西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
72 巻 , 2 号
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図説
症例
  • 後藤 真由子, 松田 晴奈, 伊藤 優佳子, 甲斐 宜貴, 後藤 瑞生, 波多野 豊, 片桐 一元, 藤原 作平, 加藤 愛子, 清水 史明 ...
    2010 年 72 巻 2 号 p. 101-105
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2010/06/25
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    症例1 : 66歳,男性。5ヵ月前より右第4指爪甲に茶褐色の色素線条が出現していることに気付いた。幅3.8mmの線条で,色調に濃淡がありハッチンソン徴候は認めなかった。ダーモスコピーでは線条の途絶がみられ,悪性黒色腫を疑い,全切除生検を施行した。病理組織学的所見では,爪母基底層にメラニンを有するメラノサイトの胞巣形成があり,後爪郭爪上皮の基底層にもメラノサイトの小胞巣を認め,malignant melanoma in situと診断した。症例2 : 60歳,女性。約2年前より右第1趾爪甲に線条が出現し,徐々に拡大してきた。幅5mmの黒褐色線条で,一部色調の淡い部分が存在した。切除生検の結果,異型メラノサイトの増生を認め,malignant melanoma in situと診断した。爪甲下悪性黒色腫は,初期病変の診断が難しいために,切除すべきか否かで悩む場合が多い。今回我々は,爪甲色素線条における爪甲下悪性黒色腫初期病変の鑑別点について検討した。
  • 香西 伸彦, 鶴田 京子, 山北 高志, 松永 佳世子, 赤松 浩彦, 溝口 良順
    2010 年 72 巻 2 号 p. 106-110
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2010/06/25
    ジャーナル 認証あり
    40歳,女性。当科初診の約5週間前より背部の皮疹に気付くも放置していた。徐々に拡大してきたため近医を受診した。当科初診の約5年前にも同様の症状が両上肢に出現し,他院で精査加療を受けるも原因不明のまま陥凹病変が残存している。今回精査,加療を目的に当科へ紹介され2007年6月に受診した。右背部から正中を越えて皮下硬結,腫脹を,両下肢に圧痛,浸潤を伴う紅斑を認めた。検査所見ではLDH,フェリチンの著明な上昇,GOT,GPTの上昇を,病理組織学的所見ではリンパ球の浸潤を主体としたlobular panniculitisの像を呈し,bean-bag cellを確認した。さらに免疫染色ではCD4(-),CD8(+),CD30(-),CD56(-),CD68(+),EBV(-)であったことから最終的にsubcutaneous-panniculitis-like T-cell lymphomaと診断した。プレドニゾロンを30mg/日より始めたところ,両下肢の紅斑は消退し,背部の皮下硬結も徐々に縮小し腫脹は軽減した。プレドニゾロンを10mg/日まで漸減した時点でLDH,フェリチンの著明な上昇と全身倦怠感,皮下結節,紅斑などの症状の再燃を2度認め増量を行った。初診から5ヵ月の時点でプレドニゾロン13mg/日で加療中であるが,皮膚病変,全身症状および検査所見の異常は認めていない。
  • 嘉陽 宗亨, 安里 豊, 平良 清人, 山本 雄一, 半仁田 優子, 峯 嘉子, 新嘉喜 長, 上里 博, 金城 紀子, 譜久山 滋
    2010 年 72 巻 2 号 p. 111-115
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2010/06/25
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    症例は生後6ヵ月,男児。37週,2580gでAPGAR score 8/9点で出生。発育・発達は正常範囲内であり,生来健常児であった。2005年10月上旬より39℃台の発熱があり,翌日より嘔吐および右大腿に紅斑を認め,次第に全身状態が悪化し皮疹が全身に拡大してきたため当院に入院した。皮疹は略全身に浸潤性紅斑,水疱,血疱,紫斑を認め,それらは漸次拡大し筋が露出するほどの深い潰瘍へと進展した。血液および潰瘍部の嫌気性菌および好気性菌細菌培養検査では緑膿菌が検出され,緑膿菌感染による敗血症および壊疽性膿瘡と診断した。呼吸・循環管理,各種抗菌剤(点滴・外用)を投与し,6回のデブリドマン・植皮術と高気圧療法(hyperbaric oxygen therapy : HBO)にて救命・治癒し,治療開始92日目に退院となった。
