西日本皮膚科
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68 巻 , 3 号
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図説
綜説
症例
  • 志賀 建夫, 横川 真紀, 緒方 巧二, 千々和 龍美, 川村 昌史, 中村 寿宏
    2006 年 68 巻 3 号 p. 244-247
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/31
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    34歳,男性。右前胸から背部,右上腕にかけての刺青の施行から3年後に,感冒様症状が先行して刺青の朱色部に限局した発赤と腫脹が出現した。リンパ節腫脹,発熱,咽頭痛といった全身症状も伴った。発赤部からの皮膚生検では,真皮の刺青色素周囲に著明な組織球の浸潤がみられた。パッチテストにて塩化第二水銀が陽性であり,刺青の朱色色素である辰砂(硫化水銀)に対するアレルギー反応によるものと考えた。プレドニゾロン30mg/日の内服およびプロピオン酸クロベタゾールの外用にて症状は速やかに消退し,プレドニゾロンの漸減,中止後も症状の再燃はみられていない。本症例は刺青施行後3年間の間に2度同様のエピソードを示しており,いずれの際にも感冒様症状の後に本症が発症していることから,発症には感染症が誘因になっていると考える。
  • 岡田 修子, 舛 貴志, 角田 孝彦, 奥山 隆平, 相場 節也
    2006 年 68 巻 3 号 p. 248-250
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/31
    ジャーナル 認証あり
    38歳,男性。右踵骨骨折の手術後,骨折部直上の皮膚に生じた潰瘍に対して,フィブラスト®スプレーを使用した。しかし,潰瘍周囲に鱗屑を伴う紅斑が出現し,肉芽形成も停滞した。パッチテストを行ったところ,フィブラスト®スプレーの溶解液に含まれる塩化ベンザルコニウムに陽性であった。塩化ベンザルコニウムによる接触皮膚炎は稀ではなく,フィブラスト®スプレーを使用する際に接触皮膚炎に注意する必要があると思われる。
  • 橋本 彰, 奥山 隆平, 長谷川 聡, 渡辺 洋, 藤村 卓, 木村 裕, 田上 八朗, 相場 節也
    2006 年 68 巻 3 号 p. 251-255
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/31
    ジャーナル 認証あり
    皮膚筋炎では日和見感染を合併することが多く,サイトメガロウイルスなどのウイルス,カンジタなどの真菌,さらにカリニなどの病原微生物が感染の原因となることが多い。私たちは,皮膚筋炎の治療の過程でサイトメガロウイルス感染症を合併した症例を2例経験した。症例1:67歳,女性。顔面,四肢,体幹に広がる紅斑と筋肉痛のため,2002年11月に当科を受診した。皮膚筋炎と診断され当初,副腎皮質ホルモンを用いて治療されたが,症状は容易に軽快しなかった。そのためシクロホスファミドを追加したが,2003年2月に肺炎が生じサイトメガロウイルスとアスペルギルスが検出された。ガンシクロビル,ガンマグロブリンを投与したが,全身症状が悪化し3月に永眠された。剖検で肺にサイトメガロウイルスの感染が認められた。症例2:72歳,女性。顔面,体幹に広がる紅斑と筋肉痛のため,2004年11月に当科を受診した。皮膚筋炎と診断され,治療のため副腎皮質ホルモンが投与された。皮疹と筋肉痛は順調に軽快し,プレドニゾロンは35mg/日まで減量されたが,突然発熱と肝機能障害が出現した。サイトメガロウイルス血症を呈したのでガンシクロビルが投与され,2週間後発熱と肝機能障害は軽快傾向を呈し順調に軽快している。いずれの症例も症状を注意深く診察し適切な検査と投薬を行うことが,皮膚筋炎での日和見感染に対応する上で重要であった。
  • 村瀬 由美, 黒田 潤, 室 慶直, 富田 靖
    2006 年 68 巻 3 号 p. 256-259
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/31
