西日本皮膚科
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87 巻, 6 号
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目次
図説
  • 井上 慶一, 伊東 孝通, 永江 航之介, 杉 悠太, 大野 文嵩, 中原 剛士
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻6 号 p. 487-488
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/20
    ジャーナル 認証あり

    患者:29 歳,男性

    主訴:右拇指,示指,中指の疼痛,腫脹

    現病歴:X 年 12 月にタイル清掃時に 55%フッ化水素酸が右手に付着した。右手指に腫脹,疼痛が出現したため受傷から数時間後に近医の皮膚科を受診したが,手指の腫脹,疼痛が増悪したため同日夜に当院の救急外来を受診した。

    初診時現症:右拇指,示指,中指は PIP 関節から末梢にかけて白色調に変化し,先端は血疱を認めた(図 1 )。

    治療経過:流水で十分に洗浄し右拇指,示指,中指に 8.5%グルコン酸カルシウム 10 ml+生理食塩水 10 ml の混合を半量ほど局注し,残りはガーゼに浸して塗布した。翌日も同じ濃度・分量で半量を右拇指,示指,中指に局注し,残りの半量を塗布したところ疼痛は軽減したため bFGF 製剤の噴霧,スルファジアジン銀クリームの外用を開始した。受傷から 1 週後に右拇指,示指,中指に黒色壊死が付着した(図 2 )ため,適宜デブリードマンや骨削りを施行した。受傷から 1 カ月後からは bFGF 製剤の噴霧,カルボキシメチルセルロース銀を貼付している(図 3 )。

  • 國岡 順子, 森 裕美, 足立 孝司, 吉田 雄一
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻6 号 p. 489-490
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/20
    ジャーナル 認証あり

    患者:72 歳,男性

    主訴:右側下腹部の皮内から皮下腫瘤

    現病歴:初診の 2 年前より右側下腹部に腫瘤が生じ,その後縮小した。1 年前より腫瘤が再度増大してきたため近医の皮膚科を受診し,当科を紹介され受診した。

    初診時現症:右側下腹部に 5×3.5 cm のドーム状に隆起した皮内から皮下腫瘤を認めた。表面平滑で,中央に発赤を伴っていたが,明らかな陥凹部は認めなかった(図 1 )。

    超音波検査所見:25×25×40 mm の真皮から脂肪織に位置する境界明瞭,楕円形の低エコーの病変で,後方エコーの増強,側方音響陰影を認めた(図 2 )。

    経過:初診後に自壊し(図 3 ),粥状物の排出がみられた。残存病変の切除を行った。

    病理組織学的所見:HE 染色において,真皮から脂肪織に褐色の色素を貪食した組織球,異物型の多核巨細胞が肉芽腫を形成し,線維化も伴っていた。コレステリン結晶もみられたが,囊腫壁や角質物の残存は明らかではなかった(図 4 a,b)。

    診断:Pigmented keratin granuloma

綜説
症例
  • 稲葉 葉一, 永田 智
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻6 号 p. 498-501
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/20
    ジャーナル 認証あり

    眼瞼炎は皮膚科にとってはときどき遭遇する皮膚病変ではあるが,アトピー性皮膚炎の患者はアレルギー性結膜炎を合併していることが多く,眼瞼炎の合併もしばしばみられる。当院を受診しているアトピー性皮膚炎の患児で,慢性的に眼瞼炎がある 5 歳から 12 歳までの 117 人に対して,オートレフケラトメーター(略:レフケラ)検査で屈折力の測定をしたところ,一部の症例を除き初診時には乱視例はなかったが,経過中に軽度から高度の乱視の患児が 57 人認められた。今回そのうち,初診時には近視,遠視を含むほかの眼科的異常もなく,経過中に乱視が新規発症した 2 症例を報告する。症例 1 は,6 歳 9 カ月の中等症のアトピー性皮膚炎の男児で,初診の 6 カ月以上前からアトピー性眼瞼炎があり,初診時にレフケラ検査を行ったがとくに問題がなかった。その約 3 年後の再診時にも初診時と同程度の眼瞼炎があったため,再度のレフケラ検査を行ったところ,中等度(左眼)と高度の乱視(右眼,利き腕側)が認められた。症例 2 は,5 歳 6 カ月の中等症のアトピー性皮膚炎の女児で,初診の 1 年程前よりアトピー性眼瞼炎があり,初診時のレフケラ検査を行ったがとくに問題がなかった。その後も眼瞼炎が治らないため,1 年後に再度レフケラ検査を行ったところ,右眼(利き腕側)にのみ中等度の乱視が認められた。2 症例共に乱視が出現した理由としては,眼を日常的に擦ることが一因ではないかと推測した。

