整形外科と災害外科
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58 巻 , 4 号
選択された号の論文の41件中1~41を表示しています
  • 吉野 伸司, 肥後 勝, 中村 雅洋
    2009 年 58 巻 4 号 p. 533-536
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    Ponseti法で治療し,2歳以上に達した症例について治療成績を検討した.症例は14例21足,男児8例11足,女児6例10足で,年齢は2歳~5歳6ケ月(平均3歳4ケ月)である.これらの症例について変形再発の有無,追加手術の有無および装具療法に対するcomplianceについて検討した.内旋歩行を8足,尖足を1足に認め,追加手術として後内側解離術2足,後方解離術1足,内外側解離術2足を施行した.装具のcomplianceは10足(47.6%)が不良であり,うち6足に変形再発を認めた.Ponseti法の初期治療効果は良好であるが,歩行開始後に変形再発を認める例がある.特に内旋歩行を呈する例はDB装具の装着不良例に多く見られた.装具療法についてはそのcomplianceを十分に検討し,対応する必要がある.
  • 田中 寿人, 小峯 光徳
    2009 年 58 巻 4 号 p. 537-541
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    【症例】32才,女性.交通外傷にて別医救急搬送.頭部裂創及び外傷性頚部症候群診断にて受傷3日後に当施設転院となる.【現症】主訴:頚部痛,可動痛,左示指,中指のしびれ.X線にてC7椎体上縁のtear drop型骨折とC6/7棘突起間隙の開大を認める.Retropharyngeal spaceは2 mm,Retrotracheal spaceは13mmであった.CTにて左C6/7椎間関節はover rideしていた.可動域は屈曲:30°伸展:45°右回旋:60°左旋:45°右側屈:30°左側屈:10°であった.【考察】脊椎損傷は画像による静的構築学的異常の評価は比較的容易であるが,頭蓋頸椎移行部や頸胸椎移行部,仙椎部損傷は見逃しやすいといわれる.本症例は初診時に脱臼骨折が見逃された要因に,比較的可動域が保たれていたこともあげられる.実際,左C6/7 fascetはロックされていたが,その他関節特にO-C関節を含めた上位関節で40°程度は可動することが確認された.
  • 白濱 正博, 増田 和久, 森 啓介, 原 秀, 永田 見生
    2009 年 58 巻 4 号 p. 542-546
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    過去10年間に当院救命センターに搬入され,骨盤輪骨折が主な死亡の要因と考えられた20例を検討した.受傷原因は交通事故が13例で,受傷から死亡までは平均5時間32分で,骨折型はAO分類でType Aが6例,Type Bが7例,Type Cが7例であった.Type AとBでは平均年齢が平均76.8歳と平均74.6歳と高齢者が多く,頭部または胸腹部損傷などの合併損傷を伴っており,うち7例は一旦2次救急病院に搬入されたが,循環動態が悪化したため救命センターに転送になっていた.また,Type CはISSも高く,これらの症例は搬入時すでに重篤な状態であった.治療は大量輸血と簡易骨盤固定,または創外固定例を行い,16例にはTAEを行ったが循環動態を改善出来なかった.出血性ショックを伴った骨盤輪骨折は,治療開始までの時間や初期治療が重要で,迅速で適切な治療が行われなければならない.また,特に高齢者では安定型骨折であっても出血性ショックに陥る症例もあるため注意を要すると思われた.
  • 森田 誠, 池田 天史, 宮崎 真一, 土田 徹, 川添 泰弘, 大山 哲寛, 渡邉 弘之, 中原 潤之輔
    2009 年 58 巻 4 号 p. 547-550
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    平成13年4月より平成20年3月までの全脊椎手術1492例中6例(0.4%)の術後硬膜外血腫による麻痺悪化を経験した.頚椎で1例(頚椎症性脊髄症),胸椎で4例(胸椎後縦靭帯骨化症が2例,胸椎黄色靭帯骨化症,転移性骨腫瘍が1例),腰椎で1例(椎間板ヘルニア)であった.血腫除去術を行ったが1例のみ麻痺が残存した.術前には凝固系にいずれも異常値は認めず,術中は1例のみに出血量が多かったが他の症例では問題はなかった.術後麻痺悪化の出現時期は術後数時間が3例,ドレーン抜去後2日以内が3例であった.硬膜外血腫の発生予防及び対策として,術前に可能な抗凝固剤の休止,術中には丁寧な止血(低血圧麻酔時は閉創前には通常血圧に戻す)及び適切なドレーン留置,術後はドレーンの状態チェックを行うことが大事であると考える.また,患者観察による早期診断,発生時には麻痺改善を期待し早期の除圧を行うことが重要である.
  • 木村 一雄, 尾上 英俊, 村上 陽司, 前田 純治, 山口 史彦, 馬場 尚樹
    2009 年 58 巻 4 号 p. 551-554
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    われわれは大腿骨顆上骨折後に発症した仮性動脈瘤の1例を経験したので報告する.症例は交通事故にて受傷した65歳,女性で,右膝痛を主訴に救急搬送となった.単純X線にて右大腿骨顆上骨折を認めたため,受傷翌日に逆行性髄内釘を用いて骨接合術を行った.術後は貧血が進行したため輸血を施行.術後5日目に右膝外側部に腫脹を認めたが,末梢動脈の拍動は良好であった.術後3週で進行する右膝の腫脹は拍動を伴っており,超音波検査で25×16mmの仮性動脈瘤が確認された.造影CTでは右外側上膝動脈からの仮性動脈瘤であったため動脈瘤切除と血管結紮を行った.術後5カ月の現在再発は認めていない.
