西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
74 巻 , 5 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
図説
綜説
症例
  • 喜多川 千恵, 志賀 建夫, 中島 英貴, 中島 喜美子, 池田 光徳, 佐野 栄紀
    2012 年 74 巻 5 号 p. 484-487
    発行日: 2012/10/01
    公開日: 2013/01/18
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    74歳,男性。数年来の四肢,体幹のそう痒を伴う紅斑,紅色丘疹,掌蹠の過角化を主訴に当科を受診した。これまで近医皮膚科でステロイド外用および抗アレルギー薬内服治療を受けるも効果は乏しく,当科でナローバンド UVB 療法を併用したが難治であった。大きな皺を避けて皮疹が分布しているという臨床的特徴より,丘疹紅皮症と診断し,掌蹠の角化性病変は Bazex 症候群の合併を考えたが,耳介や鼻の皮疹,爪の変化は伴っていなかった。悪性腫瘍検索を行ったところ,上部消化管内視鏡にて胃癌が発見され,胃癌摘出術後,それまで難治であった皮疹の劇的な改善を認めた。以上より皮疹と悪性腫瘍との間に因果関係が推測された。
  • 飯川 まどか, 室井 栄治, 石井 千寸, 持田 耕介, 小田 裕次郎, 瀬戸山 充, 楢原 進一郎, 濱口 儒人, 藤本 学
    2012 年 74 巻 5 号 p. 488-492
    発行日: 2012/10/01
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル 認証あり
    58歳,女性。初診の5年前より両側眼瞼の腫脹が出現した。次第に眼裂が狭小化してきたため当科を受診した。初診時,両側眼瞼の著しい腫脹を認め,頬部には浮腫を伴った紅斑があった。手指には Gottron 徴候,mechanic's hand を認め,血液検査では筋原性酵素の上昇および抗 EJ 抗体陽性を示した。また,下肢 MRI にて両側大腿内側から後面にかけて筋炎の所見が得られた。右上眼瞼からの皮膚生検ではムチン沈着を伴う interface dermatitis の所見を示した。全身検索にて間質性肺炎,肺高血圧症を合併していた。プレドニゾロン経口投与を行い,筋原性酵素は速やかに正常化し,眼瞼周囲の腫脹は軽減した。
  • 伊藤 亜矢子, 和久本 圭子, 吉田 雄一, 山元 修
    2012 年 74 巻 5 号 p. 493-496
    発行日: 2012/10/01
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル 認証あり
    29歳,男性。発熱と下顎の局面,下肢の紫斑を主訴に当科を受診した。初診時,38.7°Cの発熱と左下顎に7×6 cm の潰瘍を伴う紫紅色局面があり,下肢には浸潤を触れる紫斑が多数散在していた。また,関節痛と腹痛も認めた。病理組織学的には,下顎の局面辺縁では真皮から皮下にかけて赤血球の血管外漏出とリンパ球,形質細胞,好中球の血管周囲性ならびに間質内への浸潤があり,核塵も認めた。下肢の紫斑では真皮浅層の核破砕性血管炎を認め,蛍光抗体直接法で真皮乳頭層の血管周囲に IgA の沈着を認めた。顔面壊疽性膿皮症と Henoch-Schönlein 紫斑病の合併と考えステロイド内服治療(プレドニゾロン 40mg/day)を行ったが,紫斑が拡大し腹部症状も悪化したためステロイドパルス療法 (メチルプレドニゾロン 1g/day 3 日間) を行ったところ,皮疹はすみやかに消退し腹部症状は改善した。壊疽性膿皮症では稀ではあるが,Henoch-Schönlein 紫斑病を合併する場合があり注意が必要である。
  • 齊藤 知子, 宇佐川 祐子, 田代 あかり, 小野 友輔, 北島 順子, 松本 直子, 古江 増隆
    2012 年 74 巻 5 号 p. 497-500
    発行日: 2012/10/01
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル 認証あり
    0歳,男児。在胎39週6日に2752gで帝王切開にて出生した。出生直後より右上肢,右下肢を中心に Blaschko 線に沿って列序性に配列する小水疱および一部鱗屑・痂皮を伴う紅斑があり,左上肢,左下肢にも淡い紅斑を認めた。皮膚病理組織弱拡大像では,表皮は海綿状態で,真皮上層血管周囲に細胞浸潤を認めた。強拡大像で,表皮内への多数の好酸球浸潤,好中球浸潤を認め,真皮上層の血管周囲にも好酸球,リンパ球が浸潤していた。特異な臨床像および皮膚病理組織所見より色素失調症と診断した。5週間後には色素沈着が主体となった。染色体検査では46,XY で正常男性型であり,合併症の検索での眼科精査と頭部 MRI では異常所見は認めなかった。色素失調症の男児例はまれであり,文献的に考察した。
