西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
77 巻 , 2 号
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図説
綜説
症例
  • 本多 舞, 鍬塚 大, 吉見 公佑, 富村 沙織, 堀 眞, 宇谷 厚志
    2015 年 77 巻 2 号 p. 115-118
    発行日: 2015/04/01
    公開日: 2015/07/28
    ジャーナル 認証あり
    51 歳,男性。既往歴に 27 歳に発症したクローン病があり,50 歳よりアダリムマブの 2 週に 1 回の皮下注射で治療中であった。初診の 1 カ月前より全身に瘙痒のある浮腫性紅斑の出没を数日で繰り返すようになった。近医で蕁麻疹と診断し,抗アレルギー剤,短期間のプレドニゾロン内服を行うも,内服中止により再燃したため,当科を受診した。精査加療のため当科入院となった。入院後は蕁麻疹様血管炎の疑いとして抗アレルギー剤内服の継続と安静にて,四肢・体幹に認めた瘙痒を伴う地図状の浮腫性紅斑は自然消退した。しかし,好酸球が 64%まで徐々に上昇し,四肢の関節痛も出現,増悪した。入院 20 日目に両側手指や下腿に限局性に紫斑が出現し,その生検では,真皮浅層に好酸球と好中球の浸潤ならびに,真皮浅層の小血管にフィブリノイド壊死性血管炎の所見を認めた。好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis : EGPA)と診断し,プレドニゾロン 30 mg/日の内服にて,症状は速やかに消失した。治療開始後 9 カ月でプレドニゾロンを 15 mg/日まで減量しているが再燃は認めていない。EGPA の皮膚所見は多彩であり,診断に至るまで時間を要した症例であった。
  • 倉田 裕介, 山田 隆弘, 廣重 美和, 久保 誠, 山口 道也, 中村 好貴, 武藤 正彦
    2015 年 77 巻 2 号 p. 119-123
    発行日: 2015/04/01
    公開日: 2015/07/28
    ジャーナル 認証あり
    24 歳,女性。2004 年 4 月,15 歳時に全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus : SLE) と診断され,当科にて加療中であったが,2009 年 9 月以降外来通院が途絶えていた。2013 年 5 月末に両膝,足関節,手指関節の腫脹が出現し,両頰部紅斑,光線過敏を認めたため SLE の再燃が疑われ当科へ入院となった。血液検査所見では抗核抗体価 1280 倍以上,抗 dsDNA 抗体価 194 倍,血清補体価の低下(CH50 12.0 U/ml,C3 42 mg/dl,C4 2 mg/dl)を認め,SLE の急性増悪と診断した。リン酸ベタメタゾンナトリウム 4 mg/日の点滴投与により治療を再開し,頰部紅斑および関節症状は速やかに改善した。 プレドニゾロン内服投与量を 25 mg/日に減量後 9 日目に突然右片麻痺を発症したため,MRI を撮影したところ,脳静脈洞血栓症(cerebral venous thrombosis:CVT)を認めた。血清補体価は依然として低値で,ループスアンチコアグラントが陽性であったため,抗凝固療法およびステロイドパルス療法を行ったところ,右片麻痺は軽快し血液検査所見も改善を認めた。病勢の強い SLE に CVT を合併した稀な症例を経験したので,若干の文献的考察を加えここに報告した。
  • 伊原 穂乃香, 古賀 文二, 古賀 佳織 , 白石 素公, 今福 信一
    2015 年 77 巻 2 号 p. 124-127
    発行日: 2015/04/01
    公開日: 2015/07/28
    ジャーナル 認証あり
    27 歳,男性。3 年前に頭痛,発熱が出現し,当院呼吸器内科で画像所見ならびにクオンティフェロン TB 検査にて結核性膿胸と診断され,抗結核薬の 3 剤併用療法を開始された。症状は徐々に改善し,6 カ月間内服し治療は終了した。1 年前より下肢を中心に拇指頭大までのやや萎縮した褐色斑が出現した。既往歴と臨床像から結核疹などを疑い,皮膚生検を行った。病理組織学的所見では真皮に好酸性の無構造領域を取り囲むような類上皮細胞肉芽腫があった。HE 染色像では確定診断できず,Propionibacterium acnes 抗体(PAB 抗体)を用いた免疫染色所見ならびに血清 ACE 高値,ツベルクリン反応陰性よりサルコイドーシスと確定診断した。自験例では結核菌の感染およびその治療がサルコイドーシスの発症に寄与したかどうかは不明である。しかしながら自験例の経過や過去の報告から,両者が関連する病態である可能性があると考えた。
  • 面高 俊和, 林 宏一, 上條 史尚, 大橋 敦子, 三宅 知美, 萩原 裕明, 石曽根 聡, 宮川 眞一, 古賀 弘志, 奥山 隆平
    2015 年 77 巻 2 号 p. 128-130