  • 古賀 美穂子, 久我 尚之, 萩原 博嗣, 寺本 全男, 花田 麻須大, 貝原 信孝, 畑野 崇
    2009 年 58 巻 4 号 p. 555-557
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    【はじめに】経皮的ワイヤリングは低侵襲手術としての利点が多いが,その適応は明らかでない.今回,自験例を検討し適応と限界を示す.【対象と方法】1999年以降,本法にて手術を行った36例の骨折型(AO分類),骨癒合,合併症を調査した.手術は経皮的に周囲および8字に二重締結を行い術後早期に膝可動域訓練開始した.【結果】AO分類のAが3例,Bが2例,C1が8例,C2が12例,C3が11例であった.3mm以上の転位例は18例だった.C2の1例が偽関節,C3の4例が骨癒合を期待できず再手術となった.高度の関節拘縮や筋力低下が遺残した例はなかった.【考察】再手術例は全て術直後の良好な整復位にもかかわらず経時的に転位が増大してきたことから,手術手技よりも術式そのものの固定力不足に問題があると思われた.本法の適応は転位のないC3骨折までであり,3mm以上転位したC3骨折に対してはORIFを選択すべきである.
  • 田浦 智之, 内田 雄, 中原 信一, 朝長 匡
    2009 年 58 巻 4 号 p. 558-563
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    膝蓋骨粉砕骨折に対して骨接合術を行った症例のうち,RING PIN systemを用いて固定を行った症例についての検討を行った.対象は当院にて骨接合術を行った27例のうち,RING PIN systemを用いた症例4例(男性3例,女性1例)であり,受傷時平均年齢は59.8歳であった.その他23例については,症例に応じて周囲締結法,テンションバンド,CCS,Acutrak screwを用いて固定を行った.術後はknee brace固定を行い,術翌日から全荷重歩行を許可した.可動域訓練は術後早期より開始した.術後10週時点で可動域は10°以上の左右差を認めず,全例骨癒合は得られた.術後,pinやwireの折損および突出による皮膚刺激症状,再転位,感染等の合併症は認めなかった.本法は従来法での固定における問題点を補い,なおかつ強固な固定を行う事ができる優れた手術法であると考えられる.
  • 生田 拓也, 久賀 太, 荻本 晋作, 矢渡 健一, 清田 光一, 金崎 彰三
    2009 年 58 巻 4 号 p. 564-566
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    小児脛骨骨折にlocking plate(以下LP)を用いて内固定を行い良好な結果を得ているので報告した.症例は7例である.受傷時年齢は11~14歳,平均13.0歳で,全例男子であった.全例,骨折部の展開は行わないか最小限としLPを用いてMIPO(minimally invasive plate osteosynthesis)法を併用して固定を行った.術後は免荷装具を作製し術後3~4週より部分荷重を開始した.全例順調に骨癒合が得られた.小児脛骨骨折において手術を行う場合,髄内釘は骨端線を障害する可能性があるため用いられず,plateの適応となることが多い.LPによる固定は術後療法を早く進めることが可能で,MIPO法を併用すれば創の問題も少なくて済み,有用な内固定材であると考えられた.
  • 市村 竜治, 有水 淳, 伊崎 輝昌, 小林 達樹, 高森 義博, 坂本 哲哉, 内藤 正俊
    2009 年 58 巻 4 号 p. 567-570
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    当院で頸椎症性脊髄症に対して棘突起縦割式椎弓成形術を施行し,2年以上フォローアップ可能であった42例の術後アライメント変化について検討した.頚椎前弯角,頚椎前弯指数,頚椎可動域は術後徐々に減少する傾向にあった.頚椎形態は術前前弯型28例,直線型8例,後弯型6例が,術後前弯型24例,直線型12例,後弯型6例となった.JOA scoreの平林法改善率が50%以上を成績良好群,50%以下を成績不良群とすると,術後頚椎弯曲指数でのみ有意差がみられ,術後頚椎前弯位を保てている症例の方が成績がよい傾向にあった.C2付着部筋の処置の仕方でC2未操作群,C2温存群,C2修復群の3群に分けて検討したが,アライメント,JOA scoreに関して有意差はなく,C2付着部筋の修復が術後後弯変形を予防できる可能性があると思われた.術後に頚椎前弯位を保てるような治療計画をたてるべきであり,術後アライメントに影響する因子の解析を更に進めていく必要がある.
  • 田中 潤, 柴田 陽三, 伊崎 輝昌, 寺谷 威, 宇藤 一光, 内藤 正俊
    2009 年 58 巻 4 号 p. 571-575
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    今回我々は,肩鎖関節症例に対して,直視下および関節鏡視下に鎖骨の外側端切除術を施行し,その臨床成績を比較検討したので報告する.JOA scoreは鏡視下群において術前平均65点に対し,術後平均92点で,直視下群においても術前平均64点に対し,術後平均90点と良好な改善が得られた.鏡視下群と直視下群の術前,術後のJOAscoreに有意な差は認めなかった.しかし,関節鏡視下鎖骨外側端切除術は,術後の創瘢痕が目立たず今後も試みられてよい方法と考える.