  • 坂本 麻衣子, 竹内 聡, 亀田 亜矢子, 千葉 貴人, 辻 学, 内 博史, 師井 洋一, 古江 増隆, 松田 哲男
    2012 年 74 巻 5 号 p. 501-504
    発行日: 2012/10/01
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル 認証あり
    64歳,男性。初診の12年前より左頚部に皮膚潰瘍が出現し拡大してきた。生検にて基底細胞癌と診断されたが,造影 MRI で耳下腺および胸鎖乳突筋への深部浸潤が疑われ,また,本人家族が手術を拒否したため,放射線治療を選択した。計 70Gy の X 線局所照射後,皮膚潰瘍面は縮小し MRI 画像上でも深部腫瘍巣は消失した。放射線治療終了3 年後の現在,局所再発を認めていない。深部浸潤性の本症で放射線治療の有効性が示された 1 例と考え,報告する。
  • 倉沢 友輔, 前川 直輝, 平田 央, 國行 秀一, 山中 一浩
    2012 年 74 巻 5 号 p. 505-509
    発行日: 2012/10/01
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル 認証あり
    57歳,女性。初診の3年前に左上腕部の腫瘤発生に気づいた。その後,巨大化し,出血・悪臭がひどくなったが,悪性と診断されることに対する恐怖感もあり,受診をためらい,放置していた。初診時,PET-CT などの全身精査では内臓,骨などに明らかな転移巣は認めなかった。腫瘤の全摘出術を施行した。摘出腫瘤は120×95×75 mm,307 g であり,多数の核分裂像をもつ大型異型細胞の集塊像が真皮全層にわたり,一部皮下脂肪織への浸潤がみられた。腫瘍細胞は一部にメラニンを有し,免疫組織学的に S-100 (+),HMB-45 (+) であった。以上より有茎性悪性黒色腫 (pedunculated malignant melanoma : PMM) であり,tumor thickness(TT) = 30.0 mm,nodular melanoma,pT4b,N0,M0,stage IIc と診断した。術後に多発性の皮膚転移,脳転移,骨転移を生じ,術後9ヵ月目に永眠した。自験例を含め,2000年以降28例の PMM に関する報告がみられ,そのうち腫瘍表面が紅色調を示すものが15例,T 分類で pT4 が17例,さらに予後に関しては転移を認めるもの6例,死亡例7例であった。PMM は腫瘍が深いレベルにまで浸潤している症例が多く,比較的予後不良であると思われた。
  • 堀川 永子, 室井 栄治, 石井 千寸, 瀬戸山 充, 菊池 英維
    2012 年 74 巻 5 号 p. 510-514
    発行日: 2012/10/01
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル 認証あり
    症例は,73歳,女性。初診1ヵ月前に左足内側に紅色丘疹を自覚した。以後2週間で径4cmまで増大した。生検にて悪性リンパ腫が疑われ当科を紹介され受診した。受診時,径9cmの紅色皮膚腫瘤と左足内側から左下腿にわたる浸潤性紅斑を認めた。同部位の皮膚生検にて,CD20, CD79a, MUM-1, bcl-2 陽性を示すリンパ球様細胞の真皮全層から皮下組織にわたる浸潤を認め,primary cutaneous diffuse large B cell lymphoma, leg type と診断した。R-THP-COP療法を施行後,徐々に腫瘤,浸潤性紅斑は消退したが,6コース目終了時点で,下腿内側に紅斑が出現し,皮膚生検にて再発を確認した。腫瘍細胞は CD79a は陽性であったが,CD20 は陰性化していた。放射線治療後も同部位に再発を認め,同部の生検では,CD20 陽性の腫瘍細胞の増殖がみられた。リツキシマブ投与による細胞表面マーカーの変化,治療抵抗性との関連について若干の文献的考察を加えて報告する。
  • 柴山 慶継, 古賀 文二, 今福 信一, 中山 樹一郎, 古賀 佳織
    2012 年 74 巻 5 号 p. 515-518
    発行日: 2012/10/01
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル 認証あり
    61歳,男性。原発性肺腺癌の脊髄転移に対し症状緩和目的で全脊椎照射を施行された。照射終了1週間後に,体幹部を中心に両上腕,両大腿まで広がる融合傾向のある自覚症状のない紅斑および紅色丘疹が出現した。皮疹は胸腹部および背部の放射線照射部位を避けるように分布していた。皮疹の分布から接触皮膚炎を疑ったが,明らかな原因はなかった。病歴,諸検査から pemetrexed による薬疹と考えた。抗アレルギー剤内服とステロイド外用にて症状は速やかに改善した。放射線照射部位に皮疹が出現しなかった理由として,放射線照射部の皮膚免疫能の低下が考えられた。
講座
治療
  • 窪田 泰夫, 中井 浩三, 森上 純子, 森上 徹也, 横井 郁美, 前田 麗子, 宗廣 明日香, 石川 絵美子, 細川 洋一郎, 小浦 綾 ...
