西日本皮膚科
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77 巻 , 6 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
図説
綜説
症例
  • 小池 真美, 林 周次郎, 大谷 翼伶, 小田 佐智子, 濱崎 洋一郎, 籏持 淳
    2015 年 77 巻 6 号 p. 548-551
    発行日: 2015/12/01
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル 認証あり
    30 歳,女性。初産婦。妊娠 41 週 0 日に男児を正常分娩で出産し,児に異常はみられなかった。出産 2 日後より四肢を中心に紅斑と小水疱を伴う皮疹が出現し,徐々に拡大してきたため精査・加療目的に当院を紹介され受診した。初診時,特に足背・手背に瘙痒を伴う緊満性水疱が多発し,多形滲出性紅斑様の紅斑を認めた。血液検査所見では抗 BP180NC16a 抗体(以下抗 BP180 抗体)は 280 と高値,病理組織学的所見では表皮下水疱がみられ,水疱内にフィブリンを認めた。蛍光抗体直接法では,表皮基底膜部に IgG,C3 が線状に沈着していた。以上より自験例を妊娠性疱疹と診断した。プレドニゾロン(PSL)50mg/日から治療を開始し,皮疹は軽快した。現在 PSL 5 mg/日まで漸減しているが症状の再燃はみられていない。 本邦でこれまでに報告された産褥期に発症した妊娠性疱疹 9 例の抗 BP180 抗体の ELISA による測定値を検討したところ,産褥期発症例では出産前発症例に比較して低値であった。これに対し,自験例は産褥期発症例であるにもかかわらず高値を示した点が特異であると思われた。
  • 桑代 麻希, 木村 裕美, 井上 卓也, 三砂 範幸, 成澤 寛
    2015 年 77 巻 6 号 p. 552-555
    発行日: 2015/12/01
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル 認証あり
    39 歳,女性。2013 年 8 月初旬に鼻根部左側に小さな皮下結節を自覚した。皮下結節は徐々に増大したため,9月に当科を受診した。10×8 mm の下床と可動性良好な硬い皮下結節を認めた。同部に外傷や手術の既往はなかった。皮膚混合腫瘍や良性軟部腫瘍などを疑って摘出した。病理組織学的所見では,真皮深層から皮下に及ぶ比較的境界明瞭な肉芽腫性病変があり,内部には笹の葉状の裂隙を形成し,それを取り囲むように異物巨細胞,組織球を主体とする炎症細胞浸潤を認めた。以上の所見より皮膚コレステリン肉芽腫と診断した。鑑別疾患に,表皮囊腫が破綻したあとに生じる炎症後肉芽腫が挙げられるが,自験例では角質や上皮成分は認めず,顕著な好中球,リンパ球の浸潤もなかったため否定した。コレステリン肉芽腫はさまざまな部位での報告があるが,そのほとんどが中耳発生例である。皮膚コレステリン肉芽腫は非常に稀であり,若干の考察を加えて報告する。
  • 上尾 大輔, 山口 都美子, 増田 満, 波多野 豊, 藤原 作平
    2015 年 77 巻 6 号 p. 556-560
    発行日: 2015/12/01
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル 認証あり
    82 歳,男性。塵肺の既往がある。初診の 1 年前より,顔面の瘙痒を伴う浸潤性紅斑・膿疱が出現し,その後体幹に拡大した。生検で毛包脂腺周囲に好酸球浸潤を認め,好酸球性膿疱性毛包炎と診断した。インドメタシン 50mg/日が奏効したが,25 mg/日に減量したところ再燃した。ミノサイクリン 200 mg/日内服は無効であった。自験例は 2013 年までの報告のうちで最高齢発症であり,皮疹が広範囲にみられ,経過中著明な高 IgE 血症と末梢血好酸球増多を認めた。多剤内服中に突然皮疹が生じたことより,薬剤との関連性について考察した。
  • 前田 彩未, 伊藤 宏太郎, 今福 信一, 古江 増隆
