整形外科と災害外科
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60 巻 , 3 号
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  • 浅見 昭彦, 重松 正森, 石井 英樹, 田中 博史, 角田 憲治, 吉原 智仁
    2011 年 60 巻 3 号 p. 365-367
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    肘部管症候群の術後成績はほぼ安定しているが,中には成績不良のものも経験する.今回は142例156肘についてMessinaの術後成績評価を行い,成績はそれぞれ優58肘(37%),良73肘(47%),可25肘(16%),不可0肘(0%)であった.成績が可であった25肘のうち,調査が可能であった17例21肘について検討を加えた.これらは全て罹病期間が長く,術前のMcGowan病期分類ではgrade 3であった.原因疾患では変形性肘関節症が最も多かったが,これに上腕骨顆部骨折や偽関節による変形,頚髄症や糖尿病などによる神経疾患の合併などがみられた.また,4例に初回手術より数年での再発をみた.本疾患の術後成績は術前の諸因子に影響を受けることが多く,まれに再発することがあるため,初回手術はできるだけ侵襲が少ない術式が望ましいと思われる.
  • 中原 信一, 衛藤 正雄, 川口 耕平, 崎村 幸一郎
    2011 年 60 巻 3 号 p. 368-372
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    肩腱板修復術に鏡視下手術(ARCR),直視下手術(ORCR)があり,良好な成績が報告されている.今回,当院での各手術後に再手術を行った症例について検討した.2008年8月から2010年8月までに118例の肩腱板修復手術を行った.ARCR:79例,ORCR:39例であった.そのうちの再手術例はARCR:4肩,ORCR:3肩であった.ARCRの1肩はアンカーの逸脱で,ARCRを行った.2肩は術後にインピンジメント徴候があり鏡視下滑膜切除を行った.1肩は再断裂例で直視下手術を行った.ORCRでは再断裂し瘻孔形成を2肩,大腿筋膜パッチ移植後にパッチ部の融解を1肩に認めた.それぞれ鏡視下,直視下にデブリドマン,部分修復手術を行った.再手術後の経過は概ね良好であった.アンカー逸脱例はアンカー挿入が浅く,手技的なことが原因と考えられた.再鏡視下滑膜切除の2例は関節内外に明らかな異常所見を認めなかった.大腿筋膜パッチ移植ではパッチが融解することがあり,慎重に経過観察する必要がある.瘻孔形成した際には鏡視下または直視下の滑膜切除し瘻孔閉鎖を行う必要がある.
  • 石田 康行, 帖佐 悦男, 矢野 浩明, 山本 惠太郎, 河原 勝博, 田島 卓也, 山口 奈美, 崎濱 智美, 長澤 誠, 川野 啓介
    2011 年 60 巻 3 号 p. 373-377
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    鏡視下腱板修復術(ARCR)の良好な成績が報告されているが再断裂例も存在する.ARCRの再断裂率,再断裂に関わる因子,臨床成績,再断裂MRIの検討を行ったので報告する.当科でARCRを行い,調査可能であった80肩,男性61肩,女性19肩を対象とした.年齢は30~78歳であった.臨床成績を術後1年時のJOA score,再断裂の有無を術後1年時MRIで評価した.全例中30%に再断裂を認め,断裂が大きい例,術前腱板脂肪変性が進んだ例,肩甲下筋断裂合併例で再断裂率が高かった.臨床成績は再断裂なし群が術後平均93.9点,再断裂あり群が術後平均87.2点であった.再断裂例を菅谷分類type 4,5に分けるとtype 4がtype 5に比べ有意に術後JOA scoreが改善していた.本術式は置換術ではないので残存腱板の状態が重要である.手術適応,手技についてさらなる検討が必要である.
  • 鶴田 敏幸, 峯 博子
    2011 年 60 巻 3 号 p. 378-385
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    変形性肘関節症患者に対する関節授動術の成績を調査し,その成績不良例に対する検討を行なった.対象は2001年10月以降に手術施行した26名26肘(男性20名20肘,女性6名6肘,平均年齢54.0歳)であった.術前屈曲平均97.7度から術後118.3度,術前伸展平均-25.6度から術後-11.2度へと有意に改善した.術後のJOAスコアは平均28.9点であり,全体として術後成績は良好であった.26名26肘中,屈曲110度以下,伸展-20度以下,JOAスコアの疼痛が20点以下のいずれかに該当したものを成績不良例と定義し,成績不良因子に対する検討を行なった.成績不良例は6名6肘であり,内側の骨棘切除が不十分であった症例には成績不良例が有意に多かった(45.5%).今回の結果より,変形性肘関節症患者に対する関節授動術において良好な成績を得るためには,関節の前方,後方ばかりではなく,滑車内側,肘頭内側の骨棘切除を前方から後方まで十分に行なうことが重要と考える.
  • 普天間 朝上, 金城 政樹, 堀切 健士, 小浜 博太, 金谷 文則
    2011 年 60 巻 3 号 p. 386-390
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    顆部欠損RA肘に対して非拘束型人工肘関節を施行し,術前の骨欠損の程度と手術成績を検討した.症例は女性14例16肘,全例painful instabilityであった.手術時年齢は32~80歳(平均55.4歳),経過観察期間は12~127ヵ月(平均50.4ヵ月)であった.骨欠損の程度により滑車欠損群(5肘),内側顆~小頭欠損群(5肘),顆部完全欠損群(6肘)の3群とした.術後脱臼を顆部完全欠損群6肘中5肘に認めた.脱臼の原因と対処を検討すると,肩内旋時に肩関節外旋拘縮のため肘関節で内旋し脱臼した2肘に創外固定装着下の肩関節可動域訓練を行い脱臼は消失した.術後高度動揺性残存例では創外固定装着に靭帯再建または三頭筋縫縮を追加したが易脱臼が残存した2肘中1肘とコンポーネントの設置不良の1肘は半拘束型人工関節再置換術を行った.他1肘は追加手術を希望せず装具を装着した.最終的に,全例で脱臼は整復された.
  • 土屋 邦喜, 川口 謙一, 原 大介, 屋良 卓郎
    2011 年 60 巻 3 号 p. 391-394
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    頚椎手術後の神経学的悪化を検討した.調査期間中に行われた頚椎手術221例のうち術後2週間以内の神経学的悪化は7例(3.2%)に発生した.内訳は血腫による神経障害増悪4例,OPLLに対する椎弓形成術後の脊髄症悪化1例,C5麻痺2例であった.血腫に対しては全例血腫除去術にて改善を得た.血腫に対する再手術では一例のみで出血源を特定できた.C5麻痺の出現は2例0.9%であったがいずれも自然軽快した.血腫,術後C5麻痺の明らかな発生要因は特定し得なかったが占拠率の高いOPLLにおける骨化の非連続性に対する後方除圧術は術後悪化の要因となると思われた.
