整形外科と災害外科
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63 巻 , 3 号
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  • 藤谷 晃亮, 善家 雄吉, 山中 芳亮, 目貫 邦隆, 酒井 昭典
    2014 年 63 巻 3 号 p. 409-412
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    広範囲長管骨骨欠損に対して,Masquelet法(M法)を用いて良好な治療成績が得られた2症例を経験したので報告する.【症例1】34歳男性.高所から飛び降りて右下腿骨開放骨折(Gustilo II)を受傷.広範囲な骨欠損を認めたがM法とプレート固定を施行.9ヵ月後骨癒合は良好で独歩可能である.【症例2】66歳女性.左大腿骨骨幹部骨折後,不適切な固定により偽関節となり当院に紹介された.M法と髄内釘固定を施行.3ヵ月後骨癒合が認められ,屋内独歩可能である.【考察】M法では1st stageから6~8週後に2nd stageを行うべきとの報告が多い.しかし,induced membraneは1st stage後4週で活性と骨形成マーカーが最大になり,8週後には著しく低下するため2nd stageは4週後に行うべきであるとの新しい報告も見られる.症例2は4週後に2nd stageを行ったが経過良好であり,2nd stageまでの期間は4週間に短縮できる可能性がある.
  • 渡辺 雄, 牧 信哉, 山田 泰之, 本荘 憲昭, 稲冨 健司郎, 樋口 誠二, 河野 勇泰喜, 渡辺 恵理
    2014 年 63 巻 3 号 p. 413-417
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【目的】我々の施設では非感染性で骨欠損の少ない偽関節(遷延治癒を含む)に対して偽関節部に骨切りをするだけの極めて簡単な手術方法で良好な骨癒合を得ているので紹介する.【対象と方法】症例は1984年から2008年までに同手術を施行した26症例28骨で全例長管骨であった.この手術は偽関節部の近位と遠位の両骨片に骨髄を横切る骨切りをするだけで,症例によってはX線透視下に経皮的に骨切りを行うこともできる.【結果と考察】骨切り後平均約3か月で全例骨癒合を得ることができた.X線透視下に経皮的に骨切りを施行した症例は28骨中7骨であった.この手術方法は骨癒合期間も通常の新鮮骨折の骨接合術の場合と大差はなく,手術も骨切りのみで肉芽組織の掻爬や骨移植を行なわないため手術侵襲も比較的少なく臨床成績も良好で有用な手術方法と考える.
  • 高橋 洋平, 村松 慶一, 小笠 博義, 橋本 貴弘, 田口 敏彦, 重冨 充則
    2014 年 63 巻 3 号 p. 418-421
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【はじめに】当科では外傷後の上腕骨難治性偽関節に対して血管柄付き骨移植を応用し治療を行ってきた.これまでの成績を報告し,その適応について再考する.【対象および方法】症例は25例(男性11例,女性14例)であった.手術時年齢は24~80歳で4例に感染を合併していた.手術法の内訳は,近位部3例に有茎肩甲骨移植,骨幹部の骨欠損が少ない12例に大腿骨内上顆からの骨・骨膜移植,骨欠損例や肘関節近傍の10例には腓骨移植を行った.【結果】骨幹部の骨・骨膜移植の2例で骨移植追加を行ったが,全例で骨癒合が得られ,採骨部の重篤な合併症は認めなかった.【考察】上腕骨難治性偽関節の報告数は減少傾向にあり,当科でも本法の適応例は減少している.これは主にインプラント改良に伴う骨折治療の進歩によると考えるが,骨欠損が大きな外傷例や偽関節部の骨萎縮が高度な難治症例には,血管柄付き骨移植術を検討するべきである.
  • 櫻井 真, 柴田 陽三, 伊﨑 輝昌, 城島 宏, 秋吉 祐一郎, 小林 達樹, 日高 正嗣, 三宅 智, 河野 大, 浅野 圭, 西野 剛 ...
    2014 年 63 巻 3 号 p. 422-426
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【はじめに】後期高齢者に対する鏡視下腱板修復術群(ARCR群),鏡視下デブリドマン群(デブリ群),CTA型人工骨頭置換術群(CTA群)の治療成績を検討.【対象および方法】術後1年以上経過した46例47肩が対象.ARCR群32例33肩,デブリ群10例10肩,CTA群4例4肩で,それぞれの手術時年齢と経過観察期間は77.3歳・20ヵ月,79.2歳・20.6ヵ月,79.5歳・19.1ヵ月.39例で何らかの内科的合併症あり.断裂サイズ,可動域,JOA scoreを検討.【結果】断裂サイズは,ARCR群で小断裂2例,中断裂10例,大断裂16例,広範囲断裂5例,デブリ群・CTA群は全例修復不能なサイズであった.最終観察時,可動域は各群とも術前に比し高値を示した.JOA scoreは,それぞれ術前58.3点,56.4点,44.8点で,術後は87.2点,83.7点,81.6点に改善した.【まとめ】ARCRが最も成績が良かったが,修復不能な腱板断裂の場合でもデブリドマン・CTA型人工骨頭置換術は術後疼痛・機能の改善を示し,選択肢の一つとなり得る.
  • 熊野 貴史, 藤原 明, 花田 弘文, 山口 史彦, 塩川 晃章, 原 道也
    2014 年 63 巻 3 号 p. 427-430
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【はじめに】高齢社会の到来と肩関節鏡の普及に伴い,高齢者に対する鏡視下腱板断裂修復術(以下,ARCR)の需要は高まりつつある.今回我々は,ARCRを施行した高齢者の治療成績を,患者立脚肩関節評価法(以下,Shoulder 36)を用いて評価した.【対象と方法】対象は,当院にてARCRを施行し,術後1年以上の経過観察可能であり,かつShoulder 36を用いて評価し得た70歳以上の高齢者(以下,O群)20例20肩,男性13例女性7例である.手術時平均年齢は74.2歳であり,術後平均経過観察期間は519.7日であった.また,コントロール群は,同様の条件にて評価可能であった69歳以下(以下,Y群)の23例23肩,男性10例女性13例,手術時平均年齢61.1歳とした.【結果】O群は,6項目すべてにおいて,術後は統計学的有意に改善していた.また,その変化量は,すべての項目においてY群より大きいものであった.
  • 石谷 栄一, 志田 義輝, 園田 康男, 小橋 芳浩
    2014 年 63 巻 3 号 p. 431-434
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【目的】腱板断裂肩の年代別の身体素因と治療方法選択と術中所見の特徴を調査検討すること.【対象及び方法】過去2年間肩痛で当院外来受診し,MRIで腱板完全断裂と診断した65歳以上の134肩を対象とした.これらをu70(65-69歳):52肩,u75(70-74歳):48肩,o75(75歳以上):34肩の3群に分けた.調査項目は可動域,痛み,罹病期間,断裂サイズ,Goutallier分類,手術率,術中所見である.【結果】挙上角度はu70:131.4度,u75:120.4度,o75:104.7度.u70とo75に有意差あり.痛み・罹病期間は3群に有意差なし.断裂サイズはu70:25.9×28.6mm,u75:30.4×31.1mm,o75:36.5×37.0mmでu70よりo75で有意に増大.Goutallier分類(GFDI)はu70:1.07,u75:1.45,o75:2.05と加齢とともに進行.手術率はu70:42.3%,u75:35.4%,o75:20.6%で加齢とともに減少.腱qualityはo75で低下.【結論】年齢とともに断裂サイズ・脂肪浸潤は増加した.特に75歳以上は初診時に一次修復困難な症例が多く,発病後3年以内で腱板筋の質が保たれている時期に手術施行する必要性を認識した.
