整形外科と災害外科
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56 巻 , 3 号
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  • 近藤 桂史, 宮西 圭太
    2007 年 56 巻 3 号 p. 337-340
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    Suprapatellar pouchを温存した人工膝関節置換術(以下TKA)を行った20膝を対象とし,術後短期成績及び術前屈曲角度に達するまでの術後日数・屈曲角度達成率を,Suprapatellar pouchを切除した群と比較し検討した.関節可動域は術前-13.8°/122.3°が術後-3.8°/130.8°に,HSS/JOA scoreは術前54.5/48.9が術後88.8/85.3へと改善を示した.術前屈曲角度に達するまでの術後日数に関しては,Suprapatellar pouch切除群が平均60.3日であったのに対し,温存群は平均30.2日と著明な短縮を認めた.屈曲角度達成率に関しても,術後1,2,3週の早期と6,8,12週で2群間に有意差が認められた.Suprapatellar pouchを温存してTKAを行った方が,術後成績や膝関節機能の早期改善により有効である.
  • 染矢 晋佑, 王寺 享弘, 徳永 真巳
    2007 年 56 巻 3 号 p. 341-345
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    人工膝関節置換術(TKA)において金属アレルギーと診断された3例5膝を経験したので報告する.術後に金属アレルギーが発症した症例は1例(83歳女性)で,TKA後6か月で全身の掻痒と皮疹・創周囲の皮疹が出現した.パッチテストでCr・Ni等に陽性で金属アレルギーと診断されたが,内服・外用での経過観察にて軽快している.術前に金属アレルギーが判明した症例は2例4膝(女性2例)平均年齢78歳であった.金属アレルギーの既往があり,パッチテストで1例はCo強陽性・Ni陽性,もう1例でCo弱陽性であったため,JMM Bi-surface KU4+(ジルコニアセラミック製)を使用した.術後は2例とも問題なく経過している.金属アレルギーの既往の有無を問診することは必要であり,術後に全身性・難治性の皮疹等が出現した場合に金属アレルギーを疑うことも重要と思われた.
  • 依田 周, 榎本 寛, 岡野 邦彦, 尾崎 誠, 松林 昌平, 進藤 裕幸
    2007 年 56 巻 3 号 p. 346-351
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    我々はH14年まで股関節手術患者に系統的な血栓予防を施行せず,術後致死的なDVT,PEを経験した.以後,股関節手術患者に対し全例血栓のスクリーニングと予防を施行することにしている.今回H15年7月からH18年6月までの当院で手術した股関節手術例149例について線溶系マーカーと深部静脈血栓症(DVT),肺血栓塞栓症(PE)の関連について調査したので報告する.当院での術後血栓症スクリーニングと対処方法は,FDP,D-dimerを術前後に測定し,術後D-dimer値が30μg/ml以上例または臨床症状出現例に対して造影CTによる血栓調査を施行した.結果は造影CT施行は9例でありD-dimer値30μg/ml以上が8例,下肢腫脹のみが1例であった.血栓発症例は7例であり全例D-dimerが30μg/ml以上であった.うちわけはDVT単独が2例,DVTとPEが5例であった.我々は発症が上昇する20μg/ml以上について今後,スクリーニングを続けていこうと考えている.
  • 山田 圭, 朴 珍守, 佐藤 公昭, 脇田 瞳, 神保 幸太郎, 横須賀 公章, 吉田 龍弘, 井上 英豪, 永田 見生, 田中 寿人
    2007 年 56 巻 3 号 p. 352-356
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    【はじめに】特発性側弯症の術中矯正操作による経頭蓋電気刺激による筋誘発電位(CMAP)の変化と術前の脊髄の偏位との関連を検討した.【対象と方法】特発性側弯症7例に対し1例は胸腔鏡視下前方解離術および後方矯正固定術(ISOLA法)を,6例にISOLA法を施行した.脊髄モニタリングはCMAPを使用し,術前の脊髄の偏位の評価は鈴木法とMarutaの分類を使用した.【結果】derotation操作で3例が片側性に,Compression操作で3例が片側性にCMAPの振幅が低下した.術後5例に大腿の知覚障害を認めたがCMAPの変化との相関はなかった.Maruta分類のreverse rotaion type 3例でderotation操作後,片側性にCMAPが低下し術後大腿の知覚障害を認めた.【考察】reverse rotation typeではderotation操作で脊髄の血流障害を生じた可能性がある.
  • 菅田 耕, 久保 紳一郎, 黒木 浩史, 花堂 祥治, 濱中 秀昭, 上通 一師, 桐谷 力, 黒木 修司, 甲斐 糸乃, 福田 一, 河野 ...
    2007 年 56 巻 3 号 p. 357-361
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    仙骨骨折に伴う馬尾神経・神経根損傷において,経時的に直腸内圧の測定を行い予後予測に有用であった1例を経験したので報告する.症例:21歳,男性.ビルの3階から転落ししりもちをついて体動困難となり救急車にて搬送された.臀部から両下肢にかけての激痛と左足部痛・右手関節痛を訴え,X線上仙骨骨折・左踵骨骨折・右橈骨遠位端骨折・右尺骨茎状突起骨折を認めた.尿意・便意の消失とともに神経学的にS2-3以下仙髄領域の知覚障害・肛門括約筋の随意収縮消失・BCR消失とS2以下の仙髄領域のほぼ完全麻痺を呈していた.保存的に経過を見るも麻痺・疼痛の改善傾向は見られず,受傷32日目に仙骨椎弓切除・前方骨片の打ち込み等による神経全周除圧を行なった.術後,徐々に排尿・排便・性機能障害は改善した.経時的な直腸肛門内圧測定にて早期に肛門機能の改善をモニターでき予後予測に有用であった.この症例に若干の文献的考察を加え報告する.
