患者:38 歳,女性
主訴:両下腿の皮膚硬化
既往歴:心臓原発血管肉腫
現病歴:多発転移を伴う心臓原発血管肉腫に対しパクリタキセル(100 mg/m2)を投与中であった。薬剤を開始して 5 カ月後より両下腿に紅斑を伴う浮腫が出現し,次第に皮膚硬化に移行した。薬剤を中止しパゾパニブに変更後,浮腫は緩徐に改善したが皮膚硬化は持続した。
現症:両下腿から足にかけて紅斑と色素沈着を伴う著明な皮膚硬化を認め(図 1 a~c),運動障害を伴っていた。爪上皮の出血点や手指の皮膚硬化,レイノー現象は伴わなかった。
検査:抗核抗体,抗 Scl-70 抗体,抗セントロメア抗体,抗 ss-DNA 抗体は陰性であった。貧血や肝・腎機能障害,好酸球増多,CK とアルドラーゼの上昇はなかった。
診断および経過:発症が急激でないことや薬剤投与から発症までの期間,発症前の激しい運動などのエピソードがないこと,静脈灌流異常などの既往がないことを踏まえ好酸球性筋膜炎や硬化性脂肪織炎は否定的と考え,パクリタキセル誘発性の強皮症様皮膚硬化と診断した。プレドニゾロン 20 mg/day より開始し,1 週に 2.5 mg/day ずつ漸減した。ストロングクラスのステロイド軟膏も併用した。治療開始後 1 週間で足関節の関節可動域のわずかな改善がみられ,2 週目には階段の昇降が可能となった(図 2 a,b)。
患者:69 歳,女性
主訴:四肢の紅斑,潰瘍
既往歴:子宮体癌術後,甲状腺機能低下症,高血圧症
現病歴:初診の 1 年前に子宮体癌術後の再発に対し,婦人科でペムブロリズマブ,レンバチニブを開始された。初診の 3 カ月前から右アキレス腱に紅斑が生じ,四肢に増数したため,当科を受診した。
初診時現症:四肢に水疱を伴う隆起性紅斑を多数認め,右足,左膝,左下腿に潰瘍を形成していた(図 1 )。
血液検査所見:抗デスモグレイン 1 抗体 3.0 U/ml 未満,抗デスモグレイン 3 抗体 3.0 U/ml 未満,抗 BP180 抗体 3.0 U/ml 未満
病理組織学的所見:右大腿の紅斑より生検した。HE 染色では,表皮は不規則に肥厚し,過角化,顆粒層の肥厚を認め,壊死性角化細胞がみられた。表皮真皮境界部に顕著な空胞変性,一部裂隙を形成していた。真皮浅層に帯状および血管周囲性にリンパ球主体の炎症細胞浸潤を認めた(図 2 )。蛍光抗体直接法では,基底膜領域に C3,IgG 沈着は認められなかった。
診断:水疱性扁平苔癬(Bullous lichen planus:BLP)
治療および経過:臨床経過からペンブロリズマブによる免疫関連有害事象(immune-related adverse event:irAE)としての BLP と考えた。潰瘍の疼痛により日常生活動作の制限を認めており皮膚障害 Grade3 と判断し,ペムブロリズマブは中止し,プレドニゾロン(PSL)30 mg/日(0.5 mg/kg/日)内服を開始した。紅斑は消退し,潰瘍は上皮化し(図 3 ),PSL を漸減し,中止した。中止して 1 カ月後から,右アキレス腱の瘢痕が再潰瘍化し,irAE の再燃と考えられた。PSL の内服を再開し略治した。その後は PSL 10 mg/日内服を継続し,irAE の再燃はみられなかったが,子宮体癌が進行し,初診から 10 カ月後に死亡した。
患者:75 歳,男性
主訴:左上肢の硬結
現病歴:当院の血液内科で ATL くすぶり型として経過観察されていた。ATL 浸潤の可能性を疑われ,2 年前より自覚した左上肢の硬結を主訴に当科を受診した。
既往歴:慢性腎臓病,高血圧症
現症:左前腕から上腕にかけて瘙痒を伴う褐色局面があり,中央にはわずかな陥凹と,白色調の皮膚硬化を認めた(図 1 )。病変部の皮下に硬結を触知し下床との可動性は不良であった。肘関節部に軽度の屈曲制限があった。同部位に外傷の既往や潰瘍形成はなかった。前胸部や殿部にも左上肢と同様の瘙痒を伴う褐色局面を認めた。レイノー症状,手指の皮膚硬化や関節症状は認めなかった。
