整形外科と災害外科
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57 巻 , 2 号
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  • 境野 昌範, 金澤 武利, 荘 念仁, 井上 明生
    2008 年 57 巻 2 号 p. 171-176
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    変形性股関節症に対する関節温存手術が好成績を得る条件の一つは年齢である.今回は30~40歳代の対象患者に対する成績を調べ,50歳代の成績と比較する.平成12年6月以降,当院でキアリ手術(大腿骨外反骨切り術併用)を施行した204股関節中,手術時30~40歳代の進行・末期例で術後2年以上経過したものを対象とした.評価は除痛の可否を重要視し,日整会評価基準の疼痛点35以上を「除痛成功」とした.対象の47股関節(進行期24関節,末期23関節)年齢は30歳代11関節,40歳代36関節で,除痛に成功したのは43関節91%であった.50歳代の変形性股関節症に対する同様の治療の除痛成功率が約80%であるのに比べて好成績が得られるのは,若さ以外に,臼蓋形成不全の程度が高度なためと思われる.
  • 重松 正森, 田中 里紀, 馬渡 正明, 佛淵 孝夫
    2008 年 57 巻 2 号 p. 177-181
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,片側のみ人工股関節全置換術(THA)を行なった群と1回の入院中に両側ともTHAを行なった群の歩行の回復過程を比較・検討することである.対象はTHAを行なった325例(片側THA群253例,両側THA群72例)であり,全例,後側方進入を用いセメントレスにて行なった.術後3から4日で全荷重による歩行訓練開始とし両側THA症例の場合,疼痛が強い方を先に,3週後に反対側を行なった.術前,術後2カ月,6カ月,12カ月の時間・距離因子を測定し両群を比較した.歩行速度,歩調,歩幅,単脚支持時間率,両脚支持時間率は両群ともに術後6カ月で有意に改善していた.両群で差が見られた項目は術後2カ月の歩幅のみであった.3週間という比較的短い間隔でセメントレスTHAを行ない,且つ早期荷重を行なっても,歩行の改善にはほとんど影響がないことが示された.
  • 末吉 貴直, 赤崎 幸二, 相良 孝昭, 木村 真, 福本 巧, 河野 淑彦, 渡邉 弘之, 依光 茂太
    2008 年 57 巻 2 号 p. 182-186
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    JMM PerFix HAステムの3年以上経過例についてX線学的に検討した.対象は48例55関節,平均年齢60歳,平均観察期間は3年9ヶ月であった.髄腔占拠率,clear zone,spot weldsについて評価した.髄腔占拠率は正面像では良好であったが,側面像では中遠位部とも80% 以下であった.1mm以上のclear zoneは術後初期に特に側面像の遠位部において出現率が高く,半数近くに認めたが経過とともに減少していた.spot weldsは術後1年で91%,最終観察時には95%に認め,bone-ingrown fixationであった.PerFix HAステムは側面での髄腔占拠率は低い傾向にあったが,HAコーティング部に早期に高率にspot weldsを認め,固定性の改善とともにclear zoneも減少すると考えられ,良好な成績が得られた.
  • 栫 博則, 川畑 英之, 井尻 幸成, 小宮 節郎, 田邊 史, 砂原 伸彦, 恒吉 康弘, 武富 栄二, 石堂 康弘
    2008 年 57 巻 2 号 p. 187-190
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【目的】RA患者の初回THAにおいて臼蓋側骨欠損に対し再建を要した症例の短中期成績を検討し報告する.【対象と方法】臼蓋側骨欠損に再建を要した手術例において術後3年以上経過観察可能であった20例22関節を対象とした.全例女性,手術時年齢平均56.3歳,術後平均観察期間6.6年であった.全例で摘出骨頭を用い,2股において他関節手術時の冷凍保存自家骨を併用した.3股にKerboull plate使用した.【結果】反復性脱臼及び感染を生じた2股において再置換術を行った.他の20股のcupは安定性,骨癒合共に良好であった.【考察】我々はTHAの際,原臼設置を目指しているが骨欠損が大きい場合,移植骨の圧潰や早期のlooseningを避けるためKerboull plateによる補強を行っている.【まとめ】RA患者の初回THAにおいて臼蓋側骨欠損は適切な骨移植や補強によって良好な臼蓋を再建しうると考えた.
  • 後藤 久貴, 張 瑞棠, 川原 俊夫
    2008 年 57 巻 2 号 p. 191-193
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【はじめに】人工骨頭置換術後に生じた大腿骨骨幹部骨折のうち,Vancouver分類type B1の4例を経験したので報告する.【対象】2006年5月~2007年2月までに当科で経験した同骨折4例(全例女性)を対象とした.【結果】原疾患は大腿骨頚部骨折3例.大腿骨近位部軟骨肉腫1例であり,初回手術は全例人工骨頭置換術(セメントレスBHA 3例,HMRS system 1例)であった.骨折時年齢は平均85.3歳,初回手術から骨折発生までの期間は平均7.3年であった.平均経過観察期間は6.8ヵ月であった.治療法は全例に骨接合術(Cable Plate System 3例,Locking Plate+Cable 1例)を行い,3例で骨癒合が得られた.【考察】初回手術の使用人工関節や骨折型,骨質など,個々の症例に応じた治療法の選択が重要であった.また,今後はより侵襲の少ない手術法を検討すべきと考えた.
