整形外科と災害外科
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57 巻 , 4 号
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  • 樫原 稔
    2008 年 57 巻 4 号 p. 523-526
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    【目的】大腿骨転子部骨折に対するCHS法(C群)とshort femoral nail法(S群)の治療成績を比較検討した.【対象と方法】C群101例とS群53例(Gamma APJネイル25例,MIJネイル28例)について骨折型,術前後の歩行能力,telescoping量,合併症について比較検討した.【結果】骨折型はJensen分類でC群は1型12例,2型40例,3型21例,4型11例,5型17例で,S群は1型4例,2型13例,3型14例,4型12例,5型10例であった.術後の歩行能力低下の程度は両群間で有意差はなかった.telescoping量はC群が平均16mm,S群が平均7mmであった.合併症はC群ではlag screwのカットアウト5例,偽関節1例,プレート脱転2例で,S群では骨幹部骨折1例,ネイル挿入時の転子下不全骨折2例,10°以上の内反増強5例であった.【考察】不安定型骨折においてはshort femoral nailの方が有用であると考えられた.
  • 砥上 若菜, 橋本 伸朗, 福元 哲也, 前田 智, 中馬 東彦, 野村 一俊
    2008 年 57 巻 4 号 p. 527-531
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    【目的】過去5年間における,当院での大腿骨頚部骨折に対する骨接合術の術後成績を検討した.【対象】症例は術後6ヶ月以上追跡可能であった65例66股であった.術式ではCHS:30股,CHS+screw:9股,Twin Hook(T群):10股,Hansson pin(H群):17股であり,骨折型ではGarden I型:13股,II型:41股,III型:12股であった.【方法】手術時間,骨癒合・合併症の有無,GAI(Garden alignment index),骨折型と合併症との関係を検討した.【結果】手術時間はH群が平均24分と最も短時間であった.骨癒合例と合併症例のGAIには明らかな有意差は認められなかった.合併症はGarden II型の中でも後捻typeに16%,III型に45.5% 認められた.T群,H群はテクニカルエラーによる合併症が主であった.【結論】大腿骨頚部骨折の骨接合術では,レ線軸射像を含む骨折型の把握と手術手技を十分に習熟する事が重要である.
  • 牛島 貴宏, 山下 彰久, 白澤 建蔵, 城戸 秀彦, 原田 岳, 林 哲生, 藤村 謙次郎
    2008 年 57 巻 4 号 p. 532-537
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    【目的】大腿骨転子部骨折治療におけるAsian Intramedullary Hip Screw(以下A-IMHS)の治療成績と問題点を検討した.【対象と方法】2005年4月から2007年3月までにA-IMHSを使用した108例を対象とした.男性25例,女性83例,平均年齢は83.5歳,平均観察期間は3.0ヶ月であった.これらの症例で手術侵襲,ラグスクリュー(lag screw:以下LS)の位置,スライディング,合併症について検討した.【結果】平均手術時間は55分,平均出血量は68mlであった.術後スライディングは平均1.82mmであった.LS先端の位置は至適挿入部が47.2% と最も多かった.4例に骨頭内カットアウトおよび近位骨片の再転位を認め,1例にLSの外側骨皮質からの逸脱を認めた.【まとめ】A-IMHSは有効な内固定システムであるが,適応選択と手技上のコツが重要と考えられた.
  • 松田 匡弘, 志田原 哲, 仙波 英之, 北村 貴弘, 末永 英慈
    2008 年 57 巻 4 号 p. 538-540
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    血液透析患者に発生した大腿骨近位部骨折に対して,骨接合術・人工骨頭置換術を施行し,成績について検討した.当院にて平成13年4月から平成19年6月までの期間に手術治療を施した15股14人.転子部骨折4例,頚基部骨折3例,頸部骨折8例であった.転子部骨折4例に対する骨接合術は全例に骨癒合を認めた.頚基部骨折3例と頸部骨折2例に対する骨接合術は2例に偽関節を生じた.頸部骨折6例に対して人工骨頭置換術を施行し,経過観察中にゆるみ等の術後合併症を認めなかったが,2例に脱臼を認めた.全症例において,周術期の大量出血や術後感染といった重篤な合併症は起こらなかった.また,術後3年以内に1/3の5人は死亡していた.血液透析患者の大腿骨頚部骨折に対する骨接合術の適応は慎重に考慮する必要があると考えられた.
  • 山崎 康平, 川村 英樹, 野尻 良基
    2008 年 57 巻 4 号 p. 541-543
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    大腿骨転子部骨折に対し骨接合術を施行後,比較的短期間で骨頭壊死を来たした症例を経験した.症例は77歳女性 転倒し受傷.右大腿骨頚部骨折に対し骨接合術施行.術後12週目に大腿骨頭の壊死を来たし人工骨頭挿入術施行.摘出骨頭は病理診断で骨壊死を来たしていた.大腿骨頭壊死の原因は,(1)患者側の危険因子として糖尿病・肥満・術後静脈血栓・高コレステロール血症 (2)受傷時の因子に高エネルギー損傷・粉砕骨折・回旋動脈損傷・第3骨片の転位 (3)手術操作の要因に大腿骨頚基部に骨折線が入り回旋動脈を損傷が挙げられる.大腿骨転子部骨折術後の骨頭壊死は0.5%との報告があり今症例のように,術後早期に比較的短期間で骨壊死を来たすことは稀であると考える.大腿骨転子部骨折であっても術後骨頭壊死を来たす事はあり慎重な臨床症状・Xpの経過観察が必要と思われる.
