整形外科と災害外科
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55 巻 , 3 号
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  • 米 和徳, 林 協司, 山元 拓哉, 長友 淑美, 永田 政仁, 中村 俊介, 松永 俊二, 小宮 節郎
    2006 年 55 巻 3 号 p. 293-296
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    当科において椎弓形成術を施行した圧迫性頚髄症336例の手術成績(JOA score 改善率)を年齢別に比較すると,40歳未満58.1%,40歳代49.1%,50歳代48%,60歳代44.7%,70歳以上36.4%であり,高齢者の成績は劣っていた.しかし,高齢者の圧迫性頚髄症にて手術を施行した群としなかった群を比較すると,JOA score は非手術群では10.1から7.7に低下していたが,手術群では7.3から10.7に改善しており,また,最終経過観察時の歩行不能例は手術群17%,非手術27%であった.しかも,Kaplan-Meierによる初診後5年での生存率は手術群0.915に対して,非手術群では0.745であった.高齢者の圧迫性頚髄症の手術成績は青壮年者の成績に比較し決して満足できるものではないが,自然経過による脊髄症状の悪化を防止し,生命予後にも好影響をあたえるものと考えられる.
  • 小関 弘展, 青柳 孝彦, 古市 格, 廣田 康宏, 野崎 義宏, 大野 晴子, 釘崎 創, 力武 一久
    2006 年 55 巻 3 号 p. 297-300
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    64歳,男性.約2.5m高より転落し,当科救急外来搬送された.意識清明で全身に多数の打撲傷,口腔内出血を認めた.腰痛と左下肢の疼痛を訴え,徐々に左下肢の皮膚温低下,運動,知覚麻痺,皮膚色調変化が進行した.左大腿動脈以下の動脈拍動が触知不能であった.下顎骨骨折と第4腰椎椎体の骨折を認めたが,脊柱管内への骨片の突出はなかった.腹部造影CTで腰椎骨折部に隣接する左総腸骨動脈の外傷性解離による閉塞を認めた.左下肢阻血に対する循環動態改善のため,緊急で左総腸骨動脈結紮術と大腿動脈―大腿動脈バイパス術を施行した.術後,左下肢の循環動態は改善し,左下肢痛,運動,知覚障害とも速やかに回復した.術後1年4ヵ月の現在は機能障害なく現職に復帰している.受傷機転は腰椎の過伸展強制により動脈が牽引されたものと推察された.腰椎骨折に合併した総腸骨動脈解離は稀有であるが,重篤な外傷であるため,迅速な対応が必要である.
  • 福田 和昭, 瀬井 章, 水田 博志, 谷脇 琢也, 水溜 正也
    2006 年 55 巻 3 号 p. 301-305
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    腰部脊柱管狭窄症は,間欠性跛行,腰痛等を主訴に来院することが多い.足底の筋萎縮と下腿の線維束性収縮を主訴に受診し,運動ニューロン疾患(MND)との鑑別を要した症例に対し,手術施行し良好な結果を得た.患者は63歳男性.上記主訴のためMND疑われ当院神経内科精査後,腰椎疾患の可能性に対し当科紹介となった.左足底の著明な筋萎縮と,両下腿の線維束性収縮,300メートルの間欠性跛行を認め,感覚,筋力は正常であった.電気生理学的検査では神経原性変化を認めた.画像検査ではL4/5,5/Sでの脊柱管狭窄を認めた.L4/5,5/S の椎弓切除術施行.術後2年半経過し,間欠性跛行の再発はない.新たな筋力低下,筋萎縮の出現は認めず,線維束性収縮は消失した.術後経過よりMNDは否定された.MNDと診断されているものに脊椎疾患が含まれている可能性が示唆された.
