整形外科と災害外科
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61 巻 , 2 号
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  • 矢澤 克典, 中村 英一, 鬼木 泰成, 西岡 宏晃, 岡元 信和, 田中 あづさ, 原 慎太郎, 水田 博志
    2012 年 61 巻 2 号 p. 167-172
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    【症例】48歳,女性.【主訴】両膝外側の運動時痛.【現病歴】5年前より両膝の外側に疼痛を自覚し,徐々に増強した.近医で保存的加療を受けるも効果なく,右膝痛が増強してきたため,手術加療の目的で当科を紹介となった.【理学所見】立位で5横指の外反膝変形を認めた.両膝の外側関節裂隙に圧痛を認めた.【単純X線所見】立位正面像で右膝の大腿脛骨角(FTA)は156°で,外側の関節裂隙は消失していた.【手術】片側仮骨延長法を用いた大腿骨顆上骨切り術を行った.【経過】FTAは予定通り180°となり,骨癒合も良好であった.術後4ケ月時疼痛は消失し,可動域制限もみられなかった.【考察】外反膝に対するプレートを用いた大腿骨顆上部内反骨切り術では10-20%に骨癒合の遷延を来すとされ,また軟部組織の緊張による可動域の制限や外反変形の再発が懸念される.本術式は,長期経過観察は必要江あるものの,骨癒合や可動域の維持の点から,従来の術式の問題点を解決できる有用な術式のひとつと考えられる.
  • 富田 雅人, 宮田 倫明, 野崎 義宏, 熊谷 謙治, 林 徳眞吉, 安倍 邦子, 木下 直江, 進藤 裕幸
    2012 年 61 巻 2 号 p. 173-175
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    【はじめに】骨軟部腫瘍に於ける細胞診と組織診の結果の一致率について検討を行った.【対象】平成21年1月から平成22年12月の間に当科にて病理組織診断を行った,骨・軟部腫瘍は220症例(男性124例,女性96例,平均年齢54.2歳)であった.これらのうち細胞診を行った194例,199検体を対象とした.【結果】組織診と細胞診の診断が一致した症例は160例,不一致例は39例であった.不一致例の内訳は,脂肪肉腫が24例と最も多く,軟骨肉腫,平滑筋肉腫,石灰化上皮腫,いわゆるMFHが2例ずつ,滑膜肉腫,悪性リンパ腫,Ewing肉腫,骨肉腫,脂肪腫,血管芽細胞腫がそれぞれ1例ずつであった.【考察】骨・軟部腫瘍の診断に於いて,組織診と細胞診の一致率は,80.4%と良好であった.特に脂肪性腫瘍では一致率が22.6%(31例中7例)と低く,細胞診での脂肪肉腫の診断は困難であると考えられた.
  • 上戸 康平, 富田 雅人, 野崎 義宏, 宮田 倫明, 林 徳眞吉, 進藤 裕幸
    2012 年 61 巻 2 号 p. 176-178
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    放射線照射でごく短期間ではあるが除痛し,QOLの改善を得た高齢女性仙骨骨肉腫の1例を経験したので報告する.症例は85歳,女性.X年7月から仙骨部痛を自覚,疼痛増強し仰臥位困難となり他院で仙骨部腫瘤を指摘され,同年10月当科紹介受診した.切開生検術施行し仙骨骨肉腫と診断された.積極的な治療を希望されず,疼痛緩和目的に放射線照射(50 Gy)とオピオイド投与を開始した.照射開始後から徐々に疼痛改善し,ADLも改善.歩行器歩行も可能となった.照射後,緩和病院へ転院しADLの低下もなく経過している.原発性仙骨骨肉腫は非常に稀な疾患であり,予後不良である.仙骨骨肉腫の治療法として手術・重粒子線療法・化学療法・放射線療法が挙げられる.今回の症例から放射線療法は,仙骨骨肉腫に対し根治は困難であるが,緩和治療としては有効な手段であると考えられた.