  • 岡崎 成弘, 宮本 俊之, 梶山 史郎, 米倉 暁彦, 弦本 敏行, 進藤 裕幸
    2009 年 58 巻 4 号 p. 576-580
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    Taylor Spatial Frame(以下TSF)はリング型の創外固定器で,Ilizarov創外固定器にありがちであった煩雑な組み立てや整復操作を比較的簡便に行えるシステムである.今回,我々は下腿骨折に対し,TSFを用いて骨接合術を施行したので報告する.対象は下腿骨折7例(閉鎖骨折3例,開放骨折4例)である.男性4例,女性3例で平均年齢は42.9歳であった.TSF設置時期,TSF装着期間,骨癒合の有無,合併症の有無について評価を行った.TSF装着時期は受傷後平均10.2日,TSF装着期間は平均98.9日であった.術後合併症として,ピン刺入部感染を4例認めたが,深部感染は認めなかった.足関節背屈制限を2例に認めた.骨癒合は全例で得られた.TSFは緊急時の対応から病棟での変形矯正も可能で,definitive fixatorとしての役割も担える汎用性が高い創外固定器である.
  • 尾上 英俊, 木村 一雄, 村上 陽司, 前田 純治, 山口 史彦, 馬場 尚樹
    2009 年 58 巻 4 号 p. 581-583
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    まれな外傷である踵骨骨棘の裂離骨折を伴ったアキレス腱断裂を2例経験したので報告する.2例とも断裂部の状態が異なっていた.症例1)43歳男性 ソフトボールの試合中に1塁から2塁に走った時に受傷した.骨片にはアキレス腱浅層線維が付着しており,深層線維の断裂はなかった.症例2)60歳男性 階段を踏み外して受傷した.骨片にはアキレス腱深層線維が付着しており,浅層線維は付着部から5cmの所で断裂していた.手術は2例とも骨片を元の位置に整復し,AO,6.5mm cancellous screwとwasherで固定した.術後4週間のギプス固定を行った後に歩行訓練を行い,術後6カ月の時点で特に制限なく日常生活を送っている.
  • 樋口 誠二, 松岡 知己, 川野 彰裕, 三橋 龍馬
    2009 年 58 巻 4 号 p. 584-589
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    【症例1】54歳男性.作業中,重機に挟まれ受傷.距骨が皮膚を破って突出していて,単純X線上左距骨下関節開放外側脱臼骨折を認めた.洗浄後観血的脱臼整復を行った.【症例2】37歳女性.交通事故にて受傷.足関節変形を認め単純X線とCTにて右距骨下関節内側脱臼骨折を認めた.非観血的徒手整復を行ったが,距骨下関節の亜脱臼が残存していたため観血的脱臼整復術を行った.【症例3】13歳女性.段差につまつずき歩行困難にて受診.左足部が底屈位固定され,Xpにて左距骨下関節内側脱臼を認めたため徒手整復術施行しギブスにて保存的に治療した.【考察】今回経験した距骨下関節脱臼に関し整復後再脱臼,距骨無腐性壊死を認めなかったので若干の文献的考察を加え報告する.
  • 深尾 悠, 帖佐 悦男, 野崎 正太郎, 中村 嘉宏
    2009 年 58 巻 4 号 p. 590-597
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    ER型救急部を併設する当院では,多発外傷治療の舵取りは,重症度が高い診療科医師が中心となる.しかし,四肢・骨盤外傷を合併した多発外傷症例の治療に於いて,救命治療が優先されることで理想的なタイミングに整形外科的治療が出来ない場面に遭遇し,ジレンマに陥ることがあるのが現状である.近年多発外傷患者の初期治療戦略において生命・機能予後の改善を目的に積極的temporary fixationを行うDamage control orthopaedics(以下DCO)が外傷外科医を中心として認知されている.しかし一般整形外科医にとっては馴染みの薄い治療戦略であり,一般化していると言い難い.我々は2006年より,DCOの概念に基づき,四肢・骨盤外傷を有する多発外傷症例の初期治療において積極的temporary fixationを行い,その後definitive treatmentに移行するように心がけており,良好な機能的予後を得ているので若干の文献的考察を含め報告する.
  • 田中 潤, 柴田 陽三, 伊崎 輝昌, 寺谷 威, 宇藤 一光, 内藤 正俊
    2009 年 58 巻 4 号 p. 598-603
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    今回,我々は治療に難渋した上腕骨近位端骨折の2症例を報告する.症例1:60歳男性.前後像とY撮影の2方向にて大結節骨折と,外科頚骨折での3 part fractureと診断.即日,プレート固定を施行.術後経過中,小結節骨片の関節窩前縁へのロッキングが判明.下垂位内旋制限,水平屈曲制限以外の愁訴がなかったため,抜釘時に内視鏡下に突出した小結節骨片の切除を行った.術後に下垂位内旋制限,水平屈曲制限は消失.JOA scoreは抜釘前67.5点から90点に改善した.術前にCTの撮影が望まれた.症例2:39歳男性.3part fractureに対し受傷1週間後,外側からロッキングプレート固定,前方の小結節骨片はNo 5のエッチボンドで締結した.8カ月後,小結節の偽関節に対しスクリューとワイヤーで再固定するも,コンプライアンスが悪く,再々度,小結節の転位を生じた.再手術1カ月後,小結節を前方からplate固定を行い,さらにワイヤー締結併用で骨接合術を施行した.3回目の術後半年で骨癒合は良好であった.JOA scoreは77点.初回時により強固な内固定が望まれた.