  • 中島 武馬, 奥平 毅, 山根 宏敏, 日浦 健, 山下 一太, 小西 宏昭
    2014 年 63 巻 3 号 p. 435-438
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    胸椎または腰椎の破裂骨折に対し経皮的に2椎間の後方固定術を行った14例を対象に損傷椎体への自家骨移植の有用性について検討した.男性10例,女性4例,平均年齢は59.6歳(43~73)であった.骨移植あり群となし群に分け,性別,年齢,手術時間,出血量,周術期合併症,損傷椎体,AO分類,楔状率,局所後弯角について検討を行った.骨移植あり群は7例,なし群は7例であり,平均手術時間は各々114.7分,69.9分,平均出血量は146.4g,24.3gで,いずれも有意に骨移植あり群が多かった(p<0.05).術後の楔状率は骨移植あり群で80.8%,なし群で65.3%であり,骨移植あり群の方が保たれる傾向にあった(p=0.08).矯正損失は,骨移植あり群で13.6度,なし群で10.9度,有意差は認めなかった(p=0.61).自家骨移植は矯正維持に有効と考えられたが,諸家の報告に比して成績不良であり,今後の対策として骨粗鬆症やAO type Bの例を避け適応を厳選することや,自家骨からHAブロックへ変更することなどが考えられた.
  • 田中 寿人, 笠原 貴紀, 秋山 菜奈絵
    2014 年 63 巻 3 号 p. 439-442
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【目的】超高齢化社会に向かう中,脊椎椎体骨折後に偽関節や遅発性神経障害など治療に難渋する症例も散見される.当院で脊椎椎体骨折治療患者の偽関節率を調査し,偽関節の要因を検討した.【対象】対象は平成22年から24年までに脊椎椎体骨折と診断した70例,男性15例,女性55例,平均年齢81才である.最終観察時X-Pにて骨癒合の状態を確認した.【結果】70例中偽関節であったのは2例(2.9%)であった.症例1.80才女性.L3椎体骨折受傷後8週で当院紹介.腰椎前弯部のため前方が開大し,骨癒合しなかった.症例2.71才女性.Th12椎体骨折.入院治療を拒否し,コルセット装着も不良であった事が要因と考えられた.【考察】当院の調査では脊椎椎体骨折後に重篤な後遺症は認めていない.陳旧例でも積極的に治療介入する事で骨癒合を得る事ができた.早期診断と早期治療開始,そして患者教育が良好な成績へのカギと思われた.
  • 富永 俊克, 片岡 秀雄, 船場 真裕, 松島 年宏, 前田 崇, 三好 智之, 山本 久司, 藤 真太郎, 城戸 研二
    2014 年 63 巻 3 号 p. 443-446
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    骨粗鬆性椎体圧迫骨折の約14%に偽関節,3%程度に遅発性脊髄麻痺が生じるとされる.本症の主病態は圧壊椎体後壁の脊柱管内突出および局所の不安定性であり,早期診断と可及的早期の脊柱再建術および術後早期からのリハビリテーション治療が肝要であるが,その術式と長期予後については不明な点も多い.当院で経験した手術例13例の臨床症状と画像所見について後方視的に検討を行った.術中超音波検査による脊髄除圧の確認と椎体形成術を併用した脊椎固定術および骨粗鬆治療薬テリパラチドの併用は現時点で有用な方法と考えられた.
  • 村上 勝彦, 角南 勝利
    2014 年 63 巻 3 号 p. 447-449
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    EVOLUTION Medial-Pivot Knee System(Wright Medical社製)(以下EVOLUTION)の短期成績を検討した.対象は平成25年3月から6月に変形性膝関節症でEVOLUTION PS型を使用した9例10膝(平均80.5歳)である.JOAスコア,ROM,周術期合併症について調査した.同時期に施行したScorpio NRG PS型(Stryker社製)(以下NRG)10例10膝(平均74.5歳)を対照とした.JOAスコアはEVOLUTIONで46点から73.9点に,NRGで46点から71.7点に改善した.ROMは伸展-19.5度から-10度に,屈曲109.5度から120度に変化した.NRGもほぼ同様な結果であった.周術期合併症は2群とも幸いに認めなかった.EVOLUTIONの内側Ball in Socket関節面は,術後不安定性による早期再置換術の危険性を減少させ,良好な可動域と正常膝に似た後方へのrollbackを示すコンセプトである.しかし高齢者に対して短期間の検討では差を認めなかった.
  • 屋良 卓郎, 濵井 敏, 岡崎 賢, 水内 秀城, 田代 泰隆, 中原 寛之, 岩本 幸英
    2014 年 63 巻 3 号 p. 450-454
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【目的】CR型TKAにおいて,大腿骨コンポーネントの回旋設置角と屈曲位軟部組織バランスの関連について検討すること.【対象と方法】内反型変形性膝関節症に対してmeasured resection法を用いてCR型TKAを施行した17例20膝.大腿骨上顆軸撮影法を用いて大腿骨コンポーネントの回旋設置角,Telosを用いて伸展/屈曲位の内外反ストレスX線撮影を行い関節面間の開き角,全下肢X線像から脛骨コンポーネントの冠状面設置角を測定した.【結果】内反/外反開き角は伸展位で平均6.8/6.5度,屈曲位で平均8.9/4.7度.大腿骨コンポーネントはCEAに対して平均0.5度内旋,脛骨コンポーネントの冠状面設置角は平均90.8度.屈曲位での内外反開き角の差と「大腿骨コンポーネント回旋設置角+脛骨コンポーネント冠状面設置角」に相関を認めた(R2=0.30,p=0.009).【考察】CR型TKAにおいて,均等な屈曲バランスを目指して骨切りする場合は,大腿骨コンポーネントが過外旋設置となる場合があり注意を要する.
  • 志田 義輝, 石谷 栄一, 園田 康男, 小橋 芳浩
    2014 年 63 巻 3 号 p. 455-458
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    TKA前後の腰椎・骨盤の矢状面アライメント変化について,2012年3月~2013年6月のTKA 79膝を対象に術前後の立位Sacral slope(SS)・Pervic tilt(PT)・Lumbar lordosis(LL)を調査した.膝伸展角度は術前-13.4度から術後-2.9度に有意に改善し屈曲角度は116.4度から116.0度で有意差はなかった.術後3週時点では,SSが術前より有意に増加しPTが有意に減少したがLLは有意差がなかった.一方,術後平均150.1日時点ではSS・PTは術前と有意差はなくLLは有意に増加していた.TKA後の膝伸展改善により重心の前方移動も予想されるが,術後早期は骨盤は前方シフトかつ前傾し腰椎の矢状面アライメント変化も起こっていなかった.また術後数ヶ月時点では骨盤の位置・傾斜は術前並みとなり腰椎の前弯は強まっており骨盤と腰椎全体のなだらかな重心代償が推察された.