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    症例は52歳,男性。50歳時,間質性肺炎にて内科入院,ステロイド治療中カリニ肺炎を合併したが小康状態となり退院した。その1年後,皮膚硬化及び筋力低下が出現し,強皮症と診断した。呼吸器症状も悪化したため入院にて,3週間隔でシクロホスファミドパルス療法を6クール施行した。シクロスポリン,アザチオプリン,プレドニゾロンの内服を併用し,入院後約6ヵ月で動脈血液ガス所見,筋原性酵素値,SP-D値,%VC,自覚症状に改善が得られた。経過中,出血性膀胱炎,感染症などの副作用はなかった。今後,強皮症の間質性肺炎に対する治療法として,シクロホスファミドパルス療法は症例に応じて積極的に行うことのできる治療法と考えた。
  • 進藤 真久, 山元 修, 葉狩 良孝
    2006 年 68 巻 3 号 p. 260-262
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/31
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    8歳,女児。1ヵ月前より四肢に皮疹が出現し,近医皮膚科受診。内服外用治療を受けたが軽快せず,近医より当院へ紹介された。初診時,両下肢を中心に不整形,境界明瞭な茶褐色調の軽度扁平隆起した局面が多発し,粃糠様鱗屑を伴っていた。局面は,浸潤のわずかなものから板状に触知するものまで様々であった。病理組織学的に,真皮内から皮下脂肪織にかけて著しい好酸球の浸潤が認められ,flame figureを伴っていた。以上の所見よりeosinophilic cellulitisと診断し,ステロイド剤外用ならびに抗アレルギー剤の内服を開始したが皮疹は拡大したため,ステロイド内服に切り替え改善した。本疾患の小児発症例はまれであり,調べたかぎりでは本邦では3例目である。本邦報告例はいずれも下肢に発症していた。また,自験例を含む2例はアトピー性皮膚炎を合併していたが,因果関係は不明である。
  • 古賀 文二, 山口 隆広, 久保田 由美子, 中山 樹一郎, 清水 昭彦, 桐生 美麿
    2006 年 68 巻 3 号 p. 263-265
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/31
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    躯幹に生じた単発性グロムス腫瘍の2例を報告した。症例1は61歳男性の左肩甲骨下部に生じた紫赤色,有痛性の結節。症例2は64歳の男性の左肩関節部に生じた紫青色,有痛性の結節。いずれも局麻下に全摘した。病理組織学的に好酸性の細胞質と円形核を持つ類円形細胞の増殖よりなりグロムス腫瘍と診断した。さらに症例1を通常型,症例2を血管腫型と診断した。免疫組織化学的に症例1,2ともvimentin,α-smooth muscle actinに陽性であった。また,腫瘍内および腫瘍周囲にS-100蛋白陽性の神経線維束を認め,これが疼痛の原因と考えられた。
  • 田代 あかり, 今福 信一, 桐生 美麿, 中守 真理, 豊島 里志
    2006 年 68 巻 3 号 p. 266-268
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/31
    ジャーナル 認証あり
    症例は52歳,男性。初診の約1ヵ月前から四肢,躯幹に地図状紅斑が出現した。軽いそう痒を伴い,次第に頚部などに拡大してきたため近医を受診し,当院へ紹介受診となった。血液検査では,Treponema Pallidum(TP) latex immuno assay陽性,ガラス板法高値が認められた。右手背の浸潤性紅斑からの生検標本では,真皮全層にわたる大小の類上皮肉芽腫がみられ,少数のリンパ球とLanghans型巨細胞がみられたが,乾酪壊死は認められなかった。表皮は肥厚し,表皮真皮境界部がリンパ球の浸潤により不明瞭な部分もみられた。また血管周囲に形質細胞浸潤を認めた。組織でTPの存在は証明できなかったが,血清学的所見,病理組織像および治療経過より,第2期梅毒と診断した。
  • 久保田 由美子, 中山 樹一郎
    2006 年 68 巻 3 号 p. 269-273
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/31
