MRSA伝染性膿痂疹の治療指針を作製するため,2003年7月~2004年2月に当科を受診した生後9ヵ月~11歳の伝染性膿痂疹25例について滲出液の細菌培養及び感受性検査を行い,CFDN 10mg/kg/日及びMINO 3mg/kg/日の内服の有効性を比較検討した。25例中12例よりMRSA単独,12例よりMSSA,1例よりMRSAと
β連鎖球菌が検出された。CEZ,CTM,CFDN,FMOX,IPMの感受性率はMRSAで0%であったがMSSAでは91.6~100%だった。MRSA及びMSSAともMINO,VCM,STでは感受性率は100%であったが,PCG,ABPC,GMでは20%以下だった。MRSA膿痂疹に対してCFDNは4例中2例に有効で,無効2例はMINOの内服で略治した。また,8例にMINOを投与したところ7例で効果が認められた。一方,MSSA膿痂疹ではCFDNは6例中5例,MINOは6例中5例に有効であった。MINOを内服した16症例中2例に悪心及び下痢がみられた。伝染性膿痂疹に対してはMSSA感染を想定してCFDNの内服を第1選択とし,症状の改善がみられない場合は,MRSA膿痂疹の可能性を考慮しMINOの内服が第2選択と考えられた。
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