整形外科と災害外科
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60 巻 , 4 号
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  • 田上 裕教, 中村 英一, 鬼木 泰成, 岡元 信和, 西岡 宏晃, 田中 あづさ, 今村 悠哉, 小山 雄二郎, 水田 博志
    2011 年 60 巻 4 号 p. 601-607
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【目的】今回我々は,成人の脛骨に発症したサルモネラ骨髄炎の1例を経験したので報告する.【症例】30歳,男性.1カ月前より,特に誘因なく左下腿遠位部に腫脹と疼痛が出現し,近医を受診した.骨髄炎を疑い,抗菌薬を内服投与され一旦改善するも,その後症状が再燃したため当科を受診した.X線上脛骨遠位部に円形の透亮像が見られ,MRI上,初期にはBrodie骨膿瘍の形態を示していた.治療は,外科的に掻爬・洗浄し抗菌薬混入セメントビーズを充填した.術中組織よりサルモネラO8型が検出され,サルモネラ骨髄炎と診断した.術後,症状は消退し,術後11カ月の現在,感染の再燃は認めていない.【考察】サルモネラ骨髄炎は経口摂取後,腸管吸収を経て成立する血行性骨髄炎である.過去10年間に32例報告があり,そのうち成人での発症は7例と,極めて稀であった.全て消化器症状を前駆症状に認めていなかった.
  • 古江 幸博, 田村 裕昭, 永芳 郁文, 本山 達男, 川嶌 眞之, 古賀 陽一, 川嶌 眞人
    2011 年 60 巻 4 号 p. 608-611
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    屈筋腱が整復阻害因子であったPIP関節脱臼の2例を経験した.【症例1】39歳,男性.野球で右中指を受傷.PIP関節掌側の創から基節骨骨頭が突出し,浅,深指屈筋腱が橈側から基節骨骨頭背側に乗り上げていた.これらを正常位置に戻して整復し,術後2週間シーネ固定を行った.術後8カ月,PIP関節の腫大が残ったが,可動域正常で,疼痛,不安定性はない.【症例2】78歳,男性.転倒し左小指を受傷.徒手整復を試みたが整復されず,観血的整復を行った.浅指屈筋腱の橈側半腱のみが掌側に残り,尺側半腱と深指屈筋腱は尺側から基節骨頭背側に乗り上げていた.これらを掌側に戻し整復した.術後2週間伸展位にてシーネ固定を行い,術後3カ月,伸展-10度,屈曲100度で,疼痛,不安定性はない.この外傷は,X線像で脱臼した中節骨が近位に大きく転位した所見と,徒手整復時に牽引に抵抗感があり中節骨が屈曲できない所見が特徴的である.
  • 今村 悠哉, 入江 弘基, 堀川 朝広, 石井 一誠, 瀬形 建喜, 米村 憲輔, 水田 博志
    2011 年 60 巻 4 号 p. 612-616
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    日常生活動作で発症した長母指屈筋腱皮下断裂の1例を経験したので報告する.症例は49歳女性.ジャム缶を開けようとした際,右手掌部に疼痛が出現した.4~5日してから右母指IP関節の自動屈曲不可を自覚するも放置され,2カ月後に近医受診し,精査目的で当科紹介受診した.長母指屈筋腱皮下断裂の診断で,腱移植を計画したが,術中に近位断端と瘢痕を伴った遠位断端が縫合可能であったことより,Interlacing縫合を行った.術後ピンチ力不良のため,初回手術より1年後に腱剥離術およびpulley再建術を施行した.再建術後,右母指IP関節の屈曲も良好となり,ADLも改善した.長母指屈筋腱皮下断裂の発生要因として橈骨遠位端骨折のプレート固定後やキーンベック病,舟状骨偽関節,関節リウマチなどの報告がみられる.自験例ように基礎疾患,外傷既往のない長母指屈筋腱皮下断裂は比較的稀であり,文献的考察を含め報告する.
  • 江頭 秀一, 田口 学, 高橋 知幹, 林田 洋一, 高井 聖子, 高井 浩和, 中島 英親
    2011 年 60 巻 4 号 p. 617-620
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    小児橈骨骨幹端部骨折における徒手整復後再転位に影響を及ぼす因子について検討を行った.平成19年4月から平成22年3月までに当院で治療を行った15歳以下の小児橈骨骨幹端部骨折219例中,転位または10°以上の屈曲変形を認め,徒手整復を行い経過観察可能であった20例を対象とした.X線学的評価として,側面像で,橈骨骨軸と遠位骨片のなす角をangulation,橈骨径に対する骨片転位の割合をtranslationとして用いた.経過中に10°以上のangulation,または30%以上のtranslationを認めたものを再転位例とし,再転位あり群(11例)と再転位なし群(9例)を比較検討した.骨折型において2群間で有意差を認めた.完全骨折の場合多くが転位を伴っており,そのため解剖学的整復が得られにくく,場合によっては初期治療からK-wireによる手術加療を考慮すべきと考える.
  • 井上 三四郎, 仲西 知憲, 菊池 直士, 宮崎 幸政, 井ノ口 崇, 上森 知彦, 斎藤 武恭, 阿久根 広宣
    2011 年 60 巻 4 号 p. 621-625
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    橈骨遠位端骨折に対し掌側ロッキングプレートを用いた骨接合術は近年急速に一般化している.当院では,3症例のインプラント折損例を経験した.1例はSmartLock(Stryker)のプレート折損,残りの2例はAcu-Loc(Acumed)のロッキングスクリューおよびロッキングピンの折損であった.SmartLockを選択する場合は,患者背景を吟味し後療法にも注意すべきである.Acu-Locを選択する場合は,遠位最尺側の螺子やピンの折損に注意を払うべきである.
  • 松尾 洋昭, 宮崎 洋一, 青山 隆, 中村 隆幸, 伊藤 茂, 貝田 英二
    2011 年 60 巻 4 号 p. 626-629
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    上腕骨遠位端骨折に対しLCP-distal humerus plate(以下LCP-DHP)を用いて骨接合術を行った症例の治療成績について検討したので報告する.2007年12月から2010年4月までに当院にてLCP-DHPを用いて骨接合術を行った5例を対象とした.男性1例,女性4例,平均年齢68.8歳であった.受傷機転は転落3例,転倒2例,骨折型はAO分類type C 2:3例,C 3:2例であった.他部位骨折合併例が4例であった(第3.4中手骨骨折1例,橈骨遠位端骨折2例,橈骨遠位端骨折及び上腕骨近位端骨折1例).後療法は全例術後3日目より可動域訓練を開始した.これらの症例の治療成績を日本整形外科学会肘関節評価法(JOAスコア)を用いて評価した.最終調査時のJOAスコアは平均90.8点(77~96点)であった.全例術後合併症はなく,1例の多発骨折例を除き問題なく日常動作可能となった.上腕骨遠位端関節内骨折に対するLCP-DHPの治療成績は良好であり,有効な内固定材料と思われた.