  • 松浦 浩徳, 内海 大介, 藤本 亘, 見手倉 久治, 漆原 嘉奈子, 上里 博
    2010 年 72 巻 2 号 p. 116-120
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2010/06/25
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    23歳,日系ブラジル人男性。2008年1月ブラジルに帰国した際に,右体幹を虫に刺された。約1ヵ月半後に同部に自覚症を欠く難治性潰瘍が生じた。近医で治療を受けたが症状は改善せず,当科に紹介された。右側胸部に無症状の直径5cmの結節を認め,内部に3×4cmの潰瘍を伴っていた。病理組織学的所見で肉芽腫の像を呈し,ギムザ染色による組織液の塗抹標本でアマスチゴートを認めた。PCR法およびdirect sequencing法により原虫種をLeishmania (Viannia) braziliensisと同定し同原虫による皮膚型リーシュマニア症と診断した。Leishmania (Viannia) braziliensisによる皮膚型リーシュマニア症は粘膜皮膚型リーシュマニア症を発症することがあり,抗リーシュマニア製剤による十分な治療が必要であるが,その後患者は受診されず,当科での治療を実施することはできなかった。
  • 安川 史子, 工藤 恭子, 中村 暁子, 小林 真二, 占部 和敬, 今山 修平
    2010 年 72 巻 2 号 p. 121-125
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2010/06/25
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    尖圭コンジローマは粘膜型のパピローマウイルス感染による疾患である。その中でも巨大尖圭コンジローマは比較的稀ではあるが,治療に苦慮することが多い。今回我々は,陰部を乾燥させ同部位の湿潤環境を変化させることによりこれらのウイルスの増殖を抑え,ひいては腫瘍の縮小を図ることが可能ではないかと考え,亜鉛華デンプンに含まれる酸化亜鉛の,1)収斂作用,2)保護作用,3)抗菌作用およびデンプンの乾燥作用に着目した。そして従来の治療法で難治性の巨大尖圭コンジローマ2症例に対し,亜鉛華デンプンを使用し良好な経過をみた。症例1は20歳の女性。全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患に対し,ステロイド内服治療中。肛門周囲に巨大なカリフラワー状の腫瘤を形成した。約8ヵ月間の亜鉛華デンプンの散布,ヨクイニン内服治療で腫瘍は略脱落した。症例2は38歳の男性。糖尿病の基礎疾患あり。鼠径部・陰茎・亀頭・肛門部に大小様々なカリフラワー状の腫瘤を形成した。一部を外科的に切除後,約7ヵ月間の亜鉛華デンプンの散布,ヨクイニン内服治療で腫瘍は略脱落した。亜鉛華デンプンによる治療は,1)侵襲が少なく,痛みなどの副作用が少ない点,2)手技が容易で患者自身での処置が可能な点,3)従来の治療法に併用できる点,4)安価で入手しやすい点などより有効な治療法であると考えた。
  • 千葉 貴人, 田代 あかり, 師井 洋一, 古江 増隆, 谷合 啓明, 古庄 憲浩, 林 純
    2010 年 72 巻 2 号 p. 126-128
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2010/06/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は32歳,男性。HIV感染症で当院総合診療科に通院加療中であった。2008年12月頃より顔面に紅色丘疹が出現,徐々に全身性に拡大,増大し一部は潰瘍を伴い,発熱も出現してきたため同総合診療科入院後,当科紹介受診となった。血液検査では,ガラス板法およびTPHA(Treponema pallidum latex immunoassay)が高値であった。右上腕の結節部生検標本では,真皮浅層の形質細胞を混じた帯状の密な炎症細胞浸潤と類上皮肉芽腫形成が認められた。さらに,TP monoclonal抗体を用いた免疫組織学的染色で,らせん状の菌要素を確認した。臨床経過,血清学的所見および病理組織像よりHIV感染症患者に生じた悪性梅毒と診断した。2期梅毒の皮疹は多彩であるが,HIV感染症患者に合併する梅毒を診察する際,2期梅毒の一亜型である悪性梅毒も念頭に置く必要がある。
  • 坂口 郁代, 三好 逸男
    2010 年 72 巻 2 号 p. 129-131
