西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
70 巻 , 5 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
図説
綜説
症例
  • 三根 義和, 小川 文秀, 清水 和宏, 佐藤 伸一
    2008 年 70 巻 5 号 p. 478-481
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2008/12/13
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    症例は47歳の男性。初診の3ヵ月前より両手指の蒼白,早朝のこわばりが出現した。同時期より体幹,両前腕の硬化にも気付き近医受診後,当科を紹介された。初診時に両前腕,両上腕,両肩,両側腹部に対称性に皮膚硬化局面が多発し,一部では皮膚萎縮,色素斑が混在して認められた。更に肘関節,肩関節の可動域制限を認めた。しかし手指の硬化は認めなかった。また爪上皮出血点も認めなかった。前腕皮膚硬化部位より皮膚生検を行い,病理組織所見では膠原線維の増生を認めた。臨床検査では,抗ガラクトース欠損IgG抗体陽性,抗カルジオリピン抗体陽性であった。皮疹が広範囲に対称性に分布していたため,全身性強皮症も考え全身精査を行うも内臓病変は認めなかった。また抗トポイソメラーゼI抗体,抗セントロメア抗体も陰性であった。以上より汎発性斑状強皮症と診断した。皮膚硬化に対してプレドニン30mg/dayの内服を開始し皮膚硬化および関節可動域制限の改善をみた。
  • 梶原 一亨, 市原 麻子, 肥後 順子, 木藤 正人, 戸高 幹夫, 尹 浩信
    2008 年 70 巻 5 号 p. 482-486
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2008/12/13
    ジャーナル 認証あり
    61歳,男性。脳出血後の痙攣に対してゾニサミドなどを投与していたところ,約4週間後より発熱と紅斑丘疹型の皮疹が出現した。リンパ節腫脹,異型リンパ球の出現,肝機能障害も認めた。経過中,HHV-6 IgG抗体価上昇を認め,ゾニサミドのDLSTも陽性を示したためDIHSと診断した。発症11日目に劇症1型糖尿病を合併した。またCMV腸管感染症·CMV肺炎,細菌性肺炎,肝硬変も併発され,69病日に敗血症性ショックにて死亡した。
  • 石川 博士, 宿輪 哲生, 佐藤 伸一, 近藤 達郎
    2008 年 70 巻 5 号 p. 487-489
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2008/12/13
    ジャーナル 認証あり
    先天性無汗性外胚葉形成不全症の兄弟例を報告した。2 歳の男児,生後4ヵ月より夏期に38℃以上の鬱熱を繰り返し,無汗と全身皮膚の乾燥が持続し,精神発達遅滞がみられた。生後2ヵ月の弟にも同様の症状を認めたため,精査目的で受診した。初診時臨床は兄弟とも全身の皮膚の乾燥が強く,頭髪は細く疎で,眉毛睫毛は疎らであった。前額は大きく四角く突出し,鼻根部は沈み鞍鼻を形成する特徴的顔貌を呈し,耳介の低位と歯牙の低形成がみられた。病理組織学的に連続切片で毛包及び汗腺の形成がみられなかった。熱性痙攣の反復による精神発達遅滞を防ぐため,体温調節の厳重な管理と乾燥皮膚の継続的治療が重要と考えられた。
  • 杉田 和成, 日野 亮介, 椛島 健治, 戸倉 新樹, 濱田 哲夫, 村田 宏爾
    2008 年 70 巻 5 号 p. 490-494
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2008/12/13
    ジャーナル 認証あり
    54歳の男性,66歳の女性,78歳の男性の慢性色素性紫斑様の皮疹を呈した菌状息肉症の3症例を経験した。3例とも臨床的には不整形の点状出血を混じた赤褐色斑を呈し,組織学的には真皮浅層の血管周囲性異型リンパ球浸潤および赤血球の血管外漏出を認めた。慢性色素性紫斑を疑った場合,菌状息肉症は重要な鑑別すべき疾患となる。
  • 増岡 美穂, 平島 徳幸, 佐田 明日香, 三砂 範幸, 成澤 寛
    2008 年 70 巻 5 号 p. 495-499