  • 江良 允, 古川 敬三, 梶山 史郎, 崎村 俊之, 進藤 裕幸
    2011 年 60 巻 4 号 p. 630-633
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【はじめに】橈骨頭周囲の骨化をきたした小児亜急性期Monteggia骨折の1例を経験したので報告する.【症例】7歳,女児.左手をついて転倒し受傷.近医受診するも橈骨頭脱臼に気づかれず,シーネ固定のみ受けた.受傷後25日目に左橈骨頭脱臼および橈骨頭周囲の骨化像を指摘され当科外来初診.左肘の著明な可動域制限および単純X線で左尺骨の塑性変形を認め,小児Monteggia骨折と診断した.受傷後33日目に手術施行.橈骨頭脱臼の整復は尺骨の可及的徒手矯正のみでは困難で,観血的な骨化巣の全切除を要した.術後5日目に橈骨頭の再脱臼を認めたため,同日再手術施行.尺骨骨切りや輪状靱帯再建には家族の同意が得られず,近位橈尺関節の経皮ピンニングを行った.再手術後の経過は良好で術後1カ月で抜線し可動域訓練を行った.最終観察時,軽度の回内制限が残存するが,ADL障害はなく,再脱臼,骨化は認めなかった.
  • 黒木 綾子, 野口 雅夫, 辻 正二, 銅川 博文, 黒木 一央
    2011 年 60 巻 4 号 p. 634-636
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    上腕骨小頭骨折は上腕小頭の前方関節面のみを含むものであり,肘関節周辺骨折の約1%と稀な骨折である.今回我々は上腕骨小頭骨折に対し,吸収性骨片接合材料(吸収ピン)を用いた内固定を行い良好な成績を得たので報告する.症例は14歳,男性.テニス中にバックしていて後ろ向きに転倒し受傷,同日左肘の疼痛と腫脹を主訴に当院受診した.単純X線及びCTにて骨折の一部が滑車に及ぶ上腕骨小頭骨折を認めた.受傷後2日目に骨接合術を施行.骨片の大きさから,吸収ピンを用い関節軟骨面から固定する方法を選択し,骨折線に直交するよう前方から後方にむかって1.5 mm径の吸収ピンを計3本挿入した.術後3週間肘関節90度屈曲位でシーネ固定を行い,その後自動運動を開始した.術後5カ月後の現在,骨癒合が得られ,疼痛なく可動域制限も認めていない.吸収ピンは,上腕骨小頭骨折のような関節内骨折における小骨片の固定には有用な内固定材料と考えられた.
  • 荻本 晋作
    2011 年 60 巻 4 号 p. 637-640
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【目的】鏡視下腱板縫合術において,アンカーを用いないARCR(SALS)を施行した2症例の術後成績及びその応用について報告する.【対象】症例1:70歳男性,術後7ケ月.症例2:60歳男性,術後8ケ月.【方法】第33回肩関節学会において石毛らが報告したSALSにほぼ準じた.原法ではK-wireを上腕骨,腱板,皮膚を貫いて体外に出しているが,その貫通を上腕骨に留め鏡視下での手技に変更した.術後評価は日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(以下JOA score),MRI評価(菅谷分類)を用いた.【結果】JOA scoreは症例1;88点,症例2;93点.術後MRI評価はともに菅谷分類type1.【考察】SALSは断裂サイズが大きくなければ有用な手術方法の1つと考えた.また上腕骨大結節遠位での固定のため,アンカー法のサルベージにも用いることができると考える.
  • 金丸 由美子, 北原 博之, 宮路 剛史, 津田 圭一, 矢部 嘉浩
    2011 年 60 巻 4 号 p. 641-644
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【目的】一次修復不能な腱板断裂に対する関節鏡視下パッチ法の術後成績を検討すること.【対象と方法】平成19年4月から平成22年3月に当院でパッチ法を行った大腿筋膜3例,テフロンフェルト1例の計4例を対象とした.手術は関節鏡視下に残存腱板を過度な緊張が加わらない範囲内で可能な限り大結節へ縫着し部分修復を行うことを基本とし,補強としてパッチを用いた.【結果】大腿筋膜を用いたものは術後1例は生着,1例は部分断裂,1例は再断裂したが,いずれも疼痛,機能,可動域ともに術前よりも改善を認めた.大腿筋膜が生着した1例では筋力の回復が著明であった.【考察】我々はパッチは部分修復した腱板に対する補強材料と考えている.術後に労働など腱板の強い修復強度が求められる症例にはパッチの生着を期待して大腿筋膜を用いたが,強い修復強度を必要としない高齢の症例では低侵襲なテフロンフェルトでも満足する結果が得られると考える.
  • 矢澤 克典, 井手 淳二, 水田 博志
    2011 年 60 巻 4 号 p. 645-648
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    若年者で腱板損傷などの合併損傷のない,バケツ柄状断裂と剥離型損傷が混在した稀なSLAP lesionの1例ついて報告した.症例は14歳男性であった.主訴は右肩痛と脱臼感である.平成21年8月,投球時に右肩の脱臼感が生じ,以降,右肩投球時痛が生じた.平成22年4月,投球時に再度右肩の脱臼感を生じたため5月に近医を受診し,精査加療目的で当科紹介となった.理学所見では,右肩関節屈曲100°で疼痛を認め,インピンジメント徴候とO'Brien test3)が陽性であった.単純X線像は異常を認めなかったが,MRI T2*像では上方関節唇の剥離所見を認めた.反復性肩関節前方亜脱臼の診断にて関節鏡検査を施行し,type II+III SLAP lesionを認めた.バケツ柄状断裂を切除し,2縫合糸付き吸収性suture anchorにてtype II SLAP lesionを修復した.腱板損傷などの合併損傷は認めなかった.術後4カ月で疼痛および可動域制限は消失した.Impingement sign,O'Brien test3)は陰性であり,Rowe score は100点で野球に復帰した.
