西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
69 巻 , 5 号
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図説
綜説
症例
  • 倉橋 理絵子, 石川 正, 波多野 豊, 片桐 一元, 藤原 作平, 友 雅司, 岡部 英司
    2007 年 69 巻 5 号 p. 492-495
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2007/11/06
    ジャーナル 認証あり
    53歳,男性。2002年頃より足底にそう痒性皮疹が出現し,近医で足白癬と診断され,外用,太陽光療法にて加療を受けたが,軽快しなかった。2004年1月,当科において掌蹠膿疱症と診断し,精査を行ったところ,IgA腎症に加えて慢性扁桃炎,掌蹠膿疱症性骨関節炎が認められた。扁桃摘出により,皮疹ならびに骨関節炎の症状と骨シンチグラムでの放射性同位元素の集積像が軽快したが,蛋白尿は持続した。扁桃摘出は,皮疹や骨関節炎の疼痛が難治である症例において,有効な治療法であると考えられた。
  • 熊澤 智子, 永江 祥之介, 原 幸子, 上田 良輝
    2007 年 69 巻 5 号 p. 496-500
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2007/11/06
    ジャーナル 認証あり
    33歳の女性。入院の1週間前より,咽頭痛と高熱が続き,発熱4日目に皮疹を生じた。顔面と四肢を中心に,圧痛を伴い強い浸潤を触れる紅斑が多発し,中央に膿疱や水疱を伴っていた。血液検査では,好中球の増加とCRPの上昇,血沈の亢進を認めた。皮疹の病理組織像では,真皮全層にわたって,核塵を伴った好中球の稠密な浸潤を認め,Sweet病に合致する所見であった。プレドニゾロンの投与で,臨床症状は速やかに改善した。患者は,3年前にSjögren症候群の診断をうけており,その後7年にわたって,同様の発作を反復している。Sweet病を併発したSjögren症候群の報告例をまとめ,その特徴を考察した。
  • 井上 雄二, 尹 浩信, 行徳 貴志, 池田 勇
    2007 年 69 巻 5 号 p. 501-504
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2007/11/06
    ジャーナル 認証あり
    58歳,女性の慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia,CML)患者における,グリベック®による薬疹の症例を報告した。CML発症後1ヵ月でグリベック®投与(400mg/日)を受けたところ,6週間後に全身に紅斑を認めた。紅斑は,グリベック®減量(200mg/日),副腎皮質ホルモンの内服,外用にて消退したが,その後,掌蹠の紅斑,下肢の紫斑,爪白癬などを合併した。グリベック®に対する薬剤添加リンパ球刺激試験(DLST)およびパッチテストは陰性であったが,皮疹出現時に著明な好酸球増加を認めた。その他,グリベック®による薬疹と診断した4例も併せた報告した。
  • 久保田 由美子, 古賀 佳織, 中山 樹一郎
    2007 年 69 巻 5 号 p. 505-510
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2007/11/06
    ジャーナル 認証あり
    17歳の女性,看護学生。2005年4月頃,両下腿に暗紫色斑が,6月下旬,両足に点状出血が出現した。病理組織学的に真皮全層の血管内に血栓を認めるも好中球浸潤はなく,livedoid vasculopathy(LV)と考えた。抗核抗体80倍,MPO-ANCA(-),LAC(-),CLβ2GPI抗体(-)。その後両下腿~足の腫脹としびれ,紫斑の新生があり,病理組織学的には真皮全層の細小血管と皮下組織の小動脈に壊死性血管炎を認め皮膚アレルギー性血管炎(Ruiter)と皮膚型結節性多発動脈炎(PNC)の合併と診断した。ステロイド全身投与で紫斑は消退したが減量にて皮下結節の新生が認められた。生検では典型的なPNCの像であった。ステロイドの増量にて約2ヵ月後に皮疹の新生はなくなった。本症例はLV,Ruiter,PNCの特徴をすべて持ち,多彩な経過をとったが,全身症状はなく,両足のしびれ,livedo様皮疹,皮下組織の小動脈の壊死性血管炎を有意にとり,PNCと診断した。今後全身性の血管炎に移行する可能性もあるため十分な経過観察が必要である。
  • 栗原 貴子, 本多 芳英
    2007 年 69 巻 5 号 p. 511-514
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2007/11/06
    ジャーナル 認証あり
