整形外科と災害外科
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61 巻 , 1 号
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  • 久我 尚之
    2012 年 61 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    MIPOでの骨折整復は,髄内釘固定と同様にimplantに骨を沿わせることで整復を行う間接的整復が原則である.圧迫プレートによるrigid fixationと異なり,LCPによるbridge platingの固定力学はelastic fixationに基づくため,plateは充分長くなければならない.転位が大きな関節内粉砕骨折はMIPOの適応外であるが,離開が軽度であれば,関節内骨片を経皮的screwで一体化した上で遠位骨片にplateを正確に設置して,次にplateを骨幹部に沿わせ固定する.骨のalignmentを整えるためにreduction screwで骨をplateに引き寄せるが,plateと骨の弯曲が大きく解離する場合にはplateを骨の形状に合わせる必要がある.巨大な骨欠損部への骨移植は躊躇しない.MIPOは髄内釘固定と比べ手技的に難しい点もあるが,人工関節周囲骨折など適応はより広い.但し,閉鎖的整復の基本的手技やbridge plating原理の習熟が必須である.
  • 崎村 幸一郎, 中原 信一, 川口 耕平, 衛藤 正雄
    2012 年 61 巻 1 号 p. 5-8
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    高エネルギー外傷による下腿骨骨折に対して初期治療で一時的に創外固定を設置し,軟部組織の状態が改善した後に二期的に内固定に切り替えた症例の治療成績について検討した.対象は15例(男性14例,女性1例)で受傷時平均年齢は53.2歳.骨折部位は下腿近位部が3例,下腿骨幹部が5例,下腿遠位部が7例で,開放骨折が5例,コンパートメント症候群の合併が1例であった.初回手術から二期的手術までの待機期間は平均10.2日で,二期的手術では3例に髄内釘を12例にロッキングプレートを使用して最終固定を行った.創離開や皮膚壊死,感染などの合併症を生じることなく,全例で良好な骨癒合が得られた.軟部組織の取り扱いを重視した二期的手術は高エネルギー外傷による下腿骨骨折に対して安全で有効な治療法と考える.
  • 吉野 伸司, 川添 泰臣, 鮫島 浩司, 富村 奈津子, 川内 義久
    2012 年 61 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    39股のDAA症例についてレ線評価および合併症,DAA手技の留意点等につき検討した.症例は平均年齢68.0歳,全例変股症でCrowe分類group I:27股,II:10股,III:2股であった.使用器種は全例BiCONTACTである.手術時間は平均127分,術中出血量は平均397ml,術後出血量は平均829mlであった.合併症は大腿神経麻痺1例,大腿骨穿孔1例で,脱臼,感染は無かった.レ線評価でカップ外転角平均44°,前捻角平均22°であり,Lewinnekの安全域設置は76.9%であった.大腿骨ステムは屈曲位設置が10股(25.6%)あった.DAAは,臼蓋処置は容易であり,良好なカップ設置が可能である.一方,大腿骨の操作には習熟する必要がある.DAA-THAは手技のpitfallを十分に理解して行えば有用な方法である.
  • 小薗 直哉, 野村 裕, 有馬 準一, 中野 壮一郎, 田中 孝幸, 東野 修, 内村 大輝, 橋川 和弘, 大賀 正義, 藤原 恵
    2012 年 61 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    【はじめに】diffuse idiopathic skeletal hyperostosis(DISH)は脊椎の著明な骨増殖性変化を特徴とし,脊椎以外の骨増殖病変も併発する疾患である.今回,我々は異常骨化した股関節病変に対し骨棘切除を施行した1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.【症例】症例は79歳女性で,5年前より特に誘因なく左股関節痛が出現した.股関節X線では両股関節の骨化が見られた.徐々に左股関節痛が増強し,歩行や座位などの日常動作が困難となったため,左股関節骨棘切除を行った.術後,股関節痛は消失し,関節可動域の改善が得られた.【考察】DISHの股関節病変に対する治療として,本症例のように関節軟骨が保たれている場合に骨棘切除は有効な方法と考えるが,関節軟骨の損傷を伴う場合はインプラントによる置換術の適応も考慮される.
  • 桑島 海人, 中島 康晴, 山本 卓明, 馬渡 太郎, 糸川 高史, 本村 悟朗, 大石 正信, 秋山 美緒, 岩本 幸英
    2012 年 61 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    骨盤骨切り術の稀な合併症として恥坐骨の疲労骨折がある.今回我々は寛骨臼移動術後の恥骨疲労骨折の発生例を調査した.対象は2001年から2010年の間に当院で寛骨臼移動術を施行した229例251関節(男性23例,女性206例,手術時年齢42.8歳)である.骨折の診断は疼痛およびX線で確認し,その頻度や発生時期および影響する因子について検討した.恥骨骨折は9例9関節(3.6%)に認めた.その時期は術後平均1.6ヶ月であり,すべて術後2ヶ月以内で発生していた.多変量解析では年齢(p=0.014),BMI(p=0.003),骨片の回転角度(p=0.0045)が有意な影響因子であり,骨片を大きく移動させた例で骨折発生が認められた.そのオッズ比は回転角度1度あたり1.2倍であった.全例経過観察のみで骨癒合が得られた.恥骨の疲労骨折は寛骨臼移動術後早期の合併症として注意を要する.
