整形外科と災害外科
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57 巻 , 1 号
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  • 白浜 正博, 坂井 健介, 永田 見生
    2008 年 57 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    不安定型骨盤輪骨折の安定に重要な後方要素を強固に固定する方法とプレートを考案・開発した.手術は腹臥位で両側後上腸骨棘部に縦切開を加え,解剖学的形状のM-Shaped Transiliac Plateを傍脊柱筋の下をくぐらせ挿入して固定する.症例は過去8年間に手術した完全不安定型骨盤輪骨折30例で,平均手術時間は85分,出血は379.2mlで,術後1週間目から起立歩行訓練開始し,Majeedの評価で優および良が25例であった.従来,不安定型骨盤輪骨折には創外固定,iliosacral screwやsacral bars固定に前方固定を追加するなどが行われてきたが,どれも固定性が不十分で変形や痛みが残り良好な成績は得られなかった.後方からプレートで固定する方法は,低侵襲で強固な固定が可能で良好な成績が得られる.
  • 普天間 朝上, 岳原 吾一, 伊佐 智博, 金城 政樹, 堀切 健士, 赤嶺 良幸, 金谷 文則
    2008 年 57 巻 1 号 p. 6-9
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    下腿皮膚欠損に対してVAF (Veno-accompanying artery fascio-cutaneous) flap,V-NAF (Veno, neuro-accompanying artery fascio-cutaneous) flapを用いて被覆した.症例は26例27肢で男性20例,女性6例7肢,手術時年齢は3~78歳(平均43歳),術後経過観察期間は1ヵ月~9年(平均2年4ヵ月)であった.症例の内訳は外傷性皮膚欠損7例,骨髄炎7例,軟部腫瘍切除後5例,難治性潰瘍3例(4肢),関節拘縮2例,TKA術後皮膚壊死,化膿性膝関節炎各1例であった.小伏在静脈を用いた皮弁は18例19肢(うち15肢に腓腹神経を含む)で大きさは5.7cm×3.4cm~13cm×10cm,大伏在静脈を用いた皮弁は8例(うち4例に伏在神経を含む)で5cm×4.5cm~11cm×8cmであった.皮弁は完全生着22肢,部分壊死5肢であった.部分壊死例では感染の持続が3肢,術後感染,皮弁の血行不良を各1肢に認めた.
  • 救仁郷 修, 井尻 幸成, 山元 拓哉, 宮口 文宏, 長友 淑美, 佐々木 裕美, 米 和徳, 小宮 節郎, 牧 伸也, 丸山 裕之
    2008 年 57 巻 1 号 p. 10-12
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    骨の代謝性疾患や外傷歴がないにも関わらず多発性椎体骨折を起こした2症例を経験した.症例1は53歳の男性でストレッチングをしていて発症,L3, 4, 5の椎体骨折を来たした.基礎疾患としてII型糖尿病があった.骨量は正常で,骨代謝性マーカー,血液学的所見に異常はなかった.テトラサイクリンラベリング腸骨生検による骨形態計測では,低回転骨代謝を示した.糖尿病に伴う低回転骨と診断した.症例2は13歳女性,尻もちにて受傷,T11, 12椎体骨折をきたした.内分泌性疾患,血液疾患,骨系統疾患等を疑い精査行うも異常認めず,テトラサイクリンラベリング腸骨生検による骨形態計測では低回転骨と判断し,若年性特発性骨粗鬆症と診断した.
  • 小林 哲彦, 西田 憲記, 小川 浩一, 高橋 雄一, 中原 誠之, 土方 保和
    2008 年 57 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    脊椎圧迫骨折患者の中には,椎体圧潰による遅発性神経麻痺を来す例や,偽関節となり背部痛が持続する例が存在する.2006年4月から12月までに当科にて治療を行った圧迫骨折症例のうち,不安定性を呈した陳旧性圧迫骨折15例を対象とし,64列マルチスライスCTを用い検討した.男性5例,女性10例,45~83歳(平均72.6歳),受診までの期間1ヶ月~2年(平均約205日),BMD 0.577~1.525g/cm2(平均0.804g/cm2),受傷機転は不明10例,転倒4例,転落1例,罹患部位はTh12 7例,L1 5例であった.椎体内ガス像12例,水分貯留3例,脊柱管内への椎体突出が5例にみられた.マルチスライスCTにて詳細に検討すると,前方要素と後方要素をつなぐ椎弓根基部骨折を12例73%に認めた.持続する腰痛の原因は前方要素の不安定性のみではなく前方と後方要素をつなぐ椎弓根部での不安定性も関与していると考えられた.
  • 松原 弘和, 山口 智太郎, 川村 秀哉
    2008 年 57 巻 1 号 p. 18-20
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    脛骨内側顆骨壊死様病変の進行,骨欠損を伴う膝関節症に対し,人工膝関節置換術(以下TKA)を施行後,術後早期に沈下をきたした一例について他の同様の病変に対するTKA症例と比較検討し,考察を加え報告する.症例は68歳,女性.平成11年10月頃より右膝痛増強,変形高度にてTKAを施行した.術後経過は良好であったが,術後6ヶ月頃より右下腿痛が出現し,脛骨コンポーネントの沈下ならびに内反増強を認めた.安静でも症状軽減せず,術後10ヶ月時にlong stemを使用した再置換術施行した.その後の経過は良好である.骨壊死様病変例では術前評価としてMRIによる骨壊死範囲の推定は有意義であり,手術時壊死部を完全に切除し,脛骨ブロックやlong stem使用の必要性等を検討する必要があると考えられた.