  • 馬場 省次, 城戸 秀彦, 原口 明久, 城戸 聡, 加茂 健太
    2014 年 63 巻 3 号 p. 459-462
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【はじめに】人工膝関節置換術(以下TKA)後の合併症として膝蓋腱断裂は治療に難渋する合併症として知られている.関節リウマチ(以下RA)による膝関節変形に施行したTKAの術後早期に発生した膝蓋腱断裂に対し,人工靭帯を用いた再建術を施行した.【症例】68歳女性,右TKA施行後膝蓋腱断裂を生じ人工靭帯を用いた再建術を施行した.術後3週の伸展位固定後徐々に可動域訓練を行ったが術後14週時点で再断裂はみられていない.【考察】治療法として直接縫合,自家腱や人工靭帯による再建等様々な報告がある.人工靭帯は十分な長さと強度が得られTKA後の膝蓋腱断裂に対し有効な治療材料であるが,長期耐久性や感染等の問題点があり慎重な経過観察が必要である.【結語】RA患者のTKA術後に膝蓋腱断裂を来した症例を経験した.Telos人工靭帯を用いた再建術を行い,ステープル固定性に不安を残したため術後3週間の外固定を要したが,術後14週の時点で経過は良好である.
  • 荒木 貴士, 米倉 暁彦, 岡崎 成弘, 小関 弘展, 千葉 恒, 馬場 秀夫, 富田 雅人, 小林 恭介, 尾﨑 誠
    2014 年 63 巻 3 号 p. 463-468
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    TomoFix®プレートを用いた脛骨骨切り術後早期に手術部位感染を生じたものの,プレートを除去せずに感染沈静化が得られた2例を報告する.【症例1】56歳男性.左変形性膝関節症に対し脛骨顆外反骨切り術を施行.術後8日に創部から浸出液を認め,培養検査でメチシリン感受性黄色ブドウ球菌を認めた.病巣掻爬術ならびに抗菌薬含有セメントビーズ充填を行い,術後27日にCRP陰転化した.【症例2】52歳男性.右変形性膝関節症に対し高位脛骨骨切り術を施行.術後8日に創部から浸出液を認め,培養検査は陰性であったが術後14日に白血球数増加を認めたため,病巣掻爬および抗菌薬含有セメントビーズ充填を行った.術中のプレート周囲組織培養にてStaphylococcus capitisを認め,術後約1ヵ月後に感染沈静化した.【結語】骨切り術から感染発症までの期間や内科合併症等の感染危険因子によってはインプラント温存は治療の選択肢の1つと考える.
  • 塚本 祐也, 神保 幸太郎, 白濱 善彦, 田中 康嗣, 下河辺 久雄, 重留 広輔, 加藤田 倫宏, 吉田 史郎, 坂井 健介, 田中 憲 ...
    2014 年 63 巻 3 号 p. 469-471
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    近年,加圧トレーニングはトップアスリートだけでなく一般人にも広く普及している.加圧トレーニングによってCrush Syndromeおよび長期運動障害を合併した1例を経験したので報告する.症例は15歳男性.野球部の練習中に加圧トレーニングを約15分実施.直後より両上肢の鬱血と強い疼痛および運動障害をきたしたため当院救急外来受診.血液検査にて白血球14830/μl,CPK2095IU/l,ミオグロビン631ng/mlと上昇,入院にて輸液管理を行った.入院1日目にミオグロビンは2013ng/mlに上昇,入院2日目にCPKは32309IU/lと急激な上昇を認めCrush Syndromeと診断した.輸液負荷を継続することで入院4日目からCPKは改善傾向になり,8日目にはCPKおよびミオグロビンは正常範囲まで改善した.両肘関節運動障害は徐々に改善して,受傷4か月で完全伸展可能となった.
  • 鶴田 敏幸, 峯 博子
    2014 年 63 巻 3 号 p. 472-478
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(OCD)症例106例を後ろ向きに調査し,家族歴,受動喫煙,スポーツ歴,内側上顆下端障害とOCD予後との関連を検討した.その結果,9.2%に家族歴があり,受動喫煙率は78.2%と高率であった.家族歴,受動喫煙率とOCDおよび橈骨頭予後の間には明らかな関連は認められなかった.スポーツは89.6%が野球で,投球動作のない水泳・新体操(1.9%)もあった.X線像上,少年野球選手に対し体操選手は上腕骨小頭後方に病巣が描出されていた.内側上顆下端障害は,初診時内側上顆下端に分離骨片を認め,最終調査時癒合が認められた群(type I),非癒合群(type II),初診時から変形治癒が認められた群(type III),変形が認められなかった群(type IV)に分類され,OCD及び橈骨頭の予後は,type IVは全例良好で,type IIで不良例の割合が高かった.また,初診時に骨端線が開存していた群は閉鎖後群に比べて予後が良好であった.
  • 渡邉 弘之, 赤崎 幸二, 相良 孝昭, 清家 一郎, 川谷 洋右, 竹村 健一, 畠 邦晃, 平山 雄大
    2014 年 63 巻 3 号 p. 479-483
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    われわれは下前腸骨棘裂離骨折13例を経験し,治療方針を中心に検討したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は男子13例,受傷時年齢は14.0歳であり,治療期間は3.8ヵ月であった.保存療法が6例,手術療法が7例であった.受傷から歩行開始までの期間は保存療法群32.8日,手術療法群15.6日で手術療法群が有意に短かった.入院期間は保存療法群21.3日,手術療法群15.3日で手術療法群が短い傾向にあるものの有意差はなかった.これまで当科では,保存療法か手術療法か,安静期間,外固定使用などの治療方針は,骨片の大きさ,転位の大きさや患者・家族の希望などで決定されていた.強い根拠無く治療を決めていた事は否めない.これまでの症例をまとめたことにより,明確な基準は設けるまでには至らなかったものの,これまでより効率的な治療方針を立てられると考えられた.
  • 赤嶺 卓哉, 吉田 剛一郎, 高田 大, 小山田 和行, 木葉 一総, 松村 勲, 長島 未央子, 田口 信教
    2014 年 63 巻 3 号 p. 484-487
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    一般女子大学生6名(対照群;平均年齢19.3±0.5歳,平均体重54.9±5.8kg)と女子体育大学生24名(柔道6名,バスケットボール6名,水泳6名,陸上長距離6名;平均年齢19.7±0.9歳,平均体重56.2±5.6kg)の計30名に対し,DXA法による骨塩量・骨密度測定を行い,各群を比較して以下の知見を得た.(1)柔道選手群では他群と比較して,特に前腕骨・腰椎・大腿骨頸部の骨密度(BMD)が高い傾向が統計学的に有意に認められた(以下p<0.05).(2)バスケットボール選手群では他群に比し,脚部・腰椎・大腿骨頸部のBMDが高い傾向が有意に観察された.(3)水泳選手群では対照群と比べ,有意に体脂肪率は低く筋肉量は高いが,他群に比しBMDは多数の部位で有意に低かった.(4)陸上長距離選手群では対照群に比し,体脂肪率は有意に低かった.また水泳群と比較して,有意に腰椎BMDは低く大腿骨頸部BMDは高かった.
  • 寺本 周平, 田畑 聖吾, 杉本 一樹, 棚平 健, 岡田 龍哉, 谷脇 琢也, 藤本 徹, 水田 博志, 瀬井 章
    2014 年 63 巻 3 号 p. 488-490
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    二分脊椎を伴わない脊髄脂肪腫による脊髄係留症候群に対して,硬膜形成術を行った成人の1例を経験したので報告する.【症例】39歳男性,37歳時より両殿部から両下肢痛と排尿障害が出現した.単純X線で二分脊椎は認めず,MRIでは脊髄円錐はL4レベルで低位脊髄を呈し,L4~S1レベルで円錐背側の脊髄脂肪腫により,円錐,馬尾の圧迫を認めた.椎弓切除及び硬膜形成術を施行した.下肢痛と排尿障害は改善しJOA スコアは15点から20点へと改善した.【考察】成人発症の二分脊椎を伴わない脊髄脂肪腫による脊髄係留症候群は稀である.成人発症の機序として,脊髄と癒着した腫瘍とのmicromotionによる微小損傷や循環障害が原因と考えられている.脊髄脂肪腫の摘出は神経症状増悪の危険性が高いため,脊髄脂肪腫の摘出は行わずに,椎弓切除と硬膜形成術による脊髄と馬尾の除圧を行った.術後1年と短期成績ではあるが,良好な結果が得られた.