  • 土肥 有二, 吉本 栄治, 徳永 真巳, 吉本 隆昌, 宮城 哲, 松田 秀策, 碇 博哉, 徳永 純一
    2008 年 57 巻 2 号 p. 194-199
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    CentPillarは日本人の脱臼股関節の形状に基づいて設計されたアナトミカルステムである.本機種による人工股関節置換術を施行し,半年以上経過観察できた92例100股の平均18ヶ月(7~33ヶ月)の術後成績を検討した.術後JOAスコアは83点と良好であったが術中骨折が7%と多くみられた.その要因として大腿骨髄腔の形状Canal Flare Index(CFI)とステム近位部のデザインの問題が考えられた.術中骨折はCFIが3.0未満では20%に,4.0未満では7%に認めたが,4.0以上の場合には認められなかった.またステムの近位髄腔占拠率は平均66%と低く,これが高い症例では骨折発生率が高い傾向にあった.ステム近位は9°前方傾斜し,皮質骨との接触面積も十分な面積ではないことも一因と考えられた.Enghのスコアでは9割以上の症例で骨形成が得られていたがJOAスコアとの関連はみられず,また,ステムの術後内反転位が36股と多くみられた.
  • 大城 義竹, 屋良 哲也, 仲宗根 朝洋, 大城 亙, 金谷 文則
    2008 年 57 巻 2 号 p. 200-204
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    脊椎病変が初症状であった稀な成人T細胞性白血病(ATL)の症例を経験したので報告する.
    症例は58歳,男性.頚部痛と右上肢筋力低下を主訴に入院となった.頚椎X線像でC5椎体の融解,また胸部X線像で右下肺野の陰影を認めた.MRIでC5椎体はT1低信号,T2高信号,Gdで造影され,脊髄は前方より圧迫されていた.血液検査で腫瘍マーカーは陰性,炎症所見も乏しかったが,HTLV-1抗体は陽性で,末血にATL cellを認めた.2日後には四肢不全麻痺へ進行したため,その翌日に前方徐圧固定術を行った.病理所見は異型リンパ球細胞浸潤であった.麻痺は改善したが,次第に椎体母床の圧壊,移植骨の脱転を生じた.カンジダ肺炎に対し抗生剤投与を行い,ATLに対し化学療法を開始したが,術後1カ月でほぼ完全な四肢麻痺となり,発症10カ月後に死亡した.
  • 嘉村 聡志, 寺田 和正, 小原 伸夫, 宮崎 清, 岡本 重敏, 宮原 寿明
    2008 年 57 巻 2 号 p. 205-210
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    頚椎部の脊髄腫瘍摘出においては,椎弓切除術によるアプローチが多用されてきた.今回我々は,棘突起正中縦割法による脊柱管拡大術を併用し,頚椎硬膜内髄外腫瘍を摘出した1例を経験したので報告する.(症例)63歳女性.平成18年12月より両手の疼痛・しびれが出現し,その後増悪.平成19年1月,近医より頚髄症の疑いで当科紹介.左上肢に知覚低下,両手掌に異常知覚および巧緻運動障害を認めた.MRIにて,C4レベル硬膜内髄外に頭尾径20mmの境界明瞭な,T1低信号,T2高信号,強い造影効果を示す腫瘤を認めた.手術では棘突起正中縦割法にて硬膜を展開し,腫瘍にアプローチした.術後の病理組織診断は,神経鞘腫であった.頚椎部脊髄腫瘍を摘出する際,硬膜管外側までの十分な視野の確保および後方要素を温存することによる支持性の確保という点で,棘突起縦割法の併用は有用と考える.
  • 樋口 誠二, 猪俣 尚規, 桐谷 力, 濱中 秀昭, 花堂 祥治, 黒木 浩史, 久保 紳一郎, 帖佐 悦男
    2008 年 57 巻 2 号 p. 211-217
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    我々は環軸椎不安定性に対する環軸椎間固定術としてMagerl法を主として行ってきた.しかし,Magerl法ではhigh riding VAのような走行異常を認める場合などのスクリュー刺入は,動脈損傷の可能性がある.このような動脈走行異常例に対してGoel(Harms)technique(C1 lateral mass,C2 pedicle screw fixation)による環軸椎固定を用いて良好な成績を得たので報告する.【対象】平成16年10月から平成18年2月にかけてGoel(Harms)techniqueによる環軸椎固定を施行したRA患者5例,平均年齢53.6歳,術後観察期間は平均1年9ヶ月であった.【方法】頚部痛をRanawatの疼痛評価,脊髄症状をRanawatの神経機能評価を用いた.X線学的には,水平脱臼の指標としてAtlanto-dental Interval,垂直脱臼の指標としてRanawat値を計測した.【結果】術後,全例に骨癒合が得られ血管損傷や神経損傷などの重篤な合併症はなく,動脈走行異常例に対して本術式は有用であると考えた.