  • 川畑 了大, 川畑 英之, 益田 義之, 小宮 節郎, 吉野 伸司, 中村 雅洋
    2008 年 57 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    今回我々は婦人科術後コンパートメント症候群を引き起こした稀な1例を経験したので報告する.症例は33歳女性,平成17年3月2日子宮頚癌に対し広汎子宮全摘術を施行された.体位は砕石位,手術時間3時間10分,麻酔時間5時間,出血量330ccであった.術後16時間で左下腿の異常知覚,疼痛を認め,術後28時間で当科受診となり各コンパートメント内圧を測定するも著明な上昇が見られず経過観察とした.婦人科術後CTでリンパ節郭清をした両外腸骨動脈の著明な狭窄が認められた.コンパートメント症候群に伴う尖足拘縮に対しアキレス腱,後脛骨筋腱をZ延長施行し経過良好である.コンパート内圧の上昇を妨げた原因としてリンパ節郭清による動脈狭窄が考えられた.現在までリンパ節郭清とコンパートメント症候群との関連についての報告は見られない.本症例からリンパ節郭清がコンパートメント症候群の危険因子となる可能性があると考えられた.
  • 田中 寿人, 小峯 光徳, 黒川 宏亮
    2008 年 57 巻 1 号 p. 27-30
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【症例】症例1.22歳,男性.AO43-C1.術後6ヶ月で腓骨の骨吸収像を認め,Gapを3mm認めたが,裸子,プレートの固定性良好.術後1年で癒合した.症例2.72歳,女性.AO43-C1.3の開放骨折.術後6ヶ月で内果tension band wiring部の骨吸収像を認め,Gapを2mm認めたが,術後1年2ヶ月で癒合した.症例3.64歳,男性.AO43-A3の開放骨折.術後6ヶ月で腓骨の骨吸収像を認め,Gapを3mm認めたが,裸子,プレートの固定性良好.術後1年で癒合した.【考察】術後6ヶ月経過して骨癒合がみられず,骨吸収像を認めた場合,偽関節と診断することが多いが,今回の症例はその後骨癒合を得ることができた.3例とも,内固定の固定性は良好であった.また骨吸収を認めた時期において,非骨折部に骨膜反応を認め,ここから骨膜化骨化が伸張し,癒合したと考えられた.【結語】固定性が良好で骨膜反応があれば,ゆっくりと骨癒合する可能性があった.
  • 入江 弘基, 加藤 悌二, 山下 武士, 菊川 憲志, 瀬形 建喜, 米村 憲輔, 水田 博志
    2008 年 57 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    交通事故などの高エネルギー外傷では,下腿の粉砕骨折はしばしば経験するが,治療に難渋することがある.下腿遠位部は軟部組織の量が少なく,十分な血行が得られないために感染の遷延化が生じたり,偽関節が生ずることが報告されている.そこで,我々は脛骨骨折に対して血管柄付き腓骨移植を施行した.
    症例1:36歳男性.交通事故後の脛骨開放骨折で,多数回の手術を施行されたが偽関節となった.周囲の軟部組織血行は不良であり,有茎血管柄付き腓骨移植をおこなった上,逆行性のSural flapを用いて移植骨を被覆した.症例2:58歳男性.木材の圧挫による脛骨遠位端粉砕骨折に対し,創外固定にて治療行うも骨癒合認めず,受傷後3ヵ月で有茎血管柄付き骨移植を行った.いずれの症例も,4ヵ月免荷の後,部分荷重を開始した.最終観察時には,補助具なく歩行可能であり,良好な成績が得られたので,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 生田 拓也, 久賀 太, 石川 純一郎, 島袋 孝尚, 原 紘一
    2008 年 57 巻 1 号 p. 36-39
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    足関節果部骨折後偽関節および変形治癒に対し再手術を行ったので報告した.症例は3例であり,3例とも初回は前医にて手術治療を施行されていた.受傷時の骨折型はLauge-Hansen分類に従うとPER4,SA2,SER4がそれぞれ1例ずつであった.足関節痛もしくは足関節の変形,歩行障害を主訴として受診した.偽関節例は偽関節部を新鮮化し再骨接合術を行い,変形治癒例は骨切りを行った後に再骨接合術を行った.全例,骨癒合が得られ,症状は軽快した.足関節果部骨折は脛骨天蓋部骨折と異なり手術治療を適切に行えれば順調に経過する可能性が高い.再手術は足関節果部骨折の手術原則に基づいて行ったところ良好な結果が得られた.
  • 幸 博和, 白仁田 厚
    2008 年 57 巻 1 号 p. 40-46
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    転位が少ない距骨頚部骨折に対し,外固定による保存治療は,その経過中に転位が進み,変形癒合となってしまう可能性がある.今回,受傷後14週経過した距骨頚部骨折変形癒合に対して,手術加療を行った1例を経験したので報告する.【症例】16歳 女性 平成16年7月27日階段から転落して受傷.近医受診し,左足関節捻挫の診断にて2週間シーネ固定される.その後も痛みが持続し,受傷後3週に他院を受診.受傷後7週のX線にて距骨頚部骨折が判明.保存的に加療されたが,疼痛改善せず,受傷後12週にて当院紹介.X線にて明らかな転位を認め,3D-CTでは距骨と内果との関節裂隙が消失していた.MRI,骨シンチでは骨壊死は認めなかった.受傷後14週にて手術施行.術中所見でも距骨遠位骨片は内上方へ転位し,内果前方にインピンジしており関節軟骨は消失していた.骨折部を骨切りし,良好な整復位として,Acutrak 4/5 screw 2本にて骨接合を行った.術後2年4ヶ月の現在,無症状で骨壊死もなく,足関節可動域も健側と同等となっている.