  • 湯上 正樹, 池田 天史, 宮崎 眞一, 大山 哲寛, 土田 徹, 川添 泰弘, 原 慎太郎, 落合 和久
    2014 年 63 巻 3 号 p. 491-493
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    目的:胸髄内に発生した稀な神経鞘腫の1例を経験したので報告する.症例:49歳女性.平成23年2月より左臀部痛・肛門部違和感を自覚し,両下肢痛・しびれや膀胱直腸障害を認め,平成24年9月に当院紹介受診となった.既往歴・家族歴に特記事項はなかった.MRI上,Th8―11にT2WIにて高輝度を伴う髄内腫瘍を認めた.胸髄髄内腫瘍の診断(上衣腫疑い)で腫瘍摘出術を行った.手術時間は4時間45分,出血量は150mlであった.病理検査の結果,神経鞘腫の診断であった.術直後より下肢痛・しびれは消失し,術後10ヵ月の現在,左臀部痛の残存を認めるが,その他の症状は改善している.考察:神経鞘腫の髄内発生頻度は0.3%―2.7%と低い.また,脊髄髄内神経鞘腫の発生起源については種々の見解があるが,本症例では明らかでなかった.術後10ヵ月の現在,再発なく経過しており,今後も注意深く経過観察を行う必要がある.
  • 音羽 学, 冨永 博之, 棈松 昌彦, 田邊 史, 永吉 隆作, 山元 拓哉, 井尻 幸成, 米 和徳, 小宮 節郎
    2014 年 63 巻 3 号 p. 494-497
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    (はじめに)キアリ1型奇形(以下キアリ奇形)および脊髄空洞症(以下空洞症)を合併した側彎症について検討した.(対象と方法)症例は8(男性3,女性5)例で初診時平均年齢は8.1歳である.診断された時期,神経学的所見,施行術式,画像所見について検討した.(結果)腹壁反射の異常は7例に認めた.キアリ奇形と空洞症の診断まで初診後4年以上経過したものが4例あった.10歳以降に大孔拡大術あるいはシャント術を施行した5例の側彎のCobb角は最終的に50度以上となっていた.小脳扁桃下端の位置,空洞の大きさやレベルと側彎進行との明らかな関係はなかった.(考察およびまとめ)キアリ奇形と空洞症を伴う側彎症では,早期の診断と適切な治療介入により空洞の縮小や側彎の進行予防が得られる可能性がある.早期診断には腹壁反射が最も有用と考えられた.
  • 齊田 義和, 藤原 将巳, 宮岡 健, 久保 祐介, 秋山 徹
    2014 年 63 巻 3 号 p. 498-500
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【はじめに】急性石灰沈着性頚長筋炎はハイドロキシアパタイトの頚長筋への沈着と,それらが吸収される過程で炎症が惹起されるために生じる疾患である.2例を経験したので報告する.【症例1】46歳女性.数日前より上気道炎の既往あり,前日より頚部痛出現.嚥下時,歩行時激痛あり当科受診.受診当日にX線,採血,造影CT施行し診断.ソフトカラーおよびNSAIDs内服開始.治療開始後8日目には症状かなり軽減.14日目には疼痛消失していた.【症例2】34歳女性.前日より誘因なく頚部痛出現.症状かなり強く当科受診.X線,診察上,明らかな異常認めずカロナールにて経過観察.頚部痛強いため2日後,近医耳鼻科受診.異常なしとのことでその翌日当科再診.採血,造影CT施行し診断.ロキソニンへ変更し経過観察.ロキソニン開始後14日目には疼痛かなり軽減した.
  • 山田 圭, 佐藤 公昭, 脇岡 徹, 吉松 弘喜, 溝田 敦子, 神保 幸太郎, 田中 順子, 吉田 健治, 志波 直人
    2014 年 63 巻 3 号 p. 501-504
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    当科および関連施設で加療した小児の環軸椎回旋位固定(AARF)79例(男40例,女39例,平均5.5歳)の保存的治療と予後を調査した.発症から初診までの期間は平均3.6日で11例は睡眠肢位に関連して発生していた.43例が頚椎カラーで加療され,23例が改善し,無効であった20例はGlisson牽引を行い19例は改善した.年長児,発症から初診まで2週間程度経過した例で頚椎カラーが無効である傾向があった.32例に初診からGlisson牽引を行い,無効であった1例は全身麻酔下で徒手整復・ハローベスト固定で改善した.9例で再発し,再発例ではGlisson牽引期間が短く,整復後の外固定期間が短い傾向があった.AARFの予防には睡眠肢位に留意することが重要と考えられた.また初期治療として頚椎のハードカラー固定をまず行い,1週間で改善傾向なければ速やかにGlisson牽引に移行すべきである.
  • 島袋 孝尚, 大城 義竹, 六角 高祥, 三好 晋爾, 米嵩 理, 金谷 文則
    2014 年 63 巻 3 号 p. 505-508
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    症例は27歳女性.未熟児脳症による精神発達遅滞の既往があり5年前より両下垂足,3年前より手指巧緻運動障害が出現していたが放置されていた.6カ月前に自宅で転倒し,頚部痛及び歩行困難のため他院へ救急搬送された.単純X線像,CTにて頚椎奇形(環椎後弓欠損,歯突起骨,C2-7椎体癒合および椎弓奇形)に伴う環軸椎亜脱臼を認め,MRIにてC1/2レベルでの脊髄の圧迫,髄内高輝度変化を認めた.フィラデルフィアカラー装着し経過観察されていたが,症状の改善なく2カ月前に当科へ紹介された.環軸椎亜脱臼による頸部痛,四肢不全麻痺と診断し,ハローベスト固定後にMagerl法を用いた環軸椎後方固定術を施行し,C1/2椎間関節には腸骨移植を行った.ハローベストは12週間装着し,以後フィラデルフィアカラーを6カ月間装着した.術後1年3カ月の現在で四肢不全麻痺は残存しているが,頸部痛は改善し環軸関節の骨癒合を認めている.
  • 河村 一郎, 武冨 栄二, 高橋 建吾, 有島 善也, 砂原 伸彦, 小宮 節郎
    2014 年 63 巻 3 号 p. 509-512
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【背景】歯突起偽腫瘍の発生の機序は未だ明らかではなく,また偽腫瘍に起因する頚髄症に対する術式も一定の見解は得られていない.今回本症例に対し手術を行った症例の画像,選択術式と臨床経過について検討した.【対象】歯突起偽腫瘍の診断で後弓切除術と固定術併用例を施行した8例を対象とした.【結果】JOAスコアの変化には両群で有意差は認めず,偽腫瘍の縮小を認めた症例は後弓切除例に1例,固定併用例で3例であった.経過観察中に後弓切除単独で明らかな環軸椎不安定性の悪化を来たした症例は認めなかった.【考察】術前に環軸関節の不安定性を認める症例や,連続する前縦靭帯骨化を認め,著しく頚椎可動域が減少した症例では積極的に固定術の併用を検討する必要があると考えられる.短期成績ではあるが後弓切除単独症例の経過も比較的良好であり,環軸椎不安定性を認めない高齢症例に対して後弓切除術単独も治療選択になりうると考えられる.