  • 安田 廣生, 横山 庫一郎, 清水 敦, 森 達哉
    2012 年 61 巻 2 号 p. 179-185
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    【はじめに】大腿骨骨幹部転移性骨腫瘍に対して行った再建手術材料の折損をきたした一例を報告する.【症例】52歳,男性,右大腿骨骨幹部転移性腎癌.初回骨腫瘍切除術とHuckstep nailを用いた大腿骨骨幹部再建を行った.術後約5カ月で骨セメント充填部近位端でNailの折損を認めたため,人工骨幹(JMM,K-MAX)を用いて再建を行った.術後早期歩行可能となり,術後2週間で退院した.【考察】長管骨の悪性腫瘍切除後の再建にHuckstep nailは早期荷重の点から有用であるが,過負荷が一つの要因と考えられた折損例を経験したので報告した.患者は年齢が若く,職業も建築業と重労働であり,Screw holeから折損したと考えられた.人工骨幹は,カスタムメイドのため作製に3週間を要し,その間に進行の早い腫瘍では病的骨折や腫瘍の拡大の危惧があるが強固かつ使用が簡便であり有用であると思われた.
  • 岩永 隆太, 村松 慶一, 田口 敏彦, 伊原 公一郎
    2012 年 61 巻 2 号 p. 186-191
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    四肢悪性腫瘍切除後の広範囲骨欠損に対して切除骨を放射線照射し再使用する方法が報告されているが,壊死骨であるため照射骨単独で使用した場合は,骨折,感染,偽関節などの問題点がある.当科では,照射骨と血管柄付き骨移植(以下VBG)を併用し力学的強度の補填や照射骨の再血行化を試みている.症例は10例で,男性8女性2,年齢は6-57歳(平均28)であった.罹患部位は脛骨骨幹部5例,臼蓋2例,尺骨,大腿骨遠位,上腕骨近位各1例であった.9例でVBGは生着したが1例は静脈血栓のため完全壊死となった.最終調査時NED 9例,DOD 1例であった.偽関節2例を認めたが他8例は全例10ケ月以内に骨癒合が得られ,最終時MTSスコアは67-100点(平均84.8)であった.骨関節移植4例中荷重関節3例で関節症変化が進行していた.VBGと照射骨は相互の利点と欠点を補完し,優れた罹患肢の機能回復が得られた.しかし,荷重関節の再建に使用した場合,長期経過での関節症変化は避けられなかった.
  • 野崎 義宏, 富田 雅人, 宮田 倫明, 熊谷 謙治, 上戸 康平, 木下 直江, 進藤 裕幸
    2012 年 61 巻 2 号 p. 192-196
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    グロームス腫瘍は通常良性腫瘍であるが,稀に再発・転移という悪性腫瘍に特徴的な経過を示す事がある.今回,我々は約25年間にわたり再発・転移を繰り返した1症例を経験した.症例)64歳,男性.38歳時に左腎原発のグロームス腫瘍の切除を受けた.53歳時に左臀部,両側肺の転移病変の治療を受けた.今回,左臀部に倦怠感により発症した再発性病変に対して栄養血管の塞栓術,切除術,放射線照射を行った.病理学的所見は38歳時に摘出された病変はFolpeの基準でuncertain malignant potentialであったが今回(64歳時摘出標本)は悪性グロームス腫瘍の基準を満たしていた.考察)悪性グロームス腫瘍は非常に稀であり標準的診断基準・治療法は定まっていない.病理所見のみでなく局在部位,大きさもあわせての判断が必要である.本症例は経時的に悪性度を増していったと考えられ今後の慎重な経過観察が必要である.
  • 橋本 憲蔵, 岡 潔, 薬師寺 俊剛, 佐藤 広生, 水田 博志
    2012 年 61 巻 2 号 p. 197-200
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    異なるMRI像を呈したDesmoplastic fibroblastomaの2例を報告した.【症例1】25歳,男性.右浅指屈筋内の病変はMRIにてT1WIで軽度高信号,T2WIで低信号と高信号の混在を呈し,Gdにて不均一に造影された.【症例2】34歳,男性.左三角筋内の病変はT1WIで低信号と等信号の混在,T2WIで比較的均一な低信号を呈し,Gdにて辺縁により強い不均一な増強効果を認めた.【考察】Desmoplastic fibroblastomaは,MRI所見において,T2WIで低信号を呈する膠原線維成分領域と高信号を呈する線維芽細胞の高細胞密度領域の組み合わせにより,複雑な信号強度を示すことが報告されている.本報告の2例においても,膠原線維領域での線維芽細胞の密度および粘液状基質の多寡により,MRIのT2WIにて異なる像を示すものと考えられた.