  • 久保 祐介, 野口 康男, 力丸 俊一, 佛坂 俊輔, 前 隆男, 佐々木 宏介, 井口 貴裕, 白木 誠, 永野 賢, 泉 政寛
    2012 年 61 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    【目的】大腿骨近位部骨折の退院時の転帰および歩行能力に及ぼす受傷前の日常生活動作(ADL)自立度および認知症の有無の影響を明らかにする.【対象と方法】当院で手術して転院した大腿骨近位部骨折115例の転院先退院時の転帰(退院先)および歩行能力と受傷前のADL自立度および認知症の有無の相関を,地域連携パスのフィードバックデータを用いて検討した.【結果】在宅復帰(自宅→自宅)率は73.1%であった.施設への退院例は自宅退院例に比し退院時の歩行能力が低い傾向にあった.受傷前ADL自立度と退院時の歩行能力には明らかな相関がみられた.受傷前に独力で外出可能だった患者のうち退院時に屋外歩行ができている割合は40.6%で,認知症があると屋外歩行まで回復する割合が認知症なしに比較して有意に低かった.【結論】退院時における歩行能力は転帰に影響し,歩行能力の獲得は受傷前のADL自立度と認知症の有無に影響される.
  • 橋本 哲, 古市 格, 村田 雅和, 森口 昇, 塚本 正紹, 田浦 智之, 島内 誠一郎
    2012 年 61 巻 1 号 p. 26-28
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    社会の高齢化とともに大腿骨近位部骨折症例は増加しており,周術期合併症のリスクはあるがADLやQOLの再獲得には手術的加療が望まれる.そこで今回超高齢者(90歳以上)の大腿骨近位部骨折に関する有用性について検討を行った.対象は,2009年1月~2011年1月に来院した90歳以上の大腿骨近位部骨折45例46股(男性6例,女性39例,平均年齢94歳)で,術前後の合併症,歩行能力の変化等を調査した.44関節(96%)で観血的治療が行われた.平均手術待機時間は0.9日であった.入院時に重篤な合併症を7例(16%)に認め,術後10日以内の死亡例を3例(7%)経験し,その原因は術中大量出血1例,消化管出血1例,肺炎1例であった.しかし死亡原因と既往症に関連はなく,周術期に新たな合併症が併発していた.ADLの変化では,受傷前に歩行可能であった37例中19例(51%)が術後に再度歩行可能となった.
  • 持田 茂, 谷島 伸二, 深田 悟, 石井 博之, 森尾 泰夫
    2012 年 61 巻 1 号 p. 29-31
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    比較的稀な大腿骨頚部疲労骨折を経験した.【症例】47歳,女性.既往歴:特記事項なし.職業:介護士.誘因なく左股関節部痛を自覚した.その後,歩行も困難となり近医を受診した.単純X線像で異常は認められなかった.その後も疼痛が増強するため,1カ月後に当院を受診した.左股関節に運動時痛,圧痛を認めたが,単純X線像では左股関節関節裂隙開大を認めるのみであった.単純MRI検査にて,左大腿骨骨頭下に異常信号を認めたため,左大腿骨頚部疲労骨折と診断した.全身麻酔下に骨接合術を行い,術後6週後から部分荷重を開始し,術後8週で全荷重とした.左股関節痛は消失し,独歩で退院した.術後6カ月経過し,受傷前のADLまで回復し仕事復帰している.【考察】頚体角など解剖学的要素は異常ないため,就労による筋疲労が原因で疲労骨折が生じた可能性が高いと考えられた.成人の股関節痛の原因として本疾患についても念頭に入れておく必要があると考える.
  • 島田 隆太郎, 中村 雅洋, 川村 英樹, 野尻 良基, 中川 雅裕, 林 協司, 川村 英俊
    2012 年 61 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    当院では脱臼予防指導負担の軽減,術後早期歩行能力獲得を目的に,大腿骨頚部骨折に対してはdirect anterior approach(以下DAA)による人工骨頭置換術を行っている.対象は2009年10月以降の1年間に手術を行った29例(男性5例,女性24例).手術時年齢は77.9±8.4歳(59~92歳).骨折型分類(Garden分類)はstage3型9例,stage4型19例,不明1例である.変形性股関節症に対するTHAと比較して,展開がやや困難であり,術中合併症が多い印象であった.侵襲の少ない優れた展開法であるが,術前ADL,既往症を考慮して選択するべきである.
  • 二宮 直俊, 古庄 耕史, 原 紘一
    2012 年 61 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    今回我々は,当科において加療した大腿骨転子下骨折の症例について報告する.【症例1】20歳,男性.高所より転落し受傷した.右大腿骨転子下骨折の診断で,髄内釘による骨接合術を施行した.術後29週で骨癒合を認めた.【症例2】53歳,男性.交通事故で受傷した.右大腿骨転子下骨折の診断で,髄内釘による骨接合術を施行した.術後,骨癒合が遷延し,2年経過後,骨癒合を認めた.【症例3】60歳,女性.交通事故で受傷した.寛骨臼骨折,左大腿骨転子下骨幹部骨折の診断で,ロッキングプレートによる骨接合術を施行した.術後27週で骨癒合を認めた.【考察】大腿骨転子下骨折の治療は,髄内釘固定法,プレート法に大別されるが,骨癒合を得るためには両者とも良好なアライメントの獲得が重要である.
