西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
87 巻, 3 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
目次
図説
  • 相良 良子, 馬場 直子, 江川 形平
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻3 号 p. 195-196
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/07/01
    ジャーナル 認証あり

    患者:74 歳,女性

    主訴:右顔面の紅潮,発汗過多

    現症:初診の数年前から入浴後に右顔面に片側性の紅潮,発汗過多を自覚しており精査目的で当科を紹介された。

    診断および経過: 発汗障害部位の評価目的で温熱発汗試験を施行したところ,右顔面の発汗と左顔面の分節性無汗を認めた(図 1 )。頚部以下の発汗障害や両眼ともに縮瞳や眼瞼下垂(Horner 症候群)は認めなかった。原因となりうる器質的病変の検索のため CT,MRI 検査を施行したが,明らかな腫瘍性,血管性病変を認めず,頭頚胸部の手術や処置の既往もなかったことから特発性 Harlequin 症候群と診断した。診断から X 年 Y カ月が経過するが,症状に変化はない。

  • 村谷 尚一郎, 古賀 文二, 古賀 佳織, 国場 尚志, 今福 信一
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻3 号 p. 197-198
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/07/01
    ジャーナル 認証あり

    患者:68 歳,女性

    主訴:前額部の脱毛

    現病歴:2 年前から前額部の脱毛斑を自覚し,市販薬を使用するも改善なく近医皮膚科を受診した。瘢痕性脱毛症を疑われ,精査,治療目的に当院を紹介された。

    既往歴:骨粗鬆症

    現症:前額部から両側頭部の生え際に帯状の脱毛斑を認めた(図 1 )。明らかな紅斑や鱗屑はみられず,Pull test は陰性であった。

    トリコスコピー所見:脱毛部には軟毛がほとんど観察されず,硬毛のみが散在しており,いわゆる lonely hair sign がみられた(図 2 )。

    病理組織学的所見(HE 染色):毛包峡部の水平断像にて毛包数の減少,毛包周囲性に毛包上皮の空胞変性を伴って帯状の炎症細胞浸潤と同心円状の線維化がみられた。

    診断:Frontal fibrosing alopecia(以下 FFA)

    治療および経過:免疫抑制剤やステロイド局注などを提案したが,患者が副作用を懸念し,紫外線療法とステロイド外用による治療を開始した。現在まで脱毛斑の拡大はなく経過しているが,明らかな発毛はみられていない。

  • 高橋 彩織, 横山 翌香, 中原 剛士
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻3 号 p. 199-200
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/07/01
    ジャーナル 認証あり

    患者:49 歳,男性

    主訴:両下肢脱力感,体重減少

    現病歴:X-4 年,健康診断で肝逸脱酵素の上昇,高血圧,QT 延長を指摘された。X-1 年頃に,1 カ月で 7 kg の体重減少と両下肢の痺れが出現し,X 年に当院の神経内科を受診した。皮膚症状の有無に関して当科を紹介され受診した。

    現症:前胸部にドーム状に隆起した多数の紅色結節(図 1 ),腋窩に淡い色素沈着と剛毛を認め,両下腿浮腫が著明であった。内科診察で多発ニューロパチー,肝脾腫を認め,CT にて両頚部,腋窩,鼠径部,縦隔,腹部大動脈周囲,腸間膜にリンパ節腫大,胸腹水,左腸骨の溶骨性変化を認めた。

    病理組織学的所見:前胸部の 4 mm の紅色結節を生検した。真皮に腎臓の糸球体類似構造を呈する glomeruloid hemagioma を認め(図 a,b),免疫組織化学染色では CD31,CD34 が陽性であった(図 2 c,d)。

    血液検査所見(下線は異常値):白血球 6700/μl,赤血球 422 万/μl,血色素 15.0 g/dl,血小板 29.4 万/μl,Alb 2.6 g/dlα1 3.7%,α2 7.9%,β 9.9%,γ 34.3%CRP 0.38 mg/dl,AST 16 U/l,ALT 7 U/l,LDH 102 U/l,UA 7.8 g/dl,eGFR 84.5 ml/min,D-dimer 2.7 ug/mlFDP 8.4 ug/mlIgG 2395 mg/dlIgA 578 mg/dl,IgM 97 mg/dl,血清 VEGF 8127.4 pg/ml

    診断:POEMS 症候群(大基準 4 項目,小基準 5 項目を満たした)

  • 高瀬 耀一, 栗原 雄一, 中原 剛士
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻3 号 p. 201-202
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/07/01
    ジャーナル 認証あり

