整形外科と災害外科
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58 巻 , 2 号
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  • 野村 裕, 土井 俊郎, 播广谷 勝三, 松本 嘉寛, 岩本 幸英
    2009 年 58 巻 2 号 p. 153-155
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    我々は腰椎椎間板嚢腫の症例に対し,内視鏡下嚢腫摘出術を施行したので報告する.症例は28歳,男性である.4ヶ月前より,誘因なく,腰痛と左下肢痛が出現した.症状は腰椎椎間板ヘルニアに類似していた.MRIにて,L4/5椎間板に連続するT1WIにて低信号域,T2WIにて高信号域,ガドリニウム造影にて周囲がリング状に造影される腫瘍性病変を認めた.この症例に対し,内視鏡下摘出術を施行した.左L5神経根は嚢腫によって圧排されていた.嚢腫はL4/5椎間板と連続しており,これを摘出した.嚢腫壁は線維性組織によって構成されていた.術後,下肢痛は寛解した.腰椎椎間板嚢腫は2001年に報告されて以来,少数の症例が報告されているのみの稀な疾患である.この症例に対し,内視鏡下摘出術は有効であった.
  • 中原 誠之, 西田 憲記, 小川 浩一, 英 賢一郎, 高橋 雄一, 土方 保和
    2009 年 58 巻 2 号 p. 156-160
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    当院では2007年より頚椎や上位胸椎に対して,術中3D-CT画像を利用したナビゲーションシステム(以下3D-CT navigation)ARCADIS Orbic 3D(Siemens社)+Stealth Station Navigation System(Medtronic Sofamor Danek社)支援下手術を導入し脊椎インストゥルメンテーション手術を安全に行っている.今回,3D-CT navigation支援下にCD HORIZON SEXTANT system(Medtronic Sofamor Danek社,以下SEXTANT)による経皮的椎弓根スクリューとロッド挿入で低侵襲腰椎後方椎体間固定術(以下PLIF)を始めた.腰椎インストゥルメーション手術の際,SEXTANT使用時に3D-CT navigationを併用することでより安全に手術を行えると考えている.まだ少数例の経験であるが,その手術手技と問題点などについて文献的考察をまじえて報告する.
  • 高森 義博, 有水 淳, 伊崎 輝昌, 小林 達樹, 市村 竜治, 松元 敬, 内藤 正俊
    2009 年 58 巻 2 号 p. 161-164
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    腰椎疾患による下垂足症例の手術成績について検討したので報告する.対象は腰椎疾患による下垂足に対し当科で手術を施行し,術後3ヶ月以上経過観察可能であった15例とした.男性8例,女性7例,手術時平均年齢は56.5歳,下垂足出現から手術までの期間は平均34.8日,疾患は腰椎椎間板ヘルニア(LDH)8例,腰部脊柱管狭窄症(LCS)7例であった.予後因子として年齢,待機期間,術前筋力の程度,下肢痛の程度,糖尿病,馬尾症状合併の有無について検討した.LDH群8例中7例(87.5%),LCS群7例中2例(28.6%)で術後下垂足の改善を認めた.術後筋力回復に影響した因子は年齢,術前下肢痛の程度,馬尾症状,糖尿病合併の有無であった.術前筋力,待機期間には有意差はなかった.術前下肢痛が軽減した下垂足症例は,非可逆的麻痺であることを念頭におき,手術適応については慎重にするべきであると考えられる.
  • 小林 哲彦, 西田 憲記, 小川 浩一, 高橋 雄一, 中原 誠之, 土方 保和
    2009 年 58 巻 2 号 p. 165-168
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    当院では疼痛の持続する不安定性圧迫骨折に対して,術中3D-CTを用いたナビゲーションシステムによる経皮的椎体形成術を施行している.その使用経験を報告する.【システム】シーメンス社製Arcadis Orbic 3D+ダネック社製Stealth Station Navigation System【結果】平成19年4月から12月までに31例の圧迫骨折に対して,HAブロックもしくは骨セメントを用いてナビゲーションシステムを使用した経皮的椎体形成術を施行した.【考察】術中3D-CTを用いたナビゲーションシステムを使用した経皮的椎体形成術は疼痛の持続する不安定性圧迫骨折に対して有効である.経皮的に施行することで創部は極めて小さく低侵襲であり,術翌日からの離床が可能であり,また術前の体動時痛も軽減された.術後経過でも椎体圧潰による遅発性麻痺をきたした症例はなく,従来の固定術と同等の効果が得られた.従来の固定術の施行が困難なハイリスク患者においても安全に施行できた.