    2015 年 77 巻 6 号 p. 561-564
    発行日: 2015/12/01
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル 認証あり
    在胎 29 週に 1245 g の極低出生体重で出生した 2 カ月の男児。生後 2 カ月頃より両頰部に角化性紅斑が出現し,鼻翼周囲,下顎,外陰部にも鱗屑を付する紅斑が拡大した。ステロイド剤外用や抗生剤外用を行ったが皮疹は改善しなかった。母親の血清亜鉛濃度は 93 μg/dl (65∼110 μg/dl) と正常値であったが,母乳中亜鉛濃度 32 μg/dl (110∼270 μg/dl),患児の血清亜鉛濃度 17μg/dl (65∼110 μg/dl) と低値であったため,低亜鉛母乳による後天性亜鉛欠乏症と診断した。母乳栄養を継続の上で,亜鉛含有の人工乳を追加したところ,7 日後に皮疹は著明に改善し,現在まで皮疹の再燃は認めていない。
  • 永瀬 浩太郎, 白井 礼子, 古場 慎一, 三砂 範幸, 成澤 寛
    2015 年 77 巻 6 号 p. 565-569
    発行日: 2015/12/01
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル 認証あり
    41 歳,女性。初診の約 9 カ月前の乳癌検診で右腋窩に皮下腫瘤を指摘された。皮下腫瘤は徐々に増大してきたため,精査加療目的に当科外来を受診した。右腋窩に直径 3 cm の境界明瞭,弾性軟,可動性良好な皮下腫瘤を認め,局所麻酔下に切除した。病理組織学的には線維性被膜に包まれた境界明瞭な結節性病変を認め,線維芽細胞の増生を伴った線維性結合組織の中に,類円形の多数の腺管腔を認めた。上皮性の腺成分は,管腔側の乳管上皮細胞と壁側の筋上皮細胞による 2 層構造を呈し,腺腔には断頭分泌像も認めた。また,腫瘍の周囲には正常乳腺組織が存在し,右腋窩副乳に発生した線維腺腫と診断した。線維腺腫は乳腺組織に生じる良性腫瘍であるが副乳に生じた報告は少ない。特に皮膚科領域からは少数の報告を散見するに過ぎず,日常診療においては遭遇する機会は少ないと考え注意が必要である。
  • 中尾 匡孝, 岩崎 菜保子, 東 修智, 松本 大輔, 本下 潤一, 竹内 聡
    2015 年 77 巻 6 号 p. 570-574
    発行日: 2015/12/01
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル 認証あり
    62 歳,男性。半年前より顔面に紅褐色結節が出現し,頭部や体幹にも紅斑や結節が多発してきたため当院形成外科を受診した。下顎右側の紅色結節の切除術を受け,病理組織検査で真皮全層に稠密なリンパ球主体の細胞浸潤が認められた。明らかな異型や多数の細胞分裂像はみられず,免疫組織化学染色で多数の B および T 細胞が混在していた。頭部や臍部の結節や隆起性紅斑も同様の組織像であり,同部の生検組織で免疫グロブリン遺伝子や T 細胞受容体遺伝子の再構成は認められなかった。また血液検査や CT 検査にて悪性リンパ腫を示唆する所見はなかった。以上より多発性の偽リンパ腫と診断した。結節や紅斑はトリアムシノロンアセトニド局注が奏効するが,再燃や一部新生が認められ,現在も定期加療中である。偽リンパ腫を前病変として,真性リンパ腫が発生することもあり,今後も注意深く経過を診ていく必要がある。
  • 宇都宮 亮, 岡崎 秀規, 宮脇 さおり, 森 秀樹, 村上 信司, 橋本 公二, 佐山 浩二
    2015 年 77 巻 6 号 p. 575-578
    発行日: 2015/12/01
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル 認証あり
    64 歳,女性。54 歳から四肢体幹に局面があり,円板状エリテマトーデスの診断でステロイド外用剤を処方されていたが,外用は不定期に行っていた。初診 2 カ月前より右下腿の局面が一部潰瘍化し急速に増大した。生検で有棘細胞癌と診断され当科紹介となった。腫瘍切除を行い,病理組織学的に腫瘤は高分化型の有棘細胞癌で,腫瘍辺縁は hypertrophic lichen planus の像であった。稀ではあるが,hypertrophic lichen planus は有棘細胞癌の発生母地となることがあり,慎重な経過観察が必要と考える。