  • 石堂 康弘, 田邊 史, 武富 栄二, 山元 拓哉, 井尻 幸成, 米 和徳, 小宮 節郎
    2008 年 57 巻 2 号 p. 218-220
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    腰椎外側神経紺障害に対する観血的治療として,外側開窓法や骨形成的椎弓切除による後方除圧,あるいは症例によっては椎間関節を切除して除圧し固定を併用するなどの方法がある.我々は腰椎外側神経紺障害に対し,内視鏡下に除圧術を行った3例を経験した.出血量は50g前後で,合併症もなく,術後鎮痛剤の使用も少ない傾向にありその成績も満足できるものであった.内視鏡手術は,明るく拡大された視野であること,斜視鏡であるため従来法で見えないところが見えるなどの利点から外側神経根障害に対し,低侵襲で有用な術式であると考えられる.注意点として術前のヘルニアの局在診断が重要であった.
  • 松山 金寛, 田邊 史, 武富 栄二, 石堂 康弘, 山元 拓哉, 井尻 幸成, 米 和徳, 小宮 節郎
    2008 年 57 巻 2 号 p. 221-224
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    腰椎椎間板ヘルニアに対する内視鏡下椎間板切除術は脊椎低侵襲手術とし本邦でも広く行われるようになってきた.我々は一椎体レベル以上遊走し2根障害をきたした腰椎椎間板ヘルニアの症例に対し,同一皮切より2椎間鏡視を行いヘルニアを摘出,良好な成績を得た2例を経験した.片側椎弓切除をせずとも十分に除圧可能であり内視鏡下脊椎手術は有用な術式であった.
  • 中原 誠之, 西田 憲記, 小川 浩一, 高橋 雄一, 小林 哲彦, 土方 保和
    2008 年 57 巻 2 号 p. 225-230
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    2000年から2006年の間に当院で摘出術が必要であった腰椎椎間板ヘルニアは335例あり,そのうち経硬膜的摘出術が必要であった症例は3例であった.
    これらの3例は正中に大きく突出したもの(1例は硬膜管内へ突出)であり,通常のLove法によるヘルニア摘出は困難であり,経硬膜的ヘルニア摘出を行った.我々は経硬膜的ヘルニア摘出の際,椎弓切除術により棘上靭帯・棘間靭帯を除去した場合,後方支持組織の破綻から生じる術後腰椎不安定性による再発が起こりやすいと判断し,脊椎固定術(PLIFもしくはPLF)の追加が必要と考えている.
  • 柳園 賜一郎, 吉川 大輔, 福田 一, 山口 和正
    2008 年 57 巻 2 号 p. 231-233
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺片麻痺の歩行分析においてWintersらの機能分類は重症になるほど中枢関節の選択的運動コントロールが阻害されるという考えに基づく有用な評価であるが,その判定に迷うことも多い.今回我々は矢状面での骨盤運動を含めた歩行分析評価を行ったので報告する.手術治療を行っていない脳性麻痺片麻痺患者12例を対象に評価を行った.性別は男性4例,女性8例,年齢は9歳10カ月から22歳4カ月,平均年齢14歳6カ月であった.アニマ社製三次元動作分析装置MA20000,フォースプレートMG1090を用いて評価を行った.機能不良群で股関節伸展制限を認めた2例の骨盤前傾可動域をみると,2例とも前傾可動域の増加を認めた.股関節伸展制限を認めなかった4例の骨盤前傾可動域では2例に前傾可動域の増加を認めた.これら4例には股関節屈筋の痙縮があり,股関節伸展に際して骨盤前傾が増加していると考えられた.
  • 福田 一, 柳園 賜一郎, 山口 和正
    2008 年 57 巻 2 号 p. 234-237
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺は発達早期の脳の異常病変により運動障害をきたし,痙性,筋力低下,反射亢進などの病態を呈する.多くの脳性麻痺片麻痺では片側の優位な運動障害があるだけではなく,反対側の運動機能も少なからず障害される.脳性麻痺片麻痺患者の麻痺側に関する歩行分析の報告は多数あるが,非麻痺側に関する報告はほとんどない.今回我々は手術治療を行っていない脳性麻痺片麻痺患者12例を対象に評価を行ったので文献的考察を加え報告する.性別は男性4例,女性8例,年齢は9歳10ヶ月から22歳4ヶ月,平均年齢14歳6ヶ月であった.アニマ社製三次元動作分析装置MA2000,フォースプレートMG1090を用いて運動力学・運動学的評価を行った.脳性麻痺片麻痺患者の非麻痺側では正常歩行者と比べ運動学的評価では股,膝,足関節において可動域の増加や特徴的な角度変化パターンを認める症例が存在した.また,非麻痺側の歩行に機能的脚長差が影響を及ぼしている可能性が示唆された.
