整形外科と災害外科
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59 巻 , 3 号
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  • 川口 耕平, 岩永 斉, 原 真一郎
    2010 年 59 巻 3 号 p. 413-418
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    当院では大腿骨頸部骨折の治療にCannulated Cancellous Screw 2本を用いて(以下Cross Screw法)固定を行ってきた.2006年1月~2009年3月までの非転位型大腿骨頸部骨折にCross Screw法をおこなった高齢者46例のうち,受傷時年齢が75歳以上,術後6ヶ月以上経過が確認できた23例の治療成績を報告する.対象は男性3例,女性20例,平均年齢81.6歳であった.骨折型は全例非転位型であり,受診から手術までの期間は平均1.5日であった.手術は局所麻酔16例,腰椎麻酔7例下に行った.骨癒合の有無,術後合併症,歩行能力の変化などを検討した.全例に骨癒合が得られたが,経過中に3例late segmental collapseを合併し,2例に人工骨頭置換術を施行した.創感染や創治癒遅延,転子下骨折などの術後合併症は生じておらず,歩行能力の極端な低下は認めなかった.高齢者の大腿骨頸部骨折にCross screw法は有効な手術法のひとつと考えた.
  • 内山田 桜, 松永 俊二, 中島 隆之, 中村 俊介, 宮口 文宏, 古賀 公明, 今給黎 尚典, 小宮 節郎
    2010 年 59 巻 3 号 p. 419-423
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    高齢化社会における整形外科手術の役割を明らかにすることを目的として急性期型臨床研修病院である当院での後期高齢者整形外科手術の現況を調査した.2000年~2008年の当院の整形外科手術における後期高齢者の割合の変化を調査し,性別・疾患別の特徴を解析した.後期高齢者席外科手術は男女ともに2倍に増加していた.特に女性においては大腿骨近位部骨折が著しく増加しており2008年では女性整形外科手術の約50%は後期高齢者であった.大腿骨近位部骨折の大部分は研修医が手術を担当しており後期高齢者手術は今後重要な研修課題となると考える.手術手技のみならず術前後の管理も習得する必要がある.
  • 重松 正森, 田中 博史, 角田 憲治, 石井 英樹, 浅見 昭彦
    2010 年 59 巻 3 号 p. 424-425
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    当科では手術の安全性・確実性の確保と効率化を目的に,2009年4月より手術の標準化へ取り組んできた.今回,大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭挿入術を例に我々の取り組みとその成果を報告する.取り組みとしてはこれまで術者の好みに任せていた使用機種を可能な限り統一し手術手技を標準化した.標準化取り組み前に行われた人工骨頭挿入術17例と取り組み後の13例の成績を調査した.手術時間,手術室滞在時間は短縮し術中出血も減少した.取り組み後,合併症は認めなかった.手術の標準化は決して容易ではないが取り組む価値があると思われた.
  • 古市 格, 村田 雅和, 宮田 倫明, 森口 昇, 塚本 正紹, 依田 周, 江頭 秀一
    2010 年 59 巻 3 号 p. 426-431
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    日本において,診断群分類に基づく包括点数評価(以下DPC)を導入している病院は,増加している.DPCの特徴は,医療情報の標準化・透明性にあり,このツールで各病院間を解析し医療の質の向上を図ることが目的とされている.我々は,DPC導入直後と,DPC導入後3年経過時,平均年齢(才),診療報酬点数(点),平均在院日(日),術前待機期間(日),再入院の有無について調査した.結果として,DPC導入後3年経過時に,平均在院日数は50%に減少,術前待機期間は約30%に減少,診療報酬点数は70%に減少した.医療経済学的な面からDPCの効果ありと判断した.しかし点数設定の決定過程はブラックボックスにあり,専門医学会からの監視が必要で今後検討の余地がある.
  • 濱中 秀昭, 久保 紳一郎, 黒木 浩史, 猪俣 尚規, 福嶋 秀一郎, 黒木 修司, 比嘉 聖, 長澤 誠, 帖佐 悦男
    2010 年 59 巻 3 号 p. 432-436
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    【目的】透析患者に対する脊椎手術について検討し報告する.【対象と方法】1998年4月から2008年11月までの間に当科で脊椎手術を行った透析患者20例21症例(平均透析期間16.1年,平均年齢64歳,男性16例,女性4例)を対象とした.疾患の内訳は,頚椎病変14例,胸椎病変1例,腰椎病変6例であった.以上について術式,手術成績,術後経過を検討した.【結果】頚椎病変のうち破壊性脊椎関節症(以下DSA)のうち椎体破壊,すべり症,不安定性を認める症例6例には後方除圧固定術を施行した.椎体破壊の軽度なDSA 3例,硬膜外アミロイド沈着4例,頚椎硬膜外石灰化症1例には除圧術のみ施行した.胸椎例には除圧術を施行した.腰椎病変6例のうち,2例に固定術を併用した.術後早期に2例が死亡した(心筋梗塞,脳出血).固定術を行った症例は,術後成績は安定していたが,除圧例では経年的に悪化する症例が散見された.
  • 鮫島 浩司, 川内 義久, 吉野 伸司, 富村 奈津子, 永田 政仁, 小宮 節郎
    2010 年 59 巻 3 号 p. 437-441
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    今回,透析患者に対する腰椎固定手術についてその手術成績と問題点について検討した.対象は,2002~2008年に手術を行った30例(男性15例,女性15例)であった.手術時年齢は52~72歳(平均61.8歳),透析歴は6ヶ月~31年(平均13年6ヶ月)であった.術前診断は,破壊性脊椎関節症(DSA)12例,腰椎変性すべり症10例,腰部脊柱管狭窄症4例,腰椎椎間板ヘルニア3例,分離すべり症1例であった.手術方法はPLF 24例,PLF+PLIF 4例,前方固定術2例であった.結果,JOAスコアの改善率50%以上が22例(73.3%)であったが,合併症による死亡が2例(6.7%)あった.透析患者に対する腰椎固定手術は合併症が多く,透析医,麻酔医との連携と十分なインフォームドコンセントが重要である.
  • 永田 政仁, 吉野 伸司, 鮫島 浩司, 富村 奈津子, 川内 義久, 小宮 節郎
    2010 年 59 巻 3 号 p. 442-445
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    大腿骨頚部骨折に対して,セメントレス人工骨頭挿入術(Spongiosa Metal2)を実施した透析患者について予後調査,成績について検討した.対象は,大腿骨頚部骨折に対し,人工骨頭挿入術を施行した透析患者 男性7例 女性16例 計23例.手術時年齢は,平均72.5歳.透析歴は平均7.5年.経過観察期間は平均1年2ヶ月であった.周術期合併症は,感染性腸炎2例,消化管出血1例,早期深部感染1例,脱臼1例であった.術後ADLは術前ADLまで回復していた.術後一年以内の死亡率は30%であった.X線評価では,2mm以上のclear zoneやsinkingは認めなかった.透析患者の人工骨頭挿入術を施行した患者の術後一年以内の死亡率は非透析患者と比べると高率であった.また,周術期合併症も感染症が多かった.本研究で使用したセメントレス人工骨頭は,透析患者の大腿骨頚部骨折に対しては有用な機種であると思われた.