    発行日: 2015/04/01
    公開日: 2015/07/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は26歳,女性。初診の約 2 週間前から左腰部の腫脹と疼痛が出現した。症状は徐々に増悪し,同部から排膿があったため当科を受診した。左腰部に熱感と圧痛を伴う 10 cm 大の紅斑性の腫脹を認めた。 紅斑の中央部からは,黄白色の膿と糞便状の液体が排出されていた。発熱はなく,腹部所見に異常を認めなかった。血液生化学検査では C 反応性蛋白の上昇を認めた。排出された膿の細菌培養検査では Escherichia coliStreptococcus anginosus を検出した。腹部造影 CT 検査と MRI 検査において皮膚と結腸の間に瘻孔が認められ,結腸皮膚瘻による皮下膿瘍と診断した。当院外科で,ドレナージと抗生剤の投与が行われた。注腸造影検査では下行結腸の狭窄と同部から皮膚への瘻孔を認め,大腸内視鏡検査で下行結腸の狭窄と敷石状所見を認めた。臨床経過と検査所見から Crohn 病に伴う結腸皮膚瘻と診断した。抗 TNFα 抗体製剤による治療が開始されたが,狭窄病変の改善が乏しかったため,結腸部分切除術と瘻孔切除術を行った。皮下膿瘍は日常診療でしばしば遭遇する疾患であるが,本症例の皮下膿瘍は Crohn 病による結腸皮膚瘻であった。体幹部に生じた皮下膿瘍では慎重に診察を行い,腸管など深部臓器との連続性が疑われる場合は,安易に切開,排膿を行う前に,積極的に画像検査を行うべきであると考えた。
  • 溝手 美華, 三苫 千景, 古江 増隆
    2015 年 77 巻 2 号 p. 131-133
    発行日: 2015/04/01
    公開日: 2015/07/28
    ジャーナル 認証あり
    67 歳,女性。初診の 3 カ月前に右耳前部の腫瘤に気付いた。腫瘍は 6 ×3 mm で弾性軟,黒褐色の半球状腫瘤だった。ダーモスコピーでは,腫瘤は暗紫紅色調で,中央部に不整な白色構造と不規則な白色線条を認めた。組織学的に pilomatricoma と診断した。Pilomatricoma は若年者に好発し,正常皮膚に覆われて硬く触れる皮内または皮下の結節であることが多いが,腫瘤を形成したり,被覆皮膚に水疱や潰瘍を形成するなど多彩な臨床像を呈することもある。Pilomatricoma のダーモスコピー像の検討はほとんど行われていない。我々は,高齢者の耳前部に,黒褐色調の半球状腫瘤を形成した pilomatricoma を経験したので,そのダーモスコピー像について文献的考察を加えて報告する。
  • 中村 有希子, 中村 好貴, 松本 貴志子, 倉田 裕介, 武藤 正彦
    2015 年 77 巻 2 号 p. 134-137
    発行日: 2015/04/01
    公開日: 2015/07/28
    ジャーナル 認証あり
    54 歳,女性。初診の 1 週間前より発熱,全身倦怠感が出現した。その後,両側の手,足,膝関節の腫脹,疼痛,両下肢の発疹が出現したため,当科へ入院となった。両大腿から下腿にかけて点状から斑状の紫斑を認め,病理組織学的検査にて真皮浅層から中層にかけての血管に白血球破砕性血管炎を認めた。血液検査所見では CRP 上昇,赤沈亢進,リウマトイド因子高値を認めたため,関節リウマチを疑ったが,発熱,関節痛,下肢の紫斑は対処療法のみで軽快した。抗ヒトパルボウイルス B19 IgM 抗体が陽性であったことから,一連の臨床症状はヒトパルボウイルス B19 感染に伴うものと診断した。臨床症状は対処療法のみで軽快したが,発疹消退後 3 年経過した現在においても,数値は減少したもののリウマトイド因子は依然として陽性のままである。成人ヒトパルボウイルス B19 感染症はリウマトイド因子陽性や関節リウマチ様症状を呈し,一時的に関節リウマチの診断基準を満たすこともある。成人ヒトパルボウイルス B19 感染症はリウマチ・膠原病疾患との鑑別を要する疾患であり,発熱,関節痛を伴い非典型的な発疹を呈する成人例に対しては,ヒトパルボウイルス B19 感染症を念頭におくことが診断に際して重要である。
  • 福地 麗雅, 西村 香織, 竹中 基, 西本 勝太郎
    2015 年 77 巻 2 号 p. 138-141
    発行日: 2015/04/01
    公開日: 2015/07/28
    ジャーナル 認証あり
    症例 1:8 カ月,男児。初診 1 カ月前より右頰部に小豆大の紅色丘疹が出現した。抗菌薬・抗真菌薬を外用したが反応はなかった。局所の受傷歴はなかった。症例 2:73歳,男性。初診 11 カ月前に左手背に受傷した。その半年後から左手背に径 3 cm 程の紅色腫瘤を形成し,さらに 2 カ月後から右上腕にも径 2 cm 程の結節の集簇を認めた。2 例とも病理組織学的所見および真菌学的所見から Sporothrix schenckii によるスポロトリコーシスと診断した。2 例ともイトラコナゾールと温熱療法にて治癒した。我が国で小児のスポロトリコーシスに対するイトラコナゾール内服療法に関する報告は少ない。治療の目安としては,投与量 5 mg/kg/day,治療期間 2~3 カ月で治癒を期待できるものと考えた。