  • 樫原 稔
    2009 年 58 巻 2 号 p. 169-172
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    【はじめに】長期透析患者の手関節と肩関節に生じたtumoral calcinosis様石灰沈着の1例を経験したので報告する.【症例】46歳男性で,慢性腎不全による透析を16年間受けていて,某医で両手背の軟部腫瘍摘出術をうけた.左側は3年後に再発し,さらに2年6カ月後に左肩にも腫瘤が出現した.ともに単純X線像では多房性の濃淡不規則で広範な石灰化像を認めた.疼痛や可動域があったため,摘出術を行った.腫瘤は被膜に被われ,多数の隔壁をなし,黄白色のクリーム状の石灰化物質がつまっていた.病理組織像は多数の石灰沈着巣が島状にみられ,増生した結合織内に炎症性細胞や異物巨細胞を認めた.【考察】tumoral calcinosis様石灰沈着の治療は薬物療法などの保存療法で治療可能の場合もあるが,本症例のように疼痛や関節可動域制限などがある場合は,外科的切除の適応である.
  • 堀切 健士, 普天間 朝上, 岳原 吾一, 伊佐 智博, 赤嶺 良幸, 大久保 宏貴, 金谷 文則
    2009 年 58 巻 2 号 p. 173-178
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    正中神経に発生した蔓状神経鞘腫の1例を経験したので報告する.【症例】54歳,女性 【主訴】左前腕・手掌部軟部腫瘤,左母指から中指のしびれ 【現病歴】約20年前に左手掌部の腫瘤に気付いたが症状がないため放置していた.約5年前に左前腕掌側近位の腫瘤に気付き,次第に前腕遠位まで増大し左母指から中指のしびれも出現したため近医を受診した.MRIで神経原性腫瘍が疑われ当科を紹介された.【現症】左手掌部に約4×5 cm,左前腕屈側に約10×17 cmの腫瘤を認め,腫瘤は弾性軟,辺縁整,可動性がなく前腕の腫瘤上には正中神経領域に放散するTinel徴候を認めた.母指球筋萎縮が著明で,母指~中指の2 PDは15 mm以上と知覚低下も認めた.【経過】全身麻酔下に腫瘍核出術を行い,術後4カ月の現在再発を認めない.
  • 村上 勝彦, 角南 勝利
    2009 年 58 巻 2 号 p. 179-182
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    TKA後に後方脱臼したRAを経験したので報告する.症例は54歳女性.37歳時に発症,48歳時に両側THA施行.主訴は両膝痛で,大腿四頭筋萎縮も認めた.内側傍膝蓋切開にて展開.内外側と後方剥離は十分行った.術中伸展gapは良好であり,屈曲で内側がやや緩いも,膝蓋支帯を縫合し対処可能と考えた.術後2週で起立の際に捻って後方脱臼した.牽引を加え伸展位をとると容易に整復された.伸展位での動揺性はないが,90°屈曲位では動揺性を認め,支柱付き装具を装着した.術後6ケ月で,動揺性消失し装具除去した.後方脱臼は0.2~0.5%と報告されており,肢位は深屈曲位や軽度屈曲位との報告が多い.インプラント設置不良,靭帯バランス不良,大腿四頭筋筋力低下が主因であり,本例も過度な後方剥離,大腿四頭筋筋力低下,THA後のmal-rotationを考えた.TKA後に後方脱臼したRAを経験した.慎重な手術操作で予防可能と思われた.