  • 伊佐 智博, 安里 英樹, 高江洲 美香, 大城 朋之, 勢理客 久, 金谷 文則
    2012 年 61 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    受傷時に見逃された舟状骨遷延治癒骨折に対し,低出力超音波パルス(LIPUS)を併用した保存治療を行った1例を報告する.症例は,16歳女性.3ヵ月前にバレーボールで右手関節を捻り受傷したが,近医で捻挫と診断された.1週間のギプス固定を受け一時,手関節痛は改善したが,2週間前より疼痛が再発し当科を受診した.圧痛が嗅ぎタバコ窩(snuff box)にあり舟状骨骨折を疑ったがX線像で骨折を認めず,MRIで骨折が判明した,いわゆる舟状骨不顕性骨折であった.8週間の保存治療を行うも疼痛の改善なく,thumb spica splintを併用したLIPUS治療を開始し,8週間で疼痛・圧痛の改善とMRI信号強度の改善を認め,競技へ復帰した.受傷後1年11ヵ月のMRI T1強調像で低信号域はほぼ消失し,疼痛や圧痛,可動域制限はなく,バレーボールを継続している.
  • 大久保 宏貴, 普天間 朝上, 小浜 博太, 堀切 健士, 金城 政樹, 金谷 文則
    2012 年 61 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    Kienböck病に対する橈骨骨切り術は遠位橈尺関節(DRUJ)近位で骨切りするため,術後その適合性が変化する.私たちはDRUJ適合性が変化しない骨切り術(橈骨超遠位楔状骨切り術)を施行した尺骨ゼロ変異の2例を報告する.術式は尺骨切痕から2mm橈側,橈骨月状関節面から2mm近位を頂点とする15°の楔閉じ骨切り術(lateral closing wedge osteotomy)である.症例は68歳と27歳の男性で,ともにLichtman分類stage III-Bであった.最終観察時(術後29ヵ月,18ヵ月),疼痛はともに消失,握力はそれぞれ34kg,36.5kg(術前4kg,26.5kg),手関節全可動域はそれぞれ130°,110°(術前95°,90°)と改善し,Nakamuraの評価はともにgoodであった.術後単純X線像上,DRUJの関節症性変化は認めなかった.
  • 吉田 史郎, 吉田 健治, 坂井 健介, 加藤田 倫宏, 田中 憲治, 神保 幸太郎, 井手 洋平, 柴田 英哲, 後藤 琢也, 山下 寿, ...
    2012 年 61 巻 1 号 p. 50-54
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    静的な手根不安定の診断は比較的容易であるが,前動的な手根不安定症の診断は非常に困難である.今回診断に鏡視を要したpredynamic scapholunate instabilityの1例を経験したので報告する.44才男性とび職人.作業中左手関節背屈を強制し受傷した.前医でギプスシーネによる外固定を10日間受け,一時症状改善したがその後増悪し当院を紹介された.手関節の軽度腫脹,圧痛,可動域制限,握力低下を認めた.単純X線,ストレス撮影,CTでは明らかな異常を認めず,MRIにて手根骨に散在性に輝度変化を認めるのみであった.受傷後6週に鏡視下デブリドマンおよび経皮的ピンニングを行った.鏡視所見では舟状月状骨靭帯の断裂,舟状月状骨間のstep off,gapおよび舟状月状骨間の不安定性を認めた.Predynamic scapholunate instabilityに対する関節鏡は必須であり,丁寧に診察し圧痛の局在など詳細な理学的所見を得ることが診断する上で重要である.
  • 佐田 潔, 古川 敬三, 梶山 史郎, 崎村 俊之, 進藤 裕幸
    2012 年 61 巻 1 号 p. 55-58
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    【目的】わが国で報告の少ない遠位上腕二頭筋腱断裂の1例を経験し,亜急性期に手術を行い良好な結果を得たので報告する.【症例】44歳男性.階段で転倒した子供を右上肢のみで受け止め受傷.右肘に疼痛あり近医受診,MRIで遠位上腕二頭筋腱断裂を指摘された.受傷18日目に当科紹介受診したが,手術的治療を本人が躊躇され受傷後30日目に手術施行となった.前方皮切により癒着した二頭筋腱断端を剥離したが,腱の短縮が強くミルキング及び切腱による腱延長術を行い,double-insision法を用いて肘関節屈曲45°で腱の縫合を行った.術後シーネ固定とし,3日目よりリハビリを開始した.術後1年で右肘の可動域制限を認めず,米穀店の仕事に従事できるまでに回復した.【考察】亜急性期のため腱の短縮が強かったが,腱延長等の処置およびdouble-incision法による修復を行い良好な治療成績が得られた.
  • 原 慎太郎, 井手 淳二, 水田 博志
    2012 年 61 巻 1 号 p. 59-62
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    症例は56歳男性,農業.主訴:右肩痛.現病歴:筍掘りを2カ月間で複数回行なった後より右肩痛が出現した.4カ月後も症状改善しないため近医を受診し,MRI検査を受け,腱板損傷を指摘され紹介受診となった.右肩理学所見:結節間溝部に圧痛を認め,屈曲110度で疼痛が出現した.下垂位での外旋は40度,内旋は第5腰椎高位と可動制限を認めた.インピンジメント徴候陽性で,belly press test陽性,SLAP test陽性,speed test陽性を示した.関節鏡下手術所見:上腕二頭筋長頭腱はType2+3 SLAP lesionと結節間溝出口部での部分断裂を認め,腱固定術を施行した.また,肩甲下筋腱剥離損傷を認め,スーチャーアンカーを使用し修復した.術後6カ月の現在,右肩痛は消失している.稀な上方関節唇と肩甲下筋の合併損傷症例を報告した.発症機序には前方関節内インピンジメントが関与すると考えられた.
