整形外科と災害外科
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57 巻 , 3 号
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  • 山下 英樹, 萩野 浩, 片桐 浩史, 川口 馨, 山根 弘次, 遠藤 宏治, 豊島 良太
    2008 年 57 巻 3 号 p. 377-380
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    当院は約30万人の医療圏である鳥取県西部地域に位置している.大腿骨近位部骨折地域連携は,当初,急性期病院1施設,回復期リハ病院5施設で開始した.その後参加施設が増加し,平成19年9月現在の参加施設は急性期病院5施設,回復期リハ病院8施設に至っている.平成18年7月に第1回地域連携パス運用連絡会を開催し,以後4ヶ月に1回程度,当院で連絡会を定期的に行っている.当院の連携パスでは人工骨頭置換術後の全入院期間を術後8週,骨接合術後を10週間としている.急性期病院の入院期間はいずれの術式でも1-2週間としており,転院基準は歩行能力に関わらず術後合併症がないこととした.この連携パスは鳥取県西部地域の急性期および連携病院全てで同一のものを使用している.地域連携パス運用例は現在まで5例(人工骨頭2例,骨接合3例)あり,平均在院日数は23日であった.地域で共通の連携パスを積極的に利用し,在宅復帰に繋げていくことが必要と思われた.
  • 徳重 厚典, 重松 正森, 園畑 素樹, 馬渡 正明, 佛淵 孝夫
    2008 年 57 巻 3 号 p. 381-384
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    【はじめに】人工股関節全置換術(以下THA)は強直股関節症例に対しても有効な手段である.今回,当科で行った強直股関節に対するTHAにおいて,特に術後内転位が残存した症例に注目して検討した.【対象・方法】1999年から2007年までに当科で行った強直股関節THA 46例4股を対象とし,術前後の脚長差,術前・術後最終調査時の歩行状態,隣接関節痛について検討した.またTHA後股関節が15°以上内転している内転位残存群,これ以外の非内転位群と分類し,両群を比較検討した.【結果】各群の内訳は,内転位残存群7例7股,非内転位群39例40股であった.脚長差は術後両群とも改善されたが,内転位残存群では見かけの脚長差が残存していた.歩行能力は両群とも改善していた.隣接関節痛は非内転位群では改善していたが,内転位残存群では改善は認めなかった.【考察】術後内転位の残存は見かけの脚長差や隣接関節痛が残存し,患者満足度に影響を与えることが示唆された.
  • 肥後 勝, 吉野 伸司, 中村 雅洋
    2008 年 57 巻 3 号 p. 385-387
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    観血的に整復し骨成熟時まで追跡できた先天性股関節脱臼16例17股の長期成績について報告する.手術時年齢は平均1.4歳,術後経過期間は平均13.2年であった.観血的整復は鼠径部皮膚皺に沿った5cmの小皮切による前方進入法で行ったが,手技によって2群に分けた.A群の6例6股は,後方関節包の非切離のため後方関節包の癒着が残存した群である.B群の10例11股は,後方関節包切離を関節内より行い全周の関節包切離と癒着剥離を行った群である.経過中に亜脱臼や臼蓋形成不全を生じた8股には5~14歳時に骨性の補正手術を行った.最終調査時,全例股関節痛や跛行はなかった.X線成績は,14股82%が成績良好(Severin分類IとII),3股18%は不良であった.B群はA群に比べ観血的整復術単独例の割合が多く成績も良好であった.観血的整復により良好な求心位と股関節の正常な発育を得るためには,関節包の全周切離と関節包の癒着剥離が重要である.
  • 田中 尚洋, 榎本 寛, 岡野 邦彦, 尾崎 誠, 後藤 久貴, 進藤 裕幸
    2008 年 57 巻 3 号 p. 388-391
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    症例)70歳,女性.平成15年2月,某総合病院で腟癌に対し腔内外照射を行った.平成17年1月より右大腿部痛出現し同院受診.股関節X線で異常なかったが,MRIでは両側臼蓋の一部に骨壊死を認めた.同年7月より疼痛増強.8月の当科初診時X線では右大腿骨頭の圧潰と臼蓋の破壊を認め,人工股関節置換術を施行.平成18年12月より左大腿部痛出現.X線では変化なかったが,次第に疼痛増強.平成19年2月,近医でリハビリ中に下肢長差を指摘され,X線で左大腿骨頚部骨折を認めた.臼蓋部の骨壊死を考慮し人工股関節置換術を施行した.現在,疼痛の訴えや歩行障害はみられない.考察)本症例では照射より2年後に症状出現したが,X線では異常なく,MRIで臼蓋の壊死を認めるのみだった.しかし,その数ヵ月後に広範な股関節破壊,骨折を呈している.放射線骨障害は障害の範囲も広く,進行も急速であるため既往歴の聴取に注意が必要である.