血液検査(下線部は異常値):WBC 5100/μl(目視法分類 Seg 68%,Lym 22%,Mono 7%,Baso 1%,ATL 様細胞+ ),RBC 286×104/μl,Hb 8.5 g/dl,Plt 33.1×104/μl,Alb 3.9 g/dl,AST 24 U/l,ALT 19 U/l,LDH 262 U/l,BUN 44.9 mg/dl,Cre 3.12 mg/dl,Ca 12.0 mg/dl,Na 135 mmol/l,K 4.2 mmol/l,Cl 101 mmol/l,CRP 0.42 mg/dl,sIL-2R 4198 U/ml,ACE 21.7 U/l(8.3~21.4),β-D-グルカン 12.6 g/ml,QFT 陰性,抗核抗体(ANA)<40 倍(抗 ss-DNA IgG 抗体は未評価)
超音波検査:体表面から筋層内へと連続する不均一な低エコー域があり,ほぼ全域に血流シグナルが描出された。
病理組織学的所見:真皮の一部から皮下組織を主体に筋層にかけて膠原線維の増生を伴って多数の類上皮細胞が斑状に増殖し,多核巨細胞が散在していた(図 2 a,b)。乾酪壊死はなく,類上皮細胞および多核巨細胞は CD68 陽性であった(図 3 )。Ziehl-Neelsen 染色で抗酸菌を認めなかった。HTLV-1 プロウイルス陰性(サザンブロット法)。
診断:Morpheaform Sarcoidosis
患者:19 歳,男性
主訴:左手掌の皮下結節
既往歴:外傷歴なし
現病歴:1 年前に時に圧痛を伴う左手掌の皮下結節を自覚し,皮下結節は徐々に増大したため当科を受診した。
臨床像:左手掌に 12×10 mm のわずかに隆起する弾性硬の皮下結節を認めた。表面は平滑で淡青色を呈し,下床との可動性は良好であった(図 1 )。
超音波検査:皮下に 7×3×9 mm の境界明瞭な低エコー領域を認め,僅かな側方陰影と後方音響陰影がみられた(図 2 a)。カラードプラ画像で明らかな血流は認めなかった(図 2 b)。
治療および経過:局所麻酔下に表皮を含め単純切除した。周囲組織との癒着はなく,容易に剝離できた。術後 3 カ月の時点で再発はみられていない。
病理組織学的所見(HE 染色):真皮深層から脂肪組織にかけて線維性被膜に包まれ小葉状に分葉した腫瘍を認めた(図 3 a)。腫瘍は血管内皮細胞様細胞の増殖により構成され,これらの細胞は好酸性の粘液性間質の中で,拡張した毛細血管と一部は管腔形成の乏しい毛細血管様構造を形成していた(図 3 b)。被膜は血管を示唆する所見(血管内皮細胞の存在,周囲の血管平滑筋の存在,弾性線維の存在)は認めなかった(図 3 c)。
診断:Subcutaneous pyogenic granuloma(以下,SPG)
症例 1:4 歳,男児。マイコプラズマ肺炎を発症した 10 日後に眼,臀部の瘙痒,口唇の腫脹と小水疱が出現した。Stevens-Johnson 症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS)の疑いで翌日入院となった。症例 2:12 歳,男児。マイコプラズマ肺炎を発症した 11 日後に口唇の腫脹と小水疱が出現した。ヘルペス性歯肉口内炎の疑いで翌日入院となった。2 症例ともマイコプラズマ肺炎に対して抗菌薬の投与が開始されたが粘膜疹は改善しなかった。皮膚病変を欠き,粘膜疹のみ認めたことから Mycoplasma pneumoniae-induced rash and mucositis(MIRM)と診断した。粘膜疹はプレドニゾロンの内服開始後に軽快した。マイコプラズマ肺炎感染後に出現した粘膜疹は経過や臨床像などから SJS やヘルペス性歯肉口唇炎などとの鑑別を要する。しかし本症例のように皮膚症状を欠く場合,MIRM の可能性を念頭に置く必要がある。
