西日本皮膚科
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66 巻, 3 号
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症例
  • 宇宿 一成
    2004 年 66 巻 3 号 p. 217-219
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/10/21
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    10歳, 男児。胸に飛んできたカメムシを潰し体液が付着。30分後には疼痛を伴う紅斑を生じた。患者の持参した虫体からミナミアオカメムシと同定。カメムシ皮膚炎と考えた。患者がパッチテストを拒否したため, 患者の持参した虫を細切して健常人8人にパッチテストを行った。1名が48, 72時間後ともに (+) の反応を示した。この被験者はかつて腕にカメムシが這った跡に線状の紅斑を生じたことがあるということだった。この被験者ではアレルギー性の反応を生じたと考えた。その後, 筆者は同種の虫を採取し, 生きたまま左前腕部に圧抵したところ紅斑を生じた。一次刺激性接触皮膚炎と考えた。通常カメムシによる皮膚炎では一次刺激性のものが多いが, アレルギー性接触皮膚炎も生じうるものと考えた。
  • 西郷 しおり, 師井 洋一, 田代 あかり, 柴田 智子, 竹下 弘道, 占部 和敬, 古賀 哲也, 古江 増隆, 柳原 憲一
    2004 年 66 巻 3 号 p. 220-225
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/10/21
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    2例の悪性腫瘍を伴った皮膚筋炎患者を報告する。症例1は66歳女性。四肢, 体幹のそう痒を伴う紅斑を主訴に当科受診。臨床症状より筋症状を伴わない皮膚筋炎を疑い当科入院となった。全身精査を行ったところ, 肺癌がみつかった。当院第二外科にて切除術を行い, 皮疹は若干軽快した。症例2は67歳男性。主訴は四肢近位筋筋力低下, 顔面, 前腕, 手背紅斑。皮膚筋炎と診断し, 全身検査の結果, 肺癌および間質性肺炎がみつかった。肺癌は手術適応がなく, 化学療法を行った。腫瘍は一部で増大が認められたものの紅斑はプレドニン内服で軽快した。以上2症例について検討した。
  • 前島 英樹, 嶋村 祐美, 齊藤 和美, 原田 晴美, 衛藤 光, 蝶名林 直彦, 番場 圭介
    2004 年 66 巻 3 号 p. 226-231
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/10/21
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    急速進行性間質性肺炎を伴った皮膚筋炎の2例を報告した。症例1は53歳, 男。メチルプレドニゾロンおよびシクロホスファミドのパルス療法を試みたが, 間質性肺炎が進行したため, ガンマグロブリン (25g/日, 5日間) の大量静注療法を行ったが, 効果がなく呼吸不全のため死亡した。症例2は56歳, 男。メチルプレドニゾロンのパルス療法やシクロホスファミド100mgの投与を行ったが, 間質性肺炎の改善はみられなかったため, ガンマグロブリン (25g/日, 5日間) の大量静注療法とシクロスポリンの静注 (100mg/日) に加え, 血漿交換を施行したが, 効果なく死亡した。急速進行性間質性肺炎の治療に若干の考察を加え報告する。
  • 金子 栄, 間所 直樹, 中野 喜久雄, 村上 京香, 藤本 淳也, 谷山 清己
    2004 年 66 巻 3 号 p. 232-235
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/10/21