  • 久保 祐介, 藤原 将巳, 齊田 義和, 宮岡 健, 秋山 徹
    2014 年 63 巻 3 号 p. 513-519
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    頸部神経根症で下垂指を呈した2例を経験した.【症例1】70歳男性.洗髪中に左肩甲部痛出現し,翌日に下垂指を認めた.MRIでC7/T1椎間板ヘルニアに対して症状出現41日でmicro-key hole foraminotomy施行.左C7/T1上関節突起の頭側偏位あり,腋窩部よりヘルニアを摘出した.【症例2】61歳男性.17年前に頸椎症性脊髄症でC4/5前方固定術を施行.左肩甲部痛を認めていたが,下垂指が出現した.XpでC6/7の椎体癒合,MRIでC7/T1椎間板ヘルニアを認め,症状出現18日でmicro-key hole foraminotomy施行.C7/T1椎間関節の変性を認め,腋窩部,肩部よりヘルニアを摘出した.【結果】術後2ヵ月で2症例とも指完全伸展が可能となり,指伸筋MMTは症例1では2から3,症例2では2から5まで改善を認めた.早期の診断と治療が重要であると考えられた.
  • 石原 俊信, 宮崎 正志, 吉岩 豊三, 津村 弘
    2014 年 63 巻 3 号 p. 520-523
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    環軸関節不安定症に対して環椎外側塊スクリューと軸椎椎弓根/椎弓スクリューを用いた後方固定術を施行した症例ついて,解剖学的および臨床的に検討した.【対象】2008年から2013年にかけてC1-C2後方固定術を行った7例で,平均年齢は68歳,術後平均経過観察期間28ヶ月であった.【方法】検討項目として,後弓最狭部径,椎骨脳底動脈の走行と形態,C1/C2刺入法,手術時間,出血量,神経血管合併症,骨癒合率,C1-C2 angle,Ranawatの疼痛評価・神経機能評価を用いた.【結果】後弓最狭部径は平均3.45mmで,径4mm未満は9/14で64%であり,C1刺入法はTan法3例,notch法4例であった.いずれの症例においても術中・術後神経血管合併症はなく,1例で骨癒合が得られず偽関節となった症例があったが,その他6例は骨癒合が得られインプラントの緩みや矯正損失は無かった.
  • 滝田 裕之, 馬場 秀夫, 富田 雅人, 米倉 暁彦, 小関 弘展, 田上 敦士, 津田 圭一, 依田 周, 根井 吾郎, 尾﨑 誠
    2014 年 63 巻 3 号 p. 524-527
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    軸椎歯突起後方偽腫瘍(以下偽腫瘍)により圧迫頚髄症を生じた症例に対する手術方法に一定の見解は得られていない.5例の偽腫瘍に対し後頭頸椎固定術を施行し良好な成績を得たので報告する.対象は5例(男性3例,女性2例),平均年齢76.8歳(64~86歳)であった.環軸関節の不安定性ありが3例,なしが2例であった.5例全例に後頭頸椎後方固定術(4例は環椎後弓切除術併用)を行った.術後MRIでは5例全例で偽腫瘍の縮小を認めた.JOAスコアは術前平均6.8点(3~10点)から術後平均11.8点(10~13.5点)に改善した.偽腫瘍は環軸関節への機械的刺激により反応性に形成される.環軸関節亜脱臼のない偽腫瘍に対しては後弓切除による除圧のみを行うこともあるが,偽腫瘍の増大を認めて再手術を行ったとの報告もあり,本報告の結果から偽腫瘍の治療法としては後頭頚椎後方固定術が望ましいと考えられた.
  • 長嶋 優, 宮崎 正志, 吉岩 豊三, 石原 俊信, 津村 弘
    2014 年 63 巻 3 号 p. 528-531
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    今回我々は先天後弯症に対し,半椎切除術を施行した一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は14歳男性.出生時より側弯を指摘され,手術を勧められていたが母親の理解を得ることができなかった.成長期に入り,後弯が進行したため手術の方針となった.当科初診時と術前の単純X線像を比較すると後弯角はCobb角28°から56°に増加し,CT及びMRIではFully-segmented hemi-lamina typeの半椎を認めた.手術は後方進入による半椎切除及び矯正固定術を施行し,術後側弯はCobb角28°から15°,後弯角は56°から13°に改善した.加齢により変形は強固となり,固定範囲も拡大する.本症例においては保護者の理解が得られず,14歳での手術となったが,術後経過は良好である.
  • 清田 光一, 大田 秀樹, 松本 佳之, 中山 美数, 酒井 翼, 井口 洋平, 竹光 義治, 木田 浩隆
    2014 年 63 巻 3 号 p. 532-536
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    胸椎硬膜内くも膜嚢腫に胸椎後縦靭帯骨化症を併発した非常に稀な症例を報告する.症例は41歳女性で,誘因なく左下肢脱力と歩行困難が出現.近医で胸椎後縦靭帯骨化症と診断され精査加療目的で当院紹介.初診時では左下肢優位に軽度筋力低下,軽度しびれ,痙性歩行を認めた.MRIではTh4/5レベルで脊髄が前方に軽度偏位しわずかに扁平化しており,CTMではTh4~7レベルに平坦型の後縦靭帯骨化を認め,Th4/5レベルで左優位に脊髄の前方への圧排を認めた.胸椎後方除圧固定及びくも膜嚢腫切除を施行.術中所見では脊髄後方に白濁で一部横走化した隔壁様の瘢痕組織を認め,くも膜と軟膜が癒着していた.これを剥離し切除した.術後症状は左下肢に軽度しびれが残存するのみであった.両疾患の合併であったが,それぞれの諸家の報告と同様に硬膜内くも膜嚢腫は嚢腫壁の開放を,胸椎後縦靭帯骨化症は後方除圧固定術を行い良好な経過を得た.
  • 井上 哲二, 福田 和昭, 中島 三郎, 宮﨑 信, 沼田 亨祐, 橋本 憲蔵, 田村 諭史
    2014 年 63 巻 3 号 p. 537-541
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    比較的まれな硬膜内脊髄くも膜嚢腫手術例を2例経験したので報告する.症例1:73歳 女.主訴:左半身のしびれ.JOA頚髄症スコアは13.5点であった.上位胸髄背側の硬膜内くも膜嚢腫を後方進入で全切除した.上肢機能は改善されるも,体幹以下の機能低下により退院時JOAスコアは12点と低下した.症例2:51歳 女.主訴:臍以下の痺れと痛み.歩行障害.上肢評価項目を除くJOA頚髄症スコアは6点であった.広範囲の脊髄腹側硬膜内くも膜嚢腫に対し後方進入で嚢腫尾側端を切開しくも膜下腔と交通させた.術後28か月の最終観察時,JOAスコアは8点と術前より改善した.症例1のように胸髄レベルのくも膜嚢腫により上肢症状を呈し,画像所見との乖離を認める症例が報告されており,診断には注意を要する.症例2では短期ではあるが嚢腫壁開放による減圧術で症状改善されており,全切除困難もしくは不能例では有効と考えられた.