  • 樫原 稔
    2007 年 56 巻 3 号 p. 362-365
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    【はじめに】大後頭孔前方に発生した神経鞘腫の1例を経験したので報告する.【症例】70歳男性で右肩甲部から上腕にかけての強い疼痛,しびれ感と右上肢の筋力低下および軽度歩行障害を主訴に平成18年1月23日初診した.MRIで大頭孔から環椎にいたる脊髄右側前方にT1強調で低信号,T2強調で高信号を呈しGdで造影された腫瘍をみとめた.2月7日lateral approachで手術を施行した.右側の後頭顆,環椎後弓,軸椎椎弓を片側切除し硬膜を切開して腫瘍を摘出した.病理組織は神経鞘腫であった.頚髄症JOA scoreは術前7点が術後5ヵ月で13.5点に改善した.腫瘍の再発はない.【考察】本症例のように大後頭孔前方にある腫瘍に対してlateral approachは比較的広い視野で摘出でき有用であると思われた.
  • 緒方 淳也, 有薗 剛, 志田 純一, 時任 毅, 福元 真一, 桑野 隆志, 濱田 貴広
    2007 年 56 巻 3 号 p. 366-369
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    脊髄腫瘍術後5日目に発症した硬膜外血腫により胸髄麻痺を来たした症例を経験した.症例は69歳,女性.平成18年より誘引なく両下肢しびれ,脱力,膀胱直腸障害が出現した.初診医でのMRI検査にて第3胸椎レベルより頭側に拡がる硬膜内髄外腫瘍を認め,胸髄は腫瘍により強く圧迫されていた.当院紹介入院の上,腫瘍切除術が施行された.切除された腫瘍組織は病理検査にて神経鞘腫と診断された.術後は特に異常所見認めなかったが,術後5日目の夜に左下肢脱力出現し,自力歩行困難となった.6日目にMRI,7日目に脊髄造影,CTM施行し硬膜外血腫による麻痺を疑い,血腫除去術を施行した.術後は症状改善し,ほぼ術前と同程度まで回復した.術後硬膜外血腫による麻痺は,術当日に発症するものがそのほとんどであり,術後5日目での発症はきわめてまれである.原因については,患者の姿勢により症状が変化することから,硬膜外血腫による脊髄の圧迫だけでなく軟部組織に貯留した浸出液による軟部内圧の高まりなども関連があるのではないかと予想された.
  • 岡田 龍哉, 瀬井 章, 藤本 徹, 水溜 正也, 谷脇 琢也, 福田 和昭, 水田 博志
    2007 年 56 巻 3 号 p. 370-374
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    神経線維腫症type 1によく認められる所見に脊柱変形があるが,広範囲なdural ectasiaを合併するものは比較的稀であり,発症頻度は10~36%と報告されている.今回,我々はdural ectasiaとそれに伴う椎体のscallopingを呈した症例を経験したので報告する.症例は36歳の男性.近医にて神経線維腫の診断を得ている.背部痛を訴え,健康診断にて胸部異常陰影を指摘され当院受診となった.全身に多数の腫瘤,カフェ・オ・レ斑を認めた.神経学的所見は特に認めなかった.画像上,Th3~8で右方凸のscoliosisおよびTh4~6の椎体後壁に著明なscalloping,dural ectasiaを認め,脊椎後方固定術ならびに腸骨より自家骨移植を行った.術後合併症は認めず,外来にて経過観察中である.
  • 松永 俊二, 古賀 公明, 川畑 直也, 湯浅 伸也, 今給黎 尚典, 長野 芳幸, 山元 拓哉, 長友 淑美, 宮口 文宏, 井尻 幸成, ...
    2007 年 56 巻 3 号 p. 375-376
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    頚椎後縦靭帯骨化症の兄弟家系の検索の過程で頚椎後縦靭帯骨化を認めた二卵性双生児姉妹を発見しその臨牀経過において興味ある知見を得たので報告する.症例は69歳の二卵性双生児姉妹でありいずれも低身長であり依存症として統合失調症があった.姉は頚椎に連続型の頚椎後縦靭帯骨化がありその骨化占拠率は48%であったが脊髄症状は全く無く自立して生活していた.妹は非常に酷似した頚椎後縦靭帯骨化を認めたが骨化占拠率は45%であるにも拘わらず重度の脊髄症状を認め介護施設に入所していた.頚椎後縦靭帯骨化症における脊髄症状発現機序についてはまだ不明な点があり,静的圧迫因子のみでは説明がつかない.本症例でも遺伝的因子は近似し骨化の程度もほぼ同じなのに臨床経過は異なっていた.このような症例の集積は本症の脊髄症状発現機序解明につながると考える.
  • 林 哲生, 植田 尊善, 芝 啓一郎, 森 英治, 加治 浩三, 弓削 至, 河野 修, 高尾 恒彰, 益田 宗彰
    2007 年 56 巻 3 号 p. 377-379
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    頚椎前方脱臼の整復の要は椎間関節嵌合の整復処置である.今回後方からの整復が困難であった稀な症例を経験したので報告する.15歳男性.後頭部を強打し近医にてC5前方脱臼を指摘され当科搬送.初診時所見はFrankel分類:Aであった.画像所見はCTにてfacetの両側嵌合とMRI矢状面にてC5/6に椎間板ヘルニア認めた.同日緊急手術を施行.後方からの術中所見ではC5/6facetは両側とも深く嵌合しており,上関節突起の一部をエアトームにて切除し整復を試みるも,弾力的な抵抗が存在し,十分な整復は困難であった.前方の椎間板軟骨終板が阻害因子と考え,前方進入を追加すると完全に整復できた.通常頚椎脱臼の整復操作は後方からの進入のみで可能であるが,本症例では軟骨終板が整復阻害因子であり,後方侵入だけでは整復困難であった.無理な整復力は脊髄への障害を引き起こす可能性があるため症例に応じた整復を考慮しなければならない.