  • 肥後 勝, 吉野 伸司, 中村 雅洋, 鶴 亜里紗
    2008 年 57 巻 2 号 p. 238-241
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    先天股脱の観血的整復後の長期経過観察中に,罹患側大腿骨過成長による高度の下肢長差を生じ,補正手術を行なった4例を報告する.観血的整復後の経過観察時にX線上罹患側股関節に巨大骨頭,頸部横径増大,外反股と大腿骨近位の過成長を認めた.2例には8歳時18mm,4歳時に10mmの大腿骨過成長を認め,求心性の獲得と下肢長差の補正を目的に大腿骨減捻内反骨切り術を追加した.2例とも大腿骨骨切り後4年と5年目に再発した30~35mmの大腿骨過成長による下肢長差に対し大腿骨骨延長を行ない,調査時には下肢等長となった.他の2例は8歳と9歳時に右大腿骨21~22mm過成長となった時点で,健側下肢と等長にするためstapleによる罹患側の大腿骨遠位骨端線閉鎖術を行なった.観血的整復後の大腿骨過成長は,大腿骨近位骨端線への血流増加に起因していると考える.先天股脱の観血的整復後の経過観察中には下肢長差にも注意してX線評価を行なうことが重要である.
  • 小牧 ゆか, 帖佐 悦男, 坂本 武郎, 関本 朝久, 渡邊 信二, 濱田 浩朗, 野崎 正太郎, 前田 和徳, 中村 嘉宏, 舩元 太郎
    2008 年 57 巻 2 号 p. 242-247
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    当科では先天性股関節脱臼に対しRBによる整復を試みるが,整復困難例や初診時に生後1年以上経過している例に対してはオーバーヘッドトラクション(OHT)による整復を行う.これらの保存的治療に抵抗する例に対しては手術療法を考慮する.今回当科にてOHTによる整復を行って1年以上経過した例について検討した.【対象】平成3年から平成19年までに当科外来を受診した6例7関節(全例女児)を対象とした.初診時平均月齢は1歳(5ヶ月~1歳10ヶ月),牽引開始平均年齢は1歳2ヶ月(8ヶ月~2歳)平均観察期間は8年(1年~15年)である.【結果と考察】牽引期間は平均で65日(51日~74日)であり,7関節全例に整復が得られた.しかしOHT開始が1歳以降の4例中2例に補正手術が必要であった.また,残りの2例も1例は補正手術を予定し,1例は外転装具装着中である.早期の脱臼整復が予後に関係するものと考えられた.
  • 田畑 聖吾, 西里 徳重, 清水 寛一, 安楽 喜久
    2008 年 57 巻 2 号 p. 248-251
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【はじめに】小児化膿性関節炎は緊急性を要する病態であり,診断・治療の遅れは変形や成長障害を併発し,機能障害を生じる恐れがある.当院で治療を行った小児の化膿性膝関節炎の2例について報告する.【症例】2例ともに女児でそれぞれ4歳と6歳であった.1例は上気道炎の先行感染を認めアトピー性皮膚炎の既往があった.【方法】初診時に関節穿刺と血液検査を行い,上記診断にて同日経静脈的に抗生剤の投与を開始し,全身麻酔下に関節鏡視下デブリドマンを施行した.持続洗浄は行わなかった.抗生剤はCRPが陰性化するまで使用し,投与期間はそれぞれ14日と24日であった.起炎菌を証明できたのは1例で,黄色ブドウ球菌であった.【結果およびまとめ】2例ともにCRP正常化と局所症状の消失が得られ,最終調査時に成長障害,機能障害を認めていない.早期の関節鏡視下デブリドマンと抗生剤投与により短期的に良好な結果を得ることができた.
  • 尾上 英俊, 木村 一雄, 松永 和剛, 濱田 賢治, 山口 史彦, 中村 厚彦, 櫻井 真
    2008 年 57 巻 2 号 p. 252-255
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    小児の大腿骨骨幹部骨折3骨折に対し,大転子をnailの刺入点とするTrochanteric nailを用いて治療した.症例は13歳の男児2骨折と14歳の女児1骨折である.骨折型は3骨折とも中1/3の横骨折(AO,A3)であった.3骨折とも良好に骨癒合し術後6ヵ月,1年で抜釘を行った.nailの刺入点を大転子にすることで大腿骨頭への栄養血管を損傷する危険性を回避することができ,髄内釘手術の重篤な合併症である大腿骨頭壊死の発生を防止することができる.一方,大転子からnailを打ち込む場合,nailを打ち込む時の抵抗がかなり強い.nailの挿入には細心の注意を要する.
  • 富村 奈津子, 鮫島 浩司, 川内 義久, 武富 栄二, 小宮 節郎
    2008 年 57 巻 2 号 p. 256-259
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    今回我々は,治療に難渋したガス産生菌による硬膜外膿瘍を経験したので報告する.症例は79歳女性.H18年1月不明熱および腰痛が持続するため,近医より紹介され入院となった.血液検査で高度な炎症反応を認め,X-p上L5椎体内や腸腰筋内にガス像が見られた.CT下生検で,大腸菌を検出したため,抗生剤投与・高気圧酸素療法を行った.一時症状は改善したが,その後,X-p上頚椎硬膜管内にガス像を呈し,MRI上,頚椎から腰椎にわたる広範な硬膜外膿瘍を認めたため,手術を行った.化膿性脊椎炎の治療は,抗生剤投与・高気圧酸素療法などの保存的治療が原則だが,本例のように重症化し治療に難渋することもあるので,手術を行うタイミングを見逃さないことが重要であると考えられた.