  • 吉村 洋一, 多田 弘史, 宮本 雅友, 本村 吾朗, 増田 陽平
    2008 年 57 巻 1 号 p. 47-49
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    当院にて2000年1月~2005年12月に行った下腿及び大腿切断術55例56肢についてretrospectiveに調査しその予後及びそれに関与する危険因子につき検討した.またKaplan・Meier曲線を用いて生存率を計算した.閉塞性動脈硬化症(ASO)や糖尿病(DM),虚血性心疾患,透析などの基礎疾患を合併した患者が多く,調査時37人が死亡していた.義足による歩行が実用化したものは全体で5人であった.Kaplan-Meier生存曲線では全体の1年生存率は59.6%,2年生存率は53.5%と諸家の報告と変わらなかったが,5年生存率は17.9%と他のstudyに較べかなり低かった.また透析患者,特にDMを合併した透析患者群と虚血性心疾患患者群で生存率に有意差が出た.特に糖尿病性腎症の患者に対しては足病変の病態把握のみならず生命予後をも考慮に入れた上でADLよりもQOLを重視した切断高位選択などの慎重な対応が必要と思われる.
  • 安楽 喜久, 西里 徳重, 川谷 洋右, 國武 克彦, 堤 康次郎, 知花 尚徳, 末吉 貴直, 西田 公明
    2008 年 57 巻 1 号 p. 50-53
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    強直膝の3症例に対し四頭筋形成(Thompson法)を併用したTKAを施行した.内側傍膝蓋切開で進入し,大腿直筋を内外広筋より切離した.関節包は膝蓋骨の内外側で解離し,関節内の線維性の癒着を剥離した.中間広筋は必要に応じ膝蓋骨付着部で切除し,閉創時には遠位での内外広筋の再縫着は行わなかった.症例1,2では時間経過とともに可動域が低下したが,症例1は術前可動域0°が最終調査時-5°~115°に,症例2は-5°~40°が0°~75°に改善しJOAスコア(日整会治療判定基準)は,症例1は30点が90点に,症例2は30点が85点に改善した.1例は大腿骨顆部骨折(症例3)を合併し,LCP(locking compression plate)を用いて骨接合術を施行した.可動域は0°~40°と制限され伸展不全が残存したが,JOAスコアは20点から57点に改善した.現在,3症例とも疼痛なく独歩可能である.
  • 生田 拓也
    2008 年 57 巻 1 号 p. 54-56
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    Bisurface type(KU)TKAの中期成績について報告した.当院にて施行したBisurface type TKA 258関節中1年以上経過し評価可能であった100例,141関節を対象とした.男性21例,女性79例,平均年齢73.6歳であった.臨床評価を術前,術後のJOA score,ROM,及び屈曲達成率(調査時屈曲角度/術前屈曲角度×100)を用いて行った.さらにX線評価を立位大腿脛骨角(FTA),コンポーネントの設置角を用いて行った.術前後の平均JOAスコアは58.0点から83.6点へ,平均屈曲は121.8°から122.1°へ改善した.平均屈曲達成率は101.4%であった.以前に報告した1年未満の短期成績と比較すると屈曲が不良である症例が数例存在し,このため平均屈曲改善率が悪化していた.しかし,ADLの改善は著明で満足度は高く,安定した治療成績が得られた.
  • 浜崎 将弘, 古川 雄樹, 宮里 朝史, 馬渡 玲子, 辻 王成, 吉野 興一郎, 重盛 廉, 田中 宏一
    2008 年 57 巻 1 号 p. 57-60
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    73歳女性,階段で膝くずれした後から左膝関節が腫脹し,翌日当院受診.関節穿刺にて血性関節液を認め入院となった.入院時血液検査でAPTTの軽度延長を認めた.入院後も腫脹が持続,関節穿刺を計3回行った.入院9日目誘因なく鼻出血が出現,入院11日目左膝の穿刺部からの持続的な出血を認めた.Hb 6.8g/dlに低下,APTT 101.8秒と著明に延長していた.第VIII因子活性1%未満,第VIII因子インヒビター12.2BU/mlより後天性血友病と診断,活性型プロトロンビン複合体製剤およびステロイド剤の投与おこない止血できた.後天性血友病は稀な疾患であり,関節血症を呈することは少ない.
  • 野口 蒸治, 黒木 健次, 下山 議七郎, 篠崎 俊郎
    2008 年 57 巻 1 号 p. 61-63
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    当院で施行した40歳以上の内側半月板切除術前後のMRIにおけるbone marrow lesion(以下BML)の推移について検討したので,報告する.対象は術後1年以上追跡しえた22例(男性7例,女性15例),平均年齢は67歳であった.X線分類は北大分類にてStage Iが6例,Stege IIが11例,Stage IIIが5例であった.術後追跡期間は平均18ヶ月だった.術後にレ線上,北大分類にて1段階以上進行したものが7例(32%),骨陥没が2例(9%)に見られた.BMIは術前10例(45%)に見られ,術後新たに出現もしくは増強したものが11例(50%)に見られた.近年,postmeniscectomy osteonecrosisの報告が散見されるが,症状の再燃等に関係なく発症する症例もあり,中高年者の半月切除術においては術後の注意深い経過観察が必要であると思われた.
