炎前駆期に生じた血清病様症候群と診断した。皮疹が軽快するとともにAST,ALTの上昇がみられたが,強力ミノファーゲン®Cの点滴静注にて30日後に回復した。
  • 鈴木 やよい, 森田 明理, 新谷 洋一, 辻 卓夫, 木村 滋, 稲垣 亜紀
    2001 年 63 巻 5 号 p. 514-516
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    61歳,女性。2年前から喘息で加療中。1999年11月,肺炎を合併して入院治療をうけた。翌年7月には四肢末端にしびれ感·疼痛が出現し歩行困難となった。四肢には紫斑,腹部には血疱が出現し,同時に好酸球数の上昇がみられた。病理組織所見で血管炎と肉芽腫が認められたので,臨床所見と合わせChurg-Strauss症候群と診断した。プレドニゾロン30mg/日の内服で3週間後には皮疹は消退し,好酸球数は減少した。本症例は腹部に血疱が多発し,皮疹の発症部位が比較的まれと考えられた。
  • 村田 薫, 籏持 淳, 松島 弘典, 新海 浤, 太和田 暁之
    2001 年 63 巻 5 号 p. 517-519
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    症例は78歳の男性。1999年5月頃より陰萎,両手,両足のしびれが出現。その後,両足背の浮腫,顔面,両前腕に色素沈着,下肢脱力感が出現し,当院神経内科へ入院となった。精査により多発神経炎,内分泌異常,Mタンパク血症,皮膚症状があり, Crow-Fukase症候群と診断された。皮膚症状として,色素沈着,浮腫,血管腫を認めた。右第II指の紅色丘疹の病理組織は,capillary hemangiomaの像を呈していた。血中のIL-6と血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)の増加が認められた。メルファラン及びプレドニゾロンの併用内服投与による治療開始後,両足背の浮腫と筋力,感覚障害などの神経学的所見は改善傾向を示し,初診時に高値を示していたVEGF値の低下がみられた。
  • 文森 健明, 高橋 よしえ, 安元 慎一郎, 橋本 隆
    2001 年 63 巻 5 号 p. 520-521
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    42歳の女性。6ヵ月前より臍部に結節を生じ,月経時の出血と疼痛を認めるようになった。初診時,径20mm×高さ5mmの表面平滑の暗赤色のドーム状の結節を認めた。組織学的には真皮下層に子宮内膜円柱上皮細胞よりなる腺腔構造が認められ,臍部子宮内膜症と診断した。子宮,骨盤内に他病変は認めなかった。GnRHアゴニスト製剤による保存的治療を行い出血,疼痛の消失と結節の若干の縮小をみている。
  • 池田 勇, 小野 友道
    2001 年 63 巻 5 号 p. 522-524
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    肝細胞癌で加療中の79歳男性患者の右示指先端に水疱形成を伴う硬い腫瘤が生じ,生検により転移性皮膚癌であることが判明した。本転移癌に対して使い捨てカイロを利用した局所温熱療法を試みた。腫瘍は治療に反応して縮小し,約2ヵ月の経過で消失した。内臓悪性腫瘍の指尖部への転移は稀であるが,温熱療法の良い適応となる可能性がある。使い捨てカイロの局所加温効果にっいてサーモグラフィを用いて検討した。
  • 磯部 環貴, 加藤 雪彦, 伊藤 友章, 大井 綱郎, 古賀 道之
    2001 年 63 巻 5 号 p. 525-528
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    右大腿部に生じた平滑筋肉腫の1例を報告した。症例は,67歳の女性。右大腿部の結節を全摘され,6年後に同部に再発した。病理組織所見は真皮内に境界明瞭な腫瘍塊を認め,腫瘍細胞は抗α-smooth muscle actin抗体陽性,鍍銀染色にて箱入り像があり,一部に核の大小不同,異型性を認め平滑筋肉腫と診断した。HE染色において腫瘍が真皮内に存在すること,血管成分に乏しく,血管系を示唆する管腔構造を示さないことより,皮膚型の平滑筋肉腫と考えた。なお6年前の切除標本は,今回のものと同様の病理組織像であった。平滑筋肉腫は比較的稀な疾患であり,本邦では60例の報告がある。再発までの期間は平均11.6ヵ月だが,本症例では6年と比較的長い経過をとっている。文献的考察を加え報告した。
  • 望月 良子, 平島 徳幸, 小寺 華子, 井上 卓也, 三砂 範幸, 成澤 寛