76 歳,女性。初診 4 カ月前より両足背に疼痛を伴う紅色局面が出現し,前医でプレドニゾロン内服治療が開始されるも難治で当科を紹介された。血液検査では貧血と低アルブミン血症とともに未治療の糖尿病が発覚した。初診 1 カ月後に両大腿,膝関節に皮脂欠乏様の網目状紅斑が出現し拡大した。病理組織では表皮上層の壊死,空胞変性様の所見,膿瘍の形成を認め壊死性遊走性紅斑(necrolytic migratory erythema:NME)と診断した。血中グルカゴン値は軽度高値で,造影 CT では膵尾部に多血性腫瘍および多発肝転移,胸腹水が指摘され,グルカゴノーマとその多発肝転移と診断された。さらに血中のアルブミンおよび亜鉛の低下を伴い栄養障害もみられた。NME と診断された後に全身状態は急速に悪化し,内科で対症療法を行うも初診の 4 カ月後に逝去した。NME はグルカゴノーマに伴うデルマドロームとしてよく知られる疾患で,皮疹以外の症状は非特異的で治療に難渋することが多い。グルカゴノーマを合併せず栄養障害のみで発症する NME も近年多数報告されており,NME の本態は血中アミノ酸欠乏による表皮蛋白合成障害と考えられる。本症例は状況的に切除不能なグルカゴノーマを合併していたが,血清アルブミンおよび亜鉛の顕著な低下も併存したため,栄養障害で発症した可能性も否定できない。
72 歳,男性。ナファモスタットメシル酸塩を使用した血液透析において,X 日に心肺停止を来たし,X+5 日に呼吸困難が生じ,X+7 日に呼吸困難と血圧低下を認めた。X+7 日の血中トリプターゼ値は上昇していた。ナファモスタットメシル酸塩を用いたプリックテストは陽性,X+35 日の好塩基球活性化試験は陰性だったが,病歴と皮膚テストの結果からナファモスタットメシル酸塩によるアナフィラキシーショックと診断した。その後,血液透析の際にナファモスタットメシル酸塩の使用を中止したところ症状の再燃はみられていない。アナフィラキシーの診断において半減期の短いヒスタミンの測定は困難なことが多く,半減期の長いトリプターゼの測定が有用と考えられる。
76 歳,男性。数年前から下腹部の有毛部に鱗屑と小膿疱を伴う紅斑の出現と消退を繰り返しており外用薬で経過をみていたが改善することはなかった。当科を受診後,診断のために施行した皮膚生検で,Kogoj 海綿状膿疱を特徴とする好中球性角層下膿疱を認め,臨床症状と合わせて膿疱性乾癬の診断に至った。その後はイキセキズマブの治療を半年間継続し,治療終了となった現在も再燃はしていない。本症例は慢性経過で膿疱の出現を繰り返していたが,皮疹の出現部位が下腹部のみに限局しており,掌蹠膿疱症や稽留性肢端皮膚炎など従来の限局型に当てはまる疾患とは異なる臨床像であった。汎発型で生じることがある IL36RN や CARD14 遺伝子の多型や変異も認めず,限局性膿疱性乾癬のあたらしい病態に当てはまるのではないかと考察した。
80 歳,男性。胃癌で胃全摘術の既往があり,以前よりアルコール多飲もあった。初診時の 10 年以上前に皮疹が出現し,乾癬を疑われ他院に通院していた。初診時,比較的境界明瞭な表面に鱗屑を付す角化性の紅斑が散在し,背部には一部小膿疱を認めた。経過中,びらんや鱗屑を伴う環状を呈する紅斑へ変化した。血液検査にてナイアシン,ビタミン B1,ビタミン B12,および亜鉛の血中濃度の低下を認めた。これらの補充を行い,一時皮膚症状が改善したが,再度皮疹が増悪し,自己免疫性水疱症を疑った。血清抗デスモグレイン 1 抗体値が 9480 U/ml と高値であり,皮膚病理組織学的に角層下に棘融解を認め,蛍光抗体直接法で表皮細胞間に IgG の沈着を確認したことから,落葉状天疱瘡と診断した。自験例では,栄養障害が皮膚病変の特異な臨床像に影響を与えた可能性が示唆された。栄養障害に伴う皮膚症状として代表的なものとしてペラグラや腸性肢端皮膚炎,壊死性遊走性紅斑があるが,これらの疾患は類似点も多く,一連の症候群として「deficiency dermatoses」「栄養障害性紅斑症」「栄養障害性紅斑」「栄養障害性皮膚症」の病名で報告されている。びらんを伴う症例では,天疱瘡などの自己免疫性水疱症を念頭において診療にあたる重要性を再認識した。さらに,栄養障害の存在が疑われる場合には,栄養障害性紅斑症の鑑別を行うことが重要である。