  • 石橋 勝彦, 花石 源太郎, 中井 健一郎, 永島 雅人, 田中 宏明
    2009 年 58 巻 4 号 p. 604-608
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    Locking機構をもつplate及び髄内釘が近年開発されたことにより,上腕骨近位端骨折に対する治療成績は向上し,ともに良好な治療成績が諸家より報告されている.当院では2003年1月~2006年3月まで上腕骨近位端骨折に対し手術を施行した全11症例に対し,locking機構をもつ髄内釘を骨折型に関係なく使用し,2006年4月~2008年3月までの期間手術を施行した全10症例に対し,locking plateを使用し治療を行っていた.髄内釘及びlocking plateによる治療成績をX線写真にて骨癒合,内反転位,screwのcutout,backoutの有無について,臨床症状では,疼痛の有無と可動域について後ろ向きに比較検討したところ,cutout率に有意差を認めたが,臨床症状に差を認めず治療成績はほぼ同等に良好と考えられた.
  • 安岡 寛理, 中野 哲雄, 越智 龍弥, 稲葉 大輔, 立石 慶和, 平井 奉博, 問端 朋
    2009 年 58 巻 4 号 p. 609-613
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    術前診断でガングリオンを疑ったが,異なる原因により尺骨神経障害を来した2例を報告する.症例は70歳と68歳の男性であった.主訴は,環小指の痺れ,肘内側部痛であった.小指の内転障害,尺骨神経領域の知覚低下,Froment sign,尺骨神経のTinel signを認め,MRI上前者は尺骨神経に接する骨棘と長軸方向に伸びるT2 high intensity lesionを,後者は尺骨神経に接するT1 low,T2 high cystic lesionを認めた.術中所見は前者は尺骨神経を圧迫する骨棘が,後者は関節包より連続する嚢腫が尺骨神経に入り込み内部に骨片が存在した.短期間で進行する肘部管症候群の原因にガングリオンがあるが,その特徴として症状出現から手術に至るまでが2カ月前後,変形性肘関節症の合併,肘内側部痛,環小指の著明な痺れがある.本例は所見が合致し,ガングリオンを疑い手術を行ったが,ガングリオンは存在せず骨棘と骨片であった.
  • 谷野 大輔, 津田 公子, 桑本 將
    2009 年 58 巻 4 号 p. 614-618
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    掌側ロッキングプレートを使用して治療を行った橈骨遠位端骨折の治療成績を検討した.平成17年6月から平成19年10月に当院で手術を行った28例29手を対象とした.経過観察期間は平均15カ月で,手術時平均年齢は19~92歳(平均65.7歳)であった.骨折型はAO分類Type A2:4例,A3:5例,C1:8例,C2:6例,C3:6例であった.プレートはLC-DRPを使用した.全例で合併症なく骨癒合が得られた.最終観察時のX線学的評価では僅かな矯正損失を認めたが概ね良好な整復位を保持できた.臨床成績評価はMayoの評価法を用い,Excellent 19例,Good 6例,Fair 4例であった.本骨折の評価は術後約1年頃での臨床評価が望ましいと考えた.
  • 長谷井 嬢, 井上 周, 守屋 有二, 加原 尚明, 宮本 正, 大塚 亮介, 藤原 紘郎
    2009 年 58 巻 4 号 p. 619-622
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    今回我々は,高齢者の不安定型橈骨遠位端骨折に対する手術療法と保存療法とを比較した.手術群は7例8関節で術式の内訳は創外固定4例,pinning 2例,創外固定とpinning併用が2例であった.保存群は9例9関節であった.平均追跡期間は手術群1年10カ月,保存群1年2カ月であった.X線学的評価はulnar plus variance(UV),volar tilt(VT),radial inclination(RI)を計測し,手関節機能評価にはROM,握力を測定し,Cooneyと斉藤の評価法を用いて評価した.X線上手術群は良好な整復位がとれたが,徐々に短縮変形が進行しUVは最終的に受傷時レベルまで悪化した.掌屈に関してのみ手術群61.9°に対して保存群45.6°と有意差を認めたが,その他のROMや握力に有意差はなかった.
    斉藤の評価ではgood以上が手術群で87.5% に対し,保存群で88.9% と有意差はなかった.高齢者ではたとえ変形治癒となってもADLに支障なく満足度も高い結果が得られており,青壮年と違って変形に対する許容範囲が広く,生活背景に基づいた治療法の選択が望まれると考えられた.
  • 山王 朋佳, 竹之内 剛, 武富 栄二, 恒吉 康弘, 砂原 伸彦, 古賀 公明, 善明 美千久, 井尻 幸成, 山元 拓哉, 米 和徳, ...
    2009 年 58 巻 4 号 p. 623-626
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    骨粗鬆症性椎体骨折の手術治療の是非は現在も一定の見解を得ていないが,症例によっては低侵襲手術で良好な結果を得ることもある.今回の研究では当院で偽関節例に対し2007年3月~2008年4月にCTガイド下に経皮的椎体形成術を施行した6症例を検討した.術前と術後経過観察時のJOA日常動作スコア,VAS(cm),椎体楔状率(前縁高/後縁高)×100(%)を比較検討した.椎体楔状率は低下し,JOA日常動作スコアは3.4/14→7.7/14,VASは10→3.8(cm)と改善した.今回の研究では,ほぼ満足を得られた結果となった.しかし症例数が少なく,経過観察期間が短いため,今後は本手術の長期的な予後,合併症,非適応例を検討していく必要がある.