  • 上原 悠輔, 中村 英一, 田中 あづさ, 鬼木 泰成, 西岡 宏晃, 廣瀬 隼, 水田 博志
    2009 年 58 巻 2 号 p. 183-187
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    TKA後のMycobacterium fortuitum感染は,これまで数例の報告しかなく,まれな術後感染症である.本感染症の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は72歳,女性.38歳発症の関節リウマチに対し,現在までプレドニゾロン5 mg/日の内服にてCRPは正常範囲内でコントロールされていた.また糖尿病に対し,インスリン療法中であった.前医にて,右膝に対しTKAを施行後1ケ月経過時より,右膝の疼痛,腫脹,発赤が出現した.さらに鵞足部より排膿を認めたため,当科へ緊急入院となった.入院翌日術後感染の診断にて,デブリドマンならびに持続洗浄を開始した.術中検体よりMycobacterium fortuitumが検出され,その後沈静化が得られなかったため,インプラント抜去後抗生剤混入セメントスペーサーを挿入した.約6週後,臨床症状はほぼ消失し,CRPは正常化した.
  • 伊崎 輝昌, 柴田 陽三, 寺谷 威, 清田 光一, 田中 潤, 内藤 正俊
    2009 年 58 巻 2 号 p. 188-191
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    当科では中高齢者に生じた腱板断裂を伴う反復性肩関節脱臼症例に対し,鏡視下Bankart修復術と鏡視下腱板修復術を同時に施行している.本稿では,鏡視下Bankart修復術と鏡視下腱板修復術を同時に行い,6カ月以上経過観察可能であった4例4肩を対象とした.全例女性,手術時年齢は平均65.3歳(53-78歳),術後経過観察期間は平均20.5カ月(7-28カ月)であった.JOAスコアは術前平均55.3点から術後平均90.9点,JSS-SIスコアは術前平均30.8点から術後平均89.3点に改善した.術後,軽度不安感を示す症例が1例あったが,全例再脱臼はなく,感染症,腋窩神経麻痺などの合併症はなかった.鏡視下手術では,手術時間は比較的短時間であり,三角筋を始めとした非損傷組織に対する影響は少なく低侵襲でBankart損傷と腱板断裂の修復を同時に行うことができる.
  • 山口 志保子, 山本 惠太郎, 矢野 浩明, 河原 勝博, 石田 康行, 田島 卓也, 三橋 龍馬, 帖佐 悦男
    2009 年 58 巻 2 号 p. 192-198
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    従来は保存的治療を優先された中高年女性のACL損傷例の中で再建を要する症例が増加している.当科における40歳以上の女性のACL再建術の治療成績を検討した.対象は女性43例43膝(右膝16例,左膝27例)で,手術時年齢は14歳~54歳で平均29.8±11.9歳であった.評価項目は受傷原因,術前待機期間,半月損傷合併と関節症性変化(以下OA)の有無,術前と術後12ケ月経過時のJOA score,膝関節可動域,膝関節伸展・屈曲筋力の健患側比について評価し検討した.術前待機期間は年齢と比例して延長していた.手術時に40歳以上の58%に半月損傷合併を認めた.JOA score,関節可動域の年齢差は認めなかった.膝屈曲筋力の健患側比は40歳以上で低下する傾向がみられた.中高年女性のACL再建の治療成績は良好であるが,術前待機期間の長期化を認め半月損傷合併を伴いやすく,術後の膝屈曲筋力の低下傾向がみられた.
  • 岡本 健太郎, 福島 一彦, 田坂 善彦, 由布 竜矢, 細川 哲
    2009 年 58 巻 2 号 p. 199-202
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    【はじめに】ACL再建のためにBTBを採取した後,膝蓋腱採取部が徐々に修復されることは,超音波,MRIを用いた研究により以前から報告されている.今回我々はマルチスライスCTによる3 D画像を用い,膝蓋腱採取後の変化を評価した.【対象】当院でACL再建を行い,追跡可能であった男性11膝,女性12膝.手術時平均年齢は30.3歳(15~52歳).術後平均観察期間は3年11ケ月(1年~6年8ケ月).13膝は比較のため健側の撮影も行った.【方法】撮影後に構築した3D画像をモニター上で透過度の調整を行い,膝蓋腱がはっきり描出される部位での形態を評価した.膝蓋腱の修復は欠損部の幅の計測で評価し,膝蓋腱の形態の変化は膝蓋腱の長さ,幅を計測し評価した.【結果】膝蓋腱は術後3年以内に大部分が修復され,その後も修復が続く傾向が認められた.両膝とも撮影した13膝は,膝蓋健の幅,長さともに健側と有意差はなかった.