  • 水城 安尋, 玉井 幹人, 志田 義輝, 花田 麻須大, 久我 尚之, 萩原 博嗣
    2012 年 61 巻 1 号 p. 63-66
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    肩石灰性腱炎において下方への亜脱臼を認めることがある.我々は巨大な肩石灰性腱炎の保存治療経過中に下方への亜脱臼が進行した一例を経験したので報告する.【症例】58歳女性,美容師.H21年9月より右肩痛が出現した.前医で石灰性腱炎の診断をうけ加療を受けたが,徐々に石灰が増大し亜脱臼をきたしたためH22年4月に紹介初診した.上肢の挙上及び回旋が著明に制限されており,単純X線では骨頭上方の巨大な石灰と骨頭の下方への亜脱臼を認めた.保存療法を行い疼痛や可動域は著しい改善が得られたが,亜脱臼は進行し5月に手術を行った.鏡視下に腱板を一部切開し石灰を除去した.術後より下方亜脱臼は改善され,術後2カ月で症状も改善し現職に復帰した.【考察】本症例では疼痛に関係なく亜脱臼は進行し,石灰の除去で速やかに亜脱臼は改善した.肩石灰性腱炎において巨大な石灰の場合,その容積による物理的な要因で下方亜脱臼が生じる可能性がある.
  • 村上 勝彦, 角南 勝利
    2012 年 61 巻 1 号 p. 67-70
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    比較的まれな鎖骨近位端骨折に対してlocking plateを用いて観血的骨接合術を施行した.症例は74歳女性.転倒し右鎖骨近位部の痛みと腫脹が出現した.X線にて鎖骨近位端骨折Robinson分類Type 1B1を認めた.LCP T型small plateを用いて手術を施行し,術後経過は良好である.鎖骨骨折は日常しばしば遭遇する骨折であるが,近位端骨折は比較的まれである.また鎖骨近位端は靱帯組織による安定性が強固なため骨折部骨片の転位が少ないRobinson分類Type 1Aでは保存的治療にて骨癒合が得られることが多い.しかし転位を伴う骨折Type 1Bでは手術が必要である.高齢者で骨片が小さい場合には,強固な固定性を獲得することが困難である.手術方法には様々な方法があるが,今回使用したLCP T型small plateは強固な固定が可能であり,また逸脱による合併症も少なく有用と思われた.ただし,術中のdrillやscrew刺入時には細心の注意を払う必要がある.
  • 村岡 邦秀, 尾上 英俊, 木村 一雄, 岩本 良太, 今村 尚裕, 三宅 智
    2012 年 61 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    我々は小児橈骨遠位1/3骨幹部骨折治療中に遷延癒合や再骨折を経験することがしばしばあり,このような症例にplateによる骨接合術を行ってきた.今回plate固定を行った小児橈骨遠位1/3骨幹部骨折について報告する.対象は2009年1月~2010年6月までにplateによる手術を行った5例(男4,女1例)である.手術時平均年齢は11歳(9~14歳)で,経過観察期間は平均9ヵ月(2~21ヵ月)である.5例中2例はSmith typeの若木骨折であり,徒手整復後の保存加療中に徐々に転位が増強したためplate固定を行った.2例は完全骨折の症例であり,当初からplateによる骨接合術を計画した.手術は前腕前方アプローチで行い,AO smallまたはmini DCPを用いた.術後は2~5週間の外固定を行い,全例疼痛や手関節の可動域制限を残すことなく骨癒合した.10歳を超える小児橈骨遠位1/3骨幹部骨折において,完全骨折や保存療法中に再転位を起こした症例にはplate固定が望ましい.
  • 朝倉 透, 大嶋 直人, 進 訓央, 大江 健次郎, 松浦 恒明
    2012 年 61 巻 1 号 p. 76-80
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    橈骨遠位端骨折に対するVariAx plateを用いた骨接合術の治療成績について検討した.症例は28例,全例女性.受傷時平均年齢は72.1歳(53~97歳).AO分類による骨折型は,A2:7例,A3:17例,C1:3例,C2:1例であった.平均経過観察期間は6.7ヶ月.X線学的評価として初診時,手術直後,最終評価時の3回におけるvolar tilt(以下VT),radial inclination(以下RI),ulnar variance(以下UV)の推移を計測した.また最終評価時に掌屈,背屈,回内,回外の可動域計測を行った.VTは初診時-11.0°術直後9.0°最終7.1°と推移し,RIは同じく17.8°,24.4°,23.5°,UVは2.28mm,0.41mm,1.31mmと推移した.矯正損失はVTが1.9°,RIが0.9°,UVが0.9mmであった.また最終評価時の可動域は,掌屈56.4°,背屈72.8°,回内87.5°,回外86.7°であった.
  • 高橋 洋平, 森脇 伸二郎, 越智 康博, 國司 善彦, 木戸 健司
    2012 年 61 巻 1 号 p. 81-85
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    【はじめに】電気生理学検査におけるF波とは,運動神経を刺激した際の逆行性インパルスが脊髄前角細胞を興奮させ,生じたインパルスが運動神経を順行して誘発された筋活動電位で,近位部での神経障害の評価に用いられる.【目的】頚椎神経根,頚髄の障害とF波との関連について明らかにすることである.【対象】2009年~2011年に当科で診断した頚部神経根症,頚髄症の患者26例を対象とし,他の末梢神経障害を合併例は除外した.男性14例,女性12例で初診時の平均年齢は60.3歳,平均経過観察期間は30.1週であった.【方法】正中,尺骨神経より導出したF波の陰性頂点数と潜時のばらつき,陰性頂点数をばらつきで除したF波の密度を求めた.【結果】C5/6椎間を責任高位とする群では正中神経から導出したF波に異常所見を認めた.F波陰性頂点の数は前角細胞数を,ばらつきは前角細胞より末梢での伝導障害を反映していると考えられた.