  • 鮫島 浩司, 川内 義久, 佐々木 裕美, 小宮 節郎
    2007 年 56 巻 3 号 p. 380-383
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    (目的)胸腰推移行部椎体骨折にて主に下垂足のみの症状を呈し手術療法を実施した2症例を経験したので報告する.(症例)症例1.85歳女性.Th12の圧迫骨折を受傷し保存治療を実施していたが,3ヶ月経過後より両下垂足が出現した.脊髄造影(動態撮影)にて脊髄円錐上部の圧迫を認め,前方除圧固定術を実施し筋力の改善が得られた.症例2.86歳男性.L1圧迫骨折後6週後より両下垂足を呈し,MRIにては硬膜への圧迫がみられず診断に難渋したが脊髄造影(動態撮影)にてL1の偽関節による円錐上部症候群と診断し,椎体形成術を実施したが,麻痺は軽度改善にとどまった.(考察)胸腰推移行部病変にて,様々な下肢症状を呈することは知られているが,下垂足のみの症状の場合,診断が見逃されることも多い.両側下垂足を認めた場合は脊髄円錐上部症候群を疑う必要もある.
  • 田中 寿人, 小峯 光徳, 黒川 宏亮
    2007 年 56 巻 3 号 p. 384-390
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    【目的】放射線障害の脊椎圧迫骨折の発生時期及び予後を観察した.【症例】1. 88歳,女性.NTX66.9.食道癌に対してコバルト照射計54Gy施行.照射終了後3ヶ月に掃除の際軽く腰を捻って腰痛発症.第一腰椎圧迫骨折Type I-1に対してクロスバンドコルセット療法開始.4週X-Pにてcleft発生し,8週にて圧潰進行したが,その後腰痛は消失した.2. 77歳,女性.NTX86.5.子宮癌に対して照射計69Gy施行.照射終了後6ヶ月にて誘因なく腰痛増強.第四・五腰椎圧迫骨折Type I-2に対してクロスバンドコルセット療法開始.2週X-Pにて圧潰進行したが,cleft形成はなくその後安定化し腰痛消失した.【結語】放射線治療が必要な場合,特に高齢女性はその後の放射線障害としての脊椎圧迫骨折の発生を念頭に置くべきである.病態が壊死に近い場合,初期のMRIでは線状陰影でもその後2~3週は圧潰進行する場合がある.しかし,その後は通常の骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折の経過と同様予後は良好であった.
  • 川内 義久, 鮫島 浩司, 丸山 裕之, 佐々木 裕美, 武富 栄二, 小宮 節郎
    2007 年 56 巻 3 号 p. 391-393
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    胸腰椎破裂骨折に対する手術方法には前方法,後方法があるが,いずれの方法でも最低2椎間固定が必要とされている.しかし破裂骨折のなかには椎体の上部のみが損傷され,椎体の下部や椎弓根は損傷を免れている場合もある.今回われわれは損傷されていない下位隣接椎間板を温存し後方から1椎間の固定ができないかと考え,3例の腰椎破裂骨折の患者にInstrumentを併用した後方進入単椎間前方除圧固定術を行なった.1例で矯正損失をみたが,いずれも症状を残すことなく骨癒合し,短期的には満足のいく結果が得られた.本術式の適応は比較的若年者で損傷椎の椎弓根や下位終板が損傷を免れ,椎弓根スクリューが刺入でき固定性が得られる脊髄円錐部以下の腰椎部の骨折に限られるが,症例を選んで行なえば試みてもよい方法であると考える.
  • 福田 一, 帖佐 悦男, 久保 紳一郎, 黒木 浩史, 花堂 祥治, 濱中 秀昭, 桐谷 力, 黒木 修司, 甲斐 糸乃, 河野 勇泰喜, ...
    2007 年 56 巻 3 号 p. 394-398
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    骨粗鬆症性圧迫骨後の偽関節・椎体圧潰の画像診断はX線でのvacuum cleftやMRIにおける偽関節部の液体貯留の所見から比較的容易である.今回,椎体外腫瘤を形成し腫瘍との鑑別を要した1例を経験したので報告する.症例:53歳,女性.主訴は腰背部痛・両下肢脱力感である.3ヶ月前より腰背部痛が出現した.X線上第1腰椎椎体は部分的に消失しvacuum cleftや骨硬化像は認めなかった.MRIにて椎体と連続する傍脊柱部の腫瘍様陰影を認めた.手術は前・後法同時固定術を行なった.腫瘤内は多量の泥状・砂状の組織からなり病理所見は線維軟骨・硝子軟骨・骨組織の小片と炎症性肉芽組織であり,椎体圧迫骨折にRAによる非特異的炎症組織が加味されたものと考えられた.
  • 野口 蒸治, 下山 議七郎, 篠崎 俊郎, 永田 見生
    2007 年 56 巻 3 号 p. 399-404
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    変形性膝関節症に対する鏡視下半月板切除術は広く汎用されている.今回,当院で施行した症例の術後成績を検討したので報告する.対象は当院で手術を施行した25例で,年齢は平均67歳,男性8例,女性17例だった.X線分類は北大分類にてStage Iが7例,Stage IIが13例,Stage IIIが5例だった.罹病期間は平均11ヶ月,術後追跡期間は平均19ヶ月であった.上記の対象に対して,術前後の安静時痛,歩行時痛,階段昇降時痛についてはVASにて評価,いずれも1/3以下に改善,JOA scoreは術前平均62点から術後91点に改善した.術前後のレ線像の推移については,北大分類で1段階以上進行したものが7例(28%)に見られ,2例(8%)で追跡時に骨陥凹が見られた.術後経過において,臨床成績の良否に関わらず,関節症変化の進行が見られる症例が少なからず存在することから,長期にわたり慎重にfollowする必要があると思われた.