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2010/06/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は5ヵ月,男児。BCG接種後2ヵ月を経過した頃より,接種部位を中心に浸潤性紅斑が出現し,全身に拡大した。皮膚結核をまず疑い精査を行った。病理組織学的には類上皮細胞性肉芽腫は認めず,湿疹反応であった。抗酸菌染色(Fite法)にて抗酸菌は認めず,組織片からの一般細菌培養,真菌培養,抗酸菌培養はいずれも陰性であった。皮膚組織を用いたPCR法でも結核菌は検出されなかった。以上よりBCG接種後に生じた結核疹と診断した。無治療で経過をみたところ,初診の3ヵ月後には自然治癒した。
  • 前田 学, 小川 陽子, 野村 昌代, 脇田 賢治, 岩田 仁, 藤沢 智美
    2010 年 72 巻 2 号 p. 132-135
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2010/06/25
    ジャーナル 認証あり
    再燃時に血管炎と運動神経障害(筋力低下と歩行障害)を併発した帯状疱疹例を報告した。患者は初診の2週間前に帯状疱疹で松波病院に入院し,抗ウイルス剤点滴と抗ウイルス剤外用にて皮疹軽快し,退院した数日後より同一罹患部位に一致して列序性の紫斑を来たしたので当科に初診した。列序性紫斑部位からの皮膚生検の結果,表皮壊死を伴った血管炎と診断した。帯状疱疹の再燃時に生じた血管炎は稀と考えられた。
  • 國武 裕子, 野口 博光, 比留間 政太郎
    2010 年 72 巻 2 号 p. 136-140
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2010/06/25
    ジャーナル 認証あり
    2005年5月からの4年間に熊本の一診療所で経験されたT. tonsuransによる白癬の13例を報告した。年齢は11歳から18歳までの男性で,中学3例,高校8例の柔道部員が11例,兄が柔道部1例,小学生レスリング選手1例であった。臨床型は頭部白癬が6例(black dot型4例,炎症型2例),体部白癬が8例(顔5例,上腕1例,胸1例,大腿1例)で,頭部白癬と体部白癬の合併例が1例あった。全例にヘアブラシ検査を行った。ヘアブラシ検査陽性の体部白癬と頭部白癬の6例は塩酸テルビナフィン(TBF)の内服治療により2~3ヵ月後に菌は陰性化した。さらに症例の所属する7団体125名の調査で15例(12.0%)がヘアブラシ検査陽性であった。本症の治療及び公衆衛生的な管理のために,一診療所の役割について考察した。
  • 土井 和子, 今福 信一, 柴田 智子, 田代 あかり, 古江 増隆
    2010 年 72 巻 2 号 p. 141-144
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2010/06/25
    ジャーナル 認証あり
    足底に繰り返す角化性の腫瘤と足の変形を呈した2症例。症例1は64歳の女性。右第5趾基部に繰り返す角化性の腫瘤と第5趾の変位を主訴に受診した。また腰部右側に小児手拳大の軟らかいドーム状の腫瘤がみられた。症例2は82歳の女性。右第5趾基部に角化性の腫瘤がみられ,中央は自壊し穿孔性潰瘍を形成していた。また右足部から下腿にかけて発赤,腫脹,熱感を伴っていた。両症例ともに腫瘤に加えて下肢の知覚鈍麻がみられた。神経学的異常が疑われ,X線検査,MRI検査で,係留脊髄がみられ,下肢の症状はそれに伴う知覚鈍麻が原因と考えられた。足の慢性の潰瘍・外傷性の病変は,神経学的な異常についての精査が必要と考えられた。
講座
治療
  • 五月女 聡浩, 並河 弘美, 濱崎 洋一郎, 山崎 雙次, 籏持 淳
    2010 年 72 巻 2 号 p. 152-158
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2010/06/25
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    獨協医科大学病院皮膚科で過去6年間に難治性円形脱毛症の患者に施行したSADBE外用療法の有効性について解析を行った。症例数は152例(男 : 女 65 : 87),平均年齢32.4歳(2歳~83歳)。病型の内訳は単発型9例,多発型100例,全頭型22例,汎発型21例で,罹病期間は平均2.1年であった。治療効果はflare up反応がみられた145例中著効29例(20.0%),有効63例(43.4%),やや有効35例(24.1%),無効14例(9.7%),不明4例(2.8%)でやや有効以上が87.6%であった。SADBEに対する遅延型皮膚反応の成績の解析を加え,報告した。
  • 椛島 利江子, 尾藤 利憲, 田尻 真貴子, 川上 千佳, 深町 晶子, 吉木 竜太郎, 杉田 和成, 日野 亮介, 森 智子, 小林 美和 ...