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2008/12/13
    ジャーナル 認証あり
    症例1は88歳の女性。2年前に右下腿前面の紅色結節を自覚し,徐々に結節は増大した。右下腿前面に7×6cm,弾性軟の皮下腫瘤を認めた。皮膚生検を行い,組織学的にmalignant fibrous histiocytomaと考えた。腫瘍切除術を行い,HE染色,免疫染色,電子顕微鏡検査の所見から,皮膚平滑筋肉腫の皮下型と診断した。半年後に局所再発を認め,下肢切断術を行った。症例2は79歳の女性。5∼6年前,右下腿前面の結節を自覚し,徐々に増大した。8×6cm,弾性軟の皮下腫瘤を認めた。皮膚生検を行い,組織学的に皮膚平滑筋肉腫の皮下型と診断した。右脛骨,肝,肺への転移を認めた。2例とも,近医外科を受診し問題ないと言われ放置し増大した症例である。早期診断のための皮膚生検が必要であり,医師の責任の重さを感じた。
  • 川崎 里奈子, 鈴木 伸吾
    2008 年 70 巻 5 号 p. 500-502
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2008/12/13
    ジャーナル 認証あり
    61歳,男性。初診1年前より右下腿後面の腫瘤に気付き,局所麻酔下で切除した。病理組織学的に管腔構造からなる上皮性成分と,粘液様器質をみる間質や脂肪組織,線維性結合組織などの間葉系成分から構成されており,いわゆる皮膚混合腫瘍と診断した。明らかな断頭分泌や,軟骨様組織は認めなかった。免疫組織学的に上皮性成分はケラチン抗体,GCDFP,EMAで管腔構造を形成する腺細胞,筋上皮細胞ともに陽性を呈し,GFAP,S-100,ビメンチンでは筋上皮細胞のみ陽性を呈した。間質部はS-100,ビメンチン,GFAPで陽性を呈した。管腔内分泌物はCEAで陽性であった。自験例は下腿後面に生じており,1981年から2006年の文献報告68例のうち下腿発生例は3例と,発生部位としては稀であった。
  • 中島 圭子, 山田 七子, 吉田 雄一, 山元 修
    2008 年 70 巻 5 号 p. 503-505
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2008/12/13
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    55歳,女性。耳と尾に脱毛巣のあるネコを飼い始めてから顔面,四肢に鱗屑を伴う環状の紅斑を生じた。患者の鱗屑,ネコの被毛を培養し,Microsporum canisを分離同定した。更に,スコッチテープ法を用いて採取した患者の皮疹部の角層を,走査型電子顕微鏡で観察したところ,角質細胞間を分岐伸長している菌糸が確認できた。
  • 岩田 貴子, 竹中 基, 佐藤 伸一, 西本 勝太郎, 本間 喜蔵, 牛島 信雄, 西 寿一
    2008 年 70 巻 5 号 p. 506-510
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2008/12/13
    ジャーナル 認証あり
    長崎県の2高校(N,K高)と香川県の1高校(S高)による相撲部の合同練習ののち集団発症したTrichophyton tonsurans(T. tonsurans)による体部白癬を経験した。N,K高ともに,合同合宿の参加部員全員が合同練習終了後2日から2週間前後で胸腹部,背部,上肢を主体に類円形の鱗屑を付す紅斑を認めた。近医皮膚科を受診し,KOH直接鏡検陽性にて体部白癬と診断され,T. tonsuransが分離された。診断の翌日,2高各々に集団検診を実施した。検診対象者は相撲部員(N高:10名,K高:6名)と指導教師(N高:2名,K高:1名)であり,診察と真菌培養,hairbrush(HB) sampling法を施行した。結果,診察では2高あわせて合同合宿参加部員11名全員に鱗屑を付す紅斑を認めた。真菌培養は11名中3名が陽性,HB sampling法は11名中1名が陽性であった。よって11名中4名からT. tonsuransが分離された。合同合宿不参加部員と指導教師には明らかな皮疹を認めなかったため真菌培養は施行せず,HB sampling法は全例陰性であった。抗真菌剤外用と内服にて治療し,経過観察中であるが,1年10ヵ月経過した現在も,再発は認めていない。原因菌は培養所見およびPCR-RFLP法よりT. tonsurans NTS 1型と同定された。今回,集団感染の時期と潜伏期間が明確であったが,N高とK高では発症診断時期に2週間の差があった。