  • 中村 英次郎, 藤川 陽佑
    2014 年 63 巻 3 号 p. 542-546
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    頭側に脱出した腰椎椎間板ヘルニアに対する経椎弓的内視鏡下ヘルニア術(以下,TL-MEH法)の有用性と問題点を検討することを目的とした.症例はTL-MEH法を施行した5例(男性4例,女性1例)を対象とした.高位はL2/3頭側:3例,L3/4頭側:2例であった.手術はヘルニア局在部位背側の椎弓に内視鏡下に卵形椎弓開窓を行い,ヘルニアを摘出した.術後経過は良好で5例ともヘルニア遺残症状はなく硬膜損傷等の合併症は認めなかった.TL-MEH法を安全に行うには,術前の3DCT等によるヘルニアの高位,範囲と椎弓や椎間関節の関係を掌握し椎弓開窓計画とたて,術中に円筒形レトラクターを正確にヘルニア直上に設置することが大切である.
  • 後藤 敬子, 大城 義竹, 三好 晋爾, 米嵩 理, 島袋 孝尚, 當銘 保則, 金谷 文則
    2014 年 63 巻 3 号 p. 547-550
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    腰椎ダンベル腫瘍として発症した,極めて稀な腫瘍であるmelanotic schwannomaの1例を経験したので報告する.症例は65歳,男性.脳梗塞後遺症で左片麻痺を認める.7年前より歩行時に右殿部,大腿部痛が出現した.4年前より疼痛が悪化し,杖歩行困難となった.2ヵ月前より歩行不能となったため,近医を受診し,MRIで右L4神経根部にダンベル腫瘍を認めたため,当院へ紹介された.手術はrecapping laminoplastyによる腫瘍摘出術を行った.黒色の腫瘤は右L4神経根腋窩部および椎間孔部に広がり神経根と癒着しており,完全摘出は困難だった.病理診断はmelanotic schwannomaであった.術後1年で,疼痛は消失し,歩行器歩行が可能となり,胸部CTで明らかな肺転移は認めない.
  • 野村 裕, 栁澤 義和, 中野 壮一郎, 田中 孝幸, 高野 祐護, 増田 圭吾, 酒見 勇太, 有馬 準一
    2014 年 63 巻 3 号 p. 551-554
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    腰部脊柱管狭窄症と誤診した,腰椎椎体骨折の骨片による椎間孔外側狭窄の一例を報告する.症例は77歳,女性である.誘因なく右大腿前面から外側の疼痛が出現した.疼痛は短距離歩行や短時間の立位で出現した.MRIでL3/4,4/5間に高度の脊柱管狭窄を認め,右L5神経根ブロックで一過性の除痛が得られたため,L3,4棘突起正中縦割進入椎弓切除によるL3/4,4/5開窓を行った.術後4日目に右大腿前面痛が再燃した.MRIで右L3/4椎間孔外側狭窄が疑われた.右L3神経根ブロックで短時間の除痛が得られた.術後10日目に右L3/4外側椎間孔拡大術を施行した.術中所見では右L3神経根が遊離した骨片によって圧迫されており,第3腰椎圧迫骨折に伴う椎間孔外側狭窄と診断した.術後,症状は軽快し,硬性コルセットを長期間装着して腰椎の骨癒合を得た.本例は,椎体骨折の骨片圧迫による神経根症状をMRI所見より安易に腰部脊柱管狭窄症と誤診した反省すべき症例である.
  • 柳澤 義和, 野村 裕, 酒見 勇太, 増田 圭吾, 高野 祐護, 田中 孝幸, 中野 壯一郎, 有馬 準一
    2014 年 63 巻 3 号 p. 555-560
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【はじめに】脊椎除圧固定術中,椎弓根スクリュー刺入時に術中モニタリングにてfree-run筋電図上,異常波形を認め解釈に苦慮した症例を経験したので報告する.【症例】79歳女性のL2/3レベルの腰部脊柱管狭窄症と,偽関節化したL3椎体骨折を認め,(1)L3椎体形成術,(2)L2-4腰椎後方除圧術ならびに(3)L2棘突起正中縦割による椎弓切除術を施行した.術中,両側L4椎弓根スクリュー刺入時にfree-run筋電図上,異常筋電図を認めた.経頭蓋刺激による誘発筋電図では明らかな振幅低下を認めず,操作を継続した.術後には明らかな神経症状は認めなかった.【考察】椎弓根スクリュー刺入時の神経損傷には術中神経モニタリングが安全性を高めるため有用とされている.しかし本症例のように解釈に苦慮する場合もあり,偽陽性波形の判断には,multimodalityでの評価が不可欠であると考えられた.
  • 内山 迪子, 日高 信道, 原 真一郎
    2014 年 63 巻 3 号 p. 561-563
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【はじめに】腰仙部神経根奇形は術前画像診断が困難で術中に医原性神経損傷の危険がある.今回術前の画像所見から神経根奇形を診断し,安全に手術を施行できた腰椎椎間板ヘルニアの1例を経験したので報告する.【症例】22歳男性.特に誘因なく左下肢痛としびれが出現し,保存的加療を受けるも症状が軽快しないため当院紹介受診.下肢伸展挙上試験(SLR test)は30°で陽性,左L5根の固有知覚領域に放散痛を認めた.MRI冠状断像および,MRIミエログラムにて左L5神経根は2本の神経が併走していた.画像所見より神経根奇形部に発症した腰椎椎間板ヘルニアの診断にて手術を行った.術中所見では神経根奇形を確認し,ヘルニアを切除した.【結語】術前の画像所見により神経根奇形を診断できた.そのため術中愛護的に神経根を排除し安全にヘルニアを切除し,良好な経過を得た.
  • 中野 賢二, 有島 善也, 高橋 建吾, 河村 一郎, 武冨 榮二, 砂原 伸彦, 南川 義隆, 恒吉 康弘, 小宮 節郎
    2014 年 63 巻 3 号 p. 564-566
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    2008年以降,当施設でRA肘に対するunlinked type人工肘関節の第一選択として使用しているK-NOW人工肘関節の短期成績を検討した.症例は21例22肘,術後経過観察期間は平均19か月であった.手術は全例Campbellの後方アプローチで展開し,尺骨は全例セメント固定,上腕骨は10例をセメントレス固定とした.肘関節可動域は,術前伸展平均-51°,屈曲平均107°が,術後伸展平均-41°,屈曲平均125°と改善を認め,またJOAスコアは,術前平均43.1点が術後最終観察時平均78点と改善し,特に疼痛の改善が有意であった.術後の合併症としては,インプラントのゆるみ,脱臼,感染は認めなかったが,一過性の尺骨神経障害2例,創離開1例,上腕骨内顆骨折1例を認めた.以前使用していた工藤式人工肘関節に比べ遜色ない短期成績が得られ,有用な人工肘関節と考えられた.
  • 根井 吾郎, 梶山 史郎, 松尾 洋昭, 古川 敬三, 馬場 秀夫, 富田 雅人, 米倉 暁彦, 小関 弘展, 滝田 裕之, 尾﨑 誠
    2014 年 63 巻 3 号 p. 567-569
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【目的】疼痛や可動域制限を有する変形性肘関節症に対する鏡視下手術の治療成績を検討すること.【対象と方法】対象は4例4肘で全例男性.手術時年齢は平均53.8歳(50~59歳),経過観察期間は平均18ヵ月(12~24ヵ月)であった.鏡視下に肘関節前方及び後方の増生した滑膜及び骨棘を切除した.4例中2例は直視下にPOL切除,尺骨神経前方移動術を追加した.検討項目はJOA肘スコア,可動域、職場復帰時期及び合併症とした.【結果及び考察】JOA肘スコアは術前平均79.5点(77.5~82.0点)から術後94.0点(91~100点)と改善を認めた.可動域は屈曲が術前平均101.3°(90~120°)から術後130.0°(115~140°),伸展が術前平均-12.5°(-10~-15°)から術後-10.0°(0~-20°)と改善を認めた.職場復帰時期は術後平均1.5ヵ月であった.合併症として創の表層感染を1例に認めた.変形性肘関節症に対する鏡視下手術の有用性が報告されているが,内側に対する処置の方法については意見が分かれている.当院では必要に応じ内側の骨棘や尺骨神経に対する直視下処置を追加しており,比較的良好な治療成績が得られていた.