  • 河村 好香, 萩原 博嗣, 久我 尚之, 寺本 全男, 田中 智顕, 花田 麻須大, 中川 憲之, 古谷 明子
    2008 年 57 巻 4 号 p. 544-547
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    整形外科領域において,抗生物質の使用により引き起こされる偽膜性大腸炎は高齢者にとって重要な合併症の一つである.
    当科にて2006年9月から2007年8月までに大腿骨近位部骨折に対し手術を行った95症例について調査した.年齢は65歳から98歳,平均80.8歳であった.このうち,偽膜性大腸炎と診断されたものは8症例であった.5例はバンコマイシンおよびメトロニダゾール内服により治癒したが,1例は再発し2例が重症化し死亡した.同時期に同一病棟内で多発した原因は,術後予防的抗菌薬として広域スペクトラムの抗生物質を選択していたことと院内感染の可能性が考えられた.
  • 田浦 智之, 野口 雅夫, 辻 正二, 銅川 博文, 森 愛, 岡崎 成弘
    2008 年 57 巻 4 号 p. 548-552
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    術前にレントゲン上で計測した骨頭サイズと術中に計測した骨頭サイズとが大きく異なった症例を経験した.これを避けるため,計測用の金属性リングを用いる方法を採用し,精度を上げる事が可能か検討を行った.対象は,大腿骨頚部骨折のうち,人工骨頭置換術を行った12症例(12股関節).方法は,大腿骨大転子部にリングを置き,レントゲン撮影を施行.その拡大率より予定の骨頭サイズを決定した.同時に大腿骨頭の拡大率に影響する因子を調べるため,体格及びカセッテの位置についても検討を行った.金属性リングを用いる方法を採用することにより,適切なサイズの人工骨頭を準備する事が可能となった.体格による拡大率の著明な差は認めなかった.大腿骨頭とカセッテの距離は拡大率に大きく影響していた.
  • 樫原 稔
    2008 年 57 巻 4 号 p. 553-556
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    症例は78歳女性で,循環器科で抗血小板薬(アスピリン)を内服していた.誘因なく右後頭部から頚部にかけての強い痛みを主訴に入院した.右三角筋と右上腕二頭筋軽度筋力低下,右上肢のしびれ感と軽度知覚鈍麻および軽度の脊髄症症状を認め,MRIではC2椎体下縁からC3椎体下縁の脊髄右側に矢状断像で卵円形,水平断像で長円形の腫瘍のような像を認めた.これはT1強調で等信号,T2強調で高信号と低信号が混在し,造影MRIで辺縁部が造影された.入院後,疼痛や右上肢のしびれ感は軽快したが,他の神経症状は不変のため,脊柱管内嚢腫病変や脊髄腫瘍も完全には否定できず,5週後に手術を予定した.しかし,手術直前のMRIで腫瘍のような像は消失しており,頚椎硬膜外血腫の自然治癒と診断した.治療は麻痺が高度でも早期に改善傾向を認める例や麻痺が軽度の場合,血腫が自然消失することも多く,経過を見ながら手術の必要性を判断すべきである.
  • 田中 寿人, 小峯 光徳, 内橋 和芳
    2008 年 57 巻 4 号 p. 557-562
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    【症例】症例1.67才,男性.L1圧迫骨折,Type III-1.神経脱落所見なし.横断像の血腫脊柱管占拠率は65%.血腫の拡大範囲は5椎体.4週後MRIにて血腫は吸収されていた.症例2.72才,女性.L3圧迫骨折,Type I-2.神経脱落所見なし.血腫の脊柱管占拠率は46%.血腫の拡大範囲は3椎体.6週後には血腫は吸収されていた.症例3.87才,女性.L1圧迫骨折,Type I-2.神経脱落所見なし.血腫の脊柱管占拠率は31%.血腫の拡大範囲は2椎体.4週後には血腫は吸収されていた.【考察】術後血腫で麻痺などが発生することがあり,脊髄硬膜外血腫の治療基準の確立が求められている.血腫の位置,大きさ,高位などは相関しないとの報告もあるが,脊柱管占拠率が1椎体あたり15% 以下で,血腫が頭尾側方向に拡散しており,発症後1日以内に麻痺等の症状悪化がなければ,保存的治療が第一選択と考えられた.