  • 里村 健志, 伊崎 輝昌, 柴田 陽三, 藤沢 基之, 篠田 毅, 内藤 正俊
    2011 年 60 巻 4 号 p. 649-653
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    全人工肩関節置換術後の関節窩コンポーネントゆるみに対して,骨移植による関節形成施行した1例を経験したので報告する.症例は50歳男性,アルカプトン尿症に伴う変形性肩関節症に対して,2002年5月に左全人工肩関節置換術施行.術後8年で疼痛・関節可動域低下が生じ,X-pで関節窩骨融解が進行したため再手術となった.関節窩コンポーネント抜去後,腸骨より採取した海綿骨で骨欠損部を充填,さらにtricortical boneで関節窩を形成した.術後3ケ月で自発痛は消失し,自動挙上100度まで可能となった.一期的なコンポーネント再置換が困難な場合,腸骨tricortical boneによる関節形成は有用な術式と考えられた.
  • 水城 安尋, 玉井 幹人, 弓削 英彦, 志田 義輝, 花田 麻須大, 久我 尚之, 萩原 博嗣
    2011 年 60 巻 4 号 p. 654-657
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【はじめに】上腕骨大結節骨折は転位のわずかな場合には保存療法にて良好な成績が得られる.しかし骨癒合後も疼痛やインピンジメント徴候を呈す症例もある.今回我々は転位のわずかな大結節骨折後にインピンジメント徴候が残存した症例に対し,鏡視下手術を施行し良好な成績を得たので報告する.【症例】67歳女性.H21年7月に転倒し左手をついて受傷した.受傷5日後に当科紹介初診した.転位のわずかな大結節骨折を認めたため保存療法を行った.MRIでは明らかな腱板断裂の所見は認めなかったが,その後も改善を認めなかった.症状の改善がなく受傷後6カ月で関節鏡検査を行ったところ,わずかな転位をした大結節部に腱板の微小な断裂を認めた.鏡視下大結節形成及び腱板の修復を行った.術後10カ月でインピンジメント徴候は消失しJOA scoreは術前65点から92点に改善した.【まとめ】転位のわずかな大結節骨折は,骨癒合後も症状が残存する場合があり,特に大結節の前方の段差を認めるものは注意深い経過観察を要する.
  • 前川 啓, 西田 顕二郎, 横山 良平
    2011 年 60 巻 4 号 p. 658-660
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    初回治療より7年以上を経て局所再発をきたした上縦隔の迷走神経由来の悪性末梢神経鞘腫(MPNST)を経験した.46歳時左頚部の腫脹と嗄声,horner徴候にて発症.CTにて上縦隔より頚部に連続する腫瘍をみとめ,臨床所見と細胞診にて非小細胞肺癌と診断で放射線化学療法後に切除した.手術所見では迷走神経由来の紡錘形細胞腫瘍でありvimentinとS-100が陽性であったことからMPNSTと診断した.手術より86ケ月後,左鎖骨周囲に再発腫瘍を認めた.再発腫瘍は左鎖骨上の手術瘢痕部にあり,穿刺細胞針の刺入部に近かった.
    MPNSTの局所再発の多くは2年以内に発生し5年以上経過して再発することは稀である.しかし,本症例のように手術より7年以上を経て再発をすることがあり,長期の経過観察が必要である.
  • 西田 顕二郎, 前川 啓, 横山 良平
    2011 年 60 巻 4 号 p. 661-663
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【はじめに】転移を来した肉腫は,化学療法への反応の良し悪しにかかわらずその予後は不良である.今回われわれは,肺転移と局所再発を同時にきたした背部未分化型多形肉腫(undifferentiated pleomorphic sarcoma: UDPS)いわゆる悪性線維性組織球腫(MFH)に対し,メスナ,アドリアマイシン,イホスファミド,ダカルバジン(MAID)を用いた化学療法を行い,局所再発,肺転移が画像上消失した症例を経験したので報告する.【症例】61歳男性,3カ月前より左上背部に腫瘤を自覚.1カ月前に近医受診し腫瘍切除術施行.病理診断の結果UDPSであったため,当院紹介受診となった.追加広範切除術施行したが,術後2カ月で発熱および局所の疼痛を来し,胸部CTにて局所再発および両肺に多発肺転移を認めた.そこでMAID療法4コース施行したところ再発病変および両肺転移病変は消失した.その後,局所に60Gyの放射線照射を行い,さらにMAIDを2コース追加した.著効確認後5カ月の現在も再燃を認めていない.
  • 三好 智之, 村松 慶一, 伊原 公一郎, 田口 敏彦
    2011 年 60 巻 4 号 p. 664-666
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    当院での滑膜肉腫の治療成績を検討したので報告する.対象は1990年から2010年までに治療を行った15例である.男性11例,女性4例,平均年齢45歳(17―76歳),経過観察期間は平均6年(2カ月―17年)である.初診時Enneking Stage分類,罹患部位,腫瘍サイズ,転帰について検討するとともにKaplan-Meier法により生存率を算出し,予後不良因子の検討を行った.初診時Stage分類はII-A:7例,II-B:6例,III:2例,大腿を除く四肢5例,体幹・大腿部10例であり,腫瘍サイズは平均6.5 cmであった.転帰はCDF:9例,AWD:1例,DOD:5例であり,予後不良因子として腫瘍径5 cm以上,体幹・大腿発生,Stage II-B以上,大血管周囲発生であった.局所再発は少ないが5年生存率は55.7%であり,予後向上のためには遠隔転移のコントロールが重要と考える.
  • 吉松 弘喜, 海江田 康光, 吉田 健治, 神保 幸太郎, 田中 憲治, 坂井 健介, 後藤 琢也, 瀧 健治, 山下 寿, 佐藤 公昭, ...
    2011 年 60 巻 4 号 p. 667-670
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    16例のMRSA化膿性脊椎炎について調査を行った.MRSA化膿性脊椎炎の特徴はcompromised hostが多い,先行感染を有する割合が高い,膿瘍合併が多い,麻痺を生じやすい,死亡率が高いとされている.今回の調査では診断時に31%の症例が重症敗血症を合併しており,それらの症例は外科的治療困難で死亡に至っていた.一方,診断時に重症敗血症合併のない症例では再発率,麻痺発生率は高いものの,死亡に至った症例はなかった.従来の報告通り,診断時に重症敗血症を合併している症例では治療に限界があったが,重症敗血症合併のない症例では比較的良好な成績であり,全身麻酔困難例での経皮的病巣掻爬ドレナージの有効な症例を認めた.保存的治療に抵抗性があれば,全身状態をみて早期に低侵襲治療を検討すべきと考えられた.