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    68歳男性の嚥下障害の強かった皮膚筋炎の1剖検例を報告した。水分摂取困難を自覚し, その後ヘリオトロープ紅斑, ゴットロン徴候がみられた。全身倦怠感, 四肢脱力感が強いため, 発症後, 約2週間で救急外来より入院。CKが4816IU/lと著明高値であり, 皮膚筋炎と診断し, プレドニゾロン 50mg/day点滴より治療開始した。筋炎症状は落ち着いたが難治な嚥下障害のため, 低栄養状態となり, さらに誤嚥性肺炎を生じた。入院後2カ月目に急速進行性間質性肺炎を合併し, ステロイドパルス, シクロスポリン内服を行うも奏効せず, 永眠された。剖検では, 両肺にdiffuse alveolar damageの像がみられたが, 悪性腫瘍の合併はなかった。経過中, 血清KL-6値は常に正常範囲内であった。皮膚筋炎において嚥下障害は, 内臓悪性腫瘍の合併, 間質性肺炎の合併と並び, 予後不良の因子であり, 積極的な治療を要すると考えられた。
  • 石田 敏子, 横山 恵美, 武藤 正彦, 内平 孝雄, 上村 俊介, 亀井 敏昭, 駒井 礼子, 橋本 隆
    2004 年 66 巻 3 号 p. 236-240
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/10/21
    ジャーナル 認証あり
    62歳, 女性。口腔内の広範囲な糜爛および体幹, 四肢の多形滲出性紅斑様の皮疹を主訴に受診。ラット膀胱切片を用いた蛍光抗体間接法, 免疫ブロット法, 免疫沈降法の結果からparaneoplastic pemphigusと診断した。発症1カ月後に原因不明の労作時呼吸困難が出現。その後の経過でPaO2の著明な低下を認め, 閉塞性細気管支炎様症状と考えた。ステロイド内服治療にて皮膚症状は改善したが, 粘膜症状は不変であった。呼吸障害にはステロイドパルス療法, シクロスポリン内服, 血漿交換療法を試みたが, 徐々に進行。CO2ナルコーシスとなり, 発症8カ月後に死亡した。剖検にても腫瘍性病変は検出できなかった。
  • 新垣 肇, 上里 博, 平良 清人, 具志 真希子, 武居 公子, 浜田 裕子, 野中 薫雄, 橋本 隆
    2004 年 66 巻 3 号 p. 241-245
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/10/21
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    症例は52歳女性。当院受診1カ月前より四肢にそう痒を伴う環状の紅斑が出現した。近医で生検を受け, 水疱性類天疱瘡と診断された。プレドニゾロン 20mg/日処方されたが皮疹の改善を認めず全身に拡大したため当院を紹介された。入院時ステロイド内服療法に加えて, パルス療法を行ったが効果を認めなかったため, シクロスポリン 325mg/日の追加投与で水疱の新生は若干抑制された。入院中の内臓悪性腫瘍精査により乳癌が発見された。乳癌手術前にシクロスポリンの投与を中止し, 術後ステロイドの減量を行った。乳癌手術1カ月後にステロイドも中止となったが, 水疱の新生は全くみられなかった。約4年経過した現在, 無治療にもかかわらず皮疹の再燃はなく, 自験例では水疱性類天疱瘡の発生機序に悪性腫瘍が関連しているのではないかと考えた。
  • 芦田 美輪, 片山 一朗, 加茂 徹
    2004 年 66 巻 3 号 p. 246-250
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/10/21
    ジャーナル 認証あり
    81歳, 男性。1999年10月20日頃, 左肩を盗人グモ (俗名) に刺され, 同部位にかゆみを伴う紅斑が出現し徐々に拡大した。入院時, 四肢, 体幹に, 萎縮性の紅斑を伴う米粒大の淡紅色丘疹, 小結節が多発, 集簇していた。病理組織像にてムチン沈着を伴う変性した類上皮肉芽腫を認め, 汎発性環状肉芽腫と診断した。PUVA bath療法を開始したが, 徐々に悪化し発熱を伴う紅皮症状態となり, 貧血, 低蛋白血症が進行した。ペニシリンの全身投与で効果なく, ミノサイクリンに変更したところ, 皮疹, 発熱ともに消失した。
  • 加賀谷 真起子, 高橋 博之, 兼田 達夫, 後藤田 裕子, 村岡 俊二, 佐藤 利宏
    2004 年 66 巻 3 号 p. 251-254
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/10/21
    ジャーナル 認証あり