  • 田中 哲也, 齊藤 太一, 犀川 勲, 入江 努, 緒方 淳也, 宮岡 健, 平川 勝之, 吉野 慎一郎
    2008 年 57 巻 4 号 p. 563-566
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    腰椎の手術後に頭蓋内出血を来たした1例を経験した.症例は65歳女性.他院にてL3/4,4/5の部分椎弓切除術の既往あり,右下肢痛の再燃のために当科を受診した.腰椎MRI上,L4/5右側に椎間板ヘルニアを認め,L4/5 PLIFを施行した.術中に前回手術時の瘢痕組織上より硬膜を損傷し,少量の脳脊髄液流出を認めた.創閉鎖前に用手的胸腔内圧加圧試験を施行したが明らかな髄液の流出を認めず,損傷部は縫合せずに手術を終了した.術当日の経過は良好であったが,翌朝,頭痛,嘔吐の後,意識消失が出現し,頭部CTにて急性硬膜下血腫ならびに小脳出血を認めた.緊急開頭手術を行い,最終的には意識レベルも清明となり右下肢痛も軽快し独歩にて退院した.開頭手術時の所見にて外傷性や特発性の硬膜下出血は否定的であり,腰部髄液漏による低髄液圧から脳ヘルニア,硬膜下の静脈性出血へと至った可能性が推察された.
  • 小島 岳史, 黒木 浩史, 濱中 秀昭, 久保 紳一郎, 花堂 祥治, 猪俣 尚規, 桐谷 力, 福島 克彦, 小牧 亘, 帖佐 悦男
    2008 年 57 巻 4 号 p. 567-571
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,腰椎黄色靱帯内血腫により間欠跛行,両下肢痛をきたした症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
    症例は69歳男性で,平成16年6月,腰痛,両下肢の痺れ,間欠跛行が出現し近医にて腰部脊柱管狭窄症の診断で保存的治療を受けていた.平成17年1月特に誘引なく腰痛,両下肢痛,間欠跛行の悪化を認め手術目的に入院となった.入院時,間欠跛行100m,神経学的には右L4レベルの神経根障害と馬尾症状の混合型脊柱管狭窄症状を認めた.腰椎MRIでは,L4椎体レベルの脊柱管右側にT1強調画像でlow~iso,T2強調画像でhigh intensityの黄色靱帯と連続した腫瘤性病変を認め,硬膜管を強く圧迫していた.手術は,開窓術を行い黄色靱帯に連続した褐色の腫瘤を摘出した.病理所見では黄色靱帯内に器質化した血腫を認め,黄色靱帯内血腫と診断された.脊柱管内腫瘤性病変の鑑別疾患の一つとして黄色靱帯内血腫も考慮すべきである.
  • 宮岡 健, 犀川 勲, 齊藤 太一, 入江 努, 田中 哲也, 緒方 淳也
    2008 年 57 巻 4 号 p. 572-576
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    2004年2月~2007年9月までに化膿性腰椎椎間関節炎の4症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は男性2例,女性2例で平均年齢67歳(55~73歳).既往歴は糖尿病1例,アルコール性肝機能障害が2例,腎盂腎炎が2例,脳梗塞後遺症が1例,高血圧症が2例で,1例は感染性心内膜炎および心臓弁膜症を合併していた.罹患椎間はそれぞれL3/4:2例,L4/5:1例,L3/4+L4/5:1例で,すべて片側性であった.MRI脂肪抑制T2強調像が診断にきわめて有用であった.4例中1例で手術療法と術後の抗生剤投与を行い,他3例は抗生剤投与のみで治癒した.本疾患は極めて稀であるが,腰痛と発熱を呈する症例において鑑別疾患の一つとして念頭に入れておくべきである.
  • 松本 大成, 志田 純一, 上ノ町 重和, 濱田 貴広, 山口 徹, 弓削 英彦, 有薗 剛
    2008 年 57 巻 4 号 p. 577-580
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    症例は70歳男性.草取りをした後に右前腕の疼痛が出現したため,クリニックを受診し,筋肉痛の診断でステロイドの局注を受けた.翌日,疼痛の増悪と前腕の腫脹を来たし,近医へ入院となった.抗生剤投与するも,腫脹は上腕まで広がり,Vitalの悪化と意識レベルの低下をきたしたため,受傷後2日目に当院紹介,救急搬送された.
    入院時,既に意識レベルの低下を認め,右前腕から上腕まで著明な腫脹と暗赤色調の紫斑と水泡形成を認めた.単純レントゲン,CTにて皮下から筋層内まで及ぶガス像を認め,ガス壊疽の診断にて緊急手術(上腕及び前腕切開排膿,デブリードマン)を施行した.培養にてKlebsiella pneumoniaeを認めた.全身管理の甲斐なく術翌朝永眠された.
    非クロストリジウム性ガス壊疽の死亡率は25.1% と生命予後不良の疾患である.いかに早期診断,早期治療,迅速な救命処置が必要か考えさせられる症例であった.
  • 田中 宏明, 宮崎 義久, 永島 雅人, 渡嘉敷 卓也, 稗田 寛
    2008 年 57 巻 4 号 p. 581-584
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    小児において化膿性股関節炎に股関節脱臼が合併することはよく報告されているが,成人における報告は非常にまれである.症例は47歳,男性で,平成17年脳梗塞発症し,右下肢麻痺となり,平成19年1月から寝たきりであった.発熱と褥瘡のため,2月22日入院した.仙骨部,左大転子部,左背部に大きな褥瘡があり,WBC 24100,CRP 26と炎症反応を認めた.褥瘡のデブリードマン,抗生剤の投与にて一旦軽快していたが,3月下旬ショックと炎症反応の再上昇を認めた.CT検査にて,右股関節脱臼と周囲に膿瘍と思われる陰影があり,化膿性股関節炎に伴う脱臼と診断した.切開排膿,ドレナージチューブ留置と抗生剤の投与にて感染は軽快したが,脱臼はそのままである.麻痺側で屈曲,内転位拘縮した股関節は後方へ易脱臼肢位にあり,感染による関節構成体の脆弱化と破壊により病的脱臼をきたしたと思われた.