  • 菅田 耕, 黒木 浩史, 濱中 秀昭, 猪俣 尚規, 増田 寛, 樋口 誠二, 帖佐 悦男
    2012 年 61 巻 1 号 p. 86-88
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    Cervical anginaはPhillipsによって1927年に初めて提唱された病態で,何らかの頸椎近傍の病変に由来する狭心症発作性前胸部痛と定義され,さまざまな報告がなされている.この胸痛は生命への危険性を有する虚血性心疾患と同様な疼痛を呈することから,心疾患による胸痛との鑑別が重要である.頚椎・頚髄疾患による胸痛の発生機序に関しては後根への刺激,前根への刺激,椎間板や椎間関節からの関連痛,交感神経系の関与などが提唱されているが,明確な原因は不明である.今回我々は,心疾患に由来する胸痛が否定され,CTMやMRIでC7神経孔部での神経根の圧迫を認め,神経根ブロックをおこない,症状の軽快を認めたことから,C7神経根由来のCervical anginaと診断し,椎弓形成術+椎間孔拡大術を施行し,症状の改善がみられた1例を経験した.
  • 今村 悠哉, 藤本 徹, 瀬井 章, 谷脇 琢也, 岡田 龍哉, 水田 博志
    2012 年 61 巻 1 号 p. 89-93
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    【目的】画像上著明な脊髄圧迫所見を認める頚椎椎間板ヘルニア症例において,保存的加療が可能であった1例を経験したので報告する.【症例】48歳女性.特に誘因なく後頚部から両肩にかけての激しい痛みと両手指のしびれ感が出現し,発症10日目に当科を受診した.筋力は保たれていたが,MR像にてC3/4正中型のヘルニアによる高度の脊髄の圧迫を認め,疼痛が強く手術を希望したが,2週間のカラーキーパー装着で疼痛半減したために,保存的に経過をみた.発症後2ヶ月のMR像でヘルニアは縮小し,7ヶ月後には完全に消退,頚部痛と両手指のしびれ感も消失した.【考察】腰椎椎間板ヘルニアの自然消退に対するメカニズムは明らかとなっているが,頚椎椎間板ヘルニアでの報告は少なく,本症例のように高度の脊髄圧迫を示した報告は限られる.短期間で症状の軽快を示すような症例の中にはヘルニアの自然消退が得られる可能性がある.
  • 根間 直人, 我謝 猛次, 黒島 聡, 三好 晋爾, 山中 理菜, 金谷 文則, 野原 博和
    2012 年 61 巻 1 号 p. 94-97
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    頚胸椎後縦靭帯肥厚症に対して,頚椎椎弓形成術とインストゥルメント併用の胸椎後方除圧固定術を施行した1例を報告する.症例:67歳,女性.4年前から跛行が出現したが独歩可能であった.2年前の追突事故後から痙性歩行が出現し,つたい歩きとなった.4ヵ月前から手すりがないと階段昇降が出来なくなり,近医を受診した.MRIで頚胸椎レベルにOPLL様の脊髄圧迫病変を認め,当院を紹介された.初診時,両下肢のしびれ,痙性歩行,胸部以下の感覚鈍麻と下肢筋力低下を認めた.MRIではC5-Th8の後縦靭帯とTh4/5,Th5/6の黄色靱帯の肥厚による脊髄の圧迫所見を認めた.CTでは明らかな靱帯骨化は無かった.手術は後縦靭帯骨化症に対する手術に準じ,C4-C7の椎弓形成術とTh1-Th8の後方除圧固定術を行った.術後2ヵ月で独歩可能になった.切除した黄色靱帯の病理結果は線維性組織と一部軟骨組織であった.
  • 猿渡 敦子, 山田 圭, 佐藤 公昭, 密川 守, 吉松 弘喜, 渡邊 琢也, 佐々木 威治, 中村 翠, 松田 幸太郎, 脇田 瞳, 永田 ...
    2012 年 61 巻 1 号 p. 98-104
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    圧迫性脊髄障害の術中モニタリングでは経頭蓋電気刺激複合筋誘発電位(Br【E】-MsEP)の導出に難渋したり,アラームポイントの判定に迷ったりすることが多い.今回,当科で手術を施行した圧迫性脊髄障害(C群)50例と側弯症(S群)36例について2群間のBr【E】-MsEPの導出率および術中波形変化と術後運動障害を調査した.S群では278筋中275筋で導出可能であり,C群では373筋中276筋で導出可能であった.S群では振幅の低下を認めた17例で術後運動障害は認めず,C群では振幅の低下を認めた9例中1例,波形が消失した19例中4例に術後運動障害を認めた.今回の結果より,圧迫性脊髄障害は術前より電気生理学的に変化を生じており,波形の導出が困難になることが考えられ,モニタリングのアラームポイントの設定も脊髄障害がない症例よりも厳格にする必要があると考えられた.
