整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
63 巻, 3 号
選択された号の論文の63件中51~63を表示しています
  • 渡邊 裕介, 本山 達男, 田村 裕昭, 永芳 郁文, 古江 幸博, 川嶌 眞之, 佐々木 聡明, 尾川 貴洋, 小杉 健二, 川嶌 眞人
    2014 年 63 巻 3 号 p. 619-621
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    症例は58歳男性.交通事故にて受傷し近医入院となった.右鎖骨骨折診断にて受傷4日後に鎖骨骨接合術施行されたが,術後感染を発症し創部に瘻孔を認めた.細菌培養からはMRSAが検出されたためVCM投与が行われたが改善せず受傷6週間後で抜釘施行された.抜釘後も病状は改善しないために受傷3カ月後で当院紹介となった.来院時右鎖骨部中央に瘻孔形成と排膿を認めた.単純X線像では偽関節を認めた.抗菌薬を中止とし外来通院にて高気圧酸素治療(2.0気圧で60分)を週に6回の頻度で開始となった.高気圧酸素療法開始1カ月後には瘻孔閉鎖し,3カ月後には十分な仮骨形成が得られた.9カ月後に高気圧酸素治療を終了した.感染の再発は無く,骨癒合が得られ,完全な肩関節可動域を獲得できた.
  • 伊藤 仁, 安樂 喜久, 堤 康次郎, 西里 徳重, 安中 正法, 田原 隼, 興梠 航
    2014 年 63 巻 3 号 p. 622-625
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    はじめに:B型肝炎治療薬の副作用と考えられる低リン血症性骨軟化症をきたした1例を経験したので報告する.症例は56歳,男性であった.B型肝炎に対して内服治療中.肝細胞癌の治療歴あり.平成24年2月頃より誘因なく両膝,坐骨の疼痛が出現し近医を受診した.単純X線写真で骨吸収像を認めたために,転移性骨腫瘍を疑われ当院に紹介となった.原発巣精査を行ったが明らかな原発巣は認めず,骨生検では悪性所見は認めなかった.代謝性疾患を疑い血液検査を行ったところ低リン血症を認め,低リン血症性骨軟化症と診断した.腎機能低下,低K血症,尿糖陽性などの所見から,B型肝炎に対して内服中のアデホビルピボキシルの副作用によるFanconi症候群の関与が示唆された.カルシトリオール,経口リン酸製剤,エルカトニンの投与を行い,低リン血症,症状は改善傾向である.原因不明の骨軟化症の場合,医原性の可能性を考えることも重要である.
  • 屋比久 博己, 新垣 和伸, 新城 宏隆, 山内 貴敬, 堀苑 英寛, 金谷 文則, 大湾 一郎
    2014 年 63 巻 3 号 p. 626-629
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    濃化異骨症は破骨細胞のリソソームに存在するカテプシンKの遺伝子異常による破骨細胞の骨吸収障害が原因でおこる稀な骨系統疾患である.今回下腿骨折後変形治癒に対し矯正骨切り術を行い骨癒合に難渋した1例を報告する.症例は46歳,男性.幼少期より20回以上骨折を繰り返していた.43歳時より右下腿骨骨折を繰り返し,徐々に変形が進行したため当院を受診した.右下腿骨折後の下腿の内反,屈曲変形に対してアキレス腱延長及び遠位変形治癒部の矯正骨切り術を施行し,Taylor spatial frame®を装着し緩徐矯正を行った.術後2年で骨癒合が得られず創外固定器を抜去し,近位変形治癒部に骨切りを追加して髄内釘を挿入し,リーミングで得られた海綿骨を偽関節部へ骨移植した.髄内釘後1年10カ月の現在テリパラチド,LIPUS®を併用し仮骨を認めており,疼痛なく杖なしで独歩可能である.
  • 松永 経光, 村松 慶一, 田口 敏彦
    2014 年 63 巻 3 号 p. 630-533
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    濃化異骨症は非常に稀な骨系統疾患である.低身長,骨硬化,指趾の溶骨性骨欠損,易骨折性等の特徴がある.濃化異骨症患者の大腿骨及び尺骨骨折に対し手術加療行ったので文献的考察を加え報告する.症例は50才女性,自宅で転倒し負傷,X線上左大腿骨骨幹部に横骨折認めた.仮骨形成認め過去の疲労骨折をうかがわせた.身体所見は小人症で指趾は短縮しばち状変形認めた.X線上手指末節骨は溶骨性骨欠損認めた.髄腔が狭くBowingが強いことから径3.5mm Ender釘を用い大腿骨外顆より刺入固定,Backout防止に大転子より径2.4mm Kワイヤーを刺入した.術後1か月で仮骨形成認め部分荷重歩行開始,術後7か月でほぼ骨癒合得られた.約2年後転倒し左手を着き左尺骨骨折受傷,AOsmall LC-DCP plateで骨接合術施行.術後5か月経過するが骨癒合得られていない.髄腔が狭くBowingの強い大腿骨にはEnder釘は有用と考えられる.尺骨に対してはconventionalなプレート固定が望ましいと考えられる.