  • 有馬 正彦, 川畑 英之, 神囿 純一, 栫 博則, 廣津 匡隆, 横内 雅博, 小宮 節郎, 義岡 孝子, 北島 信一
    2008 年 57 巻 1 号 p. 64-67
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【目的】膝蓋下脂肪体に生じた稀なpara-articular osteochondromaの1例を経験したので報告する.【症例】52歳女性.平成15年頃より誘因なく右膝の疼痛を自覚した.徐々に疼痛増強し,当科受診した.右膝蓋骨内下方に径2cmの腫瘤を触知し,圧痛を認めた.画像所見にて病変は膝蓋下脂肪体内に存在していた.関節鏡にて,関節内の滑膜病変はみとめず,膝前面より切開を加え,腫瘤を摘出した.肉眼的には骨軟骨腫の所見であった.病理組織診断にて,腫瘍内部および周囲に滑膜細胞をみとめず,para-articular osteochondromaと診断した.【考察】Para-articular osteochondromaは,関節に隣接する軟部組織から軟骨化生,あるいは骨化生して発生するといわれており,稀な疾患である.鑑別診断として軟骨肉腫や滑膜性骨軟骨腫症が重要である.
  • 竹内 直英, 島田 信治, 菅 尚浩, 大場 寛, 八反田 洋一, 別府 達也, 河合 浩二, 竹下 都多夫, 佐藤 陽昨, 楊 昌憲, 井 ...
    2008 年 57 巻 1 号 p. 68-73
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    5歳,男児.プールで遊んだ後に急に腰痛を自覚し,歩行困難となり救急搬送となった.上位腰椎正中部に限局した圧痛を認めたが,腰椎Xpでは異常所見を認め得なかった.MRIでL2椎体に異常信号を,CTで骨折と腫瘍性病変を認めた.血液検査では好酸球とALPの上昇を認め,Langerhans cell histiocytosis(LCH)を第一に考えた.骨シンチではL2椎体のみに異常集積を認め,保存治療を行い受傷7週後に独歩退院した.受傷3ヵ月後のMRIでT5椎体に新たな骨折とCalv扁平椎を,Xpで頭蓋骨に径1cmのpunched-out lesionを認めた.頭蓋骨より生検術を施行しLangerhans細胞の浸潤を認め,多病変のLCHと診断して化学療法(Ara-C,VCR,PSL)の適応となった.LCHは組織球増殖による骨融解病変であり,良性腫瘍だが時に多発する.自験例に文献的考察を加えて述べる.
  • 松尾 洋昭, 衛藤 正雄, 馬場 秀夫, 古川 敬三, 安達 耕一, 津田 圭一, 森口 昇, 和氣 聡, 進藤 裕幸
    2008 年 57 巻 1 号 p. 74-77
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    [はじめに]頚椎に発生し脊髄症状を呈した骨軟骨腫の一例を経験したので報告する.[症例]13歳女性.多発性骨軟骨腫の既往があり3度の摘出術(右前腕,右手,両膝)を施行されている.入院2ヶ月前より右上腕から前腕にかけてしびれ,脱力感が出現.入院1ヶ月より箸の保持困難を自覚.歩行時につまずくようになり近医受診.頚部脊柱管を狭窄する椎弓由来の腫瘍を指摘され当科入院となった.腫瘍はC5椎弓より発生,脊柱管内に達し硬膜を圧迫していた為,これによる脊髄症状と診断.腫瘍摘出術を行い,症状の著明な改善を得た.病理診断は骨軟骨腫であった.[考察]骨軟骨腫は長管骨骨幹端部に好発する良性骨腫瘍としてよく知られているが,脊椎発生はまれである.今回我々は,頚椎に発生し脊髄症状を呈した骨軟骨腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 富田 雅人, 熊谷 謙治, 林 徳眞吉, 進藤 裕幸
    2008 年 57 巻 1 号 p. 78-83
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    稀な腫瘍である骨に発生した平滑筋肉腫(LMS)5例を経験したので,その治療成績を報告する.症例は49~84歳,平均年齢66歳.男性1例,女性4例であった.罹患部位は大腿骨遠位3例,脛骨近位1例,腓骨遠位1例であり,膝周囲が5例中4例と多かった.初回手術後の経過観察期間は5ヵ月~9年7ヶ月,平均3年11ヶ月であった.初回生検にてLMSと診断された症例は2例のみで,その他骨巨細胞腫と診断された症例2例,診断確定出来なかった症例1例であった.初回生検でLMSと診断された2症例(大腿切断1例,広範切除+足関節固定術1例)は術後再発・転移ともにみとめていないが,初回生検で診断出来なかった症例は3例で局所再発を,2例で骨転移を,1例で肺転移をみとめた.短期経過観察であるが,広範切除以上で局所のコントロールは良かった.生検にて正しくLMSと診断することが治療成績の向上には必要であると考えた.
  • 生越 智文, 南崎 剛, 賀川 武, 尾崎 まり
    2008 年 57 巻 1 号 p. 84-86
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【目的】下肢症状の原因が,膝窩部の嚢腫性病変であった2例について報告する.症例1:63歳男性.誘因なく間歇性跛行と下肢の冷感を訴え,当科を受診した.膝窩動脈の血管外からの圧排による症状と考え,狭窄部を展開したところ膝窩動脈の外膜嚢腫を認めた.血管拡張術を施行し,間歇性跛行と冷感は共に消失した.症例2:24歳女性.1週間前より膝を屈曲すると膝窩部痛が出現した.その後,夜間痛が出現し,当院を受診した.MRIで膝窩部に直径1.3cmの嚢腫性病変を認め,関節包から発生したガングリオンによる膝窩動脈の圧迫と考えた.エコー下に穿刺除圧したが症状が変わらないため,ガングリオン摘出術を施行し,下肢症状は消失した.【結論】間歇性跛行や下肢痛は脊柱管狭窄症または閉塞性動脈硬化症によって生じることが多いが,膝窩部の嚢腫性病変が原因となる事も稀でなく,注意深い診察が必要であると思われた.