  • 相良 孝昭, 赤崎 幸二, 木村 真, 福本 巧, 河野 淑彦, 岡 潔, 竹村 健一, 武内 晴明
    2006 年 55 巻 3 号 p. 306-312
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    脊髄髄内病変を早期に診断し治療を開始することは重要であるが,その診断に難渋することも多い.最近我々が経験した非腫瘍性脊髄髄内病変3例をMRIを中心に検討した.症例1,66歳男性.(MRI所見)発症8日後,L1レベルのcord内にT1低信号,T2高信号,Gdにて増強される病変を認めた.発症4ヶ月後T1低,T2高,Gd陰性となる.症例2,63歳女性.発症2日後Th12~L1レベルのcord内にT1等~高,T2低,Gd軽度増強の病変を認めた.発症3ヶ月後,T1低~高,T2低となる.症例3,32歳女性.発症2日後,Th9~Th10のcordが局所腫大しT1低~等,T2低~高,Gdにて軽度増強される病変を認めた.発症11日後T1高,T2低~高,Gd増強となる.発症2ヶ月後T1低,T2低信号の中に高信号が点在,Gd陰性となり,病変部の脊髄萎縮が著明となる.以上より症例1脊髄梗塞,症例2脊髄出血,症例3脊髄出血性梗塞と診断.症例1及び2では麻痺は回復したが,症例3では完全麻痺の状態となった.
  • 豊田 耕一郎, 小笠 博義, 椎木 栄一, 及川 哲也, 武藤 正記, 酒井 和裕
    2006 年 55 巻 3 号 p. 313-315
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    強直性脊椎骨増殖症に合併した第12胸椎椎体骨折後偽関節例を経験したので報告する.84歳,男性で主訴は背部痛と両下肢脱力である.数回の転倒歴あり,最終転倒後に体動困難のため当科入院となる.単純X線写真で第12胸椎椎体の開大あり,MRIで椎体内fluidlike collection像あり,椎弓根に骨折及んでいた.仙腸関節の癒合なく,強直性脊椎骨増殖症に合併した第12胸椎椎体骨折後偽関節と診断し,脊椎短縮術を行った.術後麻痺は軽度改善するも4ヶ月後に嚥下性肺炎にて死亡した.強直性脊椎骨増殖症に合併した胸腰椎移行部骨折は初回X-pで圧迫骨折と診断されることも多いので,MRI,CTで後方要素骨折の確認が必要で,不安定型であれば手術的治療が必要と考える.
  • 山元 拓哉, 米 和徳, 松永 俊二, 林 協司, 宮口 文宏, 長友 淑美, 今村 勝行, 永田 政仁, 小宮 節郎
    2006 年 55 巻 3 号 p. 316-319
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    脊髄腹側にあるC2前根糸由来の神経症腫に対し側方進入にて手術施行したので報告する.
    (症例)31歳男性.2003年2月上位頚椎のdumb-bell腫瘍に対し,後方進入にて環椎後弓切除・腫瘍摘出術施行.病理はschwannomaであった.myelopathyは軽快するも,MRI上脊柱管内に腫瘍は遺残.2004年9月左上肢の筋力低下出現.手術目的にて2005年6月入院.四肢DTRの亢進,左上下肢の筋力低下を認め,JOA scoreは11/17.脊髄は環椎レベルで腹側から著明に圧迫されており,側方進入摘出術を施行.胸鎖乳突筋後方より進入,腫瘍を内減圧し骨削除は行わずに全摘し得た.腫瘍はC2神経根前根と連続していた.術後大後頭神経領域の知覚低下出現するもmyelopathyは軽快した.
    (考察)上位頚椎部の脊髄腫瘍は呼吸麻痺や重篤な麻痺を来しうるため,特に良性の場合全摘が望ましい.腫瘍が脊髄腹側に存在する場合,側方進入摘出術は有用な方法と考える.
  • 松永 俊二, 林 協司, 山元 拓哉, 長友 淑美, 永田 政仁, 米 和徳, 小宮 節郎
    2006 年 55 巻 3 号 p. 320-322
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    神経症状を惹起しない生理的な変性の所見を明らかにするために80歳以上の健康老人と神経症状を呈した老人の頚椎X線写真および遺伝的背景,生活習慣などの個人の基本情報を比較検討した.頚部痛やしびれや運動障害の既往が全くなく現在も介助を受けず自立して健康に生活している80歳以上の超健康老人(super healthy elders;SHE)50名と明らかな頚椎由来の神経症状がある80歳以上の高齢者50名を対象として頚椎X線写真上の椎間板の所見や対象の背景を比較した.super helthy eldersでは頚椎の変性は明らかに認められたが頚椎の制動化に関与する変性が顕著であり,また固有脊柱管径は有意に広かった.背景としてsuper helthy eldersでは運動歴が有意に高く,また長寿の家系であった.高齢者の頚椎の変性疾患の治療を行う際には健康な高齢者の頚椎の所見を熟知する必要がある.