  • 野口 智恵子, 米倉 暁彦, 宮本 力, 木寺 健一, 上戸 康平, 進藤 裕幸
    2012 年 61 巻 2 号 p. 201-203
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    関節リウマチ(以下RA)において生物学的製剤投与中の人工関節置換術の安全性は確立していない.当院で2007年1月~2010年12月までの3年間にRAに対して人工膝関節置換術(以下TKA)を行った38例50膝の中,生物学的製剤使用中の10例13膝を対象とした.平均年齢60.5歳(41~77歳),男性2例,女性8例,平均RA罹患期間は11.4年(6~33年)であった.生物学的製剤はInfliximab使用例が4膝,Etanercept使用例が6膝,Adalimumab使用例が2膝,Golimumab使用例が1膝であった.休薬期間は日本リウマチ学会ガイドラインに準じた.生物学的製剤使用症例における周術期合併症,術後成績について若干の文献的考察を含め検討した.
  • 今釜 崇, 田中 浩, 徳重 厚典, 伊達 亮, 田口 敏彦
    2012 年 61 巻 2 号 p. 204-207
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    関節リウマチに対しインフリキシマブ(IFX)投与により臨床的寛解が得られ,投与を中止した症例の経過,特徴を検討した.IFX投与を行った93例中,DAS28の基準で寛解が6カ月以上維持され,患者の同意を得てIFX投与を中止し,1年以上経過観察を行った6例を対象とした.Bio free remissionを1年以上維持できた症例は3例で,3年以上の長期寛解例2例はいずれもSteinbrocker stage II,罹病期間も比較的短い症例で,IFX投与1回目から寛解を獲得していた.またIFX中止前に,Booleanの寛解基準を6カ月以上満たしていたものもこの2例のみであった.長期にBio free remisionを継続する要因として,発症早期で,骨破壊の進行がなく,DASよりも厳格なBooleanの寛解基準を満たすIFXの著効例であることが示唆された.
  • 森口 昇, 古市 格, 村田 雅和, 田浦 智之, 塚本 正紹, 島内 誠一郎, 橋本 哲
    2012 年 61 巻 2 号 p. 208-212
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    【目的】関節リウマチに対するsmith & nephew社製GENESIS IIの人工膝関節置換術(以下TKA)後成績を検討すること.【対象】2006年6月より2010年12月までに当院で行われたTKA 61例73関節を対象とした.男性8例,女性53例,右側31関節,左側42関節.手術時平均年齢68.7歳.術後平均観察期間は16.5カ月であった.機種の内訳はPS 69関節,CR 4関節で,PS cement 19関節,PS cementless 41 関節,PS hyblid 9関節,CR cement 4関節であった.【結果・考察】平均JOAは術前42.8点,術後85.8点,Barthel Indexは術前62.8点,退院時88点であった.インプラントの平均設置角はα角97.3度,β角88.2度,γ角4.7度,δ角85.2度,平均FTAは術前175.9度,術後174度.術後合併症は創治癒遅延3関節で,腓骨神経麻痺が2関節,感染が1関節であった.短期成績は良好だったが,引き続き長期的な術後経過を見ていく必要があると思われた.
  • 戸次 大史, 河野 修, 芝 啓一郎, 薛 宇孝, 小田 義直
    2012 年 61 巻 2 号 p. 213-217
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    炎症性病変や腫瘍性病変などの基礎疾患がなく,椎体が消失する程の骨吸収を呈する例は極めて稀である.今回我々は,特記すべき基礎疾患も無く,腰椎骨折後に椎体が吸収され消失し著明な後弯変形を呈した例を経験したため報告する.【症例】症例は72歳男性.明らかな誘因は無く腰痛を自覚し,第2腰椎圧迫骨折と診断され,精査にて原因は不明であった.次第に骨吸収による後弯変形が進行したため後方固定術を行ったが,矯正損失を認めたため1年後に前方後方固法にて再建を行った.その後は良好なアライメントを維持している.【考察】椎体圧潰に長時間の繰り返し外力が加わった結果,修復機転が働かず骨吸収が進行し椎体消失に至った.骨吸収と後弯が進行した例では,アライメント維持のため前方椎体再建が必須であると考える.