  • 吉兼 浩一, 西井 章裕, 林田 光正, 角田 和信, 進 悟史, 山口 司
    2011 年 60 巻 3 号 p. 395-398
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    Interlaminar approach PELD導入期の短期成績と問題点を報告する.対象は20例(男性10,女性10),平均年齢40.2(1580)歳,手術高位L45:12,L5S1:8であった.術後半年の改善率は84%(JOA score術前12.4/術後26.3)と従来法とほぼ同等の成績,手術時間は72分であった.全例で術直後から疼痛消失したが,9例(45%)でしびれ感が残存した.6例は半年内に消失したが,3例は半年後も継続した.重篤合併症は認めなかった.術後MRI検査でヘルニア完全摘出を17例で確認出来た.3例で取り残しを認めたが,中心性に巨大に脱出しているヘルニアの摘出不足であった.1例で術後2ヶ月にヘルニア再発を認めた.術後しびれ感残存は,術中神経根レトラクトに伴う神経根障害が原因と考えられ,特に導入初期において多発した.手術症例を重ねるにつれ神経根への愛護的な操作を習熟し,術中の神経根レトラクト時間も短縮され,後期群での発生が減少した(learning curve)と考えられる.
  • 峯 博子, 小峯 光徳, 青柳 孝彦, 可徳 三博, 鶴田 敏幸
    2011 年 60 巻 3 号 p. 399-404
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    我々は,2007年3月より社会人野球チームに対して,理学療法士による週に1度のメディカルサポート,都市対抗野球や全国社会人野球等の各大会への帯同などを行なってきた.今回,その取組みとその後の障害発生状況,現在の問題点や今後の展望について報告する.メディカルサポート介入前の年度別障害発生件数は31件であったが,現在では13件と減少傾向を示している.また,チーム内ではコンディショニングに対する意識が変化し,身体の不調に対して自分で機能修正しようとする取組みが見受けられるようになった.現在は,選手からの訴えが無くても監督やコーチからも相談があり,首脳陣の理解のもと,障害の早期発見と重症化防止が可能となってきた.しかし,依然として現場(試合や練習)優先という問題があり,今後は関係者との相互理解と更なる信頼関係作りに取組む必要がある.
  • 武田 真幸, 窪田 秀明, 桶谷 寛, 劉 斯允, 浦野 典子, 藤井 敏男, 松浦 愛二, 原 寛道
    2011 年 60 巻 3 号 p. 405-408
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    成人アテトーゼ型脳性麻痺(ACP)の頚髄症治療として整形外科的選択的痙性コントロール手術(OSSCS)を行った3例を報告する.【対象・方法】元来の麻痺に加えて,運動麻痺の増悪または四肢体幹の知覚異常を生じた症例を頚髄症ありと判定し,頚部OSSCSを行った.【結果】症例1,51歳女性.主訴は右上肢痛と知覚鈍麻.術後上肢の知覚は正常となった.上肢痛は軽減した.症例2,50歳男性.主訴は左上肢の知覚鈍麻.術後上肢の知覚鈍麻は軽減した.症例3,45歳男性.主訴は両上肢の筋力低下と両上肢の知覚鈍麻,頻回尿.術後は頻回尿は改善したが,両上肢の筋力低下と知覚鈍麻については改善せず,頸椎後方固定を追加した.【結論】ACPの2次障害である頚髄症に対し頚部OSSCSを行うことで症状は改善し得るが,頸椎不安定がある症例では頸椎固定などのとの組み合わせが必要である.
  • 石井 武彰, 福岡 真二, 鳥越 清之, 松尾 隆
    2011 年 60 巻 3 号 p. 409-416
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    アテトーゼ型脳性麻痺の頚椎に対するorthopaedic selective spasticity-control surgery(OSSCS)の中長期成績を調査した.1990-2009年までの20年間に,頚椎に対してOSSCSを行ったアテトーゼ型脳性麻痺患者46人のうち術後2年以上経過観察し得た31人を対象とした.手術時年齢は13-56歳(平均38.5歳),術後観察期間は2-19年(平均7.2年)であった.頚髄症に対してOSSCSを行ったものは28人で,日整会頚髄症治療成績判定基準を用いて経過を判定したところ,治療成績は良8人,可8人,不可12人であった.粗大運動能力分類システム(GMFCS)レベルIIの症例に不可が多い傾向があり,またOSSCS後の経過中に骨性手術を追加した症例で成績が悪い傾向があった.GMFCSレベルIIではOSSCSと骨性手術をはじめから併用することが望ましい.
  • 川口 耕平, 中原 信一, 崎村 幸一郎, 衛藤 正雄
    2011 年 60 巻 3 号 p. 417-421
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    比較的稀な小児歯突起骨折症例の1例を経験したので報告する.症例は10歳男児.主訴:頚部痛.既往歴:脳性麻痺(低緊張型).現病歴:平成21年4月20日自動車の後部座席乗車中に後方から自動車に追突され受傷した.翌日当科受診した.著名な頚部痛を認めたが,身体所見では脳性麻痺による四肢不全麻痺あるものの新たに招じた麻痺はなかった.CTにて後方転位した軸椎歯突起骨折Anderson分類type 2を認め,8週間フィラデルフィア装具にて保存治療行い,骨癒合が得られ良好な経過となった.一般に幼小児の脊椎は柔軟で弾力性に富み,生理的可動域も大きいため脊椎損傷は稀とされおり,小児歯突起骨折は報告例が少ない.受傷した場合も患者の協力が得がたく臨床所見の把握が困難であることが多いが,損傷を見落とすと成人同様に偽関節を形成し,環軸関節が不安定となる危険性があるため注意が必要であると考えられた.
  • 大藤 勇樹, 前田 明子, 金城 健, 粟國 敦男, 上原 敏則
    2011 年 60 巻 3 号 p. 422-423
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    頚髄症症例において,上肢の症状が乏しく,下肢症状の訴えが強い場合,診断が困難であることも少なくない.2009/1/1~2010/3/31に当院で観血的加療となった頚髄症症例23例について,上肢の症状,診断の過程などについて検討したので報告する.
  • 田中 寿人, 笠原 貴紀, 秋山 菜奈絵
    2011 年 60 巻 3 号 p. 424-428
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【目的】一般診療上にて椎間板ヘルニアは,交通外傷などの関連性を問われる機会が増えてきた.頚部椎間板ヘルニアの画像所見のうち,外傷性ヘルニアである事を示唆する所見が捕らえることが出来ないか検討した.【方法】平成20年度に当院において頚部椎間板ヘルニア疑いでMRI検査した症例を明らかな外傷歴のある外傷群(19例)と外傷歴のない非外傷群(16例)にわけてそれぞれの画像を比較した.【結果】外傷群では椎間板ヘルニアがT2で高輝度を示し,椎間板内部とヘルニアが連続して高輝度を示すものもあった.外力の程度によっては喉頭下軟部組織の腫脹を認めた.さらに屈曲損傷型は棘間靱帯部に出血を認めた.以上の所見は外傷の関与を強く疑わせる所見と考えられた.ただ,若年層は非外傷群でもT2*で高輝度を示す事があり,喉頭下軟部組織の腫脹は頚長筋炎の症例と紛らわしい事があるため注意が必要であった.