  • 横内 雅博, 神園 純一, 山下 芳隆, 川添 泰臣, 上野 宜功, 有馬 正彦, 有島 善也, 小宮 節郎
    2008 年 57 巻 1 号 p. 87-90
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    軟部肉腫に対する化学療法施行中に血小板輸血不応状態を呈した症例を経験したので報告した.症例は49歳女性,右大腿部滑膜肉腫.術前補助温熱化学放射線療法を施行した後に局所及び肺転移に対する根治術を施行した.貧血の改善目的で術前に照射赤血球(MAP)を2単位輸血,さらに術中にMAPを8単位輸血した.根治術から約1ヶ月後に術後補助化学療法を開始したが,1コース終了後に血小板数の低下と紫斑を認めたため血小板輸血を施行.しかし輸血後の採血でも血小板数の増加は認められず,補正血小板増加数(CCI)値では血小板輸血不応(PTR)であった.スクリーニングにより広範な抗HLA抗体が検出されたが,幸いに重篤な出血をきたすことはなくHLA-PC輸血により血小板数は回復した.前感作歴をもつ患者における強力な化学療法の際には,固形癌であっても,PTR予防を意識した抗HLA抗体のスクリーニングが望ましいと思われた.
  • 有島 善也, 横内 雅博, 瀬戸口 啓夫, 山下 芳隆, 廣津 匡孝, 川添 泰臣, 篠原 直弘, 有馬 正彦, 上薗 直弘, 石堂 康弘, ...
    2008 年 57 巻 1 号 p. 91-93
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    悪性軟部腫瘍肺転移例28例(男性18例,女性10例)について検討した.年齢18~91歳(平均49.6歳),経過観察期間2か月~12年(平均33か月),組織型はMFH 8例,滑膜肉腫7例,平滑筋肉腫6例,MPNST 3例,脂肪肉腫2例,円形細胞肉腫2例であった.肺転移出現時期は初診時8例,治療中4例,治療後16例であり,肺転移に対する手術は8例(29%)に行われていた.生命予後はNED:2例,AWD 5例,DOD 21例であった.経過観察開始から1年/2年/5年の累積生存率は71.3%/44.9%/19.1%(中央値22か月)であった.組織別では滑膜肉腫が良好で,平滑筋肉腫が続き,他は不良であった.治療別では手術+化学療法が良く,化学療法のみが続き,治療なしは不良であった.転移巣切除可能例では予後が良好であり可能な限り積極的に外科的切除を行うことが予後の改善につながると考えられた.
  • 平井 奉博, 中村 英一, 鬼木 泰成, 田中 あずさ, 岡元 信和, 水田 博志
    2008 年 57 巻 1 号 p. 94-98
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    膝関節滑膜軟骨腫症の2例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例1は17歳女性,平成9年ころより,誘引なく右膝の疼痛と腫脹が出現した為,当科を受診した.X線上異常なく,MRI上滑膜軟骨腫症を疑い,関節鏡検査を施行した.関節内には滑膜絨毛の増生と多数の白色米粒状大の遊離体がみられたが,滑膜内腫瘤が少なかった為,増生した滑膜絨毛の切除と遊離体摘出を行った.術後8年の現在再発を認めない.症例2は36歳男性,平成18年6月転倒後より,左膝の疼痛と腫脹が持続する為,11月当科を受診した.X線上異常なく,MRI上滑膜軟骨腫症を疑い,関節鏡検査を施行した.関節内には白色米粒大の遊離体と多数の滑膜内腫瘤が見られた為,遊離体摘出と滑膜内腫瘤の摘出,広範囲の滑膜切除を行った.術後半年の現在再発を認めない.
  • 林 哲生, 加治 浩三, 芝 啓一郎, 植田 尊善, 森 英治, 弓削 至, 河野 修, 高尾 恒彰, 益田 宗彰
    2008 年 57 巻 1 号 p. 99-101
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    [症例]46歳女性.15年前に左小指の屈曲変形出現し,手の手術を施行するも軽快せず.徐々に手足のシビレ,歩行障害出現.近医MRIにて脊髄空洞症と診断され当院紹介.Chiari奇形に伴う脊髄空洞症に対して,後頭孔減圧術施行し,歩行障害が軽快した.[考察]くも状指は脊髄空洞症の他に様々な脊髄疾患で起こりうる.今回の症例のように筋萎縮から発症する場合は診断が遅れることがある.空洞による不可逆的な障害が起こると術後空洞が縮小しても症状の改善がみられないこともあり,不可逆的な障害に陥る以前に早期診断治療が重要であると思われる.
  • 片岡 秀雄, 吉田 佑一郎, 田口 敏彦
    2008 年 57 巻 1 号 p. 102-105
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【はじめに】我々は胸髄レベルでの脊髄損傷の治療を想定して,ラットを用い脊椎・脊髄短縮モデルを作成した.開発の途中ではあるが,今までの成果を報告する.【対象と方法】生後13~16週のWistarラットを使用した.第8胸椎椎体レベルの脊髄を切断後に除去し,第8胸椎椎体の切除を行った.第6と第10胸椎椎弓根に挿入したmini screwに糸をかけ,脊髄が吻合する様に引き寄せて固定した.【結果】当初は術後の長期生存は困難であったが,術中の出血量の減少や術後管理の工夫などで術後2カ月以上の生存がほぼ可能となった.術後の運動機能はBBBスコアを用い評価し最大で5であった.組織学的に吻合部は連続していたが,間には瘢痕が形成されていた.【考察】今後,モデルに改良を加え,脊髄の吻合部を越えた神経軸索の接合が起きれば,脊椎・脊髄短縮術は脊髄損傷後の完全麻痺に対して臨床応用できる可能性があると考えられる.