    2001 年 63 巻 5 号 p. 529-533
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    初診1982年,当時62歳の女性。左大腿の黒色斑に対し,悪性黒色腫(SSM, pT3N0M0, stage IIの診断を受けた。原発巣切除から10年後の1992年,左鼠径リンパ節転移を切除。その後出現した皮膚転移は合計12ヵ所で,全て左大腿に限局し,その都度切除していった。1997年,急激に出現した36個の皮膚転移を硬麻下に切除。しかし,術後のDAV療法中にも,左大腿部にさらに4ヵ所の新生をみとめたため,IFN-β300万単位の投与を開始した。IFN-βの局注を連日行ったところ,10日目には4ヵ所とも消失した。以来,定期的にIFN-βの局注を継続し,新たな皮膚転移はみとめていない。初診から18年経過したが,度重なる左大腿部に限局した再発転移にもかかわらず,明らかな遠隔転移はみとめず,全身状態は良好である。
  • 近澤 真紀, 池田 光徳, 小玉 肇
    2001 年 63 巻 5 号 p. 534-538
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    35歳の女性。発熱,倦怠感および関節痛に続き,大豆大までの浸潤を触れる小型の紅斑が体幹を中心に散在性に多発し,紫斑も混在していた。両頬部には淡いびまん性紅斑を認めた。抗核抗体は陰性であったが,白血球減少,リンパ球減少,血小板減少および補体低下を認めた。病理組織および免疫組織化学所見では,SLEの所見は認められなかった。血中に異型リンパ球が出現し,抗HPV B19 IgM抗体が陽性であった。HPV B19感染症と診断し,対症治療のみを行ったところ,全ての異常所見は3週間後には消失した。既往歴で,発熱,関節痛,白血球減少,補体低下,抗核抗体陽性などの所見を伴う多形滲出性紅斑の出現が数回みられており,今回も,抗核抗体は陰性であったが,同様の異常所見を認めた。HPV B19感染が自己免疫疾患様の症状を示すことが注目されているが,自験例はHPV B19感染その他の誘因に対して,一過性にSLE様の応答を示す素因を有すると考えた。
  • 中原 剛士, 寺尾 浩, 古賀 哲也, 古江 増隆, 名和 行文, 占部 篤道
    2001 年 63 巻 5 号 p. 539-541
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    50歳の男性。2000年4月中旬に右側腹部にそう痒,浸潤を伴う紅斑が出現,放置していた。その上方に新しい紅斑が出現したため,2000年5月31日当科にて紅斑の一部を生検。病理組織像において虫体の一部を認め,マンソン孤虫症が疑われた。2000年7月上旬,前回生検部の下方に皮下硬結が出現。切除したところ,内部に頭部を含む虫体を認め,マンソン孤虫症と診断した。また,患者血清を用いたELISA法にてマンソン裂頭条虫幼虫抗原に対する抗体の有無を検索したところ陽性を示した。
  • 戸崎 裕子, 藤広 満智子, 望月 隆
    2001 年 63 巻 5 号 p. 542-545
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    26歳の女性。初診の約2ヵ月前より左手を初発に右手,顔面へと拡大してきたそう痒を伴う落屑性紅斑を主訴に受診した。初診時のKOH鏡検にて手&mddot;顔面両方の鱗屑より白癬菌を証明し,培養形態の肉眼所見やスライドカルチャーにてTrichophyton(以下T.)mentagrophytesと同定された。さらにPCR-RFLP(restriction fragment length polymorphisms)法1)を用いて分子生物学的に検討した結果,分子型はArthroderma(以下A.)benhamiaeであり交配試験にてA. benhamiae Americano-European race(-)株と判明した。イトラコナゾール内服(100mg/day)とケトコナゾール外用にて4週間で治癒した。
研究
  • 宮本 由香里, 原 典昭, 大塚 俊, 山蔭 明生, 山崎 雙次, 藤沢 崇行
    2001 年 63 巻 5 号 p. 546-550