  • 塚本 正紹, 古市 格, 村田 雅和, 森口 昇, 田浦 智之, 島内 誠一郎, 橋本 哲
    2011 年 60 巻 4 号 p. 671-674
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【はじめに】当院における化膿性脊椎炎の現状を把握し,今回,起炎菌の同定方法および合併症について調査・検討した.【対象と方法】2007年1月~2010年6月までに当院で入院加療を行った24例(男性11例,女性13例,平均年齢74歳)につき,起炎菌およびその同定方法,合併症,治療などを調査した.【結果】起炎菌が同定できた症例は14例(検出率71%)で,起炎菌はMRSA 4例,MSSA 3例,Citrobacter koseri 2例,大腸菌,肺炎球菌,非定型抗酸菌,真菌で,血液培養の同定率は58%,組織生検培養の同定率は60%であった.合併症は感染性心内膜炎,髄膜炎,偽膜性腸炎などを11例に認め,血液培養陽性,入院時CRP値が危険因子であった.治療は,保存療法18例(ドレナージ併用7例),手術6例だった.【考察】化膿性脊椎炎,特に血液培養陽性例では,合併症の発生にも注意が必要である.
  • 原 慎太郎, 瀬井 章, 藤本 徹, 谷脇 琢也, 岡田 龍哉, 水田 博志
    2011 年 60 巻 4 号 p. 675-679
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    感染性脊椎疾患に伴う腸腰筋膿瘍の報告は増加しているが,腸骨筋単独発生例の報告は少ない.仙腸関節炎を併発した腸骨筋膿瘍に対しCTガイド下経皮的ドレナージにより治療可能であった症例を経験したので報告する.46歳女性,全身倦怠感と左臀部から下腿に放散する痛みを認め近医受診したが,軽快せず近医入院となる.MRIにて左仙腸関節炎と径4 cmの左腸骨筋膿瘍を認め,抗生剤投与するもCRP 20mg/dlと高値を示し,第15病日に当科紹介され,入院となる.入院時CTでは左腸骨筋内に径11cmの多房性の低信号域を認め,同日CTガイド下にドレナージ術を施行し,ドレナージチューブを14日間留置した.培養でMSSAが検出され,感受性のある抗生剤の投与にて炎症反応は沈静化した.保存的治療に抵抗性を示す場合は,経皮的ドレナージが第1選択と考える.
  • 山田 圭, 佐藤 公昭, 密川 守, 渡邊 琢也, 山下 勝, 佐々木 威治, 猿渡 敦子, 永田 見生
    2011 年 60 巻 4 号 p. 680-684
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【目的】当科における脊椎SSI予防策の効果を検証した.【対象と方法】2009年6月から2010年9月まで脊椎手術施行した286例(男166例,女120例)に対し,脊椎SSI予防策として,予防的抗菌薬投与を術当日から2~3日間施行し,術直前に術野を石鹸で洗浄した.さらに救命センター経由の入院,Instrumentation手術,アトピー性皮膚炎などの皮膚病変合併の3つの因子の中で,複数以上の因子を有する症例に対して周術期にバンコマイシン(VCM)の予防的投与(1000mg/日,2日間)を行った.【結果】SSIは286例中9例(3.1%)に発生し,SSI発生率の有意な減少は認められなかった.しかしメチシリン耐性ブドウ球菌(MRS)によるSSIの発生は減少していた.【考察】当科の予防策はMRS感染リスク関与因子とした救命センター経由のMRSによるSSI予防に効果的であった可能性がある.
  • 山川 慶, 勢理客 久, 屋良 哲也, 金谷 文則
    2011 年 60 巻 4 号 p. 685-688
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    感染性心内膜炎に広範囲硬膜外膿瘍を合併した1例を経験したのでこれを報告する.55歳男性.38度台の発熱,背部痛を主訴に内科を受診し入院となった.経食道エコー検査で僧帽弁にvegitationを認め,感染性心内膜炎の診断の下,抗生剤を投与された.入院5日目より腰痛,両大腿痛が生じたため,当科に紹介された.感覚障害,下肢筋力低下は認めなかったが,下肢への放散痛のため,体動は困難であった.MRIではTh4からS1におよぶ硬膜外膿瘍を認めた.その後症状の改善がみられなかったため,手術を行った.手術はTh6/7からL3/4まで一椎間おきに椎間開窓しデブリドマンを施行した.硬膜は炎症性肉芽に圧排され,同皮膜内に淡赤色の膿を認めた.術後,症状は改善し,独歩可能となり退院となった.
  • 永野 聡, 横内 雅博, 海江田 光祥, 鶴 亜里紗, 善明 美千久, 井尻 幸成, 小宮 節郎
    2011 年 60 巻 4 号 p. 689-691
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    当科で治療した骨肉腫症例の患肢温存率と,温存の可否に影響する因子を検討した.計27例の症例のうち,初回手術で5例に切断術が施行され,患肢温存率は82%であった.切断術となった理由は,病的骨折が2例,血管神経束の浸潤が2例,全身状態不良(糖尿病)1例であった.患肢温存術後の局所再発2例で切断術となり,最終的な患肢温存率は74%であった.5年生存率は切断例57%,患肢温存例64%であり,一般的な報告と異なり2群間に統計学的有意差を認めなかった.当科の症例では患肢温存率はほぼ諸家の報告と同等であったが,化学療法の効果を高めることが患肢温存率を向上させると考えられた.
  • 宮元 修子, 矢野 浩明, 山本 惠太郎, 石田 康行, 田島 卓也, 山口 奈美, 崎濱 智美, 長澤 誠, 帖佐 悦男
    2011 年 60 巻 4 号 p. 692-696
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    軟骨芽細胞腫は10歳代の長管骨骨端部に好発する比較的稀な腫瘍である.今回我々は軟骨芽細胞腫の1症例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は15歳女性,右肩を壁に打ちつけ,右肩痛・可動域制限が出現した.その後,右肩挙上困難が出現したため近医受診し,レントゲンで上腕骨頚部に仮骨を認めたため,骨折の診断でリハビリを施行されていた.数か月後,右肩の腫脹に気づいたが放置していた.右背部の外傷あり,その際のレントゲンにて上腕骨に骨透亮像認めたため,MRI施行したところ骨腫瘍疑われ,当科紹介初診となった.生検術を施行し,軟骨芽細胞腫の診断となり,骨腫瘍掻爬と人工骨移植術を施行した.術後3年の最終経過観察時,再発なく右肩可動域制限もない.