  • 矢崎 雄一郎, 今林 正明, 大迫 浩文, 福山 勝朗, 今林 正典, 森本 典夫, 廣田 仁志
    2009 年 58 巻 4 号 p. 627-629
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    【目的】今回,我々は不安定性鎖骨遠位端骨折に対し肩鎖関節プレートを使用したので術後成績と問題点について報告する.【対象および方法】2002年10月から2008年2月の間に当院で手術を施行した鎖骨遠位端骨折のうち抜釘まで終了した症例は,12例であった.年令は平均55歳,手術経過観察期間は20.8カ月.方法は全身麻酔下に全例,肩鎖関節プレート(ベストメディカル製)を使用した.【結果】全例に骨癒合を認め,抜釘後可動域が改善した.JOAスコアは91点で良好な成績が得られた.合併症は感染症,フックプレートの脱転は認めなかったが上方移動や肩峰の骨吸収像を3例ずつで認めた.【考察】今回我々が使用したベストメディカル製肩鎖関節プレートは他のプレートに比べbendingしやすく遠位端の粉砕骨折の固定に優れている.肩鎖関節プレートは手術手技に注意し適切な後療法を行なえば鎖骨遠位端骨折に対して有用な内固定材であると思われる.
  • 村田 大, 小島 哲夫, 溝口 知行, 後藤 健志, 上新 淑文, 小川 光
    2009 年 58 巻 4 号 p. 630-633
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    外傷後の非常に広範な骨化性筋炎を生じた症例を経験したので報告する.症例は31歳男性で,平成18年2月16日暴行を受け左肩~上腕を殴打され近医受診,骨傷は指摘されなかった.平成18年3月6日に再度暴行を受け左肘過伸展された.近医にて上腕骨遠位骨幹部骨折,上腕の非常に広範な骨化を指摘された.4週間のシーネ固定,エチドロネートの内服にて加療された.平成18年6月21日,second opinionを聞くために当院を受診した.左肘関節に著明な可動域制限があり,強い運動時痛を認めた.単純X線で上腕遠位前方に非常に広範な骨化を認めた.炎症の鎮静化を待って手術を行うつもりであったが,その後来院しなかった.約2年後の再来時,可動域制限は改善し,運動時痛もなく,骨化の範囲も縮小しており日常生活に支障はなくなっていた.
  • 森 愛, 野口 雅夫, 辻 正二, 銅川 博文, 志田 崇之, 島内 誠一郎
    2009 年 58 巻 4 号 p. 634-638
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    【目的】成人における上腕骨顆上骨折の手術療法では早期可動域訓練を可能とする強固な固定が必要とされる.今回この骨折に対しプレート固定を行った症例の治療成績について検討した.【対象と方法】対象は2006年1月から2008年5月までに観血的骨接合術を行った10症例(男性2例,女性8例),平均年齢67.2歳,平均観察期間11.8ケ月.骨折型はAO分類A2:6例,B2:1例,C1:1例,C3:2例.LCP Distal Humerus Plate 5例,ONI Plate 4例,Mayo Congruent Elbow Plate 1例を使用した.【結果】最終観察時の平均可動域は屈曲118度,伸展16.5度.術後合併症は尺骨神経障害1例,異所性骨化1例,screwのloosening 1例を認めた.【考察】関節内骨折例や高齢者に対してもプレート固定を行うことで早期可動域訓練が可能となり比較的良好な成績を得られた.
  • 國武 克彦, 西田 公明, 安楽 喜久, 川谷 洋右, 堤 康次郎, 安中 正法, 林田 実, 小田切 陽樹
    2009 年 58 巻 4 号 p. 639-642
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    成人上腕骨遠位部骨折に対し,Locking plateを用い手術治療を行った6例について検討し報告する.〈対象及び方法〉対象は6例(男性1例,女性5例)で,受傷時平均年齢は67歳(46~89歳),経過観察期間は平均10.2カ月(6~16カ月)であった.骨折の分類にはAO分類を用い,type A2 1例,A3 1例,B1 2例,C1 1例,C2 1例であった.全例open reductionを行い,SYNTHES社LCP Distal Humerus Plate(DHP)を用いて骨接合を行った.〈結果〉Jupiterの評価では,肘頭骨切り部の骨癒合が遷延した例が1例(Fair)あったが,その他はExcellent 3例,good 2例とおおむね良好であった.〈考察・まとめ〉LCP-DHPは,成人上腕骨遠位部骨折に対して早期運動療法を可能にする初期固定が獲得できる有用な選択肢の一つである.
  • 大塚 亮介, 井上 周, 守屋 有二, 加原 尚明, 宮本 正, 長谷井 嬢, 藤原 紘郎
    2009 年 58 巻 4 号 p. 643-646
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    今回我々は,小児の橈骨遠位端骨折のうち,保存的治療を行った群と,pinning手術を要した群とで比較検討し,保存的治療の限界とpinningの適応について考えた.症例は平成18年から当院にて治療を行った撓骨遠位端骨折23例を対象とした.性別は男19例,女4例であった.受傷時年齢は平均11.2歳(5歳~16歳),平均観察期間は7カ月であった.X線側面像にて,angulationとtranslationを計測した.angulationは橈骨長軸に対する遠位骨片の傾きとし,translationは橈骨横径に対する骨片転位の割合として評価を行い,初診時と徒手整復時の比較検討を行った.保存療法群とpinning群の比較では,translationに関しては,初診時が保存療法群に比較してpinning群の方が有意に転位が大きかった.受傷時の転位が軽度でも,背側骨皮質に粉砕を伴う症例で再転位を2例に起こした.受傷時angulation,translationが大きい症例や,たとえ転位が軽度でも背側骨皮質の破壊を伴う症例では,当初からpinningの適応と考える.