    患者:68 歳,男性

    主訴:背部右側の皮膚潰瘍

    既往歴:2 型糖尿病,高血圧症,末梢性ニューロパチー,慢性 C 型肝炎治療後,HBV 既感染,虫垂炎術後(小学生時)

    現病歴:直腸原発びまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫に対して救援化学療法中であった。発熱,意識障害を主訴に他院へ救急搬送され,発熱性好中球減少症および敗血症疑いとして当院の血液内科へ入院となった。その際背部に皮膚潰瘍を指摘され当科に受診された。

    現症:右側背部に周囲に発赤を伴い中央部に黒色壊死を付着する約 8cm の皮膚潰瘍を認めた(図 1 )。排膿や活動性出血はなく波動は触知しなかった。

    血液検査(下線部は異常値):WBC 5200/μl(Neut 73.2%Lym 1.3%Mono 25.3%)RBC 248×104/μlHb 7.8 g/dlPlt 2.0×103/μlAST 96 U/l,ALT 39 U/l,LDH 286 U/lBUN 20.2 mg/dlCre 1.15 mg/dlCK 2094 U/lNa 128 mmol/lK 3.4 mmol/lCl 92 mmol/lCRP 39.01 mg/dlFDP 11.8 μg/mlD-ダイマー 4.1 μg/ml

    病理組織学的所見:背部右側の黒色壊死を付着する潰瘍に対しリンパ腫の皮膚浸潤の鑑別のため生検を行った。高度のびらんと潰瘍の形成があり,真皮全層性に好中球浸潤を認めた。明らかな異型細胞はなく免疫組織化学染色にて CD20 陽性細胞は認めなかった。Gram 染色および Grocott 染色で明らかな陽性所見はなく,Ziehl-Neelsen 染色で明らかな抗酸菌を認めなかった。

    培養検査所見:血液培養および創培養では Pseudomonas aeruginosa を検出した。抗酸菌培養は陰性であった。

    診断:壊疽性膿瘡(Ecthyma Gangrenosum : EG)

    経過:化学療法後で好中球数は回復していたが,SOFA(Sequential Organ Failure Assessment)score は凝固能が 4 点であり敗血症が疑われた。血液検査で肝障害,CK および CRP の高値があり,重症感染症として血液培養採取後にメロペネムとバンコマイシンの点滴を開始した。血液培養からグラム陰性桿菌を検出しバンコマイシンの点滴を終了した。血圧は 70~90/50 mmHg と低下を認めたが輸液負荷のみで改善した。起炎菌は Pseudomonas aeruginosa と同定されたため,抗菌薬をセフェピムとメトロニダゾールに変更した。皮膚生検の結果は,異型リンパ球浸潤を認めず,抗酸菌培養陰性であった。症状の経過から壊疽性膿皮症は否定的で,皮膚潰瘍に対し外用処置を行った。敗血症の治療後,著明に上皮化が進み(図 2 ),EG として矛盾しない経過であった。

綜説
症例
  • 松立 吉弘, 松本 麻由, 黒尾 優太, 岡﨑 秀規, 定本 靖司, 玉田 司
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻3 号 p. 207-211
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/07/01
    ジャーナル 認証あり

    29 歳,男性。5 年以上前に歯科金属を充填し,1 年 8 カ月前から歯科矯正器具を装着している。7 カ月前から掌蹠に瘙痒を伴う皮疹が生じ,クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏の外用で改善しないため当科を受診した。土踏まずを除く足底全体に黄褐色の膜様鱗屑を付着する紅斑があり,一部で漿液性丘疹を伴っていた。手掌はびまん性に紅斑を認め,所々で漿液性丘疹,浅い亀裂を伴っていた。臨床的に異汗性湿疹と診断した。金属パッチテストでは,72 時間後の判定で,塩化亜鉛,塩化マンガン,塩化第二水銀,硫酸ニッケルが International Contact Dermatitis Research Group 基準で+であった。歯科矯正器具にはパッチテスト陽性金属(ニッケル,マンガン,亜鉛)を含有していたため除去したところ,1 カ月ほどで皮疹は軽快傾向を示し,以後再燃なく経過している。以上より,歯科矯正器具に含有する金属に対する全身型金属アレルギーとして異汗性湿疹を生じたと考えた。充填された歯科金属にもパッチテストで陽性であった亜鉛が含有されていたが,皮膚症状が改善したため現時点では除去を予定していない。異汗性湿疹では全身型金属アレルギーが関与している症例が存在するが,歯科矯正器具が原因であったのは自験例がはじめてである。難治例では金属パッチテストの結果を基に原因金属の除去対策を試みる必要がある。