  • 今村 純忠, 坂本 昭夫, 松本 嘉寛, 播广谷 勝三, 松田 秀一, 高橋 祐介, 小田 義直, 岩本 幸英
    2011 年 60 巻 4 号 p. 697-700
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    傍骨性軟骨異形増生bizzare parosteal osteochondromatus proliferation(BPOP)は手足の短管骨に好発し骨表面より,突出性に増殖する病変である.組織学的に骨,軟骨,線維組織にて構成される.骨髄との連続性は,通常みられない.近年,t(1;17)(q32;q21)などの染色体異常が,BPOPにて報告されている.我々は,BPOP症例を経験した.CT,MRIにて,病変は,正常骨髄との連続性を認めた.この骨髄との連続性は,BPOPの発生部位と機序の解明のため,他のBPOP症例において,一般的な所見かどうか,解析を要する.
  • 富田 雅人, 野崎 義宏, 宮田 倫明, 林 徳眞吉, 進藤 裕幸
    2011 年 60 巻 4 号 p. 701-704
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    非常に稀な疾患である骨原発筋上皮細胞腫の1例を経験したので報告する.症例は,58歳,女性.既往歴に特記事項は無かった.現病歴:平成20年の年末に右手背部の腫脹に気付いたが,痛み無く放置していた.平成21年5月頃から,時折右第3,4指のしびれ感を自覚し,近医を受診.当科紹介受診となった.右手背尺側に骨の膨隆を触知したが,圧痛・叩打痛ともに認めなかった.単純X線では,骨硬化と骨融解像を伴う右第4中手骨の膨隆を認めた.MRIでは,T1WIで低輝度,T2WIで液面形成を伴う高輝度を示し,Gdにて辺縁のみ造影された.診断確定の為に切開生検を行い,病理学的に筋上皮細胞腫と診断した.生検後外来にて経過観察を行っているが,約1年を経過した現在腫瘍の増大・転移ともに認めていない.骨原発の筋上皮細胞腫は非常に稀な腫瘍であり,我々が渉猟し得た範囲では,世界中で10例の報告があり,そのうち良性の筋上皮腫は3例のみであった.
  • 小山 雄二郎, 薬師寺 俊剛, 佐藤 広生, 岡 潔, 水田 博志
    2011 年 60 巻 4 号 p. 705-707
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    自然消退した大腿骨発生骨軟骨腫の1例を経験したので報告する.【症例】12歳,男性【主訴】右大腿骨異常陰影【現病歴】平成19年右膝を打撲し,疼痛が持続するため近医を受診し,右大腿骨骨腫瘍が疑われ当科外来を受診した.【現症】右大腿骨遠位背側に3×2 cm,骨性硬,可動性のない腫瘤を触知した.単純X線像で右大腿骨骨幹端背側に骨性隆起を認め,MRIでは同部位表層に軟骨帽を認めた.以上より骨軟骨腫と診断した.【経過】日常生活に支障はないため経過観察とした.初診時から2年後の単純X線像では骨外性の隆起は縮小し,3年後にはほぼ消失に至った.【考察】我々が渉猟しえた限り,自然消退した骨軟骨腫の報告は19例のみであり,大腿骨遠位部は6例で,診断時平均年齢は11歳(3-15歳),自然消退までの期間は平均3.7年と,本自験例とほぼ同等であった.
  • 太田 真悟, 富田 雅人, 野崎 義宏, 宮田 倫明, 木下 直江, 安倍 邦子, 進藤 裕幸
    2011 年 60 巻 4 号 p. 708-713
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【はじめに】膝蓋骨に発生した軟骨芽細胞腫の1例を経験したので報告する.【症例】27歳,男性.既往歴に特記すべき事項はない.現病歴:2,3年前より左膝痛があり,平成21年12月に当科紹介受診した.膝蓋骨に叩打痛を軽度認めた.単純X線にて左膝蓋骨に骨透亮像を認めた.MRIではT1WIで低輝度像,T2WIで高輝度像を示し,Gdで不均一に淡く造影される病変を認めた.画像上,軟骨芽細胞腫,骨巨細胞腫を疑った.病巣を掻爬後,人工骨を移植した.病理診断は軟骨芽細胞腫であった.術後10カ月経過し,再発や転移は認めていない.【考察】軟骨芽細胞腫は,比較的稀な骨腫瘍であり,全骨腫瘍の約0.2%を占める.また一般的には四肢の長管骨の骨端に好発する.しかしながら本症例の様に膝蓋骨発生例の報告も散見される.膝蓋骨の疼痛を主訴に受診し,単純X線像において膝蓋骨の骨透亮像を呈する疾患として本腫瘍を鑑別疾患の一つとすべきである.
  • 今村 隆太, 松田 秀一, 岡崎 賢, 田代 泰隆, 光安 浩章, 岩本 幸英
    2011 年 60 巻 4 号 p. 714-717
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【目的】3次元術前計画ソフトを用いて,矢状面での大腿骨骨切り角度の誤差が大腿骨前後径のサイジングに及ぼす影響について検討した.【対象および方法】TKA術前の43症例50膝を対象に,矢状面での大腿骨遠位骨軸に垂直,伸展3度・5度,屈曲3度・5度の角度で骨切りするプランニングを行い,前方でノッチを形成しないようコンポーネントを設置した際の,コンポーネントの前後位置を計測した.【結果】骨軸に垂直な骨切に比べ,伸展3度では1.9±0.6mm(0.8~3.1),伸展5度では3.1±0.4mm(2.0~4.2)前方へ移動した.屈曲3度では1.4±0.3mm(0.6~3.4),屈曲5度では2.4±0.3mm(1.6~4.3)後方へ移動した.【考察】大腿骨コンポーネントの前後径は,機種により異なるが,サイズが一つ異なる毎に2-4mm程度の差が存在する.今回の結果によると,矢状面骨切り角度の数度の誤差で,術前計画と術中のサイジングの間に1もしくは2サイズの差が生じる可能性が示唆された.
  • 近藤 桂史, 長嶺 隆二, 陳 維嘉
    2011 年 60 巻 4 号 p. 718-721
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    人工膝関節置換術を施行した31膝に対しFluoroscopyを用いて関節裂隙角度を計測し,手術中にStryker社製のTensor/Balancerを用いて計測した関節裂隙角度との相関を検討した.手術中に計測した平均関節裂隙角度は,伸展位内反0.9±1.4°,屈曲90度で外反0.3±3.2°であり,伸展位と屈曲90度でのGapの差は2.3±1.8mmであった.手術後にFluoroscopyで計測した平均関節裂隙角度は,伸展位内反0.1±0.6°,屈曲90度で内反0.6±2.4°,また膝内外反動揺性に関しては,伸展位で1.6±1.3°,屈曲90度では3.9±3.3°であった.以上の結果から,手術中に計測したtensor/balancerの信頼性は高く,不安定性も認めていない事から臨床上においても問題ないと判断出来る.