  • 久保 勝裕, 植田 尊善, 芝 啓一郎, 森 英治, 加治 浩三, 弓削 至, 河野 修
    2008 年 57 巻 1 号 p. 106-109
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    歩行障害により発症した脊髄くも膜嚢腫の1例を経験したので報告する.症例は59歳,女性.2ヶ月前より痙性歩行,下肢脱力,歩行障害が出現したため当センター入院となる.58歳時に小脳橋角部くも膜嚢腫手術の既往があった.著明な痙性歩行.Th12以下で痛覚,触覚は低下し,両第1足趾の位置覚は消失.両下肢腱反射は亢進.左下肢筋力に低下を認めた.CTMでは左Th8/9,9/10レベルでの脊髄の圧迫が著明であった.この症例に対しTh8-10椎弓切除術,嚢腫摘出術,経くも膜下腔的嚢腫壁開放術,くも膜下腔―くも膜下腔bypass術を施行した.術後は筋力,下肢の位置覚共に回復し,独歩可能となった.くも膜嚢腫の発生には何らかの先天性素因の関与が示唆された.
  • 山田 圭, 永田 見生, 佐藤 公昭, 朴 珍守, 仲摩 憲次郎, 吉川 英一郎, 横須賀 公章, 吉田 龍弘, 田中 寿人
    2008 年 57 巻 1 号 p. 110-115
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    胸椎後縦靭帯骨化症の術式別,骨化形態別の術後成績と,術後の後弯角の進行が術後成績に与える影響を調査した.対象は胸椎OPLL 20例(男10例,女10例)であった.年齢は平均55.4歳,平均経過観察期間は41.5か月であった.手術は後方進入前方除圧術(大塚法群)が4例,椎弓形成術(LP群)が11例,椎弓切除術(LN群)が5例であった.術後後弯角の進行度は術前後のCobb角の差とし,術後成績は平林の改善率で評価した.術式別には大塚法群が他の2群より後弯進行度が多い傾向にあり,術後の平林の改善率は大塚法群がLN群よりも有意に劣っていた.骨化形態別では平坦型と局所嘴型の間で術後成績および後弯角の進行度に有意な差はなかったが,局所嘴型では後弯進行度と平林の改善率に負の相関を示す傾向があった.局所嘴型の後方手術では前方圧迫因子の除去よりも後方からの後弯矯正及び固定が重要と考えられた.
  • 森脇 伸二郎, 加藤 圭彦, 片岡 秀雄, 田口 敏彦, 豊田 耕一郎
    2008 年 57 巻 1 号 p. 116-120
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    強直性脊椎骨増殖性(ASH)に発生した脊椎骨折の3例について報告する.年齢は77~86歳,男性2例,女性1例であった.いずれも転倒により受傷し,胸腰椎移行部に発生し,骨癒合が遅延し偽関節となっていた.遅発性の神経障害を生じており,手術的治療が施行された.手術は前方固定が1例,後方固定が2例であった.後方法はpedicle screwを用いた脊椎固定術と椎弓切除を行い,椎体内の骨欠損部を充填する様に骨移植した.後方固定術では術後骨癒合は完成し,日常生活に復帰した.ASHでは骨折に隣接する椎間の可動域がないために,骨折部に応力が集中して,偽関節になりやすいと考えられる.治療方針を決める上で,X線機能写を撮り,不安定性の評価が重要である.神経麻痺や不安定性のある場合,高度な痛みの持続する場合は可及的早期の手術的療法が良いと考える.
  • 田邊 史, 武冨 栄二, 石堂 康弘, 砂原 伸彦, 恒吉 康弘, 松山 金寛, 山元 拓哉, 井尻 幸成, 小宮 節郎
    2008 年 57 巻 1 号 p. 121-124
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    当院では腰椎椎間板ヘルニアを中心に後方進入内視鏡下手術を施行しており,2005年10月以降,後側方ヘルニアおよび椎間孔狭窄による頚部神経根症に対して同術式を導入し,比較的良好な成績が得られたので報告する.対象は頚部神経根症に対し後方進入内視鏡下手術を施行した6例(男性4例,女性2例)で,手術時平均年齢47.6歳(38―54歳)である.頚椎椎間板ヘルニアは3例で椎間孔拡大術+ヘルニア摘出術を,頚椎症性神経根症は3例で椎間孔拡大術を施行した.責任高位は,C5/6 levelが4例,C6/7 levelが2例であった.検討項目は,手術時間,術中出血量,自宅退院までの期間,合併症とし,治療成績は田中らの頚部神経根症治療判定基準を用いて評価した.頚部神経根症に対する後方進入内視鏡下手術の有用性,留意点などについて若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 山下 彰久, 白澤 建蔵, 城戸 秀彦, 今村 寿宏, 原田 岳, 熊丸 浩仁, 川原 慎也, 野村 茂治
    2008 年 57 巻 1 号 p. 125-129
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    頚椎前方固定術の危機管理において椎骨動脈損傷,術後血腫,気道狭窄は重要である.今回我々は,頚椎前方固定術直後に血腫による気道閉塞を来した1例を経験したので報告する.症例は71歳,女性.C3/4頚椎椎間板ヘルニアに対し前方固定術を施行した.手術終了後,搬送中に急激な血腫増大,気道閉塞による急性呼吸不全に陥った.蘇生の後に緊急止血術を施行.出血はC4椎体からの出血であり圧迫にて止血困難で骨蝋でようやく止血した.術後に輸血を要したが,全身状態,脊髄症状いずれも軽快した.本症例はC4/5 Klippel-Feil骨性奇形を有しており椎骨動脈走行異常による損傷が危惧された.術後にCTアンギオにて検索した結果,明らかな椎骨動脈損傷は認めず椎体静脈からの出血であったものと推察された.前方固定術といえども,椎骨動脈の評価を術前に十分行うことが危機管理において重要と考えられた.