  • 高瀬 耀一, 栗原 雄一, 福島 伯泰, 中原 剛士
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻6 号 p. 502-504
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/20
    ジャーナル 認証あり

    64 歳,女性。潰瘍性大腸炎に対しインフリキシマブを定期投与中であった。冬季に初発した手足の凍瘡を主訴に当科を受診した。採血にて補体価の低下,溶血性貧血があり,直接クームス試験陽性および寒冷凝集反応の上昇から寒冷凝集素症と診断した。寒冷曝露回避と末梢血管拡張薬や抗血小板薬の投与を行うも右拇指と示指端は壊死し右拇指壊死部は自然脱落したが右示指壊死部は脱落せず形成外科にてデブリードマン,断端形成術を実施した。スチムリマブの投与を開始して以降,冬季が訪れても新規の壊死を認めていない。本症は自己免疫性溶血性貧血の一病型であり,低温刺激により冷式抗体である寒冷凝集素が活性化し,赤血球が凝集することで四肢末端などに循環障害を生じうる。潰瘍性大腸炎の罹患後および TNF 阻害剤を投与中の自己免疫疾患併発例で寒冷凝集素症の発現は少ない。

  • 平野 早希子, 一木 稔生, 辻 学, 中原 剛士
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻6 号 p. 505-509
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/20
    ジャーナル 認証あり

    71 歳,男性。末期腎不全で 7 年前から腹膜透析を行っていた。初診 9 カ月前から両側下肢に有痛性の潰瘍が出現し拡大傾向であった。前医の皮膚科を受診し皮膚生検を施行されたが確定診断が得られず,当科で行った再生検でカルシフィラキシスの診断となった。本疾患の診断方法や生検時の工夫について考察した。

  • 大澤 香奈, 木庭 幸子, 日根野 晃代, 加藤 修明, 奥山 隆平
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻6 号 p. 510-513
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/20
    ジャーナル 認証あり

    70 歳台,女性。既往症に関節リウマチとシェーグレン症候群があった。初診 5 カ月前に右下腿に硬結が出現した。初診時,両下腿の 3 カ所に結節と腫瘤があり,80×64 mm の一部潰瘍化した紅褐色腫瘤が最大の病変であった。病理組織学的に,真皮に好酸性の無構造物質の沈着があり,Congo red 染色が陽性であった。免疫組織化学染色でアミロイドは免疫グロブリンλ鎖と同定した。全身精査で異常はなく,シェーグレン症候群に伴う限局性皮膚結節性アミロイドーシスと診断した。

  • 独孤 龍, 一木 稔生, 中原 剛士
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻6 号 p. 514-518
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/20
    ジャーナル 認証あり

    78 歳,男性。初診 5 カ月前より頤部に皮下腫瘤を自覚し,腫瘤は徐々に増大した。初診時,頤部に 33×22 mm の境界明瞭で,可動性不良な弾性硬の皮下腫瘤を認めた。単純 CT 検査で境界明瞭な低吸収域を認め,皮下の良性腫瘍を疑い,局所麻酔下で切除した。病理組織学的に粘液腫様の背景に異型性の乏しい紡錘形細胞が tissue-culture like pattern で増殖する像を認め,遺伝子検査で MYH9-USP6 融合遺伝子を検出し,結節性筋膜炎と診断した。術後 18 カ月の時点で再発なく経過している。