  • 豊田 耕一郎, 椎木 栄一, 栗山 龍太郎, 藤澤 武慶, 吉田 研三, 岡崎 朋也, 田中 浩
    2012 年 61 巻 1 号 p. 105-108
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    PAD間欠跛行に対する疾患特異的QOL評価法であるWIQがLSS間欠跛行評価にも有用か?を検討したので報告する.PAD非合併LSS30例を対象とし,WIQ各スコアと自己申告による最大歩行距離(AWD),旧JOAスコア,RDQ,JOABPEQ,SF36を使用し,WIQ各スコアの他の項目との相関と治療後のWIQの変化を検討した.WIQの各平均スコア,AWD,旧JOAスコア,RDQ,JOABPEQの各スコアは治療前後で有意に改善した.WIQと各項目との相関はpain scoreはVAS下肢しびれのみ,distace scoreはJOA,RDQ,JOABPEQ腰椎機能障害,社会生活障害,AWD,SF36のPF,RP,REと,speed scoreはAWD,SF36のPF,RP,REと,climbing scoreはSF36のPF,RP,GH,SF,REと有意に相関した.Walking Impairment Questionaireを用いて腰部脊柱管狭窄症の間欠跛行評価を行い,QOL評価として有用であった.
  • 佐藤 公昭, 永田 見生, 密川 守, 山田 圭, 渡邉 琢也, 佐々木 威治, 猿渡 敦子
    2012 年 61 巻 1 号 p. 109-111
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    2003年12月から2011年3月までの期間に,顕微鏡用(METRx™ microdiscectomy system)のチュブラーレトラクターを用いた脊椎内視鏡下後方手術を腰椎疾患101(男性62,女性39)例に施行した.年齢は39.3(16-80)歳,BMIは23.6(17.3-38.6)kg/m2で,疾患の内訳は腰椎椎間板ヘルニアが88例,腰部脊柱管狭窄症が10例,嚢腫性病変が3例であった.手術中に使用したチュブラーレトラクターの長さは4.8(3-7)cmであった.経過観察期間は17.7か月であり,visual analog scaleとRoland-Morris disability questionnaireを用いて評価をした術後成績は良好であった.本法は体型に応じてチュブラーレトラクターの長さを1cm間隔で選択できる利点があり,鉗子類の良好な操作性と手術時間の短縮が期待できる.
  • 樫原 稔, 時岡 孝光
    2012 年 61 巻 1 号 p. 112-116
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    症例は74歳女性でL4すべり症とL3/4,L4/5の脊柱管狭窄に対して,L3,L4,L5に椎弓根スクリューを刺入し,両側L3,L4,L5椎弓切除術と後側方固定術(PLF)を行った.術後4ヵ月から両下肢痛が出現し,術後1年1ヵ月のMRIと椎間関節造影でL2/3椎間の脊柱管狭窄と左L2/3椎間関節からの椎間関節嚢腫を認めた.これに対して,L2椎弓切除術と嚢腫摘出術を行い,両下肢痛は軽減した.MRIの普及により腰椎椎間関節嚢腫の報告例が増加しているが,何らかの腰椎手術後に生じた腰椎椎間関節嚢腫はまれである.治療はまず保存的療法が行われ,無効例に対して手術が行われることが多い.本症例における成因は,固定上位椎間へのストレス集中,発生した椎間関節への何らかの刺激の可能性,およびPLF後に進行した椎間関節の変形性関節症変化などが考えられた.
  • 力丸 俊一, 野口 康男
    2012 年 61 巻 1 号 p. 117-119
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    骨粗鬆症を伴う胸椎・腰椎の椎体骨折に対する手術治療でinstrumentを使用した強固な固定は手術侵襲の大きさや術後screwの引き抜きの可能性が危惧される.新しい試みとして,2006年より椎体形成術にsemi-rigid systemを用いた制動術を併用し,良好な臨床成績が得られているので報告する.対象は9例,(女性8例,男性1例).手術時平均年齢は71.7歳(62-78歳),術後追跡期間は平均18.8ヵ月(7-44ヵ月).罹患高位は胸腰椎4例,腰椎5例.術前の臨床症状は腰痛および両下肢痛が各々9例,下肢麻痺7例であった.障害老人の日常生活自立度判定基準ではC2 2例,C1 2例,B2 3例,A1 2例.合併症はうつ状態6例,関節リウマチ2例,糖尿病1例,腎透析1例であった.術後追跡期間内でのX線画像上,椎体形成の圧潰がみられるが,screwの引き抜きや弛みはみられていない.疼痛は全例消失,日常生活自立度は全例2段階以上の改善,7例は歩行可能となり満足な結果が得られている.
  • 横田 和也, 松田 秀一, 岡崎 賢, 田代 泰隆, 岩本 幸英
    2012 年 61 巻 1 号 p. 120-123
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    当院で行われたNexGen LPSを用いてTKAを施行した症例で,5年以上経過観察し得た69例89膝の術後X線評価(loosening,radiolucent lineの出現)を検討した.男性8例10膝,女性61例79膝,手術時平均年齢は67.2歳,術後平均観察期間は6.8年であった.原疾患は変形性膝関節症が40例49膝,関節リウマチが29例40膝であった.Knee Society X線評価法を用いて調査した.追跡時でのradiolucent lineは大腿骨前方に7例,大腿骨後方に5例,脛骨内側に3例,脛骨外側に1例認めた.radiolucent line出現の有無は,大腿骨側・脛骨側ともに各コンポーネントの設置角度や術後下肢alignmentに影響しなかった.感染を契機にlooseningを生じ,再置換となった症例は1例認められた.当院でのLPS型TKA症例の中期経過におけるインプラント固定性は概ね良好で,安定した成績であると考えられた.