  • 伊達 亮, 宮本 龍彦, 住浦 誠治, 山本 学, 二武 皇夫
    2006 年 55 巻 3 号 p. 323-327
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    【目的】当院で行った静脈血栓塞栓症(以下VTE)に対する予防効果を検討したので報告する.【対象】人工膝関節置換術(以下TKA)後にVTE予防を行った66例75膝を低用量未分画ヘパリン(以下UFH)の使用単位によって3群に分け検討した.【方法】術後1日目よりそれぞれの群でUFH1000IU,2000IU,5000IUを1日2回皮下注射した.3群間でD-dimer・APTT・Hb・血小板数の変動について検討した.VTE症例と非VTE症例の危険因子の比較を併せて行った.【結果】D-dimer・APTT・Hb・血小板数は3群間で有意差を認めなかった.5000IU 群でVTEの発生頻度が減少していた.術前D-dimerは,VTE症例で有意に高値であった.
  • 大田 博人, 工藤 勝司, 達城 大, 松元 征徳, 山田 泰之, 渡辺 雄
    2006 年 55 巻 3 号 p. 328-332
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    【目的】当院で施行したUKAの短期成績について検討した.【対象および方法】対象は当院にてUKA施行した5例5膝,手術時平均年齢74.2歳,術後平均経過観察期間12ヶ月である.これらの術前・術後のJOA score,関節可動域,FTAの変化,その他インプラントの設置状況計測値につき評価を行った.【結果】JOA scoreは,術前平均50.0点が術後平均86.0点に改善,関節可動域は術前123.8°(-8.7°~132.5°)から136.2°(-1.3°~137.5°)へと軽度改善した.FTAは,術前平均180.4°が,術後平均174.6°となった.その他の計測値では,5°以内のばらつきが見られたが,特に問題は生じていなかった.【考察および結語】当院で施行したUKAの短期成績は概ね満足できるものであった.内側型OAに対して,適応を守れば比較的短期間の入院で良好な改善が望めるものと期待できる.
  • 山下 英樹, 岡野 徹, 永島 英樹, 豊島 良太, 高 道也
    2006 年 55 巻 3 号 p. 333-338
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    腸恥滑液包は人体に常在する最大の滑液包といわれ,腫大すると股関節部痛の原因となりうる.我々は胸椎破裂骨折後の関連痛との鑑別を要した腸恥滑液包炎を経験したので報告する.症例は76歳女性.転倒し,第12胸椎破裂骨折を生じた.受傷1か月後より左腸骨から鼠径部,大腿部にかけての疼痛が出現した.股関節単純X線像上,異常所見を認めなかったが,左股関節可動時痛を有しており,鑑別として股関節疾患および破裂骨折に伴う関連痛を考えた.骨折部の安定化を図るためにCTガイド下に第12胸椎椎体形成術を行った.左大腿部の疼痛は軽快したが,腸骨部痛と鼠径部痛は残存した.股関節MRIにて腫大した腸恥滑液包が確認されたため,CTガイド下穿刺を行い,黄色透明な液体を吸引した.腸骨部痛,鼠径部痛は消失した.2週後疼痛が再燃したが,再度穿刺を行い疼痛は消失,歩行可能となった.
    股関節部痛を鑑別する上で腸恥滑液包炎は念頭に置かなければならない疾患であると考えられた.