  • 砥上 若菜, 中村 英一, 鬼木 泰成, 水田 博志
    2007 年 56 巻 3 号 p. 405-409
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    ハムストリング起始部皮下断裂に対し腱縫合術を行った一例を経験したので報告する.症例は32歳,男性,自衛隊員.武道大会の試合中,左足を軸足として右足でハイキックをした際,左大腿後面に激痛・轢音を自覚し,歩行困難となったため近医を受診した.肉離れの診断にて加療するも疼痛持続するため,当科外来を受診した.初診時,左大腿後面に著明な腫脹と広範な皮下出血がみられた.腹臥位にて坐骨結節より約5横指遠位に陥凹を認め,また膝屈曲時ハムストリングの腱リレーフの消失を認めた.MRI所見とあわせ,ハムストリング三腱の合同腱が坐骨結節部より完全に断裂していたため,ステイタック2本を用いて坐骨結節に縫着した.術後8ヶ月の現在,MRI上縫合部は解離しておらず,膝屈筋力の若干の低下は残存しているものの,自衛隊へ復職している.
  • 野村 智洋, 鎮西 伸顕, 藤井 正道, 半仁田 勉, 林 和生
    2007 年 56 巻 3 号 p. 410-413
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    比較的稀である健常人に発症した両側膝蓋腱断裂の症例を経験したので報告する.症例は27歳男性.既往歴は特になし.平成16年3月16日,船から飛び降りた際に左膝痛を自覚し,歩行困難となった.理学所見では左膝関節前面に圧痛・腫脹・膝蓋腱の陥凹を認め,自動伸展不能であった.画像所見では単純X線での膝蓋骨高位と,MRIでの膝蓋腱の不連続性がみられ,左膝蓋腱断裂の診断で手術加療を行った.その後経過は良好であったが,平成17年8月18日再度船から飛び降りた際に,同様に反対側を受傷し手術加療を行った.最終可動域は両膝ともに伸展0度,屈曲135度と良好であった.健常人における膝蓋腱断裂は稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 後藤 剛, 古江 幸博, 佐々木 誠人, 永芳 郁文, 本山 達男, 南 達也, 川嶌 眞之, 川嶌 眞人, 田村 裕昭
    2007 年 56 巻 3 号 p. 414-417
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    合併症をもたない高齢者の膝蓋腱断裂の症例を2例経験したので報告する.〈症例1〉72歳,女性.階段を1段踏み外した際に受傷した.膝蓋腱実質部での断裂に対して,腱の縫合,半腱様筋腱での補強,膝蓋骨・脛骨間をワイヤーで固定した.〈症例2〉72歳,女性.歩行中に段差につまずき受傷した.膝蓋腱は浅層・深層の2層に分かれており,それぞれ脛骨粗面,膝蓋骨付着部で断裂していた.浅層は脛骨粗面に,深層は膝蓋骨へ引き込み縫合し,膝蓋骨・脛骨間をワイヤーで固定した.両者共に術後7ヶ月以上経過しているが,膝関節屈曲は100度で屈曲制限が残存した.〈考察〉基礎疾患のない高齢者の膝蓋腱断裂は非常に稀である.若年者の良好な成績とは異なり屈曲制限が残存する可能性があり,治療に際しては,今後も検討する必要があると考える.
  • 川畑 英之, 中村 俊介, 川畑 了大, 栫 博則, 廣津 匡隆, 石堂 康弘, 小宮 節郎
    2007 年 56 巻 3 号 p. 418-422
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    【目的】切開切除を要した膝半月ガングリオンの2症例を経験したので報告する.【症例1】79歳 女性.右変形性膝関節症にて保存的に加療されていた.疼痛,腫脹増強しMRIにて内側半月の変性断裂および連続する腫瘤を認めた.関節鏡にて断裂部の切除を行った.切除部より黄色透明液の流出を認め,半月ガングリオンと診断した.同部より掻爬試みるも完全に腫瘤の消失を得られず,関節外より全切除を行った.【症例2】14歳 女性.誘因なく左膝関節痛出現し,徐々に腫瘤出現した.MRIにて外側半月前角より膝蓋下脂肪体に突出する嚢胞性病変を認めた.鏡視上,半月に明らかな断裂は認めなかったが関節包との移行部に嚢胞性病変を認めた.穿刺にて黄赤色透明な粘調液の流出を認めた.掻爬試みるも困難であり切開,切除した.【考察】半月ガングリオンは比較的稀である.関節鏡下に掻爬する報告もみられるが,我々の症例では困難であり切開,切除を行った.
  • 富田 雅人, 熊谷 謙治, 梶山 史郎, 高木 基行, 田浦 智之, 木下 直江, 林 徳眞吉, 牧野 佳朗, 進藤 裕幸
    2007 年 56 巻 3 号 p. 423-426
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    膝窩部に生じた骨化性線維粘液性腫瘍の1例を経験したので報告する.症例: 59歳女性.7~8年前から左膝窩部に腫瘤を触知していたが放置していた.下肢のだるさ・易疲労性を自覚し,紹介受診となった.左膝窩部に62×47 mm大の硬い腫瘤を触知した.X線像では関節外に地図状の石灰化陰影を認め,MRIではGdで造影される部分や嚢胞状の部分を認めた.切開生検でわずかに骨化を伴っていたが特徴的な所見に乏しく診断確定できなかった.低悪性度腫瘍と考え辺縁切除術を行った.腫瘍はヒラメ筋内に存在し線維性被膜を有していた.神経血管とは被膜外で剥離できた.病理学的に星状の異型細胞が粘液腫状基質を背景に増殖した部分と細胞密度の低い部分がみられた.一部に石灰化を伴い,核分裂像は乏しかった.免疫染色ではvimentinのみ陽性であったがその他のマーカーは陰性であった.病理所見からOssifying fibromyxoid tumor, low gradeと診断した.術後約6ヵ月の現在,局所再発・肺転移ともになく経過観察中である.本腫瘍は一般に良性の臨床経過をたどり,完全に切除できれば治癒すると報告されている.しかしながら,局所再発や肺転移を生じた症例の報告もあり今後慎重な経過観察が必要と考えた.