  • 倉 明彦, 田嶋 光, 野口 和洋, 入江 弘基
    2014 年 63 巻 3 号 p. 570-574
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    橈骨遠位端骨折では現在watershed lineを超えない近位設置型掌側ロッキングプレートが内固定法の主流となっている.しかし,watershed lineより遠位の掌尺側遠位骨片を含む橈骨遠位端骨折について近位設置型プレートでは掌側からの支持性に乏しいことが懸念される.では,遠位設置型プレートの使用がより良い結果に繋がるのか,近位設置型Stellar2使用例(以下S群)と遠位設置型Acu-loc使用例(以下A群)の術後成績を比較し報告する.S群3例.A群5例.術後3ヶ月でのX線学的変化,最終機能評価,合併症を比較した.全例骨癒合,腱断裂等の合併症は認めなかった.S群とA群でX線学的矯正損失の有意差は認めなかったがA群で矯正損失が少ない傾向にあった.X線学的にはA群で良い結果に繋がる可能性が示唆された.しかし,症例数が少なく今後症例を重ね検討する必要がある.
  • 後藤 徳雄, 大嶋 直人, 朝倉 透
    2014 年 63 巻 3 号 p. 575-577
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【はじめに】橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレートを用いた骨接合術は有効な選択肢であるが,普及に伴い術後長母指屈筋腱(以下FPL)断裂の報告が増加している.今回我々は,遅発性にFPL断裂を生じた一例を経験したので報告する.【症例】78歳女性.前医で橈骨遠位端骨折に対し骨接合術を施行されその後無症状であった.術後6年0ヶ月時に前腕部の違和感が出現し,6年3ヶ月時農作業中に音がした後母指屈曲制限が出現した.FPL断裂の診断で抜釘及び長掌筋腱移植術を行った.術中プレート遠位端部でFPLは菲薄化し,一部連続を認めるのみであった.【考察】掌側ロッキングプレート固定術後のFPL断裂は通常1年以内に生じる事が多いが,本症例では無症状で6年経過した後断裂を認めており,長期経過後も断裂の可能性は残存すると考えられた.そのため,術後FPL断裂の危険性がある場合は骨癒合後の抜釘を考慮すべきである.
  • 梅﨑 哲矢, 森 治樹, 三橋 龍馬, 李 徳哲
    2014 年 63 巻 3 号 p. 578-580
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    一般的にDIP関節脱臼の多くは徒手的整復に難渋することはない.今回われわれは,徒手整復不能なDIP関節開放背側脱臼を経験し,観血的手術を要した症例を経験したので報告する.症例は,17歳女性,ソフトボール中にボールが環指にあたり受傷.環指掌尺側に約5mmの開放創があり,単純X線にて環指DIP関節の背側脱臼を認めた.前医と当院にてブロック麻酔下に整形医師数人が徒手整復を試みるも不能であり,最終的に観血的整復術を施行した.開放創を追加切開すると深指屈筋腱の中節骨骨頭橈側への嵌入を認め,これを解除することで整復可能であった.術後2週間のシーネ固定を行い,術後4週の時点で可動域はほぼ正常化した.徒手整復不能なDIP関節脱臼はまれな外傷であり,掌側板や深指屈筋腱の介在が原因となる.単純X線から整復阻害因子を予測することで,整復操作がより容易になると考えられた.
  • 太田 真悟, 﨑村 幸一郎, 中原 信一, 衛藤 正雄
    2014 年 63 巻 3 号 p. 581-584
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【はじめに】稀な尺側全手根中手関節脱臼骨折の1例を経験したので報告する.【症例】73歳,男性.既往歴に特記すべき事項はない.現病歴:バイクで走行中に乗用車と衝突して受傷.単純X線・CTで左第2~5手根中手関節背側脱臼と第5中手骨基部粉砕骨折,有鈎骨骨折を認めた.同日,脱臼整復固定術を施行した.第4,5CM関節は徒手的に整復保持できたが第2,3CM関節は整復及び保持が困難でありエレバトリウムを用いて整復し,Kirschner鋼線(k-wire)で固定した.術後10週で骨癒合が得られ,k-wireを抜線した.術後3ヵ月で痛みなく,良好な機能回復が得られた.【考察】尺側全手根中手関節脱臼骨折は稀な外傷であり本邦で把握できた範囲で10例の報告のみである.単純X線だけでは診断に難渋することもあり,CTが有用であるとの報告も多い.また整復位の保持が困難であり,観血的整復固定術を奨める報告も多い.本症例においても第2,3CM関節に関しては徒手的に整復できずに,観血的整復が必要であった.
  • 石渕 晃人, 善家 雄吉, 山中 芳亮, 目貫 邦隆, 古川 佳世子, 酒井 昭典
    2014 年 63 巻 3 号 p. 585-588
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    高圧注入損傷は,比較的稀な外傷であり,初療時の迅速な対応が重要な外傷である.今回,我々は3回の外科的治療を要した高圧注入損傷の1例を経験したので報告する.症例は43歳男性,高圧洗浄作業中に操作を誤りノズルから出たパーケム(以下,石油)が左手背部に注入されて受傷した.同日,近医を受診し,創部の消毒のみされ帰宅した.翌朝になっても疼痛が持続するため,受傷後翌日に当科を初診した.局所所見では左示指基部橈側に約2mmの創があり,同部を中心に全体的に手背部の腫脹がみられた.同日,緊急手術(洗浄・デブリドマン)を施行した.術中所見では,左示指橈側指神経の断裂も伴っていた.以後,計3回にわたる外科的治療を要した.最終経過観察時,術後1年半で示指橈側の異常知覚,創部の過敏症状が残存しているものの,手指関節拘縮なく原職に復帰している.過去の報告によれば,本損傷での組織損傷に与える重要な因子として2つが挙げられる.受傷から外科的治療までに要した時間,注入された薬液の種類である.本症例は受傷から19時間と外科的治療までに要した時間が長く,結果的に3回の外科的治療を要したが,注入された薬液が石油であったため,最終的な機能予後は良好であったと考えられる.
  • 藤田 章啓, 山下 英樹, 遠藤 宏冶, 山下 優嗣, 永島 英樹
    2014 年 63 巻 3 号 p. 589-592
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【症例】50歳の女性.主訴は右手掌違和感と腫瘤形成である.約1年前より右手掌部に上肢下垂で増強,挙上で軽減する違和感が生じた.徐々に肢位による差は消失し,同部に腫瘤形成と圧痛が生じた.仕事中に右小指球部を打ち付ける習慣があった.血行再建の準備をした上で腫瘤切除を行ったところ,動脈との連続性はなく,組織検査の結果は静脈血栓であった.【考察】術前には病変部位と病歴より小指球ハンマー症候群が疑われたが,組織検査の結果は静脈血栓であり,静脈性血管瘤と考えた.どちらも腫瘤形成で発見される可能性があるが,障害血管が異なり,肢位による症状の差などが鑑別点となる.【まとめ】手掌に腫瘤形成が見られた場合,稀ではあるが血管由来の病変も念頭に置いて鑑別する必要がある.