  • 末永 英慈, 北村 貴弘, 仙波 英之, 松田 匡弘, 志田原 哲
    2009 年 58 巻 2 号 p. 203-205
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    変形性膝関節症,半月板損傷に合併する半月板嚢腫は,根治的治療のため直視下に嚢腫摘出術を行うと,侵襲が大きく再発もあることより,穿刺などの対症療法が行われることが多い.今回,巨大内側半月板嚢腫に対し,鏡視下半月板切除ならびに嚢腫交通術を行うことで嚢腫の縮小が得られ,嚢腫摘出を行うことなく良好な経過を得たので報告する.症例は,52歳男性.1ケ月前より誘因なく左膝内側の疼痛を伴う腫瘤を認めた.MRIにて左膝内側半月板損傷および,内側の嚢胞性腫瘤を認めた.関節鏡視下に内側半月板後節の水平断裂部を切除後,関節包後壁の連絡孔を色素で確認,拡大させる嚢腫交通術を行った.術後1ケ月で腫瘤は完全に消失した.関節液が関節内から嚢腫内へと一方向にしか流れないcheck valve機構を破綻させることで嚢腫が縮小することを確認できた.半月板断裂を伴う半月板嚢腫に対する関節鏡視下嚢腫交通術は有用であると思われた.
  • 土屋 卓人, 竹内 慶法, 戸羽 直樹
    2009 年 58 巻 2 号 p. 206-209
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    指節間関節の変形性関節症(hand OA)は加齢に伴う変化であり,骨粗鬆症の危険因子という報告も散見されるが,その多くが横断研究によるものである.そこで今回hand OAの罹患数と骨密度の経時的変化との関連性を検討した.対象は骨粗鬆症検診を行った女性のうち,5年以上の経過観察が可能であった35例(調査開始時平均年齢69.6歳,平均追跡期間7.9年)で,初回と追跡後のhand OA罹患数を計測し,OA罹患数が増加した群と不変であった群間で骨密度の変化を統計学的に検討した.OAは骨密度測定(DIP法)に使用した左手の単純X線正面像を用いKellgren-Lawrence分類のgrade II以上とした.初回測定時OA罹患数は高齢者ほど多く罹患していたがBMD値との相関は認められなかった.追跡期間中にOAが増加した群(22例)とOA変化が無い群(13例)との間にBMD平均変化率での有意差は認めなかった.
  • 入江 弘基, 加藤 悌二, 水田 博志
    2009 年 58 巻 2 号 p. 210-213
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    【はじめに】肩関節や膝関節に石灰沈着はしばしば見られるが,手指に発生する石灰沈着症は比較的まれである.今回,手指および手関節に発生した石灰沈着症の3例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.【症例1】43歳,男性.誘因なく右母指に急激な腫脹・疼痛出現し受診した.母指MP関節橈側に発赤,腫脹,熱感を認め,X線写真上で母指MP関節橈側に石灰化陰影を認める.【症例2】42歳,女性.1週間前より手関節痛出現し,症状改善せず受診した.X線写真上で,尺骨遠位端に石灰沈着を楕円状の石灰化陰影を認める.【症例3】73歳,女性.誘因なく右母指痛出現し,腫脹・疼痛強く受診した.右母指IP関節尺側に発赤,腫脹,熱感を認め,X線写真上で母指IP関節尺側に,石灰化陰影を認める.いずれも急性石灰沈着性関節周囲炎と診断し,ステロイド注射を行い,疼痛改善および石灰化の消失を認めた.
  • 岳原 吾一, 普天間 朝上, 堀切 健士, 赤嶺 良幸, 伊佐 智博, 金谷 文則
    2009 年 58 巻 2 号 p. 214-217
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    陳旧性小指屈筋腱皮下断裂に対して,橋渡し腱移植後に減張位早期自動運動を行い,良好な成績を得た1例を経験したので報告する.症例は66歳,男性.ゴルフ練習中に練習場のマットを強打した後から左手掌に疼痛があり,近医を受診したが骨折の診断は得られなかった.受傷から1カ月後,左小指の屈曲が困難となり,握力低下と徐々にゴルフのドライバー飛距離も落ちてきた.受傷から3カ月後,手術加療目的に当科に紹介され,有鉤骨鉤偽関節に伴う小指深指屈筋(FDP)腱皮下断裂と診断された.手術は偽関節となった有鉤骨鉤を切除し,断裂したFDP腱に対し長掌筋腱を用いた橋渡し腱移植術を行った.術後2日目より環指の掌側に小指を重ねた減張位バディテーピングにて早期自動運動療法を3週間行った.術後3年の現在,可動域は % total active motion 84%と日本手の外科学会評価法でGoodであり,握力とドライバー飛距離の改善も得られた.