  • 前田 和政, 小西 宏昭, 奥平 毅, 久芳 昭一, 吉居 啓幸
    2012 年 61 巻 2 号 p. 218-222
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    若年者の化膿性脊椎炎は比較的稀な疾患とされている.10歳代の化膿性脊椎炎を2例経験したので,報告する.症例1:16歳男性.約2週間前からの発熱と背部痛のため当院内科受診.化膿性脊椎炎疑いで当科紹介後入院.化膿性脊椎炎の診断で,MEPM開始後症状軽快した.約2週間で退院.1カ月後再診時にMRI上進行があるため確定診断のため経椎弓根的生検行った.培養は陰性であった,その後膿瘍は消失した.症例2:15歳男性.腰痛,吐気,発熱で発症.近医受診し入院.化膿性脊椎炎の診断で紹介入院となる.CEZ開始するも効果なく,AMK開始後軽快した.両例ともまず内科を受診していた.安静と抗生剤の経静脈投与で軽快した.
  • 屋良 卓郎, 中村 哲郎, 川口 謙一, 土屋 邦喜
    2012 年 61 巻 2 号 p. 223-224
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    目的:腰椎後方固定術後の深部静脈血栓症(DVT)について検討した.対象および方法:2009年4月から2010年12月における腰椎後方固定術施行患者のうち術後1週に下肢静脈エコーを施行した64名(男性31人,女性33人,平均年齢68.4歳)を対象とした.全症例に対し当院の院内プロトコールに従い,DVTの予防処置が施行されていた.結果:3例(4.7%)にDVTを認めた.内訳は混合型1例(近位側は陳旧性),遠位型2例で症候性肺塞栓の発生は無かった.BMIはDVT+群19.3kg/m2に対しDVT-群23.3kg/m2,手術時間DVT+群256分に対しDVT-群245分,術中出血量DVT+群306mlに対しDVT-群331mlでいずれも有意な差を認めなかった.DVT発生例のうち1例は術前より軽度の筋力低下を認めた症例であった.発生率自体は諸家の報告と大差はなかったが,特段のリスクファクターを有しない症例にも発生しており注意が必要と考えられた.
  • 土海 敏幸, 岡野 徹, 金谷 治尚, 榎田 誠, 豊島 良太
    2012 年 61 巻 2 号 p. 225-228
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    10歳女児.発熱と左股関節痛を主訴に前医を受診した.MRIでは,左股関節に関節液の貯留と左内閉鎖筋に輝度変化を認めた.関節液より黄色ブドウ球菌が検出され,化膿性股関節炎の診断で当科に紹介された.初診時,発熱と左股関節に腫脹,疼痛,熱感を認めた.同日,洗浄・ドレナージを行った.抗菌薬の投与を継続し症状は軽快していたが,第21病日に発熱と左恥骨部に疼痛を認めた.再度撮像したMRIでは,左股関節に水腫があり,左恥骨・坐骨に輝度変化を認めた.感染の再燃と判断して再手術を行った.骨盤側の骨頭靱帯付着部周囲に変性した滑膜を認めた.その直上の月状面の関節軟骨は変性しており,プロービングで容易に剥離し,鉗子で除去すると海綿骨が露出した.抗菌薬の投与を継続し症状は軽快した.MRIで骨盤側に輝度変化を有する症例では,化膿性股関節炎の感染経路として骨盤側の化膿性骨髄炎からの波及を考慮する必要がある.
  • 宮岡 健, 中島 康晴, 保科 隆之, 松田 秀一, 窪田 秀明, 岩本 幸英
    2012 年 61 巻 2 号 p. 229-233
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    【目的】BCG骨関節炎の3例を報告する.【症例1】1歳7カ月の女児 生後4カ月でのBCGワクチン接種後13カ月で右膝の腫脹,疼痛を生じた.右大腿骨遠位に骨端線をまたぐ骨透亮像が存在し,生検を施行.抗酸菌培養およびMultiplex PCR法にてBCG Tokyo株が同定された.化学療法に抵抗性あったため,病巣掻爬術を施行した.【症例2】10カ月の男児 ワクチン接種後6カ月で右膝関節炎発症.2回の掻爬術後にPCRにて同定された.化学療法にて治癒した.【症例3】1歳6カ月の男児 ワクチン接種後13カ月で右足関節に腫脹,疼痛出現.右距骨骨髄炎を疑い,病巣掻爬術施行.抗酸菌培養およびPCRにて診断され,術後化学療法にて治癒した.【考察】BCG骨関節炎はワクチン接種後に発生する稀な病態であるが,小児の骨関節炎では鑑別診断に挙げる必要があり,抗酸菌培養およびPCR法が診断の決め手となる.