  • 川畑 了大, 有島 善也, 横内 雅博, 川畑 英之, 小宮 節郎
    2008 年 57 巻 4 号 p. 585-589
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    今回我々は稀な足根骨骨関節結核の1例を経験したので報告する.症例は24歳女性.平成15年左足を捻り左足中足骨骨折の診断にて他院加療していた.その後,疼痛継続のため反射性交感神経性ジストロフィーの診断にてステロイドの内服を受けていた.平成16年4月骨破壊が判明し病巣掻爬により結核が判明した.平成16年5月当院紹介入院となり抗結核薬を継続するも骨破壊が進行することから平成16年11月病巣掻爬,骨移植を行った.その後症状軽快したが術後3年の現在著明な扁平足が見られる.足根骨の骨関節結核は非常に稀で,我々が渉猟しえた限り本邦では4例しか報告はない.しかし,近年若年者の結核患者数減少が鈍り高齢者の結核が増えており,さらにHIVの出現や免疫抑制剤の使用などにより結核増加が危惧される.また,諸外国と比較して日本は結核罹患率が高く,既往のない若年者でも鑑別診断にあげておくべきであると考えられる.
  • 武藤 和彦, 中村 英一, 鬼木 泰成, 岡本 信和, 田中 あづさ, 時吉 聡介, 井手 淳二, 水田 博志
    2008 年 57 巻 4 号 p. 590-594
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    【目的】人工関節置換術における術後感染は治療に難渋する重篤な合併症である.当科で加療した感染症例について検討したので報告する.【対象及び方法】対象は過去5年間に当科で加療された7関節(人工股関節3関節,人工膝関節4関節,男3関節,女4関節)で,平均年齢は68歳であった.原疾患はOAが2関節,RAが2関節,大腿骨頭壊死が3関節であった.以上の症例に対し,患者背景ならびに治療法について検討した.【結果】多発性筋炎,RAなどの基礎疾患によりステロイド剤を内服している症例が3関節,糖尿病が2関節に見られた.起炎菌はグラム陽性球菌が6関節(内MRSA 3関節),非定型抗酸菌が1関節であった.治療法では,郭清術及び持続洗浄にて人工関節を温存し得たものが1関節で,残り6関節は人工関節抜去後抗菌剤混入セメントビーズ/スぺーサー挿入を経て感染の鎮静化が得られていた.うち3関節では2期的に再置換術を行い,現在感染の再燃は認めていない.
  • 増田 陽平, 多田 弘史, 宮本 雅友, 本村 悟朗, 吉村 洋一
    2008 年 57 巻 4 号 p. 595-598
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    手指の骨感染症に対し抗生剤含有セメントを適応した2症例につき検討を行ったので報告する.症例1,61歳男性,透析患者で2005年7月中指壊死に対し環指基節骨切断した,術後5日切断部より排膿を認めた(Serratia感染),そのため再切断とパニマイシン(DKB)含有セメント留置を行った.8週後セメント除去を行った.症例2,57歳女性,糖尿病患者で2006年9月中指に木片が刺さり末節骨MRSA骨髄炎となった.10月デブリドメンとバンコマイシン(VCM)含浸セメント留置を行った.術後浸出液が継続し,中節骨も骨融解したため11月再度DIP関節を含めデブリドメンとVCMとDKB含有セメント留置を行った.13週後セメント除去を行った.1例では再セメント留置を要したが2例とも創部は良好に治癒した.骨感染症に対する治療法として局所の十分な抗生剤濃度を得るため種々の方法がある.抗生剤含有セメント用いた治療は有効な治療法の1つと考えられる.
  • 馬場 雄大, 馬場 貴子
    2008 年 57 巻 4 号 p. 599-602
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    症例)70歳男性.10年前から右下腿後面に有痛性の結節を認めるも放置.腫瘤の増大傾向は認めないが,圧痛が著明となり受診.腫瘤は15×13mmの暗赤色で表面軽度膨隆し,弾性硬で境界明瞭な結節性病変を認めた.レントゲンで軟部組織・骨に異常所見は認めず,MRIでは皮下組織に留まるT1強調画像で低信号,T2強調画像では高信号で内部均一かつ境界明瞭な腫瘍を認めた.試験切除をかねた腫瘍切除術を施行.腫瘍は境界明瞭であり皮膚の結節性病変ごと切除し,グロームス腫瘍の病理診断を得た.現在腫瘍再発もなく疼痛も消失している.考察)皮膚病変を伴い下腿に発生したグロームス腫瘍の稀な1例を経験した.有痛性の軟部腫瘍の場合,常に本疾患を念頭におき診療に当たる必要性があると思われる.