  • 有島 善也, 横内 雅博, 上野 和人, 馬場 康貴, 林 完勇, 瀬戸口 啓夫, 山下 芳隆, 廣津 匡孝, 神囿 純一, 前川 健一, ...
    2007 年 56 巻 3 号 p. 427-431
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍の肺転移において化学療法などに抵抗性の場合には手術療法が選択されることも多いが,多発例や再発例では複数回の開胸手術や肺機能低下のために切除困難となる例も見られる.一方,ラジオ波焼灼治療(Radiofrequency ablation,以下RFA)は,近年原発性または転移性肺腫瘍に対する小侵襲治療として臨床報告が散見されるようになった.今回悪性軟部腫瘍の肺転移例に対してRFAを行ったのでその短期成績を報告する.症例は43歳男で上腕部の滑膜肉腫例であった.ADM+IFOを施行後に切除術を行ったが局所再発し上腕切断となった.治療前より肺転移があり,5回の肺部分切除術が施行されたが新たな肺転移巣が出現していた.この症例に対してRFAを施行し,治療後の胸部CTにおいて腫瘍の縮小が確認された.気胸,皮下気腫,熱傷,肺出血などの重篤な合併症はなかった.転移性肺腫瘍に対するRFAは化学療法や放射線療法とは異なる機序による治療法であり有用と思われた.
  • 東 栄治, 篠原 道雄
    2007 年 56 巻 3 号 p. 432-435
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    74歳女性.1ヵ月前より,誘因なく両足関節・両足部痛自覚.外来通院加療中であったが,疼痛増強・発赤・熱感・腫脹自覚の為,入院.当初,蜂窩織炎・痛風を疑い治療開始した.一旦症状軽減したものの,間欠性の発熱,呼吸苦を自覚するようになり,精査にて急性白血病疑われ,精査加療目的で転院.転院後,骨髄穿刺で急性骨髄性白血病と診断され,化学療法施行されたが,その甲斐なく永眠された.骨・関節症状で発症する白血病は6.3%と稀であるが,鑑別診断として留意する必要があると考えられた.
  • 田浦 智之, 熊谷 謙治, 富田 雅人, 梶山 史郎, 高木 基行, 弦本 敏行, 進藤 裕幸, 安倍 邦子, 林 徳眞吉
    2007 年 56 巻 3 号 p. 436-439
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    我々は軟骨肉腫の発生が非常に稀な部位とされる膝蓋骨に生じた症例を経験したので報告する.症例は,65歳,女性である.平成14年頃に左膝蓋骨下極部の腫瘤に気付いた.腫瘤が徐々に増大したため,平成18年1月当科紹介となった.腫瘤は左膝蓋靱帯内側に局在し,43×64 mm大で,弾性硬.皮膚との癒着はなかった.膝関節は軽度の可動域制限がみられた.X線上,左膝蓋骨内側部に腫瘤を認め,内部に石灰化像を伴っていた.MRIT2強調画像にて小リング状に高輝度を示す像を認めた.腫瘍は膝蓋骨と連続し,表面は軟骨で覆われていた.低悪性度軟骨肉腫の病理学的診断を得たため追加切除術を行った.初回手術後約9ヵ月の現在局所再発は認めていない.
  • 横内 雅博, 有島 善也, 山下 芳隆, 小宮 節郎, 河野 嘉文
    2007 年 56 巻 3 号 p. 440-442
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    小児骨肉腫に対するCOSS-86の成績を検討した.2000年1月以降に当院で診断,治療を開始した小児骨肉腫患者のうち補助化学療法としてCOSS-86を使用した患者は9例(男4例,女5例,平均年齢12.8歳)であった.発生部位は上腕骨近位1例,大腿骨遠位6例,大腿骨骨幹部1例,脛骨近位1例で全例M0症例であった.手術は全て広範切除縁で行われ,人工関節置換術が6例,その他が3例であった.摘出組織の組織学的評価はGrade2以上が4例で術前化学療法の奏功率は44.4%と過去の報告に比べ低かった.最終経過観察時の治療成績はCDFが6例,NEDが1例,DODが2例であり5年無病生存率は62.5%,累積5年生存率は75%であった.更なる治療成績の向上には肺転移症例への有効な化学療法の確立が望まれる.
  • 竹村 健一, 薬師寺 俊剛, 佐藤 広生, 岡 潔, 平井 泰博, 上川 将史, 水田 博志, 川添 泰弘
    2007 年 56 巻 3 号 p. 443-447
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    今回我々は,化学・放射線療法が著効し,原発巣には根治手術を行うことなく長期生存中のEwing/PNETの1例を経験したので報告する.症例は17歳,男性.右股関節痛を主訴に受診し,MRIにて右恥坐骨,右第7肋骨,頭蓋骨に腫瘍性病変を認めた.肋骨病変における生検の結果,直ちに化学・放射線療法を開始し各病巣は消退傾向を示したが,初診より1年9ヶ月後に左腸骨,右大腿骨に新たな転移性病変が出現した.その後も3年7ヶ月に渡り化学・放射線療法を継続し,いずれの病変においても腫瘍のviabilityの低下を認めたため,組織学的確認を兼ねて左腸骨転移病変に対してのみ切除術を施行し,組織学的には腫瘍細胞の100%壊死が確認された.初診時より8年8ヶ月の現在,各病変の再発ならびに新たな転移性病巣の出現を認めていないが,今後も慎重な経過観察を要するものと考える.