  • 井上 三四郎, 高妻 雅和, 菊池 直士, 齊田 義和, 矢野 英寿, 伴 光正, 高橋 祐介, 森 達哉, 阿久根 広宣
    2009 年 58 巻 4 号 p. 647-649
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    【はじめに】最近の当院における小児骨折の動向を調査した.【対象と方法】2006年4月から2007年11月まで当院を初診した15歳以下の患児97人99骨折.「小児四肢骨折治療の実際 改訂第2版」(井上博,金原出版,2001年)に記載されている骨折を対象とした.【結果】中学生にあたる13歳から15歳が37人と,他の世代に比べて多かった.男:女=4.4:1であった.他院からの紹介が59人,救急車搬送が14人であり,紹介患者は73人であった.上肢69例,骨盤・下肢30例であった.スポーツおよび体育での受傷が,38人と最多であった.開放骨折は6例,骨端線損傷は23例であった.手術が63例に行われていた.【考察】手術を行う割合が高い理由として,高い紹介率が考えられた.即ち,初療医が手術適応と判断し紹介してくる症例や,救急車で搬送される開放骨折などの症例は,必然的に手術が必要なることが多いからである.
  • 金崎 彰三, 生田 拓也, 坂口 満, 友田 邦彦, 久賀 太, 矢渡 健一, 清田 光一
    2009 年 58 巻 4 号 p. 650-653
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    1999年から2008年の間に治療を行ったJones骨折13例について検討した.男性10例,女性3例で,受診時平均年齢は18.3歳(16-22)であった.全例スポーツ中の受傷であり,バスケットボールが7例,ハンドボール2例,ラグビー2例,サッカー1例,バドミントン1例であった.4例は前医で加療後に当院を受診し(発症後3―12週),9例は発症後1週以内に当院を受診した.初期の2例(1例は新鮮外傷,1例は前医で加療後の受診)では保存療法を行い,一旦症状は軽快したが2例とも遷延治癒となったため骨接合術を行った.その後の症例では4週以内にplateを用いた骨接合術を施行した.当科で保存療法を行った2例,前医で保存療法をされていた3例を含め,全例で骨癒合が得られ(術後平均8.9週),スポーツ復帰は術後平均7.9週と良好な成績が得られた.特にスポーツ選手では早期に観血的治療が有効であると考えられた.
  • 高山 剛, 王寺 享弘, 徳永 真巳, 吉本 栄治, 松田 秀策, 碇 博哉
    2009 年 58 巻 4 号 p. 654-658
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    膝前十字靱帯(ACL)再建例に合併した内側半月板(MM)損傷に対する温存治療の成績について報告する.対象と方法:症例はACL再建術280例中,MM損傷を合併していた65例のうち再鏡視し得た55例である.部分切除を行った23例を除き,温存した32例を調査対象とした.断裂形態などにより放置,ラスピング,縫合を選択した.再鏡視時の所見をそれぞれ癒合,部分的癒合,癒合不全と判断,前2者を良好群,後者を不良群と評価した.結果および考察:温存した32例中15例で放置,9例でラスピング,8例で縫合を行い,良好群の割合は各々順に80.0%,55.6%,62.5%であった.温存例全体における良好群の割合は32例中22例(68.8%)であった.ACL損傷に伴う外側半月板後節の血行野損傷は予後が良いことで知られる.MMについても良好例が多く温存を試みるべきであるが,縫合せざるを得ない不安定断裂の成績は安定しておらず適応を熟慮すべきである.
  • 前田 和政, 會田 勝広, 北島 将, 佛淵 孝夫
    2009 年 58 巻 4 号 p. 659-661
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    変形性股関節症が腰椎と仙腸関節にどのように関連したか調査・検討した.対象は2002年1月から2004年5月までにprimary THAを受けた片側股OA患者45例とした.平均年齢63(44~77)歳であった.術前単純X線写真から腰椎側弯については腰椎Cobb角と側弯の凸側を,仙腸関節については骨硬化像とその罹患側を調査した.側弯(Cobb角5°)を呈していたのは25例(56%)で,うち患側凸が17例(68%)であった.仙腸関節硬化像は35例(67%)で認められ,うち17例(57%)に股関節健側で認めた.どちらの変化も代償性の変化であると考えられた.
  • 志摩 隆之, 山下 優嗣, 豊島 良太
    2009 年 58 巻 4 号 p. 662-664
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    滑車上肘筋を伴う肘部管症候群の1例を経験したので報告する.症例:17歳女性.右環小指のしびれを自覚し,前医で内服加療受けたが改善せず,鷲手変形も生じたため,当科紹介となった.小指内転が困難で,症状はキーボード操作やWright test肢位で増悪した.尺骨神経は滑車上肘筋深層で線維結合織性癒着のため係留されていた.滑車上肘筋とOsborne靭帯を切離し,尺骨神経皮下前方移動術を施行した.術翌日より小指内転が可能となった.本症例では静的要因のみでなく,係留という動的要因も関与していると考えられた.尺骨神経走行距離(上腕骨内側上顆と尺骨茎状突起間の距離)は,回内外により有意に変化した.本例の原因として,絞扼のみでなく係留による神経牽引の影響が示唆された.
  • 金崎 彰三, 原 克利, 河野 正典, 糸永 一朗, 加来 信広, 藤川 陽祐, 津村 弘
    2009 年 58 巻 4 号 p. 665-667
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    咳嗽により発症した腹直筋血腫の1症例を経験したので報告する.症例は77歳男性,糖尿病の既往歴があった.肺炎による激しい咳嗽後に右上腹部の疼痛と腫脹が出現した.超音波検査にて腹壁膿瘍が疑われたが,CTにより腹直筋血腫と診断し得た.保存的加療により症状は軽快した.3カ月後のCTでは血腫は著明に縮小しており,経過は良好である.