  • 堀 亜希子, 宮原 寿明, 江崎 幸雄, 寺田 和正, 小原 伸夫, 宮崎 清, 平田 剛, 川本 泰作
    2006 年 55 巻 3 号 p. 339-344
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    人工股関節置換術(THA)において,オフセットの延長は外転筋力の増加と可動域改善に有用である.今回,当科でおこなわれたJMM 910 Perfix HAハイオフセットステムを使用したTHA 36例41関節(変形性股関節症(OA)25関節,関節リウマチ(RA)16関節)について,スタンダードオフセットステムとハイオフセットステム間での術中可動域の比較をおこなうとともに,術前術後のオフセットの変化の程度についてX線学的に検討した.術中インピンジメントテストでは,スタンダードステムと比べてハイオフセットステムの方が内外旋角度が増加していた.術後femoral offsetの増加をOAの80%,RAの56%に認めたが,大転子-涙痕間距離の増加例はOAで40%,RAで31%,最大13mmであり,オフセットの過度増加例は無かった.術中の軟部組織過緊張による可動域制限や術後の大転子周囲の愁訴も認めなかった.
  • 肥後 勝, 吉野 伸司, 中村 雅洋
    2006 年 55 巻 3 号 p. 345-347
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    小児股関節疾患で片側下肢に内反股を遺残した16例の下肢alignmentについて立位下肢連続X線写真前後像を用いてX線学的に検討した.内反股を遺残した原疾患はペルテス病13例,先天股脱2例,化膿性股関節炎1例であった.調査時の年齢は8~15歳,平均13歳であった.脛骨近位骨端幅を5等分した区画で下肢機能軸の通過点を検討した.下肢機能軸の通過していた区画でみると正常な中央区画が13例,生理的な許容範囲内と考えられる中央区画に隣接する区画が2例,病的な外側区画が1例であった.下肢alignment異常を認めなかった15下肢には膝変形はなかった.先天股脱の1例では下肢機能軸の膝関節での外側偏位と外反膝変形を認めた.小児の股関節疾患の治療後の内反股遺残症例では下肢alignment異常や膝の角状変形は生じ難いと考える.
  • 吉野 伸司, 肥後 勝, 中村 雅洋
    2006 年 55 巻 3 号 p. 348-350
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    先天性内反足に対してPonseti法により初期治療を行い6ヶ月以上経過した症例の治療効果について検討した.症例は9例14足で平均6回のギプス矯正後,アキレス腱を皮下切腱した.変形をレ線学的に評価し,正面像での距骨第1中足骨角(T-1stMTA)と距踵角(TCA),側面最大背屈位でのTCAと脛踵角(Ti-CA)を調査した.6ヶ月時T-1stMTA平均-10°,正面TCA34°,側面33°,Ti-CA 67°と良好な矯正が得られており,その殆どの例で1歳まで矯正位は保持されていた.3足(21%)は変形が残存し,2足に後方解離術,1足に後内側解離術が必要であった.Ponseti法により前足部の内転変形は早期に矯正され,同時に後足部,踵骨の内反も自然矯正される.本法は広範な初期軟部組織解離手術を必要とする症例を減らすことができる有用な方法と考えられた.
  • 松下 任彦, 山内 達朗, 中島 三郎, 井上 哲二, 渕上 徹郎, 宮崎 信, 田渕 健太郎
    2006 年 55 巻 3 号 p. 351-354
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    大腿骨転子下骨折に対して,1996年1月から2005年4月までに当院で手術を行った47例中28例(使用固定器具は髄内釘タイプが26例,CHSが2例)について治療成績を検討した.受傷前独歩または1本杖歩行であった24例の内,術後も同レベルであったのは16例であり,28例中23例に骨癒合が得られた.遷延骨癒となった5例(いずれも髄内釘タイプを使用)の内,固定器具の折損やカットアウトを生じた3例に対しては再手術を施行し,他の2例についてはダイナミゼーションを行い最終的には全例で骨癒合が得られた.髄内釘は,閉鎖式手術にこだわらず,必要ならばワイヤーなどの追加固定も行うことが重要であり,骨癒合が遷延する場合はダイナミゼーションを行うべきであると考えられた.