  • 竹内 直英, 播广谷 勝三, 塚本 伸章, 甲斐 康稔, 橋爪 誠, 岩本 幸英
    2008 年 57 巻 3 号 p. 392-396
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.歩行中に二輪車にはねられ受傷.初療時JCS III-300と高度の意識障害を認め,脳挫傷・外傷性くも膜下出血・両側血胸・骨盤骨折(右仙腸関節脱臼骨折・右恥坐骨骨折・左腸骨骨折)・左環指基節骨骨折の診断であった.収縮期血圧は80mmHgと低下し,受傷12時間で濃厚赤血球10単位を輸血した.頭蓋内圧モニター・人工呼吸管理・サムスリング固定を行った.受傷5日目に創外固定術を施行し,体位変換を開始した.呼吸状態の改善を認め,18日目に人工呼吸器離脱し,術後7週で創外固定を抜去した.重症頭部外傷を伴った骨折治療では,特に受傷24時間以内に二次的脳損傷をおこさないことが重要である.仙腸関節脱臼骨折は手術の絶対適応で,仙腸関節プレートなどの内固定術が推奨されているが,本症例では意識障害が高度で早期荷重が期待できなかったため,簡便・低侵襲である創外固定を選択した.
  • 平田 正伸, 里村 匡敏, 香月 一朗, 原口 和史, 田山 尚久, 平野 薫, 藤田 秀一, 田中 孝明, 澤口 毅
    2008 年 57 巻 3 号 p. 397-400
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    我々は,左仙腸関節脱臼骨折の1例を経験したので報告する.症例は44歳,女性.重機と後進してきたトラックとの間に挟まれ受傷し当院へ搬送された.単純X線,CTにて左仙腸関節脱臼骨折を認めた.血管造影にて骨盤腔内の動脈性出血は認めなかった.術前に左脛骨より鋼線牽引を行い,受傷後16日目,観血的脱臼整復及び骨接合術を施行した.術後6週より荷重訓練,9週より1/2部分荷重を開始した.10週より松葉杖歩行とし,14週で退院となった.仙腸関節脱臼骨折の治療法としては(1)前方アプローチでのプレート固定,(2)後方アプローチでのプレート固定,(3)iliosacral screwによる固定の報告が認められる.前方アプローチでのプレート固定では直視下にて正確に整復固定できるという利点があり,今回,仙腸関節脱臼骨折に対し前方アプローチにて仙腸関節用プレートによる固定を行った.
  • 渡嘉敷 卓也, 田中 宏明, 宮崎 義久, 永島 雅人, 稗田 寛
    2008 年 57 巻 3 号 p. 401-405
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    外傷性股関節後方脱臼に両側大腿骨転子部骨折を合併した非常に稀な症例を経験したので報告する.【症例】74歳男性,車を運転中に中央分離帯に衝突し受傷.右臼蓋骨折を伴う股関節後方脱臼,両側大腿骨転子部骨折,右膝蓋骨開放骨折を認めた.【経過】同日,右股関節脱臼整復,右臼蓋骨接合術,両側大腿骨転子部骨接合術,右膝蓋骨骨接合術を施行した.術後7週で右大腿骨頭よりラグスクリューのカットアウトを認めたため,術後3ヶ月で右THAを施行した.【考察】股関節脱臼に転子部骨折を合併した症例の報告は我々の渉猟しえた範囲ではこれまでに2例の報告のみであった.また,同時に対側の転子部骨折を合併した症例は現在まで報告がない.本疾患の受傷機転については,股関節脱臼後,2次的な外力が働き転子部骨折が発生したと考えられる.経過観察中に,大腿骨頭壊死が認められたが,THAを施行し,歩行能力を維持することが可能であった.
  • 尾上 英俊, 木村 一雄, 西尾 淳, 斉田 光, 山口 史彦, 櫻井 真, 岩本 良太
    2008 年 57 巻 3 号 p. 406-410
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    小児の大腿骨骨幹部骨折5例に対しcompression plateを用いて手術を行った.症例は男児5例で,受傷時年齢は平均12歳(8~15歳)であった.AO分類による骨折型はA1:1例,A2:1例,A3:2例,B2:1例,骨折部位は中1/3:1例,遠位1/3:4例であった.Plate固定を選択した大きな理由は,骨折部位が遠位1/3であったこと(4例),中1/3の横骨折で髄腔が狭かったこと(1例)であった.手術時間は平均72分(60~90),出血量は平均158g(50~250)であった.5例とも変形,関節運動制限を起こすことなく良好に骨癒合し元の生活に復帰した.抜釘は術後9ヵ月以内に全例に行い,抜釘後の再骨折はなかった.Plate固定の利点は,遠位1/3骨折でも解剖学的整復位と強固な固定が得られることである.