  • 竹中 花予, 鈴木 伸吾, 中根 啓允, 榊原 あゆみ
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻3 号 p. 212-216
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/07/01
    ジャーナル 認証あり

    32 歳,女性。初診 1 カ月前より右乳房に皮下腫瘤が出現し,初診 1 週間前より発赤疼痛を伴うようになった。初診 3 日前より両下腿に紅斑が出現した。近医にて胸部腫瘤の切開排膿を施行され,抗生剤を内服したものの改善しないため当院を紹介され受診した。右乳房下部に鶏卵大の皮下腫瘤を認め,両下腿には圧痛を伴い浸潤を触れる紅斑が散在していた。乳房部針生検では高度なリンパ球浸潤と非乾酪壊死性肉芽腫を認めた。下腿の皮膚生検で septal panniculitis を認めたため,肉芽腫性乳腺炎に続発した結節性紅斑と診断した。ロキソプロフェンの内服を開始したところ,3 週間で結節性紅斑は消退した。アセトアミノフェンに変更し 6 カ月後に右乳房部の疼痛は消失したため内服を終了した。初診 1 年 6 カ月後に右乳房部の皮下腫瘤は消失した。肉芽腫性乳腺炎は出産後の若年女性に好発するが,自験例は妊娠出産歴はなく,原因としてうつ病とそれに伴う内服薬の関与が疑われた。若年女性の結節性紅斑を診断した際は肉芽腫性乳腺炎の合併の有無を確認し,合併例において妊娠出産歴がない場合は,精神疾患とそれに伴う内服薬がないか問診する必要がある。

  • 中川 浩一, 德田 一三, 東田 理恵, 畑中 祐二
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻3 号 p. 217-219
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/07/01
    ジャーナル 認証あり

    75 歳,男性。既往歴に急性腎不全と糖尿病および網膜症がある。右腎癌のため腎摘出術をうけた。術後 2 年で局所再発を来し,各種分子標的薬が投与されたが,いずれも有害事象や効果不十分のため中止となっていた。初診の 6 週間前からカボザンチニブ 40 mg/day が開始されたが,数日前から鼻孔部,四肢,陰肛部に有痛性のびらんが発症した。被疑薬の休止とステロイドホルモン製剤の外用で回復した。文献ではカボザンチニブの皮膚障害として手足症候群が約半数の症例で生じること,陰囊の紅斑と潰瘍は稀ではないことが記載されていた。自験例では皮膚びらんなどの病変が腸性肢端皮膚炎類似の分布を示したことが特徴的であった。カボザンチニブは今後も汎用されることが予測され,皮膚合併症の評価と治療に皮膚科医の参画が必要と結論した。

  • 須田 孝博, 髙旗 博昭
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻3 号 p. 220-223
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/07/01
    ジャーナル 認証あり

    35 歳,女性。多量飲酒をした翌朝に両下腿に紫斑を生じた。皮膚生検で皮膚白血球破砕血管炎を認め,蛍光抗体直接法は陰性だった。安静指導で皮疹はいったん改善した。血液検査,尿検査で皮膚以外の臓器障害は認めなかった。皮疹の消退後,再度多量に飲酒したところ皮疹が再発し,ステロイド内服を要した。禁酒指導を行ったところ,皮疹は生じなかった。入院の上,純アルコール換算 20 g の飲用でチャレンジテストを実施するも皮疹は出現しなかった。退院後,再度多量に飲酒し同様の紫斑を生じ,再度ステロイド内服を要したが,ステロイド漸減中に飲酒した際は皮疹は誘発されなかった。経過からはアルコール誘発皮膚血管炎と考えられた。アルコール飲用後に血管炎を生じた報告は 5 例あり,すべて血管壁に IgA 沈着を認めた。アルコールを惹起因子として発症する二次性血管炎の機序には複雑な要因が関与すると推測された。

  • 加藤 毬乃, 渡部 大輔, 天野 博雄
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻3 号 p. 224-227
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/07/01
    ジャーナル 認証あり

    79 歳,男性。慢性蕁麻疹で当科に通院中,両手背,両足背に圧痕性浮腫,手指関節痛,手のこわばりが生じたため受診した。超音波検査で手指関節の滑膜肥厚がみられ,CRP 上昇,赤沈亢進,リウマトイド因子陰性,抗核抗体陰性から,Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema(RS3PE)症候群と診断した。プレドニゾロン 30 mg/日の内服で治療を開始し,浮腫は速やかに改善した。プレドニゾロンを漸減し,約 10 カ月で中止としたところ,中止 1 カ月後に手足の浮腫が再燃したため,プレドニゾロンを再投与し 5 mg/日内服を継続している。RS3PE 症候群は関節リウマチや血管炎への移行,悪性腫瘍の合併がみられることがあるため,慎重に経過をみる必要がある。