  • 翁長 正道, 安里 英樹, 島袋 孝尚, 米須 寛朗, 照屋 均, 金谷 文則
    2009 年 58 巻 2 号 p. 218-223
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    外傷性肩関節前方不安定症に対し,鏡視下Bankart修復術を行った32例について報告する.男性31例,女性1例,患側は右側21例,左側11例,手術時平均年齢28歳,術後平均観察期間12.5カ月であった.術前健側に比べて患側の屈曲,外転,外旋は,有意に制限を認めたが,術後外転が有意に改善し,外旋は変化を認めなかった.Japan Shoulder Society(以下JSS)Shoulder Instability Scoreは,術前54.3点から術後94.7点に有意に改善した.スポーツ症例20例の平均復帰時期は5.9カ月,スポーツ復帰率は95%であった.JSS Shoulder Sports Scoreは,術前43.9点から術後86.7点に有意に改善した.ラグビー選手において再脱臼1例を認めた.再脱臼例はタックルでの大きな外力による再受傷が原因と考えられたが,アンカーを4個入れたためその距離が短くなり,アンカー間で骨折した可能性も考えられた.
  • 仲摩 憲次郎, 後藤 昌史, 光井 康博, 伊藤 伸一, 石橋 裕美子, 鈴木 律, 樋口 富士男, 永田 見生
    2009 年 58 巻 2 号 p. 224-227
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    ガングリオンによる肩甲上神経麻痺は比較的まれな疾患で従来,穿刺や観血的摘出術が主に行われ,最近では関節鏡による摘出・除圧術も報告されている.今回我々は,肩甲骨棘上窩に発生したガングリオンによる肩甲上神経麻痺に対し,鏡視下に自己フィブリン糊注入療法を行った1例を経験したので報告する.症例は26歳の女性で,3カ月前より右肩痛が出現し,MRIで棘上窩に嚢腫様陰影を認め,ガングリオンによる肩甲上神経麻痺が疑われ当科紹介受診となった.棘下筋の萎縮を認め,肩外旋筋力は低下していた.まずエコーガイド下に穿刺後,ステロイド注入を行ったが3カ月後にガングリオンが再発した.次に関節鏡視下にガングリオンを穿刺・吸引し,自己血より作成したフィブリン糊を注入した.術後3カ月で可動域と筋力は回復し,術後3年で再発を認めず経過良好である.肩甲上神経麻痺を来したガングリオンに対し,自己フィブリン糊注入療法は比較的安全で有効な治療法と考えられた.
  • 時吉 聡介, 井手 淳二, 廣瀬 隼, 水田 博志
    2009 年 58 巻 2 号 p. 228-230
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    【目的】超音波検査は侵襲が少なく,外来で検査が可能であり,非常に簡便な検査法である.当施設で行った超音波検査の正診率について検討した.【対象と方法】平成19年3月から11月までに熊本大学医学部附属病院にて肩関節鏡視下手術を行った28人(男性16人,女性12人,平均年齢52.3歳)を対象とした.超音波検査を術前に行い,腱板断裂の有無を肩甲下筋腱,棘上筋腱,棘下筋腱おのおのについて診断した.最終的な診断は手術時の所見とし感度,特異度,正診率を算出した.【結果と考察】肩甲下筋腱;感度は100%,特異度92.0%,正診率92.9%であった.棘上筋腱;感度は93.3%,特異度84.6%,正診率89.3%であった.棘下筋腱;感度は36.4%,特異度100%,正診率75.0%であった.我々の結果は諸家の報告と比べてやや低い傾向にあった.正診率を挙げるためには今後もトレーニングが必要と考えられた.
  • 安里 英樹, 米須 寛朗, 島袋 孝尚, 翁長 正道, 照屋 均, 金谷 文則
    2009 年 58 巻 2 号 p. 231-236
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    肩腱板断裂に対する鏡視下腱板修復術のうち,Suture bridge法(以下B法)とDual-row法(以下D法)の術後成績を比較検討した.