  • 野口 智恵子, 馬場 秀夫, 田上 敦士, 安達 信二, 日浦 健, 進藤 裕幸, 菅 尚義
    2011 年 60 巻 3 号 p. 429-434
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    頚髄腫瘍再発例に対し腫瘍摘出術を行う上でMRIベースナビゲーションシステムが有用であった症例を経験したので報告する.症例は79歳男性,主訴は両上肢のしびれ,巧緻運動障害であった.57歳時,C2-3レベル頚髄髄外腫瘍(神経鞘腫)全摘出術を行い術後経過良好であった.19年後に両上肢のしびれ,左上肢の脱力感,歩行障害が出現した.MRI像でC1-5レベルに腫瘍の再発を認め,CT像でC2-4レベルでscallopingを認めた.後頭頚椎後方固定術(O-C6)および腫瘍部分摘出術を施行し症状改善した.再手術より2年後,残存腫瘍の増大により頚髄圧迫所見を認め,両上肢のしびれ・巧緻運動障害が出現した.再々手術のため術中オリエンテーションがつきにくいと考えMRIベースナビゲーション下に腫瘍摘出術を行った.ほぼ全摘が可能であった.術後経過良好で再発は認めていない.
  • 松本 淳志, 齊藤 太一, 入江 努, 田中 哲也, 末永 英慈, 保利 俊雄
    2011 年 60 巻 3 号 p. 435-439
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    今回,我々は胸椎横断性骨折により遅発性脊髄麻痺を来たした強直性脊椎骨増殖症(以下ASH)の一例を経験したので報告する.症例は71歳男性,転倒後に背部痛が出現し,近医整形外科にて第10胸椎圧迫骨折の診断にて保存的治療を受けていた.受傷後1カ月目より,両下肢の筋力低下を認め立位不能となったため,当院へ紹介受診となった.CTでは第10胸椎レベルにおける横断性骨折を,MRIでは同部での脊髄圧迫を認め,これによる脊髄麻痺と診断し後方除圧固定術を施行した.術後は徐々に下肢麻痺の改善を認め杖歩行が可能なレベルまで回復した.ASHにおける脊椎横断性骨折では骨折部に応力が集中し,さらに3 column injuryによる不安定性のため,保存的治療では骨癒合が得られにくい.その結果,本症例のように遅発性神経麻痺を生じる危険性があるため,受傷後早期の内固定術が望ましいと考えられる.
  • 猪俣 尚規, 黒木 浩史, 濱中 秀昭, 増田 寛, 福嶋 秀一郎, 黒木 修司, 比嘉 聖, 樋口 誠二, 永井 琢哉, 久保 紳一郎, ...
    2011 年 60 巻 3 号 p. 440-445
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    馬尾症候群を呈した腰椎椎間板ヘルニア手術症例の検討を行ったので,文献的考察を加え報告する.馬尾症候群と診断し緊急手術を行った5例(男性3例,女性2例,平均年齢37歳)を対象とし,臨床像(発症様式,膀胱直腸障害発症から手術までの期間等),手術関連項目,術後成績(JOA score,膀胱直腸障害の改善度等)に関して検討を行った.発症様式は,急性発症2例,段階的発症3例,5例中3例は尿閉や尿失禁を伴う重度障害であった.膀胱直腸障害出現から手術までの期間は2日以内が2例,3日以降が3例であった.全例初診後24時間以内に手術を施行されJOA scoreならびに排尿障害は改善していたが,3例で排便感覚の改善が不十分であった.本症においては,膀胱直腸障害発症後48時間以降の手術では機能障害残存率が高いとの報告があり,下肢症状のみならず膀胱直腸障害をいかに早く察知するかが重要である.
  • 川口 謙一, 土屋 邦喜, 原 大介
    2011 年 60 巻 3 号 p. 446-449
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    経椎弓的にヘルニア摘出術を施行した腰椎椎間板ヘルニアの2例を報告した.症例1:52歳,男性.L4/5から頭側に脱出したヘルニアによるL4,L5神経根障害を認めた(術前JOA score 12点).経椎弓間法によりL5神経根の除圧を行い,頭側に脱出したヘルニアに対しては経椎弓的に摘出を行った.術後は症状改善し,術後4ヶ月のJOA scoreは24点であった.症例2:62歳,男性.L4/5から頭側に脱出したヘルニアによるL4神経根障害を認めた(術前JOA score 13点).経椎弓的にヘルニア摘出術を行い,術後は症状改善し,術後3ヶ月のJOA scoreは26点であった.頭側脱出ヘルニアに対しては,通常の経椎弓間法では広範な椎弓切除を必要とすることが多い.本術式は,適応や骨孔の位置に留意する必要はあるが,骨切除量が少なく後方支持組織の温存が可能であり,有用な術式のひとつであると考えられた.
  • 冨田 伸次郎, 浦川 伸弘, 菅 政和
    2011 年 60 巻 3 号 p. 450-452
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    はじめに:我々は,Percutaneous Vertebroplasty(PVP)術後椎体圧潰進行により椎間孔狭窄を招いたため,再手術を施行した1例を経験したので報告する.症例:75歳,女性.L2L3圧迫骨折.平成19年7月誘因なく強度の腰痛あり,保存的治療に抵抗するため9月L2L3PVP施行する.術後体幹ギプス管理を行い軽快し一旦退院となる.12月より右大腿部痛出現し再び歩行困難となり,術後椎間孔狭窄症の診断にて平成20年2月右L2部分椎弓根切除術+L2椎弓切除術+再L2PVP施行.術後右大腿部痛は軽減し現在Picker歩行可能なレベルで自宅復帰している.考察:本症例のごとくPVP施行後椎体圧潰が進行し,椎間孔障害に至った理由には,肥満,ギプス管理,術前の後壁損傷が考えられる.PVPの術後成績を向上させるためには早期に骨折部の安定化維持を獲得できるマテリアルや手術療法および後療法の変更を検討することが必要である.
  • 保利 俊雄, 齊藤 太一, 入江 努, 田中 哲也, 末永 英慈, 松本 淳志, 小田 義直
    2011 年 60 巻 3 号 p. 453-456
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【症例】61歳,男性.約4年前にL5/S1左外側型ヘルニアに対してPLIFを施行された.術後,左下肢痛は消失するも左母趾の知覚異常が残存した.術後3年6か月経過後,左下腿外側,足背の痛みとシビレが出現し,いったんは改善するも4か月経過したころから同症状が再燃し歩行困難となった.理学所見上,左股関節外転筋と左前脛骨筋にMMT4の筋力低下を認めた.MRIにてL4椎体レベルの脊柱管内左側にT1強調像でやや高信号を呈する腫瘤影を認めた.術中所見にて同腫瘤はL45左黄色靭帯内から頭側へと連続性に進展する血腫であり,これらを全て摘出した.術後,左下肢痛は消失し筋力も回復した.【まとめ】黄色靱帯内血腫は比較的まれな疾患であるが,MRIにおける経時的な輝度変化を捉えることにより術前診断が可能であると考えらえた.