  • 田中 源幸, 瀬戸口 啓夫, 石堂 康弘, 井尻 幸成, 小宮 節郎
    2007 年 56 巻 3 号 p. 448-452
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    Notchシグナル伝達経路は胎生発生段階に機能をしている.遺伝子分析の結果,形態発生におけるNotchシグナルは重要な役割を果たしている事が判明した.最近の研究において,様々な悪性腫瘍においてこのNotch pathwayが活性化されているとの報告があるが,ヒトの骨腫瘍において活性化しているかどうかは不明である.我々は,Notchシグナル経路について,RT-PCR法,免疫染色法検討した.γ-secretase inhibitorをHOSに添加しMTT法にてcell viavilityを検討した.すべての検体にてNotch1, 2, Jagged1のmRNAの発現上昇を認めた.免疫染色法にてHOS及び臨床検体においてNotch-ICの核内局在を認めた.γ-secretase阻害薬はNotchシグナル経路を遮断し細胞増殖が有意に抑制されている事を確認した.本研究は,Notch経路が骨肉腫の新たな治療的ターゲットとなり得る事を示唆している.
  • 廣津 匡隆, 横内 雅博, 有島 善也, 瀬戸口 啓夫, 山下 芳隆, 神囿 純一, 救仁郷 修, 石堂 康弘, 小宮 節郎
    2007 年 56 巻 3 号 p. 453-457
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    5 歳女性.5年前に転倒し,前医のレントゲンにて偶然,左大腿骨遠位内側に約3 cm径の辺縁硬化像を伴う骨陰影を指摘された.疼痛などの自覚症状がなかったことより,良性軟骨系腫瘍として経過観察していた.定期的X線撮影にて,腫瘍径の増大なく,経過を見ていたが,本人の希望にて10ヶ月前に骨生検術を行ったところ,軟骨肉腫の診断であった.X線にて石灰化,辺縁硬化像あり,MRIにてT1低輝度,T2高輝度,辺縁のみ造影効果を認めた.広範切除術と自家腸骨移植術,さらにプレート固定を行い,再発,遠隔転移なく経過良好である.最終病理はgrade 2の軟骨肉腫であった.振り返って検討すると,X線上,偏在性であり,endosteal scallopingや皮質骨膨隆も認め,悪性を疑う所見も存在するようである.このように悪性が少しでも疑われる症例では骨生検術を早期に行い,診断を決定することが重要であると考える.
  • 比嘉 聖, 帖佐 悦男, 坂本 武郎, 渡邊 信二, 関本 朝久, 濱田 浩朗, 野崎 正太郎, 前田 和徳, 中村 嘉宏, 舩元 太郎
    2007 年 56 巻 3 号 p. 458-461
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    脛骨に発生した骨線維性異形成(OFD)に対し,腫瘍切除後の巨大骨欠損をβ-TCPのみにて補填した3症例(男性1例,女性2例,手術時平均年齢14歳11か月)を経験したので報告する.【方法】腫瘍をen blocにボーンソーにて切除し,β-TCPにて骨欠損を補填し,不安定性への対処としてギプス固定またはplateにて固定した.【考察】OFDに対する治療において,単純掻爬骨移植では再発例が多いというのは以前より報告されていることであり,拡大切除を選択している施設も多い.当科でも同様であるが,骨欠損部が大きくなり自家骨のみでは補填困難である.当科ではBone bankのシステムも確立しておらず,症例が若年者であり採骨のリスクを考えβ-TCPのみで対処した.今回の症例ではβ-TCPは骨に置換され現時点では副作用も認められないので巨大骨欠損に対する補填材料として有用と考えられた.
  • 鎭西 伸顕, 野村 智洋, 藤井 正道, 半仁田 勉, 林 和生
    2007 年 56 巻 3 号 p. 462-465
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    当院で手術治療を行った75歳以上の大腿骨遠位部骨折の治療成績を検討した.対象は2004年1月から2006年7月までで手術加療を行った9例9肢である.性別は全例女性で,平均受傷時年齢は88歳,平均観察期間は6ヶ月であった.骨折型はAO分類でA1が4例,A3が2例,C2が2例,C3が1例であった.手術方法は逆行性髄内釘が7例,プレート固定が2例であった.全例で骨癒合が得られており,就労基準を除いたNeerの評価基準ではexcellentが2例,satisfactoryが4例,unsatisfactoryが3例,failureが0例であった.高齢者では受傷以前からの合併症や活動性の制限によりADLの再獲得が困難である.我々の症例でも概ね良好な結果であったが,脳出血後片麻痺や痴呆がある患者では他と比して評価が低値を示す傾向であった.
  • 生田 拓也, 久賀 太, 石川 純一郎, 島袋 孝尚, 原 紘一
    2007 年 56 巻 3 号 p. 466-469
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    大腿骨転子部骨折の偽関節例に対して骨接合術を行ったので報告した.症例は4例である.初回の治療は髄内釘式hip screw 3例,保存的治療1例であった.髄内釘式hip screwの1例はMRSA感染例,1例はnailの折損を伴っている症例であった.保存的治療例はCHSを用いて,感染例は創外固定を用いて手術を行い,髄内釘式hip screw後の2例はDCSを用いてMIPO法を併用して手術を行った.全例,骨癒合を得られた,もしくは得られつつある.大腿骨転子部骨折後の偽関節に対する治療としては,人工骨頭置換術が一般的であるが年齢的な問題,感染の問題等が存在する場合は再度,骨接合術を選択せざるを得ない.再骨接合術を行った結果,新鮮骨折と比較すると術後療法を大幅に遅らさざるを得なかったが,術後経過は良好であった.
  • 成田 健, 野口 蒸治, 篠崎 俊郎, 下山 議七郎, 大川 孝浩, 永田 見生
    2007 年 56 巻 3 号 p. 470-475
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    当院では大腿骨頚部骨折に対して骨接合術を施行し,術後に整形外科的な合併症を高率に認めたため,今回検討をおこなった.対象は33例で,年齢は平均72歳.手術はハンソンピンまたはCCHSを使用した.術後の合併症は21%で,再手術率は15%であった.共通点としては,転位型,骨頭下,高度の骨粗鬆症が挙げられた.患者背景,社会的要因などを十分に考慮した上で手術法を選択することが大切であると考えている.