  • 小橋 芳浩, 園田 康男, 石谷 栄一, 原田 洋, 諸岡 孝明, 増田 祥男, 諸岡 正明
    2010 年 59 巻 3 号 p. 446-449
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    近年腰椎変性疾患に対する低侵襲経椎間孔的椎体間固定術(TLIF)普及し,安定した術後成績が得られている.低侵襲TLIF法にもさまざまな方法があり,当院で行っている低侵襲TLIF法を4群に分け,従来法と比較検討した.検討項目は手術時間,術中出血量,術後CK値,CRP値である.低侵襲法と従来法で,手術時間に有意差はなかった,術中出血量は,Tube retractorを使用する低侵襲法において有意に少なかった.術後CK,値,CRP値は低侵襲法が有意に低かった.術後CK値は低侵襲法のなかでも,筋肉内操作の少ない群がより低値を示していた.これらの低侵襲TLIF法をおこなっても,依然術後遺残腰痛は残存しており,多裂筋などのdenervation対策など筋組織障害へのより低侵襲化が必要ではないかと思われた.
  • 増田 圭吾, 三浦 裕正, 松田 秀一, 岡崎 賢, 田代 泰隆, 岩本 幸英
    2010 年 59 巻 3 号 p. 450-453
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    【目的】同一患者で,片側に最小侵襲による人工膝関節置換術(以下MIS-TKA)対側に従来型TKAを施行した症例について比較し,MIS-TKAの有用性を検討すること【方法】対象は12例24膝.全て女性.11例がOA膝で,1例はRA膝であった.手術時の平均年齢はMIS 76.5歳,従来型74.4歳であった.平均経過観察期間はMIS 22.6ヶ月,従来型51.8ヶ月であった.これらの症例について,Knee society Scoreによる臨床およびX線評価を行い,さらにアンケートを用いて,術後疼痛やリハビリ期間に関する患者満足度等について回答を得た.【結果】皮切長,術後疼痛,リハビリ期間については,MIS側の満足度が高かった.臨床およびX線評価では,両側間に有意差は認めなかった.RA膝に対して行ったMIS-TKA 1例に,術後滑膜インピンジメントにより,関節鏡下に滑膜切除を必要とした.
  • 永山 盛隆, 石原 昌人, 古堅 隆司, 富山 聡
    2010 年 59 巻 3 号 p. 454-460
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    当院では平成18年9月よりDirect anterior approachによるMIS THAを行っている.その有用性を検討した.症例は23例25股(男1例1股,女22例24股)でOA 23股,ION 2股,1例に対し両側同時THAを行った.使用機種は全例AESCULAP社製BiCONTACTである.年齢は平均62.1歳(20~80歳),BMIは平均24.5(21.3~30.9),手術時間は平均119分(70~246分),術中出血量は平均901 ml(504~1611 ml),術後入院期間は平均19日(13~88日),術後CRP平均値の推移は3日目10.0 mg/dl,7日目4.3 mg/dl,14日目1.2 mg/dlであった.術中合併症は大腿骨近位部骨折1股,カップ設置不良1股,大転子骨折を2股に認めた.術中透視下でカップとステムの設置状態を確認することで,低侵襲性で有用な手術法と評価している.
  • 神囿 純一, 石堂 康弘, 土持 兼之, 香川 陽一, 栫 博則, 小宮 節郎
    2010 年 59 巻 3 号 p. 461-463
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    我々は,2006年以降,後側方アプローチによるMIS-THAに取り組んでいる.我々は,小皮膚切開,深部軟部組織に対する損傷軽減,出血量減少,手術時間短縮,術後疼痛軽減,合併症軽減などを総合的に達成し,術後早期離床,早期退院,早期社会復帰を達成する方法全般をMIS-THAと考えている.2006年より,総合的に侵襲を小さくするMIS-THAへの取り組みを行い,その一環として皮膚切開も見直し,小切開で可能な症例には皮膚切開を8-9 cmに変更し,THAを行っている.出血量減少,手術時間短縮を達成でき,合併症増加もなく,一定の効果がみられている.しかし,皮膚切開の短縮には限度があり,小切開THAの適応になりにくい因子が存在していた.皮膚切開縮小にだけこだわるのでなく,あくまでトータルな意味での低侵襲手術を目指すべきである.
  • 横内 雅博, 永野 聡, 有島 善也, 寺原 幹雄, 八尋 雄平, 善明 美千久, 小宮 節郎
    2010 年 59 巻 3 号 p. 464-467
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    骨盤部発生肉腫に対する外科治療においては,切除後の再建方法がしばしば問題となる.今回我々は臼蓋部発生軟骨肉腫の広範切除後にパスツール自家処理骨を用いて再建し,再手術を必要とせず約10年を経過した症例を経験したので報告した.症例は手術時年齢56歳女性.臼蓋から恥骨にかけての腫瘤を認め,組織学的に軟骨肉腫と診断された.臼蓋上部から恥骨結合まで患側の骨盤を一塊として切除し,60度30分で加温した後に元の位置にプレート固定した.術後約10年の現在,レントゲンでは移植骨の骨癒合は得られており,疼痛なく全荷重が可能である.MSTSの機能評価では66.6%であるが,20分程度の連続歩行が可能であり生活は自立している.腫瘍切除後の骨盤再建においてパスツール自家処理骨は長期安定した成績を確保できる可能性があると考えられた.
  • 岩永 隆太, 村松 慶一, 田口 敏彦, 伊原 公一郎
    2010 年 59 巻 3 号 p. 468-471
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    骨盤原発悪性腫瘍広範切除後の再建は非常に苦慮し,特に寛骨臼部発生例では人工関節や関節固定術が行われてきたが,その機能改善は満足するまでは得られない.我々はP2原発悪性腫瘍に対して,血管柄付き腓骨移植と術中体外照射骨を用い再建した2例を報告する.【症例1】14歳男性.骨肉腫Stage IIb例.骨腫瘍をEn Blockに広範切除し60Gyで照射を行い,元位置に返納しプレートで内固定した.移植腓骨は恥骨から腸骨まで骨切り部をまたぎ骨盤輪を再建するように設置した.術後2年で小走りも可能となった.【症例2】44歳男性.軟骨肉腫Stage Ib例.症例1と同様の手術を行った.術後7年で疼痛少なく歩行可能である.【結論】術中照射骨による再建は1989年Uyttendaele等によって導入され,骨腫瘍に限られた固有の再建方法である.照射骨は形状の適合に優れるものの壊死骨であるため,血管柄付き骨移植との併用が再血行化や力学的強度の補強の点で有用である.