26 歳,女性。妊娠 28 週の初妊婦。アトピー性皮膚炎のため近医へ通院していた。1 カ月前から左下眼瞼の腫脹が出現し,近医にて切開排膿および抗生剤投与を行うも改善なく当院へ紹介された。難治性の腫脹のため皮膚生検を施行したところ肉芽腫性眼瞼炎と診断した。トリアムシノロンアセトニド局所注射を 7 回施行し,治療開始半年後に改善した。肉芽腫性眼瞼炎は眼瞼の持続的腫脹と病理組織学的に類上皮細胞肉芽腫を特徴とする疾患で,治療法として内服療法ではトラニラストやステロイド,ミノサイクリンが使用されるが,自験例は妊婦のためステロイド局注療法を選択した。
94 歳,男性。約 60 年前に左頰部に皮膚腫瘤が出現し,徐々に増大した。左頰部に 15×5×10 mm の有茎性,弾性軟,表面平滑な淡紅色腫瘤を認めた。ダーモスコピーで arborizing vessels と一部に色素性病変を示唆する青灰色の領域がみられた。摘出組織の病理組織学的所見では,ポリープ状の病変内に基底細胞様細胞が網目状に増殖し,胞巣の最外層に柵状配列,周囲間質と裂隙を認めた。これらより,低色素性ポリープ状基底細胞癌と診断し,病理組織学的には adenoid type と分類した。
60 代,女性。数日前から自覚した右上腕のしこりを主訴に前医を受診し,精査加療目的に当科へ紹介された。初診時,右上腕伸側に比較的境界明瞭な 2 cm の皮下結節を認めた。エコーでは皮下脂肪内に低エコー腫瘤が描出された。病理組織像では線維芽細胞様細胞が増殖し,核分裂像も散見された。また免疫組織化学染色では vimentin 陽性,α-SMA が一部陽性,CD68 が多核巨細胞を中心に陽性,AE1/AE3,desmin,CD34,S-100 蛋白は陰性であり,Ki-67 が 50%の細胞に陽性となり,粘液炎症性線維芽細胞肉腫(MIFS)と診断した。MIFS は WHO 分類では中間型悪性腫瘍として位置づけられており,生命予後は良好で転移は稀だが,局所再発率は比較的高率であるとされている。臨床所見のみでは診断困難なため組織学的所見による鑑別が重要である。
90 歳,男性。初診の 3 カ月前より右側頭部の腫脹と排膿に気が付いた。初診時,右側頭部に 30×23 mm の紫紅色,扁平に隆起した腫瘤を認めた。生検を行い,真皮全層に赤血球の漏出と炎症細胞の浸潤を認めたが,腫瘍性病変は確認できなかった。創部は一旦消失したが,初診後 1 年 5 カ月頃より同部位が隆起するようになった。悪性腫瘍の可能性も考えられたため再生検を行ったが診断がつかず,治療および診断目的に皮膚腫瘍摘出術を行った。病理組織学的所見では,皮下組織を主座に類上皮様の腫瘍細胞の充実性シート状増殖を認め,部分的に血管様構築がみられた。免疫組織化学的所見では腫瘍細胞は CD31,D2-40,ERG が陽性を示し,Epithelioid angiosarcoma(EAS)と診断した。深部断端陽性のため二期的に皮膚悪性腫瘍切除術および全層植皮術を施行した。その後,放射線療法を施行したが,放射線療法終了後より 3 カ月後の CT 検査にて肺転移が認められた。患者は抗癌剤治療を希望せず緩和治療を行う方針となった。EAS は多彩な症状を呈するため臨床所見からの診断を困難とする報告が多く,文献をもとに EAS の臨床類型について考察した。
78 歳,女性。5 年以上前から右耳介にびらんを伴う紅斑が出現し,ステロイドの外用で治療されたが,寛解と増悪を繰り返していた。当院を初診時,右耳介に鱗屑や痂皮,硬結を伴う紅褐色局面を認めた。皮膚生検で非乾酪壊死性類上皮細胞肉芽腫を確認し,ツベルクリン皮内反応およびインターフェロン γ 遊離試験が陽性であったため lupus pernio として治療を開始した。Ziehl-Neelsen 染色や抗酸菌培養は陰性であった。しかし,耳介の紅褐色局面はさらに拡大し,いわゆる“Turkey ear”を呈した。再度皮膚生検を行い,結核菌 PCR 検査を実施した結果,陽性を示し,尋常性狼瘡と診断した。“Turkey ear”は当初,耳介に生じた皮膚サルコイドの一型(lupus pernio)の特徴的な肉眼所見を示す用語として使用されていたが近年ではむしろ尋常性狼瘡の症状として報告されており,特徴的な臨床像として認識しておくことが重要である。さらに,抗酸菌培養が陰性であったとしても,早期の結核菌 PCR 検査の施行が有用である可能性が示された。