  • 土屋 卓人, 池田 聡
    2008 年 57 巻 2 号 p. 260-264
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    診断に苦慮した両側大腿骨顆部急性骨髄炎を経験した.症例は11歳男児.平成18年12月6日より発熱,両膝痛を発症し12月8日独歩にて当院初診.初診時局所所見では両膝内側関節裂隙に軽度圧痛を認めたのみであった.発熱持続し,両大腿骨内顆部に著明な圧痛,両膝可動域制限が出現してきたため12月11日入院.血液検査ではCRPおよびESRの上昇を認めたがWBCの上昇は認めなかった.単純X線像では明らかな異常所見は認めなかったが,MRIにて両大腿骨内顆部にT1強調像で低信号,T2強調像で高信号の領域を認めた.急性骨髄炎を最も疑い,抗生剤投与および高圧酸素療法を開始.その後血液培養検査にてMSSAが検出され診断に至った.本症例はWBCの上昇を認めなかったこと,多発発症例であったことより典型的な骨髄炎の臨床所見と異なり初期診断に苦慮した.6ヶ月経過した現在,再燃なく日常生活も支障なく経過している.
  • 川野 大介, 川畑 亜矢人, 駿河 保彰, 行田 義仁
    2008 年 57 巻 2 号 p. 265-268
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    ガス産生性の右大内転筋内膿瘍を発症した1例を経験したので報告する.51歳,男性.基礎疾患にコントロール不良の糖尿病がある.特に誘因なく,悪寒戦慄で発症し,その4日後より右大腿部腫脹および熱感が出現した.他院にて蜂窩織炎の診断で抗菌薬投与により経過をみたが改善せず,1週間後の大腿部CTにてガス像を認めたため当院へ紹介となった.当院搬入時,右大腿部は発赤・熱感を認め,疼痛が強く動かせない状態であった.明らかな皮膚壊死は認めなかった.大腿部CTにて大内転筋内のガス像および腫大を認めた.皮下には明らかなガス像は認めなかった.緊急デブリドマンを行い,術後高気圧酸素療法を開始した.経過中に2回目のデブリドマンを行い治癒した.術中の筋内膿汁よりStreptococcus constellatusが検出された.
  • 川添 浩史, 福嶋 秀一郎, 森 治樹
    2008 年 57 巻 2 号 p. 269-271
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    術後創部感染は最も起こしてはならない合併症である.そのため,抗生剤の予防投与や,創部の消毒行為が習慣的に行われている場合が多い.しかし,不適切な抗生剤の使用により多剤耐性菌の問題が出てきており,適切な抗生剤の使用についての意見が報告されている.また,消毒行為は不要であるとの意見も報告されている.当院ではこれらの行為を見直し,抗生剤の使用は手術の内容によって人工骨頭,人工関節置換術のような手術では手術当日と翌日の2日間,その他の手術では手術当日のみの使用としている.また術後の消毒行為や創部のドレッシングは原則行っていない.しかし,この見直し後,深刻な創部感染は経験していない.この結果により,抗生剤の使用期間を短縮し,消毒行為を行わなくても感染の機会を増加させる事にはならないと考えている.
  • 堀川 朝広, 山下 武士, 瀬形 建喜, 米村 憲輔
    2008 年 57 巻 2 号 p. 272-275
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    大腿骨転子部骨折に対してSynthes社製proximal femoral nail anti-rotation(PFNA)を使用した48例中,術後4週以上追跡調査を行えた19例(男性3例,女性16例)を検討した.平均年齢は87.1歳,平均経過観察期間は97日であった.骨折型はAO分類31 A1:10例,A2:9例であった.手術時間は平均29.5分,術中出血量は全例少量であり,術後輸血を要した症例は12例(63%)であった.TADは平均21.9mm,ブレードのtelescoping量は平均4.16mm,骨折型別の平均はA1が4.88mm,A2が3.37mmであった.術中合併症として1例でブレード挿入部の骨折が生じたが,骨頭の内反変形やカットアウト等の術後合併症はなかった.PFNAによる初期固定性は良好で早期から歩行訓練が可能であり,大腿骨転子部骨折に対する優れた固定材料の1つであることが示唆された.
  • 増田 陽平, 多田 弘史, 宮本 雅友, 本村 悟朗, 吉村 洋一
    2008 年 57 巻 2 号 p. 276-278
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    安定型の大腿骨転子部骨折に対しCHSタイプの骨接合材であるAS hip screw(JMM社製)を使用した.このインプラントの特徴はラグスクリュー部の角度が無段階(125~145度)に可変し調節,固定できるためアングルガイドを用いる必要が無いことと,ラグスクリュウ部とプレートが着脱式であることである.従来法(通常皮切)58例とMIS法(低侵襲)53例施行した.皮切長は従来法で平均7.7±1.9cm,MIS法で平均4.1±1.0cmで有意差があった(p<0.05).出血量は従来法で平均42.1±54.7cc,MIS法で平均27.5±21.1ccで有意差は無かった(p>0.05).手術時間は従来法で平均67.8±20.9分,MIS法で平均62.3±15.9分で有意差は無かった(p>0.05).このインプラントを用いれば従来法と比較して皮切を小さくすることが可能となり,出血量は少なく,手術時間に差はなかった.低侵襲手術(MIS)として有用であると考える.
