41歳,男性。33歳より某医にて尋常性乾癬と診断され,加療されていた。その後,軽快と増悪を繰り返し,1997年8月より皮疹の増悪時に39℃台の発熱と倦怠感,関節痛などの全身症状を認めるようになった。同年12月当科紹介受診。初診時,全身に鱗屑を伴う紅斑が認められ,Vit.D
3剤外用,ステロイド剤外用,紫外線療法,エトレチナートまたはシクロスポリンA内服にて治療するも,発熱と膿疱の出没を繰り返すようになった。咽頭培養で黄色ブドウ球菌が陽性,また扁桃誘発試験で陽性であったため,1999年4月,扁桃摘出術を施行し,直後に発熱を伴う皮疹の一時的な増悪を認めたが,術後約3週間には消退傾向を示した。その後,中等度の軽快増悪を繰り返していたが,術後一年半後に膿疱の出現は認められなくなった。自験例では扁桃摘出の前後で血中サイトカインを測定し,皮疹の増悪とともにIL-6,IL-8, IFN-
γの一過性の上昇を認めた。これは扁桃摘出時の刺激によってT細胞が活性化され,一過性にこれらのサイトカインの上昇をきたしたと推測され,その結果皮疹の増悪や発熱をみたものと考えられた。
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