西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
70 巻 , 3 号
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図説
症例
  • 生垣 英之, 皆川 茜, 小金平 容子, 河内 繁雄, 斎田 俊明
    2008 年 70 巻 3 号 p. 253-256
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2008/07/09
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    35歳,男性。2002年12月,どくだみ茶とチョコレートパンを摂取した後に散歩中,全身にそう痒を感じ,意識混濁をきたした。小麦,グルテン,チョコレートのRASTは陰性。小麦の皮内テスト·プリックテストは陽性。小麦によるFDEIAを疑い誘発テストを施行した。アスピリン500mg内服の60分後にチョコレートパン2個を摂取させ,その30分後より病棟内で散歩を開始したところ,25分後に膨疹が誘発された。これらの単独負荷や食物+運動,アスピリン+運動では症状は誘発されなかった。チョコレートはサリチル酸誘導体を多く含み,またドクダミ成分のクエルシトリンには抗炎症作用があると報告されているので,自験例は運動負荷に加えてこれらの食物の摂取が症状の誘発に関与した可能性があると考えた。
  • 山田 晶子, 山崎 修, 野村 知代, 岩月 啓氏
    2008 年 70 巻 3 号 p. 257-260
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル 認証あり
    57歳,男性。1997年に膀胱癌と診断され,翌年2月に膀胱全摘出術と尿路変更術(回腸導管設置)が施行された。2004年2月,ストーマ右側に膿疱が出現し,急速に拡大して径1cmの潰瘍となった。寛解増悪を繰り返し,同年12月当科初診時ストーマ下方に瘢痕とトンネル状の潰瘍を認めた。病理組織所見は非特異的炎症反応のみであった。ストーマ周囲に有痛性膿疱が出現した後,拡大して紫色隆起を伴う潰瘍を形成したことより,peristomal pyoderma gangrenosum(PPG)と診断した。吉草酸ジフルコルトン外用にて,1週間後には著明な改善を認めた。PPG 107報告例のうち82例が炎症性腸疾患を基礎疾患に有していた。そのうち49例がクローン病,33例は潰瘍性大腸炎であった。その他の基礎疾患として憩室炎(8例),大腸癌(5例),膀胱癌(4例),神経因性膀胱(2例),腸炎(2例),腸穿孔(1例),腸捻転(1例),腸膿瘍(1例),尿道弁(1例)を認めた。
  • 權藤 寿喜, 武下 泰三, 山崎 文朗, 辻 学, 古江 増隆
    2008 年 70 巻 3 号 p. 261-264
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2008/07/09
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    74歳,女性。2004年11月下旬より右下腿に硬結,疼痛を伴う紅斑が出現。その1週間後には左下腿にも同様の皮疹が出現した。同年12月,心窩部圧迫感と胸背部痛が出現してきたため,当院内科受診。超音波検査,CTにて膵腫瘤を指摘された。皮膚科紹介となり,右下腿部より皮膚生検施行。Ghost-like fat cellと呼ばれる特徴的な脂肪壊死像,コッサ染色にてCa沈着を認めた。血液検査ではアミラーゼ,リパーゼ,ホスホリパーゼA2など膵酵素の上昇がみられ,膵癌に伴った皮下結節性脂肪壊死症と診断した。本症は膵炎や膵腫瘍によって逸脱した膵酵素がリンパ流や血流を介して遠隔部位に到達することにより発症すると考えられている稀な疾患である。
  • 菅原 正幸, 奥山 隆平, 藤村 卓, 芳賀 貴裕, 相場 節也
    2008 年 70 巻 3 号 p. 265-268
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2008/07/09
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    44歳,男性。初診の十数年前に右母趾に灰青色斑があるのに気付いた。数年前より徐々に灰青色斑は拡大し,自発痛も伴うようになった。局所麻酔下に全摘術を行った。患者は同部に鉛筆の芯を刺入した記憶を有していなかったが,病理組織学的にpencil-core granulomaと診断した。Pencil-core granulomaは,鉛筆の芯に対する異物肉芽腫であり,青色~黒色の皮下腫瘤を呈する。異物の刺入の数年~数十年の後,急速に増大する。自験例と同様,患者に鉛筆の芯が刺入したという記憶がないことも多い。急速に増大する点や色調から,悪性黒色腫や悪性青色母斑などとの鑑別が重要となる。