  • 小田切 陽樹, 薬師寺 俊剛, 佐藤 広生, 依光 茂太, 岡 潔, 上園 圭司, 水田 博志
    2008 年 57 巻 4 号 p. 603-606
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    当科における高分化型脂肪肉腫のMRI所見について検討したので報告する.対象は過去7年に当科で加療した高分化型脂肪肉腫10例で,平均年齢62.5歳,発生部位は大腿6例,前腕2例,肩・前胸部各1例であった.MRI評価として,単純MRIにおける隔壁構造の有無,造影MRIにおいては造影効果を有する結節性領域の有無に着目した.またその部位の病理組織学的所見を確認した.MRIにおいて病変内に2mm以上の隔壁構造,造影効果を有する結節性領域の存在は高分化型脂肪肉腫を示唆する所見とされており,造影不能な1例を除き全例でこれらの所見を認めた.また,この領域の病理組織は他の脂肪成分からなる領域と異なり,その周囲の脂肪細胞には大小不同が目立ち,また炎症細胞の浸潤を伴う症例も認めた.以上より,MRIにおける2mm以上の隔壁,造影効果を有する結節性領域は高分化型脂肪肉腫を強く疑わせる所見と考えられた.
  • 上薗 直弘, 横内 雅博, 川添 泰臣, 篠原 直弘, 入來 順一郎, 山下 芳隆, 有島 善也, 小宮 節郎, 義岡 孝子, 北島 信一
    2008 年 57 巻 4 号 p. 607-610
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    腓骨近位部に発生した軟骨粘液線維腫の1例を経験したので報告した.症例は16歳男性.右膝打撲後より疼痛が出現.近医受診し,単純X線上右腓骨頭に境界明瞭な骨透亮像を指摘され当科紹介受診.単純X線では骨皮質の膨隆と菲薄化を認め,髄内には隔壁構造を伴った骨透亮像を認めた.MRIではT1WIで筋と等信号,T2WIで高信号,不均一な造影効果を伴う骨内腫瘤を認めた.術中迅速病理診断を行い軟骨粘液線維腫の診断を得たため,病巣掻爬及び人工骨移植を行った.軟骨粘液線維腫は長管骨,特に脛骨の骨幹端部に好発する比較的稀な良性骨腫瘍であるが,腓骨近位部での発生の報告は少ない.掻爬での再発率は20%前後と比較的高い再発率の報告が多く,本症例においても今後の注意深い経過観察が必要と思われる.腓骨近位部における骨腫瘍の鑑別として,稀ではあるが軟骨粘液線維腫も念頭に置く必要があると思われた.
  • 富田 雅人, 熊谷 謙治, 林 徳真吉, 安部 邦子, 西村 誠介, 進藤 裕幸
    2008 年 57 巻 4 号 p. 611-614
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    足関節外果部に生じた骨外性粘液型軟骨肉腫(EMC)の1例を経験したので報告する.【症例】68歳,女性.約1年前に右足関節外果部の腫瘤に気付いたが放置していた.近医を受診し,当科紹介受診となった.初診時,右足関節外果後下方に6×5cm大,弾性硬の腫瘍を触知した.発赤,局所熱感,圧痛はみとめなかった.単純X線で踵骨上部に境界明瞭な骨侵食像をみとめたが,石灰化はみとめなかった.腫瘍はMRI T2強調画像で高輝度像を示し,Gdにて造影された.切開生検にてEMCと診断した.患肢温存は不可能と判断し下腿切断を行った.術後3ヵ月の現在局所再発・転移ともにみとめず,義足歩行可能である.【考察】EMCは,大腿部に好発するが,足関節部の発生は稀である.治療は広範切除である.本腫瘍の予後は比較的良好であるが,長期経過中に約半数に局所再発・転移が報告されており,我々の症例も今後の慎重な長期経過観察が必要である.
  • 横内 雅博, 山下 芳隆, 川添 泰臣, 入来 順一郎, 有島 善也, 小宮 節郎, 北島 信一
    2008 年 57 巻 4 号 p. 615-618
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    骨腫瘍掻爬,切除後の骨欠損部に対する充填材料としての連通多孔体HA(IP-CHA)の短期成績について検討した.(対象と方法)当科において骨腫瘍掻爬,切除後に充填目的としてIP-CHAを使用した23例(男性13例,女性10例)を対象とした.平均年齢は29.3歳,平均観察期間は15.9ヶ月であった.病理組織は単純性骨嚢腫が7例でもっとも多く,以下骨巨細胞腫,線維性骨異形成の順であった.部位は大腿骨が16例と多かった.(結果)X線での観察ではclear zoneが不明瞭化するまでの期間は平均2.6ヶ月であった.病理組織学的検討では気孔間を通じて良好な骨形成を認めた.アレルギー,術後感染等の合併症は認めなかった.短期成績ではあるが,IP-CHAは骨腫瘍切除・掻爬後の充填材料として有用であると思われた.