  • 翁長 正道, 岳原 吾一, 伊佐 智博, 大城 亙, 普天間 朝上, 金谷 文則
    2009 年 58 巻 4 号 p. 668-672
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    手根骨部に発生し,手根骨,中手骨に骨浸潤像を示した腱鞘巨細胞腫の2例を報告する.症例1は26歳女性,2週間前に左手背部の無痛性腫瘤を自覚した.単純X線像にて第4・第5 CM関節部にpunched-out様の骨透亮像,MRIにて腫瘤の骨内浸潤を認め,悪性腫瘍を疑われたため針生検を行った結果,腱鞘巨細胞腫と診断され腫瘍切除術を施行した.術後1年5カ月で腫瘍の再発はない.症例2は60歳男性,6年前左手関節部腱鞘巨細胞腫の診断にて近医で切除術を施行したが,3年前より同部位に腫瘤を自覚し徐々に増大した.単純X線像にて第3・第4CM関節部の骨透亮像,MRIにて腫瘍の骨内浸潤を認めたため切除術を施行した.再手術後2年2カ月で腫瘍の再発はない.
  • 西古 亨太, 森本 忠嗣, 池辺 智史, 上杉 勇貴, 北島 将, 重松 正森, 馬渡 正明, 佛淵 孝夫
    2009 年 58 巻 4 号 p. 673-677
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    スポーツ障害予防のmedical checkや結合組織疾患の病態評価の1つに全身関節弛緩性(以下,GJL)の評価がある.我々の渉猟し得る範囲では,GJLの評価法の検者内・検者間信頼性についての報告はない.今回,代表的なGJLの評価法である,Carter法,Beighton法,東大式法の評価法について検討した.対象は当大学の運動部に所属する学生40名(全例男性,平均年齢20.5歳)である.統計は級内相関係数(以下,ICC)を使用した.各評価法とも検者内信頼性は高かった.検者間信頼性も高かったが,3法中ではCarter法が低く,東大式法が最も高かった.測定する関節によってICCの値に大きな差を認めた.今後は角度測定の際の基準を設ける必要性があり,目的に応じて測定する関節,関節数,測定方法を決定する必要性があると思われた.
  • 森永 穣地, 重松 正森, 長嶺 里美, 河野 俊介, 馬渡 正明, 佛淵 孝夫
    2009 年 58 巻 4 号 p. 678-681
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    当院にて1998年9月から2000年7月に使用したceramic摺動面を持つABS THA system(Alumina Bearing Surface京セラ製)は,linerの脱転が報告され現在製造中止となっている.今回ABS systemにおけるliner脱転の危険因子について検討を行った.対象は同機種を用いた218股で,脱転例24股,非脱転例194股である.性差,年齢,BMI,術前可動域,罹病期間,反対側股関節の状態,術後脱臼の有無,カップ外転角および前方開角,骨頭中心高位および外方位を調査し比較検討した.罹病期間,術前屈伸可動域および術後脱臼既往の有無において有意差を認めた.短い罹病期間,術後脱臼の既往,良好な屈伸可動域の存在はABS systemの破損riskとなっているのではないかと考えられた.
  • 楊 昌樹, 川内 義久, 鮫島 浩司, 富村 奈津子, 救仁郷 修
    2009 年 58 巻 4 号 p. 682-687
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    【はじめに】METRx-MD Systemを用いた棘突起正中縦割進入MD法はすでに報告しているが,この度METRx-MED Systemにも応用し,良好な成績を得たので報告する.【対象】2006年9月から2007年7月までに棘突起正中縦割進入MED法を行った14症例.男性8例,女性6例,平均年齢68.3才(19-84),平均経過観察期間は203.6日(89-433)である.【方法】約2 cmの皮切の後にノミ等を使用して棘突起を縦割する.その後,棘突起の間にチューブラーレトラクターを設置して,除圧を行う.術後は棘突起を縫合し,創を閉じる.【結果】JOA scoreは14.4点から25.4点と改善していた.術中出血は25-230g,一椎間平均出血は67.4gであった.手術時間は一椎間平均116分(67-194)であった.【結語】棘突起正中縦割進入MED法は椎弓の幅の狭い症例でも椎間関節の温存ができ,左右対称の視野がえられ,棘突起のレバーアーム機能も温存できる手術法で,有用な手術法である.
  • 金崎 彰三, 田北 親寛, 東 努, 吉岩 豊三, 津村 弘
    2009 年 58 巻 4 号 p. 688-692
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    症例は37歳女性である.以前より腰痛及び右下肢痛を自覚しており,MRIで仙骨部馬尾腫瘍を指摘された.間欠性跛行を認めたが,下肢筋力,感覚及び深部腱反射は正常であり,膀胱直腸障害はなかった.MRIにてL4-S1にかけて硬膜内腫瘍を認めた.腫瘍摘出術を施行したところ,病理組織はmyxopapillary ependymoma(MPE)であった.MPEの治療は被膜ごとの全摘出が推奨されているが,腫瘍は一塊に摘出できなかったため,40Gyの放射線治療を追加した.術後9ケ月で経過観察中であるが再発は認めていない.MPEの再発は術後長期経過した後にも起こりえるため引き続いての経過観察が必要である.