    B法を15例15肩で,男性13肩,女性2肩に行い,手術時平均年齢は56歳,術後平均経過観察期間は7カ月であった.D法を39例41肩,男性25例27肩,女性14例14肩に行い,手術時平均年齢は63歳,術後平均経過観察期間は14カ月であった.腱板断裂の内訳は,B法:小断裂1肩,中断裂10肩,大断裂3肩,広範囲断裂1肩,D法:小断裂3肩,中断裂17肩,大断裂14肩,広範囲断裂7肩であった.
    JOA scoreは,B法で術前平均64.3点が術後平均95.3点,D法で術前平均63.8点が術後平均94.4点に両群とも有意に改善した.術後MRIの菅谷分類では,B法:type I 7肩,type II 6肩,type III 1肩,type V 1肩,D法:type I 14肩,type II 11肩,type III 11肩,type IV 1肩であった.
    B法はD法に比べて術中の縫合糸の数を少なくできる利点があり,手術手技を軽減できる可能性がある.
  • 吉松 弘喜, 脇岡 徹, 吉田 健治, 山下 寿, 田中 憲治, 坂井 健介, 田中 順子, 中村 秀裕, 瓜生 拓也, 川崎 優二, 井手 ...
    2009 年 58 巻 2 号 p. 237-240
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    頚椎発症の特発性脊髄硬膜外血腫4症例を経験したので報告する.痛みから麻痺出現までは平均67分であった.発生部位は平均6.8椎間であり,全例硬膜外背側に位置していた.治療は保存療法を2例に,手術を2例に施行し,全例改善した.また,頚椎発症のSSEHの自然回復例の調査では,6時間以内に改善傾向を示す割合が高いことがわかった.頚椎発症のSSEHは麻痺の程度を考慮し,手術を検討しながら,注意深く症状経過を観察する必要があると思われた.
  • 光武 慎一朗, 井上 崇文, 半仁田 勉, 藤井 正道, 宮井 保尚
    2009 年 58 巻 2 号 p. 241-244
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    黄色靭帯石灰化症(CYL)は変性した黄色靭帯の弾性繊維内に様々なリン酸カルシウム結晶が沈着し神経症状を引き起こす疾患である.今回我々は頚椎に発症しBrown-Sequard症候群を呈した一例を経験した.症例は66歳男性.脳梗塞の既往あり.左上下肢のしびれを主訴に来院.身体所見でC8以下の左温痛覚低下および右深部覚低下,右上下肢運動麻痺(上肢は2レベル,下肢は4レベル),痙性歩行を認めた.MRI,CTミエログラフィーではC4からC5高位に後縦靭帯骨化症,C5/6高位にCYLによる脊髄の圧迫を認めたため椎弓形成術を行い,CYLを切除した.術後知覚障害に変化はみられなかったが歩行は軽度の改善がみられた.CYLによりBrown-Sequard症候群を呈することは比較的稀とされ,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 近藤 梨紗, 久保 紳一郎, 黒木 浩史, 花堂 祥治, 濱中 秀昭, 猪俣 尚規, 海田 博志, 小島 岳史, 福島 克彦, 帖佐 悦男
    2009 年 58 巻 2 号 p. 245-248
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    脊柱管狭窄を伴った頚椎症性筋萎縮症(以下CSA)に対して椎間孔拡大術を併用した椎弓形成術を施行した7例の術後成績を検討した.平均年齢は63.7歳,全例男性であった.椎間孔拡大術はC4/5 5例,C5/6 4例,C6/7 1例に施行された.手術時間は平均3時間52分,出血量は平均105gであった.術前平均JOAスコア14.0点が術後15.1点となり有意に改善していた.徒手筋力テストでは,末梢型の1例を除き全例に改善を認めた.術前後で頚椎アライメントの悪化したものはなかった.頚椎可動域は,術前32.1度が術後21.1度と減少していた.椎間孔拡大術を施行した局所の頚椎可動域は,術前13.2度が術後6.2度と有意に減少し不安定性の出現はなかった.脊柱管狭窄を伴ったCSAに対して後方からの椎間孔拡大術を併用した椎弓形成術は有用な方法であると考えられた.