    2012 年 74 巻 5 号 p. 541-547
    発行日: 2012/10/01
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル 認証あり
    成人アトピー性皮膚炎 (AD) 患者20例に,タクロリムス軟膏 (プロトピック® 軟膏0.1%) と体幹・四肢にはベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏 (アンテベート® 軟膏0.05%) を,顔面・頚部にはヒドロコルチゾン酪酸エステル軟膏 (ロコイド® 軟膏0.1%) を用いて導入期,移行期,維持期の3段階からなる外用連続療法を6週間実施し,臨床的有用性を EASI スコアとそう痒・不眠の程度により,また患者 QOL を SF-36 と DLQI により評価した。その結果,体幹・四肢および顔面・頚部ともに EASI スコアは経時的に有意な改善を示し,その効果も維持された。また,そう痒・不眠は導入期最終日より有意な改善が認められ,その効果は治療終了時まで持続した。QOL 評価において SF-36 では「体の痛み」,「全体的健康感」で有意な改善が認められた。DLQI の下位尺度のうち「症状・感情」,「日常生活」,「余暇」,「仕事・学校」面での改善が有意であった。さらに治療終了時に患者に治療開始前を思い出してもらい,治療前 QOL の再評価を行った DLQI スコアと治療前 DLQI スコアとの間には有意差があり,レスポンスシフトが確認された。成人アトピー性皮膚炎に対するステロイド軟膏とタクロリムス軟膏による外用連続療法は,顔面を含む全身の AD 皮膚症状を速やかに改善し,寛解維持効果も良好であり,患者 QOL の改善をもたらすことが示唆された。
  • 伊藤 宏太郎, 今福 信一, 山口 和記, 高橋 聡, 古賀 文二, 久保田 由美子, 中山 樹一郎
    2012 年 74 巻 5 号 p. 548-552
    発行日: 2012/10/01
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル 認証あり
    難治性のそう痒を伴う蕁麻疹・湿疹皮膚炎群 (湿疹・皮膚炎・皮膚そう痒症・アトピー性皮膚炎) 患者に塩酸フェキソフェナジンを倍量投与し,患者のかゆみ症状と眠気の推移を visual analogue scale(VAS) の変動に関して調査を行った。そう痒を伴う蕁麻疹・皮膚炎群患者47例に対し,新規症例では塩酸フェキソフェナジン120mg投薬1~2週間にてかゆみ VAS スコアの改善が30%未満の患者に対し倍量投与を施行した。また他の抗アレルギー剤を内服中も効果不十分であると判断された切り替え症例に関しては初回から倍量投与を施行し,かゆみと眠気を VAS スコアにて評価した。新規症例では66%が120mg/日投与でかゆみ VAS30%以上改善を達成したが,達成しなかった13例のうち倍量投与によりかゆみ VAS スコアが50%以上改善した患者は8例(62%)であった。また切り替え症例9例においては全例でかゆみ VAS スコアの50%以上の改善がみられた。倍量投与に伴う日中の眠気については倍量投与群において1例のみ認められた。以上より難治性のそう痒を伴う蕁麻疹・湿疹皮膚炎群において塩酸フェキソフェナジンの倍量投与は,眠気などの副作用が少なく,かゆみの VAS スコアを低下させ得る有効な治療であると考えた。
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