  • 井上 哲二, 山内 達朗, 中島 三郎, 福田 和昭, 宮崎 信, 沼田 亨祐, 上原 悠輔
    2011 年 60 巻 3 号 p. 457-461
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    腰椎黄色靱帯内血腫により根性症状と馬尾性間歇性跛行を呈した2例を報告する.症例1;71歳,男性.草刈り中に尻餅をついてから腰痛出現.腰痛軽減するも左臀部痛出現し増強.MRIにてL4/5左側に黄色靱帯と連続するT1WおよびT2Wで不均一な高信号を呈する腫瘤性病変を認めた.症例2:56歳,男性.机等の重量物を運び,数日後より腰痛・両臀部痛出現.MRIにてL3/4右側から正中にかけて黄色靱帯と連続するT1Wで淡い高信号T2Wで低信号と高信号の混在を呈する腫瘤性病変を認めた.腰椎伸展させてから症状増悪し間歇性跛行が顕著となる.MRIにて腫瘤性病変の増大,内部信号の変化を認めた.2例とも部分椎弓切除と血腫を含む黄色靱帯全切除を施行し症状は軽快した.病理組織検査では変性靱帯内に肉芽組織の形成,血腫を認めた.
  • 高野 祐護, 河村 誠一, 麻生 龍磨, ファン ジョージ, 川口 雅之
    2011 年 60 巻 3 号 p. 462-466
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    はじめに)近年,予後不良といわれる肺癌の治療において化学療法・放射線治療・分子標的治療などの集学的治療の進歩により長期予後が得られるケースも出てきた.今回我々は肺癌の脊椎転移により脊髄麻痺を合併した手術した症例6例を経験したので評価し,報告する.対象と方法)2005年5月から2009年8月に肺癌の脊椎転移に対し手術を行った6症例(54歳から79歳まで 男性3例 女性3例)を対象とした.6症例中5例は当院で姑息的手術を施行し1例は他院に紹介して全脊椎切除・脊柱再建術を施行した.手術前後の状態をFrankel分類の改善・Performace Status(PS)の改善・術後生存中の歩行可能期間の3項目で評価した.結果)術前FranckelB:3例,C:1例,D:2例であったのに対して術後1カ月の時点でD: 5例,C:1例へ改善した.PSはGrade2:1例,Grade3:2例,術前Grade4:3例が術後はGrade1:3例,Grade2:1例,Grade3:2例に改善し5例が自宅退院可能となった.6例中4例で生存中の80%以上の期間で歩行可能であった.考察と結語)手術を行った6例中全例で麻痺の改善を認め,脊椎転移症例の手術(放射線治療,そのほかの薬物治療の併用)は患者の限られた生命予後期間におけるPSを高める点で極めて有効であると考えられた.
  • 安原 隆寛, 多田 弘史, 松崎 尚志, 西島 毅志, 増田 陽平, 横田 忠明
    2011 年 60 巻 3 号 p. 467-472
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    関節リウマチにおいて悪性リンパ腫の合併はまれに経験される.メトトレキサート(MTX),生物学的製剤治療中に発症した悪性リンパ腫の2症例を経験したので報告する.【症例1】55歳,女性.平成15年よりMTX 6 mg/ 週開始され,平成20年5月よりインフリキシマブ開始された.同年7月頃より左上腕に硬結,両手背に潰瘍形成出現したため,左上腕の生検を受け,悪性リンパ腫と診断された.インフリキシマブ中止後,腫瘍消失し,潰瘍も治癒した.【症例2】71歳,女性.平成12年よりMTX 6 mg/ 週内服中,H18右上顎の口内炎を自覚した.生検にて悪性リンパ腫と診断され,化学療法・放射線療法を受け,悪性リンパ腫は寛解した.【考察】RA患者の悪性リンパ腫発症は有意に高く,相対危険度は2倍という報告がある.そのリスクファクターとしてRAの病態そのものと,RAに対する治療薬との関連性が指摘されている.今回我々が経験した2例は,RAに対する治療薬が悪性リンパ腫の発生に関与したと推測された.
  • 辻 王成, 浦門 操, 小柳 英一, 篠原 道雄, 久重 雅由, 成尾 政一郎, 成尾 政圀
    2011 年 60 巻 3 号 p. 473-476
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    骨粗鬆症の治療においては,患者が治療の必要性を認識し,治療の効果を理解することが治療継続には必須である.そのため治療効果を判定する骨代謝マーカーの役割は重要である.新しいマーカーとして酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ5b(TRACP-5b)が登場した.破骨細胞(骨吸収)に特異的,日内変動が小さく,腎機能に影響されない,食事の影響がなく患者,医師への制約が少なく,有用と考えられている.従来のマーカーである血清NTXとTRACP-5bを用いて,原発性骨粗鬆症患者に対しビスフォスフォネート製剤(BP製剤)での治療前,治療約3ヵ月後の値の変化を測定した.NTX群で最小有意変化を超えない例が多かったが,TRACP-5b群は高率に超え,治療効果判定に優れている可能性がある.TRACP-5b群では治療前後でカットオフ値以下の割合が多かった.理由としてカットオフ値設定の問題,酵素であるため測定までに活性が低下した可能性が考えられる.
  • 岸川 陽一
    2011 年 60 巻 3 号 p. 477-479
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    OCはビタミンK依存性にγ-カルボキシラーゼによってグラ化されてハイドロキシアパタイト中のカルシウムと結合可能なcOC(カルボキシル化オステオカルシン)となる.グラ化されなかったOCであるucOC(低カルボキシル化オステオカルシン以下ucOC)は,ビタミンK不足と骨代謝回転の両方を表す骨代謝マーカーであるため,骨代謝回転によって骨折のカットオフ値が異なる.一般的にはucOC4.5とされ,BPにより低骨代謝回転となっている場合には,ucOC2.6とされている.ucOCは,NTXなど骨吸収マーカーを測定した上での判断が望ましい.薬剤別ucOCの値は他の薬剤に比べてBP群では統計的に有意に低い値を示した.ucOC値はNTX値と相関を示した.VK2併用例ではucOC減少率は高くなる.また,ucOC減少率は,BP群の方がRLX群より高い.
  • 赤嶺 卓哉, 高田 大, 福永 哲夫
    2011 年 60 巻 3 号 p. 480-482
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    中高年女性13名(平均年齢67.5±3.3歳)に対し,約2.5ヵ月間の体幹・下肢健康(貯筋)運動〔椅子座り立ち,もも上げ,せのび,下肢外転,上体起こしの5種類〕を指導し,以下の2つの知見を得た.(1)運動期間後では運動前に比し,全身身体組成(DEXA)上,全身と下肢の除脂肪骨体重・下肢骨密度の増加,全脂肪量・体脂肪率の減少が,それぞれ統計学的に有意に観察された.(2)運動群の運動後の左大腿骨頸部においては,Ward領域骨密度の有意な増加が認められた.なお,荷重運動非指導の対照群女性8名(平均年齢65.3±5.7歳)では,上述のような有意な変化は一切認められなかった.以上より,中高年女性に対する体幹・下肢健康(貯筋)運動は,有益であると考えられた.