研究
  • 飛田 礼子, 千貫 祐子, 野上 京子, 森田 栄伸
    2015 年 77 巻 6 号 p. 579-583
    発行日: 2015/12/01
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル 認証あり
    36 歳,女性。カルボシステイン(SCMC),ジメモルファンリン酸塩服用開始数日後,背部,頚部,臀部の色素沈着に気付いた。SCMC の固定薬疹を疑い,薬剤リンパ球幼若化試験(DLST)を施行したところ陰性で,SCMC そのものの貼布試験も陰性であったが,SCMC の中間代謝産物であるチオジグリコール酸(TDA)の貼布試験は陽性反応であった。SCMC 内服試験にて,内服開始 3 日後に瘙痒を伴う紅斑の誘発がみられたことから,SCMC による固定薬疹と診断した。SCMC の固定薬疹では,発現機序に SCMC の中間代謝産物である TDA の関与が指摘されており,その診断においては TDA を用いた貼布試験が有用であるという複数の報告例がある。自験例でも TDA の貼布試験で陽性反応を認めたが,健常人での貼布試験でも同様に陽性反応を認めた。このため,SCMC による固定薬疹の診断における TDA 貼布試験の有用性を検討する目的で,自験例と健常人 5 名を対象として,種々の濃度に調整した TDA の貼布試験を行い,反応性を評価した。その結果,患者,健常人ともに濃度依存性に強い反応が認められ,TDA 水溶液の pH を確認したところ強酸であることが判明した。このことから,TDA の貼布試験による浸潤性紅斑は刺激反応である可能性があり,その判定には注意を要する。
統計
  • 木村 七絵, 岡部 倫子, 中川 理恵子, 幸田 太, 出雲 明彦, 古江 増隆
    2015 年 77 巻 6 号 p. 584-588
    発行日: 2015/12/01
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル 認証あり
    2004 年から 2014 年に当科で経験したマムシ咬傷による入院症例 81 例を検討した。男性 51 例(63.0%),女性 30 例(37.0%)と男女比は約 3:2 であった。受傷時の平均年齢は 57.3 歳であり,世代別では 60 代が最も多かった。症例は 7~10 月の夏から秋に集中しており,8 月が最多であった。受傷時刻は 16~24 時が 46 例(56.8%)と大半を占めるが,8~12 時も 16 例(19.8%)と二峰性の分布であった。受傷場所は田畑,玄関先の順に多かった。受傷部位別では指が大半を占めており,次いで踵・足背が多かった。74 例(91.4%)が受傷後 6 時間までに受診していた。初診時は Grade Ⅱ群が 38 例(46.9%)と最も多く,Ⅰ群とⅡ群を合わせて 57 例(70.4%)と軽症例が多い傾向がみられた。治療経過中の最大腫脹時はⅢ群が 27 例(33.3%),Ⅳ群が 25 例(30.9%)であり,重症になるにつれて creatine kinase(CK)最高値平均値の上昇と平均入院日数の延長がみられた。81 例のうち死亡例と DIC 合併例はなかったが,腎不全合併例が 1 例(1.2%),複視合併例が 6 例(7.4%)であった。81 例のうち 70 例(81.4%)でセファランチン® が投与され,45 例(55.6%)にステロイド全身投与が行われた。抗毒素血清は 81 例のうち 52 例(64.2%)に行われた。二次感染予防の抗生剤は 78 例(96.3%)に投与されており,破傷風予防は 56 例(69.1%)で行われていた。
お詫びと訂正  第77巻5号 (2015年10月号)掲載論文について
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