    73歳,女性。約20年前,左頬部に黒褐色斑が出現した。近医で中央の黒色斑部のみにルビーレーザーを照射したところ,一部がびらんとなったため,当科を受診した。上皮化後の臨床所見は,比較的境界明瞭な28×10mmの不整形,濃淡のある黒褐色斑で,レーザーを照射した中央部は,黒色斑と脱色素斑が混在していた。臨床所見および病理組織像からlentigo malignaと診断。治療は,全摘術施行後,インターフェロンβ局注を行った。現在,術後27ヵ月経過したが,再発はない。レーザー照射部の病理組織像では,異型メラノサイトの胞巣は極めて少なかったが,個別性異型メラノサイトは多数認められた。Lentigo malignaに対するルビーレーザー照射は,根治的治療には不適当と思われた。
  • 米須 麻美, 山本 雄一, 安里 豊, 具志 真希子, 宜保 弓恵, 新垣 肇, 平良 清人, 半仁田 優子, 上里 博
    2007 年 69 巻 5 号 p. 515-520
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2007/11/06
    ジャーナル 認証あり
    81歳,女性。2000年8月頃から全身散在性に淡い紅斑と右大腿部の発赤腫脹を認めた。同年12月当科入院時に圧痛,熱感を伴う右大腿部の腫脹,発赤と右下腿に圧痕を残す浮腫を認めた。両鼠径リンパ節腫脹も認められた。Human T cell leukemia virus type1(HTLV-1)抗体陽性,可溶性IL-2レセプターが高値を示した。皮下硬結部の病理組織では凋密な小円形細胞浸潤が皮下脂肪織に認められ,核異型,核分裂が著明であった。皮下脂肪織のHTLV-1サザンブロット解析では腫瘍細胞のモノクローナルな増殖があり,ATLLと診断した。皮下脂肪織炎様の症状を呈するT cell lymphomaはよく知られているが,ATLLの報告は少ない。本邦では同様な症例は過去にわずか3例しか報告されておらず,その3例中2例にEB virus encoded small RNA(EBER)が腫瘍細胞内に証明されている。しかし,自験例での皮膚病変およびリンパ節組織を用いたin situ hybridization法による検索ではEBERの陽性シグナルはみられず,またHTLV-1サザンブロット法でHTLV-I欠損型プロウイルスの存在が示唆された。なお自験例は治療抵抗性であり,その生存期間は14ヵ月であったことも特徴のひとつであった。
  • 峯 嘉子, 山本 雄一, 平良 清人, 粟澤 遼子, 安里 豊, 上里 博, 宮城 嗣名
    2007 年 69 巻 5 号 p. 521-526
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2007/11/06
    ジャーナル 認証あり
    83歳,男性。53歳頃より腹部にそう痒を伴う紅色丘疹が出現した。近医にてアレルギー性疾患といわれ加療されたが,皮疹は漸次全身に拡大した。1988年9月頃(67歳)より両側頬部に小腫瘤が出現し,増大・隆起してきたため1989年2月(68歳)当院皮膚科を受診した。当初の皮膚生検病理組織像から悪性リンパ腫を疑い,翌年左頬部腫瘤組織片を用いたsouthern blot法でHTLV-1 provirusのモノクローナルな組み込みが認められた結果から成人T細胞白血病/リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma: ATLL)と診断した。現在までステロイド外用,Interferon-alpha(IFN-α)筋注,PUVA 照射,電子線照射,軟レントゲン線(デルモパン)照射療法などで加療した。強力な化学療法を用いない治療を行ったが,症状は寛解・憎悪を繰り返しつつ現在まで約15年間生存している。皮膚に腫瘤を形成するATLLは一般に予後不良の傾向があるといわれるが,自験例のように長期生存例のATLLも存在する。過去15年間に当科で経験した皮膚腫瘤を形成したATLLは16例あり,それら症例のATLL診断後の生存期間は5ヵ月から15年間で,その平均生存期間は24.3ヵ月であった。しかし16例のなかで5年間以上生存した症例は自験例を含めわずか2例のみであった。自験例は2004年左前腕に中心治癒傾向のある紅色局面や腫瘤の再燃がみられたが,化学療法は施行せず,軟レントゲン線照射療法や免疫療法などを行い,皮疹は消退・軽快し,現在も生存中である。
  • 倉繁 祐太, 大久保 ゆかり, 内田 日奈子, 坪井 良治, 泉 美貴
    2007 年 69 巻 5 号 p. 527-530
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2007/11/06
    ジャーナル 認証あり
    64歳,男性。15歳時に頭頂部に外傷歴あり。20歳時,同部位に出現した結節を他院にて切除した。40歳時,再発し徐々に増大。受診時,頭頂部に46×48×11mmの表面にびらんを伴う有茎性紅色腫瘤を認めた。生検後に全摘出術を施行した。病理組織所見はporoid cellの増生,汗管への分化が認められ,下床では軽度核異型を伴う腫瘍細胞が胞巣を形成して真皮深層に浸潤していた。Low grade porocarcinomaと考えた。