  • 田上 裕教, 佐藤 広生, 薬師寺 俊剛, 岡 潔, 今村 悠哉, 水田 博志
    2012 年 61 巻 2 号 p. 234-238
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    乳癌放射線治療後の鎖骨骨髄炎に対し陰圧閉鎖療法(VAC療法)を行い良好な結果を得た一例を報告する.【症例】72歳,女性.28年前に右乳癌に対して手術および放射線療法を施行された.右鎖骨は骨壊死を生じ偽関節の状態であった.2010年6月頃より右鎖骨部に皮膚潰瘍を生じ骨髄炎を来たした.保存療法を行うも創部からの断続的な出血を認めたため緊急入院となり,全麻下に止血およびデブリードマンを施行した.その後も創処置を継続したが感染の完全鎮静化は得られず創部の肉芽形成も不良であったためV.A.C.ATS®治療システム(KCI社,米国)を使用した.その結果,肉芽形成が促進され,大網充填術および分層植皮術により創の完全閉鎖が得られた.【結語】乳癌放射線治療後の骨髄炎に対してVAC療法は有用な方法であった.
  • 城戸 聡, 福岡 真二, 鳥越 清之
    2012 年 61 巻 2 号 p. 239-244
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    先天性内反足に対する手術中に踵舟状骨癒合症を認めた1例を経験したので報告する.症例は5歳男児.右先天性内反足のギプス矯正を生後5日から3カ月間受けた.1歳11カ月で当園紹介され右内反足,左外反足を認めた.全身の筋トーヌスは低下していた.2歳1カ月で起き上がり,2歳5カ月で立ち上がり,2歳8カ月で伝い歩き,3歳6カ月で独歩可能となった.5歳時,右内反足に対して手術(アキレス腱1 cm・後脛骨筋2 cm延長,足底腱膜切離,踵立方関節固定術)を行った.過矯正を懸念し,後内側の靭帯は解離しなかった.踵立方関節固定術の際,踵骨頚部と舟状骨との軟骨性の架橋が認められ,癒合部を切除した.術後9カ月の現在,歩行距離が伸び,走行・坂道や階段も可能になっている.先天性内反足に足根骨癒合症が合併する頻度は比較的高く,保存的治療に強く抵抗する場合や,X線所見が非典型的である場合は,MRIやエコーを行うことが望ましい.
  • 黒木 綾子, 野口 雅夫, 辻 正二, 銅川 博文, 黒木 一央
    2012 年 61 巻 2 号 p. 245-248
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    小児前腕骨骨折は保存的治療が原則であるが,両骨骨幹部骨折症例では,良好な整復位の獲得が困難な場合が多い.今回我々は,2000年1月から2010年12月までに全身麻酔下に徒手整復または観血的治療を施行した15歳以下の前腕両骨骨幹部骨折19例を対象とし,治療成績を検討したので報告する.症例は男児14例,女児5例,平均年齢は8.6歳(2~14歳),患側は右10例,左9例であった.平均経過観察期間は6.5カ月(3~16カ月)であった.治療法は経皮的鋼線刺入固定が16例,プレート固定が1例,徒手整復のみが2例であった.骨癒合は平均10.3週(3週~26週)で得られ,K-wireの骨端線貫通による成長障害や変形の発生はなかった.GraceとEversmannの評価基準による治療成績は全例優であったが,年長児に髄内釘固定を行い骨癒合が遷延したものが1例,外傷後の再骨折が2例あった.
  • 加藤田 倫宏, 坂井 健介, 吉田 健治, 吉田 史郎, 田中 憲治, 神保 幸太郎, 井手 洋平, 柴田 英哲, 後藤 琢也, 山下 寿, ...
    2012 年 61 巻 2 号 p. 249-254
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    小児の大腿骨頸部骨折は比較的稀な骨折である.今回,当院における本骨折についての治療と成績について検討を行ったので報告する.年齢は2カ月から14歳(平均6.8歳),経過観察期間は3カ月から5年3カ月(平均2年7カ月)であった.骨折型はDelbet-Colonna分類を用いII型2例,III型5例,IV型3例であった.良好な整復位が得られた1例と乳幼児2例は牽引による保存的治療で良好に治癒した.一方,観血的治療を行った7例中,内反股変形が2例,骨頭壊死が3例認められた.Ratliffの評価基準ではgood 7例fair 3でpoorの症例は認められなかった.本骨折の合併症である骨頭壊死,内反股,骨端線早期閉鎖,偽関節については様々な報告があるが未だ一定の見解はない.小児の大腿骨頸部の解剖学的特徴や受傷機転から考えると骨頭壊死の発生は受傷時にある程度運命付けられており,正確な整復にこだわり内反股や骨端線早期閉鎖等を防ぐことが最重要であると思われた.