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    当科における全身性強皮症(SSc)患者のうち難治性皮膚潰瘍·壊死のため指趾切断術を施行した6例,17病変を臨床的·組織学的に検討した。指趾の壊死発症時期は1病変を除きすべて9月から1月の初秋から冬季の間であった。切断部位は右第2足趾が最も多かった。潰瘍·壊死により指趾切断術を施行したSSc群は指尖部潰瘍·壊死のないSSc群と比較し,臨床所見ではpitting scarが多くみられ,免疫学的所見では抗Topoisolnerase I抗体,抗SS-A抗体が有意に陽性率が高かった。組織学的には潰瘍·壊死により指趾切断術を施行したSSc群は結合織の高度の硬化性病変,血管壁の肥厚,内腔狭小化が認められ,また,血管内皮および血管壁はUEA-I lectin酵素抗体法で全例で陰性であった。以上より指趾尖部に重度の潰瘍を生じたSSc患者では血管障害が高度であり,切断部皮膚の病理組織学的所見は血管内皮細胞が著しく障害されていることが示唆された。
講座
治療
  • 寺師 浩人, 駒田 信二, 野柳 俊明
    2001 年 63 巻 5 号 p. 557-560
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    人工真皮による皮膚欠損創に対する治療方法はすでにほぼ確立されているが,骨の露出を伴う重度皮膚欠損の場合には,その使用方法に工夫が必要である。最近,骨面露出創に対して,人工真皮を小細片化したりドレナージ孔を作成することにより植皮のための良好な母床を作成する方法や,骨をdecorticationし人工真皮を貼付するなどの工夫がなされている。しかし,関節の露出や骨壊死を伴う皮膚欠損に対して,人工真皮を使用した報告例は見当たらない。今回,我々は,骨壊死を伴った足趾熱傷2症例3部位(1部位は関節面露出)に対して,壊死骨を充分にデブリードメンし人工真皮を貼付することで,関節の橋渡しにも利用でき良好な結果を得ることができた。これらの症例を詳細に報告し,人工真皮の新たな有用性を強調した。
  • 神谷 秀喜, 加納 宏行, 市橋 直樹, 市来 善郎, 高木 肇, 北島 康雄
    2001 年 63 巻 5 号 p. 561-568
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    1996年から4年間に,進行期(stage IIIb以上)の悪性黒色腫8例を対象にDAC-Tam療法を行った。本治療により本当に延命効果が得られたのか,また適応を選んで幾つかの条件を付けて本治療を行えば効果が得られるのか,自験例から反省を含めて検討した。8例中特徴的な5例の経過を供覧すると共に,私見としてDAC-Tam療法が対象となる症例,およびそれを行ううえでの条件を提示してみた。(1) 転移病巣は可能な限り切除する。(2) in-transit metastasisも,これを切除のうえで本治療を行えば効果がみられる。(3) 過去の薬剤投与からの期間によっても効果に差がでる。DAC-Tamを転移病巣をターゲットとした化学療法として位置付けていくうえでも,また高いレベルのPR以上の効果を得るうえでも,今一度適応の条件を決めていくべきであると考える。
  • 片桐 美之, 三橋 善比古, 近藤 慈夫
    2001 年 63 巻 5 号 p. 569-572
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎(AD)の治療は,これまで主として副腎皮質ステロイドホルモン(ステロイド)軟膏の外用が行われてきた。しかし,近年免疫抑制剤であるタクロリムス(プロトピック®)軟膏が,主として顔面のADの治療に効果をあげている。 ADに対するタクロリムス軟膏の効果は,主にマウスなどの実験動物によって証明されており,ヒトに対する効果は臨床所見によって確認されているが,組織学的検討はされていない。われわれは,重症AD患者の両前腕に,それぞれタクロリムス軟膏とステロイド軟膏の外用を行い,治療前後の皮膚を採取して,臨床所見およびHE染色,肥満細胞phenotypeなどを含めた組織学的検討を加えた。その結果,1週間の外用によって,臨床的にタクロリムス軟膏は,マイザー®軟膏と10%サリチル酸ワセリン等量混合軟膏とほぼ同様の改善を示したが,皮膚肥厚の改善はタクロリムス軟膏でやや遷延した。組織学的には,HE染色において,炎症細胞の消退の程度はほぼ同様であったが,タクロリムス軟膏の方がステロイド軟膏に比べて,表皮肥厚,乳頭腫症が改善してはいたがまだ残されていた。肥満細胞数は,治療前に比べてタクロリムス軟膏とステロイド軟膏とも著減し,特に粘膜型の減少を認めたが,両者間に差は見られなかった。タクロリムス軟膏は,今回使用したステロイド軟膏と同程度の抗炎症作用を持っていることが,組織学的にも確認された。
世界の皮膚科学者
feedback
Top