  • 原 夏樹, 古江 幸博, 佐々木 誠人, 永芳 郁文, 本山 達男, 川嶌 眞之, 川嶌 眞人, 田村 裕昭
    2008 年 57 巻 3 号 p. 411-414
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    大腿骨顆上骨折AO分類Type Aに対し逆行性髄内釘固定法にて治療した70歳以上の高齢者12例(男性1例,女性11例)の治療成績を調査した.平均年齢は84.8歳(72-96歳)であり,術後全例に骨癒合が得られ,10例が受傷前の歩行能力に回復した.膝屈曲は平均96.3度(70-130度)であり,外反変形を6例,内反変形を3例に認め,下肢短縮は平均1.7cm(0.9-3.3cm)であった.Neerの評価基準にてExcellent 7例,Satisfactory 3例,Unatisfactory 2例,Failure 0例と良好な成績が得られ,重大な合併症は認めなかった.高齢者の大腿骨顆上骨折AO分類Type Aに対しては逆行性髄内釘固定法が第一選択になり得ると考えられる.しかし,大腿骨近位部骨折の既往がある例では,インプラント間の二次骨折などの問題点があり,他の方法を考慮する必要がある.
  • 林 哲生, 白澤 建蔵, 山下 彰久, 城戸 秀彦, 原田 岳, 藤村 謙次郎, 牛島 貴宏
    2008 年 57 巻 3 号 p. 415-418
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    アテトーゼ型脳性麻痺では比較的若年で頚髄症が発生するとされているが,多くは40歳代であり20歳代発症例は稀である.今回20歳代発症の3例についてその病態・画像所見・手術成績を検討した.3例中2例は急性発症であり,単純X線上の変性変化はほとんど認められなかった.また脊髄の圧迫もなし~軽度が3例中2例であった.全例でC3/4での脊髄障害であった.またいずれの症例も頚椎後方再建術にて良好な臨床成績であった.若年者ゆえに不随意運動の速度・加速度,laxity,可動域がより大きい場合は不安定性がさらに高度となり,変性が軽度であってもその高度な動的要素で急激な脊髄障害が引き起こされると考えられた.
  • 山口 将則, 中村 英一郎, 成澤 研一郎, 清水 建詞, 鈴木 聖裕, 松本 康二郎, 村岡 静香, 亀川 修一, 中村 利孝
    2008 年 57 巻 3 号 p. 419-423
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    胸椎後縦靱帯骨化症(以下胸椎OPLL)は治療に難渋することが多い.今回,胸椎OPLLの2症例に対してinstrumentationによるdekyphosis stabilizationを併用した後方除圧術を施行し,最終的に良好な成績を得た.しかし,1例は術後起座開始後に下肢麻痺の悪化を認めた.その後,再度ベッド上安静にしたところ徐々に麻痺の改善を認め,術後3週にNC(neck chest)ブレースを装着して,徐々にギャッジアップを開始したが,症状の悪化は認めず歩行可能となり,12週でフィラデルフィアカラーに変更後も問題なく経過した.一過性の麻痺悪化の原因として,最狭窄部のOPLLの形態が限局嘴型であったこと,また術後早期の頸椎前屈動作で上位胸椎の嘴型OPLLにより脊髄が圧迫を受けた可能性が考えられた.上位胸椎の嘴型OPLL症例では術後に頚胸椎装具を用いた慎重な後療法が有効と考えられる.
  • 田邊 史, 武冨 榮二, 砂原 伸彦, 恒吉 康弘, 尾辻 正樹, 山元 拓哉, 石堂 康弘, 井尻 幸成, 米 和徳, 小宮 節郎
    2008 年 57 巻 3 号 p. 424-427
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    後縦靭帯骨化症(以下,OPLL)をはじめとする胸椎病変に対する手術治療では,前方に圧迫要素が存在し後方進入する場合,単なる後方除圧のみでは胸椎は解剖学的に後弯であるため,術後神経症状の悪化など危惧され限界がある.今回,われわれは胸椎病変に対し,腰椎でのtransforaminal posterior lumbar interbody fusion(以下,TLIF)に準じ,後方進入椎間関節切除後椎体間固定術を3例(OPLL,ヘルニア,骨粗鬆症性椎体骨折後偽関節)に行い,手術時間,出血量,臨床成績,X線学的評価,合併症などについて検討し,短期間ではあるが良好な成績を得ることができたので報告する.
  • 前田 勇一, 清家 一郎, 山部 聡一郎
    2008 年 57 巻 3 号 p. 428-430
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    我々は5例の腰椎椎間孔外狭窄症の症例を経験し,全例,後方除圧術で痛みは,軽快もしくは消失した.最近,腰椎椎間孔外狭窄症の診断に有用であるといわれている浅腓骨神経SNAPと3D-MRIを試行してみたが,現在のところ補助診断の域を超えない印象を持った.
  • 松山 金寛, 石堂 康弘, 武富 栄二, 田邊 史, 砂原 伸彦, 恒吉 康弘, 尾辻 正樹, 山元 拓哉, 井尻 幸成, 米 和徳, 小宮 ...
    2008 年 57 巻 3 号 p. 431-434
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    今回,我々は脊柱管内に発生した椎間関節嚢腫を内視鏡下に切除した.術中,合併症も無く安全に摘出可能であった.術後,不安定性の出現は無いが,反対側に新たな嚢腫の出現を認めた.術前より椎間関節の変性があり,もともと嚢腫を形成しやすい病態が存在していたと考えられる.