  • 川畑 了大, 川畑 直也, 栫 博則, 井尻 幸成, 小宮 節郎
    2012 年 61 巻 2 号 p. 255-260
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    今回我々は距骨骨軟骨障害術後リハビリに苦慮した1例を経験したので報告する.症例は16歳男性,以前左足関節を捻挫後疼痛の残存を認めていた.保存的治療無効のため関節鏡視下に骨釘を用いた骨片固定術を施行した.術後6ケ月でサッカーに復帰したが,復帰後同側の足部多発性骨挫傷が出現,蹴る足の(利き足)の変更と運動制限を行い症状軽快し再度サッカーに復帰したが,暫くして反対側の脛骨疲労骨折,同側の踵骨骨挫傷が判明した.今回の症例では術後練習量の制限や練習内容の見直しが不十分であったこと,蹴る足を一時的に変更したことがさらなる合併症を引き起こしたと考えられた.
  • 井上 三四郎, 宮崎 幸政, 菊池 直士, 井ノ口 崇, 仲西 知憲, 上森 知彦, 斉藤 武恭, 阿久根 広宣, 古結 英樹, 井上 知宏 ...
    2012 年 61 巻 2 号 p. 261-264
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    【はじめに】腱や骨が露出した足部・足関節の皮膚軟部組織欠損について調査した.【対象と方法】対象は12例,平均41歳(2~78)歳であった.皮膚軟部組織欠損の内訳は,前足部1例,中足部2例,後足部・足関節4例,前足部+中足部3例,中足部+後足部・足関節2例であった.なお,今回の検討には,広範囲に足底荷重部が損傷された症例は含まれていなかった.12例中8例に骨傷を認め,大半は開放骨折であった.Kワイヤーや創外固定を用いて治療した.皮膚軟部組織欠損に対する治療法を調査した.【結果】12例中9例は,湿潤療法のみか,湿潤療法後に植皮を行い治療した.残りの3例も最終的には皮弁を用いず治療した.【考察と結語】湿潤療法を軸に,適時他科コンサルトを行う治療指針を作成した.
  • 山口 亮介, 城野 修, 浜崎 晶彦, 坂本 昭夫, 辰元 要仁, 喜多 正孝, 美浦 辰彦, 新井 堅
    2012 年 61 巻 2 号 p. 265-269
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    【目的・方法】2005年に当施設にて,大腿骨転子部骨折に対して骨接合術を行った96例の高齢者を対象とし,入院当日または翌日までに準緊急で手術が可能であった準緊急手術群とそれ以降に手術を行った待機手術群に分けた.両群における患者背景,手術,術後合併症,入院日数,転帰を比較した.また待機手術となった要因も調査した.【結果】当施設では80%の症例に準緊急で手術を行い,手術までの平均待機日数は1.6日であった.死亡率,手術部位合併症率に両群間で有意差は認められなかった.待機手術群は,術前術後の呼吸器・尿路感染症罹患率が有意に高く,入院日数が長く,自宅退院となる割合が少なかった.待機手術となった要因では,抗血栓薬の内服が最も多かった.【結論】高齢者大腿骨転子部骨折は,早期手術によって,合併症,入院期間,転帰の改善が期待でき,施設設備面,抗血栓薬への対応などにより今後さらに広まっていくものと考えられる.
  • 川原 慎也, 中島 康晴, 藤井 政徳, 山本 卓明, 馬渡 太郎, 本村 悟朗, 松下 昌史, 高杉 紳一郎, 岩本 幸英
    2012 年 61 巻 2 号 p. 270-273
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    近年,臼蓋後捻がさまざまな股関節疾患でみられることが報告され,ペルテス病においても高率に存在することが報告された.臼蓋後捻はFemoroacetabular impingement(FAI)の原因にもなり,一次性股関節症の原因として注目されている.成長終了後のペルテス病症例71例85関節において臼蓋後捻の割合を調査し,坐骨棘突出の有無,発症年齢,修正Stulberg分類による大腿骨頭変形の程度との関係を検討した.臼蓋後捻の指標としてcross-over signを用いた.臼蓋後捻は45.9%(39/85関節)に認められ,正常股関節の5-6%の報告に比較してかなり高率であった.また過去の報告と矛盾しない結果であった.臼蓋後捻例における坐骨棘突出の割合は69.2%であり,臼蓋前捻例における17.4%よりも有意に高い併存率であった.また臼蓋後捻例で有意に高い発症年齢であった.臼蓋後捻と大腿骨頭変形の関係では統計学的には有意差は認めなかったが,変形の強いクラスでより臼蓋後捻が多い傾向がみられた.
