42歳, 男性。初診の約10日前に右前腕に丘疹が出現し, 約5日程度で急速に全身に拡大したため, 2002年9月6日, 当科を受診した。黄紅色調の丘疹が肘頭, 膝蓋部を中心に, ほぼ全身に散在していた。なお, 25歳頃発症の統合失調症にて他院精神科に通院加療していた。臨床検査では, 血清トリグリセリド 12080 mg/dl, 総コレステロール 1080 mg/dl, カイロミクロン (++), LDL 1900 mg/dl, VLDL 3500 mg/dl, グルコース 420 mg/dl, HbA
1C 16.5%, 尿糖 (+++)。病理組織学的所見では, 真皮上層から中層にかけて, 泡沫細胞の浸潤および軽度の血管周囲性組織球浸潤が認められた。以上の所見より, V型高脂血症および糖尿病に伴う発疹性黄色腫と診断した。食事療法, ベザフィブラート 400 mg/day内服, インスリンを導入し, 約7カ月後に丘疹はほぼ消退した。自験例が著明なV型高脂血症を伴った理由として, 抗精神病薬の影響に加え, 統合失調症に伴う生活習慣の異常を考えた。
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