  • 青木 裕宇希, 山田 真理子, 松田 杏奈, 浅野 伸幸, 下村 裕
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻3 号 p. 228-231
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/07/01
    ジャーナル 認証あり

    29 歳,女性,初産婦。妊娠 39 週 4 日に男児を出産し,出産 3 日後より手掌に水疱が出現し,出産 6 日後には全身に拡大した。血液検査所見では抗 BP180-NC16a 抗体が 648 U/ml と高値で,皮膚生検組織像では表皮下水疱を形成しつつある所見や真皮乳頭層血管周囲のリンパ球と好酸球の浸潤がみられた。蛍光抗体直接法では表皮基底膜部に C3 が線状に沈着していた。以上より産褥期に発症した妊娠性疱疹と診断した。プレドニゾロン(PSL)40 mg/ 日で治療を開始したところ皮疹は改善した。現在 PSL 2 mg/ 日まで漸減し皮疹の再燃なく経過している。本邦において産褥期発症の妊娠性疱疹は過去 10 年間で自験例を含めて 7 例報告されており,初産婦かつ男児出産時,産後 10 日以内の発症例が多いことが示唆されたが,治療経過や再発頻度などの情報は乏しく,今後の症例集積が必要である。自験例は入院加療後に皮疹は速やかに改善傾向となり以降再燃はないが,次の出産時に再燃した症例報告もあるため慎重な経過観察が望まれる。

  • 須田 孝博, 髙旗 博昭, 八木 献
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻3 号 p. 232-235
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/07/01
    ジャーナル 認証あり

    73 歳,女性。初診 1 年前より右踵部に皮下腫瘤を自覚した。腫瘍は明らかな拡大傾向はなかった。初診時,右踵に可動性不良な弾性硬の約 30 mm の皮下腫瘤を認めた。部分生検では瘢痕様の組織所見だった。腫瘤は MRI で踵骨に近接しており,T1 low/T2 low を呈した。全切除術を施行し,靭帯と癒着した腫瘤を摘出した。病理組織学的に細胞成分の乏しい線維形成性腫瘍で,免疫組織化学染色では vimentin のみが陽性だったため,collagenous fibroma と診断した。調べえた限りでは,同腫瘍が靭帯に癒着していた症例は過去に報告がなく,極めて稀な現象と考えられた。

  • ―腫瘍径と再発・転移リスクに関する文献的考察―
    堀川 知久, 苅谷 嘉之, 山口 さやか, 柳 輝希, 高橋 健造
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻3 号 p. 236-241
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/07/01
    ジャーナル 認証あり

    症例 1:80 歳,男性。幼少期より後頭部に脱毛斑があり,20 歳頃よりびらんを伴うようになった。半年前より脱毛部が隆起し当科を受診した。当院を初診時,後頭部右側に 65×45 mm の腫瘤があった。病理検査でアポクリン汗腺系の悪性腫瘍が疑われ,全切除した。全切除検体の病理所見より乳頭状汗管囊胞腺癌と診断した。経過中,上行結腸癌を合併し切除術を受けた。頭部の術後 9 カ月,PET-CT 検査にて腰椎に骨転移が判明したが,追加の治療は希望せず,その後通院を自己中断した。症例 2:44 歳,男性。18 歳ごろより後頭部に腫瘤を自覚し,増大してきた。病理検査にて腺癌と診断され,当科を受診した。全切除検体の病理所見より乳頭状汗管囊胞腺癌と診断した。術後 10 年に右頚部リンパ節腫大があり,病理検査にて乳頭状汗管囊胞腺癌の右頚部リンパ節転移と診断した。右頚部リンパ節廓清術と放射線化学療法を行った。術後 1 年は再発,転移はなかったが,その後自己中断し,経過は不明である。乳頭状汗管囊胞腺癌は約半数が頭頚部に発生し,男性に多い傾向がある。診断時の腫瘍サイズが 20 mm 以上の場合に局所再発,リンパ節転移,遠隔転移のリスクが上がる可能性がある。また自験例でも症例 2 は術後 10 年でリンパ節転移が発生しており,術後 8 年で局所再発した症例の報告もあることから,より長期のフォローアップが重要と考えられる。

