37歳,男性。HIV感染症に対して7年前から多剤併用療法(HAART)を開始。一時中断し,1年4ヵ月前から再開した。再開して3ヵ月後,今回と同様の皮疹と発熱がみられたが無治療で軽快した。初診1週間前から左側頚部に有痛性紅斑が出現し,40℃台の発熱と,右膝・足関節の疼痛と腫脹を認めた。初診時,左側頚部にやや隆起する拇指頭大とクルミ大の環状の紅斑局面を2ヵ所認めた。血液検査では,白血球数10800/
μl,好中球79.8%,CRP13.4mg/dlと上昇。病理組織では,真皮浅層から中層にかけて,核の破砕を伴う好中球とリンパ球主体の密な炎症細胞浸潤を認めた。プレドニゾロン20mg/日より内服開始したところ,紅斑と関節痛は消退,その後再発は認めなかった。自検例は,HIV感染に対するHAART中に2回Sweet病を生じたものと考えられた。HAARTによりCD4
+リンパ球数が増加して免疫能が回復することがSweet病の発症と関係するものと推測した。これまで,Sweet病とHIV感染症との合併の本邦報告例はなく,自験例が本邦第1例である。
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