  • 松田 亜依, 古賀 佳織, 伊藤 宏太郎, 今福 信一
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻6 号 p. 519-521
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/20
    ジャーナル 認証あり

    54 歳,男性。約1 年前より出現した背部の有茎性腫瘤を主訴に受診した。受診時,自覚症状はなく,腫瘤の直径は 1.3 cm,表面は淡紅色調であった。局所麻酔下で単純切除した。病理組織学的には一部肥厚した表皮に覆われた隆起性病変で,表皮直下から真皮に腫瘍細胞がシート状に増殖していた。腫瘍細胞は細胞境界が不明瞭で,卵円形や紡錘形の核と,豊富な好酸性の細胞質をもち,核分裂像はみられなかった。腫瘍内には平滑筋様の紡錘形細胞が束状構造を形成して増殖する像も確認され,部分的に脂肪細胞化生もみられた。免疫組織化学染色では腫瘍細胞が S100 タンパク,EMA,α-SMA に陽性,AE1/AE3,MelanA,HMB45 に陰性であり,FISH 法で EWSR1 遺伝子の分離が確認され Cutaneous syncytial myoepithelioma と診断した。臨床的には良性の経過をたどる腫瘍であるが,病理組織学的な鑑別診断には悪性腫瘍も含まれるため,この疾患について認識しておく必要がある。

  • 藤田 佳穂里, 西原 克彦, 桑折 信重, 吉田 諭, 八束 和樹, 武藤 潤, 白石 研, 藤澤 康弘
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻6 号 p. 522-526
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/20
    ジャーナル 認証あり

    68 歳,男性。初診半年前から多発性関節痛が出現し,当院の内科で RS3PE 症候群を疑われ,プレドニゾロン(PSL)15 mg/day の内服を開始した。その後多発性関節痛が改善したため PSL を漸減し,中止となった。初診 1 カ月前より多発性関節痛が再燃し,同時期に頭部・頰部・前胸部・上背部に紅斑が出現したため,皮膚筋炎を疑われ当科を紹介され受診した。光線過敏や V-neck sign,shawl sign を想起する紅斑のほか,両手指関節背面,爪囲に紅色小結節を認めた。小結節を生検したところ,淡好酸性のすりガラス状の細胞質を有する多核巨細胞を認め,多中心性細網組織球症(Multicentric reticulohistiocytosis:MRH)と診断した。血液検査では皮膚筋炎の各種自己抗体,CRP,赤沈はいずれも陰性であった。診断後,PSL 50 mg/day+アレンドロン酸 Na 35 mg/week で加療を開始し,多発性関節痛,皮疹はいずれも改善傾向となり,PSL の漸減を開始して退院した。MRH の皮膚症状の中には皮膚筋炎と類似するものがあり,手指関節背側の丘疹結節や頚部から上胸部,上背部に生じた紅斑,光線過敏,爪囲の毛細血管拡張,多形皮膚萎縮などが挙げられる。MRH と皮膚筋炎の鑑別には皮膚生検が有用であり,皮膚筋炎様の皮疹を診た際には,積極的に生検を行う必要がある。

  • 坪井 美樹, 山口 さやか, 兼島 明子, 苅谷 嘉之, 柳 輝希, 高橋 健造
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻6 号 p. 527-530
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/20
    ジャーナル 認証あり