  • 茶川 一樹, 田中 浩, 礒部 淳一, 田口 敏彦
    2009 年 58 巻 4 号 p. 693-698
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    【はじめに】滑膜骨軟骨腫症は滑膜内に骨軟骨組織が形成され遊離体の生じる疾患であり,膝・肘関節に多く,股関節に発生するのは比較的まれである.病期分類として Milgram 分類が有名である.【症例】股関節に滑膜骨軟骨腫症の発生した 24~44 歳の男性 2 名,女性 1 名.いずれも遊離体摘出+滑膜切除施行し,Milgram 分類 2 期の診断であった.24 歳の男性に残存病変からの再発を認めた.【考察】画像診断が有用であり,特に CT,MRI,関節造影がより有用である.保存的療法は効果に乏しく,一般には手術療法が選択される.遊離体の完全摘出と十分な滑膜切除が望ましいと考えられ,このためには脱臼操作が必要と思われるが,骨頭壊死の危険性があり,可能であれば避けるべきである.【結語】股関節に生じた滑膜骨軟骨腫症の 3 例を経験した.若年発生例において残存・再発症例を認めた.脱臼操作を行わない手術法が好ましいと思われる.
  • 江頭 秀一, 上通 一泰, 重松 正森, 井手 衆哉, 伊藤 純, 佛淵 孝夫
    2009 年 58 巻 4 号 p. 699-702
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    【目的】片側完全脱臼股症例(Crowe IV)を新臼蓋形成群(以下IV a群)と殿筋内脱臼群(以下IV b群)に分け,膝関節アライメントを比較検討すること.【対象と方法】対象は人工股関節置換術(THA)を行った片側完全脱臼股症例のうち,単純X線にて両側膝関節アライメントを確認できた16例16股(男性1股,女性15股)とした.手術時平均年齢は64歳で内訳はIV a群6股,IV b群10股であった.両側膝関節のFTA,両下肢荷重軸(%MA),患側股関節の可動域などを計測し2群間で比較検討を行った.【結果】患側のFTAはIV a群174°,IV b群170°,%MAはIV a群65%,IV b群80% であり,IV b群において外反傾向を認めた.【考察】IV b群は下肢荷重時に臼蓋による骨頭支持がなく機能的内転位となるため患側膝関節が外反を呈すると考えられた.
  • 角田 和信, 綾 宣恵, 本松 伸一, 島内 卓, 江口 正雄
    2009 年 58 巻 4 号 p. 703-707
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    大腿骨転子部骨折後に大腿骨頭壊死が生じるのは稀である.今回,我々は1例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は49歳男性.風呂場で転倒受傷.転位のない右大腿骨転子部骨折を認め,CHSを施行した.術後10週目より右股関節痛出現.13週目骨頭の圧壊を認め大腿骨頭壊死の診断,CHSの抜釘施行.その後も圧壊の進行を認め18週目に人工骨頭置換術を施行した.大腿骨転子部骨折後の大腿骨頭壊死の報告は様々である.粉砕を伴うなどの高エネルギー外傷時,不適切な内固定に伴う転位時及び整復操作時の血管損傷が主な原因とされている.発生頻度は0.07~0.81%との報告があるものの大腿骨転子部骨折の治療の際,合併症として大腿骨頭壊死を念頭に置く必要がある.
  • 豊田 耕一郎, 椎木 栄一, 目 昭仁, 谷川 泰彦, 瀬戸 信一朗, 酒井 和裕
    2009 年 58 巻 4 号 p. 708-711
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    血液悪性疾患の脊椎病変の検討を行った.対象は9例で男性5例,女性4例,平均年齢60歳であり,疾患別には悪性リンパ腫(以下ML)5例,骨髄腫(以下MM)4例であり,経過観察期間は2-48カ月(平均12カ月)であった.臨床症状,血液検査異常所見,画像所見特徴について検討した.臨床症状は腰背部痛6例で軽微な外傷4例であり,下肢痛,しびれ3例,下肢脱力5例に認めた.検査所見では総蛋白,M蛋白上昇はMMに多く,発熱,LDH上昇はMLで多かった.可溶性IL 2受容体はML全例に認めたがMMでも2例で上昇していた.単純X線での椎体骨折はMM 3例,ML 1例とMMに多かった.CTでの溶骨像はMM 3例,ML 1例に認め,皮質骨破壊も同時に伴い,骨外性腫隆はMM 3例,ML 2例に認めた.MRI所見は椎体腫瘤様所見を椎体骨折を認めたMM 3例,ML 1例に認め,椎体信号変化均一であるものはMM 3例,ML 5例と多く,椎弓根信号変化,骨外病変も伴うものが多かった.50-60代の前半の脊椎骨折や持続する背部痛,下肢症状患者は臨床症状(貧血,発熱,寝汗等)の問診やリンパ節の触診を行うことに加えてMRI検査,血液検査を一度は行うことも念頭に置いておくことが肝要であると考える.
  • 佐々木 誠人, 川嶌 眞之, 田村 裕昭, 永芳 郁文, 本山 達男, 古江 幸博, 清水 正嗣, 川嶌 眞人
    2009 年 58 巻 4 号 p. 712-716
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    健常膝と変形性関節症(以下OA)膝の関節音を電子聴診器(Littmann社製ES4000 model)にて記録しその傾向を調べた.電子聴診器を膝蓋骨上,内側,外側にそれぞれ聴診器をあて膝屈伸運動時の関節音の記録を行った.対象は,Kellgren & Lawrence分類でgrade-0(健常者)12関節,grade-1の12関節,grade-2の10関節,grade-3の16関節,grade-4の8関節であった.手技として同聴診器による検査と記録は容易であった.関節音を最も収録できたのは膝蓋部であった.K-L分類と音発生頻度は相関性があるように思われた.周波数については健常群に比してOA膝は高い音の発生が多いが,X線程度と相関する可能性は低かった.最高周波数は1 kHz以下であった.OA膝の早期検出と動的な関節機能評価法として関節聴診法は有用と思われた.
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