  • 辻 王成, 岡元 勉, 野村 一俊, 前川 清継
    2014 年 63 巻 3 号 p. 634-637
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    新規骨粗鬆症治療薬のデノスマブ(プラリア)はRANKリガンドを標的とするヒト型モノクローナル抗体である.海外で椎体および大腿骨近位部骨折発生リスクを有意に減少させており,本邦でも期待がもたれる.主な副作用として低カルシウム(Ca)血症がある.2013年7月~9月の期間,骨粗鬆症患者に対し,デノスマブ60mgを皮下注射し,カルシウム,天然型ビタミンD配合剤を併用し治療開始前と投与後1,2,4週に血液検査を行い,血清Ca値と骨吸収マーカーを測定し,実臨床での副作用と早期の治療効果判定を行った.国内第II,III相試験での低Ca血症の発生頻度はそれぞれ0.6%,0.8%であったが,本研究では1週後に12%,2週後に7%であった.原因として,本研究の対象患者の平均年齢が79.4歳と高く腎機能低下の影響が推測され,超高齢者には活性型ビタミンDの事前投与が望ましいと考える.また,投与2週間でTRACP-5bは62.1%低下しており,BP製剤を超える強力な骨吸収抑制効果を確認した.
  • 白瀬 統星, 前原 博樹, 當銘 保則, 田中 一広, 金谷 文則
    2014 年 63 巻 3 号 p. 638-642
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    右上腕骨傍骨性骨肉腫に対して広範切除術後に有茎液体窒素処理骨で再建術を行った1例を報告する.症例は30歳,女性.4年前より自覚していた右上腕部の腫瘤が増大したため,近医を経て当科を紹介された.単純X線像で右上腕骨近位後外側に隆起する長径約9cmの骨硬化を伴う腫瘍を認めた.MRIでT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を呈し,Gdで造影効果を認めた.切開生検術を行い傍骨性骨肉腫と診断された.骨髄内に腫瘍の浸潤が疑われたため術前化学療法を施行した.手術ではin situ preparationにて橈骨神経を温存し,次に上腕骨近位骨幹端部で骨切りをし,腫瘍骨に対して有茎液体窒素処理を行った後に整復しLCPプレートで固定した.術後5ヵ月で骨癒合が得られ,術後9ヵ月の現在,再発転移なく,右肩関節150°挙上可能である.上腕骨の悪性骨腫瘍に対する広範切除では骨・軟部組織の再建法が問題となる.本症例はin situ preparationと有茎液体窒素処理骨を併用した再建術により良好な治療成績が得られた.
  • 中川 亮, 松延 知哉, 播广谷 勝三, 松本 嘉寛, 遠藤 誠, 岡田 貴充, 岩本 幸英
    2014 年 63 巻 3 号 p. 643-648
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【はじめに】上腕骨悪性腫瘍に対して腫瘍用人工肘関節を用いた再建術の治療成績について検討した.【対象と方法】2003年4月以降,当科で悪性腫瘍4例に対して広範切除後にHMRS(Stryker社)を用いて再建した.男性2例,女性2例で平均年齢60歳(58~62歳),観察期間は平均1年6か月(11か月~2年11か月)であった.乳癌骨転移,甲状腺癌骨転移に対して上腕骨遠位端置換,脱分化型軟骨肉腫,骨肉腫に対して上腕骨全置換を施行した.術後関節可動域,患肢機能評価(MSTS),合併症,転帰について検討した.【結果】術後の肘関節平均可動域は屈曲109°,伸展-8°であった.MSTSは平均64%であり,合併症として脱分化型軟骨肉腫の1例で深部感染,局所再発を認め肩甲帯離断を行った.【考察】自験例では術後患肢機能は諸家の報告と大きな差はなかった.腫瘍用人工肘関節は局所制御率が高く,良好な上肢機能が得られ有用な再建法の1つである.
  • 幸山 敦子, 松延 知哉, 播广谷 勝三, 松本 嘉寛, 遠藤 誠, 岡田 貴充, 岩本 幸英
    2014 年 63 巻 3 号 p. 649-652
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【症例1】9歳,女性.2007年4月より右手関節の疼痛,腫脹を自覚.右橈骨骨幹端部に骨膜反応を伴う骨腫瘍を認め,切開生検にて骨肉腫と診断した.術前化学療法後,右橈骨広範切除,血管柄付き腓骨移植術を施行し,術後化学療法を施行した.術後約6年経過し,手関節の可動域制限と母指対立機能障害を認めるものの,日常生活において高い満足度が得られている.【症例2】14歳,男性.2013年1月中旬より左前腕の疼痛,熱感,腫脹を自覚.左橈骨骨幹端部から骨幹部に骨膜反応を伴う溶骨像を認め,切開生検にて骨肉腫と診断した.術前化学療法後,左橈骨広範切除,血管柄付き腓骨移植,長母指外転筋再建術を施行し,術後化学療法を施行した.現在MP関節伸展,母指対立運動を中心にリハビリを継続中である.【考察】橈骨遠位端に発生した骨肉腫では,予後改善のための広範切除とともに血管柄付き腓骨移植術を施行することで機能改善が見込まれる.