    ジャーナル 認証あり
    62歳,女性。40年来,毎日5~10個の銀杏を摂取していた。2003年2月,肺腺癌にて化学療法を受け一時的に寛解したが,1年後,脳,骨転移が判明し,2004年3月よりゲフィチニブを内服開始した。2004年9月下旬,銀杏を拾い素手で銀杏の皮をむき洗ったところ,1週後に下肢のそう痒性紅斑,顔面の浮腫性紅斑を生じ,10月上旬当科初診。銀杏皮膚炎の診断でステロイドの内服と外用で軽快した。4日後,50個の銀杏摂取の数時間後,顔面浮腫,意識消失,感覚性失語を生じ緊急入院。脳炎,肺癌の脳転移は諸検査にて否定され,銀杏中毒が最も疑われた。ビタミンB6内服にて言語障害も徐々に改善した。銀杏外種皮によるオープンテストでは48時間後に陽性となり,紅斑は3週間持続した。銀杏中毒は,銀杏に含まれる4-O-methylpyridoxineがビタミンB6に構造が類似しているため,γ-アミノ酪酸GABAの生成を阻害し,主に小児で間代性けいれんをひきおこし,時に致命的である。自験例は銀杏皮膚炎の既往により早期の銀杏中毒の診断と治療が可能であった。
治療
  • 高橋 聡, 山崎 直也, 山本 明史, 吉野 公二, 並川 健二郎, 西澤 綾, 岩田 浩明, 中西 幸浩, 笹島 ゆう子, 照井 頌二
    2006 年 68 巻 3 号 p. 274-279
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/31
    ジャーナル 認証あり
    皮膚悪性黒色腫の治療にsentinel node biopsy(SNB)という概念が導入されて以来,その有用性について欧米で多くの報告がみられるようになった。わが国においては1997年頃より皮膚悪性黒色腫に対して,色素法によるSNBが多施設で行われ検討されるようになり,当院においても当初は色素法単独で,主に鼠径リンパ節を所属リンパ節とする症例を対象にSNBを始めた。2002年4月からは色素法に術前リンパシンチグラフィおよび術中ガンマプローブ法を併用し,sentinel nodeの同定率は95%という高い結果を得た。所属リンパ節別でみると鼠径リンパ節では97%,腋窩リンパ節では96%,頚部リンパ節では89%の同定率であり,色素法単独と比較して明らかに同定率の向上がみられた。正確なsentinel nodeの同定のためには,RI法の併用は不可欠と考えられ,今後多施設での色素法,RI法併用によるsentinel node navigation surgeryの確立が望まれる。
  • 谷口 彰治, 谷 守, 山中 隆嗣, 幸野 健, 佐野 栄紀, 谷垣 武彦, 庄司 昭伸
    2006 年 68 巻 3 号 p. 280-283
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/31
    ジャーナル 認証あり
    爪白癬はありふれた疾患であるが,美容的な問題を有し,爪白癬患者の生活に悪影響を与える。今回われわれは,イトラコナゾール400mgパルス療法における患者QOL調査の集計を報告した。調査票は,我が国でも皮膚科領域で頻用されつつあるSkindex 29の日本語版を使用した。その結果,足爪白癬の存在が,QOLの低下を招き,社会生活機能に悪影響を及ぼしていることが示唆され,400mgパルス療法は有用な治療法であることが示された。
  • 高橋 英俊, 飯塚 一
    2006 年 68 巻 3 号 p. 284-287
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/31
    ジャーナル 認証あり
    ベシル酸ベポタスチンは鎮静効果が比較的弱く,即効性のある薬剤として各種そう痒性皮膚疾患に使用されている。今回,91例のそう痒性皮膚疾患に対してベシル酸ベポタスチンを投与し,その前後でVASスケールを用いてそう痒および眠気の推移について検討した。そう痒に関して投与前の平均VASスコアは60.6から投与1週間後では24.9と有意にスコアの低下がみられ,その効果は8週間投与観察期間中持続した。一方,眠気についてはベシル酸ベポタスチン内服後VASスコアの有意な上昇はみられなかった。また,投与前そう痒が強く,睡眠が障害され,投与前の眠気VASスコアが上昇していた症例では,ベシル酸ベポタスチン投与によるそう痒の改善から有意に眠気のVASスコアの改善がみられた。以上の結果からベシル酸ベポタスチンはそう痒性皮膚疾患に対するそう痒抑制効果が強く,眠気の副作用が少ない有用な薬剤であることが明らかとなった。