  • 生田 拓也
    2011 年 60 巻 4 号 p. 722-724
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    KU型人工膝関節の成績はおおむね良好であるが,途中デザインや素材の変更があったKU4型人工膝関節において早期のlooseningの症例を経験しており報告した.2000年1月より2010年5月までに当院で施行したKU型人工膝関節置換術は516膝でKU3型29膝,KU4型222膝,KU4+型256膝であった.Looseningによる再置換術を施行した症例は7例で全例KU4型であり,初回手術後平均6年2ヶ月で再置換術を施行した.Looseningの部位は全例大腿骨側であり,再置換術時インプラントへの骨セメントの固着は認められなかった.KU3型からKU4型へ機種を変更する際に術式や骨セメントの変更は行っておらず,デザインや材質の変更がlooseningに何らかの関連があることが考えられた.
  • 石原 康平, 王寺 享弘, 松田 秀策
    2011 年 60 巻 4 号 p. 725-729
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【はじめに】アスリートにおける膝前十字靱帯(以下ACL)損傷は軟骨障害を合併していることも稀でない.今回若年アスリートのACL損傷に対しMRI T2マッピングを用いた軟骨の評価を行ったので報告する.【対象及び方法】2010年6月~8月の3ケ月間に当院でACL再建術を行った31例31膝のうち20代までのアスリート17例17膝(男性11例,女性6例),手術時平均19.1歳(15~26歳)を対象とした.プロ1例,社会人リーグ2例,大学1例,高校6例,中学2例.残り5例は就職後もスポーツ継続している症例であった.術前にMRI T2マッピングを施行し,関節鏡による軟骨所見と比較検討を行った.【結果及び考察】T2マッピングにてT2高値を認めた10例中,鏡視で6例に軟骨損傷を認めた.一方T2マッピングにてT2正常の7例中,鏡視で軟骨損傷を認めたのは1例のみであった.T2マッピングは非侵襲的に軟骨の質的評価が可能で,アスリートにおいても有用な検査となると思われた.
  • 本山 達男, 古江 幸博, 永芳 郁文, 川嶌 眞之, 田村 裕昭, 古賀 陽一, 川嶌 眞人
    2011 年 60 巻 4 号 p. 730-733
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    内側半月後角横断裂は中高年に多く見られ,初期の強い疼痛を特徴とする疾患であるが若年者では稀である.15歳の若年者に発症した内側半月後角横断裂を経験した.症例)15歳,男性,主訴;右膝痛,病歴;2001年12月ゆりかご式のブランコより飛び降りた際に右膝を捻り転倒し受傷した.右膝痛出現し歩行困難となり当院受診した.右膝痛強く,腫脹があり,屈曲困難で穿刺にて関節血症50cc以上認めた.関節鏡を行い,内側半月後角横断裂を確定診断し他部位の損傷はなく,切除などの処置は行わなかった.10日間の膝伸展位でのシーネ固定後,簡易装具を2カ月間程度装着させ術翌日より運動療法を行った.症状は徐々に軽減し約3カ月後の再鏡視では,内側半月後角横断裂部の線維性の癒合を認めた.半月後角部は半月の他部位よりも血行があり,治癒能も幾分ある部位だが,若年の本症例では50cc以上の出血があり血行豊富で自然治癒が得られた.
  • 川村 秀哉, 浦上 泰英, 浦上 泰成, 浦上 陽一, 山口 智太郎, 久枝 啓史, 矢野 英寿, 中村 哲郎, 土屋 邦喜
    2011 年 60 巻 4 号 p. 734-738
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    千葉は1992年,新しい脛骨骨切り術として従来までの高位脛骨骨切り術の適応でなかった内外反異常動揺を呈する症例に対して脛骨顆外反骨切り術を発表した.現在では九州内の一部施設にて高度の変形性膝関節症に用いられることもあるが,人工関節に比して必ずしもよい成績でなく,広くは用いられていない.筆者は骨切り適応年齢で内外反動揺の著しい例がよい適応であると考え,2004年より症例を選びロッキングプレートを用いてこの手術を行ってきた.今回,これらの症例の臨床評価を行い,手術適応を考察した.症例は10例,11膝であり,伸展位でのX線ストレス撮影で5°以上の外反動揺を呈し,かつ,関節可動域の保たれた症例に行った.人工関節適応の年齢については人工関節を忌避され,上記適応に準じる希望者のみに行った.術後約3年での術後成績は良好であり,可動域も保たれており,患者の満足度も高かった.この術式は適応を限れば術後成績は良好であると思われた.
  • 井原 秀俊, 小松 陽子, 高山 正伸, 池永 千寿子, 田代 美由紀, 池田 修
    2011 年 60 巻 4 号 p. 739-743
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    目的は,静的および動的姿勢制御において,非利き足(支持足)が支持機能を果たしているのか検討することである.大学ハンドボール部29名を対象にした.支持足は,右が4名,左が25名であった.静的姿勢制御として,バランスパッド上に,開眼または閉眼にて片足で立たせた.開眼は5秒間,閉眼は3秒間静止させた.動的姿勢制御として,40cmの椅子から3種類の不安定な床面に片足で落下着地し,身体の平衡を3秒間保持させた.3種類の不安定な床面は,バランスパッド,左右に揺れる大型不安定板,前後に揺れる大型不安定板であった.各測定とも利き足と支持足にて行い,5回成功するまで実施した.失敗数も記録した.膝に装着した3軸加速度計で膝の揺れを評価した.加速度の順方向最大値と逆方向最大値の和を最大振幅(MAA)とした.結果は,バランスパッドへの着地では,支持足が利き足よりもMAAが小さかった.静的状態および大型不安定板への着地では,MAAに両足間で有意差はみられなかった.失敗数は静的および動的課題とも両足間で有意差はなかった.スポーツ選手の訓練やリハビリテーションプログラムにおいては,支持足の支持足機能を考慮すべきである.
  • 中村 厚彦, 尾上 英俊, 木村 一雄, 岩本 良太, 村岡 邦秀, 今村 尚裕, 三宅 智
    2011 年 60 巻 4 号 p. 744-746
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    足関節外果骨折に対してtension band wiring(以下TBW)を用いて骨接合を行った症例について検討した.2002年から2010年までに手術を行った10例で,男性8例女性2例,平均年齢41歳(15~65歳)であった.骨折型はLauge-Hansen分類に従いSA stage 1:7例(靱帯付着部の裂離骨折2例を含む),stage 2:1例,SER stage 2:1例,stage 3:1例であった.手術はanchor screwを用いたTBWを施行し,術後は外固定を併用した.全例で整復位での骨癒合を得た.K-wireのback outを2例と尖端の回旋転位を1例に認めた.足関節外果骨折はよく遭遇する外傷であり一般的にplate固定が行われるが,遠位骨片が小さい場合はTBWによる内固定の適応となる.anchor screwを併用したTBWは手技が簡便であり有用であると考えられた.