  • 米田 晋, 前原 博樹, 當銘 保則, 田中 一広, 金谷 文則
    2010 年 59 巻 3 号 p. 472-475
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    左大腿骨遠位部の骨肉腫に対して,術前化学療法後に広範切除術および液体窒素処理自家骨を用いた再建術を施行し,膝関節を温存し得た症例を経験したので報告する.症例は9歳男児,主訴は左膝痛であった.2週間前より特に誘因なく左膝痛が出現した.近医にて悪性骨腫瘍を疑われ,当科へ紹介された.単純X線像で左大腿骨骨幹端外側に不整な骨硬化像とCodman三角を認めた.MRIでは,左大腿骨遠位に骨端線を越えてT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を呈し,強い造影効果を示す骨外病変を伴う腫瘍性病変を認めた.切開生検術を施行し,骨形成型の骨肉腫と診断した.術前化学療法を行い,広範切除術および液体窒素処理自家骨を用いた再建術を施行した.術後6ヵ月で再発・転移なく,坐骨支持免荷装具を用いて独歩可能である.骨接合部には仮骨を認め,液体窒素処理骨の圧潰,骨折は認めず,良好な患肢機能が得られている.
  • 當銘 保則, 前原 博樹, 田中 一広, 金谷 文則
    2010 年 59 巻 3 号 p. 476-480
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    KLS systemの術後成績,腫瘍学的転帰,術後合併症,人工関節累積生存率,術後患肢機能評価(MSTS score)について報告する.対象は,大腿骨悪性骨腫瘍9症例(男2例,女7例),手術時年齢は16~83歳,経過観察期間は3~97ヵ月であった.原疾患は骨肉腫3例, Ewing肉腫3例,転移性骨腫瘍3例,再建部位は大腿骨全長1例,近位部3例,遠位部5例であった.腫瘍学的転帰はCDF 4例,NED 3例,DOD 2例であった.術後合併症は深部感染を2例に認めた.その他の合併症として人工関節の緩みや折損は認めなかった.人工関節の3年,5年累積生存率は各々87.5%,58.3%であった.MSTS scoreは平均81%であった.KLS systemの治療成績は短期では良好であった.今後症例数の蓄積と長期の観察が必要であり,感染症の克服が今後の課題と考えられた.
  • 富田 雅人, 熊谷 謙治, 野崎 義宏, 進藤 裕幸
    2010 年 59 巻 3 号 p. 481-485
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    【はじめに】当科において8例の大腿骨遠位部に発生した悪性骨腫瘍に対して,腫瘍用人工関節KLS systemを用いて治療を行った.今回その治療成績を調査した.【症例】男性5例,女性3例.手術時時平均年齢は34.9(16-69)歳であった.疾患は,傍骨性骨肉腫3例,骨肉腫2例,骨原発平滑筋肉腫2例,Ewing肉腫1例であった.術後経過観察期間は6ヵ月~5年6ヵ月(平均2年7ヵ月)であった.【結果】術後,腫瘍の再発・転移をみとめた症例はなかった.全例独歩可能であった(歩行時杖使用3例).1例で大腿骨ステムが折損し再置換を行った.膝関節の平均可動域は,屈曲89.4(45~120)度,伸展-2.5(-10~0)度であった.【考察】今回,短期成績であるが,KLS systemは比較的良好な術後成績が得られた.しかしながら成績不良例も含まれており,更なる治療成績向上のために,本システムの問題点や用いる際の注意点を明らかにしたい.
  • 田中 尚洋, 中原 信一, 内田 雄, 朝長 匡
    2010 年 59 巻 3 号 p. 486-488
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    癌患者に有痛性骨転移が発症する頻度は多く,病的骨折に至ることも稀ではない.当科で治療した病的骨折の10例を報告する.症例は2004~2009年に治療した10例15肢.男性6例,女性4例で年齢は43~81歳であった.原発巣は,肺癌3例,腎癌2例,肝癌2例,乳癌2例,多発性骨髄腫1例であった.骨折部位は大腿骨9肢,上腕3肢,前腕2肢であった.手術方法は髄内釘で内固定を行った.術中出血量は少量~1120 gであった.術後,疼痛は全例で軽減,消失し,外固定を要した症例はなかった.術後の生存期間は平均9ヵ月(2週~23ヵ月)であった.病的骨折の治療に関する注意すべき合併症として,出血,感染,肺血栓塞栓症などがある.本症例では感染や肺血栓塞栓症を呈した例はなかったが,3例で術中に多量出血した.病的骨折の治療に関する注意点を検討し,治療方針について考察した.
  • 櫻井 真, 中川 広志, 山口 史彦, 原 康二, 花田 弘文, 藤原 明, 吉村 豊暢, 原 道也, 岩隈 昭夫
    2010 年 59 巻 3 号 p. 489-492
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    15歳男性.主訴は右環指の冷感.3年間の野球経験あり.2009年7月初旬,右小指球部を床で打撲した.受傷3週後より右環指の冷感を自覚したため当院初診となる.右尺骨動脈でAllen test陽性であり,指尖部温度は右環指28.0℃と健側と比し-4.5℃と低値を示しており,他指も軽度ではあるがそれぞれ低下していた.超音波検査では有鉤骨やや遠位のレベルで尺骨動脈に動脈瘤を認め,同部位より末梢では血流を認めるものの,橈骨動脈を圧迫することによりその血流が微弱化することが確認できた.指尖脈波は右環指で振幅の低下を認めた.血管造影検査では尺骨動脈の末梢側で高度の狭窄がみられ造影遅延が認められた.狭窄部より末梢の血管は比較的スムーズであったが浅手掌弓へのフローは確認できなかった.以上より右Hypothenar Hammer Syndromeと診断し,動脈瘤切除及び血行再建術を施行した.術後約1カ月の時点で指尖部温度・脈波ともに改善し,症状も消失している.
  • 村岡 邦秀, 尾上 英俊, 木村 一雄, 斉田 光, 林 武, 野田 大輔
    2010 年 59 巻 3 号 p. 493-496
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    舟状骨骨折に対しDTJ screwによる治療を行い良好な成績を得たので報告する.対象は2005年2月から2008年12月までの間に手術を行い2ヶ月以上経過観察し得た22例である.手術時年齢は平均26歳(16~80歳)で,骨折型はHerbert分類のA2:17例,B1:1例,B2:1例,C:3例であった.手術時間は平均18分(10~44分)で,骨癒合までの期間は平均11週(4~34週)であった.術後外固定期間は骨折型によって差はあるものの平均3週(1~7週)でありDTJ screwには術後の外固定期間を短くしても骨癒合に十分な固定力があるといえる.