  • 田原 隼, 中村 英一, 鬼木 泰成, 岡元 信和, 田中 あづさ, 廣瀬 隼, 武藤 和彦, 水田 博志
    2008 年 57 巻 4 号 p. 619-622
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    【目的】膝窩嚢腫は外来診療においてよく遭遇する疾患であるが,神経刺激症状を伴うものはまれである.我々は総腓骨神経刺激症状を伴った膝窩嚢腫の一例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.【症例】45歳女性,約2ヶ月前より左膝後外側に腫瘤を触知し,伸展位で明らかな神経脱落症状はみられなかったが,最大屈曲時に下腿外側のしびれが増強した.左膝のレントゲンは明らかな異常は認められなかった.MRIで膝窩部に5×3×3cmの腫瘤性病変を認め,腫瘤は膝窩筋腱と腓腹筋外側頭との間から,外側側副靱帯まで連続して認められ,総腓骨神経は腫瘤に前後を挟まれるように存在していた.関節造影検査にて関節腔との交通は認められなかったため,直視下嚢腫摘出手術を施行し,病理所見より膝窩嚢腫と診断した.術後6ヶ月の時点で再発は認めず,復職している.
  • 野村 裕, 近藤 圭史, 長嶺 隆二, 杉岡 洋一
    2008 年 57 巻 4 号 p. 623-628
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    分裂膝蓋骨に対し,分裂骨片に付着する外側広筋の剥離とスクリューによる骨片固定を施行した後,誘引なくスクリューが折損した2症例を経験したので報告する.症例1は26歳の男性である.Saupe分類III型の左分裂膝蓋骨に対し,外側広筋剥離と骨片固定を行ったが,3ヶ月後に外傷の既往なくスクリューが折損した.症例2は14歳の男性である.Saupe分類III型の両分裂膝蓋骨に対し,両側の外側広筋剥離と骨片固定を行ったが,2ヶ月後に外傷の既往なく左側のスクリューが折損し,更に6ヶ月後に右側のスクリューが折損した.我々は,スクリューが折損した理由として,骨片付着部の外側広筋を剥離したことで,外側広筋からの圧迫を脱した骨片が可動性を獲得し,更にその後,骨片が外顆の頂部によって膝蓋大腿関節の関節面に適合するように押し上げられ,それに引き続いて,スクリューが折損したのではないかと推測する.
  • 永冨 博, 針 秀太, 矢野 寛一
    2008 年 57 巻 4 号 p. 629-634
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    破壊された関節機能の再建のために人工関節置換術が普及し,それに伴い人工関節の耐用年数の長期化が望まれている.現在,人工関節のデザイン,素材,手術器具の改良や術者の技術向上に伴い一般的には良好な成績が得られているが,長期にその経過を追うと再置換術を要する症例が出現してくる.今回我々はAMK人工関節置換術後15年目に両側膝の再置換術を行う経験をしたので報告する.
  • 福元 哲也, 野村 一俊, 橋本 伸朗, 前田 智, 中馬 東彦, 砥上 若菜
    2008 年 57 巻 4 号 p. 635-638
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    2002年12月より症例を選びOxford型UKAを行ってきたので,6ヵ月以上経過した症例の治療成績について報告する.対象は27例28膝(男性3膝,女性25膝),手術時平均年齢は74.5歳であった.変形性膝関節症22膝,大腿骨内顆骨壊死6膝で,平均経過観察期間は22ヵ月であった.これらの症例にJOAスコア,可動域の変化,術後X線学的評価,合併症の有無について調査した.JOAスコアは56.2から92.0と全例改善し,術後平均可動域も伸展が-6.0°から-1.1°,屈曲が130.4°から138.5°と改善した.インプラント設置は許容設置内であったがHigh Flex Typeはばらつきがあった.脛骨コンポーネントのLooseningを1例に認めたが,ベアリング脱転,脛骨骨折は見られなかった.Oxford型UKAは,積極的リハビリが不要で,TKAに比べ侵襲が小さいことから,症例を選ぶことで十分有効な手術であると考えられた.
  • 佐藤 公昭, 永田 見生, 朴 珍守, 山田 圭, 横須賀 公章, 吉光 一浩, 吉田 龍弘
    2008 年 57 巻 4 号 p. 639-642
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術は,器材の改良や手技の向上,トレーニングシステムの確立により,現在広く普及している手術法である.皮切も小さく後方軟部組織の侵襲も少ないという利点を有しているものの,すべての手術操作を内視鏡下に狭い術野の中で行うため,基本的な知識や技術の習得と,一定の経験が必要である.本稿では,METRx MD systemのチュブラーレトラクターを用いた手術手技について解説する.本法は,症例に応じてスタンダード用よりも短いチュブラーレトラクターを選択することができるので鉗子類の操作性が向上する.しかし,基本手技や起こり得る合併症に相違はないので,内視鏡の特性を十分把握した上で慎重な手術操作が要求される.
  • 田渕 幸祐, 濱田 哲矢, 善明 美千久, 平岡 弘二, 永田 見生
    2008 年 57 巻 4 号 p. 643-646
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    骨髄炎の中には非定型的な発症や経過をたどり,炎症反応に乏しく画像上骨腫瘍と鑑別を要するものが時として見られる.今回われわれは,骨腫瘍との鑑別を要した骨髄炎の2症例を経験した.2症例とも局所炎症所見,血液学的炎症所見に乏しく,画像診断上骨腫瘍が疑われたが,生検の結果骨髄炎の診断となった.非定型骨髄炎の予後は,比較的良好ではあるが,もっとも問題となるのは悪性骨腫瘍との鑑別である.骨腫瘍の鑑別診断のひとつとして,骨髄炎を考慮すべきであり,各種検査でも鑑別が困難な場合,早期の生検術が必要であると思われる.