  • 三宅 智, 尾上 英俊, 木村 一雄, 中村 厚彦, 岩本 良太, 今村 尚裕, 村岡 邦秀
    2011 年 60 巻 4 号 p. 747-749
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    踵骨裂離骨折は骨粗鬆症を有する高齢者に好発する骨折である.この骨折の壮・中年者での発症は比較的稀であり,今回我々は5例の治療を経験したので報告する.対象は2007年12月~2010年5月に手術を行った5例5足,性別は全例男性,受傷時年齢30~61歳(平均46歳)あった.皮膚切開は踵部後方内側縦切開,内固定材料は径6.5 mmの海綿骨螺子を使用し骨接合術を行った.後療法は3週間のギブス固定を行った後に,足関節の可動域訓練と荷重歩行を開始した.骨癒合は全例で得られ,足関節可動域に左右差を認めた症例はなく,治療中に創部の潰瘍形成や皮膚壊死などのスキントラブルを起こした症例もなかった.
  • 志田 義輝, 久我 尚之, 水城 安尋, 花田 麻須大, 萩原 博嗣
    2011 年 60 巻 4 号 p. 750-753
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    2003~2010年に当科で治療したLisfranc関節脱臼骨折患者11例11足(男性8例,女性3例)について後ろ向き調査を行った.平均年齢43.8歳(18―77歳),骨折型はHardcastle分類でA型0例,B型8例,C型3例,経過観察期間31ケ月(3―80ケ月)であった.
    受傷原因は直達外力7例・介達外力3例・不明1例で,全例腰椎麻酔下に手術を行った.B型2例は非観血的整復を,B型6例およびC型3例は観血的整復を行い,それぞれK-wireあるいはscrewで内固定した.CRIF 2例,ORIF 9例の術後X線評価および臨床評価はどちらも後者が優っており,術後X線評価が下がるにつれて臨床評価も下がる傾向にあった.本外傷治療においては積極的な観血的整復による正確な解剖学的整復位の獲得が重要と考えられた.
  • 古賀 陽一, 古江 幸博, 田村 裕昭, 永芳 郁文, 本山 達男, 川嶌 眞之, 川嶌 眞人
    2011 年 60 巻 4 号 p. 754-755
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    第2・3・4趾MTP関節脱臼の1例を経験したので報告する.症例は30歳男性.交通事故で左足部を受傷し,X線像で第2・3・4趾MTP関節背側脱臼を認めた.局所麻酔下に徒手整復を試みたが整復できず,翌日腰椎麻酔下に横切開による背側進入にて観血的整復を行った.中足骨頭背側に乗り上げた底側板と深横中足靭帯が整復阻害因子となっており,底側板を縦切開し整復した.術後は4週間の外固定を行い,経過は良好である.この外傷の病態は足趾の背側脱臼が主体ではなく,中足骨頭が深横中足靭帯の底側に押し込まれる偏位であると考えられた.観血的整復では,背側進入が有用であった.
  • 松永 渉, 吉村 一朗, 金澤 和貴, 井田 敬大, 内藤 正俊
    2011 年 60 巻 4 号 p. 756-759
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    脛骨天蓋骨軟骨損傷の報告は距骨骨軟骨損傷に比べて非常に少なく,治療法についてはまだ確立されていない.今回,脛骨天蓋骨軟骨損傷に対して鏡視下骨髄刺激法を施行し,短期であるが良好な成績を得られたので報告する.症例は28歳女性.右足関節痛のため当科受診.単純X線,CT,MRI像にて脛骨天蓋部にcystを伴った骨軟骨損傷を認めた.足関節鏡視下に病変部を掻爬した後に,経脛骨的にドリリングを行った.術後JSSF scoreは72点から100点へと改善した.脛骨天蓋骨軟骨損傷は非常に稀であり,鏡視下骨髄刺激法についての報告は少なく,今後更なる経過観察が必要であると思われた.
  • 萩尾 友宣, 吉村 一朗, 金澤 和貴, 内藤 正俊
    2011 年 60 巻 4 号 p. 760-762
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【目的】足関節内遊離体に対する鏡視下遊離体摘出術の治療成績について検討した.【対象と方法】対象は足関節内遊離体に対し,鏡視下遊離体摘出術を施行した9例9足(男性4名,女性5名,平均年齢35.3歳)とした.手術は仰臥位にて足関節前内外側ポータルと必要に応じて後外側ポータルを作成し,鉗子を用いて遊離体を摘出した.評価項目は術前後の臨床症状,鏡視所見とし,臨床評価として日本足の外科学会足関節判定基準(JSSF scale)を用いた.【結果】術前に足関節の腫脹2足,LockingやCatching症状8足,可動域制限2足認めたが,術後全例症状は改善した.鏡視所見で遊離体の存在部位は足関節前方2足,外側3足,後方4足であった.JSSF scaleは術前平均75.0点が術後96.7点に改善した.【まとめ】足関節内遊離体に対する鏡視下遊離体摘出術を施行し,全例良好な成績を得ることができた.
  • 前 隆男, 浅見 昭彦, 仙波 英之, 原 真一郎, 古市 格, 依田 周, 野口 康男
    2011 年 60 巻 4 号 p. 763-767
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    【目的】骨折治癒は骨折型,部位や手術方法などによりその期間が異なる.四肢長管骨骨幹部骨折において仮骨形成過程について検討する【方法】佐賀骨折治療研究会に属する5病院で術後の仮骨出現,仮骨形成時期を調査した.仮骨出現,仮骨形成の判定には当会の仮骨形成基準を採用した.【対象】上腕骨,橈骨,尺骨,大腿骨,脛骨の骨幹部骨折で2007年8月から2009年7月までで術後半年以上追跡可能な152例を対象とした.【調査項目】仮骨形成期間,骨折型,手術術式,性別,年齢,骨折部位とした.【結果】仮骨出現時期と形成時期では年齢,固定法,骨折部位によって差を認めた.【考察】骨折治癒過程である仮骨出現から形成までの期間を全体的に検証した結果,骨折部位,固定法,年齢,骨折型の相違が仮骨形成過程に影響を及ぼしていることが示唆された.部位別に検討してもその治療方法,骨折型などによって治癒過程が異なる可能性がある.