    20 歳,男性。アトピー性皮膚炎の既往があるが,最近約 5 年間は寛解状態であった。とくに誘因なく,右肘窩に痒みを伴う皮疹が出現した。前医にて伝染性膿痂疹の診断で,抗菌薬の内服薬と外用薬,ステロイド外用薬が処方されたが症状は改善しなかった。38.5℃の発熱と右腋窩リンパ節腫脹があり,左肘窩にも病変が拡大したため,当科を紹介され受診した。初診時,右肘窩に地図状の潰瘍があり,その周辺には点状の痂皮が散在していた。左肘窩には紅色局面と小潰瘍があり,その遠位に孤立性の水疱があった。病理組織学的検査では,表皮内水疱,棘融解細胞と巨細胞内封入体があり,抗 HSV-1 抗体染色および PCR 検査陽性から HSV-1 によるカポジ水痘様発疹症と診断した。初診時に抗菌薬外用と内服抗菌薬を処方し,再診時には略治しており,抗ウイルス薬の投与は行わなかった。自験例と同様に,寛解状態のアトピー性皮膚炎患者や,明らかな皮膚疾患の既往のない患者に,本疾患を発症した報告がある。カポジ水痘様発疹症の発症には活動性の皮膚炎がない場合でも注意すべきと考えた。

  • 一柳 咲佑美, 土井 彩奈未, 長山 理依, 豊田 智宏, 橋本 公二, 田中 厚
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻6 号 p. 531-534
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/20
    ジャーナル 認証あり

    88 歳,男性。体重減少,汎血球減少を認め精査したところ全身性エリテマトーデス(以下 SLE)や IgG4 関連疾患が疑われ,SLE として 2 カ月前からプレドニゾロン(以下 PSL)30 mg/day 内服を開始した。PSL を漸減中に顔面に隆起の強い丘疹および小結節が出現し,当科へ紹介となった。顔面に一部膿疱,痂皮を伴う赤紫色の圧痛が強い多数の丘疹と小結節を認め,手背と右大腿にも赤紫色の小結節を認めた。左頰部および右大腿の皮疹の病理組織で表皮から皮下組織にかけて膿瘍の形成,好中球中心の炎症細胞浸潤を認め,大腿からの病理標本の Ziehl-Neelsen 染色は陽性であった。播種性非結核性抗酸菌感染症(以下播種性 NTM 症)を鑑別にあげ培養・質量同定分析により Mycobacterium chelonae(以下 M. chelonae)が同定された。血液培養からも複数回 M. chelonae が同定され播種性 NTM 症と診断した。アジスロマイシンなどで治療を行ったが,第 36 病日に心不全で死亡した。本症例は顔面に丘疹と小結節が出現した点が特徴的であった。

研究
  • 常深 祐一郎, 志津 美貴, 上田 勇輝
    原稿種別: 研究論文
    2025 年87 巻6 号 p. 535-542
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/20
    ジャーナル フリー

    健康成人および生理的要因によって引き起こされた皮脂欠乏症患者を対象に,マルホ株式会社が開発した皮膚水分量を測定する医療機器(以下,皮膚水分計)を用いて皮膚乾燥を客観的に評価できるか検討した。健康成人 40 例および臨床的に診断した皮脂欠乏症患者 30 例に対して,皮膚水分計および Corneometer®(Courage+Khazaka 社製)を用いて測定部位の皮膚水分量を測定した。下腿の皮膚所見スコア(overall dry skin score:ODS)と皮膚水分計による皮膚水分量の関係性を主な評価項目とした。ODS は皮脂欠乏症の重症度を示し,ODS0 では臨床症状がなく,ODS1 以上では数字が大きいほど重症度が高い。主な評価項目では,皮膚水分量は健康成人(ODS0)と比べ ODS1 と 2 の皮脂欠乏症患者で同程度に低く, ODS3 で更なる低下を示した。また,健康成人,皮脂欠乏症患者および測定部位(下腿,前腕および背部下部)に関わらず皮膚水分計および Corneometer®の測定値の間で強い正の相関関係がみられた。本研究において皮膚水分計により,健康成人と比較して皮脂欠乏症患者の皮膚水分量の低下が確認された。有害事象は認められず,安全性に問題はみられなかった。以上から,生理的要因による皮脂欠乏症の皮膚水分量を捉える機器として皮膚水分計は臨床的に有用であると考えられる。

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