  • 松元 敬, 井上 敏生, 碇 伸博, 白地 仁
    2010 年 59 巻 3 号 p. 497-500
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    【目的】橈骨遠位端骨折に対するロッキングプレートでの固定方法は,良好な治療成績が報告されている.当院で,掌側ロッキングプレートを用いて治療された症例の治療成績を報告する.【対象と方法】掌側ロッキングプレートにて治療した19例(男性8例,女性11例).年齢平均は60歳,経過観察期間平均4.8ヶ月.骨折型:AO分類;A2;5例,B3;1例,C1;3例,C2;3例,C3;7例である.プレートはDRP,LCPの2種を使用した.評価には,術直後と最終調査時のX線計測と斉藤の治療評価を用いた.【結果】X線評価は,術直後平均UV:-0.5 mm,RI:19.5°,VT:7.1°で,最終調査時平均UV:0.9 mm,平均RI:22.6°,平均VT:9.3°であった.斉藤の治療評価では,excellentが14例,goodが5例,fair,poorが0例で,良好な成績が得られた.
  • 村岡 静香, 佐々木 誠人, 小田 孝明, 古江 幸博, 川嶌 眞之, 永芳 郁文, 本山 達男, 小柳津 卓哉, 田村 裕昭, 川嶌 眞人
    2010 年 59 巻 3 号 p. 501-505
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    稀な鎖骨近位骨端離開を2症例経験したので報告する.症例はともに11歳男児で柔道の試合中の受傷であった.2例ともX線検査,CT検査により鎖骨近位端の後方転位が明らかとなった.胸鎖関節脱臼又は鎖骨近位骨端離開と考え,全身麻酔下に徒手整復を試みたが困難であり観血的整復を行った.手術所見で後方転位した鎖骨骨折端を確認した.胸骨側に骨端部を認め,骨端離開と診断した.整復後,鎖骨バンドによる外固定を行った.両症例とも術後に症状は著明に改善し経過良好である.鎖骨近位骨端離開は稀な外傷で,胸鎖関節脱臼と鑑別を要するが,臨床症状,画像所見による診断は困難なことが多い.過去の報告として徒手整復が困難で観血的整復を要した後方転位例が散見された.骨端線閉鎖以前の骨端離開では,整復困難な可能性を考え,観血的整復を行った方が良いと思われる.
  • 近藤 超子, 野口 雅夫, 辻 正二, 銅川 博文, 森 愛, 松尾 洋昭
    2010 年 59 巻 3 号 p. 506-509
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    2003年から2008年の間で,当院にて骨接合術を実施した鎖骨骨折45例中,プレート固定を行った鎖骨遠位端骨折17例を対象として検討した.男性14例,女性3例,受傷時平均年齢は41.5歳(13~59歳),受傷側は右11例,左6例,手術までの平均待機期間は10.5日(3~23日),受傷機転は交通事故5例,転倒・転落7例,スポーツ5例,平均観察期間は12.5ヶ月(5~36ヶ月)であった.骨折型はRobinson分類を用い,17例全例がType3B1であった.使用したインプラントはScorpion plate 10例,Hook plate 7例であった.内固定材料別に比較した結果,骨癒合期間に有意な差を認めなかった.Scorpion plateを使用した症例では合併症を認めず,Hook plateを使用した症例では2例に可動域制限を認め,抜釘後に改善した.
  • 永田 武大, 井手 淳二, 菊川 憲志, 水田 博志
    2010 年 59 巻 3 号 p. 510-514
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,女性.現病歴:転倒し右手をついて受傷,近医にて右上腕骨近位端骨折の診断にて4週間の三角巾固定後,リハビリが開始された.受傷4カ月後も挙上障害が続くためMRIを施行され,右肩関節後方脱臼骨折を認めたため当科紹介となった.初診時現症:右肩後方に骨性突出を認め,屈曲5°,外旋-40°,内旋不能であった.JOAスコアは26点であった.単純X線・CTにて,骨頭は後方へ脱臼し,小結節から大結節の骨片が転位し変形癒合していた.疼痛残存しADL障害を認めた.受傷5ヶ月後,観血的整復術を施行した.後療法は術後3週まで下垂中間位に外旋装具固定し,術後6週まで外転30°・軽度内旋位に腋窩枕装具にて固定した.術後6週より自動運動を行った.術後5ヵ月の現在,安静時・運動時痛なく,可動域は屈曲150°(他動),外旋30°,内旋L5と改善した.JOAは83点に改善した.洗顔動作も可能となり,患者の満足度は高かった.
  • 森脇 伸二郎, 木戸 健司, 國司 善彦, 越智 康博, 舩場 真裕
    2010 年 59 巻 3 号 p. 515-518
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    2004年6月から2009年7月までの上腕骨遠位端骨折の治療経験について報告する.対象は9例で全例女性,平均年齢は79.2歳(66~87)で,骨折型はAO分類A2が7例,B2,C3が各1例であった.手術方法は,ONI plateが5例,HS固定が2例,Cannulated screwが1例,K-wire固定が1例であった.術後外固定期間は平均22.8日(0~64)であった.骨癒合は9例中8例にみられた.術後合併症は橈骨神経麻痺1例,肺梗塞1例であった.最終肘関節可動域(術後平均観察期間平均12.2ヶ月)は伸展が-21°(-30~-5),屈曲101.1°(90~125)であった.高齢者では強固な内固定と早期のリハビリテーションが必要であり,ONI plateに代表されるロッキングプレートの導入によってこの問題は解決されつつあるが,骨折型によってはなお工夫を要する症例もある.
  • 光武 慎一朗, 半仁田 勉, 佐藤 元紀, 宮井 保尚
    2010 年 59 巻 3 号 p. 519-522
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    上腕骨遠位部骨折は治療に難渋しやすい代表的な骨折である.今回我々は上腕骨遠位部骨折に対してLCP Distal Humerus Plateを用いて観血的骨接合を行った9例(男性4例,女性5例)を経験した.骨折型はAO分類で13-A23例,A3 1例,B1 2例,C1 1例,C2 1例,C3 1例であり,9症例中7症例にdouble plateを用いて骨接合を行った.結果は全症例で骨癒合が得られ最終観察時平均JOA scoreは90.4点,Jupiter評価はexcellent 6例good 2例fair 1例であった.DHPはアナトミカルロッキングプレートであり粉砕骨折や骨質不良例に対しても早期可動域訓練に耐えうるだけの安定性を得ることができ,今後も本骨折における内固定材料として第一選択になると考えられる.
  • 中馬 東彦, 野村 一俊, 橋本 伸朗, 福元 哲也, 前田 智, 松下 任彦, 平井 奉博
    2010 年 59 巻 3 号 p. 523-527
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    治療に難渋しやすい高齢者の上腕骨遠位端骨折に対し,LCP Distal Humerus Plate(以下LCP-DHP)を用いて手術を行った症例を経験したので報告する.2008年7月から2009年7月までに当院にて手術を行った65才以上の上腕骨遠位端骨折症例は11例で,年齢は平均76.5才.全例女性で,AO分類ではtype A2が7例,A3,B1,B2,C2が各1例であった.内固定はLCP片側固定が5例,LCP両側固定が3例,外側LCP+中空螺子固定が3例だった.術後合併症として1例にロッキングスクリューのカットアウトを生じ再手術となったが,他はすべて骨癒合が得られた.LCP-DHPは上腕骨遠位端骨折の固定を目的に開発されたanatomical locking plateで,これまで難渋していた骨粗鬆の骨折でも術後高い安定性を得ることが出来る.これにより早期の可動域訓練を開始することが可能であるが,強度の骨粗鬆症骨折ではスクリューのカットアウトを起こす可能性があるため,ダブルプレーティングが望ましく,かつ術後リハビリは慎重に行う必要がある.