  • 吉川 和彦, 松瀬 博夫, 山内 豊明, 志波 直人
    2011 年 60 巻 4 号 p. 768-772
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    高齢者大腿骨近位部骨折患者のビタミンK不足について,血清低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)を測定し検討した.骨代謝に影響を与える既往歴がない大腿骨頸部骨折及び大腿骨転子部骨折患者(女性29名,年齢79.9±8.8歳)を骨折群,性と年齢を合わせた整形外科外来患者を対象群(女性30名,年齢78.3±6.6歳)とした.血清I型コラーゲン架橋N-テロペプチド(血清NTx),血清ucOC,血清アルブミン(Alb),血清カルシウム,アルカリフォスファターゼ,前腕部骨密度を測定し,unpaired t-testにて比較した.【結果】骨折群の血清ucOCは,8.46±6.2ng/mLで,対象群の,4.77±2.8ng/mLより有意に大きかった(p<0.01).血清NTxは,骨折群が対象群よりも有意に高値(p<0.01),Albは,骨折群が対象群より有意に低値であった(p<0.01).【考察】大腿骨近位部骨折にビタミンK不足が影響していたと考えられた.血清ucOCを適宜評価することは,大腿骨近位部骨折の予防に有用であると思われる.
  • 加藤 剛, 齊藤 太一, 犀川 勲, 入江 努, 田中 哲也, 井浦 国生
    2011 年 60 巻 4 号 p. 773-779
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    腰仙椎椎体間固定にはさまざまな手術方法があるが,中でも1994年にAbduらにより報告されたPedicular Transvertebral Fixation(以下,PTSF)は,一般的に使用されているpedicle screw(以下,PS)を用い施行可能で,腰仙椎椎体間固定を,L5/S1椎間板を貫通するtransdiscal screw(以下,TDS)により得る手法である.本法では1)TSDがS1及びL5椎体終板を貫通するために腰仙椎体間の固定力が強く,結果的にpull outが生じにくく,2)S1に対してスクリュー刺入方向にL5椎体が存在することで,腹腔内臓器損傷のリスクが少なく,また3)高度すべりに対してはTDS刺入方向が脊椎の軸に対してより垂直に近くなるため従来のPLIFやPLFにおけるS1のPS挿入よりも手技的に簡便である等,数々の利点がある.2007年より当科でも,PTSFによる腰仙椎椎体間を4症例(高度骨粗鬆症(2例),L5椎弓低形成(1例)及び高度のすべり(1例))に施行した.本手法は,手技的にも簡便で全症例において良好な治療成績及び椎体間骨癒合が得られたため,従来のPLIFやPLFと同様に有益な手術方法のひとつと考えられた.
  • 船越 雄誠, 安里 英樹, 金城 英雄, 高江洲 美香, 金谷 文則
    2011 年 60 巻 4 号 p. 780-784
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    Over head activityのスポーツ選手において棘下筋萎縮を生じることがある.保存的治療で一時的に改善したがプレー復帰後再発し,関節鏡視下手術によりスポーツ復帰した症例を経験したので報告する.15歳男性.高校バレーボール選手.スパイクを打つ際の右肩痛と右肩後面の脱力感,易疲労感を主訴に受診した.初診時,棘下筋萎縮及び肩甲骨下制位を認めた.MRI上ガングリオン等占拠性病変は認めなかったが著明な棘下筋萎縮を認めたため,スパイク動作による肩甲上神経の絞扼と判断した.右側でのスパイク禁止および肩甲骨下制筋群のストレッチを施行した.3カ月後,右肩痛は消失し棘下筋萎縮が改善したため右側でのスパイクを許可した.復帰後4カ月で症状が再発し,MRIで棘下筋萎縮の悪化を認めたため手術を施行した.鏡視下に上肩甲横靱帯を切離し,肩甲上神経を剥離した.術後1カ月で完全復帰し,術後5カ月のMRIで棘下筋萎縮は改善し症状なく元の競技レベルに復帰している.
  • 高江洲 美香, 大湾 一郎, 石原 昌人, 翁長 正道, 当真 孝, 比嘉 勝一郎, 照屋 善光, 宮田 佳英, 浦崎 康達, 喜友名 翼, ...
    2011 年 60 巻 4 号 p. 785-788
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    平成21年9月~平成22年1月に沖縄県内の21施設において,大腿骨近位部骨折の診断で入院加療を行った50歳以上の患者311例を対象に,性別,年齢,骨折型,受傷場所,内科合併症の有無,受傷時間帯,骨粗鬆症性骨折の既往と,骨粗鬆症治療薬の服用の有無について調査を行った.症例数は311例で,男性64例,女性247例,平均年齢82.4歳,骨折型は頚部155例,転子部153例,受傷場所は屋内160例,屋外69例,施設内79例であった.264例は合併症を有し,認知症の合併が105例と最も多く,次いで高血圧,脳血管障害の順であった.受傷は6時~11時の時間帯が最も多く,次いで12時~17時,24時~5時の順であった.全体の35%に骨粗鬆症性骨折の既往を認めたが,骨粗鬆症の治療が行われていたのは全体の12.8%であった.骨折の既往や認知症は骨折・転倒リスクの1つであり,リスクを有する高齢者への骨折予防の取り組みが必要と思われた.
  • 喜友名 翼, 大湾 一郎, 石原 昌人, 高江洲 美香, 翁長 正道, 当真 孝, 比嘉 勝一郎, 照屋 善光, 宮田 佳英, 浦崎 康達, ...
    2011 年 60 巻 4 号 p. 789-792
    発行日: 2011/09/25
    公開日: 2011/12/09
    ジャーナル フリー
    大腿骨近位部骨折受傷患者の特徴を明らかにするために,受傷前の日常生活動作(以下ADL)のレベルと認知症の有無について調査を行った.対象は2009年9月から2010年1月までの期間に,沖縄県内の21施設で大腿骨近位部骨折の診断で入院加療を行った310人で,受傷前ADLをBarthel indexで,認知症の有無と程度を改訂版長谷川式認知症スケール(以下HDS-R)で評価した.受傷前ADLはBarthel indexで満点が31%,ある程度の自立が期待できる60点以上が64%で,年齢とBarthel indexには相関係数-0.369の負の相関が認められた.HDS-Rで14点以下を認知症有りと判断すると,52%に認知症が認められ,4点以下の高度認知症は27%であった.HDS-Rと年齢には相関係数-0.493の負の相関が認められた.Barthel indexとHDS-Rには相関係数0.681の正の相関関係が認められた.認知症の程度が高度になるにつれBarthel indexの点数が60点未満の者を多く含むようになり,逆に認知症を認めない者ではその多くがBarthel indexの点数は60点以上であった.
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