  • 富永 康弘, 安部 幸雄, 藤井 謙三, 坪根 徹, 津江 和成
    2008 年 57 巻 2 号 p. 279-282
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【目的】大腿骨頚部内側骨折に対する骨接合術後成績不良例について検討を行った.【対象】2004年1月~2007年5月の間,当院にて骨接合術を行った24例のうち,成績不良例は3例であった.症例1,89歳女性,Garden II型.受傷5日でハンソンピンにて骨接合術施行したが,術後2カ月で骨頭扁平化が出現し6カ月で完全に骨頭が圧潰した.症例2,58歳男性,透析患者.6カ月前から誘引なく右股関節痛が出現.Garden III型でありハンソンピンによる骨接合術を施行.偽関節となり術後7カ月で人工骨頭挿入術を施行した.症例3,76歳女性,Garden III型の内側骨折に外側骨折を合併.CHSにて骨接合術施行したが,術後3カ月半でラグスクリューが脱転し,抜釘・人工骨頭挿入術を施行した.【結語】今後,大腿骨頭壊死の予測,透析患者や外側骨折を合併した症例に対する術式選択が課題である.
  • 瀬形 建喜, 山下 武士, 堀川 朝広, 米村 憲輔
    2008 年 57 巻 2 号 p. 283-286
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    最近人工関節置換術はより低侵襲な手術法が試行されてきている.当院では大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭置換術にもより低侵襲をねらいDirect Anterior Approach法を2006年7月1日より原則的に行ってきた.これらの症例に対し検討を加え報告する.対象は2006年7月~2007年1月の間にDirect Anterior Approach法にて行った人工骨頭置換術例15例であった.男性4例,女性11例であった.同時期に行ったその他の人工骨頭置換術例は6例であった.1例は髄腔形状がstove pipe状で大きな長いstemが必要であったためtransgluteal approach法を選択した.1例で転子部骨折を合併しており,後方アプローチを選択した.手術時間は平均73分と長かったが,術後早期より疼痛なく側臥位になれ,筋肉の切離が不要など利点の多い手術法であると思われた.
  • 樫原 稔
    2008 年 57 巻 2 号 p. 287-289
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【はじめに】大腿骨転子部骨折術後の骨頭壊死は非常にまれで,2例を経験したので報告する.【症例】症例1は88歳女性で,Ender釘内固定3年後に骨頭壊死が生じ,5年後に人工骨頭置換を行ったが骨頭脱臼時に同側大腿骨骨幹部骨折をおこし6カ月の保存的治療後,セメントレスTHAを行った.症例2は86歳女性でCHS内固定12カ月後に骨頭壊死を生じ,人工骨頭置換を行ったがCHSを抜釘し骨頭脱臼時に転子下粉砕骨折をおこした.骨折部をワイヤー固定し人工骨頭置換をしたが骨折部が転位し,3週後JMM腫瘍用KLS近位置換型システムでTHAを行った.【考察】転子部骨折後の骨頭壊死の原因は高エネルギー外傷やリーミング時の回旋力による血管損傷の可能性,骨折部が頚基部に近い,外反位固定,ラグスクリューの不適切な挿入位置などが指摘されているがいずれにも該当しない報告例も多い.抜釘や人工関節置換時に骨折を起こさぬよう注意が必要である.
  • 西畑 貴子, 土海 敏幸, 能勢 道也, 百田 靖
    2008 年 57 巻 2 号 p. 290-295
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【目的】当院で行われたNexGen® LPS-flex mobile型人工膝関節置換術(以下TKA)後の屈曲角度を膝蓋骨置換,非置換症例で比較検討した.【対象と方法】2001年2月より当院で行われたLPS-flex mobile型TKA,39例51膝を対象とした.膝蓋骨置換群は36膝(男3例5膝,女24例30膝,平均年齢77.5歳),非置換群は15膝(男2例2膝,女10例13膝,平均年齢77.9歳)で,両群間での術前後の屈曲角度について比較検討した.また,置換例において術前後の膝蓋骨の厚さの変化と術後の屈曲角度の違いについても検討した.【結果】平均屈曲角度(術前/最終観察時)は,置換例125.7°/135.3°,非置換例128°/133.3°だった.両群ともに術後屈曲角度は術前屈曲角度に正の相関を示し,JOAスコアも有意に改善した.【結語】膝蓋骨置換の有無は術後屈曲角度に有意な影響を及ぼさなかった.
  • 土海 敏幸, 能勢 道也, 百田 靖
    2008 年 57 巻 2 号 p. 296-299
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【目的】当院で行われたNexGen CR-Flex型人工膝関節置換術(以下TKA)の短期成績を調査した.【対象と方法】2003年9月より2005年4月までに当院で行われたCR-Flex型TKA,24例34膝を対象とした.男性1例1膝,女性23例33膝,手術時平均年齢74.3歳,対象疾患は変形性関節症(以下OA);22例32膝,関節リウマチ;2例2膝,術後平均観察期間は10.0ケ月であった.調査項目として臨床的には術前・後の屈曲角度,屈曲達成率(術後屈曲角度/術前屈曲角度×100),BMI,日整会OA膝評価点数(以下JOAスコア)を,X線学的にはOA grade,術前FTA,コンポーネントの設置角度を調査した.【結果・考察】平均屈曲角度(術前/最終観察時)は113.4°/123.2°,平均屈曲達成率は122.4%,平均JOAスコア(術前/最終観察時)は46.8/81.1だった.術後屈曲角度は術前屈曲角度と正の,脛骨コンポーネント後傾角と負の相関を認めた.他の合併症もなくCR-Flex型TKAの短期成績は良好であった.