    Bowen病を前駆病変とする陰茎癌の2例を報告する。症例1は81歳, 男性。初診の半年前に気付いた包皮のカリフラワー状腫瘤を主訴に受診。生検にて, 扁平上皮癌 (squamous cell carcinoma ; SCC) と診断し陰茎部分切断術を施行した。症例2は71歳, 男性。包茎手術歴あり。初診の5年前より出現した亀頭部の小潰瘍を主訴に受診。生検にてSCCと診断したが, 本人の希望があり, 放射線療法等で加療するも再発し, 最終的に陰茎部分切除及び両リンパ節郭清術を施行した。全SCCのうち陰茎部における発生頻度は低いものの, 皮膚科受診にて発見される機会は決して稀とは言えず, 陰茎部の潰瘍性病変を診察した際は陰茎癌の可能性も念頭におくべきと思われた。
  • ―柔道部およびレスリング部における集団検診とその対策―
    小笠原 弓恵, 武藤 正彦, 出口 弘隆, 安野 秀敏, 小笠原 万里枝
    2004 年 66 巻 3 号 p. 255-260
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/10/21
    ジャーナル 認証あり
    中学・大学柔道部および高等学校レスリング部員に生じたTrichophyton (以下T.) tonsuransによる頭部白癬の4例を経験した。症例1 : 13歳, 男, 福岡県内中学校柔道部員。初診は2002年10月5日。症例2 : 17歳, 男, 山口県内高等学校レスリング部員。初診は2003年5月26日。症例3 : 13歳, 男, 福岡県内中学校柔道部員。初診は2003年6月23日。症例4 : 19歳, 男, 山口県内大学柔道部員。初診は2003年8月8日。4症例いずれも初診の1~3カ月前より頭部にそう痒を伴う落屑性脱毛斑を認め, 初診時には毛包炎を伴う浸潤性紅斑あるいは紅色結節を認めた。KOH直接鏡検にて, 毛内性大胞子菌性寄生を認め, 真菌培養でT. tonsuransを分離した。症例2および症例4の所属部内で, hairbrush法を用いた集団検診を行ったところ, それぞれ4/17人 (23.5%), 9/58 (15.5%) が陽性であった。本菌による頭部白癬は, 感染初期は自覚症状および臨床症状が軽微であることから診断が困難で, これらの症例が部内の感染源となっていると推察された。今後hairbrush法などを用いた簡易調査法による集団検診とその対策を確立させることが急務である。
  • 中村 徳志, 古城 八壽子, 中川 敬一
    2004 年 66 巻 3 号 p. 261-265
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/10/21
    ジャーナル 認証あり
    症例は83歳, 男性。2000年8月側溝のセメントで右下腿屈側に鶏卵大の擦過傷を受傷, 自己治療したが治らず皮膚潰瘍となった。近医にて外用療法を受けるも軽快せず, 4カ月後当科を受診した。初診時発熱および右下腿屈側に疼痛・堤防状の瘢痕を伴う皮膚潰瘍と蜂窩織炎を認めた。潰瘍部よりChromobacterium violaceum (以下C. violaceum) が検出されたため, ミノサイクリンの全身投与と局所の保存治療を行い治癒した。C. violaceum感染症の治療は, テトラサイクリン・クロラムフェニコール・アミノ配糖体などの抗菌剤の選択が必要であるが, 自験例はミノサイクリンが著効した。C. violaceumは熱帯・亜熱帯の水や土壌に存在するため, 本邦での感染はきわめて稀であり, 蜂窩織炎の報告は自験例が初めてである。海外旅行の増加, 地球の温暖化や輸入動物の増加に伴い本邦でも注意が必要な感染症と思われる。
  • ―著明な体重減少をきたした1例―
    二山 真美, 石原 秀治, 肥後 順子, 木藤 正人, 小野 友道
    2004 年 66 巻 3 号 p. 266-268
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/10/21
    ジャーナル 認証あり
    ニコランジルによると思われる口腔潰瘍の1例を報告する。87歳, 男性。狭心症に対し, ニコランジル (シグマート®) 20mg/日が投与され, 55カ月後, 激痛を伴う口腔潰瘍が出現し, 持続するようになった。疼痛による摂食困難のため, 13kgの体重減少をきたした。口腔潰瘍に対し, 種々の治療をうけるも難治であった。ニコランジルの中止により3日後には疼痛がほぼ消失し, 約1カ月後の再診時には口腔潰瘍は治癒していた。
  • 永井 寛, 白方 裕司, 緑川 和重, 村上 信司, 橋本 公二, 駒井 礼子, 橋本 隆, 成見 弘, 藤田 繁
    2004 年 66 巻 3 号 p. 269-273