  • 曽根 崇史, 糸永 一朗, 田仲 和宏, 河野 正典, 岩崎 達也, 津村 弘
    2014 年 63 巻 3 号 p. 653-655
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    指骨に発生する骨腫瘍はほとんどが内軟骨腫などの良性腫瘍であり,軟骨肉腫が発生することは稀である.今回我々は指骨発生の軟骨肉腫の一例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は80歳女性.当院初診6年前から左示指の腫脹を認めた.近医を受診したが関節リウマチと診断され,放置していた.1年前から急激に増大し前医より紹介され当院を受診した.肉眼所見で著明な左示指の緊満と腫脹があった.単純X線検査で左示指基節骨の骨破壊像,MRIで隔壁構造を有する腫瘍をみとめた.治療は示指切断術をおこなった.指骨に発生する軟骨肉腫は稀であり,内軟骨腫との鑑別が問題となる場合もあるが,臨床所見や画像所見の特徴をふまえ診断することが重要である.
  • 三原 惇史, 村松 慶一, 橋本 貴弘, 富永 康浩, 瀬戸 信一朗, 田口 敏彦
    2014 年 63 巻 3 号 p. 656-659
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【目的】当院における,術前療法・手術が施行された悪性骨腫瘍例に対し,化学療法の治療効果判定におけるFDG-PET/CTの有用性を検討した.【対象・方法】2007年11月から2012年11月までの間に骨肉腫あるいはEwing肉腫と診断され,術前化学療法が施行された7症例を対象とした.術前化学療法前後のFDG-PET/CTのStandard uptake value(SUV)max値,術中病理所見を比較検討した.【結果】7症例中5症例が細胞壊死率90%以上であり,2症例が細胞壊死率50%未満であった.細胞壊死率90%以上群と細胞壊死率90%未満群の化学療法後SUVmaxはそれぞれ5.19と2.10であり,化学療法前後のSUVmax比はそれぞれ65.1%と39.5%であった.【考察】悪性骨腫瘍における化学療法の治療効果の予測にFDG-PET/CTが有用である可能性が示唆された.
  • 中村 厚彦, 尾上 英俊, 森 俊, 廣田 高志, 大久保 昭史郎, 植木 貴之, 村岡 邦秀
    2014 年 63 巻 3 号 p. 660-663
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    踵骨骨嚢腫3例の手術治療を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は7歳男児が2名,12歳女児が1名であり3症例とも踵部痛で来院した.画像検査で踵骨骨嚢腫と診断した.運動時痛があり,嚢腫のサイズも大きかったため全例に病巣掻爬,人工骨移植(β-TCP)を行った.平均経過観察期間は23ヵ月(13-36ヵ月)であった.経過観察期間中,単純X線で嚢腫の再発は認めなかった.諸家の報告と同様に踵骨骨嚢腫に対する病巣掻爬,人工骨移植は有用な治療法と考えられた.
  • 當銘 保則, 前原 博樹, 田中 一広, 後藤 敬子, 白瀬 統星, 屋比久 博己, 宮平 誉丸, 樋口 貴之, 金谷 文則
    2014 年 63 巻 3 号 p. 664-667
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【目的】骨巨細胞腫(GCT)の治療成績を手術療法別に検討したので報告する.【対象・方法】1987年より当科で初回治療を行ったGCTを対象とした.en bloc切除術(E群),単純掻爬術後に自家骨移植およびβ-TCPを移植した(C群),high-speed burrによる掻爬術後にフェノール処理を行いα-TCPを移植した(P群)の手術療法別に再発率と肺転移について調査した.【結果】当科で初回手術を施行したGCTは44例,手術時年齢は平均33.3歳,経過観察期間は平均71ヵ月であった.手術療法の内訳はE群7例,C群29例,P群8例であった.再発を全体で14例(E群1例,C群12例,P群1例)に認め,そのうちC群で6例に肺転移を来たして4例が腫瘍死した.肺転移のうち5例は再発後に肺転移を発症した.【考察】再発後の肺転移が予後を大きく左右し,再発予防にはフェノール処理などの補助療法が重要と考えられた.
  • 福間 裕子, 岡 潔, 佐藤 広生, 末吉 貴直, 水田 博志
    2014 年 63 巻 3 号 p. 668-671
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    前胸部に巨大腫瘤を呈した孤立性線維性腫瘍(Solitary fibrous tumor: SFT)の1例を経験したので報告する.【症例】64歳男性.20年前より存在する右前胸部腫瘤が徐々に増大したため当科受診した.針生検でSFTの診断となり,広範切除術を施行した.病理組織上紡錘形細胞が束状に配列し,分枝した小血管が増殖した構造を認め,免疫染色ではCD34,CD99,bcl-2が陽性であり,SFTと診断された.現在術後9ヶ月が経過し,再発転移は認めない.【考察】SFTは中間悪性群に分類されており,多くは良性の経過をとるが,局所再発・遠隔転移を来すことがある.腫瘍径10cm以上,断端陽性,病理学的悪性所見を認める場合は広範切除術が望ましいと報告されている.本症例では腫瘍径10cm以上であったため広範切除術を施行した.
feedback
Top