  • 釘本 康孝, 浅見 昭彦, 森本 忠嗣
    2008 年 57 巻 2 号 p. 300-302
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    今回我々は右肘,上腕の木村氏病の一例を経験したので報告する.症例は46歳男性.平成17年4月より右肘外側の腫瘤に気づき,6月に紹介受診した.局所所見は右前腕近位外側に8×5×5cm,上腕内側に8×5×5mmの腫瘤を認め,弾性硬,可動性はやや不良であった.MRIではT1強調像で筋肉よりわずかに高信号,T2強調像では不均一に高信号の分葉状の不整な腫瘤を認めた.上腕内側の腫瘤も同様の性状を示した.生検では悪性腫瘍は否定的であったが,確定診断には至らず,腫瘍切除術を行った.上腕内側の腫瘍は正中神経より発生した神経鞘腫様であり核出術を,腕橈骨筋内の腫瘍は筋肉と連続していたので辺縁で切除した.病理所見は横紋筋内に浸潤性にリンパ組織増生を伴う肉芽腫像がみられた.濾胞内には好酸性のフィブリンの析出を認め,木村氏病が考えられた.
  • 川越 得弘, 安里 英樹, 比嘉 丈矢, 前原 博樹, 金谷 文則
    2008 年 57 巻 2 号 p. 303-306
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    指神経に発生したneural fibrolipomaの一例を報告する.症例は21歳女性.2カ月前に右小指に弾性軟の腫瘍に気がついた.特に症状なく機能障害も認めなかったが徐々に腫瘍は増大した.MRI検査ではT1およびT2強調像で低信号を示した.腋窩ブロック下に腫瘍全摘術を施行し,病理診断はNeural fibrolipomaであった.術後10カ月の現在,再発は認めていない.
  • 中根 英津子, 副島 修, 内藤 正俊, 藤田 忠義, 大慈弥 裕之
    2008 年 57 巻 2 号 p. 307-310
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    今回我々は,肘関節内側部の熱圧挫傷受傷後の尺骨神経麻痺に対して,神経剥離と筋膜脂肪弁にて良好な結果を得ることができたので報告する.症例は25歳男性,練炭自殺を図り肘関節後内側に熱圧挫傷受傷.救命センター搬送され,全身状態の落ち着いた1ヶ月半後,左前腕から手尺側の激痛と左手指変形を主訴に当院外来受診.鉤爪指変形・小指の知覚脱出・神経伝導速度計測不能を認め,尺骨神経麻痺と診断した.周辺血行を良好にする目的で,尺骨神経剥離に加え逆行性上腕内側筋膜脂肪弁を利用した神経の被覆も同時に施行した.術後早期からの疼痛の軽快,1ヶ月頃より鉤爪変形の改善傾向,続いて知覚改善と良好な結果が得られたため,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 比嘉 丈矢, 安里 英樹, 川越 得弘, 金谷 文則
    2008 年 57 巻 2 号 p. 311-315
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    陰圧閉鎖療法は創部をスポンジとフィルムドレッシング材で密封閉鎖し,閉鎖した空間をシリコンチューブで持続的に吸引し,創治癒を促進する方法である.今回,通常の保存療法では治癒が困難な骨や腱の露出した皮膚潰瘍2例と下腿切断術後の感染を伴った壊死性潰瘍1例に対して,私達が工夫したVAC療法を施行し良好な結果を得たので報告する.
  • 前田 和政, 本川 哲, 宮路 剛史, 石井 英樹, 光武 聖史
    2008 年 57 巻 2 号 p. 316-318
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    高齢者は多くの合併症があり,早期に手術を行なうことが困難であることが多い.また待機することで,さらに合併症を起こす可能性も高い.今回の目的は合併症が医療費にどう影響するのか調査することである.2004年~2005年に手術加療を行った60歳以上の大腿骨頚部・転子部骨折94例を対象とした.女性69例,男性25例.平均年齢は80.2歳であった.診断は大腿骨頚部/転子部骨折がそれぞれ50/44例であり,症例に応じて手術を行った.合併症,手術までの待機日数,在院日数,および医科診療報酬点数表から医療費を調査した.入院後,術後の合併症により在院日数が長くなり,入院医療費は高くなった.合併症を起こさないよう早期の手術加療と適切な術後管理を行うことが,在院日数を短縮し医療費の削減につながると考える.