  • 白木 誠, 野口 康男, 久保 祐介, 泉 政寛, 永野 賢, 井口 貴裕, 佐々木 宏介, 前 隆男, 佛坂 俊輔, 力丸 俊一
    2011 年 60 巻 3 号 p. 483-487
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    当院では平成18年4月より大腿骨近位部骨折に対して地域連携クリニカルパス(以下,連携パス)の運用を開始した.運用開始後4年を経過し,在院日数の変化などを調査した.対象は平成18年4月から平成22年3月までに当院を退院した大腿骨近位部骨折手術例451例(男性88例,女性363例,平均年齢81.0歳)で,連携パス適用の226例をパス群,パス適用外の225例を非パス群として在院日数を比較した.その結果,パス群26.5日,非パス群31.7日と有意差が認められた.術式による影響を考慮し骨接合,人工骨頭置換に分けて検討してもパス群で有意に在院日数が短縮していた.その理由として連携パスの使用により病院間の連携がスムーズになり,転院調整期間が短縮したことが一因と考えられる.
  • 鮫島 浩司, 川内 義久, 吉野 伸司, 富村 奈津子, 川添 泰臣, 中原 真二, 石堂 康弘, 小宮 節郎
    2011 年 60 巻 3 号 p. 488-490
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    当院は鹿児島市北部に位置し,2007年より大腿骨頚部骨折地域連携パスに鹿児島市では最初に取り組んできた急性期病院である.一方,南部では,鹿児島赤十字病院が管理病院となり,2008年より連携パスを使用している.今回,鹿児島市南部との連携合併を行い,統一パスを使用する試みを行った.2010年4月~10月まで当院にて大腿骨頚部骨折にて手術治療した33名(男性5名,女性28名)を対象とし,連携パスの使用率を以前と比較し,その動向の原因を調査した.連携パス使用は4月~7月が56%,8月~10月が100%であり,以前(18.2%)より改善していた.合併において,スタッフにパスの浸透が図られた結果と考えられた.試運用したばかりで,バリアンス解析による患者アウトカムへの貢献などを今後検討すべきと考えられた.
  • 泉 政寛, 野口 康男, 力丸 俊一, 佛坂 俊輔, 前 隆男, 佐々木 宏介, 井口 貴裕, 白木 誠, 永野 賢, 久保 祐介
    2011 年 60 巻 3 号 p. 491-494
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【目的】当院では,2009年3月より大腿骨近位部骨折に対して電子パスを用い,治療方針の標準化・医療の質の向上を図っている.その具体例として今回,DVT/PE予防にどのように関わっているかを検討した.【対象と方法】電子パス運用開始後の大腿骨近位部骨折手術例53例と運用開始前53例を対象とした.これら2群の抗血栓薬の使用状況,術後7日目のD-dimer測定状況を比較した.また,抗血栓薬使用のあり群となし群で分けて術後7日目のD-dimer値,術後DVT/PEの発症数を比較した.【結果】血栓予防薬の使用状況は電子パス運用前26.4%,電子パス運用例81.1%であった.術後7日目のD-dimer値は電子パス運用前では88.7%,電子パス運用例では96.2%で測定されていた.血栓予防薬使用群のD-dimer値は8.10でDVT/PEは認めなかった.一方,血栓予防薬非使用群のD-dimer値は10.75でDVT/PEを5例認めた.【結論】電子パスを運用することで薬剤使用の標準化が図られ,DVT/PE発生の予防に効果があった.
  • 野口 康男, 力丸 俊一, 佛坂 俊輔, 前 隆男, 佐々木 宏介, 井口 貴裕, 白木 誠, 永野 賢, 泉 政寛, 久保 裕介
    2011 年 60 巻 3 号 p. 495-501
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    地域連携パス運用により得られるようになった入院日数や退院先等の情報の分析を行った.平成19年4月から3年間に当院を退院し転帰が判明した341例について当院および転院先の入院日数,総入院日数を術式,退院先,連携パス使用有無別に検討した.また,受傷時の居住地(自宅,介護施設など)別に転帰を検討した.その結果,当院の入院日数は平均28.4日で,施設への直接退院が短く,転院がそれに次ぎ,自宅直接退院が長かった.術式別では骨接合早期荷重群が短かった.連携パス使用ありは平均25.7日で,使用なし30.6日より有意に短かった.転院例の転院先入院日数は平均79.9日,転院例の総入院日数は平均106.4日であった.転院先入院期間もパス使用群が有意に短かった.受傷時に自宅居住の243例中,転院の有無にかかわらず自宅へ退院した例は192例で在宅復帰率は79.0%であった.連携パス使用例は急性期および回復期の入院期間が短いが,在宅復帰率には影響していなかった.
  • 小島 岳史, 柏木 輝行, 花堂 祥治, 矢野 良英, 帖佐 悦男
    2011 年 60 巻 3 号 p. 502-508
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    120° Gamma 3 nailと125° nailの使用症例を比較した.対象は2010年1月~8月までに大腿骨転子部骨折に対し,同一術者にてGamma 3nail(Stryker社®)を施行した20例(男性3例,女性17例,平均年齢83.3歳)である.以上について術前待機期間,手術時間,Tip-apex distance(以下TAD),骨頭内ラグスクリュー位置,ラグスクリュースライディング量(術後1週,2週)を計測し比較検討した.結果4項目で有意差を認めなかった.骨頭内位置は120°群で骨頭中央~下方刺入が8例,側面像にて後方刺入が2例.125°群で中央~下方刺入が8例,側面像にて後方刺入が2例であった.120°nailは骨頭下方へのラグスクリュー刺入が125° nailに比べて容易であり,術後スライディング量にも影響を認めなかったため,120° nailも大腿骨転子部骨折手術の選択肢のひとつとなり得ると思われた.
  • 田島 貴文, 福田 文雄, 元嶋 尉士, 花石 源太郎, 邑本 哲平, 古子 剛, 戸羽 直樹, 肱岡 昭彦
    2011 年 60 巻 3 号 p. 509-513
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    70歳未満の転位型大腿骨頚部骨折に対する骨接合術の治療成績について検討した.対象は2005年から2010年までの6年間で8例(男性2例,女性6例,平均年齢53歳)であり,骨癒合の有無,LSC:late segmental collapse発症の有無について検討した.検討項目は年齢,BMI:body mass index,術前待機日数,術後整復位,正面・側面GAI:Garden alignment index,implant挿入位置とした.骨癒合は8例中6例75%に得られ,LSCは6例中2例33%に発症した.骨癒合に関して,統計学的有意差を認めた項目は整復位と側面GAIであった.整復位がunderreducedで側面GAIが低値の症例では骨癒合が得られにくかった.LSC発症に関して,統計学的有意差を認めた項目は待機日数であり,その平均待機日数は4.5日であった.