    2010 年 72 巻 2 号 p. 159-162
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2010/06/25
    ジャーナル 認証あり
    第2世代抗ヒスタミン薬は,抗ヒスタミン作用以外にも様々な免疫学的調整作用を併せ持つ。アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis : AD)患者におけるかゆみ増強サイクルにおいて重要な役割を担う,サブスタンスP(substance P : SP)の産生にも一部の抗ヒスタミン薬は影響することが報告されている。また近年,ADの病勢に応じてIL-17産生CD4陽性細胞(Th17細胞)が重要な役割を果たすことが判明している。今回我々は,当院におけるAD患者15名に対して塩酸オロパタジンの内服療法を行い,内服前後の血中SPとTh17細胞割合の変動を測定した。同時にかゆみの程度としてvisual analogue scale(VAS),ADの重症度としてscoring atopic dermatitis(SCORAD)を評価し,SPとTh17細胞割合の変動との関連性を検討した。結果,塩酸オロパタジン内服前後で,VASとSCORADの改善とともにSPの有意な低下がみられた。Th17細胞は,有意差はないものの,検討した9名中7名で低下していた。塩酸オロパタジンによるSP産生・遊離抑制効果が,AD患者の臨床症状改善に寄与している可能性が示された。
  • 窪田 泰夫, 森上 徹也, 中井 浩三, 横井 郁美, 藤田 名都子, 宗広 明日香, 森上 純子, 米田 耕造
    2010 年 72 巻 2 号 p. 163-168
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2010/06/25
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    尋常性乾癬患者19例を対象に,カルシポトリオール軟膏(ドボネックス® 軟膏50μ/g)とベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏(アンテベート® 軟膏0.05%)を用いた9週間の外用連続療法を実施し,その臨床的有用性をPASIとVASスコア,患者QOLにより評価した。外用連続療法の導入期では両剤を1日2回併用塗布し,続く移行期では平日はカルシポトリオール軟膏のみを,土・日は両剤を1日2回併用した。維持期ではカルシポトリオール軟膏の単独塗布を行った。皮膚症状の評価はPASIスコアから顔面,頭部を除いた準PASIスコアと患者によるVAS評価を併用した。QOL評価はDermatology Life Quality Index(DLQI日本語版)を用いた。その結果,治療開始時20.2であった準PASIスコア平均値は導入終了時には8.1となり60%の低下を示し(p<0.01),その後も経時的に減少して,観察終了時には4.4に低下した(baselineから78%の低下,p<0.01)。また,治療開始時9.2であったDLQI合計スコアは観察終了時には3.1となり(p<0.01),下位尺度のうち「症状・感情」,「日常生活」,「余暇」での改善が顕著であった(p<0.01)。副作用については局所の刺激感,血清Ca値の異常変動などは認められなかった。尋常性乾癬に対する今回の外用連続療法は,皮膚症状を速やかに改善すると共にその後の寛解維持も良好で,主に精神面,生活および行動面での患者QOLの改善をもたらすことが示唆された。
  • 渡辺 大輔, 春日井 親俊, 玉田 康彦, 松本 義也, 江崎 健司, 阪野 弘之
    2010 年 72 巻 2 号 p. 169-175
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2010/06/25
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    目的 : そう痒性皮膚疾患患者にオロパタジン塩酸塩を処方し,患者のかゆみ症状の推移を患者アンケートおよびvisual analogue scale(VAS)の変動に関して調査を行い,VAS値が30以下となるまでの期間と患者の治療に対する満足度について検討した。方法 : そう痒性皮膚疾患患者118例に対し,オロパタジン塩酸塩5mgを1日2回2週間以上投与し効果を検討した。満足度は患者アンケートを,また効果は投与前,再診時のVAS値を用いて評価した。結果 : 湿疹・皮膚炎,アトピー性皮膚炎,蕁麻疹いずれにおいても半数以上の患者で再診1回目(2週間以内)におけるVAS値は30以下となり,また患者満足度の上昇も再診時に認められた。症例を再診1回目のVAS値≦30と>30の2群に分け,投与前VAS値と比較し検討してみたが,両群間での治療前VAS平均値に有意な差はみられず,投与前VAS値からその後の経過を予測することは難しいと考えられた。一方患者個別で初診時と比べた再診1回目のVAS減少率を基準として検討すると,減少率が50~70%に達しない場合は,その後もコントロール不良である傾向があった。結論 : オロパタジン塩酸塩は,2週間以内にかゆみ抑制効果を示すことが確認された。また,そう痒性皮膚疾患の治療においては再診1回目でのVAS減少率を指標とすることで,その後の治療予後を予測できる可能性が示唆された。
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