西日本皮膚科
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76 巻 , 1 号
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図説
症例
  • 後藤 寛之, 森 裕美, 吉田 雄一, 山元 修
    2014 年 76 巻 1 号 p. 3-6
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2014/04/26
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    36 歳の女性。妊娠 28 週時に出現した両下肢の紫斑を主訴に来院した。臀部から両大腿部,下腿にかけて癒合傾向のある palpable purpura が多数みられた。採血で腎機能は正常だったが,尿蛋白と尿潜血を認めた。病理組織学的に赤血球の血管外漏出と,真皮小血管壁のフィブリノイド変性を認めた。蛍光抗体直接法ではIgA が血管壁に沈着していた。Henoch-Schönlein Purpura (HSP)と診断し,プレドニゾロン 20 mg/日内服を行った。胎児に異常はみられず,妊娠 39 週に自然分娩し,尿蛋白と尿潜血も改善した。妊娠と関連した HSP 報告例は過去 24 例であった。その中には,重症の紫斑病性腎炎を合併し,胎児の予後が不良となった症例もあった。妊娠中に本疾患を発症した場合は注意を払う必要があるとともに,重症化する可能性がある場合は,十分な説明を行い,適切な治療を行うことが重要であると考えた。
  • 樋口 睦美, 安川 史子, 中原 剛士, 高原 正和, 師井 洋一, 小田代 敬太, 竹中 克斗, 古江 増隆
    2014 年 76 巻 1 号 p. 7-9
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2014/04/26
    ジャーナル 認証あり
    56 歳の男性。半年前から左足の疼痛,しびれを生じ,次第に悪化してきたため当院を受診した。初診時,両下腿と両足趾の網状の紫紅色斑と左足趾のチアノーゼ様変化,潰瘍が認められた。病理組織学的に真皮上層の血管の拡張と増生があり,中層の一部の血管壁は肥厚していた。血液検査にて血小板が著明に増加していることが判明し,精査にて本態性血小板血症と診断された。ハイドロキシウレアとアスピリンの内服を開始し,血小板数の正常化に伴い足趾の潰瘍も上皮化した。足趾のチアノーゼや網状皮斑,潰瘍を来すものとして稀ではあるが本態性血小板血症も鑑別にあげる必要があると考えた。
  • 村田 真帆, 園山 浩子, 増野 年彦, 郡谷 篤史, 古江 増隆
    2014 年 76 巻 1 号 p. 10-13
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2014/04/26
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    54 歳の男性。糖尿病に起因する慢性腎不全のため 13 年前に左前腕内シャントを作成し血液透析を開始した。初診の 6 カ月前に感染によりシャント閉鎖したため,右前腕に内シャントを新設し透析を継続していた。初診の 2 カ月前に外傷を機に右第 1~4 指,手掌,左第 2 指に壊死を生じ,保存的に経過をみていたが,右第1 指に感染を生じたため指節間関節で切断した。血管造影で,アクセス静脈への過剰な血流増加とシャント圧迫時の著明な末梢動脈血流増加 (盗血現象) の所見が得られ,手指の臨床症状と合わせて,内シャントによる steal 症候群と診断した。右上腕-橈骨動脈バイパス術を行ったところ手指血流は速やかに改善した。デブリードマン施行後,局所陰圧閉鎖療法を行い,潰瘍は治癒した。透析患者の皮膚病変は診断,治療に難渋することが多く,診察時にはより注意深い観察が必要である。
  • 桑江 義介, 春名 邦隆, 須賀 康
    2014 年 76 巻 1 号 p. 14-17
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2014/04/26
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    58 歳の女性。特に誘因なく右手全体が.痒を伴って腫脹してきたため近医を受診した。ステロイド外用剤で加療を受けたが改善を認めず,当科を紹介され受診した。右手背部に直径 1 cm 超,弾性硬の皮下結節を 3 つ触知した。X 線,CT 画像では異常は指摘できなかったが,MRI 画像にて T1 low,T2 low の皮下腫瘤を認めた。腫瘤の一部を生検した結果,乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫を認め,胸部 X 線にて両側肺門リンパ節の腫脹を認め,ガリウムシンチグラフィーでは肺門・右手背・耳下腺部に異常集積がみられたため,自験例をサルコイドーシスと診断した。トラニラスト 300 mg/day の内服にて治療開始したところ奏効した。皮下結節はサルコイドーシスの皮膚症状として重要であるが,MRI 画像は本症の補助診断や病変の位置,個数の把握に有用であった。また,片側の手背部に限局した皮下型サルコイドーシスは本邦ではこれまでに報告例がなく,トラニラスト 300 mg/day の内服治療が奏効した点でも自験例は興味深い症例であると思われた。