  • 神山 泰介, 川口 順啓, 佐々木 雅美, 佐藤 雅道, 三浦 久美子, 杉山 美紀子, 末木 博彦
    2008 年 70 巻 3 号 p. 269-273
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル 認証あり
    79歳,女性。11年前にBence-Jones λ型多発性骨髄腫と診断され,定期的に化学療法を受けていた。初診1ヵ月程前より躯幹にそう痒を伴う紅斑,びらん,弛緩性水疱が出現し,次第に拡大してきた。自己免疫性水疱症を疑い,右腋窩部の弛緩性水疱より生検した。表皮直下と真皮乳頭下層に裂隙を形成し,真皮上層から中層にはびまん性の炎症細胞浸潤を伴っていた。ダイロン染色にて真皮上層,毛包脂腺周囲,血管壁に赤橙色に染まる無構造物質が認められた。免疫組織染色では抗λ軽鎖抗体に陽性であった。以上より多発性骨髄腫に合併したbullous amyloidosisと診断した。ステロイド軟膏外用と抗アレルギー薬の内服によりそう痒,皮疹とも軽快した。
  • 川崎 恭子, 眞鳥 繁隆, 安里 豊, 山本 雄一, 平良 清人, 上里 博, 高江洲 杉恵, 澤口 昭一
    2008 年 70 巻 3 号 p. 274-278
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル 認証あり
    4歳の男児。3歳頃から臀部に白斑がみられ,以降両眼瞼,顔面,躯幹,四肢にも白斑は拡大した。当初,尋常性白斑の診断で加療されていた。しかし,4歳時に角膜の白濁,視力障害があり,白内障を指摘され,最終的にVogt-小柳-原田症候群(Vogt-Koyanagi-Harada syndrome:VKH)と続発性白内障·緑内障と診断された。白斑を生じたVKHの小児発症例は稀なため,1966年から現在まで報告されたVKHの10歳以下の小児例20例を集計し,その特徴について報告した。
  • 中村 暁子, 小林 順一, 古江 増隆, 桐生 美麿
    2008 年 70 巻 3 号 p. 279-281
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル 認証あり
    4歳の男児。1歳頃より左眼瞼から左こめかみにかけて,小さな赤色斑が多数出現し,次第に黒色調となり増大した。初診時には,左上下眼瞼とこめかみに約50個の黒色斑が集簇していた。1年間の経過観察中に,色素斑の数は増加し大きさも増大した。病理組織学的には,やや大型の紡錘形のメラノサイトから成るほぼ均一な大きさの大型胞巣が,表皮真皮境界部に多発性に認められ,胞巣や色素の分布を含む全体的な構築はほぼ左右対称性であった。増殖したメラノサイトには軽度の核異型性が見られたが異常核分裂像などはなかった。組織学的にSpitz nevusと診断し,多発集簇した臨床像と併せて,この症例をagminated Spitz neviと診断した。
  • 水上 潤哉, 大久保 ゆかり, 坪井 良治, 外川 八英
    2008 年 70 巻 3 号 p. 282-285
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル 認証あり
    19歳,女性。初診の4ヵ月前より右上腕に紅色の自覚症状を欠く皮疹が出現し,顔面,頚部,両下腿に同様の皮疹が拡大した。左頬部に20×20mmでドーム状に隆起する弾性硬の紅色結節と,右肩部には14×12mmの角化性紅斑を認めた。頚部,両下腿には小豆大までの紅斑が散見された。左頬部および右肩部より生検した組織像では,真皮全層性に比較的大型で胞体の明るい,核異型を伴う腫瘍細胞が密に浸潤していた。免疫染色でCD30陽性。皮膚組織のサザンブロット法でTCR-Cβ1の再構成を認めた。全身検索で他臓器に病変を認められず,primary cutaneous anaplastic large cell lymphomaと診断した。自験例の臨床像は典型的で,治療として少量メソトレキセート内服療法が奏効した。
  • 加賀谷 真起子, 高橋 博之, 中野 秀昭, 大楠 清文
    2008 年 70 巻 3 号 p. 286-291
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル 認証あり