  • 青柳 孝彦, 鶴田 敏幸, 峯 博子, 可徳 三博
    2010 年 59 巻 3 号 p. 528-532
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    外傷性肩関節前方不安定症を有するスポーツ選手32例[男性23例,女性9例,平均年齢20.1歳(16-32歳),初回脱臼12例,複数回脱臼20例]を対象に術後1年時の成績を調査した.術後1年時の日本肩関節学会肩関節不安定性評価は84.2点,日本肩関節学会肩のスポーツ能力評価は80.5点であり,競技復帰率は90.6%であった.再脱臼は2例(6.3%)であり,いずれもラグビー選手であった.選手としての能力の項目において,障害前のレベルよりダウンしたと回答した症例の多くはオーバーハンド種目,利き手側の手術例であった.鏡視下バンカート法はスポーツ選手の受傷例にも有用な治療法ではあるが,コンタクトスポーツやオーバーハンド種目の利き手側に対しては,さらに治療成績向上の対策が必要である.
  • 崎浜 智美, 石田 康行, 矢野 浩明, 山本 惠太郎, 河原 勝博, 田島 卓也, 山口 奈美, 深尾 悠, 河野 雅充, 帖佐 悦男
    2010 年 59 巻 3 号 p. 533-535
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    我々は疼痛や可動域制限を有する変形性肘関節症に対して関節鏡視下関節形成術を行なっている.今回,その短期成績を報告する.症例は変形性肘関節症に対し肘関節鏡を施行し術後4ヶ月以上経過観察可能であった5例5肘で男性5肘を対象とした.手術時平均年齢は54.0歳,平均経過観察期間は14.2ヶ月であった.評価方法として,術前後の日本整形外科学会肘機能評価法(JOAスコア)および可動域,合併症の有無で評価した.JOA肘スコアは平均69.0点から91.2点に,可動域は屈曲が平均106.4度から115.6度に,伸展が平均-12.4度から-3.6度と改善が見られたが,術前可動域制限が強い症例での改善度が低い傾向にあった.術後合併症は全例なかった.変形性肘関節症に対する鏡視下手術は組織への侵襲が少なく,有効な手術法であるが,術前可動域制限が強い症例では手術手技の更なる検討が必要である.
  • 柳澤 哲大, 中村 英一, 田中 あづさ, 鬼木 泰成, 西岡 宏晃, 水田 博志
    2010 年 59 巻 3 号 p. 536-540
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    われわれは治療に難渋した踵骨アキレス腱付着部裂離骨折の一例を経験したので報告する.症例は34歳,女性で,既往に1型糖尿病があった.階段を踏み外し左踵部を打撲した際,左踵部痛を自覚した.近医にて踵骨アキレス腱付着部裂離骨折と診断され当院へ紹介となった.初診時,左踵部に骨性膨瘤と皮下出血を認め,単純X線では踵骨隆起部が上下2つに割れ,上方の骨片は近位へ著明に転位していた.裸子による骨接合術後4日目に誤って左足を着き近位骨片の再転位をきたした.suture wireにより再固定し,超音波療法を併用した.また創部の皮膚に潰瘍を生じ悪化したため,高圧酸素療法や皮弁形成術を施行した.現在は術後半年が経過し,骨癒合は得られ皮膚潰瘍も完治している.
  • 福山 勝朗, 今林 正明, 大迫 浩文, 矢崎 雄一郎, 村山 隆, 今林 正典, 坂本 光
    2010 年 59 巻 3 号 p. 541-544
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    外傷後に発生した足背部の深い皮膚欠損創に対して,創傷被覆材を用いた湿潤閉鎖療法を行い,比較的短期間で治癒した2症例を経験したので報告する.(症例1)50才,男性.未治療の糖尿病を合併.足背部を打撲し数日後に感染症状が出現.切開排膿・デブリドマン後,7×6 cmの深い皮膚欠損創が残存.ハイドロファイバーを用いて湿潤閉鎖療法を行い,12週で治癒した.(症例2)66才,女性.DM,RA,下肢DVTの治療中.足背部の軽微な外傷後,巨大な皮下血腫を発症.血腫除去後,6×5 cmの深い皮膚欠損創が残存.穴あきポリウレタンフィルム法を行い,12週で治癒した.(考察)湿潤閉鎖療法を行う際に,過剰な滲出液のコントロールが困難な症例に遭遇する.これを解決する一手段として,穴あきポリウレタンフィルム法を紹介した.
  • 藤井 賢三, 村松 慶一, 小笠 博義, 重冨 充則, 桑原 嘉一, 伊原 公一郎, 田口 敏彦
    2010 年 59 巻 3 号 p. 545-548
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    【目的】血管柄付き腓骨採取後の合併症の1つに足趾の鉤爪変形がある.今回当科にて足趾鉤爪変形に対し手術治療を要した症例を検討し,その原因と術式選択について報告する.【方法】過去25年間139例の血管柄付き腓骨採取例のうち,7例(5%)に物につまずくなどの愁訴を改善する目的で手術を施行した.【結果】手術術式は,比較的若年者で変形を認めてからの経過が短い患者4例では足関節内果後方で長母趾屈筋(FHL)の腱延長を行い,それ以外の3例では腱切離を行った.いずれの症例もFHL腱の引き出しで滑走が悪く,筋短縮性拘縮に陥っていた.術後全例,鉤爪変形は全足趾ともに矯正され,愁訴は術後早期に改善し,母趾屈曲も可能であった.【結論】鉤爪変形は,足関節内果後方でのFHLの延長術,切腱術いずれでも矯正可能で愁訴は良好に改善する.
  • 蓑川 創, 吉村 一朗, 金澤 和貴, 竹山 昭徳, 井田 敬大, 萩尾 友宣, 今村 尚裕, 内藤 正俊
    2010 年 59 巻 3 号 p. 549-555
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    外反母趾を合併した外反扁平足に対して外側支柱延長固定術とdistal lineal metatarsal osteotomy(以下DLMO法)を施行した2例を経験した.症例1 68歳女性 HV角40°,M1M2角17°の重症の外反母趾とJohnson分類stage IIの外反扁平足を認めた.症例2 64歳女性 HV角50°,M1M2角21°と重症の外反母趾とJohnson分類stage IIの外反扁平足を認めた.2症例ともにDLMO法と外側支柱延長固定術を同時に施行した.術後1年のX線で,HV角(症例1:10°,症例2:12°),M1M2角(症例1:12°,症例2:12°)は改善し,また外反扁平足も矯正されていた.