  • 山田 圭, 朴 珍守, 佐藤 公昭, 横須賀 公章, 吉田 龍弘, 川崎 優二, 永田 見生, 保坂 愛, 長濱 千春, 中尾 真子, 平島 ...
    2008 年 57 巻 3 号 p. 435-438
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    脊椎脊髄手術を施行した57例中43例(男30例,女13例)に術後塩酸モルヒネ皮下持続注入法(モルヒネ群),14例(男7例,女7例)に患者の疼痛の訴えに応じてNSAIDsやブプレノルフィン坐薬ないしペンタゾシン筋注による鎮痛処置(従来群)を行った.塩酸モルヒネは1mg/時間で電動シリンジで投与した.術後の疼痛の程度をWong & Bakerのface scaleで看護師が術後72時間まで記録した.術後の疼痛点数は術後6時間から術後28時間まではモルヒネ群が低い傾向にあったが,各時間帯で有意差はなかった.合併症はモルヒネ群に呼吸の浅在化,低血圧を1例ずつ認めたがモルヒネを中止せず改善した.嘔気・嘔吐をモルヒネ群で17例,従来群には認めず有意にモルヒネ群に多かった.術後24時間の鎮痛に塩酸モルヒネ持続皮下注入法は有効だが,治療抵抗性の嘔吐・嘔気が生じた場合,モルヒネを中止せざるを得ない.
  • 田中 浩, 峯 孝友, 谷 泰宏, 茶川 一樹, 田口 敏彦
    2008 年 57 巻 3 号 p. 439-442
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    メトトレキサート使用中で効果不十分または減弱例のRA患者に対するミゾリビン併用追加療法の有効性について検討した.対象となったRA患者は14例(男性4例,女性10例)で,平均年齢は56.4才であった.投与開始時は,疼痛関節数5.3,腫脹関節数4.3,CRP2.2mg/dl,VAS52.9mmで,DAS28は4.5であった.これらの症例に対し,ミゾリビン150mgを朝1回併用投与した.投与開始後12ヶ月で,圧痛関節数2.0,腫脹関節数1.4,CRP 0.41mg/dl,VAS 14.3mmと改善がみられ,DAS(28)も2.64と有意な低下を認めた.副作用は特に認めなかった.投与開始後12ヶ月のDAS28改善基準でmoderate,good responseがそれぞれ0例,7例であり,改善率は50%であった.本治療法はメトトレキサートの効果不十分・減弱例に対する選択肢の一つとなる可能性がある.
  • 赤嶺 卓哉, 田口 信教, 田中 孝夫, 高田 大, 藤井 康成, 田口 智教, 柴田 亜衣
    2008 年 57 巻 3 号 p. 443-446
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    関節リウマチ(RA)症例に対する水中運動療法の効果を,筋硬度測定を含めて検討し報告する.対象は,RA症例女性21名(平均年齢・stage・class,49.6歳・2.2・1.9)である.水中運動教室は毎週2回,8週間実施した.教室の内容は,RA基礎教育と約90分間の水中運動(水中歩行,基礎的水中運動,泳法指導,自由泳)などである.水中運動効果判定のため,各種の測定・検査を筋硬度測定を含めて,水中運動実施直前・直後に2回施行し比較した.身体・体力測定では,体幹・下肢の筋力・柔軟性などに統計学的に有意な向上(以下p<0.05)が観察された.またLansbury活動性指数,日整会RA膝治療成績判定,心理テストにはそれぞれ有意な改善が認められた.血液検査では,炎症反応の有意増加はみられなかった.さらに上腕二頭筋,前腕伸筋群には,有意な筋硬度減少(柔軟度増加)が認められた.以上より,RA症例に対する水中運動は有益であると推察された.
  • 古市 格, 村田 雅和, 宮路 剛史, 宮田 倫明, 北島 将, 古川 晃郁, 久芳 昭一
    2008 年 57 巻 3 号 p. 447-449
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    関節リウマチのムチランスタイプを含む,高度に破壊された肘関節に対して,半拘束型人工関節のCoonrad-Morrey人工肘関節を3例に行った.3例ともに女性で長期のリウマチ罹病期間があり,リウマチ病勢のコントロールが困難な症例で,いずれの患者もTKAかTHAの下肢人工関節を経験していた.うち2例は関節内骨折を合併しており,いずれも高度の不安定性と疼痛が手術を行う要因となった.レントゲン上で関節の高度の破壊のために表面置換型のTEAは不適と判断して本機種を選択した.短期の臨床成績は良好で不安定性・疼痛ともに改善し生活動作も改善した.