講座
治療
  • 片山 一朗, 室田 浩之, 調 裕次
    2008 年 70 巻 5 号 p. 516-521
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2008/12/13
    ジャーナル 認証あり
    皮膚症状を有するシェーグレン症候群患者26例を対象に,人参養栄湯を3ヵ月服用させて,皮膚疾患特異的QOL及び自他覚症状の推移を検討した。皮膚疾患特異的尺度としてはSkindex-16を用いた。総合評価では1ヵ月後および3ヵ月後において,スケール·スコアでは症状,感情,機能のうち,症状と感情の3ヵ月後において有意な改善を認めた。自他覚症状では,口唇炎·口角炎,凍瘡様皮疹,手足の冷え,疲労感において1ヵ月後および3ヵ月後で有意な改善を認めた。眼瞼炎,食欲不振は訴えを有する症例が少なく有意差はなかったが,77.8%,66.7%と高い改善率を示した。眼,口腔の乾燥感は30∼40%台の改善率が認められたが,有意差は1ヵ月後の眼の乾燥感においてのみ得られた。副作用はほてりのぼせの1例のみであった。以上から人参養栄湯は皮膚症状を有するシェーグレン症候群の多彩な愁訴を改善し,患者のQOLを高める安全かつ有効な薬剤と考えられた。
  • 高橋 英俊, 辻 ひとみ, 飯塚 一
    2008 年 70 巻 5 号 p. 522-526
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2008/12/13
    ジャーナル 認証あり
    乾癬の外用治療の主体は活性型ビタミンD3剤になりつつあるが,被髪頭部に関してはいまだステロイド剤の使用が多い。これはコンプライアンスのよいローション剤はステロイドローションが主であったこと,及び活性型ビタミンD3 製剤の剤形選択の幅が狭いことに起因しており,被髪頭部の乾癬治療に関しては治療に難渋する症例が少なくない。最近,高濃度活性型ビタミンD3 ローション剤が使用可能となってきたが,本邦において他剤との使い分けのエビデンスはない。今回我々は,ステロイド外用治療に不応の被髪頭部の乾癬皮疹に対し,高濃度タカルシトールローション製剤(20μg/g)の有効性について検討した。ステロイド外用剤による治療で症状に変化が見られない被髪頭部の尋常性乾癬に対して高濃度タカルシトールローションへ変更し,その後の効果を検討した。変更後,紅斑,浸潤·肥厚,鱗屑·痂皮の各スコアとスコア総計のいずれも投与4週後には投与前と比べ有意な改善がみられ,投与8週後においても効果は持続していた。治療前のステロイド外用薬のランク(力価)別の治療経過による総スコアはランク(力価)の違いに関わらず,高濃度タカルシトール外用後スコアの減少が見られたが,strongest,very strong,strong の各ランクでの3群間での有意差はなかった。全般改善度は外用開始4週後において有意な改善がみられ,投与8週後においても同様であった。自己評価によるpsoriasis area and severity index(self PASI)スコアについての検討でも治療後,有意な低下が見られた。また,psoriasis disability index(PDI)スコアでも治療8週後に有意な低下が見られ,特に仕事·学業,人間関係,治療の評価項目で有意な改善を見た。以上より,高濃度タカルシトールローションはステロイド外用と比べ難治性の頭部病変に対して有効な治療法であることが明らかとなった。
  • 加藤 則人, 岸本 三郎, 福地 修, 太田 真由美, 本田 まりこ, 中川 秀己
    2008 年 70 巻 5 号 p. 527-534
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2008/12/13
    ジャーナル 認証あり