  • 伊原 公一郎, 峯 孝友, 桑原 嘉一, 伊藤 裕
    2010 年 59 巻 3 号 p. 556-559
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    歌舞伎メーキャップ(Kabuki make-up)症候群は特有な顔貌,軽度知能低下と発育遅延などを特徴とする先天性疾患であるが,この度本症に続発した関節障害を治療する機会を得たので報告する.症例は24歳,女性で,低出生体重児で幼児期より肺炎を繰り返し,また口蓋裂,心房中隔欠損などを合併していた.6歳頃より手,足関節の脱臼を認めるようになり,12歳頃から膝蓋骨脱臼を繰り返すようになった.20歳時に転倒して右膝蓋骨を脱臼し当科紹介となった.初診後4年間の経過中両膝に対して,それぞれ初回手術として脛骨結節内方移動術,再発後内側膝蓋大腿靱帯(MPFL)再建術を行った.また両遠位橈尺関節での尺骨頭背側脱臼に対してHui-Linscheid法,左弾発股に対してZ形成術を行った.術後,脱臼や弾発現象は消失しリハビリを継続している.本症の診療においては膝関節,手関節,股関節などの不安定性の有無に十分留意すべきである.
  • 近藤 梨紗, 松元 征徳, 本部 浩一, 村上 弘
    2010 年 59 巻 3 号 p. 560-563
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    小児の上腕骨外側上顆骨折は稀な損傷であり,その診断や肘関節不安定性の評価は難しい.さらに本骨折の転位から起こる偽関節や後外側回旋不安定性は合併症として報告されてきた.症例は,13歳男性.バスケットボールの試合中に左手をついて受傷し,左肘関節痛を主訴に当科を紹介受診.肘関節は外側のみに腫脹圧痛を認めた.X線にて外側上顆骨折を認め,遠位に転位していた.透視下に左肘関節の内反不安定性と後外側回旋不安定性を確認した.手術は,鋼線締結圧迫固定法により骨折部を整復固定した.術中に不安定性の消失を確認した.術後4カ月で,骨癒合は良好で,疼痛なく可動域制限も認めない.
  • 瓜生 拓也, 坂井 健介, 吉田 健治, 山下 寿, 田中 憲治, 吉松 弘喜, 神保 幸太郎, 田中 順子, 中村 秀裕, 本多 弘一, ...
    2010 年 59 巻 3 号 p. 564-568
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    小児上腕骨外顆骨折に対して,tension band wiring(以下TBW)法を用いた手術治療成績の検討を行った.2000年1月から2007年12月までにTBWを用いて当院で手術を施行した小児上腕骨外顆骨折全88例中,他の合併損傷がなく,かつ術後1年以上経過観察し得た40例(男33例,女7例)を対象とした.年齢は平均5.3歳(2-11歳),経過観察期間は平均29.3か月,抜釘時期は術後平均17.7週であった.骨癒合率は100%,肘関節可動域およびcarrying angleは健側と有意差を認めなかった.上腕骨顆部は外顆幅および外顆長で健側と比べ有意に増加を認めており,外顆部過成長の関与が示唆された.軽度の内反肘は2例に合併したが,追加の手術を要することはなく,その他感染,異所性骨化,成長障害,神経麻痺等の合併は認めなかった.TBW法による内固定は本外傷に対し極めて有用であると思われた.
  • 野田 大輔, 尾上 英俊, 木村 一雄, 斉田 光, 林 武, 村岡 邦秀
    2010 年 59 巻 3 号 p. 569-572
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    小児橈骨頚部骨折の整復治療には徒手整復,経皮的整復,観血的整復がある.徒手整復や経皮的整復は橈骨頭傾斜角度が60度未満では最初に行われる治療である.観血的整復は骨頭壊死や近位橈尺関節癒合等の重篤な合併症を起こす危険性が高くなるため,症例を限定するべきであると思われる.今回我々は2001年から2008年の間に小児橈骨頚部骨折6例に対し,直径2.4mmのKirschner鋼線を用いて経皮的整復固定術を行い,良好な結果が得られたため若干の文献的考察を加え報告する.
  • 古江 幸博, 田村 裕昭, 佐々木 誠人, 永芳 郁文, 本山 達男, 川嶌 眞之, 村岡 静香, 小柳津 卓哉, 川嶌 眞人
    2010 年 59 巻 3 号 p. 573-577
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    小児の上腕骨顆上骨折と前腕遠位部骨折の同一上肢合併症例を5例経験した.男児3例,女児2例,受傷時年齢は2歳から9歳である.上腕骨顆上骨折は,阿部分類II型1例,III型1例,IV型3例で,全例に徒手整復+経皮的鋼線刺入固定術を行った.橈骨遠位部骨折は,全例背屈転位型骨折で骨端離開が1例,他4例は骨幹端骨折であった.若木骨折2例はギプス固定を行い,転位例3例は徒手整復+経皮的鋼線刺入固定術を行った.尺骨遠位骨幹端に4例若木骨折を認め,全例保存的に加療した.3例に直接検診し,Flynnの修正評価基準では手関節,前腕,肘関節のfunctional factorは全例Excellentであったが,cosmetic factorでは,内反肘を呈した1例がpoorであった.この外傷は,上腕骨顆上骨折の治療を如何に合併症なく行うかが重要である.
  • 松本 淳志, 香月 一朗, 田山 尚久, 平野 薫, 藤田 秀一, 里村 匡敏, 田中 孝明, 木村 岳弘
    2010 年 59 巻 3 号 p. 578-580
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    今回,我々は非常に稀な小児の骨盤輪骨折を経験したので報告する.症例は9才男児,停車中の軽自動車の後ろで遊んでいたところ,車の下敷きとなり当院へ救急搬送された.骨盤部CTを施行したところ左仙腸関節脱臼骨折及び後腹膜内出血を認めた.緊急血管造影を施行したが,明らかな動脈性出血は認めなかった.仙腸関節脱臼の離開は軽度であり,患側からのスポンジ牽引と骨盤部固定装具を装着し保存的治療を行った.受傷2週目より仙腸関節近傍に仮骨を認めた.受傷10週目より全荷重で歩行を開始したが骨盤部に疼痛の残存なく,自宅退院した.仙腸関節脱臼は一般的に骨折ではないため仮骨による骨癒合は起こりにくいと言われている.しかし,今回の症例は小児であり受傷早期より仮骨を認め,疼痛の残存無く治癒した.