  • 田中 智顕, 久我 尚之, 寺本 全男, 花田 麻須大, 中川 憲之, 河村 好香, 萩原 博嗣
    2008 年 57 巻 3 号 p. 450-455
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    脛骨骨折に対してLocking Compression Plate(LCP)を用いて骨接合した11例について報告する.症例は男性7例女性4例,手術時平均年齢は54.3歳であった.骨折部は近位端が6例,骨幹部が1例,遠位端が4例であった.11例中5例はMinimally Invasive Plate Osteosynthesis(MIPO)で行なった.結果,全例骨癒合し,骨癒合までの期間は平均3.7ヶ月だった.術後合併症は軽度の変形癒合が5例にみられたのみで,術後感染・遷延癒合は認めなかった.LCPは骨幹端部から骨幹部にかけての骨折に最も良い適応があり,さらに関節内粉砕骨折に対しても,骨移植,観血的整復を併用することで適応が拡がると思われる.
  • 益田 義幸, 中村 憲一, 川畑 了大, 有島 善也, 小宮 節郎
    2008 年 57 巻 3 号 p. 456-458
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    我々は,骨壊死を起こさなかった距骨脱臼骨折の1例を経験した.Marti-Weber分類のIV型で受傷当日は整復不能であった.受傷19日後,整復しスクリュー固定した.現在術後1年と短期であるが,明らかな骨壊死みられていない.解剖学的整復と免荷が骨壊死を防ぐために重要であると考えられた.
  • 大迫 浩文, 今林 正明, 堀川 良治, 矢崎 雄一郎, 福山 勝朗, 今林 正典, 森本 典夫
    2008 年 57 巻 3 号 p. 459-462
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    【目的】後距踵関節面に転位があり整復困難な踵骨骨折に対して,外側プレート固定を行い,その術後成績を検討した.【対象】術後追跡期間が1年以上の12例13足で,男性9例9足,女性3例4足,手術時年齢は平均60.1歳であった.【方法】臨床成績評価はMaxfieldの判定基準を用いた.単純レントゲンでのベーラー角,横径指数,CTでの後距踵関節面評価を術前・術後で比較した.また職場復帰の状態・合併症などを調査した.【結果】臨床成績は9例がexcellent,2例がvery good,1例がpoorであった.Poorの1例を除き全例が元の職場に復帰していた.ベーラー角は術前平均-1.5°から20°に改善し,横径指数は全例で改善が認められた.術後CTでの後距踵関節面の整復は概ね良好であった.合併症として5足に創治癒遷延がみられた.【考察】外側プレート固定は早期に運動・荷重が可能であり,後距踵関節面に転位があり保存的に整復困難な踵骨骨折に対して有用であると考える.
  • 生田 拓也
    2008 年 57 巻 3 号 p. 463-465
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    アキレス腱陳旧性断裂に対して手術治療を行ったので報告した.症例は12例である.男性7例,女性5例,平均年齢は46.3歳であった.受傷原因はスポーツ外傷6例,捻転4例,段差を踏み外して受傷1例,直接打撲1例であった.受傷より当院初診までの期間は平均2.1ヶ月(最長4ヶ月)であった.当院が初診である症例は4例のみで8例は治療歴があり,そのうち6例は整形外科であった.また,2例は前医にての保存的治療例であった.全例,断裂部を新鮮化し端々縫合を行った.腱移植を行った症例はなかった.後療法は新鮮例と同様に行い全例歩容は改善し再断裂例はなかった.アキレス腱断裂の陳旧例は,初診時の診察を丹念に行っていれば防げるもので整形外科としては見逃してはならない外傷である.受傷後4ヶ月までの症例であれば端々縫合にて良好な結果が得られた.
  • 喜久里 教昌, 普天間 朝拓, 山田 慎, 上原 健志
    2008 年 57 巻 3 号 p. 466-469
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    当院における鎖骨骨折に対する保存的治療の成績を検討した.平成16年1月から平成18年12月までに当院にて保存治療を行い,追跡可能であった92例を対象とした.88例に骨癒合が得られ,癒合率は95.7%と良好で,4例に偽関節を生じ,中1/3骨折で68例中2例,外1/3骨折で20例中2例に偽関節を認めた.20歳以上の中1/3骨折では,転位のある骨折と第3骨片のある骨折で,また外1/3骨折では,Neer type II骨折で遷延癒合や偽関節の割合が高くなっていた.鎖骨骨折に対し,保存的治療を基本としてもよいと思われるが,転位や第3骨片のある中1/3骨折,及び外1/3骨折Neer type IIでは,症例に応じて手術を検討してもよいと思われた.
  • 弓削 英彦, 濱田 貴広, 志田 純一, 上ノ町 重和, 山口 徹, 松本 大成, 時任 毅, 有薗 剛
    2008 年 57 巻 3 号 p. 470-473
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    外傷により右肩鎖関節後方脱臼と右胸鎖関節前方脱臼を認めた症例を報告する.症例は46歳,女性 右肩を後方から地面と車のバンパーにはさまれて受傷.近医入院し2週間後に当院受診.単純X線上右肩鎖関節後方脱臼,右胸鎖関節前方脱臼,肋骨骨折が認められた.受傷後3週の時点で我々は鎖骨両端脱臼に対し観血的整復術を行った.術後,整復位は保たれ,比較的患者の満足が得られる結果となり,鎖骨両端脱臼に対し観血的治療は有効な治療法であると思われた.