  • 富原 匠, 宮里 剛行, 野口 隆史, 仲村 俊介, 友寄 英二, 平良 貴志, 城田 真一, 林 宗幸, 盛島 秀泉, 嘉手川 啓, 上里 ...
    2012 年 61 巻 2 号 p. 274-276
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    今回われわれは稀な弾発母趾を経験したので報告する.症例は15歳,女児.6歳からクラシックバレエを開始し,10歳頃より練習中に両母趾の弾発現象を自覚していたが,疼痛がないため放置していた.15歳時に練習量が増加してから両母趾の弾発現象に加えて両足関節内果後方の疼痛が出現するようになったため当院へ紹介された.初診時に右母趾は足関節底屈および背屈時とも弾発現象を認めた.左母趾は足関節底屈時のみ弾発現象を認めた.両弾発母趾と診断し,懸濁性ステロイドを腱鞘内へ注射した.左母趾は疼痛,弾発現象とも改善したが,右母趾は弾発現象が残存した.そのため右母趾に対して腱鞘切開術を施行した.足関節内果後方部に弧状切開を加えて,腱鞘を切開すると長母趾屈筋腱の肥厚を認めた.術後は弾発現象,疼痛とも改善し,術後4ヶ月でバレエの練習を再開した.左母趾は症状の再発は認めていない.
  • 吉田 史郎, 木村 芳三, 佐藤 公昭, 杉田 保雄, 末藤 伸子, 大島 孝一, 永田 見生
    2012 年 61 巻 2 号 p. 277-279
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    Neurofibromatosis type I(NF-1)に併発した非常に稀な胸髄硬膜動静脈瘻(epidural AVF)により失血死した1例を経験したので報告する.74才男性.昼食後,外出した際に嘔吐し,救急車にて近医搬入された.来院時血圧54/30mmHg,脈拍120回とショック状態であり,約2時間経過後死亡した.剖検所見として,頂椎弯曲部に腫瘍性病変がみられ,組織学的には神経線維腫に伴う破綻したepidural AVFがみられた.NF-1にepidural AVFを合併した報告はあるが,ほとんどが頚椎レベルで脊柱側弯症(胸椎)に発生した報告はない.またNF-1の血管異常で,血胸を発症すると,致死率が高く救命が非常に困難であるとの報告がある.今回の症例でNF-1の血管異常の有無をスクリーニングする必要性を強く感じた.
  • 釘本 康孝, 高山 剛, 上通 由紀子
    2012 年 61 巻 2 号 p. 280-282
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    目的)ビスホスホネートは骨粗鬆症治療に広く用いられている.しかし,長期使用による骨代謝回転の過剰抑制によると考えられる非定型的骨折が報告され,注意喚起されている.今回,我々は長期ビスホスホネート内服患者に認められた両側非定型的大腿骨骨幹部骨折を経験したので報告する.症例)骨粗鬆症に対しアレンドロネート投与中の73歳女性.投与開始3年後に誘因なく左大腿骨部痛あり,総合診療部より紹介.疲労骨折の診断で保存治療を行った.その9ケ月後に段差に躓き,右大腿骨骨幹部横骨折が出現し手術治療,さらに1年後に左大腿骨骨幹部横骨折が出現し,手術治療を行った.考察)いずれの骨折も誘因なく,もしくは軽度の外力で起こり,骨幹部が横骨折していた.ビスホスホネートの長期投与では,骨代謝回転の過剰抑制による非定型的なストレス骨折の発生を念頭に置き,大腿部痛などの臨床症状に注意を払わなければならない.