  • 大場 次郎, 山田 健治, 井上 博文, 三原 栄一, 梶山 史郎, 今村 剛
    2009 年 58 巻 2 号 p. 249-253
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    【目的】大腿骨頭すべり症は10~12歳で発症することが多いとされている.今回我々は,6歳1カ月,男児の発症を経験したので報告する.【症例】主訴は右股関節痛,大腿部痛.右股関節の可動域制限を認め,Drehmann徴候が陽性であった.X線上,posterior tilting angleは30°であった.単純性肥満を認めた.MRI上,骨端線拡大,すべりを認めたが,骨端壊死の所見はなかった.健側に異常所見を認めなかった.K-wireによるin situ pinning施行.術後5週で部分荷重開始,8週で全荷重とした.成長に伴い徐々にK-wireの逸脱を認めたため,完全に骨端線から逸脱した術後12カ月で抜線術施行した.術後3年目までは再すべりや健側すべりの所見なく,骨端線は閉鎖せずに頚部成長は続いており,歩容も良好である.【考察】若年例の本症に対しては,骨端線閉鎖までの期間が長期間であることより大腿骨近位の成長障害や再すべり,さらには健側のすべり症の発生を考慮する必要がある.
  • 黒島 聡, 野原 博和, 我謝 猛次, 六角 高祥, 三好 晋爾, 金谷 文則
    2009 年 58 巻 2 号 p. 254-260
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    我々は非リウマチ性環軸椎不安定症に伴う歯突起後方偽腫瘍により進行性の頚髄症を呈した2例に対して後方除圧固定術を施行し症状の改善と偽腫瘍の消退を認めた.1例目は77歳,男性.主訴は両手指巧緻運動障害と歩行障害であった.頚椎MRIで歯突起後方に偽腫瘍像を認め,頚髄は圧迫され,C4/5レベルで頚椎症性変形に伴いT2強調像で髄内高信号の所見を認めた.手術は後弓切除後,軸椎両側に椎弓根スクリューを刺入,C3まで後頭頚椎固定とC4からC7まで椎弓形成術を施行した.MRIで偽腫瘍は縮小し,術後11カ月でほぼ消失した.2例目は70歳,女性.主訴は両手指巧緻運動障害と歩行不能であった.頚椎X線像は環軸関節の不安定性を認め,頚椎CTで石灰化を伴う歯突起後方偽腫瘍像を認めた.頚椎MRIで頚髄は偽腫瘍により圧迫されていた.手術は後弓切除とC2椎弓上縁を部分切除後,環軸椎固定術を施行した.術後1年2カ月の頚椎CTで石灰化像は消退した.
  • 比嘉 勝一郎, 岳原 吾一, 普天間 朝上, 金谷 文則, 金城 聡
    2009 年 58 巻 2 号 p. 261-265
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    指ロッキングはMP関節が突然屈曲位に固定され伸展不能になる比較的まれな疾患である.今回われわれは観血的整復を要した左示指ロッキングの1例を経験したので報告する.症例は31歳女性,職業は雑貨店店員.仕事中テーブルクロスを両手で筒状に丸める作業中,突然左示指MP関節が伸展不能となり,同日当科を受診した.左示指MP関節の伸展は-40°で自動・他動ともに制限されていたが,屈曲制限は認めなかった.X線像にて,左第2中手骨骨頭橈掌側に骨隆起を認めた.示指ロッキングの診断で徒手整復を試みたが,整復不能であり,手術を施行した.術中所見では,第2中手骨骨頭橈掌側に骨隆起を認め,fan-like portionが骨隆起に乗り上げて固定されていた.fan-like portionと骨隆起の一部を切除し,ロッキングは解除された.術後4カ月でロッキングの再発や可動域制限を認めない.