  • 冬野 洋子, 中原 真希子, 古江 増隆
    2014 年 76 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2014/04/26
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    Hypomelanosis of Ito の 2 例を経験したので報告する。症例 1) 生後 7 カ月,男児。出生時より,僧帽弁逆流症,動脈管開存症,右大動脈弓,停留精巣,左難聴,両第 5 指のオーバーラップ,顔貌異常があった。体幹部ではほぼ水平,四肢では縦走し Blaschko 線に沿って配列する帯状・線状の脱色素斑がみられた。前額部と後頭部に Unna 母斑が疑われる血管拡張を認めたが,その他経過中に紅斑や鱗屑,水疱はみられなかった。以上より hypomelanosis of Ito と診断した。染色体異常はなく,頭部 MRI でも異常を認めなった。皮膚生検の HE 染色では明らかな異常所見を認めず,脱色素斑部と正常部での相違も認めなかった。フォンタナマッソン染色では,脱色素斑部で基底層のメラニン顆粒は減少しており,組織学的色素失調の所見はみられなかった。MITF 染色,チロシナーゼ染色,c-KIT 染色ではいずれも脱色素斑部で基底層の陽性細胞が減少していた。症例 2) 1 歳 1 カ月,女児。出生時より,鎖肛,両外反腫足症,右第 3~5 趾合趾症,左第 4・5 趾合趾症,左腎低形成を認めた。また,四肢に縦走する線状・帯状の脱色素斑を認め,hypomelanosis of Ito と診断した。本症は中枢神経症状を主とした重篤な合併症が大きな問題となることが多いが,特徴的な皮疹から皮膚科医が早期診断に寄与すべき疾患と思われる。
  • 根本 利恵子, 楢原 進一郎, 瀬戸山 充
    2014 年 76 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2014/04/26
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    生後 1 カ 月の女児。出生時より背部正中から右側にかけ皮膚面よりやや隆起,多発,融合する大小の局面形成を認めた。局面は全体的に淡黄色調を示し表面は顆粒状を呈していた。病理組織学的に病変は軽度の乳頭腫症を伴う未熟な毛包,脂腺の増生を認め,類器官母斑と診断した。分布パターンは Happle のモザイク分布パターンのうちIII型 (葉状型) を示しているものと考えた。自験例は現在のところ皮膚症状以外には中枢神経症状や骨格系などの異常を認めないが,特徴的な分布を示していることより脂腺母斑症候群を念頭において,注意深く経過観察していく必要があると思われた。
  • 伊地知 亜矢子, 千葉 貴人, 工藤 恭子, 蜂須賀 淳一, 中原 剛士, 内 博史, 高原 正和, 師井 洋一, 古江 増隆
    2014 年 76 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2014/04/26
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    過去 5 年間に九州大学病院皮膚科で経験した下肢原発の血管肉腫 4 例を報告する。症例は 4 例とも女性であり,発症時の年齢がそれぞれ49 歳,67 歳,76歳,39 歳で,うち1 例は転移による再発例であった。3 例には慢性リンパ浮腫の既往があり,Stewart-Treves 症候群と診断した。治療は症例毎に異なるが,基本的には手術療法,タキサン系の抗癌剤による化学療法,放射線療法を組み合わせた集学的治療を行った。過去の報告からも頭部顔面の血管肉腫に比べて,下肢の血管肉腫では発症年齢が若く,女性が多い。長期間の慢性リンパ浮腫患者では,Stewart-Treves 症候群の発症に注意し,リンパ浮腫ケアと早期発見のための経過観察を行う必要があると考えた。
  • 井上 卓也, 鶴田 紀子, 多良 明子, 三砂 範幸, 小林 直美, 荒金 尚子, 林 真一郎, 成澤 寛
    2014 年 76 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2014/04/26