  • 生田 拓也, 北村 歳男
    2008 年 57 巻 3 号 p. 474-477
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    鎖骨骨折の偽関節例に対して骨接合術を行ったので報告した.症例は12例である.中1/3骨折が10例,遠位端骨折が2例であった.初回の治療は保存的治療6例,手術治療6例であった.初回手術方法の内訳はpinning 3例,髄内スクリュー2例,plating 1例であった.全例plateを用いて手術を行い,8例には自家骨移植を併用した.全例,骨癒合が得られた.鎖骨骨折に対する治療法としては保存的治療が第1選択とされるが,保存的治療後の偽関節も少なくなく,転位の程度により手術治療を選択することが必要と考えられた.また,手術治療後の偽関節は手術手技に起因するものが多かった.鎖骨の偽関節に対する治療法としては骨折部を新鮮化し,必要であれば骨移植を躊躇なく追加しplateによる固定を行えば良好な結果を得ることが可能であった.
  • 衛藤 正雄, 古川 敬三, 馬場 秀夫, 安達 耕一, 梶山 史郎, 千葉 恒, 松尾 洋昭, 進藤 裕幸, 北島 道夫
    2008 年 57 巻 3 号 p. 478-480
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    【目的】動揺性肩関節は女性に多く,全身の関節弛緩を伴うことが多い.今回はホルモン療法を行った患者の経過を報告する.【症例】女性4例.現在年齢はA38,B53,C28,D25歳で,全例II型の骨頭下降率を有し,他の関節にも不安定性を認めた.ホルモン療法の期間は4カ月~5年でBは閉経のため,Cは副作用のため現在治療中止している.Cのみ手術の既往はないが,他の3例は両肩のthermal shrinkageやcapsular shiftなどが行われている.【結果と考察】関節の不安定性にはプロゲステロンが関与しており,その働きを抑制するEP合剤(ピル)の投与や偽閉経療法などに効果が期待される.全例とも治療中は関節の安定性が得られ,自覚的な脱臼の程度や回数が減少した.関節の不安定性が完全に消失するわけではなく副作用もあるが,適応を選べば効果は期待でき,手術療法を行う前に一度試みてよい方法ではないかと考える.
  • 清田 光一, 柴田 陽三, 伊崎 輝昌, 篠田 毅, 寺谷 威, 内藤 正俊
    2008 年 57 巻 3 号 p. 481-484
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    20歳 内野手 右投げ 右打ち 入団2年目の5月に二軍での練習中,投球時右肩痛出現,全力投球不能になる.可動域制限はないが,O'Brien test(+),Mimori test(+)でMRAにてType II SLAP lesionを認めた.腱板強化訓練で経過観察.以後,症状軽快していたが,6月下旬にファースト送球時に右肩に激痛が出現.以後,常にコッキングアップ痛が生じ投球不能となるが,GHJのブロックテストで疼痛無く,スムーズな投球が可能になる.屍体肩研究によって設定した関節鏡視下経腱板ポータルにてType II SLAP lesionの修復を施行した.術後5ヵ月目から徐々に投球を開始し,術後11ヵ月で一軍昇格を果たす.術前JSS sport scoreは38点,術後現在75点である.確実な縫合がなされればType II SLAP lesionの修復術の成績は良好である.
  • 岩本 良太, 尾上 英俊, 木村 一雄, 西尾 淳, 斎田 光, 山口 史彦, 櫻井 真
    2008 年 57 巻 3 号 p. 485-488
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    比較的稀とされている上腕三頭筋皮下断裂の症例を経験したので報告する.症例は17歳,男性.柔道の試合で120kgの相手が右肩背部より乗りかかってきた時,右肘軽度屈曲位で手をついて受傷.試合後も右肘の疼痛と腫脹が続くため,受傷後3日目に当科を受診した.右肘は全体的に腫脹しており,肘頭部に圧痛を認め,自動伸展は不能であった.単純X線側面像で肘頭近位部に肘頭より裂離したと思われる微小骨片を認めた.以上の所見より肘頭裂離骨折を伴った上腕三頭筋皮下断裂と診断し,受傷後16日目にsuture anchorを2本用いて縫着した.術後は肘関節軽度屈曲位にて3週間のlong arm cast固定後に自動可動域訓練,筋力訓練を開始した.柔道の練習再開は術後5週目より自己判断で行っていた.スポーツ選手については本症例のように早期に練習を再開する傾向があり,その対策も重要であると考えられた.