  • 竹井 賢二郎, 高原 正和, 永江 航之介, 辻 学, 松田 哲男, 中原 剛士, 内 博史, 古江 増隆
    2015 年 77 巻 2 号 p. 142-145
    発行日: 2015/04/01
    公開日: 2015/07/28
    ジャーナル 認証あり
    72 歳,男性。高血圧と糖尿病で加療中であった。当科初診の 3 カ月前に左前腕にバラの棘が刺さり,同部位に紅色丘疹が出現した。近医で加療されたが,軽快せず当科を紹介され受診した。左前腕に自覚症状のない直径 2 cm で,中心に痂皮を伴った紅斑が認められた。紅斑からの生検組織をサブロー・デキストロース寒天培地で培養したところ,表面が平滑で皺襞があり隆起した,白色で中央がオレンジ色のコロニーが形成された。分離された菌はグラム陽性で,分岐した糸状発育を示す桿菌であり,ノカルジア属と考えられた。分子生物学的同定法にて16S-rRNA の配列が,Nocardia brasiliensis に一致した。以上から,本症例を Nocardia brasiliensis による皮膚ノカルジア症と診断した。治療は,ミノサイクリン 200 mg/日の内服を開始したところ 6 週間でわずかな瘢痕を残して略治した。
講座
治療
  • 成田 博実
    2015 年 77 巻 2 号 p. 153-158
    発行日: 2015/04/01
    公開日: 2015/07/28
    ジャーナル 認証あり
    2009 年 10 月から 2014 年 2 月までに経験した指趾末節部背側の指趾粘液囊腫 116 症例,122 指趾 123 個について報告した。年齢性別,部位,爪甲の縦走陥凹・ヘバーデン結節の有無について調べた。また,穿刺排液後にテーピングによる圧迫療法を行ったので,その有用性について検討した。年齢は 28~87 歳で,平均 62.0 歳。男女比は男 48 例(40%),女 71 例(60%)であった。部位は手指 103 個,足趾 20 個で,中指が46 個と最も多く,第 5 趾には囊腫を認めなかった。爪甲の縦走陥凹,手指のヘバーデン結節の有無について,それぞれ 60 指趾,58 指で検討を行い,27 指趾(45%),23 指(40%)に認めた。テーピングによる圧迫療法の治療経過については,経過の判明した 45 指趾 45 個中,治癒が 39 指趾 39 個で治癒率は 87%であった。その治癒病変の穿刺回数は 0~19 回で,平均 2.8 回であった。また,治癒部のテーピング期間は 1 週~29 カ月で平均 4.4 カ月であった。穿刺テーピング法は,簡便で日常生活の中で行えて,低侵襲性で非常に有用な手技と考えた。また,指趾粘液囊腫の圧迫で生じる爪甲縦走陥凹は,診断と治癒判定に役立つことも強調した。
  • 中山 秀夫, 陳 科栄, 伊賀 和宏, 陣内 宏行
    2015 年 77 巻 2 号 p. 159-165
    発行日: 2015/04/01
    公開日: 2015/07/28
    ジャーナル 認証あり
    コウジ酸 0.4%,リキリチン 0.05%でクリームベースに入れた美白外用剤を作り,これを肝斑,色素沈着型化粧品皮膚炎(旧名 女子顔面黒皮症),日光黒子のレーザー照射後,アトピー性皮膚炎に合併する色素沈着症,その他の頑症な発疹後色素沈着症に 1 日 2 回患部に単純塗布の外用をしてその効果をみた。患者は月 1 回外来で follow up し,同一条件でカラー写真を撮り,客観的評価が得られるようにした。結果は,肝斑では平均 10 カ月の連用で 36 名中全治~有効 34 名,有効率 94.4%であった。日光黒子のレーザー照射後の外用では 32 名で改善 62.5%,副作用は肝斑,日光黒子で 0 名であった。色素沈着型化粧品皮膚炎は化粧品シリーズのパッチテストとこれにひき続く抗原除去治療を開始してから上記美白剤の外用をして,平均 10 カ月で略治 2 名,平均 8.8 カ月で 10 名に著明な改善があり,合計 17 名中 16 名に改善以上があって,有効率 94.1%であった。外国人の多価アレルギーの 1 名のみに不適合があった。Dirty neck を含む頑症の発疹後色素沈着症 19 名では 17 名に改善がみられ,有効率は89.5%であった。雀卵斑や vitiligo の辺縁の色素沈着も共に色調を薄くすることができた。この新しい合剤は,従来の1%コウジ酸クリームより効果の発現が早く,連用による皮膚炎の副作用は出なかった。1% cream を含め,これまで10年以上の follow up した症例でも,副作用として白斑は 1 例も出ていない。
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