  • 前田 勇一, 中馬 東彦, 清家 一郎, 堀内 秀俊
    2006 年 55 巻 3 号 p. 355-357
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    脊椎腫瘍の術前処置として,腫瘍血管の塞栓術を施行中,一過性皮質盲を生じた症例を経験した.一過性皮質盲に関する過去の報告では,発症直後のCTやMRIで後頭葉に異常像が見受けられた.我々もCTやMRIを施行したが,特記すべき所見は認められなかった.視力は,4病日で元に戻り,4ケ月時も変わらなかった.過去の報告と合わせて,この疾患は自然治癒の可能性が高いと思われた.
  • 當銘 保則, 田嶋 光, 余 みんたく
    2006 年 55 巻 3 号 p. 358-362
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    母指CM関節不安定性による障害に対して長橈側手根伸筋腱(以下ECRL腱)を用いてIntermetacarpal lig.(以下IML)再建術を施行したので報告する.対象は靭帯再建術を施行した7例7手(母指CM関節症5例5手,外傷性不安定症2例2手).性別は男性2例,女性5例,年齢は15~67歳,経過観察期間は6カ月~6年3カ月であった.Eaton分類はstage Iが4手,stage IIが3手であった.手術は琉球大法に準じて停止部を茎とするECRL半切腱を用いてIMLを再建した.手術成績(Eatonの評価),母指CM関節可動域,ピンチ力,握力,X線学的評価を検討した.手術成績はexcellent 5例,good 1例,failure 1例であった.Eaton分類でstageが進行した例は認めなかった.関節症変化が軽度の母指CM関節症と外傷性不安定症に対して本法は有効と考えられた.
  • 安部 幸雄, 津江 和成, 藤井 謙三, 岩永 隆太
    2006 年 55 巻 3 号 p. 363-367
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】遠位橈尺関節(DRUJ)不安定症の成因はいまだ明らかでない.今回,自験例より損傷組織,病態は画一的でないことを確認したので報告する.【対象】症例は6例で全て男性,年齢は15歳~44歳,6例中5例は回外0~35度に制限され,1例では回外90度が可能であったが疼痛を訴えた.全例にX線,CT,MRI,関節鏡,直視下整復術を施行しその病態を検討した.【結果】損傷組織は尺骨茎状突起骨折5,偽関節1,背側遠位橈尺靱帯(RUL)―関節包間の断裂2,三角線維軟骨背側部断裂2,尺骨小窩からのRULの断裂2,DRUJ背側関節包の断裂1,背側RULの断裂1,尺側手根伸筋の掌側脱臼1であった.またCTにて尺骨頭の外旋転位を2例に認めた.【考察】DRUJ不安定症を呈する損傷様態は様々である.CTにて明らかな掌背側方向の転位がなくとも尺骨頭が橈骨に対し外旋転位することにより回外制限が生じるものと推察した.
  • 古江 幸博, 佐々木 誠人, 永芳 郁文, 本山 達男, 南 達也, 鈴木 孝典, 藤井 裕士, 川嶌 眞人, 田村 裕昭
    2006 年 55 巻 3 号 p. 368-371
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    橈骨遠位端骨折に尺骨遠位骨端離開を合併したGaleazzi-equivalent lesionの1症例を経験した.症例は11才,男児.自転車走行中転倒し受傷した.X線像にて掌屈転位した橈骨遠位端若木骨折と尺骨遠位骨端離開を認め,尺骨骨幹端が背側に転位していた.尺骨は徒手整復を試みるも整復されず観血的整復を行った.骨片間に介在し整復を阻害していた骨膜を外した後も,整復が非常に困難で整復後も安定性が悪かったため,骨端離開ではあるが引き寄せ締結法にて固定した.術後7ヶ月の経過観察時では良好な経過をたどっているが,本外傷は骨端線損傷であり,今後の尺骨成長障害を長期観察する必要がある.