    ジャーナル 認証あり
    59 歳,男性。右上腕外側の皮下腫瘤を自覚し,8 カ月の経過で次第に増大した。摘出した腫瘍の病理組織所見より,undifferentiated high grade pleomorphic sarcoma と診断した。全身検索で遠隔転移はなく,拡大切除を行ったが,手術の 10 カ月後に多発肺転移が出現した。Adriamycin と ifosfamide の併用化学療法を 5 コース行ったところ,肺転移巣は消失した。しかし,その10 カ月後に転移巣が再増大し,拡大切除後 4 年 6 カ月で永眠した。Undifferentiated high grade pleomorphic sarcoma を含む非円形細胞肉腫は化学療法に対する感受性が高くなく,治療の基本は手術と放射線療法である。遠隔転移を伴う場合には化学療法が必要だが,標準的化学療法は確立していない。しかし,近年,切除可能な症例では化学療法によって全生存率が延長することが示されている。自験例では,化学療法が奏効し,生命予後を延長した可能性がある。
治療
  • 山中 恵, 尾本 陽一, 北川 敬之, 欠田 成人, 水谷 仁
    2014 年 76 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2014/04/26
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    ステロイド軟膏単独または活性型ビタミン D3(VD3) 軟膏との併用による外用療法に対して,難治性の皮疹を持つ尋常性乾癬患者 59 例を対象に,ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルローション (ANT-L) およびカルシポトリオール軟膏(DOV-O)の1 日1 回の重層併用療法による有用性と患者 QOL について前治療別に検討した。本治療により,前治療が very strong クラス以上のステロイド軟膏単独治療 35 例および very strong クラス以上のステロイド軟膏と VD3 軟膏併用治療 24 例のいずれの場合も,試験開始時に比べて,皮膚症状,患者 QOL の評価において有意な改善が認められた。今回の結果により DOV-O と ANT-L の重層併用療法が,外用療法が実施されている難治性の尋常性乾癬患者に対して,ステロイド軟膏からローションへの剤形変更に加え,新たな DOV-O の追加あるいは DOV-O への変更により,1 日 1 回の外用で治療効果を得られる外用療法であることが明らかとなった。この効果には外用アドヒアランスの向上が大きな要因であることが推測された。
  • 草刈 良之, 谷田 宗男, 江川 貞恵, 吉田 寿雄, 新郷 敏彦, 中村 圭吾, 山本 由美子, 山崎 研志, 相場 節也
    2014 年 76 巻 1 号 p. 44-51
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2014/04/26
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    腎機能低下を示す日本人帯状疱疹患者での抗ヘルペスウイルス薬安全性の前向き検討は報告がない。本調査では,腎機能低下を示す日本人帯状疱疹患者に対するファムシクロビル (以下 FCV) の有効性と安全性を前向きに検討した。FCV 投与開始前のクレアチニンクリアランス (以下Ccr) が60~90ml/min 群,40~59 ml/min 群,20~39 ml/min 群,20 ml/min 未満群の各群でそれぞれ 10 例以上,内 9 例の透析患者を含む計53 例が登録され,初診時の患者背景と腎機能低下の程度を考慮して添付文書記載の減量方法に沿って FCV を処方した。FCV 投与開始時および投与終了後 2 週間を目安として全般改善度,疼痛の程度,副作用の有無を評価したところ,全般改善度が「著明改善」あるいは「改善」と判定された患者の割合 (改善率) は 90.4%であった。その他は「やや改善」と判断され,「不変」・「悪化」と判定された患者はなかった。完全痂皮化するまでの日数の 50%点は 8 日であり,疼痛残存率の 50%点は 21 日であった。Ccr 別改善率では,20 ml/min 未満の群 (75.0%) と透析患者群 9 例 (77.8%) はその他の群に比べてやや低い傾向であったが,統計学的有意差は認められなかった。副作用は全例で認められなかった。これらの結果は,透析患者を含む腎機能低下患者に対して,適正使用下でのFCV の有効性と安全性を確認したものである。
提説
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