  • 秋山 隆行, 王寺 享弘, 松田 秀策
    2012 年 61 巻 2 号 p. 283-286
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    【目的】片側仮骨延長法を用いたopen wedge osteotomyにおける脛骨後傾及び膝蓋骨後位の変化について検討したので報告する.【対象】2006年1月~2008年12月において本法施行し,術前後の膝関節機能を評価し得た63例65膝を対象とした.原疾患は変形性膝関節症55膝,骨壊死10膝で,手術時年齢は平均59.9歳であった.立位膝外側角の平均は術前181.5°,術後168.0°であった.これらの症例において,脛骨後傾角(TPA),膝蓋骨高位(T/P比)の術前後の変化について検討した.【結果及び考察】TPAの平均は術前8.8°,術後9.1°であり,T/P比の平均は術前1.05,術後1.07と変化したが有意差は認めなかった.片側仮骨延長法では脛骨粗面直下での骨切りを行うことで,プレートを用いたopen wedge osteotomyと比較して膝関節機能へ影響を与えにくい方法であると考えられた.
  • 二宮 直俊, 古庄 耕史
    2012 年 61 巻 2 号 p. 287-290
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    近年,大腿骨転子部骨折の患者に対する手術療法は,早期離床を目的に,多くの施設で行われている.今回われわれは,そのうちの偽関節を来した症例について調査,検討したので報告する.2008年7月~2010年6月に当院で手術療法を行った大腿骨転子部骨折70症例のうち,偽関節を来した2症例を対象とした.偽関節を来した2症例について,(1)骨折型,(2) tip apex distance(以下,TADと略す),(3)後療法について検討した.70症例のうち不安定型骨折は20症例で,2症例とも不安定型骨折であった.TADは,今回の2症例においては,症例1が21.6mm,症例2が30.7mmと,いずれも推奨値を超えていた.後療法は,症例1は術後6日後から,症例2は術後4週後から全荷重を開始した.どちらの症例も整復位は良好だが,内固定材料の設置位置は不良であった.カットアウトは生じなかったが,そのために転位を生じたと思われた.
  • 金城 英雄, 安里 英樹, 船越 雄誠, 高江洲 美香, 金谷 文則
    2012 年 61 巻 2 号 p. 291-297
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    【症例】81歳,女性.3年前に転倒後右肩関節前方脱臼し,骨頭と関節窩の嵌合が認められた.外来にて徒手整復不能であったため全身麻酔下に徒手整復した.上腕骨頭部陥凹を認めたが保存的治療にて経過観察した.1週間前,転倒しそうになり右手で壁についた際に右肩疼痛が出現した.1週後来院しX線所見で骨頭と関節窩が嵌合した肩関節前方脱臼を認めた.全身麻酔下に整復したが容易に再脱臼した.MRIでBankart lesionと腱板断裂と大きな上腕骨頭部陥凹を認めた.翌日関節鏡下にBankart lesionを修復し,上腕骨頭陥凹部に腸骨から採取した骨片(1.5×1.0×1.0cm)と海綿骨を移植した.腱板修復のため上腕骨頭陥凹部の四隅にsuture anchorを刺入し腱板を修復しながら同時に移植骨を修復腱板にて圧迫固定した.術翌日から右肩安静時痛は著明に改善した.術後6カ月でJOAスコア85点で,再脱臼を認めない.
  • 胤末 亮, 後藤 昌史, 光井 康博, 白地 功, 大川 孝浩, 樋口 富士男, 永田 見生
    2012 年 61 巻 2 号 p. 298-301
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/06/26
    ジャーナル フリー
    石灰沈着性腱板炎では棘上筋腱に限局するものがほとんどである.今回,肩甲下筋腱から棘下筋腱まで広範囲に生じた稀な石灰沈着性腱板炎の一例を経験したので報告する.症例は51歳女性.2年前より右肩痛出現.近医にて保存療法を受けたが,症状改善しないため当院紹介となった.手術時,石灰沈着部位は滑液包側,関節内鏡視下からは確認できず,腱内に埋入していると考えられた.術前3D-CTで石灰の位置を予測し,上腕二頭筋長頭腱を指標に肩甲下筋腱から棘下筋腱まで試験切開を行い,石灰を摘出した.二次的に生じた腱板断裂に対しては鏡視下腱板縫合術を追加した.術後6ケ月の現在,術前の疼痛は軽減し,リハビリテーション加療中である.これまで肩甲下筋腱から棘下筋腱に発症した石灰沈着性腱板炎例の報告例は未だにない.また石灰沈着部位を評価する上で術前3D-Cは極めて有用であった.
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