  • 増田 賢一, 吉田 健治, 田中 憲治, 中村 英智, 西田 俊晴, 吉松 弘喜, 吉光 一浩, 山下 寿, 後藤 琢也
    2006 年 55 巻 3 号 p. 372-374
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    当院で過去2年間に観血的治療を行った上腕骨遠位端骨折12症例(男4,女8)の治療成績について検討を行った.平均年齢56.9歳(15~82歳)経過観察期間は平均11.9か月(6~18か月)であった.AO分類でA2型3例B2型2例,C1型2例C2型2例C3型2例であった.手術はtension band wiring法が2例,プレート固定を10例に行った.術後外固定期間は平均9日(0~53日)であった.平均可動域は伸展-17°(-45~0°)屈曲107°(95~140°)であり,JOA scoreは平淘82.2点(65~92点)であった.これらの治療成績は諸家の報告と比較しても遜色のないものであった.
  • 市村 竜治, 堀内 英彦, 奥平 毅
    2006 年 55 巻 3 号 p. 375-379
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    60歳以上の不安定型橈骨遠位端骨折に対する治療成績を創外固定群と保存療法群の2群にわけ検討した.対象は2002年5月から2005年5月までに当院で加療した86例のうち,受診時60歳以上で不安定性を認めた32例である.創外固定群11例,保存療法群21例であり,骨折型は斉藤の分類でほとんどが粉砕Colles骨折であった.創外固定群ではX線成績が良好であったのに対し,保存療法群では不良であった.ROM,握力による機能評価,合併症,関節症変化,自覚的評価では両群間に有意差は認められなかった.また,斉藤の評価基準で評価した総合成績では両群ともに成績良好であった.高齢者の不安定型橈骨遠位端骨折においてはX線上変形治癒が残存しても機能的予後,患者の満足度は良好なことが多い.治療法の選択に際しては解剖学的整復位での骨癒合にこだわる必要はなく,保存療法でも良好な成績が得られると考えられた.
  • 田中 寿人, 小峰 光徳, 黒川 宏亮
    2006 年 55 巻 3 号 p. 380-384
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    【目的】認知症患者の上腕骨近位端骨折に対してIntrafocal pinning法を施行した.【対象と方法】症例は75~88歳(平均81歳)の4例,全例女性.長谷川式簡易知能評価スケールは0~16点(平均8点),痴呆性老人の日常生活自立度はIIb~IV.骨折型はAO-A2:3例,偽関節:1例であった.手術はIntrafocal pinning法にて骨頭の背側,腹側より2本のピンにて近位骨片を挟みこみ,必要に応じて外側から3本目を追加した.ピンはいずれも皮下に埋没させた.偽関節症例には人工骨(バイオペックス)をぺースト注入した.外固定は補助的に1ヶ月施行した.【結果】全例,術直後の整復位維持状態にて骨癒合が得られた.【考察】高齢者の上腕骨近位端骨折は保存療法が原則だが,認知症が強い場合,安静保持ができず,治療に難渋する場合もある.本法により,安価で確実な固定を得ることができた.
  • 松永 和剛, 尾上 英俊, 木村 一雄, 山口 哲, 平井 伸幸, 信藤 真理, 白地 仁
    2006 年 55 巻 3 号 p. 385-388
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    横止め髄内釘法で手術を行った上腕骨骨幹部骨折7骨折を調査した.性別は男性3骨折,女性4骨折,受傷時年齢は平均67歳(40~91歳)であった.骨折型はAO分類でA2:2骨折,A3:1骨折,B1:1骨折,B2:2骨折,B3:1骨折で,骨折部位は全て中1/3であった.経過観察期間は平均12ヵ月(4~18ヵ月)であった.その結果,骨癒合は6骨折で得られたが,1骨折は偽関節となった.術後肩痛などの症状を訴えたものはなく,橈骨神経麻痺などの合併症もなかった.これらの事より,高齢者に対する順行性横止め髄内釘法は有効な手術方法であると考えられた.