    乾癬患者29例を対象として,マキサカルシトール軟膏(オキサロール®軟膏25μg/g)を用いて,平日1日1回·土日1日2回の外用(以下,平日·週末療法)を基本とした外用療法の検討を実施した。第1ステージで平日·週末療法を4週間実施し,その改善度に応じて第2·第3ステージの外用方法を決定し,合計12週間の試験を実施した。その結果,全期間を通じてマキサカルシトール軟膏単独で維持が可能であった症例は18例,第2ステージ以降にステロイド外用薬を併用した症例は10例であり,64.3%の症例でマキサカルシトール軟膏単独によるコントロールが可能であった。一方,35.7%の症例ではビタミンD3外用薬単独でのコントロールが難しく,ステロイド外用薬の併用が必要であった。最終時の平均PSIスコア改善率は,マキサカルシトール軟膏単独で維持した症例では74.8%,ステロイド外用薬を併用した症例では56.0%であった。また,全症例における12週後のPSIスコア改善率は68.1%と高い改善率が得られた。患者アンケート(20例)においては,医師の指示どおり外用できた症例が試験開始前70.0%から治療後95.0%まで増加した。外用薬を塗布するストレスは,試験開始前65.0%から治療後35.0%にまで低下した。これらの結果より平日·週末療法を基本とした外用療法を実施することによって,乾癬患者のコンプライアンス·QOLの向上が示唆された
  • 佐藤 さおり, 古江 増隆
    2008 年 70 巻 5 号 p. 535-540
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2008/12/13
    ジャーナル 認証あり
    蕁麻疹,湿疹·皮膚炎,痒疹,皮膚そう痒症の何れかの疾患と診断された成人患者26例を対象にセチリジン塩酸塩ドライシロップ(ジルテック® ドライシロップ1.25%)を服用した患者の意見を調査し,その有用性と患者満足度についてコンプライアンスも含め検討した。その結果,約8割の患者が「飲みやすい」と感じており,約9割の患者が毎日もしくはほぼ毎日服薬したと答え良好な服用状況であった。また,約7割の患者が服用開始後3日以内に効果を感じており本剤に満足していると回答した。眠気に関する印象は2例を除いて残りのすべての患者は「支障はない」と答えた。本剤の継続使用の意思については,「どちらでもよい」と答えた患者も含めるとほとんどの患者は本剤の継続使用を希望していた。以上のことから,セチリジン塩酸塩ドライシロップは,服薬コンプライアンス向上に関係するファクターを取り揃えており,有効性と安全性,そして服用しやすさの点からも有用な薬剤であると考えられた。
  • ネオーラル® によるアトピー性皮膚炎治療研究会
    2008 年 70 巻 5 号 p. 541-552
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2008/12/13
    ジャーナル 認証あり
    従来の治療に抵抗を示す重症の成人型アトピー性皮膚炎患者(18歳以上65歳未満)を対象として,シクロスポリンMEPC(ネオーラル®)の有効性,安全性ならびに初期有効投与量を検索する目的でランダム化オープン比較試験を実施した。ネオーラル®は1日2回,4週間経口投与とし,被験者は1,3,5mg/kg/日の3用量をランダムに割付けられた。試験中は経口·外用ステロイド剤等の併用を禁止し,重症度と罹病範囲の評価には8カ所の身体的部分に分割し,4項目の所見を評価するスコアシートを用いた。本治験には106例が組み入れられた。このうち105例(1,3,5mg/kg/日群それぞれ34例,37例,34例,以下同順序で被験者数を示す)にネオーラル®が投与され,有効性の解析には93例(28例,33例,32例)が採用された。各群の重症度スコアの最終変化率は-21.4%,-40.2%,-66.7%,罹病範囲スコアの最終変化率は-10.4%,-26.1%,-39.4%で,両スコアとも高用量群ほど改善が大きかった(いずれもp<0.001,直線性の検定)。皮疹の最終全般改善度の改善以上を示したのは28.6%,60.6%,96.9%,そう痒の最終改善度の改善率は10.7%,48.5%,90.6%であった。各群とも忍容性は良好であったが,5mg/kg/日群では有害事象と腎機能に関する臨床検査値の異常変動発現率が高かった。以上から,ネオーラル®の開始用量は3mg/kg/日群が望ましいと判断した。
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