  • 高山 剛, 釘本 康孝, 上通 由紀子
    2011 年 60 巻 3 号 p. 514-518
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    [要旨]テーパーウエッジデザインをもつAccolade TMZFステムの短期使用成績について検討する.対象と方法:症例は2009年7月から2010年6月までに大腿骨頚部骨折もしくは大腿骨頭壊死に対しStryker社製Accolade TMZFによる人工骨頭置換術を行った13名である.手術時の平均年齢は83才,男7名,女6名,平均BMI19.3である.症例の内訳は大腿骨頚部骨折が12名,大腿骨頚部骨折後の続発性骨頭壊死症が1名である.臨床成績として,術後の髄腔占拠率と設置アライメントを調査した.結果および考察:平均手術時間は46分,周術期出血量214gで,1例のみに輸血を要した.挿入方向は中間位8例,外反位3例,内反位2例であった.術中術後に骨折などの有害事象はみられず,2mm以上の有意なステム沈下例もなかった.X線評価においても全例でstable fixationが得られ,緩みをきたした症例はなかった.短期ではあるが,高齢者の大腿骨頸部骨折等において当機種は侵襲が少なく,固定性の面からも有用な選択肢であると考えられた.
  • 島内 誠一郎, 古市 格, 村田 雅和, 森口 昇, 塚本 正紹, 田浦 智之, 橋本 哲, 香月 亮
    2011 年 60 巻 3 号 p. 519-521
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    当院では大腿骨近位部骨折に対して可能な限り麻酔科協力の下,入院当日に手術を行っている.今回,入院後本骨折に対する24時間以内の手術の有用性について検討した.方法)2008年5月~2010年5月までに当院で大腿骨近位部骨折に対して手術を行った216例を対象とし,入院後24時間以内に手術を行った症例を早期手術群135例,24時間以降に手術を行った症例を待機手術群81例として年齢・骨折型・手術方法・抗血小板薬・抗凝固薬の内服の有無・術前全身状態・術後合併症・入院中死亡例・平均在院日数・転帰・退院時リハビリ能力について調査を行った.結果)術後合併症・入院中死亡例では有意差はなかったが,早期群で少ない傾向であった.在院日数でも有意差はなかったが,早期群で少ない傾向であった.結論)今回の研究では大腿骨近位部骨折に対する24時間以内の早期手術は有用であると考えられた.
  • 高井 聖子, 高橋 知幹, 田口 学, 林田 洋一, 江頭 秀一, 高井 浩和, 中根 惟武
    2011 年 60 巻 3 号 p. 522-526
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    Garden Stage I・IIを非転位群,III・IVを転位群とする2群分類では差は小さいと報告があるが,どのような骨折型が2群分類で一致しないかを検討した報告は少ない.本研究の目的は,Stage分類・2群分類における検者間一致率を調査し,2群分類で一致しなかった症例の骨折型を検討することである.5名の検者が大腿骨頚部骨折40症例の単純X線をStage分類・2群分類に分類した.5検者間一致率およびKappa係数を算出し,2群分類で一致しなかった症例の骨折型を検討した.一致率はStage分類37.5%,2群分類80%,Kappa係数はStage分類0.51,2群分類0.80であった.2群分類で一致しなかった症例は8症例,その内7症例は完全骨折で転位が少ない症例または完全骨折で骨頭が外反した症例であった.Garden分類の一致率が低い原因として,Garden分類への分類不能例の存在が示唆された.
  • 平野 慎一郎, 浦川 伸弘, 冨田 伸次郎, 菅 政和
    2011 年 60 巻 3 号 p. 527-530
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【目的】我々は交通外傷後に膝関節気腫を生じた症例を経験したので報告する.【症例】31歳男性.【経過】バイクで走行中,乗用車に追突後左側に転倒し左膝内側に7 mm大の挫創を生じる.単純X線及びCTにて膝関節内ガス像を確認.当直医により創処置を受け独歩にて帰宅後,翌日整形外科受診.膝関節腫脹を認め,関節穿刺にて5 mlのガスと3 mlの淡血性関節液を採取,開放創には縫合処置施行.経口抗菌薬を5日間投与後,創は良好に治癒.採取した関節液の細菌培養は陰性であった.受傷後7日目に職場復帰するが大腿骨内顆部の疼痛が持続するため,受傷23日目にMRIを施行し大腿骨内顆部骨挫傷が確認される.保存的に経過を診たところ受傷後10週で疼痛の消失を認めた.【考察】外傷後の関節気腫の存在は創傷部と関節腔との交通性を疑い,気腫を確認するための諸検査は重要で,気腫が存在する場合は感染防止の治療が必要である.
  • 山城 和馬, 中野 哲雄, 越智 龍弥, 村上 直也, 稲葉 大輔, 安岡 寛理, 田原 隼
    2011 年 60 巻 3 号 p. 531-535
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    膝関節周囲の外傷は日常診療で多く遭遇する疾患である.その中には,初診時レントゲン写真上は明らかな骨折を認めないが,追加検査にて骨傷を認める不顕性骨折症例も散見される.対象は当科で診断・治療した膝関節周囲不顕性骨折症例60例であった.年齢は15歳から96歳で平均71.5歳,男性8名,女性52名であった.受傷機転は,転倒が45例,交通事故が13例,スポーツ時および明らかな外傷歴のないものがそれぞれ1例ずつであった.診断は59例がMRIによって確定された.治療は全例を保存的に治療し,初診から8週の時点で82.1%に症状の消失を認めた.高齢女性に発症しやすく,その受傷機転は75%以上が軽微な外力によるもので,骨粗鬆症との関係が考えられた.高齢女性が転倒し,膝関節腫脹や関節血症を認める場合には,レントゲン写真上は明らかな骨折を認めなくても不顕性骨折を疑うべきであり,その診断にはMRIが有用である.
  • 井上 知久, 島内 卓, 中河原 修, 本松 伸一, 綾 宣恵, 小林 靖幸, 江口 正雄
    2011 年 60 巻 3 号 p. 536-539
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    今回我々は,ランニング中に受傷した脛骨粗面剥離骨折の1例を経験した.骨折型はWatson-Jones分類type3であった.関節鏡ではACL付着部前方に骨折線を認め,ACL前内側線維の緊張が低下していたが,前方引き出しテストでの全体の緊張は十分保たれていた.手術はcortical screwによる観血的整復固定を行い,術後経過は良好である.受傷機転は膝屈曲・下腿固定の状態で,大腿四頭筋が急激に収縮したためと考えられた.