  • 藤元 祐介, 東郷 泰久, 小倉 雅, 福島 佳織, 村山 隆, 小宮 節郎
    2008 年 57 巻 3 号 p. 489-492
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    【目的】上腕骨小頭骨折は肘関節周辺骨折の約1%と稀な骨折である.本骨折4例を経験したので報告する.【症例】男性1例,女性3例,平均年齢は46.5歳(13-62歳),全例新鮮例であった.骨折型はGrantham分類2-Aが2例,2-Cが2例であった.全例に肘関節の前外側進入法を用い観血的治療行った.内固定は3例にHerbert screw,1例にPLLA screwを用いた.【結果】術後経過観察期間は平均12ヶ月(8-21ヶ月)で,全例X線上骨癒合が得られた.JOAスコアは平均93点(85-100点),Grantham評価はExcellent2例,good2例と良好であった.【考察】本骨折の治療法について近年は,正確な関節面の整復,強固な内固定による早期可動域訓練のため,観血的治療を行った報告が多い.今回我々も内固定を使用した観血的治療を行うことにより良好な結果が得られたものと考える.
  • 古江 幸博, 佐々木 誠人, 永芳 郁文, 本山 達男, 川嶌 眞之, 原 夏樹, 川嶌 眞人, 田村 裕昭
    2008 年 57 巻 3 号 p. 493-496
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    小・中学生の前腕両骨骨幹部骨折(中3分の1)を調査し,再骨折例を検討した.2003年11月以降,22例の対象前腕骨骨折を治療し,そのうち6例に再骨折をおこし,うち1例は再々骨折をおこした.6例全例10歳以上であった.5例は若木骨折で,角状変形と回内外可動域制限が残存し,完全な骨癒合を得ていなかった.4例の受傷機転がスポーツによるものであった.再骨折の治療は,5例に対しては手術を行い,良好な成績を得た.10歳以上,完全に癒合していない若木骨折,角状変形の残存,回内外可動域制限は再骨折の要因と考えられた.また,早すぎるスポーツ復帰も要因と考えられる.
  • 中村 厚彦, 尾上 英俊
    2008 年 57 巻 3 号 p. 497-499
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    今回我々は,比較的まれな外傷である深指屈筋腱の末節骨停止部における皮下断裂の1例を経験したため報告する.【症例】37才,女性.【現病歴】飲酒後に転倒し左環指をぶつけて受傷.(受傷肢位不明)左環指の疼痛が出現し,翌日当科初診.左環指掌側に皮下出血,腫脹があり,疼痛のため環指IP関節の自動屈曲不能であった.受傷後1週のX線にて末節骨裂離骨片を認め,受傷後16日目にPull out法による骨接合術を施行した.【結果および考察】術後2週より可動域訓練を開始し,術後7週で骨癒合が得られボタンを抜去した.術後6ヶ月の時点で環指DIP関節の可動域制限が残存した.深指屈筋腱皮下断裂の症例は,受傷早期に的確な診断を行い,裂離骨片の有無とその大きさにより適切な手術法を選択することが重要である.
  • 藤原 稔史, 山口 智太郎, 川村 秀哉, 本村 悟朗
    2008 年 57 巻 3 号 p. 500-502
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    深部静脈血栓症(DVT)は人工関節置換術後に高率に発生し,肺塞栓症(PE)の原因となるため,積極的な予防が必要である.当院では独自の静脈血栓塞栓症予防プロトコールを用い,フットポンプまたは未分画ヘパリンを使用して予防しており,その結果を検討した.対象は2006年1月~2007年6月の1年半の間に行ったTKA112例119関節,男性24例27関節,女性88例92関節であった.術後下肢腫脹を認めた場合(健側より3cmより大)に下肢静脈エコーを行った.下肢腫脹出現例は30例(25.2%),静脈エコーでDVTを認めた例は12例(10.1%),肺塞栓発生は2例(1.7%)であった.DVT発生の有無に影響を及ぼす因子の検討を行い,心疾患・脳血管疾患等で術前から抗凝固もしくは抗血小板薬投与歴の有無が有意に影響を及ぼしていたことが分かった.他に有意な因子はなかった.
  • 富村 奈津子, 鮫島 浩司, 川内 義久, 小宮 節郎
    2008 年 57 巻 3 号 p. 503-505
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    近年糖尿病・透析・ASOの患者の増加に伴い,続発する四肢壊疽に対する切断術も増加している.しかしその生命予後は悪いという報告が散見される.今回我々は当院で施行した四肢切断術患者の予後調査を行ったので報告する.〔対象〕2003年1月から2007年6月までに当院で四肢切断術を受けた患者104例のうち,調査できた76例111肢で,初回手術時平均年齢69.6歳である.男性52例82肢,女性24例29肢であった.多数回手術を18名に行い,切断部位は大腿35肢,下腿37肢,足部35肢,上腕1肢,前腕2肢,手指1肢である.基礎疾患は糖尿病61名,透析61名,ASO 32名であった.〔結果〕 調査時生存32名,死亡44名で,死亡者の平均術後生存期間は9ヶ月であった.生存32名のうち7名は義足で歩行可能,25名は車椅子を使用していた.〔考察〕 壊疽の範囲や四肢の血流状態を把握し,全身状態を考慮したうえで多数回手術を避け患者のQOLを考慮する手術治療が望ましいと考えられた.