  • 山下 武士, 瀬形 建喜, 堀川 朝広, 米村 憲輔, 加藤 悌二
    2008 年 57 巻 1 号 p. 130-134
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)に合併したJaccoud関節炎に伴い,右肘に二つの球形滑液包炎を生じたため,橈骨神経麻痺を呈した稀な症例を経験したので報告する.症例は59歳女性,27歳時にSLEを発症した.2006年6月下旬より右肘の重だるさが出現,次第に手関節,指の伸展が困難となり7月7日当科を受診した.右肘前外側に腫脹を認め,下垂手を呈していた.X線検査では橈骨頭の関節破壊を伴わない変形,いわゆるJaccoud関節炎を認めた.MRIでは橈骨頭の周囲に2つの嚢胞様炎症性病変を認めた.この病変による橈骨神経麻痺と診断し手術を施行した.橈骨頭の前面および外側に直径約2cmの球形滑液包が2個存在し橈骨神経を圧迫,伸展していた.これらを摘出し,橈骨神経麻痺は改善した.本症例はJaccoud関節炎に伴う多発性滑液包炎により橈骨神経麻痺を呈したものと考えられた.
  • 馬場 貴子, 馬場 雄大, 牧 信哉
    2008 年 57 巻 1 号 p. 135-139
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    粉砕型前腕骨骨折に対してMinimally Invasive Plate Osteosynthesis(以下,MIPO法)を施行した3例の治療成績を検討した.2003年11月~2006年10月までにMIPO法を施行した尺骨骨幹部骨折2例(1例は開放性Monteggia+Galeazzi骨折),尺骨骨幹端部骨折1例.男性2例,女性1例,年齢30歳~82歳であった.上記の症例について骨癒合,肘関節,前腕の可動域について検討した.前例で骨癒合良好であったが,高度な前腕の回内,回外制限が2例で残存した.MIPO法は従来の骨接合では強固な固定が得られない症例に対し早期運動療法することにより,有用な方法の1つであり,整容面でも優れていると考えられた.
  • 安部 幸雄, 藤井 謙三, 坪根 徹, 富永 康弘, 津江 和成
    2008 年 57 巻 1 号 p. 140-142
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【目的】三角線維軟骨(TFCC)の損傷は手関節尺側部痛の原因として確立されているが,実際はTFCC損傷が存在しても必ずしも疼痛を生じるものではない.今回,その損傷形態と疼痛との関連性について検討した.【対象】TFCC損傷疼痛群は尺骨突き上げがなくTFCCのみ治療を行い症状の軽快した27例28関節,非疼痛群は尺骨遠位(茎状突起を含む)の骨折を伴わない橈骨遠位端骨折において鏡視下手術の際TFCC損傷を確認し,その後全く尺側部痛を生じなかった18例18関節とした.損傷形態の分類はPalmer分類及びオリジナルの分類を使用した.【結果】疼痛群:1A: 15,1B: 9,1C: 3,水平断裂: 4,背側部断裂: 5,尺骨小窩断裂: 4,複合損傷11,非疼痛群:1A: 10,1B: 3,複合: 1,大断裂: 6であった.【考察】以上より,1)1A断裂の疼痛への関与は断裂形態だけでは説明ができない,2)周辺部損傷は疼痛の原因となる危険性が高い,3)大断裂は疼痛を生じない,と推察した.
  • 林田 実, 池田 天史, 宮崎 慎一, 土田 徹, 川添 泰弘, 安中 正法, 束野 寛人, 中原 潤之輔
    2008 年 57 巻 1 号 p. 143-145
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【はじめに】手掌部に発生したガングリオンにより,尺骨神経,正中神経の運動枝に麻痺が生じた2例を経験したので報告する.【症例】症例1:第3,4CM関節から発生したガングリオンにより,尺骨神経深枝のみが圧迫されていた.顕微鏡視下に摘出行い,速やかに症状回復した.症例2:母指球部に発生したガングリオンにより,正中神経運動枝が圧迫されていた.手根管開放,ガングリオン摘出,母指対立再建行い,ADLは向上した.【考察】ガングリオンにより尺骨神経,正中神経麻痺を呈する症例は多数報告されているが,本症例のように手掌部に発生し,かつ特異な神経症状を呈する症例は稀である.手根管及びギオン管以遠での絞扼性神経障害は,多種多様な症状を呈するため,正確な理学所見が重要であり,MRI,筋電図等の補助診断を追加することにより,速やかに診断を下す必要がある.
  • 伊達 亮, 住浦 誠治, 山本 学, 山本 健志, 関 万成
    2008 年 57 巻 1 号 p. 146-149
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【目的】RA患者に対するインフリキシマブ(以下IFX)の短期治療成績を報告する.【方法】対象はIFXによる治療を行った16例(男:女 2:14)で平均年齢56.8±10.8歳であった.CRP,DAS28(3)CRPの変動,および二次無効例について検討した.【結果】全例とも投与初期から関節の腫脹・疼痛が改善され,CRP値は投与前3.9±2.7mg/dlだったが,2・6・14週後は有意に低下していた.しかし,最終調査時には2.3±3.0mg/dlと低下傾向にあったものの有意な低下ではなかった.DAS28(3)CRPについても同様な結果であった.また二次無効例を3例に認めた.【結論】今後は,IFX投与間隔の短縮・増量について検討の余地があると考えられた.