  • 白木 誠, 井手 衆哉, 森永 穣地, 園畑 素樹, 馬渡 正明
    2012 年 61 巻 1 号 p. 124-127
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    【目的】当科ではScorpio NRG TKAの大腿骨回旋アライメント決定に際し,measured resection法では既存のガイド(3度外旋ガイド)を,gap control法ではJDK-miniのガイドを用いている.今回,術者の設定外旋角通りに後顆の骨切りが行えているか調査し,ガイドの精度について検討した.【対象と方法】対象は内側型変形性膝関節症の診断で両側同時TKAを行った25例50膝で,片側をgap control法で対側をmeasured resection法で行った.術前後のCTにてCTAを計測し,設定した大腿骨外旋骨切り角と,実際の骨切り角である術中外旋骨切り角を調査し,その再現性とばらつきを両群間で検討した.【結果】設定外旋骨切り角と術中外旋骨切り角との差に有意差は認めなかったが,設定外旋骨切り角と術中外旋骨切り角の差の絶対値はMeasured群3.0±1.1度に対してGap群1.2±0.4度と有意差を認めた.【考察】3度外旋ガイドは設置しやすい利点はあるが精度が劣ると考えられた.
  • 田中 寿人, 笠原 貴紀, 秋山 菜奈絵
    2012 年 61 巻 1 号 p. 128-133
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    【目的】髄内釘による骨接合術の欠点として,骨片が髄内釘と干渉してテレスコーピング出来ずにカットアウトする問題がある.CHSの場合は髄内には干渉するものがなくbone to boneで接合するため,様々な症例で良好な骨癒合を獲得できると考えた.【方法】骨折部の整復は閉鎖的に行った.ラグスクリューを骨片の移動先が必ず骨幹部髄内となるように刺入.先端はTAD値20mm以内とした.免荷期間は3週間とした.【結果】症例1.受傷時大腿骨頸部皮質が髄内に陥入した例.髄内釘ではネイルとの干渉が危惧される.145° CHSを用いて骨片を髄内に誘導.骨片は骨髄内を圧縮するように移動するため骨密度も上昇.そのため回旋固定力も良好であった.症例2.受傷時大転子部骨折合併例.骨片を強固な骨皮質のある髄内に誘導する事によりツバ等の使用がいらないばかりでなく,そこに金属が介さないので骨癒合の点でも有利であった.
  • 松下 任彦, 橋本 伸朗, 福元 哲也, 前田 智, 中馬 東彦, 森田 誠, 野村 一俊
    2012 年 61 巻 1 号 p. 134-137
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    大腿骨転子部骨折に対して2006年12月から2011年4月までに当院でショートフェモラルネイルを用いて手術治療を行った症例中,術後1ヵ月以上の経過観察が可能であった81例について,術前の骨折型,術後の整復位,最終調査時のスライディング量を調査し,整復位とスライディング量との関係を評価した.骨折型と整復位は,単純レントゲンの正面像と側面像でそれぞれ3型に分け,その組み合わせで9つに分類した.その結果,スライディング量は術後側面像での髄外型が大きかった.正面像での3群間で有意差はなく,側面像では解剖型と髄外型との間で有意差が認められた.スライディング量は側面像での整復位と相関し,諸家の報告と同様に頚部前方皮質骨の骨性支持を獲得することが重要であると考えられた.
  • 島内 誠一郎, 古市 格, 村田 雅和, 森口 昇, 塚本 正紹, 田浦 智之, 橋本 哲, 香月 亮
    2012 年 61 巻 1 号 p. 138-140
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    当院では大腿骨頸部骨折に対して麻酔科協力の下,抗凝固薬(以下ACD)・抗血小板薬(以下APD)内服患者においても入院後可能な限り早期に手術を行っており,今回これらの患者に対する早期手術の可能性について検討した.2007年5月1日~2011年3月31日までに当院で大腿骨近位部骨折に対して入院後48時間以内に手術を行った大腿骨頸部骨折患者のうち抗凝固薬・抗血小板薬を内服していた患者67例を対象として手術時間,術中出血量,術前後Hb値変化,輸血量,術後重篤合併症,死亡退院例について調査を行った.人工骨頭置換術における輸血症例数にのみ非内服群と有意差を認めたが,手術時間,術中出血量,術前後Hb値変化については非内服群と有意差は認めなかった.術後重篤合併症は7例(10.4%)に認め,うち3例(4.5%)が死亡退院となった.今回の研究で慎重な術後管理を行えば抗凝固薬・抗血小板薬内服患者においても入院後早期手術は可能であると考えた.
  • 坂元 裕一郎, 松永 俊二, 八尋 雄平, 堀川 良治, 東福 勝宏, 古賀 公明, 今給黎 尚典, 小宮 節郎
    2012 年 61 巻 1 号 p. 141-143
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    強力な骨折抑制効果のある骨粗鬆症薬の開発にもかかわらず日本の大腿骨近位部骨折の発生頻度は増加している.本研究では当院における超高齢女性の大腿骨近位部骨折手術例の頻度を両側発生例中心に調査した.2004年~2010年における当院での大腿骨近位部骨折手術例を電子カルテデータベースから年度別に抜き出し両側手術例数と骨粗鬆症治療薬使用との関係を調べた.全女性大腿骨近位部骨折例に対する85歳以上女性症例の割合は経年的有意な変化はなかった.一方85歳以上女性の両側骨折手術例の割合は2004年が17.5%であったが2010年は9.2%と減少していた.この間に85歳以上女性患者に対するビスフォスファネートやSERMの使用率はいずれも低率であった.両側大腿骨近位部骨折の頻度の減少には骨粗鬆症治療薬以外の因子が関与していると思われた.