当科受診の爪白癬にホスラブコナゾール 12 週間内服(1 クール)を実施し,5 年後に 234 例(男性 125;女性 109,平均年齢 71.6±12.2 歳)を集計した。足趾爪 7.5±2.5 本,手指爪 0.5±1.8 本であった。1 クール完了して 6 カ月以上経過後,効果が乏しい場合ないし再燃例には,2~3 クール目の投与を開始した。爪混濁率をモルフォメトリー法で測定し,混濁率の推移から罹患爪総和の改善率{(治療前%-治療後%)/ 治療前%×100%}を割り出し,1 クール前(A-0),1 クール完了直後(A-1),完了 3 カ月後(A-2),完了 6 カ月後(A-3)の 4 段階で解析した。2 クールおよび 3 クール完了群も同様に 4 段階で解析した。1 クール完了群(A)は男 84,女 57(計 141 例)で,足爪白癬改善率は A-1 で 70 例中完治,不変共 8 例,平均 45.6±27.4%,A-2 は 50.1±30.3%,A-3 は 57.0±38.6%であった。手爪白癬改善率は A-1 で,18 例中完治 6,不変 0 例,平均 78.6±27.9%,A-2 では 6 例中完治 5 例,平均 81.3±24.3%,A-3 では 9 例中完治 6 例,平均 89.0±6.1%であった。手と足爪白癬の両者を有する例では,手白癬の方が足白癬より比較的早く改善した。2 クール完了群(B)は 26 例(男 9,女 17 例)と女性に多く,2 クール直前(B-0);33.5±20.3%(n=26),2 クール完了直後(B-1)は 56.4±29.9%と有意に上昇したが,3 カ月後(B-2)と 6 カ月後(B-3)は横ばいであった。手爪白癬は B-0 は 54±33.6%(n=5),B-1 は 56.4±29.9%と大差なく,B-2 では 69.0±45.3%と改善率はやや上昇したが,有意差はなかった。血中亜鉛値と罹患爪総数との相関は女性では亜鉛低値(59 μg/dl 以下)群で罹患爪数 10 本以上(11 例)と亜鉛値間で負の相関を認めた(χ2 検定;0.041)。手爪白癬の方が足爪白癬より治療効果が速やかに出現することがわかった。なお,亜鉛値低下例に亜鉛を補充後,全例血中亜鉛値の改善をみた。
2016 年 1 月~2024 年 12 月に日本赤十字社長崎原爆病院皮膚科を受診した帯状疱疹の症例について疫学的検討を行った。患者数は 1001 人で,男性 415 人,女性 586 人だった。年別症例数は 2016 年から 2019 年は増加傾向であったが,2020 年に減少し 2021 年より漸増傾向,また帯状疱疹患者に占める被爆者の割合は 2016 年で 23.8%であったが,年々低下して 2024 年では 16.0%だった。年齢別では 70 歳台が最も多く,次いで 80 歳台,60 歳台の順であった。912 人(91.1%)は基礎疾患があり,高血圧症(39.4%),悪性腫瘍(29.2%),糖尿病(25.3%)の順に多かった。2020 年以降では COVID-19 ワクチン予防接種の翌日に 2 人,COVID 肺炎発症の翌日に 1 人帯状疱疹の発症がみられた。発生部位は男性が頭部顔面・胸部,女性が頚部・腹部・下肢に多い傾向を認めた。発症から治癒までの平均期間は 82.8 日,帯状疱疹後神経痛の発症率は 49 歳以下で 14.0%,50 歳以上で 21.9%と増加していた。再発例は 94 人(9.4%)で男性 33 人,女性 61 人,年齢別では 60 歳台,70 歳台,80 歳台の順に多く,88 人(93.6%)は基礎疾患を有し,高血圧症(36.8%),悪性腫瘍(35.7%),糖尿病(21.0%)の順に多かった。