  • 森本 忠嗣, 矢吹 省司, 釘本 康孝, 浅見 昭彦
    2008 年 57 巻 4 号 p. 647-651
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    日常診療において,神経障害による痒みを経験することは稀である.今回我々は,脊髄空洞症によって発作性掻痒を生じた1例を経験したので報告する.症例は18歳,女性である.主訴は右上肢痛であった.MRIからキアリ奇形に伴う脊髄空洞症と診断し,大後頭孔減圧術を施行した.術後1年で空洞は縮小し,痛みは軽減したが,疼痛部位に痒みを訴えた.痒みは知覚障害の領域に一致し,掻くことによる改善を認めなかった.神経障害により痒みをきたす疾患として,多発性硬化症が報告されている.そして,痒みの病態としては脊髄後角障害であると考えられている.脊髄空洞症においても,脊髄後角が障害されることにより痒みが発生するという類似した機序が推察される.脊髄空洞症では,痒みを神経症候の一つとして認識し,診断や診療にあたる必要があると思われた.
  • 津田 幸穀, 福士 純一, 松本 光司, 佐藤 太志, 菊池 克彦, 本村 悟朗, 井口 明彦, 伊藤 康正, 岩松 陽一郎, 佐本 信彦, ...
    2008 年 57 巻 4 号 p. 652-655
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    比較的稀な外傷である上腕三頭筋腱皮下断裂を経験したので報告する.症例は69歳女性.二分脊椎に伴う両下肢不全麻痺のため,両松葉杖歩行中,転倒し右肘痛を生じた.近医を受診し,上腕三頭筋腱断裂の診断で当科紹介された.初診時,右上腕遠位に腫脹・圧痛・皮下出血,肘頭近位に陥凹を触知.可動域制限,筋力低下はあるも,肘伸展は可能であった.MRIで三頭筋腱の連続性消失,周囲にT2高信号の浮腫,出血像を認めた.腱縫合術を施行し,肘頭に骨孔を作成し断端を縫着した.術後3週間のシーネ固定を予定したが安静を保てず,術後17日目に再断裂を確認.再度肘頭に縫着し,人工靭帯で補強を行った.再手術後は3週よりROM訓練開始し,術後8週にはROM 20~120°となり,筋力も回復した.上腕三頭筋腱皮下断裂の治療では腱縫合が推奨され,一般に予後も良好である.再断裂の報告は少ないが,慎重な後療法を行う必要がある.
  • 松村 陽介, 前 隆男, 矢津田 圭, 野村 裕, 川口 謙一, 佛坂 俊輔, 力丸 俊一, 野口 康男
    2008 年 57 巻 4 号 p. 656-659
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    【症例】25歳男性.250ccのバイクで走行中,右折しようとした普通自動車と接触して受傷した.左大腿骨近位部から下腿に及ぶ広範な皮膚軟部損傷,大腿骨外顆の欠損,膝蓋骨の外側1/3欠損,脛骨高原骨折及び腓骨神経麻痺を伴ったGustilo分類III b,Tscherne分類Fr.O IIIの開放骨折を認め,洗浄・デブリドマンを行った.その後,2回の洗浄・デブリドマンを追加し,抗生剤投与にて感染を沈静化した.現在,膝関節可動域制限あるが,DON-JOY装具を装着し独歩可能である.【まとめ】当症例では,骨欠損広範であったが,骨移植や靭帯再建等の処置は行わなかった.受傷後迅速な洗浄・デブリドマン行った.その後,2回の洗浄・デブリドマンを追加し,抗生剤投与によって重症感染症を予防することができ,早期の可動域訓練によってある程度のADLを獲得することができた.今後も,注意深い経過観察が必要と考えられた.
  • 川村 秀哉, 山口 智太郎, 冨重 治, 利光 哲也, 土屋 邦喜, 坂本 央
    2008 年 57 巻 4 号 p. 660-664
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    Surfix Lock Plate Systemはその強固な内固定力にてHTO術後早期荷重を可能とし,良好な短期成績をあげることができた.2002年10月より2005年12月までにSurfix Lock Plateを用いたHTOは88例,92膝あり,術後は数日で部分荷重歩行を許可し,疼痛の減弱を待って全荷重を許可した.短期成績は良好であったが,より早期荷重をめざしたところ骨癒合遷延を生じた.Interlocking Wedge Osteotomyでは骨切り部内側が開大する症例があり,骨粗鬆症例およびこれらの症例で骨癒合遷延を来していた.この対策として脛骨粗面を中心に骨切りラインを斜めとした.骨切り部への荷重は分散され,骨接触面積は増大し,Plate固定により骨切り部は密着した.平成18年2月からの症例を検討したが,早期荷重しても骨癒合遷延を生じることなく経過は良好であった.