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/10/21
    ジャーナル 認証あり
    40歳, 男性。1999年7月 (38歳時), 発熱, リンパ節腫脹が出現, 骨髄異形成症候群と診断され, 同年8月同種末梢血幹細胞移植を受けた。移植3週間後より発熱, 肝酵素の上昇, 貧血, 紅斑等が出現, graft versus host disease (GVHD) と診断され, プレドニゾロン 50mg/day, シクロスポリン 300mg/dayの投与にて治療を受けていた。2000年12月, 大腿骨骨頭壊死を併発し, 手術に備えて12月21日よりシクロスポリンを中止し, プレドニゾロンを減量したところ, 2001年1月初めより体幹に紅斑・皮膚剥脱・ニコルスキー現象を認めるようになり, さらに全身に緊満性水疱が出現した。水疱部の組織所見では, 表皮下水疱を認め, 真皮内では密なリンパ球を中心とした細胞浸潤を認めた。免疫蛍光直接法では表皮真皮境界部にIgGとC3の線状沈着が認められ, 免疫蛍光間接法ではIgGクラスの抗基底膜部抗体が160倍まで陽性であった。以上の所見より, 慢性GVHDに合併した水疱性類天疱瘡と診断した。プレドニゾロンの増量・シクロスポリン投与では水疱の新生は抑えられず, ミノサイクリン・ニコチン酸アミドの追加投与にて水疱の新生は認めなくなった。プレドニゾロンを漸減し30mg/dayになった時点で敗血症を合併し, 2001年5月13日永眠された。
治療
  • 長谷 哲男, 岡澤 ひろみ, 猪又 直子, 佐藤 かすみ, 和田 秀文, 宮沢 めぐみ, 水野 尚, 馬場 直子, 池澤 善郎, 石川 照子 ...
    2004 年 66 巻 3 号 p. 274-279
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/10/21
    ジャーナル 認証あり
    菌状息肉症 (mycosis fungoides : MF) 早期病変の治療法は, PUVA療法, 外用ステロイド療法, 外用化学療法, interferon (IFN) 療法などであるが, いずれも単独療法では治癒に導くことは難しい。そのため, 新しい治療薬の開発や従来の治療法を用いた様々な併用療法が試みられている。そこで, 今回PUVA+IFN-γ併用療法の効果を検討した。対象はMF扁平浸潤期の10名で, 内訳は男4名, 女6名, 平均年齢56.8歳 (40~82歳) であった。寛解導入療法は週300万IUのIFN-γと週3回のPUVA療法, 維持療法は週100万IUのIFN-γと週1回のPUVA療法で行った。6名が著効 (complete response : CR), 4名が有効 (partial response : PR) でCR6名中3名に再発が認められた。発熱2名, 全身倦怠感1名, 白血球減少5名, 貧血2名, 肝機能障害2名, 筋肉痛1名の副作用が認められた。また, 軽度の倦怠感, 熱感は全ての患者に認められた。PUVA+IFN-γ併用療法は早期MFに有用であった。
  • 荒瀬 誠治, 山口 琢児, 川上 善治, 松浦 大輔, 田中 実希, 竹田 秀一, 油田 正樹, 渡辺 晋一
    2004 年 66 巻 3 号 p. 280-282
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/10/21
    ジャーナル 認証あり
    4種類の生薬抽出液 (生姜, 人参, 当薬, 牡丹皮) を配合した生薬配合外用剤の男性型脱毛症に対する有用性を検討した。男性型脱毛症と診断された47例を対象とし, 生薬配合外用剤の使用期間は6カ月, 1日1回適量 (約2mL) を患部に塗布した。有用性評価のために, 使用前, 6カ月後に, 前頭部と頭頂部の2カ所の同一部位を毛刈りし, フォトトリコグラム法にて毛髪の本数, 伸長速度, 休止期毛率, 毛髪径および軟毛率の5項目について測定した。被検者の各項目の変化を解析した結果, 生薬配合外用剤使用6カ月後には5項目すべてが有意に改善された。また, スコア化により5つの項目を総合的に評価した結果, 87.2%の被検者に改善効果が認められた。以上のことから, 生薬配合外用剤は, 休止期にある毛包を早く成長期に移行させ, 伸長速度を速め, 毛髪を太くする作用を持つことが確認された。
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