  • 岸本 勇二, 福島 明, 倉信 耕爾, 高橋 敏明
    2007 年 56 巻 3 号 p. 476-478
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    【目的】大腿骨近位部骨折症例の手術からリハビリまでを担う当院において,自宅退院が困難となった症例を検討した.【対象と方法】H15~17年の間,当科で手術を行った大腿骨近位部骨折230例中,受傷前自宅生活であった174例(男性29例,女性145例,平均年齢83.0歳)を対象とした.転院あるいは施設入所となった症例群(施設入所群)の背景を調査し,また施設入所群と自宅退院群との比較により,自宅退院が困難になる影響因子を検討した.【結果】施設入所群は35例(20.1%)であった.自宅退院が困難になる影響因子は男性,独居,受傷前独歩不能および歩行能力低下であった.【考察】大腿骨近位部骨折の退院後治療において,施設介護は重要な役割を果たしている.一方で慢性的な施設数の不足は在院日数長期化の原因であり,入院早期からの多施設間での連携が円滑な退院後治療への移行に重要と思われた.
  • 後藤 久貴, 張 瑞棠, 川原 俊夫
    2007 年 56 巻 3 号 p. 479-481
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    高齢者では既往症のため抗凝固・抗血小板薬を内服している場合が多く,術前に休薬を必要とする.大腿骨近位部骨折での術前の抗凝固・抗血小板薬内服の有無による周術期の全身合併症の発症について比較検討した.対象は2004年1月から2006年6月までに,当科に手術または手術目的で入院した70歳以上の大腿骨近位部(頚部,転子部,転子下)骨折患者268例で,このうち術前に5日以上の休薬を必要とする抗凝固・抗血小板薬を内服していたのは78例であった.内服例では手術待機日数,入院日数が延長していた.薬剤別には,ワーファリン内服例で術中不整脈と術後脳梗塞,パナルジン内服例で術中不整脈の発症が高率であった.また内服例における術前貧血,肺炎,尿路感染症,術中不整脈,術後脳梗塞の発症例では手術待機日数が有意に延長していた.大腿骨近位部骨折の手術においては,抗凝固・抗血小板薬の休薬のリスクも考慮すべきである.
  • 中村 達彦, 奥野 誠, 山本 吉藏
    2007 年 56 巻 3 号 p. 482-485
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    脊椎圧迫骨折と大腿骨近位部骨折発症の背景因子の差違を明らかにすることを目的とした.脊椎圧迫骨折女性患者(以下圧迫骨折群)51名および大腿骨頚部骨折女性患者(以下頚部骨折群)51名,大腿骨転子部骨折女性患者(以下転子部骨折群)74名を対象とした.平均年齢は圧迫骨折群が78.8歳,頚部骨折群が82.6歳,転子部骨折群が83.8歳で圧迫骨折群と転子部骨折群の間には有意な差違を認めたため,年齢補正を行った.体重,Body mass index(BMI),WBC,CRP,RBC,Hb,総コレステロール,総タンパク,アルブミン,Ca,ALP,骨型アルカリフォスファターゼ(BAP),大腿骨近位部骨密度(Neck領域)に有意差を認めた.体型,栄養状態,骨形成能などが骨密度に影響し,骨折発症の差違が生じたと考えられた.
  • 土屋 卓人, 池田 聡
    2007 年 56 巻 3 号 p. 486-490
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は閉経後女性のDXA装置による橈骨遠位部(1/3,1/10)の骨量測定は薬効評価に有用か否か,ならびにそれらと腰椎および大腿骨近位部の骨量との相関関係を検討することである.ビスホスホネート治療群の6ヶ月間のBMD(bone mineral density)変化率は,橈骨遠位1/3では他剤(ビスホスホネート以外)治療群,遠位1/10は未治療群と比較しそれぞれ有意に増加していた(0.52% vs -0.90%,1.34% vs -5.16%).橈骨遠位1/3の骨量は,大腿骨頚部の骨量と有意な相関関係を認めた(BMD:R2=0.211,Z値:R2=0.253,T値:R2=0.225).本研究の結果より橈骨遠位1/3および1/10の骨量測定は薬効評価に有用である可能性があり,また橈骨遠位1/3の骨量は大腿骨頚部の骨量と相関していることが明らかとなった.
  • 村上 大気, 縄田 耕二, 那須 吉郎, 岸本 英彰, 橋口 浩一, 山本 敦史, 高橋 良正, 山崎 大輔, 山根 逸郎, 田中 秀敏
    2007 年 56 巻 3 号 p. 491-494
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    2001年~2006年に当院スポーツ外来で治療したLittle Leaguer's shoulder 22例の発生状況と治療成績を検討した.対象は全例男性で,平均年齢は13.7歳(11~17歳)であった.種目は野球20例,ソフトボール1例,ソフトテニス1例であった.治療は投球中止を原則とした.学年は小学5・6年(36%)と高校1・2年(36%)に,ポジションはピッチャーと内野手に好発していた.兼松らのX線分類ではtype Iが14例,type IIが6例,type IIIが2例であった.投球開始までの期間は平均52日であった.再発を1例に認めた.若年者ほどX線学的重症度が高く,治療に長期間を要するため,予防と早期発見が重要であると考えられる.
  • 森口 昇, 衛藤 正雄, 古川 敬三, 津田 圭一, 志田 崇之, 依田 周, 進藤 裕幸
    2007 年 56 巻 3 号 p. 495-498
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    【目的】2001年5月より外傷性肩関節前方不安定症に対して行った鏡視下Bankart法の短期成績を報告する.【対象と方法】術後8ヵ月以上経過した21例22肩を対象とした.性別は男性15例,女性7例,患側は右側13例,左側9例である.手術時平均年齢は23歳,術後平均経過観察期間は20ヵ月であった.手術方法は鏡視下にアンカーを平均3個用いて,剥離した関節唇を関節窩に修復した.臨床評価はJOA Score,JSS Shoulder Instability Scoreを用いて調べ,再脱臼,スポーツ復帰の程度について検討した.【結果】臨床評価ではJOA Scoreが平均74.8点から98.1点,JSS Shoulder Instability Scoreが平均54.8点から97.5点と,主に疼痛,関節安定性の改善を認めた.スポーツ復帰は全例で可能であったが,ラグビー選手1例にタックル時再脱臼を認めた.【考察】鏡視下Bankart法の短期成績は良好であったが,ラグビーなどコンタクトスポーツでは,さらなる長期観察が必要と考える.