  • 武田 克之, 横田 朋宏, 池本 毅, 柿島 博, 松尾 透
    2006 年 68 巻 3 号 p. 288-292
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/31
    ジャーナル 認証あり
    マグノリグナン®(5,5'-ジプロピル-ビフェニル-2,2'-ジオールC18H22O2,MW=270.3)を0.5%配合した製剤の紫外線による皮膚の色素沈着に対する抑制効果を評価する目的で,健常人43名を対象にプラセボ製剤との比較連用試験(3週間)を実施した。本試験は,各被験者が上腕内側の色素沈着部位に0.5%マグノリグナン®配合製剤とプラセボ製剤を連用する二重盲検群間比較法により追究した。0.5%マグノリグナン®配合製剤外用部の皮膚所見はプラセボ外用部に比較して,有意に色素沈着が軽度であった。また,分光測色計による皮膚色測定では,0.5%マグノリグナン®配合製剤の外用部位はプラセボ外用部に比較して,3週間目のΔL値が有意に高値を示した。他方,本試験では色素脱失,皮膚刺激などの副作用は全くみられず,0.5%マグノリグナン®配合製剤の高い有用性が実証された。以上より,0.5%マグノリグナン®配合製剤は高い安全性と紫外線照射により生成されるヒト色素沈着に対する抑制効果が明らかであり,「メラニン生成を抑え,しみ・そばかすを防ぐ」効能が実証された。
  • 武田 克之, 荒瀬 誠治, 佐川 禎昭, 鹿田 祐子, 岡田 裕之, 渡辺 晋一, 横田 朋宏, 池本 毅, 柿島 博, 松尾 透
    2006 年 68 巻 3 号 p. 293-298
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/31
    ジャーナル 認証あり
    0.5%マグノリグナン®(5,5'ジプロピル-ビフェニル-2,2'-ジオール;C18H22O2,MW=270.37)配合製剤の長期外用による顔面の色素沈着に対する改善効果を評価する目的で,6ヵ月間の連用試験を実施した。顔面に肝斑など色素沈着症を有する女性患者51名を被験対象とし,顔面の色素沈着を中心に0.5%マグノリグナン®配合製剤を6ヵ月間外用した。0.5%マグノリグナン®配合製剤外用部では,使用開始1ヵ月目から肝斑などにおける色素沈着の強度および面積の有意な改善を確認した。なお,本試験では色素脱失,皮膚刺激などの副作用は全くみられず,0.5%マグノリグナン®配合製剤の高い安全性が実証された。また,自己申告によるアンケートでも,肌実感および製剤評価で総合的に極めて高い評価が得られた。以上,0.5%マグノリグナン®配合製剤は顔面の色素沈着症に対して高い有効性を有することが実証された。
  • 加藤 則人, 岸本 三郎
    2006 年 68 巻 3 号 p. 299-304
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/31
    ジャーナル 認証あり
    尋常性乾癬患者18例を対象として,マキサカルシトール25μg/g軟膏(オキサロール®軟膏)とタカルシトール20μg/g軟膏(ボンアルファ®ハイ軟膏)の有効性を検討するため,左右比較試験を実施した。マキサカルシトール25μg/g軟膏は平日1日1回・土日1日2回,タカルシトール20μg/g軟膏は全ての試験期間において1日1回,それぞれ左右対称部位に原則として8週間外用した。その結果,最終時の中等度改善以上の割合は,マキサカルシトール25μg/g軟膏群55.6%,タカルシトール20μg/g軟膏群33.3%であり,いずれの外用薬においても高い治療効果が得られた。また,全般改善度の左右優劣比較においては,マキサカルシトール25μg/g軟膏群優位の症例が33.3%,タカルシトール20μg/g軟膏群優位は11.1%であった。本試験の結果より,マキサカルシトール25μg/g軟膏の平日1日1回・土日1日2回外用療法は,乾癬治療において有効な治療法であることが示唆された。
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