  • 柳樂 慶太, 大槻 亮二, 山下 優嗣, 永島 英樹, 豊島 良太
    2011 年 60 巻 3 号 p. 540-543
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    Hoffa骨折は大腿骨顆部の冠状面での骨折であり,保存療法では成績不良例が多い.内側顆Hoffa骨折3例の治療成績を検討した.症例は男性1名,女性2名,平均年齢は50.7歳,観察期間は平均16.0ヵ月であり,全例交通事故による高エネルギー外傷による受傷であった.受傷から平均7.3日目に2~3本の螺子を用いて骨接合術を行い,術後早期から関節可動域訓練を開始した.2例は術後に関節授動術を要したが,全例転位2 mm以内で骨癒合し,最終診察時の関節可動域は屈曲平均141.6°,伸展平均-1.7°と良好な成績であった.本骨折は関節内骨折であることから確実な整復と安定した内固定が求められる.関節運動に伴う剪断力に対して,螺子固定では力学的に不十分とする報告もあるが,確実な整復位が得られれば数本の裸子固定で固定性としては十分であり,本骨折に対して有用な固定方法と思われた.
  • 崎村 幸一郎, 中原 信一, 川口 耕平, 衛藤 正雄
    2011 年 60 巻 3 号 p. 544-547
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    高エネルギー外傷による大腿骨遠位部骨折に対して,ロッキングプレートを用いてMIPOを行った症例の治療成績について検討した.対象は6例(男性4例,女性2例)で受傷時平均年齢は49.5歳.骨折型はAO分類C3:4例,C2:1例,A3:1例であった.関節内骨折に対しては外側傍膝蓋アプローチにて直視下に整復し,骨幹端部の粉砕骨折に対しては創外固定を利用して間接的にアライメントを整復したうえでMIPOを行った.なお開放骨折の2例と挟圧外傷の1例に対しては二期的手術を行った.全例において術後の整復位は維持されていたが1例で遷延癒合が生じた.臨床成績はNeerの評価基準でexcellent 2例,satisfactory 3例,unsatisfactory 1例とおおむね良好な機能回復が得られた.
  • 村瀬 修平, 中川 種史, 丸山 博史, 鈴木 邦彦, 釘宮 典孝, 川野 健一, 白土 貴史
    2011 年 60 巻 3 号 p. 548-551
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    人工膝関節置換術(TKA)後の膝蓋腱断裂は稀な合併症である.確立した治療法はなく,治療成績は極めて不良である.TKA後の膝蓋腱断裂に対する再建術の方法はいくつか散見されるが,人工膝関節置換術後に生じた膝蓋腱断裂に対しTeros人工靭帯による再建術を行い良好な結果を得たので報告する.症例は82歳女性.変形性膝関節症に対してTKAを行った後,経過良好で退院したが,術後2ヶ月で転倒し歩行不能となった.膝の伸展制限と単純X線写真にて膝蓋骨高位があり膝蓋腱断裂の診断であった.膝伸展機構が著しく障害されていたため,Teros人工靭帯を用いた再建術を行った.再建術後は全荷重で歩行訓練開始とした.術後4ヶ月経過し単純X線写真にて膝蓋骨の著明な高位はなく,膝の伸展機構は改善し歩行可能となっている.
  • 田中 あづさ, 中村 英一, 鬼木 泰成, 岡元 信和, 西岡 宏晃, 水田 博志
    2011 年 60 巻 3 号 p. 552-556
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【目的】TKAにおける術前・術後のVTE一次スクリーニングとしてD-dimer値測定の有用性を検討することである.【対象と方法】対象は,TKA症例のうち,術前と術後7日目にMDCTを用いてVTEを評価した,連続するOA膝128膝である.VTEの有無(VTE群とN群)とD-dimer値(術前,術後3,7日目)より,術前・術後の検査特性を評価した.なお,予防的抗凝固療法を行った29膝は術後検索から除外した.【結果】術前検索では,VTE群13膝(10%)とN群115膝との間でD-dimer値には差はみられなかった.術後検索では,VTE群は23膝(24%)となり,D-dimer値は術後3,7日目ともにVTE群が有意に高かった.術後のcut off値を10μg/mlとすると,感度は高いが特異度は低くなった.【結論】D-dimer値測定の有用性は術前検索では低く,また,術後検索では施設毎のcut off値の設定が必要であるものと考えられた.
  • 橋口 智光, 松尾 圭介, 河野 洋一, 佐伯 満, 中村 哲郎, 神宮司 誠也
    2011 年 60 巻 3 号 p. 557-560
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺(以下;CP)患者の股関節は股関節周囲筋力の不均衡や骨形態異常により,亜脱臼や脱臼をしばしば生じ,若年発症の変形性股関節症の原因となる.従来,CP患者の病期の進んだ変股症に対しては大腿骨頭切除術や股関節固定術が施行されてきたが,確実な除痛とADL維持という点で十分に満足できる成績をえられていない.そこで,より早期の除痛,機能回復を目的としてTHAが選択される.今回,中高年のCP患者の末期OA2例3股に対し,THAを施行した.それぞれ術後1年,5ヶ月と短期成績であるが,いずれの症例も股関節痛は消失し,疼痛出現前のADLを再獲得できており,患者満足度も高い.術後合併症に関しては今後更なる長期の経過観察が必要であるが,今回の症例のように股関節痛の出現前はある程度ADLが自立しており,低下した機能が回復する見込みのある場合にはTHAの手術適応があると考える.
  • 清田 克彦, 中根 惟武, 石井 孝子, 久保田 晃志, 高橋 知幹, 林田 洋一, 江頭 秀一, 高井 聖子, 高井 浩和
    2011 年 60 巻 3 号 p. 561-565
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    対象は2008年4月から2010年4月まで当院にて施行した初回THA中,術後2日目,7日目に下肢静脈エコーを施行し術後6日目にD-ダイマーを施行した185例.男性38例,女性147例.平均年齢65.0歳.基本的にメドマーを術直後から開始し低分子ヘパリンを硬膜外チューブ抜去後から開始した.DVTを22例(11.9%)に認めたが症候性のPEは認めなかった.統計学的に術後6日目D-ダイマーのカットオフ値10μg/mlはDVT検出に有効であった.また術後7日目に初めてDVTを発症した5例はすべて術後6日目D-ダイマーが10μg/ml以上であった.当院における術後DVT発生率は11.9%であり他の研究と比較して遜色はなかった.今後も致死性のPEを防ぐため注意深く予防と検査を進めていく必要がある.
  • 上戸 康平, 尾崎 誠, 穂積 晃, 後藤 久貴, 福島 達也, 千葉 恒, 進藤 裕幸
    2011 年 60 巻 3 号 p. 566-568
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    臼蓋後壁に巨大な骨欠損を認める症例に対して同種骨移植とバットレスプレートを用いて後壁を再建し,さらにKT plateを併用した再置換THAを経験したので報告する.症例は46歳男性.ダッシュボード損傷にて右股関節後方脱臼骨折,左下肢多発骨折を認め右寛骨臼後壁骨接合術,左下腿切断術が施行されたが,右股関節の変形をきたし右THA施行.その後ルーズニングをきたしたため,受傷後9年までに計2回の再置換THAが行われた.受傷後10年に当科初診となり3回目の再置換THAを行った.蓋後壁に巨大な骨欠損を認め,ブロック状同種骨をスクリューとバットレスプレートで固定し,KT plateを用いて臼蓋を再建した.臼蓋骨欠損例において骨移植を併用したKT plate固定は有効であるとの報告があるが,巨大な壁欠損を有する場合にはバットレスプレートを併用して安定性を増す本術式は有用であると思われた.