  • 篠崎 俊郎, 野口 蒸治, 長野 大史, 下山 議七郎, 永田 見生
    2007 年 56 巻 3 号 p. 499-502
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    石黒によるとNeerの分類で3-part, 4-partの症例においても保存的治療にて良好な結果が得られているとの報告がなされている.われわれも上腕骨頚部骨折の下垂位での早期運動療法について試み検討したので報告する.10名10症例.女性9名.男性1名.平均年齢は74.4歳.観察期間は12週から1年6ヶ月(平均37週).最終経過観察時の可動域は屈曲平均138°,伸展平均51°,外転平均140°,外旋48°であった.JOAスコアーは平均92点であった.これまでの保存療法,観血的治療の報告と比較しても遜色なく,満足の得られる結果であった.
  • 山中 芳亮, 井原 成男, 熊谷 達仁, 酒井 昭典, 大茂 壽久
    2007 年 56 巻 3 号 p. 503-507
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    今回,我々は上腕骨近位端4 part脱臼骨折に対し,Kirschner鋼線とワイヤー締結による骨接合術にて骨癒合を得られた症例を経験した.症例は67歳,女性.自宅のベットから転倒受傷し同日当院受診した.単純X線上,右上腕骨近位端脱臼骨折を認めたため無麻酔下で挙上法による徒手整復操作を愛護的に行うも,骨頭の転位をきたした.急遽,観血的に脱臼整復及び骨接合術を施行した.後日,人工骨頭置換術の必要性も考慮していたが,術後の経過は順調で術後32週での可動域は屈曲90°・伸展45°・外転70°まで獲得した.現在,術後約1年経過したが,単純X線像上も仮骨の形成は良好で最終的に骨癒合も認められている.上腕骨近位端4 part脱臼骨折に対する治療法としては,偽関節や骨頭壊死を起こしやすいことから人工骨頭置換術が勧められている.しかし,少数ではあるが骨接合術にて骨癒合が得られた症例も報告されており,4 part脱臼骨折でも骨癒合を促す条件が組み合えば骨接合術でも骨癒合を得ることが可能で,必ずしも人工骨頭置換術の適応ではないと考えられる.
  • 安藤 卓, 井手 淳二, 時吉 聡介, 廣瀬 隼, 緒方 宏臣, 水田 博志, 本多 一宏
    2007 年 56 巻 3 号 p. 508-512
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    まれな上腕骨解剖頚骨折を伴った肩関節後方脱臼例を報告した.症例は21歳の男性であり,主訴は左肩痛,挙上困難であった.ラグビー試合中,タックルを受け転倒し,その上に他の選手が倒れてきて左肩を受傷した.直後より左肩の激痛が出現し当科受診となった.左肩は内転内旋位で上肢をかかえ,運動は困難であった.X線前後像で関節裂隙の消失を認め,腋窩撮影で上腕骨解剖頚骨折と肩関節後方脱臼を認めた.全麻下徒手整復を試みるも整復されず観血整復術を施行した.Delto-pectoral incisionで前方関節包を切開し,エレバトリウムにて上腕骨頭を整復後,K-wireにて経皮的に骨接合術を施行した.外固定を6週間施行し,術後2カ月のX線で骨癒合を認めK-wireを抜去した.術後1年のMRIで上腕骨頭壊死は認めなかった.術後11年のX線で変形性関節症は認めず,JOA scoreは100点であった.
  • 川本 泰作, 松浦 恒明, 石谷 栄一, 進 訓央, 細川 哲
    2007 年 56 巻 3 号 p. 513-518
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    われわれは上腕骨外科頚骨折症例(Neer分類 2-part骨折)に対して2001年4月から2006年7月までの63ヶ月間に当科にて観血的骨接合術を37例施行した.今回,経過観察可能であった21例について,手術時年齢,手術手技,上腕骨近位骨幹部皮質骨の厚さ(以下 皮質骨厚さ),JOAスコア等について調査を行った.術式は髄内釘法,Node pin法,J字釘法の3手法を施行した.術後JOAスコアに皮質骨厚さが大きく関与しており,皮質骨厚さ3 mm以下の群では,何れの手術手技を用いても良好な術後成績は得られなかった.皮質骨厚さ,JOAスコアは加齢に伴い低下傾向にあった.
  • 石谷 栄一, 松浦 恒明, 進 訓央, 川本 泰作, 細川 哲
    2007 年 56 巻 3 号 p. 519-523
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    腱板断裂手術症例において大断裂,広範囲断裂の再断裂発生が多いことは諸家の報告でも明らかである.当科のMRI研究でも15%に再断裂所見を認めた.2003年以降,鏡視下腱板修復術を施行して6ヶ月以上の経過観察が可能であった116例中,再手術を施行したのは4例であった.その手術所見から断裂形態・断裂部位・固定材料・固定方法・腱の可動性を調べ,後療法・職種・年齢をあわせて検討した.断裂要因・部位はスーチャーアンカーのアイレット部で糸が断裂しているものが3例,腱板が裂けて縫合糸の断裂は認めなかったものが1例であった.糸の強度不足が示唆された.また,充分なmobilizationにより腱断端を大結節まで緊張なく引き出せるようにすることが重要であった.4例中3例は大断裂以上の症例で重労働をされていた.2例は術後6週で職復帰していた.自動運動開始・職復帰が早すぎたと考えられた.
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