  • 江頭 秀一, 古市 格, 村田 雅和, 宮田 倫明, 森口 昇, 塚本 正紹, 依田 周
    2010 年 59 巻 3 号 p. 581-585
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    精神的・肉体的に未熟な幼少期の大腿骨骨幹部骨折について当科における治療成績,合併症を調査・検討した.対象は小児大腿骨骨幹部骨折9例9肢.性別は男児8例,女児1例,受傷時年齢は平均6.1歳であった.経過観察期間は平均15か月であった.治療法は直達牽引後ギプス固定3例,創外固定1例,プレート固定術3例,経皮ピンニング2例であった.合併症は2症例に起こり,1例は直達牽引ピン刺入部感染を起こし,ギプス固定中に変形癒合となった.もう1例は創外固定ピン刺入部感染を起こし,抜去後に再骨折した.最終的にプレート治療を行ったが現在異常骨化を認めている.最終的には全例骨癒合した.これらの経験をふまえ,現在当科では早期に経皮ピンニングを行う方法を選択している.この治療法の利点は低侵襲でかつ骨折部が比較的安定し患者・医療スタッフの負担が軽減するなどが挙げられ,有用な治療法の一つと考えられる.
  • 森本 忠嗣, 會田 勝広, 園畑 素樹, 馬渡 正明, 佛淵 孝夫
    2010 年 59 巻 3 号 p. 586-589
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    【背景】変形性股関節症(以下,OA股)では腰椎側弯(以下,LS)合併が稀ではなく,脚長差が一因と考えられているが詳細な検討例は少ない.【目的】OA股における脚長差と腰椎側弯カーブの方向との関係について調査すること.【対象と方法】初回人工股関節置換術を行った片側OA股437例(男性56例,女性381例,平均年齢62歳)の脚長差とLSカーブの方向について調査した.脚長差は10mm未満,10mm代,20mm代,30mm以上の層に分類し,層別のLS頻度(Cobb角5°以上),LSカーブ方向と層別尤度比を調査した.【結果】LS頻度は40%であり,内訳は患側凸26%,健側凸14%であった.層別尤度比の検討からは,30mm以上の層のみでLS頻度,患側凸頻度は有意に高くなった.【考察】片側OA股では30mm以上の脚長差で腰椎への負荷は一定方向となり患側凸のLSが発生しやすいことが示唆された.
  • 久保田 徹也, 大湾 一郎, 池間 康成, 新城 宏隆, 山内 貴敬, 金谷 文則
    2010 年 59 巻 3 号 p. 590-593
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    人工股関節再置換術において,術前・術中の大転子骨折,あるいは大転子切離後の再接合にGreater Trochanteric Reattachment System(以下GTR)を使用し,X線学的成績を検討した.対象は2002年10月から2008年3月までの間にGTRを使用した7例7股で,男性1例,女性6例,手術時平均年齢は68歳,平均経過観察期間は3年7ヵ月であった.X線像より大転子の骨癒合,cableの破損,GTR周囲の骨融解の有無を評価した.大転子の骨癒合は7例中5例で得られた.偽関節1例でcableの完全断裂を認め,cableがほつれて断片化し大腿部遠位で塊状となり,広範な骨融解を伴っていた.cableのほつれや断片を認めた場合,cableの完全断裂やlooseningを来す前兆と思われ,放置すると広範な骨融解を合併する恐れがありGTRの抜去を検討すべきであると思われた.
  • 村上 勝彦, 角南 勝利
    2010 年 59 巻 3 号 p. 594-596
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    人工股関節ステム周囲骨折(Vancouver分類B1)に対する骨接合術はステムが存在するため強固な固定が困難であり,治療に難渋することも多い.今回Cable system& Periprosthetic screwsを用いて治療した症例を経験したので報告する.人工股関節置換術(THA)・人工骨頭置換術(BHP)後のステム周囲骨折に対して本システムを用いて手術を施行した2例である.2例とも女性で受傷時年齢は86歳と84歳,初回手術はTHA 1例,BHP 1例である.骨折型は2例ともVancouver分類B1である.本システムを用いて固定術を行なった.固定性は良好で周術期の合併症も認めなかった.術後3ヶ月までに2例とも骨癒合が得られており,ステムの沈下,ワイヤー・スクリューの緩みや折損も認めていない.本システムは人工関節周囲骨折治療のために開発されたシステムで,LCPとの組み合わせが可能であり,様々な骨折形態に対応している.従って人工関節周囲骨折に対し安定した固定性が期待できる.
  • 田中 寿人, 小峯 光徳, 秋山 菜奈絵
    2010 年 59 巻 3 号 p. 597-600
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    【目的】骨代謝マーカーは治療薬選択の一つの根拠となるが,尿での測定は測定変動が大きいとされている.今回,入院治療症例にNTXを尿と血清同時測定した.【方法】症例は平成21年1月~4月に当施設に入院治療した30例.男性8例,女性22例.年齢は51才~95才,平均80.2才.尿中NTXは骨折リスクのカットオフ値54.3以上だが,血清NTXは骨折リスクのカットオフ値24.0以下であったものは8例(26%)であった.一方血清NTXは24.0以上で,尿NTXが54.3以下の症例はなかった.【結語】血清NTXが正常だが,尿NTXが高値を示す症例があった.尿マーカーが血清マーカーより劣るとの科学的根拠はないが,今回の結果では明らかに尿NTXは変動が多いと思われた.外来患者には,尿検査の方が簡便で適しているが,明らかに異常高値を示す場合は原発性骨粗鬆症以外の骨疾患の検索と血清NTXの再検が勧められた.
  • 金丸 由美子, 西村 誠介, 井上 拓馬, 島内 誠一郎, 白石 雅也
    2010 年 59 巻 3 号 p. 601-605
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    【目的】65歳以上の大腿骨近位部骨折手術症例の生命予後および予後因子について検討すること.【対象と方法】2003年1月から2008年12月までに当院で手術を行った627例を対象に,カルテ・郵送質問による調査を行い,死亡率の推移,死因,手術待機日数,術式について検討した.【結果】5年生存率は63.5%,術後1年死亡率は14.1%で最も高かった.死因の83.5%は術後新たに発症した疾患で,肺炎が最多だった.術前合併症の有無,手術待機日数により死亡率に有意差は認めなかった.1年死亡率は年々減少しており,術式の推移と相関していた.sliding hip screw(以下CHSタイプ)はshort femoral nail(以下γタイプ)の1.4倍死亡率が高かったが,調査当時当院ではCHSタイプはγタイプよりも離床時期が遅かった.【結論】大腿骨近位部骨折は生命予後不良因子であり,特に術後1年死亡率が高かった.術前合併症の有無,手術待機日数は死亡率に影響せず,術後早期離床により新たな合併症の発症を防止することで死亡率が減少する可能性が示唆された.