  • 束野 寛人, 池田 天史, 宮崎 真一, 川添 泰弘, 土田 徹, 安藤 卓, 久嶋 史枝
    2006 年 55 巻 3 号 p. 389-392
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    滑膜骨軟骨腫症は滑膜の未分化細胞が化生して葡萄の房状に軟骨を生じるものである.過半数が膝関節に発症し,股関節に出現する頻度は約10%である.我々は股関節前面の滑液包に巨大な滑膜骨軟骨腫症を生じた1例を経験したので報告する.症例は73歳男性.約30年前に外傷歴があり,以後同部に軟部腫瘍の自覚あるも症状なく放置していた.H17.5月頃より左股関節の伸展にて大腿前面部に疼痛出現した.CT,MRIにて左股関節前面の滑液包内に多数の結節を認めた.歩行に支障が生じるようになったため,手術を行った.巨大化した滑液包により大腿動静脈は内側に圧排され,大腿神経は前方に圧排され扁平化していた.摘出された滑液包内には径3mm~15mm程度の軟骨遊離体を多数認めた.術後に大腿外側に知覚低下を認めたが,症状は3ヶ月で軽快した.関節可動域は正常となり,歩行状態は良好であった.
  • 横内 雅博, 有島 善也, 山崎 康平, 河村 一郎, 小宮 節郎
    2006 年 55 巻 3 号 p. 393-396
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    我々の施設では2005年より,軟部肉腫に対し温熱療法を併用した化学放射線療法(以下RHC)を取り入れ治療を行っている.今回RHCが奏効したsarcomaの2例を経験したので報告する.症例1:53歳男性,左鼡径部粘液型脂肪肉腫.平成13年より二度の手術を施行されるも局所再発し当科入院.腫瘍は神経血管束に接して進展していたが,術前RHCを施行した後に神経血管を温存した腫瘍辺縁切除術を施行した.摘出病理標本にて壊死率100%であった.症例2:28歳女性,右大腿部PNET.当院内科でPBSCTを併用した化学療法を施行された後に,局所コントロール目的に当科入院.化学療法により腫瘍は著明に縮小していたが,依然神経血管束を巻き込んでいたため当科にてRHC施行.腫瘍の著明な縮小を認め神経血管を温存した腫瘍辺縁切除を施行した.摘出病理標本にて壊死率100%であった.若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 佐藤 公昭, 永田 見生, 朴 珍守, 山田 圭, 横須賀 公章, 高松 徹
    2006 年 55 巻 3 号 p. 397-399
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    頚椎黄色靭帯石灰化症の手術例について検討した.症例は12(男性2,女性10)例,年齢69.8(54~80)歳で,全例で頚髄症を呈していた.罹病期間は5.7(1~12)か月であった.脊柱管前後径は12.3(10.0~14.0)mmで,椎間板ヘルニアを5例,頚椎すべりを2例,後縦靭帯骨化を1例に認めた.10例は複数の椎間に石灰化が存在しおり,高位はC3/4;6椎間,C4/5;9椎間,C5/6;9椎間,C6/7;8椎間であった.全例に棘突起縦割式脊柱管拡大術を行い,石灰化した黄色靭帯を可及的に切除した.1例に黄色靭帯と硬膜の癒着を認めたが,剥離は比較的容易であった.経過観察期間31.2(6~100)か月で,JOAスコアは術前9.0(5.5~11.0)点から術後13.2(6.0~16.5)点となり,改善率は53.5(-10~91.7)%であった.
  • 樫原 稔
    2006 年 55 巻 3 号 p. 400-402
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/01
    ジャーナル フリー
    後方要素非温存型頚椎棘突起縦割法の術後の頚椎アライメント変化と項部愁訴について報告する.【対象と方法】対象症例は31例で,頚椎前弯角は中間位側面像でのC2椎体下縁とC7椎体下縁のなす角度を術前後で比較した.項部愁訴は術前と調査時を比較し,術後の軸性疼痛(以下AP)は術前の項部愁訴とは違った疼痛などの症状とした.【結果】頚椎前弯角は術後増加2例,不変1例,減少28例で平均4.0°減少した.術後軸性疼痛は11例に生じ調査時1例のみ残った.術前項部愁訴なしは12例(AP2例)で全例調査時もなかった.術前項部愁訴ありは19例で調査時著明改善10例(AP1例),軽度改善5例(AP5例),不変3例(AP2例),悪化1例(AP1例)であった.【考察】術後軸性疼痛発生例は調査時に項部愁訴の改善が悪い傾向にあった.術後の前弯減少が4.0°で満足できる結果ではなく,今後後方要素温存型術式の検討も必要である.
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