  • 櫻庭 康司, 三浦 裕正, 松田 秀一, 岡崎 賢, 福岡 真二, 岩本 幸英
    2009 年 58 巻 2 号 p. 266-270
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    反復性及び習慣性膝蓋骨脱臼に対して内側膝蓋大腿靭帯再建術を行い,短期経過を調査できた13症例13膝に対しその成績を検討した.手術時平均年齢は24.1歳,術後調査期間は平均18.5ケ月(2~51ケ月)であったが,その間再脱臼例はなく,1例を除き関節可動域制限も認めなかった.術後成績の評価では,Kujula scoreが術前平均60±20.2点が最終調査時91±15点に改善し,Crosby and Insall法ではExcellent 6例,Good 6例,Fair to poor 1例であった.X線学的検討では,Congruence angleは術前31.3±21.4°が最終調査時-3.65±20.72°,tilting angleは術前32.1±7.9°が最終調査時21.9±8.39°,Lataral shiftは術前41.6±9.7% が最終調査時24.5±9.9%と全て正常範囲内に改善していた.今回の結果は本術式の良好な短期成績を示すものと考える.
  • 島袋 孝尚, 安里 英樹, 比嘉 丈矢, 金谷 文則
    2009 年 58 巻 2 号 p. 271-275
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    肩関節後方脱臼は全肩関節脱臼の1.5~3.8%と稀である.後方脱臼骨折の頻度はさらに低く,我々は痙攣によって生じたと考えられた上腕骨小結節裂離骨折を伴う肩関節後方脱臼の1例を経験した.症例は66歳女性で観血的脱臼整復固定術,及び骨欠損部への骨移植を施行した.術後6カ月で上腕骨頭の壊死は認めず,JOAスコアは81.5点であった.
  • 比嘉 丈矢, 安里 英樹, 島袋 孝尚, 金谷 文則
    2009 年 58 巻 2 号 p. 276-282
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    著明な棘上筋萎縮を伴う腱板広範囲断裂により肩関節外転不能となった2症例に棘下筋移行術(Patte変法)を施行した.症例1は72歳,女性.初診時右肩関節外転40度で術前JOAスコアは 42.5点.手術は棘下筋移行術を行い,術後1年3カ月の可動域は外転175度で術後JOAスコアは90点であった.症例2は74歳,男性.初診時右肩関節外転40度で,術前JOAスコアは18点.手術は鏡視下に,Bankart lesionに対し,Bankart修復術を行い,腱板広範囲断裂に対し棘下筋移行術を行った.術後1年2カ月の可動域は外転165度で,術後JOAスコアは93点であった.
  • 久芳 昭一, 古市 格, 村田 雅和, 宮路 剛史, 宮田 倫明, 北島 将, 古川 晃史
    2009 年 58 巻 2 号 p. 283-286
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    Locking plate(SYNTHES社)を用い,掌側アプローチにて内固定を行った橈骨遠位端骨折の術後成績について検討を行ったので報告する.LCP-T型プレートを使用した5例,LDRPを使用した15例の計20症例(男性6例,女性14例),年齢は23~80歳(平均63歳).13例は関節内骨折であった.5例に人工骨移植を併用した.術直後,最終観察時にX線にてRI(Radial Inclination),VT(Volar Tilt),UV(Ulnar Variance)を計測した.臨床成績は斎藤の評価を用いた.X線計測で有意な矯正損失はなく,最終観察時の斎藤の評価ではexcellent 12例,good 8例であった.掌側locking plateにより,関節内骨折,粉砕骨折においても強固な固定が得られ,術後成績も良好であった.
  • 犀川 勲, 齊藤 太一, 入江 努, 田中 哲也, 緒方 淳也, 宮岡 健
    2009 年 58 巻 2 号 p. 287-292
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/06/02
    ジャーナル フリー
    透析性破壊性脊椎骨関節症に伴う腰部脊柱管狭窄症の3例に対してセラタイトスペーサー®(ヒドロキシアパタイトカルシウムとリン酸三カルシウム複合緻密体)を用いたPLIFを施行した.手術は椎弓と下関節突起を切除した除圧術を施行して椎間板を全摘出後,スペーサーを骨破壊が比較的少ない側の椎間に挿入し,対側には局所自家骨を移植,さらに後方からペディクルスクリューシステムを用いた固定を行った.術後全例で下肢痛は消失して歩行可能となった.またXPまたはCTによる評価で,骨癒合が得られていた.骨強度が脆弱化して骨癒合の得られにくい透析性破壊性脊椎骨関節症患者のPLIFにおいて,椎間へのセラタイトスペーサー®挿入は,有用な方法であると考えられた.
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