    71歳,男性。インスリンにてコントロール不良状態の糖尿病に加え,間質性肺炎でプレドニゾロンを内服していた。特別な誘因や外傷なく両下腿に相次いで多発性の筋肉内膿瘍が出現し,各種検査の結果Nocardia farcinicaによる膿瘍であることが判明した。抗生剤の投与に加え切開排膿処置を併用し,現在まで再発はみられていない。膿瘍出現の約2ヵ月前に肺陰影の増強があり,肺ノカルジア症が先行病変として疑われた。今回,ノカルジア筋肉内膿瘍という稀な病変を経験したので,他報告例も含め考察した。
  • 高安 進, 澁谷 博美, 佐藤 精一, 立川 洋一
    2008 年 70 巻 3 号 p. 292-295
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル 認証あり
    症例1:69歳,男性。右下肢特に右第1趾付近に強い疼痛を訴え,右足背,下腿,大腿内側に紅斑,浮腫がみられた。コントロール不良の糖尿病を合併していた。抗生剤点滴後,紅斑,浮腫は軽快したが,右第1中足骨付近の強い疼痛が持続した。種々の血流検査を行ったところ,患肢のABI,TBI,SPPの低下がみられ,CTアンギオグラフィーにて右浅大腿動脈,膝窩動脈,脛骨腓骨動脈幹に高度石灰化,狭窄を認め,閉塞性動脈硬化症と診断した。浅大腿動脈にステントを留置し疼痛は劇的に改善した。しかし,入院中に生じた右外果の小潰瘍が治癒せず,更に前回と同じ部位に蜂窩織炎が再発したため,退院4ヵ月後に前述の膝下動脈の狭窄部位にエキシマレーザー動脈形成術を施行し,症状の改善をみた。症例2:53歳,女性。SLEのため8年前よりベタメタゾン4mg内服。右下腿,足背に発赤腫脹。抗生剤8日間投与後,右外果付近に暗赤色斑,腫脹が限局し疼痛を伴った。化膿性滑液包炎と診断し切開排膿,高気圧酸素,持続陰圧療法を行ったが,切開創が閉鎖しないまま退院した。その後,SLEの活動性はほとんどないと判断されプレドニゾロン5∼10mg/日に減量し,切開4ヵ月後に創は閉鎖した。自験例のように抗生剤投与,安静など通常の蜂窩織炎の治療にもかかわらず疼痛が限局した部位に持続する場合は,その原因を注意深く検索する必要があると考えられる。
講座
治療
  • 徳丸 良太, 今福 信一, 中山 樹一郎
    2008 年 70 巻 3 号 p. 308-312
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル 認証あり
    高齢者の慢性そう痒性皮膚疾患に対するロラタジンの有効性,安全性について検討した。2005年2月∼2006年10月までに受診した60歳以上の患者40例(男性:20例,女性:20例)に対し,ロラタジン10mg/日の投与を行い,皮疹の改善度,日中及び夜間のかゆみの改善度を検討した。皮疹のスコアは,投与開始時7.2±0.5から投与7日目5.1±0.4,14日目3.6±0.4,28日目2.4±0.3と有意に低下した。日中のかゆみは,投与開始時のスコア2.6±0.1から投与7日目1.3±0.2,14日目1.0±0.1,28日目0.6±0.1と有意に低下し,夜間のかゆみも投与開始時のスコア2.9±0.1から投与7日目1.8±0.2,14日目1.3±0.2,28日目0.7±0.1と有意に低下した。そう痒の改善度は,著明改善30%,改善42.5%と改善以上が72.5%であった。眠気·口渇等の明らかな副作用は認められず,臨床検査値の異常変動も実施された症例ではみられなかった。以上よりロラタジンは合併症を多く有する高齢者の慢性そう痒性皮膚疾患に対して極めて有用と考えられた。
  • 佐山 浩二, 藤山 幹子, 白方 裕司, 橋本 公二, 町野 博, 和田 民子, 飯尾 智恵
    2008 年 70 巻 3 号 p. 313-318
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎患者40例を対象として,超微粒子化β-グルカンの皮膚炎に対する有効性と血清IgEの変動について臨床研究を行った。39例の適格例で被験食を1日1回1袋(100g/袋中15mgの微粒子化β-グルカン(lentinan)を含有する)連日3ヵ月間摂取した結果,皮膚炎に関しては被験食摂取前と比較して摂取後2∼3ヵ月でSCORADスコアー; A. 病変の面積,B. 皮疹の程度,C. 自覚症状,Objective SCORAD,SCORADスコアーでいずれも有意な改善が認められた。また,血清IgEに関しては,被験食摂取前と比較して摂取後3ヵ月後では,非特異的IgE及び特異的IgE(ハウスダスト,ダニ,スギ花粉)ともに有意な低下が認められた。さらに被験食摂取期間中,被験食との因果関係を否定できない有害事象の発現はなく,また血液学検査及び血液生化学検査でも特に問題となる変動は認められなかったことから,被験食は安全性が高く,アトピー性皮膚炎患者に有用であると考えられた。
世界の皮膚科学者
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