  • 林田 洋一, 前田 和成, 鳥越 雄史, 日浦 健, 光武 聖史, 田島 智徳, 本川 哲, 伊東 正博, 輿石 剛, 石丸 英樹
    2008 年 57 巻 2 号 p. 319-323
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    腰椎硬膜外にアミロイド腫瘤を認めた症例を経験したので報告する.症例は69歳男性,糖尿病性腎症による慢性腎不全に対し7年間の腹膜透析中であった.特に誘因なく左臀部~下肢後面痛を訴え受診.腰椎MRIにてL4椎体レベルにT1強調像にて低信号,T2強調像にて不均一な高信号を示す直径約10mmの領域を認め,馬尾を圧迫していた.同腫瘤は造影MRIにおいて嚢腫状を呈し,また椎弓外にも腫瘤性病変を認めたため,硬膜外膿瘍および硬膜外腫瘍を疑い,腫瘍摘出術,椎弓切除術を施行した.術中黄色靭帯下に硬膜と癒着する灰白色の組織を認めた.摘出標本には好酸性の硝子様無構造物が沈着しており,コンゴーレッド染色で陽性を示しアミロイドーシスの診断に至った.
  • 上川 将史, 薬師寺 俊剛, 佐藤 広生, 岡 潔, 水田 博志
    2008 年 57 巻 2 号 p. 324-327
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    腹壁発生軟部腫瘍の治療にさいし,腫瘍切除に加えて腹壁の合併切除を必要とする場合がある.我々は腹壁発生軟部腫瘍の治療において腹直筋や腹直筋前哨,腹直筋後鞘に操作が及んだ4症例を経験した.対象は男性3例,女性1例,手術時平均年齢は37.5歳であった.病理組織学的診断は滑膜肉腫,悪性末梢神経鞘腫瘍,腹直筋デスモイド,顆粒細胞腫の各1例である.腹直筋後鞘の欠損に対し縫縮不能な場合にcomposite meshを用いた再建を行い,後鞘が縫縮可能な場合でも腹直筋並びに前鞘の欠損が残存する場合polyplopylene meshによる補強を行った.前鞘・後鞘ともに温存もしくは縫縮できた場合はメッシュは使用しなかった.術後平均観察期間は18.8カ月ではあるが,重篤な合併症は認められず,日常生活において支障なく経過しており,メッシュを用いた腹壁再建は有用な方法と考えられた.
  • 川越 得弘, 安里 英樹, 比嘉 丈矢, 金谷 文則
    2008 年 57 巻 2 号 p. 328-331
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    肩関節に過牽引が加わったことにより,棘上筋腱断裂に肩甲下筋腱断裂と上腕二頭筋腱脱臼を合併した1例を報告する.症例は,49歳,男性,1.5mのドラム缶の上から飛び降りようとしたところ,ドラム缶の縁に上着の袖が引っかかり上肢挙上のまま宙吊り状態となった.その後肩関節の疼痛を認めたため近医を受診した.MRIにて棘上筋腱断裂を伴った肩甲下筋腱断裂と上腕二頭筋腱脱臼を認めた.手術を望まなかったため3週間の安静の後,可動域訓練を開始した.受傷後8週で荷物を持った際に激痛が生じ再度動かせなくなったため,鏡視下棘上筋腱修復術と直視下肩甲下筋腱修復および上腕二頭筋腱固定術を行い術後6カ月で復職した.
  • 幸 博和, 原 俊彦, 上ノ町 重和, 宮西 圭太, 鳥巣 岳彦
    2008 年 57 巻 2 号 p. 332-336
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    骨盤の後傾に伴う荷重部臼蓋傾斜角とCE角の変化についてヘリカルCTから作成したMPR像を用いて検討した.対象は正常股関節群が20股(男性10股,女性10股)と臼蓋形成不全群(仰臥位股関節X-pにてCE角が20°以下)20股(女性20股)の計40股.これらの症例について,股関節CTデータによるMPR像を用いて荷重部臼蓋傾斜角,CE角の計測を行った.計測方法は,仰臥位正中位を基準として骨頭中心を結ぶ軸を中心に骨盤を後傾させ,骨盤後傾5°ごとに35°まで荷重部臼蓋傾斜角とCE角を測定した.正常股関節,臼蓋形成不全股ともに骨盤が後傾するに伴い,CE角は低下,荷重部臼蓋傾斜角は上昇する傾向をみせた.今回の計測方法は,臼蓋の正確な被覆の評価が可能であり,臨床においても応用可能なツールとなると思われた.
  • 幸 博和, 原 俊彦, 上ノ町 重和, 白仁田 厚, 中 敬彦, 近藤 桂史, 津留崎 晋, 鳥巣 岳彦, 杉岡 洋一
    2008 年 57 巻 2 号 p. 337-341
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    踵骨関節内骨折に対して経皮的鋼線刺入による骨接合術は広く普及した方法であるが,刺入部の皮膚壊死や感染,ピンのback outなどの問題が起こることがある.これらの問題を解決するために新しいスクリューシステム(RSスクリュー)を開発したので,その手術手技の紹介と臨床成績について報告する.対象は2005年2月から2006年3月までの踵骨関節内骨折に対して同スクリューを使用した12例13足.平均年齢は58.4歳であった.Bohlor角は術前が16.4±5.9°,術直後が33.3±6.3°,最終経過観察時は30.4±6.8°であった.Maxfieldの臨床評価基準では,Excellent 7例,Very Good 3例,Fair 2例であった.また,感染やback out,スクリュー刺入部の皮膚壊死の発生はなかった.抜釘が容易に行える点も利点と思われた.
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