  • 安楽 喜久, 西田 公明, 國武 克彦, 堤 康次郎, 安中 正法, 中村 孝幸, 徳永 琢也
    2011 年 60 巻 3 号 p. 569-574
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    症例は67歳女性.17年前に右大腿骨頚部骨折に対し人工骨頭置換術施行され,2年前より大腿部痛出現した.単純X線検査上cup migration,radiolucent zone,及び明らかなosteolysisは認めなかったが,stress-shielding(ステム周囲皮質骨の肥厚と転子部及び骨幹部の骨萎縮像)を認めた.血液検査上,WBC,CRPは正常であった.局所麻酔を併用した関節造影検査では,ステム周囲に造影剤の浸入はなく,除痛効果は得られなかった.保存治療に抵抗性で再置換術施行し,疼痛改善した.臼蓋軟骨は維持され,ライナーの破損やmetallosisはなくポーラス周囲には海綿骨が固着していた.培養検査陰性で,病理検査上悪性所見はなく,マクロファージが浸潤していた.明らかなルーズニングはなく疼痛原因の特定は困難であったが,Stress-shieldingや摩耗粉の関与が考えられた.
  • 橋本 哲, 古市 格, 村田 雅和, 森口 昇, 塚本 正紹, 田浦 智之, 島内 誠一郎
    2011 年 60 巻 3 号 p. 575-579
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    大腿骨ステム周囲骨折後のLCP curved broad plate(以下LCP)折損例に対してデルタ-LOCK stemを用いた1例を経験したので報告する.症例は80歳女性,71歳時右人工股関節全置換術(以下THA),revision THAの既往あり.自宅で転倒し右大腿骨ステム周囲骨折Vancouver分類type Cを受傷.LCPとcable wire systemを併用して観血的整復固定術を施行.術後12週目に歩行練習中に誘因なく右下肢に脱力感が出現し,LCP折損を認めた.デルタ-LOCK stemを用いてrerevision THAを施行した.本症例は高齢者の元々の骨脆弱性に加え,セメント周囲の骨折,横骨折であり,骨癒合が得づらい条件であった.また,遷延癒合を認める状態での荷重や骨折部の僅かなギャップがLCPの疲労折損の原因になったと推測される.このように骨癒合が得づらい症例ではplate折損等の合併症を含めたインフォームドコンセントが必要であると考える.
  • 徳重 厚典, 伊達 亮, 目 昭仁, 田口 敏彦
    2011 年 60 巻 3 号 p. 580-583
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【目的】遠位横止めステムを用いた人工股関節再置換術の術後成績を調査した.【対象】1997―2010年までに遠位横止めステムを用いた人工股関節再置換術症例18例19股を対象とした.【検討項目】原疾患,再置換原因,大腿骨骨欠損状態(Paprosky分類),骨折状況(Vancouver分類),使用ステム,調査時X線所見,合併症,術後JOAスコアを検討した.【結果】原疾患はOA14股,RA2股,ON1股,大腿骨頚部骨折2股,再置換原因は無菌性ゆるみ8股,感染6股,骨折3股,ステム破損2股であった.骨欠損はゆるみ・破損例でPaprosky type III B 7股,IV 9股,骨折例でVancouver分類typeB2 2股,B3 1股,使用ステムはHackstep 4股,Cannulok 8 股,デルタ‐LOCK 7股であった.調査時X線ではゆるみ5股,スクリュー折損2股を認めた.合併症は術後感染1股,感染再燃3股,脱臼5股,術中骨折1股であった.調査時JOAscoreは平均59点であった.【考察】術前骨欠損の大きな症例や感染症例ではステムのゆるみを認める症例が多かった.
  • 田中 源幸, 堀川 良治, 神囿 純一, 栫 博則, 石堂 康弘, 小宮 節郎
    2011 年 60 巻 3 号 p. 584-589
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    特発性大腿骨頭壊死症(ION)の治療法の選択は病型・病期・患者背景(原疾患の有無・年齢・職業etc.)による.我々は若年患者のIONに対して人工骨(HA)移植後に二期的に大腿骨頭前方回転骨切り術(ARO)を施行した症例を経験したので報告する.2005年12月から2006年9月までに当科受診したIONで広範な壊死巣を伴う10代の女性2名,20代の女性1名,30代の男性1名であった.疾患は4例ともにステロイド性,病期分類はStage III,病型分類はtype Cであった.最終観察時,2例は骨頭の圧潰進行は認めなかった.1例は5 mmの圧潰を認め,1例はARO術後の抜釘後7ヶ月目に移植骨周辺~頚部での骨折を認めTHA施行することとなった.
  • 宮井 保尚, 竹内 一哉, 酒井 和裕
    2011 年 60 巻 3 号 p. 590-591
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    28歳女性,拒食症の診断で某精神科病院に入院.入院4日後,両股関節の痛みを訴え歩行不能.入院15日後,腹部違和感のため腹部単純レントゲン撮影で両股関節中心性脱臼骨折を認め当院紹介受診,入院となる.当院入院後2日目に観血的骨接合術施行,経過良好で転院となる.おそらく自殺企図による転落外傷に続発性骨粗鬆症もあって今回の骨折に結びついたと思われる.通常の股関節中心性脱臼骨折にちなんだ治療を文献を交えて考察する.
  • 佐田 潔, 宮本 俊之, 浅原 智彦, 福島 達也, 田口 憲士, 岡崎 成弘, 上戸 康平, 進藤 裕幸
    2011 年 60 巻 3 号 p. 592-597
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    未治療の糖尿病を基礎疾患としフルニエ壊疽を発症した症例を経験したので報告する.【症例】42歳女性.左外陰部のしこりに気付き,近医受診し抗菌薬を処方されたが症状の改善なく当院産婦人科受診,軟部組織感染が疑われ当科紹介となった.体温38.8℃,左外陰部から左大腿内側に発赤と腫脹を認め,血液検査でWBC16500/μl,CRP26.4 mg/dlと高度の炎症所見を認めた.単純X線で左鼠径部にガス像を認め,MRIで壊死性筋膜炎,フルニエ壊疽と診断し緊急デブリードマンを行った.創部には悪臭があり,皮下組織の壊死を認めた.2日後デブリードマンを追加し創部に皮膚欠損を生じたため局所陰圧閉鎖処置を開始した.感染は沈静化し,肉芽形成が良好となった時点で植皮により閉創した.【考察】フルニエ壊疽は診断が遅れると致死的な疾患であるが,MRIによる早期診断と壊死範囲の確定,早期のデブリードマンが有用であった.
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