  • 松田 亜依, 古賀 佳織, 益雪 凌介, 筒井 啓太, 今福 信一
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻3 号 p. 242-245
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/07/01
    ジャーナル 認証あり

    70 歳,男性。約 1 年前より上背部左側にある有痛性結節を主訴に前医を受診した。抗菌薬内服と穿刺を施行されるも排膿なく,精査加療目的に当科を紹介され受診した。生検および切除検体の病理組織像で真皮内に管腔様構造,篩状パターンを有する腫瘍胞巣を認め,画像検査にて他部位に明らかな原発巣を疑う所見がないことから,皮膚原発腺様囊胞癌(Primary cutaneous adenoid cystic carcinoma:PCACC)と診断した。管腔様構造を伴う胞巣を形成して増殖し,篩状パターンを呈する皮膚腫瘍として,spiradenoma や basal cell carcinoma や cribriform tumor などが鑑別となったが,診断の確定には,免疫組織化学染色における CD117(c-kit)や αSMA および MYB の陽性所見と MYB 遺伝子の転座を確認したことが有用であった。PCACC では,予後にかかわると考えられる病理学的所見を念頭に置いた経過観察が必要である。

  • 相良 良子, 指宿 敦子, 米澤 理沙子, 宮﨑 のどか, 宮内 一成, 川平 尚生, 東 裕子, 水野 圭子, 金蔵 拓郎
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻3 号 p. 246-249
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/07/01
    ジャーナル 認証あり

    84 歳,女性。71 歳時に重症筋無力症を発症し,胸腺腫に対して切除術を施行された。82 歳時に左肺底部に胸腺腫の胸膜播種が疑われたが無治療であった。初診の 3 カ月前から全身に膜様の鱗屑を伴う融合傾向のある紅斑が出現した。皮膚病理組織と臨床所見から Thymoma-associated multiorgan autoimmunity(TAMA)と診断した。また,手背には径 1.5 cm の結節を認め,病理組織では真皮から皮下にかけて類上皮肉芽腫があり,内部に Periodic acid schiff reaction,Grocott 染色陽性の胞子連鎖と菌糸を認めた。組織培養で黒色のコロニーを認め,Exophiala attenuata が同定された。入院の上,TAMA に対してはプレドニゾロン 20 mg/ 日の内服,黒色菌糸症に対してはヨウ化カリウム,イトラコナゾールの内服を開始し,皮疹は改善傾向にあったが,MRSA 菌血症により初診から 1 カ月後に永眠された。TAMA は予後不良であり,免疫抑制の影響で,感染症による死亡報告例が多い。TAMA に併発した黒色菌糸症は報告例がなかったため,文献的考察も加えて報告する。

  • 藤井 晴香, 中村 美沙, 中原 剛士
    原稿種別: 症例報告
    2025 年87 巻3 号 p. 250-255
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/07/01
    ジャーナル 認証あり

    症例 1 は 73 歳,女性。初診 1 カ月前より,頚部左側に発赤,腫脹を認め前医を受診した。前医で T-SPOT 検査が陽性であり,CT 検査で左肺上葉に粒状影を認め,肺結核が疑われ,当院の呼吸器内科を紹介され受診した。頚部結節の精査目的のため,呼吸器内科より当科を紹介され受診した。頚部左側に 20 mm の発赤と腫脹を認めた。症例 2 は 83 歳,男性。初診 3 カ月前より,頚部左側に腫脹を認めた。初診 2 カ月前より,同部位が自壊し膿を認め,前医を受診した。抗菌剤軟膏の外用を行ったが,膿の排出が持続しており,精査加療目的に当科を紹介され受診した。頚部左側に 20 mm の紅色硬結を認め,中央部に 10 mm の潰瘍を認めた。症例 3 は 95 歳,女性。初診 1 カ月前より頚部右側に皮下腫瘤が生じ,前医を受診した。抗生剤内服を行うも改善がなく,当科を紹介され受診した。頚部右側に 10 mm の紅色硬結を認め,中央部に痂皮が付着していた。症例 1,症例 2 では皮膚生検組織の抗酸菌 PCR 法で結核菌が陽性,症例 3 では抗酸菌培養で結核菌が陽性であった。3 症例とも臨床所見,細菌学的所見,喀痰検査所見,病理組織学的所見,画像所見より総合的に判断し皮膚腺病と診断した。症例 1,症例 2 では肺結核も併存していた。3 症例とも抗結核薬の全身投与を行った。皮膚腺病は診断,治療までに時間を要する例も少なくなく,皮膚科医が皮膚結核を見落とさず診断することで結核の対策にも貢献できるのではないかと考える。

治療
feedback
Top