  • 石井 一誠, 西里 徳重, 松下 任彦, 中井 良一, 米村 尚子, 佐保 修二
    2008 年 57 巻 3 号 p. 506-510
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    腫瘤型筋サルコイドーシスの1例を経験したので報告する.症例は52歳,女性.平成19年3月下旬頃より右下腿の腫瘤を自覚し,4月27日近医を受診した.MRIにて筋サルコイドーシスを疑われ,5月8日当科紹介受診した.初診時右下腿内側に1×3cmと2.5×4.5cmの境界不明瞭な弾性硬の腫瘤を触知し,発赤,熱感,圧痛は認めなかった.MRI所見上,横断像では周囲が高信号で内部が低信号の星型を呈するdark star signを認め,冠状断像では筋の走行に沿って周辺の高信号と内部の低信号との3層構造を呈するthree stripes signを認めた.67Gaシンチでは右下腿の腫瘤に一致して集積像を認めた.血清ACEとγグロブリンは高値を示し,ツベルクリン反応は陰性であった.右腓腹筋内の腫瘤に対する切開生検による病理組織検査では乾酪壊死を伴わない類上皮細胞性肉芽腫を認めた.腫瘤型筋サルコイドーシスと診断し,ステロイド内服にて腫瘤に縮小傾向を認めている.
  • 川畑 英之, 栫 博則, 川畑 了大, 有島 善也, 石堂 康弘, 小宮 節郎
    2008 年 57 巻 3 号 p. 511-514
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    【目的】股関節に生じた滑膜性骨軟骨腫症の2例を経験したので報告する.【症例1】53歳 女性 以前より左股関節の違和感を自覚するも症状軽度にて経過みていた.平成13年8月頃より疼痛増強し,当科受診となる.左股関節の可動域制限,可動時痛をみとめ,画像所見より滑膜性骨軟骨腫症が疑われた.関節鏡視下に病巣を切除した.術後症状軽快するも,2年経過時に再び著明な関節痛および跛行出現した.再度関節鏡および前方よりの関節切開を加え,病巣全切除を行った.術後4年経過の現在,症状消失し再発もみとめていない.【症例2】29歳 男性 平成17年8月頃より,誘引なく右股関節痛出現.滑膜性骨軟骨腫症疑われ当科受診となった.関節可動域制限および可動時痛みとめ,特に内・外旋時に著明であった.関節鏡および関節切開にて病巣全切除行い,術後2年経過した現在,症状なく再発もみとめていない.
  • 山下 武士, 菊川 憲志, 瀬形 建喜, 堀川 朝広, 米村 憲輔, 佐保 修二
    2008 年 57 巻 3 号 p. 515-518
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    稀な肩峰下滑液包の滑膜骨軟骨腫症に対し,鏡視下手術が有用であった1例を経験したので報告する.症例は51歳,男性.平成17年6月より左肩痛,ひっかかり感が出現.平成18年1月,近医受診し保存療法を受けるも軽快せず,MRIにて異常を指摘され同年9月,当科紹介受診となった.単純X線像,MRIでは肩峰下滑液包内に2個の石灰化陰影を認めた.同年10月鏡視下摘出術を施行した.関節鏡所見は,肩甲上腕関節内に異常を認めず,肩峰下滑液包内に高度な滑膜増殖と白色の光沢を帯びた遊離体を2個認めた.鏡視下に滑膜切除および遊離体摘出を行なった.術後,左肩痛,ひっかかり感は軽快した.術後12ヶ月の時点で再発を認めなかった.
  • 山家 健作, 山下 英樹, 山下 優嗣, 遠藤 宏治, 吉田 春彦, 豊島 良太
    2008 年 57 巻 3 号 p. 519-522
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/11/20
    ジャーナル フリー
    【はじめに】外傷後,指骨末節骨に骨陥凹像(scalloping)を生じた爪下部肉芽の1例を経験したので報告する.【症例】24歳女性.自動車のドアで左中指を挟んだ後,爪下血腫が生じた.前医にて爪甲に穴を開け血腫をドレナージした.その後,徐々に爪下に腫瘤が形成され,爪が浮遊・変形してきたため当科紹介となった.単純X線では,腫瘤に一致する部位の末節骨背側に,直径10mm大の辺縁明瞭な骨陥凹像を認めた.MRIでは爪下に10×7mm大で辺縁明瞭,T1強調像で低信号,T2強調像で高信号を示す腫瘤を認め,Gdにて辺縁優位に造影された.良性軟部腫瘍,骨髄炎,血腫などを疑い,受傷後10週で切除生検を行った.病理組織診断にて肉芽組織の診断を得た.【考察】本病変は腫瘍性病変ではなく反応性病変と考えられた.腫瘍や感染以外の軟部病変でも部位によっては骨変化が生じ得ることを念頭に置く必要があると思われた.
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