  • 佐藤 広生, 薬師寺 俊剛, 中村 英一, 岡 潔, 依光 茂太, 水田 博志
    2008 年 57 巻 4 号 p. 665-670
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    【目的】悪性骨腫瘍切除後の再建法として骨延長術の1つであるbone transport法を用いた2症例を経験したのでその有用性を報告する.【症例1】8歳女児.骨肉腫(左脛骨近位骨幹端部).術前化学療法を行い手術施行.腫瘍切除後,骨幹端部・膝蓋腱を再建しIlizarov創外固定器にて固定.骨欠損長は6cm.術後1年3ヶ月で骨癒合.現在術後2年で再発・転移は認めず,ISOLSの患肢機能評価では77% で膝装具をつけ歩行.脚長差は1cmで+5°の反跳を認め,膝関節可動域は0~135°,extension lagは5°である.【症例2】4歳男児.Ewing肉腫/PNET(右脛骨骨幹部).術前化学療法を行い手術施行.腫瘍切除後,Ilizarov創外固定器にて固定.骨欠損長は9cm.現在術後6ヶ月で延長中である.【考察】腫瘍用人工関節は長期的には破損や感染といった問題がある.化学療法の進歩により長期生存が可能になった現在,人工関節に頼らない,より生体親和性が高く機能的で耐久性のある再建法が求められるようになってきている.Bone transport法は骨癒合に時間がかかるが最終的には自家骨で再生できる優れた再建法であり有用な選択肢の1つと考えられた.
  • 野原 博和, 我謝 猛次, 黒島 聡, 三好 晋爾, 金谷 文則
    2008 年 57 巻 4 号 p. 671-676
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    成人発症した二分脊椎を伴わない脊髄軟膜下脂肪腫の4手術例を経験したので報告する.【症例1】20歳,女性.主訴は左下肢脱力.左下肢筋力がMMT[4]と低下し,排尿遅延を認めた.脊髄軟膜下脂肪腫と診断しT3-T8椎弓切除,腫瘍生検,自家筋膜による硬膜形成術を行った.術後,左下肢MMTは[5]へ改善,脱力は消失,独歩は安定し排尿遅延も消失した.【症例2】46歳,女性.主訴は右下肢脱力.胸椎側弯症を伴う脊髄軟膜下脂肪腫と診断した.手術はT1-T9椎弓切除,生検,人工硬膜による硬膜形成術を行った.歩行は安定し術後10カ月でウエイトレスの仕事に復職した.【症例3】27歳,女性.主訴は両下肢しびれ感と脱力.T8-T12椎弓切除,生検,人工硬膜による硬膜形成術を行なった.両下肢しびれ感と筋力低下は改善した.【症例4】48歳,女性.主訴は左上下肢のしびれ感.C1-C2の腫瘍部分切除を行ったが術後に後索症状が出現した.
  • 林 哲生, 植田 尊善, 河野 修, 芝 啓一郎, 森 英治, 加治 浩三, 弓削 至, 高尾 恒彰, 益田 宗彰
    2008 年 57 巻 4 号 p. 677-680
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    【はじめに】頚椎カラーの長期間の装着は患者にとって負担が大きい.当施設では頚椎前方固定術(国分法)で頚椎カラーを約3ヶ月装着してきたが,骨癒合率92% と良好であったため,頚椎カラー装着期間の短縮(4~5週間)を試行したのでその結果を報告する.【対象および方法】2004年10月より2006年6月まで前方固定術を施行し1ケ月でカラーを就寝時以外は外した15例を対象とした.各々で骨癒合,移植骨の沈下,固定上下縁でのアライメントを検討した.【結果】骨癒合は15例中14例(93.3%)で認められた.移植骨の脱転はなかった.移植骨沈下は平均2.2mm,固定上下縁のアライメントは平均1.1度後弯傾向であった.JOA scoreは術前11.2点から術後15.0点に改善した.【まとめ】今後の経過観察と症例数を増やした検討が必要であるが,術中固定性が良好であれば頚椎カラーを早期に離脱しても良好な成績であった.
  • 小橋 芳浩, 石谷 栄一, 原田 洋, 増田 祥男, 諸岡 正明
    2008 年 57 巻 4 号 p. 681-683
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    脊椎固定術に,傍脊柱筋のダメージを軽減するため,低侵襲手術(LIS)の必要性が問われるようになり,tube retractorを使用した低侵襲腰椎椎体間固定術が広まってきた.我々もこの方法を導入し腰椎固定術の低侵襲化をはかってきた.次に,より傍脊柱筋のダメージを軽減するため4.5mmロッド,超low profile椎弓根スクリュウ(PS)を使用したLIS-TLIFを行った.2006年9月より4.5mmロッド,low profile PSを使用したLIS-TLIFを行った10例を対象とした.4.5mmロッドシステムを腰椎変性疾患に使用した成績の報告はないため,活動性を考え,全員女性,60歳以上とした.平均年齢69.5歳,平均体重53.2kg,腰椎変性すべり症を対象とした.rod折損等はなく,% slip改善,骨癒合率にも6.0mmロッドシステムと差はなかった.low profileの4.5mmロッドシステムが使えるならば,より大きな低侵襲手術となると思われる.
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