  • 岸本 勇二, 岡野 徹, 豊島 良太
    2010 年 59 巻 3 号 p. 606-609
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    【目的】大腿骨骨幹部骨折をきたし,その観血的治療に難渋した骨Paget病の1例を報告する.【症例】74歳,女性.65歳時に骨Paget病と診断され,リセドロネートを処方されていたが,転倒し,右大腿部痛をきたした.単純X線で著明なbowing deformityを伴う大腿骨の骨幹部骨折を認め,骨Paget病に合併した病的骨折と診断した.Ender釘による骨接合を実施したが偽関節となったため,受傷7ヵ月後にケーブルプレートと腸骨移植による偽関節手術を追加した.しかし,やはり骨癒合が得られず,受傷23ヵ月後にアナトミカル形状を有する髄内釘と腓骨移植による偽関節再手術を実施した.その後,良好な骨癒合が得られ,現在は疼痛なく歩行可能である.【考察】偽関節形成の一因として,大腿骨の著明なbowing deformityと固定性不良が考えられ,著明な変形を伴う骨Paget病の骨折に対しては,強固な固定性の獲得と,適切なインプラントの選択が重要と思われた.
  • 大藤 勇樹, 前田 明子, 守屋 円, 金城 健, 吉田 滋之, 粟国 敦男, 上原 敏則
    2010 年 59 巻 3 号 p. 610-612
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    はじめに:多発脊椎骨折患者の治療を経験したので報告する.症例;統合失調症で近医通院中の36歳女性.2009年5月,5階階段踊り場から墜落し,当院救急室に搬送.来院時shock vitalであり,血管造影,塞栓術実施.塞栓術後,Vitalは安定し,ICU入室.C2ハングマン骨折,L1粉砕骨折,脊髄損傷(来院時FrankelB→ICU入室後FrankelC),不安定型骨盤骨折AO分類typeC2(左仙骨恥骨骨折),TH6,7,8圧迫骨折,両側血気胸あり.受傷11日目,TH11~L3後方固定術,C1,2後方固定術,仙骨プレート固定術3か所の一期的手術を実施.出血1000 ml,全手術時間7時間9分であった.術後4日目抜管,5日目に精神科一般病棟へ転棟.リハビリ継続し,FrankelC,自己導尿訓練中の状態で,術後58日目にリハビリ病院へ転院.術後3カ月目では,平行棒歩行,6ヶ月目ではロフストランド杖1本での歩行可能と,良好な結果を得た.まとめ;早期の一期的な手術により,早期リハビリ可能となり,良好な結果につながった.
  • 依田 周, 古市 格, 村田 雅和, 宮田 倫明, 森口 昇, 塚本 正紹, 江頭 秀一, 浅見 昭彦, 仙波 英之, 野口 康男, 原 真 ...
    2010 年 59 巻 3 号 p. 613-618
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    【背景】骨癒合評価時期について臨床現場や論文で医師間の認識に相違を感じることがあり,骨癒合と判定するタイミングを調査することとした.【方法】1.長崎大学,関連病院および佐賀骨折治療研究会所属医師103名を対象に,大腿骨骨幹部骨折に対して髄内釘を試行したレントゲンを経時的に提示.仮骨出現時期,仮骨架橋構造形成期,骨癒合時期,抜釘可能時期および整形外科経験年数についてメールアンケートを実施した.2.アンケートに用いたレントゲンを画像ソフトで処理し仮骨部の濃度,面積を評価.【結果】1.回答43名,経験年数は平均13.6年.いずれの時期においても医師間による相違が見られ,経験年数による差は見られなかった.2.仮骨部の濃度,面積は仮骨増生が強い時期に最大となり徐々に低下を認めた.【考察】レントゲンによる骨癒合評価は主観的要素や撮影条件により左右され,また整形外科医と放射線科医でも差を生じるとの報告もあり今回の調査でその傾向が認められた.
  • 松本 連平, 中村 英一, 鬼木 泰成, 水田 博志, 甲斐 功一, 鬼木 泰博
    2010 年 59 巻 3 号 p. 619-622
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    【症例】17歳,女性.【経過】バスケットボールの練習中に特に外傷無く,右股関節部を自覚し近医を受診した.単純X線にて明らかな骨折線は認めなかった為,運動制限のみで経過をみるも,疼痛が増強した為当院を受診した.初診時,疼痛性の跛行と右股関節前方に圧痛を認めた.CT検査でも骨折線は認めなかったが,MRI検査で右大腿骨頸部に異常信号を認め右大腿骨頸部疲労骨折と診断した.入院後完全免荷,安静を施行し,4週で部分荷重を許可し,8週で全荷重歩行とした.現在4か月が経過しており,疼痛なく競技へ復帰している.【考察】大腿骨頸部疲労骨折は全疲労骨折の中の1~2%と比較的稀な骨折である.近年のMRI studyでは,明らかな骨折線や骨硬化像がなくても,骨髄内の異常信号により疲労骨折と診断されるようになっている.自験例ではSTIR像でのperiosteal edemaとT1,T2強調像でのbone marrow edemaがみられたことより,Ferco分類Grade3の大腿骨頸部疲労骨折と診断した.
  • 徳永 琢也, 谷脇 琢也, 中村 孝幸, 水溜 正也, 藤本 徹, 瀬井 章, 水田 博志
    2010 年 59 巻 3 号 p. 623-627
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    症例:33歳女性.誘因なく腰痛,下肢麻痺が出現し,発症3日後に精査目的に当院転院となった.転院時,深部感覚障害は認めなかったが,両股関節以下MMT1-2,T11領域以下の感覚過敏,排尿障害を認めた.MRIにてT11-L1高位髄内に,T2WI,DWIで高信号域を認め脊髄梗塞と診断した.造影CTにて,深部静脈血栓(DVT)を認め,抗凝固療法を開始したにもかかわらず肺塞栓症(PTE)を発症したため,血栓溶解療法を行い,D-dimerは正常化した.プロテインC,プロテインS,抗カルジオリピン抗体はいずれも基準値内であった.第55病日で転院となり,現在リハビリテーション施行中である.【考察】脊髄梗塞による下肢麻痺は,DVTの最高危険因子であるが,脊髄梗塞そのものが凝固系異常によるとの報告がある.脊髄梗塞を疑った場合は血栓性素因の検索と共に徹底したDVT対策が必要である.
  • 高井 浩和, 北村 歳男, 松本 善企, 中村 厚彦, 荻本 晋作, 生田 拓也, 前田 智
    2010 年 59 巻 3 号 p. 628-630
    発行日: 2010/09/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism: PTE)は下肢術後に多い.一方で上肢術後の血栓症の頻度は低く,中でも稀な腱板断裂修復術後にPTEを発症した1例を経験したので報告する.69歳,女性.石灰性腱炎・腱板小断裂の診断.全身麻酔下に上肢牽引し小切開で腱の修復と石灰除去を行った.術翌日,更衣体動の際に冷汗と胸部痛が出現.胸部造影CTにてPTEの診断.ヘパリンによる治療を開始し血栓の消失を確認した.その後は現在まで問題なく順調に経過している.今回の塞栓血栓の起源は不明であるが,PTEは腱板修復の術後にも起こり得ることを念頭に置くが必要である.
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