  • 瀬尾 健一, 河村 誠一, 今澤 良精, 佐々木 伸一, 津嶋 秀俊
    2008 年 57 巻 1 号 p. 150-154
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    対象と方法)対象は3例(全例女性)で平均年齢は40.7歳(27~58),術後経過観察期間は2年4ヶ月(1年9ヶ月~3年).術前平均FTA155.3°(155~156°),JOA score 29点(16~43).使用機種はPS型2例,拘束型1例.手術は全例内側からアプローチ,外側支帯の解離および腸脛靭帯の切離を行ったが,外側側副靭帯,膝窩筋腱といった追加の軟部組織解離は要しなかった.結果)術後平均FTAは174.7°(169~179°),JOA scoreは73点(58~93).合併症は,創癒合不全を1例,下腿皮膚壊死を1例に認めたが,膝蓋骨壊死,膝蓋骨脱臼および亜脱臼,腓骨神経麻痺といった合併症は認めなかった.考察)高度外反膝に対するTKAは通常のTKAよりも多くの知識と手術手技が必要とされるが,TKA時の処置や発生しやすい合併症を十分理解してTKAを行えば,良好な臨床成績が得られる.
  • 小関 弘展, 高木 謙司郎
    2008 年 57 巻 1 号 p. 155-158
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    肩関節脱臼骨折後の重度下方不安定症に対し,臼蓋骨切り術が有効であった1例を報告する.症例は57歳,女性.約2m高より転落して左肩関節脱臼骨折(Neer fracture-dislocation 2part)を受傷した.徒手整復後三角巾固定されていたが,受傷3週経過して肩関節下方脱臼が遺残するため当科へ受診した.左上肢の筋力低下としびれ感,肩関節の運動時痛と拘縮を認めた.sulcus signとload and shift testは陽性であったが,他の関節に緩みは認めなかった.Inferior capsular shift法を施行したが,1週間後に下方への亜脱臼を再発したため,関節臼蓋骨切り術を施行した.術後2年の現在,矯正損失なく,自動挙上150度可能である.下方への重度不安定症に対しては,臼蓋骨切り術によって関節の適合性と腱板機能を回復させることが重要である.
  • 伊崎 輝昌, 柴田 陽三, 熊野 貴史, 篠田 毅, 鎌田 聡, 内藤 正俊
    2008 年 57 巻 1 号 p. 159-161
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    初回の外傷性肩関節脱臼は整復後三角巾やベルポー固定で治療されるが,固定期間で再脱臼率に差はなく,若年者に再脱臼率が高い.われわれは外傷性肩関節前方脱臼を生じたプロ野球選手2例,3肩(1肩は術後再脱臼例)に対し,早期に鏡視下Bankart修復術をおこなった.全例に前方関節唇の剥離と前下関節上腕靭帯の緊張低下がみられ,これをスーチャーアンカーで修復した.2選手とも受傷前のスポーツレベルに復帰を果たしている.鏡視下Bankart修復術は,再脱臼例にも対処可能であり,レベルの高いスポーツ選手の初回の外傷性肩関節前方脱臼に対し有効な治療法であると考えられる.
  • 崎浜 智美, 石田 康行, 矢野 浩明, 山本 惠太郎, 河原 勝博, 田島 卓也, 菅田 耕, 帖佐 悦男
    2008 年 57 巻 1 号 p. 162-166
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【はじめに】鏡視下腱板修復術後に生じた肩鎖関節ガングリオンの症例を経験したので報告する.【症例】62歳,女性.平成17年4月転倒し右肩腱板広範囲断裂受傷.保存的加療するも右肩痛改善しないため,平成17年10月鏡視下腱板修復術施行した.術後右肩痛改善するも術後7ヶ月,右肩鎖関節痛と同部位に腫瘤出現した.MRIにて肩鎖関節直上にT1 low,T2 highの多房性の腫瘤認め,肩峰下滑液包造影で肩峰下滑液包から肩鎖関節,腫瘤へと造影剤の流出を認めた.肩鎖関節ガングリオンの診断で,平成18年11月肩関節鏡,ガングリオン切除,鎖骨遠位端切除術施行した.術後肩鎖関節痛,ガングリオン再発なく経過している.
  • 廣津 匡隆, 川畑 英之, 栫 博則, 神囿 純一, 有島 善也, 石堂 康弘, 小宮 節郎
    2008 年 57 巻 1 号 p. 167-169
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    51歳男性.1年程前より,誘因なく右股関節痛が出現し,平成18年10月当科紹介受診.股関節内外旋での疼痛認めるも,単純レントゲンにて明らかな異常を認めなかった.腰椎を含め,他部位に異常を認めず,臨床所見より股関節唇損傷を疑い,MRI,CT arthrographyを行った.その結果,いずれにおいても関節唇の一部に関節唇損傷を疑う所見を認めた.また,関節内局麻注入にて一時的な症状改善を認め,症状,画像を総合的に判断し,最終的に関節唇損傷と診断し,関節鏡を行った.鏡視にて前外側の関節唇損傷を認め,鏡視下関節唇切除術を行った.術後早期より,歩行時の疼痛などの症状の改善を認め,経過良好である.股関節唇損傷は症状やCT arthrography,MRI,関節内局麻注入などで診断されることが多いが,画像上明らかな異常所見がない例も少なくない.原因が明らかでない股関節痛が持続する症例では,関節唇損傷も考慮に入れて,関節鏡を用いた.診断治療を行うことは有効な方法であると考える.
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