  • 齊藤 由希子, 宮里 剛行
    2014 年 63 巻 3 号 p. 593-595
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    小指MP関節指伸筋腱脱臼は中指に比較して少なく,そのほとんどが外傷により生じている.今回著者らはまれな非外傷性右小指MP関節伸筋腱脱臼を経験したので報告する.症例は23歳,女性.3ヵ月前より誘因なく右小指MP関節の引っ掛かりと疼痛を生じ紹介された.MP関節は自動屈曲で伸筋腱が尺側に脱臼し,伸展で弾発現象と疼痛を認めた.そのため伝達麻酔下に手術を行った.術中所見では小指への総指伸筋(EDC)腱は欠損し,環指EDC腱と小指伸筋(EDM)腱はMP関節の近位で緩んだ腱間結合で連結していた.矢状索は橈側で伸張していたが明らかな断裂はなかった.他動屈曲によりEDM腱はMP関節を中心に尺側に脱臼し,腱間結合はMP関節の遠位に移動してEDM腱とループを形成し,中手骨骨頭に引っ掛かった.他動伸展するとループ状の腱が整復されて弾発現象が起こった.そのため伸筋腱の中央化と腱間結合を利用した橈側の制動を行なった.
  • 蛭崎 泰人, 柴田 陽三, 櫻井 真, 南川 智彦, 河野 大, 柴田 光史, 小林 達樹, 日高 正嗣, 城島 宏, 秋吉 祐一郎, 伊﨑 ...
    2014 年 63 巻 3 号 p. 596-599
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    症例:18歳男性.主訴:右肩痛.現病歴:野球のヘッドスライディングで肩関節を外転して受傷.某医のMRIで上方関節唇損傷の診断で当院紹介受診.右投げ,右打ちの投手.初診時現症:挙上170度,外旋50度,内旋L3と内旋のみ軽度の制限を認めた.apprehension test(-),combined abduction test(+),horizontal flexion test(-),fulcrum test(+),relocation test(+),O'Brien test(+/-,Mimori pain provocation test(+/-),JOA score72.5点,JSS sports score16点,MRIでSLAP損傷を疑い手術を施行した.EUAで肩関節の前方不安定性(+),鏡視で前方関節唇損傷を認めバンカート修復術を施行した.術後半年の現在,JOA scoreは95点で,肩関節の疼痛,脱臼不安感なく投球を開始した.明らかな脱臼の既往なく,当初理学的所見,画像からSLAP損傷を疑ったが,EUAから前方不安定性の診断が出来た.EUAは病態の確認に有用である.
  • 酒本 高志, 井手 淳二, 徳永 琢也, 水田 博志
    2014 年 63 巻 3 号 p. 600-602
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    高齢者の反復性肩関節前方脱臼に対して,鏡視下に骨性バンカート修復と腱板修復を施行した1例を経験したので報告する.症例:67歳男性.10年前に船上で転倒し右肩を受傷した.近医を受診し,右肩関節脱臼の診断にて徒手整復を受けた.その後,容易に脱臼を繰り返すようになり,精査治療目的で当科紹介となった.初診時理学所見で右肩自動可動域は屈曲150度,外転120度と制限を認め,前方脱臼不安感テストが陽性であった.3D-CT検査では骨性バンカート損傷,MRI検査では棘上筋断裂を認めた.骨性バンカート損傷と腱板断裂の合併した反復性肩関節前方脱臼と診断し,鏡視下にてバンカート修復と腱板修復を施行した.術後の3D-CT検査では骨癒合を認め,MRIで腱板修復状態は良好であり,前方脱臼不安感テストは陰性となった.鏡視下手術は低侵襲で両病変の処置が可能であり,本病態に有用と考えられた.
  • 熊野 貴史, 藤原 明, 花田 弘文, 山口 史彦, 塩川 晃章, 原 道也
    2014 年 63 巻 3 号 p. 603-608
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【はじめに】近年、肩関節鏡手術の普及に伴い,高齢者の腱板断裂を伴う肩関節不安定症に対し,腱板とBankart病変の同時修復を行う報告が増加している.我々は,鏡視下腱板修復術とBankart修復術を同時に行った後,急速に上腕骨頭の破壊をきたした1例を経験したので報告する.【症例】71歳,女性.転倒した際に右肩の脱臼感および自己整復を自覚し,受傷より4日目に当院クリニックを受診した.X線およびCTにて関節窩前下方の骨片とHill-Sachs lesionを,MRIでは腱板断裂を認め,腱板断裂を伴う肩関節不安定症の診断となった.受傷より25日目に手術を施行した.手術は鏡視下に行い,剥離した前方関節唇と肩甲下筋腱および棘上筋腱を縫合した.術後は3週間の外固定を行った後,他動運動を開始し,術後6週間経過後より自動運動を開始した.術後3ヶ月のX線にて上腕骨頭の破壊を認めた.その後も破壊は進行しているが,本人の希望にて現在経過観察中である.
  • 稲光 秀明, 伊崎 輝昌, 三宅 智, 柴田 陽三, 櫻井 真, 内藤 正俊
    2014 年 63 巻 3 号 p. 609-611
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    当科では,鎖骨遠位端骨折に対する観血療法の際,肩鎖関節を固定しない骨接合術を行なっている.従来は3.5mm distal radius T-Plate(T-Plate)を用いていたが,現在は3.5mm LCP Superior Anterior Clavicle Plate with lateral extension(LE-Plate)を使用している.6か月以上の経過観察を行った10例10肩を対象とし,T-Plate法とLE-Plate法を比較した.経過観察期間は術後平均22.5か月(6-20か月)であった.男性6例,女性4例であり,手術時平均年齢は45.9歳(21-72歳)であった.最終経過観察時のJOA score,関節可動域に差はなく,全例で骨癒合が得られた.T-Plateの1例に遠位後方のプレート先端部に創感染を生じた.いずれの方法も肩鎖関節を固定しないため,抜釘までに運動制限の必要はないが,LE-PlateはT-Plateと比べ小さい遠位骨片に対しても強固な固定性が得られると考えられた.
  • 橋本 卓, 原田 洋, 諸岡 孝明, 木村 岳弘, 増田 祥男, 諸岡 正明
    2014 年 63 巻 3 号 p. 612-618
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    鎖骨遠位端骨折は骨折部の不安定性を呈する例が多い.今回鎖骨遠位端骨折及び合併損傷に対して手術的加療を行ったので報告する.対象は鎖骨遠位端単独骨折9例,烏口突起骨折合併1例,烏口突起と肩峰骨折合併1例で,男性10例,女性1例,平均年齢は42.9歳,術後経過観察期間は平均13.8ヶ月であった.手術はTension Band Wiring2例,Clavicle Hook Plate2例,鎖骨遠位端用ロッキングプレート 1例,CW Plate6例,烏口突起及び肩峰の固定には中空裸子を使用した.Clavicle Hook Plate施行の1例は術後6ヶ月で骨癒合は得られたが関節の拘縮が残存し鏡視下授動術を施行した.受傷後7年を経過した症例にCW Plateと腸骨移植を併用し術後6ヶ月の時点で骨癒合が得られてきている.鎖骨遠位端骨折は合併する損傷の存在を念頭に置き,術後の関節拘縮を回避するために本来可動性を持つ肩鎖関節をまたがずに強固な固定ができ,かつ遠位骨片が小さくても対応可能な固定法を選択する必要がある.
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