  • 三宅 智, 尾上 英俊, 木村 一雄, 中村 厚彦, 岩本 良太, 今村 尚裕, 村岡 邦秀
    2012 年 61 巻 1 号 p. 144-147
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    ロッキングプレートを使用した骨接合術後にプレート折損を起こした小児の大腿骨骨幹部骨折の1例を経験したので報告する.12歳,男児.2010年3月,自転車走行中にはねられて受傷し同日当院へ救急搬送された.受傷時の単純X線では,AO分類TypeA2の大腿骨骨幹部骨折と脛骨骨幹部骨折を認め,いわゆるfloating kneeの状態であった.受傷6日目に大腿骨骨幹部骨折に対してSynthes社製のNarrow LCPを使用してMIPO法で骨接合術を行った.また脛骨骨幹部骨折にはエンダー釘を使用して骨接合術を行った.術後3カ月のレントゲンでプレート折損を認めたため,坐骨支持機能装具を作製しLIPUSを併用することで再手術を行うことなく骨癒合を得ることができた.
  • 吉川 和彦, 松瀬 博夫, 井上 貴司, 山内 豊明
    2012 年 61 巻 1 号 p. 148-152
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    今回我々は大腿骨転子部骨折に対して大腿骨近位部用髄内釘(ITST)を使用し骨癒合が得られ長期経過した後に,転落によりnail折損を伴う大腿骨骨幹部骨折を生じた症例を経験したので報告する.症例は80歳女性.転倒により左大腿骨転子部骨折を受傷.ITSTを使用し当院で骨接合術を施行.術後3ヶ月で骨癒合を確認した.その約5年後に椅子の上より転落受傷し当院へ救急搬送され,単純X線にて左大腿骨骨幹部骨折と同部位でのlocking screw hole部のnail折損を認めた.今までに偽関節によるlag screw hole部でのnail折損は時折みられたが,今回の症例のように骨癒合が得られた後長期経過してからのnail折損は経験が無い.また,現在までのnail折損報告でもlocking screw hole部での折損は非常に稀であるため,今回の症例を検討した.
  • 生田 拓也, 坂本 博史, 宇藤 一光
    2012 年 61 巻 1 号 p. 153-156
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    脛骨遠位端骨折に対し前方からのlocking plateを用いて内固定を行い良好な結果を得ているので報告した.症例は9例である.性別は男性8例,女性1例,受傷時年齢は平均53.4歳であった.骨折型はAO分類43A2:1例,A3:2例,C1:1例,C2:1例,C3:4例,であった.開放骨折は2例,初療時に創外固定を用いた症例は4例であった.用いたlocking plateはPERILOC8例,clover leaf plateを加工したもの1例であった.1例で近位locking screwの折損を認めscrewの追加固定を行った.この1例を除く全例で術直後の整復状態にて骨癒合が得られた.脛骨遠位端骨折の特徴として関節前壁に粉砕が存在することが多い.また初療時に創外固定を内側に用いたときに内側からplateは用いにくい.このような場合,前方から固定するlocking plateは有用であり,術後経過は順調であった.
  • 岩本 良太, 尾上 英俊, 木村 一雄, 村岡 邦秀, 今村 尚裕, 三宅 智
    2012 年 61 巻 1 号 p. 157-160
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    外傷後に生じた骨欠損や偽関節は治療に難渋することが多い.今回,血管柄付き遊離骨移植と創外固定を用いて治療した2症例を経験したので報告する.【症例】(症例1)51歳男性,階段を降りていて転落し受傷した.左脛骨開放骨折で脛骨全周の2/3以上を占める長さ約5cmの骨欠損を認めていた.(症例2)32歳男性,鉄筋が左下腿部に落下し受傷した.左脛骨骨幹部近位の開放骨折に対してIlizarov創外固定と遊離腸骨移植を行ったが骨癒合が得られなかった.【結果】2症例とも血管柄付き腸骨移植を行い骨癒合を得た.
  • 小山 雄二郎, 鬼木 泰成, 中村 英一, 西岡 宏晃, 岡元 信和, 田中 あづさ, 廣瀬 隼, 水田 博志
    2012 年 61 巻 1 号 p. 161-165
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    両膝完全型内側円板状半月板の1例を経験したので報告する.【症例】13歳,男性【主訴】右膝痛【現病歴】1年ほど前から特に誘因なく右膝の内側に運動時痛を認めた.徐々に疼痛が増強したため,当科を受診した.【現症】両膝共に腫脹,膝蓋跳動,可動域制限は認めなかった.圧痛を右膝の内側関節裂隙に認めた.【画像】単純X線像では,特に変化は認められなかった.MRIで内部に水平断裂を伴う完全型内側円板状半月板を認めた.左膝にも同様の所見を認めた.【経過】右膝に対し関節鏡下半月板形成術を行った.現在術後7カ月であるが疼痛は消失し,スポーツへ復帰している.
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