講座
統計
  • 上田 厚登, 御厨 賢, 安元 慎一郎, 橋本 隆
    2007 年 69 巻 5 号 p. 542-546
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2007/11/06
    ジャーナル 認証あり
    公立八女総合病院皮膚科にて過去2年間(2003年4月から2005年3月まで)にマムシ咬症21例を経験した。受診患者では男女差はみられず,月別では8月,9月に多く受診した。年齢別では60歳から70歳台が多くを占め,その理由としては八女地域の住民の高齢化と農作業中の受傷によるものが多いためと思われた。時刻別発生数では午前4時から深夜までに及んでいた。受傷の状況としては田畑や自宅庭での農作業中の受傷例が多く,受傷部位は手指,次いで足趾,足背の順に多かった。天候別発生数ではいずれの天候にもみられたが,曇りの日に多い傾向があった。マムシ咬傷による入院日数は臨床症状の程度が高度になるほど延長し,統計学的有意差が認められた。治療は局所治療としてマムシ毒の排除を目的に皮下切開を行い,全身療法としてセファランチン内服療法とマムシ抗毒素投与を行った。マムシ抗毒素の使用についてはいまだ確立された見解が得られておらず,各施設間での使用率が大きく異なっている。マムシ抗毒素投与後に起こる血清病発生の集計結果では血清病が生じた全例が軽症であったため,副作用としての血清病はさほど問題にならないと考えた。マムシ抗毒素の使用は投与基準に従い,重症例では原則としてマムシ抗毒素を投与する方が望ましいと考えた。
治療
  • 山口 隆広, 古賀 文二, 荒尾 友美子, 徳丸 良太, 高橋 聡, 吉田 雄一, 久保田 由美子, 中山 樹一郎
    2007 年 69 巻 5 号 p. 547-553
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2007/11/06
    ジャーナル 認証あり
    イミダゾール系抗真菌剤である1%ルリコナゾールクリーム(ルリコン® クリーム1%)の1日1回塗布による足白癬に対する有用性を福岡大学病院皮膚科及び関連施設の症例で検討した。その結果,登録症例52例中,有効性評価可能な症例は43例(趾間型25例,小水疱型18例)で,4週後の観察時点における皮膚症状「改善」以上の改善率は趾間型93.8%,小水疱型100%,真菌陰性化率(直接鏡検)は趾間型100%,小水疱型58.3%であった。皮膚症状と菌検査の結果を考慮した総合臨床効果について,「有効」以上の有効率は4週後では趾間型100%,小水疱型58.3%であった。皮膚症状の殆どは塗布1週後から有意に軽快し,特にそう痒については58.8%が1週間以内に消失した。副作用は安全性評価解析対象48例中,1例も認められなかった。以上の結果より,ルリコン® クリーム1%は足白癬の治療に対し速効性のある有用な薬剤であると考えられた。
  • 窪田 泰夫, 森上 徹也, 中井 浩三, 松岡 由恵, 横井 郁美, 丹生 名都子, 宮本 泉, 松田 保史, 米田 耕造
    2007 年 69 巻 5 号 p. 554-560
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2007/11/06
    ジャーナル 認証あり
    ベシル酸ベポタスチンは第2世代抗ヒスタミン薬で,各種のアレルギー性疾患に優れた臨床効果と高い安全性が示されている。今回,われわれは20例の慢性蕁麻疹患者を対象に,ベシル酸ベポタスチン(1回10mg,1日2回)を原則4週間投与し,患者自らが記載する評価票を用いた患者主体の有用性評価ならびにQOLの変化を経時的に検討した。その結果,患者自身の評価によるそう痒および各臨床症状(「日中のかゆみの程度」,「夜間のかゆみの程度」,「発斑の出現範囲」,「発生頻度」,「持続時間」,また代表的写真を基に判定した「発斑の程度」の計6項目)に関するスコアは,初診時と比較して1~2週後には統計学的に有意な改善が認められ,その効果は投与終了時まで持続した。また,皮膚疾患特異的QOL尺度であるDLQI(Dermatology Life Quality Index)では,本治療により「人間関係」以外のすべての下位尺度のスコアおよび「総合」スコアにおいて有意な改善を示した。また包括的QOL尺度であるWHO-QOL 26では,本剤投与により「全体(的な生活の質)」の項目で有意な改善が得られた。以上のようにベシル酸ベポタスチン治療により患者中心の評価において臨床症状の有意な改善が得られ,さらには患者QOLの改善効果も得られたことから,本剤が慢性蕁麻疹治療の第一選択薬となりうるものと考えられた。
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